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【物理】万有引力を図解で総まとめ—ケプラーの法則・万有引力の法則・人工衛星・位置エネルギー|武蔵野個別指導塾

地表からの高さと地球の中心からの距離を区別し、人工衛星の速さ、周期、脱出速度を例題で求めます。力の向きと位置エネルギーの図を読みながら、衛星が落下し続けて地球を回る理由を確かめましょう。
よくあるのは、朝のホームルーム前の教室で人工衛星の問題を見直し、「宇宙では重力がないはずなのに、なぜ万有引力を向心力にするのだろう」と手が止まる場面です。公式欄には万有引力、円運動、エネルギーの式が並んでいても、それぞれが同じ衛星の何を表しているのかが結びつかないと、代入する式を選べません。
人工衛星は、地球に引かれながら運動しています。地球に近づく向きへ進行方向が曲がり続けるため、条件が合えば地表に衝突せず周回できます。「落ちる」と「回る」を別々の現象に分けないことが、この単元の入口です。力の向きから運動を考え、距離によって力が変わることからエネルギーを考えると、第一宇宙速度と脱出速度の違いも説明できます。
まず物体間の距離を正しく描き、次に円運動の条件を立て、最後に無限遠を基準とする位置エネルギーを扱います。惑星の動きに見られるケプラーの法則も、この流れに結びつけて整理していきましょう。
この単元で身につけること
- 万有引力の法則を、質量と距離の関係として読めるようにします。距離が2倍なら力は4分の1になることを、式と図の両方から確かめます。
- ケプラーの3法則を区別します。軌道の形、同じ時間に掃く面積、周期と軌道の大きさという、異なる観点を表す法則です。
- 万有引力と重力を結びつけます。地表付近の重力加速度が、地球の質量と半径から決まる理由を理解します。
- 人工衛星の速さと周期を求めます。向心力という別の力を追加せず、実際に働く万有引力を円運動の運動方程式に入れます。
- 位置エネルギーの基準と符号を説明します。地表付近の mgh と、無限遠を基準とする −GMm/r の使い分けから、脱出速度までつなげます。
物理基礎で学んだ運動方程式と力学的エネルギー保存、物理で学ぶ等速円運動が土台です。新しい公式を別の箱にしまうのではなく、以前使った法則の「力」の部分を万有引力に置き換えて考えます。
基本の考え方
万有引力の距離は中心から測ります
万有引力は、質量をもつ物体どうしに働く引力です。質量 M と m の2つの質点が距離 r だけ離れているとき、力の大きさ F は次の式で表されます。質点とは、大きさや形を無視して質量が1点に集まったものとして扱う物体です。
F = GMm/r²
G は万有引力定数で、物体の種類によらない共通の定数です。以下では教科書で使う近似値 G = 6.67×10⁻¹¹ N·m²/kg²、地表の重力加速度 g = 9.8 m/s² を用います。地球の半径は問題用の値として R = 6.40×10⁶ m とし、計算の答えは有効数字3桁で示します。g は指定された近似値のまま計算し、途中で桁を丸めません。G と g は名前が似ていますが、G は引力の法則に現れる定数、g はある場所での加速度です。
万有引力の式は、ここでは基本法則として用います。右辺を読むと、片方の質量が2倍になれば力も2倍、両方が2倍なら力は4倍です。一方、距離は分母で2乗されているので、距離が2倍なら力は4分の1です。この距離による変化を逆2乗の関係と呼びます。
地球を球対称な質量分布をもつ球とみなすと、外部の物体に及ぼす万有引力は、地球の質量が中心に集まっている場合と同じに扱えます。したがって地表からの高さが h の衛星について、式に入れる距離は r = R + h です。図1のように、半径 R と高さ h を続けて描くと、どこからどこまでを測っているかがはっきりします。

図1の2本の赤い矢印は、地球が衛星を引く力と、衛星が地球を引く力です。大きさは同じで向きは反対ですが、別々の物体に働くため、衛星の上で打ち消し合いません。衛星の加速度は F/m、地球の加速度は F/M なので、質量が大きく違えば加速度は大きく違います。通常の衛星の問題では M が m より十分大きいため、地球の中心をほぼ静止しているものとして計算します。
地球の自転による影響を無視すると、地表で物体に働く重力 mg は万有引力 GMm/R² と等しくなります。両辺の m を消せば、g = GM/R²、したがって GM = gR² です。重力加速度に落とす物体の質量が残らないことも、この式から説明できます。厳密には地球上でいう重力には自転の影響が含まれますが、この単元の数値例では自転を無視するモデルを一貫して使います。
