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指定校推薦の合格が取り消されるのはどんなときか—卒業、停学、合格後の欠席|武蔵野個別指導塾

調査書は高3の単位を修得したものとして計算され、合格はその見込みの上に立っています。卒業の判定、停学、12月からの欠席が入学の資格とどうつながるかを法令でたどり、担任に聞く質問まで持ち帰れます。
大学が推薦の枠を示した高校から、校長の推薦を受けて出願する学校推薦型選抜のひとつ、いわゆる指定校推薦で受かっても、高校を卒業できなければ大学には入れません。大学に入る資格は高校の卒業などで生まれると学校教育法第90条が定めていて、高3の出願は、その資格を入学までに得る見込みとして受け付けられているからです。合格の後に入学を危うくするのは、単位が認められない、欠課が重なって卒業の判定に届かない、停学や退学の処分を受ける、という高校の中の出来事です。どの出来事で大学が入学を認めないとするかは、大学の書類と高校の規程を読むまで決めつけられません。
| 決まり | 中身 | 出どころ |
|---|---|---|
| 大学に入る資格 | 高校を卒業した者など | 学校教育法 第90条 |
| 出願できる人 | 入学資格を持つ者と、入学の前までに持つ見込みの者 | 令和9年度大学入学者選抜実施要項 第9 |
| 高3の単位の数え方 | まだ決まっていない最終学年の単位は、履修中の分を修得したとして計算する | 同要項 調査書記入上の注意7(2) |
| 卒業の認定 | 高校が定めた単位数(74単位以上)の修得と特別活動の成果を確かめ、校長が全課程の修了を認める | 高等学校学習指導要領 総則 第4款、学校教育法施行規則 第96条 |
| 停学 | 退学・訓告と並ぶ懲戒の処分で、校長が行う | 学校教育法施行規則 第26条 |
よくあるのは、12月に合格の連絡を受けてから、目覚ましを止めて二度寝する朝が続き始めた高3という場面です。最初の週に遅れたのは1日だけでした。次の週は1限に2回間に合わず、3週目には「もう決まったから」と自分に言い訳をする声が、布団の中で少しずつ大きくなります。台所では母親が時計を見ながら、起こすべきか、もう子どもではないのだから任せるべきかを迷っています。合格の通知は机の引き出しにしまったまま、出欠の欄だけが静かに動いていきます。
合格と入学のあいだに、卒業という関門がまだ一つ残っている
出発点は出願の資格です。令和9年度の大学入学者選抜実施要項は第9で、大学に出願できるのは入学の資格をすでに持っている人か、入学の前までに持つ見込みの人だとしています。その資格の中身を決めているのが学校教育法第90条で、高校を卒業した人などが大学に入れると書かれています。高3の秋に出願する人はまだ卒業していないので、見込みの側で出願していることになります。言いかえると、指定校推薦の合格は、3月に卒業するという約束の上に出されています。
大学に届いた調査書も、この約束を前提に作られています。要項の調査書記入上の注意7(2)は、卒業見込みの人の最終学年の単位がまだ決まっていないとき、いま履修している単位を「修得したものとして計算」するよう求めています。出欠の欄も、高3の分は直近の学期末か、最終学年の成績を判定した時点の状況を書き、そうしたことを備考に示す決まりです(同14)。大学が読んだ書類の高3の部分は、この先も単位を取り切るという見込みで埋められた欄なのです。
では、卒業は誰がどう決めるのか。高等学校学習指導要領の総則は、生徒が学校の定める指導計画に従って科目を履修し、その成果が科目の目標に照らして満足できると認められたときに、単位の修得を認めるとしています。そのうえで、学校が卒業までに修得させる単位数を定め、その単位数を修得し、特別活動の成果も満足できると認められた生徒について、校長が全課程の修了を認めます。単位数の下限は74で、学校教育法施行規則第96条にも同じ数が書かれています。高校に準用される同規則の第57条第1項は、卒業を認めるときは平素の成績を評価して決めるとし、第58条は、全課程を修了したと認めた者に校長が卒業証書を渡すとしています。
令和9年度の実施要項は、学校推薦型選抜の結果を12月1日より前に出さないよう大学に求めているので、合格がわかるのは早くても12月です。高2のいまこれを読んでいる人の日付は、まだ公表されていない令和10年度の要項で決まるので、公表されたら学校推薦型選抜の発表の日の行を探してください。高校の学年は原則として4月1日に始まり翌年の3月31日に終わる(施行規則第59条の準用)ので、合格の後にも、高3の残りの数か月がまるごと残っています。図1のように、合格の知らせと入学のあいだには、高校の卒業の判定がはさまっています。

図1の下の赤い枠が、取り消しのいちばん確かな形です。卒業できなければ第90条の資格が生まれず、大学はその人を入学させられません。大学がこれを合格の取り消しと書くか、入学の資格を欠くと書くかは書類によって違いますが、4月に入れないという結果は同じです。「剥奪」という強い言葉で検索されることもありますが、ここでは書類の言葉に近い「取り消し」で通します。
