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文章題は「型」で読む—スキーマ指導の根拠|武蔵野個別指導塾
数字を拾って式にしてしまうときは、量どうしの関係を言葉と図で整理するところから始めましょう。合計・差・単位量の例から、式の各数字が何を表すかをたどり、文章題の読み方を整理できます。

文章題は「型」で読む—スキーマ指導の根拠
数字は読めるのに、式の手前で止まるとき
よくあるのは、朝のホームルーム前に鞄から宿題を取り出し、「計算だけならできたのに」と文章題の空欄を見つめる場面です。問題文には線がたくさん引いてあります。数字も丸で囲んであります。それでも、その数字を足すのか引くのか、自分で決めるところで手が止まります。
保護者の方には、短い文章なのだから、もう一度読めばわかりそうに見えるかもしれません。けれども、お子さまが困っているのは、文字を読むこととは限りません。「何と何が、どのようにつながっているか」を、式に移せる形にするところで迷っていることがあります。ここが曖昧なまま計算練習だけを増やしても、立式の迷いは残ります。
文章題を「型」で読むとは、問題の見た目を丸暗記することではありません。合計と部分、比べる2つの量と差など、数の間にある関係を取り出すことです。その関係のまとまりを、学習の研究ではスキーマと呼びます。まずは短い問題で、何を数えているのかを言い、関係を図にし、それから式へ進む道筋をつくっていきましょう。

「型」が助けるのは、計算より前の整理です
文章題には、場面を思い浮かべる、数量を見つける、問いをつかむ、数量どうしを結びつける、計算するという仕事が重なっています。たとえば、切手の枚数の問題を読んでいても、登場人物、もらった相手、前後の枚数をばらばらに覚えているだけでは式になりません。計算に入る前に、「はじめの枚数に、増えた枚数を足すと、あとの枚数になる」とつなぐ必要があります。
ここで「もらったから足す」「多いから足す」という言葉の目印だけに頼ると、尋ねられる量が変わったときに困ります。「何枚か持っていて、5枚もらったら12枚になった。はじめは何枚か」では、場面は増加でも、答えを求める計算は12 – 5です。先に関係を表せば、はじめの枚数をxとしてx + 5 = 12と書けます。計算を決める材料は、単語だけでなく、何がわかっていて何が未知なのかです。
スキーマ指導では、こうした関係を言葉や図で明確に扱います。米国の3年生111名を対象とした16週の研究では、文章題の型を教えることで、成績と方略が向上しました(Powellほか・2020)。また、算数が苦手な小学生への文章題指導をまとめた52研究のメタ分析では、大きな効果が報告されています(Myersほか・2022)。文章題指導全般を集めた後者をスキーマ指導だけの評価と読み替えることも、小学生を扱う両者から日本の中学生の伸びを予測することも避け、立式前の整理を教える手がかりとして読みます。こうした指導研究の多くは海外の小中学生を対象にしています。
中学生の練習では、量を読み取った後に何を書けたかを観察します。題材が買い物から距離へ変わっても、共通する関係を見つけられるか。逆に、同じ買い物の問題でも、合計を尋ねる場合と、値段の差を尋ねる場合を区別できるか。指導の焦点は、型の名前を答えることより、その関係を使えることにあります。
初めに区別したいのは、全体と部分の関係、2つの量を比べる関係、時間とともに量が変わる関係です。全体と部分なら「部分 + 部分 = 全体」、比較なら「小さい量 + 差 = 大きい量」、増加なら「はじめの量 + 増えた量 = あとの量」と表せます。どれも足し算の形を含みますが、数字が受け持つ役割は異なります。同じ式の形になることと、同じ場面であることを分けて考えると、図の意味がはっきりします。