高さ h での重力加速度を gₕ とすれば、同様に gₕ = GM/(R + h)² です。地表での式と割り算すると gₕ/g = R²/(R + h)² となり、地球の質量を知らなくても高さによる変化が求められます。宇宙空間に出た瞬間に重力が消えるわけではなく、中心から遠ざかるにつれて連続的に弱くなります。
ケプラーの3法則を別々の問いに結びつけます
ケプラーの第1法則は、惑星が太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描くという法則です。楕円とは、2つの定点からの距離の和が一定になる点の集まりで、その定点を焦点と呼びます。太陽は一般に楕円の中心にはありません。楕円の最も長い直径の半分が半長軸 a です。円は楕円の特別な場合で、この場合には焦点が中心に重なり、a は円の半径になります。
第2法則は面積速度一定の法則です。太陽と惑星を結ぶ線分が同じ時間に掃く面積は、軌道のどこでも等しくなります。面積速度とは単位時間に掃く面積のことです。太陽に近い所では線分が短いので、同じ面積を掃くために惑星は速く動き、遠い所では遅く動きます。「同じ時間に進む距離が等しい」と置き換えると、楕円軌道の速さの変化を失ってしまいます。
ごく短い時間に掃く面積は、太陽からの距離を底辺、移動距離のうち線分に垂直な成分を高さとする三角形の面積として考えられます。そのため面積速度は、距離 r と速度の垂直成分の積の半分です。太陽に最も近い近日点と最も遠い遠日点では、速度が太陽へ向かう線分と垂直なので、距離と速さの積が等しくなります。この関係は両端の速さを比べる際に使えますが、軌道の任意の位置で速さそのものと r の積が一定、としてはいけません。
第3法則は、同じ中心天体を回る惑星について、公転周期 T の2乗が半長軸 a の3乗に比例するという法則です。式では T²/a³ = 一定と書きます。周期とは、同じ運動を1回繰り返す時間、ここでは1周にかかる時間です。遠い軌道ほど1周する道のりが長く、動きも遅くなるため、周期は長くなります。
3法則は惑星の運動を表す法則として学びますが、万有引力と運動の法則によって説明できます。中心天体の質量が周回する物体より十分大きく、ほかの天体の影響を無視できる場合には、地球を回る衛星にも対応する関係が使えます。ただし、地球を回る衛星と太陽を回る惑星で T²/a³ の値が同じになるわけではありません。中心天体の質量という条件が変わるからです。
円軌道と脱出では、必要な条件が違います
半径 r の円軌道を速さ v で回る物体には、中心向きに v²/r の加速度が必要です。万有引力だけが働くとき、運動方程式は mv²/r = GMm/r² となります。m を消して整理すれば、v = √(GM/r) です。円周 2πr を速さで割ると、周期は T = 2π√(r³/GM) となり、T²/r³ = 4π²/(GM) が得られます。円軌道の場合には、このように第3法則を円運動の式から導けます。楕円軌道では r の代わりに半長軸 a を使う関係が成り立ちます。
地表すれすれの円軌道に必要な速さを第一宇宙速度といいます。大気や地形を無視した理想的な条件で、r = R を代入すると v₁ = √(GM/R) = √(gR) です。地球を回るための速さであって、地球からどこまでも離れるための速さではありません。円軌道の速さの公式は、その位置で円運動をしているときの条件です。同じ位置を通る物体すべてがこの速さになるわけではありません。
地球から無限に遠い場所を位置エネルギーの基準にすると、万有引力による位置エネルギーは U = −GMm/r です。地球から遠ざかる運動では引力と移動の向きが反対なので、万有引力は負の仕事をします。その分だけ位置エネルギーは増えます。距離が大きくなるほど負の値が0に近づくこの式は、その関係を表しています。
式の形は、力が距離によって弱くなることから説明できます。r₁ から r₂ まで外向きに動かすとき、各区間の「力の大きさ×移動距離」を細かく足した量が、ゆっくり持ち上げるための仕事です。逆2乗の力についてこの和を求めると、GMm(1/r₁ − 1/r₂) になります。高校物理ではこの仕事の結果を使い、r₂ を無限に大きくしたときの位置エネルギーを0と決めて、U = −GMm/r を得ます。一定の力として全区間を掛け算する方法では、この結果を出せません。
地表から出発し、追加の推進力なしで無限遠まで達するために必要な最小の初速を脱出速度、または第二宇宙速度といいます。空気抵抗、自転、ほかの天体の影響を無視し、無限遠で速さが0に近づく境目を考えると、出発時の運動エネルギーと位置エネルギーの和は0です。したがって、mv₂²/2 − GMm/R = 0 より、v₂ = √(2GM/R) = √(2gR) です。同じ出発半径なら、脱出速度は円軌道の速さの √2 倍になります。