もう一つの決まりが懲戒です。学校教育法第11条は、教育上必要なとき校長と教員が生徒に懲戒を加えられるとし、施行規則第26条は、そのうち退学・停学・訓告の処分を校長が行うと定めています。同じ条は、退学にできる場合として、「性行不良で改善の見込がない」と認められる者など四つを挙げ、その中には正当な理由のない欠席が常になっている者も入っています。これは処分ができる場合を並べた条文で、休んだら退学になるという意味ではありません。それでも、素行不良と呼ばれる行動が退学の処分にまで進めば、卒業はなくなり、入学の資格もなくなります。停学で止まった場合に合格がどうなるかは、ここまでに見た法令には書かれていません。
何があれば入学を認めないかは、大学の書類と高校の規程に書かれる
法令が決めているのは、卒業しなければ大学に入れないという大枠と、単位を認めるのは学校で、卒業と処分を認めるのは校長だという分担までです。その間にある細かな線、たとえば何時間授業を欠けたら単位が認められないか、遅刻を何回で欠課ひとつと数えるか、停学を受けた生徒の推薦をどう扱うかは、高校ごと、大学ごとに違います。違いの中身は、外からいくら調べてもわからないことがあります。だから、自分の線は自分の高校と出願先の書類から引き出すしかありません。
大学の側で読むのは、合格の通知に添えられた書類と、入学手続の案内です。そこに、入学までに卒業できなかった場合や、出願の書類と事実が違った場合の扱いが書かれているかを見ます。書かれていれば、それがその大学の線です。文部科学省の実施要項にも、入学式に無断で欠席したら入学を取り消すといった文を大学が募集要項などに書く場合を想定した一節があり、入学の取り消しにあたる条件を大学が自分の書類に書くことがあるとわかります。合格の後の注意書きも、指定校推薦では本人の家ではなく、高校の進路の部屋に届いていることがあります。取り消しの条件を大学の窓口に電話で聞きたくなっても、まず担任に書類を見せてもらうところから始めてください。
高校の側で読むのは三つです。一つ目は生徒手帳などにある学校の規程で、単位の修得の認定、出席の扱い、懲戒の手続きが書かれていることがあります。二つ目は校内の推薦の要項で、推薦を受けた生徒が合格の後に守ることが書かれていれば、それがその高校の約束事です。三つ目は担任との面談です。いま自分の欠課がいくつで、卒業まであといくつの余裕があるのかという、規程を自分に当てはめた数字は、先生にしか出せません。
単位数の74は全国の下限で、卒業までに何単位を修得させるかはそれぞれの高校が定めます。どの科目の単位が欠けると卒業に届かなくなるかも、その高校の教育課程と規程で決まります。これまでに74を超える単位を取っているから一つくらい落としても平気だ、と自分で決めてしまうのが危ないのはこのためです。高3で履修している科目の中に、落とせば卒業できない科目があるかどうかを、担任に確かめておいてください。
停学などの処分を受けたとき、指定校推薦で合格した生徒について高校が大学に何を伝えるのか、大学が何をもって入学を認めないとするのかは、ここで推し量って書くことができません。押さえておきたい事実は一つです。要項の推薦書のイメージ例では、宛先は大学の学長で、学校長の名前で出す形になっています。推薦した高校にとって、合格の後のあなたも、まだ卒業前の自分の学校の生徒です。
成績の区切りも高校で違います。武蔵野個別指導塾の案内は、指定校推薦の評定平均を高1の1学期から高3の1学期までの全教科の積み上げとしています。前期・後期の2学期制の高校では区切りが違うので、調査書に入った高3の成績がどの時点のものかは担任に確かめてください。どちらの場合も、出願より後に付く成績は、単位の認定と卒業の判定に使われます。
12月から3月まで、記録を自分の手に取り戻す
合格の翌日からやることは、図2のように四つです。四つ目まで行ったら一つ目に戻り、卒業の判定まで週ごとに回し続けます。

一つ目は数えることです。手帳かスマートフォンのメモに、日付と、休んだ授業・遅れた授業・早退した授業の科目名を書きます。大事なのは学校の数え方に合わせることで、遅れた時間を欠課に数える高校なら、遅れた1限の科目に印をつけます。たとえば月曜と木曜の1限がどちらも同じ科目で、1月の4週間、その二つの曜日にすべて遅れたとすると、その科目だけで8回分の授業を逃したことになります。曜日ごとに偏ってたまるのが遅刻のこわさで、全体の欠席日数を眺めているだけでは気づけません。
二つ目は聞くことです。数えた紙を持って担任のところへ行き、科目ごとに単位が認められなくなる線と、いまの自分の位置を聞きます。学年末の定期テストや課題の提出が単位の条件になっているなら、その日付も手帳に写します。ここで出てくる数字はその高校が決めたものなので、別の高校に通う友だちの話を当てはめないでください。大学から入学前の課題が届いている場合は、その締め切りも同じ手帳に入れておきます。