さらに、代金や道のりでは、「1つ分 × いくつ分 = 全体の量」という関係も扱います。速さと時間と道のりも、単位をそろえて考えることでつながります。ただし、長い問題を最初から1つの型に押し込む必要はありません。合計と差の両方を使う場合もあります。短い関係をつかみ、それらをつないで条件を満たす式にすることが、複雑な文章題への足場になります。
今日の1問を、関係から式にする手順
練習には、手元の教科書や学校のワークから、文章が短く、解答を確かめられる問題を選んでください。最初から未習の計算を含む問題にすると、関係の読み取りと計算の難しさが重なります。すでに習った計算で処理できる問題を使い、今日は立式まで、次は検算までというように、扱う範囲を決めます。以下の時間は、家庭で区切りをつけるための練習案です。
最初の3分は、計算せずに読む時間にします。1回目は場面だけを読み、2回目に問いを囲みます。「何を求めるのか」を、量の名前と単位を含めて書いてください。枚数なら「はじめに持っていた切手の枚数」、金額なら「ノート1冊の値段」と書きます。「xを求める」だけでは、xが何を指すか抜けてしまいます。文字を置く前に、答えになる量を言えることを確かめます。
次の4分は、わかっている量と、量どうしの関係を整理する時間です。数字を抜き出す際は、「12」ではなく「あとの枚数12枚」のように役割を添えます。その下に、計算記号をまだ使わず、「はじめに持っていた分と、もらった分を合わせたのが、いまの枚数」と1文で書きます。文が長くなるなら、「はじめ」「増加」「あと」という短い言葉を紙の別の場所に置いて結びます。
図を描くときも、きれいさは求めません。増加の問題なら、左に「はじめ」、右に「あと」を書き、その間を矢印でつないで、矢印の上に「5枚増えた」と添えます。全体と部分なら、横長の帯を途中で区切り、それぞれに量の名前を書きます。比較なら、左端をそろえた2本の帯を描き、長い帯のはみ出た部分に差を書きます。図を見た自分が、どの数字の役割も言える状態を目指します。
続く5分で、関係の文を式にし、解いて確かめます。先ほどの切手の問題なら、xをはじめの枚数と決め、x + 5 = 12です。x = 7を得たら、「7枚持っていて5枚もらうと12枚」と問題の場面に戻します。式を解けた時点で終えず、答えの数字を問題文の未知の場所へ入れて読み直してください。これなら、答えだけを見比べるよりも、何を確かめているかが明確になります。
比較の練習には、「赤いリボンは青いリボンより8cm長く、赤いリボンは23cmです。青いリボンは何cmですか」を使えます。「長い」という言葉を見て23 + 8とする前に、どちらが長いかを決めます。青をxcmとすると、青の長さに8cmを足したものが赤なので、x + 8 = 23です。x = 15なら、青の15cmは赤の23cmより短く、差も8cmになります。この2点を自分で確認します。
ここで23 – x = 8と立式しても、関係に合っています。解答と式の並びが違うだけで、自分の式を消す必要はありません。「赤から青を引くと差になる」と説明でき、元の条件を満たすなら、その表し方を残します。型は式を1種類に固定するためのものではなく、どの式にも数量の意味を持たせるために使います。言葉と式を対応させることが、自分の立式を守る基準になります。
中学生の方程式へつなげる例では、「ノート3冊と80円のペン1本で合計440円。ノート1冊の値段を求める」と考えます。ノート1冊をx円とすると、ノート代は3x円です。その代金とペン代を合わせるので、3x + 80 = 440となります。x = 120なら、ノート代は360円、ペンと合わせて440円です。3という冊数と80という金額をそのまま足せないことも、量の名前を添えると確かめられます。
この問題は、「1冊の値段と冊数からノート代をつくる関係」と「ノート代とペン代を合わせる関係」をつないでいます。1つの型名を探して止まったら、文を区切って、まず求められるまとまりを囲んでください。ノート代の部分だけを別に書き、そのまとまりを合計の式へ戻します。長い文を一度に式へ移すのが難しいときは、途中に小さな量のまとまりを置くと、どこで迷ったかも見つけやすくなります。