例題で解き方を確かめる
例題1 高さと中心からの距離を区別する
地表からの高さが地球の半径 R と等しい位置に、質量 2.00×10² kg の物体があります。そこに働く万有引力の大きさを求めましょう。自転を無視し、地表での重力加速度を 9.8 m/s² とします。
- 地球の中心からの距離を求めます。高さは h = R なので、r = R + h = 2R です。逆2乗の式が使う距離は、この r です。
- 地表との力の比を求めます。質量は同じなので、F/(mg) = R²/(2R)² = 1/4 です。G と地球の質量を個別に代入しなくても、共通部分を消して求められます。
- F = 2.00×10²×9.8/4 = 4.90×10² N と計算します。向きも力の情報なので、地球の中心向きであることを添えます。
答え:万有引力は地球の中心向きに 4.90×10² N です。
地表からの高さが R だから分母を R² にする、という処理では地表と同じ力になってしまいます。式を書く前に距離を足す1行が、計算全体を決めます。また、力が地表の4分の1でも0ではないので、この高さにいるだけで力が消えるとは考えません。
例題2 円軌道の速さと周期を求める
地球の中心からの距離が r = 2R の円軌道を回る人工衛星について、速さと周期を求めましょう。あわせて第一宇宙速度を求め、2つの速さを比べます。R = 6.40×10⁶ m、g = 9.8 m/s² とし、衛星には万有引力だけが働くものとします。
図2のように、円軌道上では速度は接線方向、万有引力は中心方向です。矢印の方向を先に決めると、力と速度が同じ方向でなくても運動できることが見えてきます。図の矢印は方向を示すもので、異なる単位をもつ力と速度の大きさを比較する縮尺ではありません。

- 中心向きを正として運動方程式を立てます。mv²/r = GMm/r² と書くのは、円運動に必要な加速度を万有引力が生じさせるからです。両辺をつり合う2つの力と読むのではありません。
- v = √(GM/r) に GM = gR² と r = 2R を入れます。v = √(gR/2) = 5.60×10³ m/s となります。m が消えるので、同じ半径の円軌道なら衛星の質量によって速さは変わりません。
- 周期を T = 2πr/v で求めます。r = 1.28×10⁷ m として計算すると、T = 1.44×10⁴ s、時間に直すと 3.99 h です。距離を m、速さを m/s にそろえれば、割り算の結果は s になります。
- 地表すれすれでは r = R とします。v₁ = √(gR) = 7.92×10³ m/s です。今回の衛星の速さは v₁/√2 で、遠い円軌道のほうが遅いことも確かめられます。
答え:衛星の速さは 5.60×10³ m/s、周期は 1.44×10⁴ s(3.99 h)、第一宇宙速度は 7.92×10³ m/s です。
図2では地球の半径と軌道半径を 1:2 に描いています。軌道の半径が2倍になると、速さは1/√2倍になり、周期は2√2倍になります。半径が2倍だから周期も2倍、と円周だけで判断せず、速さも変わることを式に反映させましょう。
例題3 楕円軌道にケプラーの法則を使う
同じ恒星を回る惑星A、Bがあり、Bの半長軸はAの半長軸の4倍です。Aの周期を 1.00年としたとき、Bの周期を求めましょう。また、Bの近日点距離を d、遠日点距離を 3d、近日点での速さを 3.00×10⁴ m/s として、遠日点での速さを求めます。惑星の質量は恒星に比べて十分小さいものとします。
- 周期には第3法則を選びます。Tᴀ²/aᴀ³ = Tʙ²/aʙ³ より、(Tʙ/Tᴀ)² = 4³ = 64 です。同じ恒星を回るため比例定数を消せます。
- 周期は正なので、Tʙ/Tᴀ = √64 = 8 です。したがって Tʙ = 8.00年です。比だけを使うので、年を s に換算する必要はありません。
- 両端の速さには第2法則を使います。近日点と遠日点では速度が動径に垂直なので、d×3.00×10⁴ = 3d×v と置けます。距離 d を消すと v = 1.00×10⁴ m/s です。
答え:Bの周期は 8.00年、遠日点での速さは 1.00×10⁴ m/s です。
同じ問題で2つの法則を使いましたが、周期を決めるのは軌道全体の大きさ、両端の速さの比を決めるのは同じ時間に掃く面積です。楕円の半長軸は近日点距離と遠日点距離の和の半分なので、Bでは aʙ = 2d になります。この半長軸と、その瞬間の中心天体からの距離を混同しないことが大切です。
例題4 位置エネルギーの変化と脱出速度
