
武蔵野個別指導塾の特徴
共通テスト数学は教科書だけで足りるか—「教科書等では扱われていない定理」の読み方|武蔵野個別指導塾

問題作成方針は教科書を問題の基礎に置きつつ、教科書に無い定理を習った知識で導く題材も例に挙げています。放物線の弦の傾きを例に、例題の説明から誘導の自作まで五つの手順で進めます。
範囲だけで言えば、教科書で足ります。いまの高2が受ける令和10年度試験の問題作成方針は、高校で使われている教科書を問題の基礎にすると書いているからです。ただし同じ方針は、数学の題材の例として、教科書に無い定理を習った知識で導かせる問題も挙げています。共通テストの数学を教科書のみで迎えるなら、例題と証明を自分の口で説明できるところまで教科書を使い切り、その上に初めて見る形を読む練習を一段足す、というのが答えです。
いまの高2の令和10年度試験(日程は2028年1月15日・16日)と、いまの高3の令和9年度試験(2027年1月16日(土)・17日(日))の問題作成方針を字で突き合わせると、数学の段まで年度の字と記号の字形のほかは同じ文でした。教科書との距離に関わる行を抜き出すと、次の四つです。
| 文書(年度) | 教科書との距離に関わる中身 |
|---|---|
| 令和10年度 問題作成方針 第1(令和9年度も同じ文) | 共通テストは、高校の段階で基礎の学習がどこまで身に付いたかを測り、大学で学ぶのに要る力をつかむための試験と位置づけている |
| 同 第2の1 | 学習指導要領に沿い、その解説と高校で使われている教科書を基礎に作る。新しい場面でも力を使えるかを見るため、教科書等に無い資料等を使う場合がある |
| 同 第4の4(数学) | 問題発見・解決の過程を重んじる。題材の例に、日常や社会の事象を数学で扱う題材と、教科書等に無い定理等を既習の知識で導く題材を挙げている |
| 令和7年度試験 試作問題「数学」の概要(令和4年公表) | 『数学Ⅰ,数学A』の六つの問題のうち四つは令和3年度本試験の問題と共通。試験時間は70分として作られた |
よくあるのは、教科書の章末問題なら最後まで解けるのに、共通テストの数学の過去問では最初の大問から点が取れない高2、という場面です。11月の放課後、『数学Ⅰ,数学A』を70分計って解いてみると、第1問の最初の空欄二つは埋まったのに、「このとき」で始まる三つ目から先が白いまま残る。問題文の記号はどれも教科書で見た物です。それなのに、何を求めればよいのかが見えない。定期テストの点との落差に、本人がいちばん戸惑っています。
教科書を基礎にする文と、教科書に無い題材を挙げる文—同じ方針の中の二つ
問題作成方針は、センターが年度ごとに出す文書です。令和10年度の版がいまの高2、令和9年度の版がいまの高3の試験の方針に当たります。第1の冒頭は、共通テストを、高校の段階で基礎の学習がどこまで達成されたかを判定し、大学で学ぶために要る力を把握するための試験だと位置づけています。続く第2の1は、問題を学習指導要領に沿って作り、その解説と高校で使われている教科書を基礎にして、特定の分野に偏らないようにすると書きます。ここまでを読む限り、出る中身の土台は教科書です。
同じ段の終わりには「なお」で始まる一文があり、習った知識や考える力を新しい場面でも使えるかを問うために、教科書等で扱われていない資料等を使う場合がある、と添えています。数学の段(第4の4)はさらに踏み込みます。問題発見・解決の過程を重んじ、事象を数理的に捉えて問題を見つけ、解決の見通しを持ち、数・式・図・表・グラフで処理し、最後に解決の過程を振り返って結果を意味づけたり、ほかの場面に広げたりすることを求めています。題材の例は二つあり、一つは日常生活や社会の事象を数学で扱える形にする題材、もう一つがこの記事の題に引いた一文です。