合計と差が一緒に出る場合も、関係を分けて扱えます。「2本のリボンの長さの合計は40cmで、赤は青より8cm長い」という問題なら、青をxcm、赤を(x + 8)cmと表します。そのうえで合計の条件を使い、x + (x + 8) = 40とします。青が16cm、赤が24cmなら、合計は40cm、差は8cmです。片方の条件だけでなく、両方を満たすか確かめるところまでが、この問題の確認です。
ここでは、図も2つの条件を受け持ちます。左端をそろえた2本の帯に差の8cmを書き、2本を合わせると40cmになることを脇に添えます。もしx + 8 = 40と書いてしまったら、40cmの印が赤1本を指していないか見直します。「40は何の長さか」と問い直せば、計算を繰り返す前に直す場所が見えます。正しい図を暗記するより、式の各部分が図のどこにあるかを指すことを優先してください。
また、文中の数をすべて式に使うとは限りません。「3人で店に行き、1冊120円のノートを合計5冊買った。代金はいくらか」なら、全体の代金は120 × 5です。3人という情報は、この問いの計算には使いません。ただ線を消すのではなく、「人数ではなく買った冊数で代金が決まる」と理由を添えます。問いが1人当たりの負担額へ変われば、人数を使う可能性があります。数字の必要性は、何を尋ねられているかと一緒に判断します。
教材は、同じページを繰り返し眺めるだけでなく、使い方を変えます。まず、解答の計算部分を隠して、問題と関係図だけから立式します。次に、前日に解いた問題の数字を紙で隠し、量どうしの関係だけを言います。さらに、解いた問題を2問並べ、「同じ関係か、違う関係か」を理由つきで分けます。お話が似ているから同じとせず、全体・部分・差などの役割に注目してください。
自分での確認は、少なくとも3方向から行えます。1つ目は、式の各数字を指し、何の量か言えるか。2つ目は、求めた答えを元の条件へ戻すと合うか。3つ目は、答えの大きさと単位が場面に合うかです。小さいほうの長さを尋ねたのに、大きいほうより長くなっていれば立ち止まれます。ただし、大小が自然でも正答とは限らないため、条件へ戻す確認まで行います。
翌日は2分ほど、前日の問題を答えを見ずに読み、関係の文だけを書いてみます。式まで進めなくても、「青い長さに差を足すと赤になる」と残せれば、次に確かめる場所が定まります。反対に、答えの数字だけ覚えていたら、似た関係で尋ねる量の違う問題へ移ります。終えるときは、「図で長いほうを逆にした」「1冊分と3冊分を分けられた」のように、次回の自分に役立つ一言を添えてください。

個別指導では、どのつなぎ目で止まるかを見る
塾で最初に見るのは、正答の数だけではありません。問いを捉えるところ、量を整理するところ、関係を図にするところ、式にするところ、計算するところを分けて見ます。同じ空欄でも、文章の意味が取れなかったのか、図までは描けたが文字の置き方に迷ったのかで、必要な支えが違います。講師が先回りして式を教えると、その違いが見えなくなるため、まずお子さまが残した言葉や線を確かめます。
「全部わからない」と話す場合には、問いだけを指してもらいます。求めるものが言えたら、そこを出発点にできます。「何を比べているのか」「長いのはどちらか」と問いを小さくし、どの問いには答えられたかを残します。一方、数字の意味を尋ねるたびに読む場所を見失うなら、文章を短く区切り、量の名前と数字を近くに置くところから始めます。読めている部分までやり直す必要はありません。
教える側が持つべき仕事の1つは、問題を並べる順序です。同じ関係で題材だけが違う組、題材は同じで関係が違う組、関係は同じで未知の量が違う組を用意します。たとえば、増えたあとの枚数を求める問題を解けたら、はじめの枚数を尋ねる問題を扱います。並べた意図を講師が持っていれば、偶然答えが合ったのか、関係を捉えたのかを確かめる問いが具体的になります。