質量 1.00×10³ kg の物体を地表から高さ R まで移したとき、万有引力による位置エネルギーはいくら増えるでしょうか。また、地表での脱出速度を求めましょう。R = 6.40×10⁶ m、g = 9.8 m/s² とし、大気や自転、ほかの天体の影響は無視します。
- 出発点と到着点の中心からの距離を書きます。それぞれ R と 2R です。位置エネルギーの変化は到着後から出発前を引くので、ΔU = −GMm/(2R) − (−GMm/R) = GMm/(2R) です。
- GM = gR² を使い、ΔU = mgR/2 = 3.14×10¹⁰ J と求めます。地球から遠ざけるので位置エネルギーは増え、変化は正です。最初と最後の速さがともに0なら、抵抗なしで外からする仕事もこの値です。
- 脱出の境目では無限遠での運動エネルギーも位置エネルギーも0に近づきます。地表で mv₂²/2 − GMm/R = 0 と書き、v₂ = √(2gR) を得ます。求めるのは地球の引力に逆らって到達できる最小の出発速度です。
- 数値を代入すると v₂ = 1.12×10⁴ m/s です。例題2の第一宇宙速度の √2 倍になり、地球を周回する場合より大きな速さが必要なことを確認できます。
答え:位置エネルギーの増加は 3.14×10¹⁰ J、地表での脱出速度は 1.12×10⁴ m/s です。
途中でエンジンを使い続ける飛行は、この「初速だけで脱出する」という条件とは別です。また、高さ R まで移す計算で地表の g を一定として mgh を使うと、重力の弱まりを無視した仕事になってしまいます。次の節で、その差を図から確かめます。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 向心力を万有引力に追加する
誤った書き方は「中心向きに万有引力 GMm/r² と向心力 mv²/r の2つが働く」です。向心力は円運動の中心に向く合力の呼び名であり、新たな相互作用の名前ではありません。この問題では万有引力そのものが向心力の役割を果たしているので、足すと同じ力を二重に数えます。
正しい書き方は「衛星に働く万有引力 GMm/r² を、質量×向心加速度 mv²/r に等しいと置く」です。地球の中心をほぼ静止とみなす座標系では、外向きの力を描いてつり合わせる必要はありません。衛星に対する力の図と運動方程式を対応させ、左辺が加速度を含む量だと読めるかを確認しましょう。
衛星内で物体が浮いて見えることも、力が0である証拠にはなりません。衛星も中の物体も地球に向かって一緒に落下しているため、床が物体を支える力がほとんど要らなくなります。重力が働くことと、体重計が重さを示すことを分けて考えると、導入の疑問に答えられます。
誤り2 負の位置エネルギーは使えないと思う
誤った書き方は「エネルギーは正だから U = GMm/r」です。位置エネルギーは基準を選んで決まる量であり、負の値もとります。無限遠を0とした場合、有限の距離にある物体を無限遠までゆっくり運ぶには正の仕事が必要なので、出発点の位置エネルギーは0より小さくなります。
正しい書き方は「U = −GMm/r、離れると U は増えて0へ近づく」です。図3では横軸を r/R、縦軸を U/(GMm/R) として、異なる質量でも同じ形で読めるようにしています。縦軸の −1 と −1/2 はエネルギーの比で、J 単位の値そのものではありません。

図3の r/R = 1 では縦軸は −1、r/R = 2 では −1/2 です。上へ動いているので位置エネルギーは増加しています。運動エネルギーは0以上ですが、力学的エネルギー E = mv²/2 + U は負にもなります。円軌道の条件 v² = GM/r を入れると、E = −GMm/(2r) となります。負の全エネルギーでは、U が0となる無限遠まで行ったときに運動エネルギーを0以上に保てないため、追加のエネルギーなしでは脱出できません。
誤り3 高さが大きくても mgh を使う
誤った書き方は「高さ R まで持ち上げると ΔU = mgR」です。mgh は g がほぼ一定とみなせる範囲での位置エネルギーの差を表します。高さが地球の半径と同程度なら、万有引力は途中で大きく変わるので、この近似は適しません。
正しい書き方は、ΔU = GMm(1/R − 1/(R + h)) = mgRh/(R + h) です。h が R に比べて十分小さければ、R/(R + h) はほぼ1になり、ΔU ≈ mgh を得ます。新しい公式が古い公式を否定したのではなく、古い公式が地表付近で成り立つ近似だと位置づけられます。図3の曲線は地表近くの狭い範囲ならほぼ直線として見られますが、広い範囲まで同じ傾きの直線を延ばすことはできません。