その一文は、「教科書等では扱われていない数学の定理等」を「既習の知識等を活用しながら導く」ことのできる題材、と書いています。図1のように三つに分けて読むと、方針が受験生に何を求めているかが見えてきます。左の箱は道具で、使うのは既習、つまり教科書で習った知識です。真ん中の箱が問われる中身で、定理を知っているかどうかではなく、導く途中が問われます。右の箱がたどり着く先で、その定理そのものは初見でかまいません。方針の第2の4は、答えを選択肢か数値や記号で答える形式を取ると書いています。令和8年度の本試験でも、考える道筋は小さな空欄に区切られ、問題文の中に並んでいました。受験生のあいだで誘導と呼ばれる作りが、これに当たります。

もう一つ読み落とせないのが、この一文が「例えば」で始まり「考えられる」で終わっていることです。題材の例を挙げる書き方で、毎年この形の問題を出すとは約束していません。出さないとも書いていません。令和4年に試作問題と一緒に出た、令和7年度試験の問題作成方針に向けた検討の方向性は、学習指導要領に基づくとは、指導要領から外れず、むやみに難しい問題を作らないことだと説明していました。教科書の外の定理が出たとしても、それは教科書の外の知識を問う問題ではなく、教科書の内の道具で届くように組んだ問題だ、というのが方針の書きぶりです。
新しい課程で初めての試験になった令和7年度に向けて、センターは令和4年に試作問題を公表しています。試作問題「数学」の概要によると、『数学Ⅰ,数学A』の六つの問題のうち四つは令和3年度本試験の問題と共通で、新しく作られたのは二つでした。『数学Ⅱ,数学B,数学C』は七つの問題のうち、令和3年度本試験と共通が二つ、その一部を改めた物が三つ、新しく作られた物が二つです。新しい問題は、データや確率をもとに判断する場面や、コンピュータソフトで図形を表示する場面を使っていました。新しい課程の見本を作る段階で、前の課程の本試験の問題をそのまま充てた所が多かったことが、概要の問題構成の表から読み取れます。
自分の答案のどの空欄で崩れたかで、教科書との距離を測る
教科書だけで足りるかは、人によって答えが違います。違いを決めるのは、教科書の中身がどこまで身に付いているかと、初めて見る形をどこまで読めるかの二つで、どちらが足りないかは自分の答案に出ています。用意するのは、時間を計って解いた過去問の問題冊子と答案、学校で使っている数学の教科書、正解の表の三つです。センターの過去3年分の試験問題の頁で新しい課程の本試験を探すと、令和7年度と令和8年度の2年分が見つかります。
令和8年度の本試験の数学の問題冊子を開くと、登場人物二人の会話を追いながら考える問題が、数学①にも数学②にもあります。『数学Ⅰ,数学A』の第2問は、それだけで問題冊子の10ページにわたっていました。手もとの教科書の章末問題を横に並べると、問題文の長さも、一つの問題で聞かれることの数も、まるで違うのがわかります。この距離のどこでつまずくかを、空欄ごとに見ていきます。
やり方は単純です。正解の表と照らして、大問ごとに空欄の○×を誘導の順に一列に並べ、最初に×が付いた空欄に印を付けます。たとえば、空欄がアからシまで12個ある大問で、アからオの5つが○、カで初めて×が付いたなら、カが崩れ始めです。その後ろに○が混じっていても、まず崩れ始めの原因を調べます。崩れ始めより後ろの×は、前の空欄の答えを引き継いで落ちていることがあるからです。
崩れ始めの空欄について、次の三つを順に自分に聞きます。一つ目、その空欄で使う公式や定義を、教科書を閉じたまま言えるか。言えなければ、原因は教科書の中身の穴で、戻る先はその章の例題です。二つ目、言えるのに使えなかったなら、すぐ前の空欄の答えを次で使う流れに気づいていたか。気づいていなかったなら、原因は誘導の読み方にあります。三つ目、問題文や会話の中に、初めて見る言葉や性質の説明があったか。あったなら、原因は初見の題材を読む力で、方針が例に挙げた題材に当たります。三つのどれに当たったかを、崩れ始めの空欄の横に一字で書いておくと、何回分か解いた後に偏りが見えます。