三つ目は、朝起きられない理由を生活と体調に分けることです。夜中までの画面、昼過ぎまでの寝坊、予定のない午後が続いているなら生活の側です。起きる時刻を毎日同じにし、寝る1時間前に画面を閉じ、朝いちばんに英単語の小テストのような小さな予定を置くと、起きる理由ができます。頭痛やだるさが毎朝のように続くなら体調の側で、気合いで片づけず、保健室や医療機関に相談し、休んだ理由を担任に伝えておきます。体調で休むときに何をどう連絡するかは、高校の決まりに従ってください。
四つ目は見直すことです。週に一度、たとえば日曜の夜に、その週の記録を前の週と並べます。増えた科目があれば、次の週はその曜日だけ起きる時刻を早め、前の晩の予定を軽くします。三つ目までの手が効いているかどうかは、この見直しでしかわかりません。数字が減っていれば、それは3月の判定に向けて本当に前へ進んでいる証拠です。
保護者の方は、お子さまを責める言葉より先に、記録の紙を一緒に見ることから始めてください。「なんで起きられないの」と聞かれても、本人にも答えがない朝があります。数字は本人が付け、担任への連絡が必要なら家庭から入れる、と役割を分けておくと、朝の台所の空気は荒れずに済みます。学年の終わりが近づくほど、この記録が先生と話すときのいちばん確かな材料になります。
「もう決まった」が連れてくる三つの思い込み
一つ目の思い込みは、調査書はもう大学に届いたから、決まった後の欠席は関係ない、というものです。届いた調査書の高3の単位は、修得したとして計算された数字です。欠課が重なって単位が認められなければ、その計算の前提が崩れ、卒業の判定にかかわります。出願の書類が届いたことと、卒業の判定が終わったことは、別々の出来事です。

図3のように、左の調査書は出願の時点の内容で大学に届いていますが、右の卒業の判定は3月まで動き続けます。合格の知らせが来たのは左の書類に対してで、右の判定はまだ終わっていません。
二つ目の思い込みは、停学は欠席に数えないから記録に傷はつかない、というものです。指導要録の決まりでは、学校教育法第11条による懲戒のうち停学の日数は、出席停止・忌引等の日数に合算されます。これは、その日を出席しなければならない日数から外し、病気などの欠席と区別するための、日数の仕分けの決まりです。欠席日数の欄に出ないことを、処分がなかったことや軽いことと読み替えるのは誤りです。処分そのものは校長が下した懲戒で、合格した生徒にそれがどう響くかは、高校と大学の規程と判断で決まります。
三つ目の思い込みは、取り消されるのは事件と呼ばれるような大きなことだけ、というものです。法令の筋道でいちばん確かな取り消しの形は、卒業できないことでした。卒業できない理由は事件である必要がなく、一つの科目の単位が認められないことでも起こりえます。どの科目でそうなるかは高校の教育課程と規程しだいですが、音も立てずに積み重なる欠課のほうが、本人に気づかれないまま線に近づいていきます。
高校の先生に確かめる質問
合格の後に、取り消しの話を先生に聞きに行くのは気が引けるかもしれません。それでも、聞かないまま3月を迎えるほうが、ずっと分の悪い賭けです。次の質問を紙に書いて持っていき、答えをその横に書き取ってください。
- 大学から高校に届いた書類に、合格や入学の許可を取り消す場合の書き方はありますか。あれば、その部分を見せていただけますか。
- 高3で私が履修している科目で、単位が認められなくなる欠課の線はどこですか。いまの私の欠課はいくつで、あといくつ余裕がありますか。
- 遅刻と早退は、欠課や欠席としてどう数えられますか。
- 卒業の判定はいつ行われますか。それまでに、学年末の試験や課題、追試や補習で取り戻す道はありますか。
- 体調で休んだときは、どう連絡し、何を出せばよいですか。診断書は要りますか。
- 校内の推薦の要項に、合格した後に守ることは書かれていますか。
- 停学などの処分を受けた場合、指定校推薦で合格した生徒について、高校はどう対応しますか。
- 大学に出した調査書の高3の成績と出欠は、どの時点のものですか。
個別指導で確かめること
教室では、手帳に付けた出欠と欠課の記録を週に一度いっしょに数え直し、担任から聞いた単位の条件と並べて、線に近い科目を先に見つけます。学年末の定期テストの答案が返ってきたら、落とした問題がどの単元に集まっているかを確かめ、追試や課題に間に合う形で手当てします。入学前の課題が届いていれば、その下書きも読み、朝に家で進める分量を決めます。
まとめ
合格の知らせは、卒業という条件を付けて届いた約束です。12月からの欠席も遅刻も、その条件を満たすかどうかを決める記録として、3月まで一日ずつ積み上がっていきます。数える手と聞く手を、卒業の判定の日まで止めないでください。合格通知を入学の切符に変えるのは3月に校長から受け取る卒業証書で、その紙は、12月からの毎朝の登校で一行ずつ書き上がっていきます。
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