なお、衛星を別の円軌道へ移すために必要なエネルギーを問われたら、位置エネルギーの差だけで終えないようにします。円軌道の半径が変われば速さも変わり、運動エネルギーも変わるからです。例題4のように位置エネルギーだけを問う問題と、運動を含めた全エネルギーを問う問題では、差を取る対象が違います。
練習問題
計算の前に、距離が地表からか中心からか、軌道が円か楕円か、エネルギーの基準がどこかを確認しましょう。数値を求める問題では R = 6.40×10⁶ m、g = 9.8 m/s² を使い、自転や空気抵抗、ほかの天体の影響を無視します。比で指定した整数は正確な比として扱います。
練習1
地表からの高さが 2R の位置にある、質量 9.00×10¹ kg の物体に働く万有引力を求めてください。地表での力の何倍かも答えましょう。
練習2
地球の中心からの距離が 4R の円軌道を回る衛星の速さと周期を求めてください。地表すれすれの円軌道に比べ、速さと周期が何倍になるかも説明しましょう。
練習3
同じ恒星を回る惑星C、Dについて、Dの半長軸はCの9倍、Cの周期は 2.00年です。Dの周期を求めてください。また、ある惑星の遠日点距離が近日点距離の2倍なら、遠日点の速さは近日点の速さの何倍ですか。
練習4
質量 5.00×10² kg の物体が、地球の中心から 2R の位置にあります。無限遠を基準にした位置エネルギーと、この位置からの脱出速度を求めてください。出発後に推進力は加えず、外向きに出発するものとします。
答えと解説
練習1の答えは、地球の中心向きに 98.0 N、地表での力の 1/9 です。中心からの距離は R + 2R = 3R なので、F = mg/9 となります。高さだけを2乗して 1/4 とした場合は、式に入れる距離を直しましょう。
練習2の答えは、速さ 3.96×10³ m/s、周期 4.06×10⁴ s です。v = √(GM/(4R)) = √(gR)/2 なので、速さは第一宇宙速度の 1/2 です。円周が4倍で速さが1/2倍なので、周期は8倍になります。T² が半径の3乗に比例することから、√(4³) = 8 と確かめても同じです。
練習3の答えは、Dの周期が 54.0年、遠日点での速さが近日点の 1/2 です。周期の比は √(9³) = 27 なので 2.00×27 = 54.0 と求めます。両端では距離と速さの積が等しいため、距離が2倍なら速さは半分です。第3法則の半長軸の比と、第2法則の両端の距離の比は別々に使います。
練習4の答えは、位置エネルギーが −1.57×10¹⁰ J、脱出速度が 7.92×10³ m/s です。U = −GMm/(2R) = −mgR/2、脱出速度は √(2GM/(2R)) = √(gR) と求めます。この値が地表での第一宇宙速度と等しいのは計算上の関係であり、同じ運動を意味しません。出発位置も、円運動か脱出かという条件も異なります。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
距離の2乗に反比例する力は、電場を学ぶときにも現れます。万有引力で「力の大きさ」「力がする仕事」「位置エネルギーの変化」を分けられると、電気の力とエネルギーも整理しやすくなります。ただし万有引力は引力だけであるのに対し、電荷の間には斥力もあるため、符号をそのまま移すことはできません。
家庭での5分の確認を2つ挙げます。1つ目は、紙に地球を円で描き、高さ R の点まで中心から線を引くことです。R、h、r の3つを書き込み、力が地表の何倍になるかを口で説明します。2つ目は、U = −GMm/r の r を R、2R、4R に替え、負の数の大小を数直線に並べることです。遠ざかると位置エネルギーが増えることを、数の順序として確かめられます。
個別指導で解き直すときは、公式の暗記を確認する前に、円運動の加速度の向きと「後のエネルギーから前のエネルギーを引く」という差の取り方まで戻ります。お子さまの説明を聞く場合も、式の名前より「その距離はどこから測ったのか」を確かめると、止まっている箇所が見つかります。
まとめ
衛星の速さを求める式は、円軌道という条件を含んでいます。脱出速度の式には、追加の推進力を使わず無限遠へ達するという条件があります。式を選ぶ前にその条件を言葉にできれば、似た平方根の式を取り違える理由が減っていきます。
計算結果の前には、物体の位置と力の向きを描いた1枚の図があります。答えだけが合った場合でも、その図の距離が高さなのか中心間距離なのかを確かめれば、理解の確かさを判断できます。万有引力の答案の出発点は、分母の r を地球の中心から引けることです。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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