いまの高2が気をつけたいのは、まだ授業で習っていない単元が混じることです。学校の進み方によっては、数学Bや数学Cの章がこれからということもあります。習っていない章の空欄は数えずに外し、習い終えた章だけで三つの原因を数えてください。どの科目のどこまでが共通テストに出るかの線引きは、特集「共通テストの細かい疑問」の「共通テスト数学の出題範囲—数学Ⅲ、数学Aの整数、数学Cはどこまで出るか」が扱っています。志望校が数学①と数学②のどちらをどの科目で求めるかは、志望校の募集要項の教科・科目の欄で読みます。いまの高2なら、今年度の募集要項でその欄の形だけを先に見ておくと、来年度の版が出たときに迷いにくくなります。
いまの高3は、本番までの日数が限られています。教科書の穴が原因の空欄は、戻る章がはっきりしているので、短い時間でも直せます。三つの原因のうち一つ目から手を付け、二つ目、三つ目へと進むのが、残りの日数の使い方として無理のない順です。
例題の説明から誘導の自作まで—教科書を使い切る五つの手順
教科書を使い切るとは、問題が解けることではなく、解いた道筋を人に説明できることを指します。図2の五つの箱を左から順に進め、過去問で崩れた所が見つかったら、崩れた原因に合う手順へ戻ります。
一つ目は、例題を説明できるまで読むことです。解答を紙で隠し、例題を一行ずつ解きながら、その行がなぜ前の行から出てくるのかを声に出して言います。言えない行があれば、その行の右に「ここで何を使ったか」を一行で書き足します。たとえば余弦定理を使う例題なら、答えが出たところでは終わらず、なぜ余弦定理を選んだのか、つまり二辺とその間の角がわかっているからだ、と言えたところで一区切りです。保護者の方は、お子さまの説明を聞く役に向いています。数学の中身がわからなくても、「その行はどうしてそうなるの」と一つ聞くだけで、説明の穴が見えてきます。
二つ目は、章末問題を解いた後の書き込みです。問題番号の横に、その問題が使った例題の番号を書きます。一つの章末問題が二つ以上の例題を組み合わせているときは、その組み合わせ方こそ共通テストの誘導にいちばん近い所です。どの例題をどの順でつないだかを、矢印で書いておきます。
三つ目は、定理の証明を自分で追うことです。教科書に証明が載っている定理や公式を、単元ごとに二つか三つ選びます。たとえば数学Ⅰの余弦定理、数学Ⅱの加法定理、数学Bの等差数列の和の公式です。定理の文だけを白い紙に書き、証明を見ずに組み立て直します。止まった所が、道具の手入れが要る所です。方針の言う既習の知識とは、この手入れが済んだ道具のことだと考えてください。

四つ目は、誘導を自分で作ることです。証明を組み立て直せた定理を、三つか四つの空欄に区切った問題に作り替えます。前の空欄の答えを次の空欄で使うように区切るのがこつです。慣れたら、名前を知らない性質を自分で導いてみます。たとえば、放物線 y = x² の上の2点を結ぶ線分の傾きは、2点の x 座標の和になる、という性質です。2点を (a, a²) と (b, b²) と置くと、傾きは (b² − a²) ÷ (b − a) です。分子を (b − a)(b + a) と因数分解し、2点が違う点なので b − a は0でなく、割ると傾きは a + b になります。a = 1、b = 3 で確かめると、2点は (1, 1) と (3, 9) で、傾きは 8 ÷ 2 = 4、x 座標の和も 1 + 3 = 4 です。使ったのは、中学で習った変化の割合と、因数分解だけでした。さらに b を a に近づけると傾きは 2a に近づき、数学Ⅱの微分で出す接線の傾きと一致します。解いた後に振り返って別の単元とつなぐこの一歩が、方針の数学の段が求める、得られた結果を意味づけ、広げて考える過程に当たります。
五つ目は、過去問で測って戻ることです。令和7年度と令和8年度の本試験を時間を計って解き、前の節のやり方で崩れ始めの空欄と原因を数えます。原因が教科書の穴なら一つ目の手順へ、誘導の読み方なら二つ目と四つ目へ、初見の題材なら四つ目へ戻ります。70分の中で時間がどこで消えるかは、特集「共通テストの細かい疑問」の「共通テスト数学が70分で終わらないのは計算か、読む量か」が測り方を書いています。
いまの高2なら、高2の冬休みまでに習い終えた章で一つ目から三つ目、高3の春から四つ目、高3の夏から五つ目を回す、という組み方が無理なく進みます。いまの高3は、五つ目を先に回し、崩れ始めが教科書の穴だった章だけ一つ目へ戻ります。どちらも、一度に教科書を全部やり直そうとしないことが続けるこつです。
「教科書の問題で足りる」「定理の暗記で足りる」—三つの思い込み
一つ目の思い込みは、共通テストの数学は教科書レベルだから、教科書の問題で足りる、というものです。中身が教科書を基礎にするのは方針のとおりです。けれど、教科書の問題と同じ形で出すとは、方針には書かれていません。数学の段が重んじるのは、事象を数理的に捉え、見通しを立て、解いた後に振り返る過程で、問題の形はその過程に合わせて組まれます。範囲は同じでも形が違う。教科書の問題が解ける力は土台であって、それだけでは誘導の三つ目の空欄で止まることがあります。
二つ目は、教科書に無い定理が出るなら先に覚えておけばよい、つまり定理の暗記で足りる、という思い込みです。方針の文が題材にしているのは、定理を知っているかではなく、習った知識で導けるかでした。答えるのは導く途中の空欄なので、結果だけを知っていても途中は埋まりません。覚えた定理が、覚えた形のまま問題文に出てくるとも限りません。名前の付いた結果を集めるより、前の節の四つ目の手順で、導く道を自分で作る方が本番の形に近づきます。
三つ目は、初見の定理は毎年出る、という思い込みです。方針の文は「例えば」で始まる題材の例で、日常や社会の事象を扱う題材と並んでいました。出る年も出ない年もありうる、例の一つです。ここを読み違えると、初見の定理の練習ばかりに時間を使い、教科書の穴を残したまま本番を迎えます。練習の中心は、どちらの題材にも効く一つ目から四つ目の手順の方です。

図3は、三つの思い込みを方針の文に照らした結果を表にしたものです。どれも×ですが、×の理由はそれぞれ「形が違う」「導く途中を問う」「例の一つ」と別の所にあります。
確かめる先と聞き方
教科書と共通テストの数学の距離を自分の手で測るときに開く文書と、学校で聞いておく項目を、読む順に並べます。
- 問題作成方針の第4の4「数学」(いまの高2は令和10年度、いまの高3は令和9年度の版): 「例えば」で始まる題材の一文と、その前の、問題発見・解決の過程を書いた段落を続けて読む。
- 同じ方針の第2の1: 教科書を基礎にするという文と、「なお」で始まる教科書等に無い資料等の文を、並べて読む。
- センターの過去3年分の試験問題の頁: 令和7年度と令和8年度の本試験の数学の問題冊子と正解。空欄ごとの○×を付ける元にする。
- 試作問題「数学」の概要: 新しく作られた問題と、令和3年度本試験と共通の問題を分けた表。新しい問題がどの場面を使ったかを読む。
- 学校の数学の先生: 「教科書のこの章の発展の欄は、授業で扱いますか」「数学Bと数学Cのどの章を、いつ習いますか」と聞く。
- 志望校の募集要項: 数学①と数学②のどちらを、どの科目で求めているか。教科・科目の欄で読む。
個別指導で確かめること
塾では、時間を計って解いた過去問の答案を空欄ごとの○×で並べ、崩れ始めの空欄が教科書の穴・誘導の読み方・初見の題材のどれに当たるかを、生徒と一緒に決めます。マークの跡や、余白に残った計算の並び方も、原因を決める手がかりとして一緒に見ます。そのうえで戻る先の例題を一つ選び、生徒が自分の言葉で説明できるかを、その場で聞いて確かめます。
まとめ
教科書だけで足りるかという問いは、教科書をどこまで使い切ったかという問いに置き換えると、他人の目安ではなく自分の答案から答えが出ます。初めて見る定理の前で動く手は、教科書の証明を白い紙の上で組み立て直した回数の分だけ確かになり、その一回目は今夜の例題一つから始められます。
もう「日東駒専」を目標にしないでください。
武蔵境駅徒歩30秒、講師1人に生徒1人の完全1対1。授業のあいだ、先生は隣を離れません。いまの詰まりを、無料相談でそのまま話してください。
まず15分だけ電話で話したい方は、無料電話相談(15分)から。塾からお電話を差し上げます。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