支えを減らす順序も塾で調整します。初めは講師が関係の文と図を示し、次は量の名前だけを示してお子さまが数字を書き込みます。その次には、図の種類を自分で選んでもらいます。最後は白紙から整理します。すぐに白紙へ移して手が止まったら、量の名前だけがある状態へ戻せます。戻る先を決めておけば、行き詰まったときも同じ説明を長く繰り返さずに済みます。
間違いを直す際は、正しい式を横に書き写すだけにしません。たとえば、3冊分の代金をx円と置いたのに3x円にしていたら、「いまのxには何冊分が入っているか」を確認します。xの定義を1冊分に直す方法も、3冊分のまま式を直す方法もあります。どちらを選んだかを言葉で残し、文字の意味と式が一致する状態へ戻します。修正した場所が見えると、次に同じ迷いが出たときの点検にも使えます。
進み具合は、「問いの把握」「関係の説明」「立式」「条件への照合」の欄で残します。丸だけでなく、「自分で」「量の名前のヒント後」「図を一緒に描いた後」と、使った支えを短く添えます。正答数が同じでも、図を講師が描いた回と、自分で図を選べた回では進み方が異なります。逆に、計算が合っていても関係を説明できない場合は、式を覚えていた可能性を次の問題で確かめます。
授業の終わりには、その日と少しだけ条件を変えた短い問題を使って、支えがなくても関係を取り出せるかを見ます。直前と同じ数字なら答えを覚えていることがあるため、数字や尋ねる量を変え、立式の理由も聞きます。そこで止まったら、宿題を増やす前に、どの手がかりが足りなかったかを確かめます。自力で進める範囲がわかってから家庭の課題を決めると、家庭で初めて難しさに気づくことを減らせます。
お子さま自身にも、記録を読む役割があります。「今日は全部ヒントなし」を目指すだけでなく、「関係の文は自分で書き、式だけ質問した」と振り返ります。質問するときに、その文と途中の式を見せられれば、講師は必要な箇所から応じられます。何も書けなかった場合も、意味を確かめたい語を囲むところから始められます。助けを求める際に見せるものを決めておくと、迷いを抱えたまま時間だけが過ぎるのを防げます。
家庭へ伝える連絡も、点数や「頑張りました」だけで閉じません。「今日は差を表す場所を自分で指せた」「立式には小さい量を尋ねる声かけが必要だった」「次回は赤と青を入れ替えた問題で確かめる」のように、できたこと、残る支え、次の確認をセットにします。ノートのどの1行を見ればよいかも添えると、保護者の方がお子さまへ何度も説明を求めずに、練習の内容を把握できます。
家庭が持つのは、決めた短い練習に取りかかれる環境と、詰まった場所を塾へ返す役割です。たとえば「問いを囲むところまでは一人ででき、比較の図で止まった」と伝えていただければ、次の指導につながります。保護者の方が、その場で別の解法を教え切る必要はありません。ノートの余白に「ここで止まった」と印をつけ、その日の区切りにしてかまいません。
ただし、塾へ渡すことと、家庭での様子をすべて任せきりにすることは別です。練習時間になると問題文を開く前からつらそうなのか、計算に入ると落ち着くのか、といった様子は家庭で見えやすい情報です。原因を決めつけず、見えた行動として共有してください。塾はその情報と解答の跡を照らし合わせ、問題の長さ、図の支え、練習の区切りを調整します。
武蔵境で個別指導を検討する際にも、「文章題を何問解かせるか」とともに、「立式前のどこを見て、どの支えを減らすか」を確認すると、授業の中身が具体的になります。武蔵野個別指導塾への学習相談では、正解に直した答案だけでなく、途中で止まったノートも手がかりになります。消し跡のある式、途中の図、言い直した量の名前から、次に扱う課題を絞ることができます。
文章題の「型」をめぐる3つの疑問
Q1 型を教えると、考えずに当てはめるだけになりませんか
型の名前と公式だけを組にして覚えるなら、その心配があります。そこで、「この図のどこが差なのか」「問いが変わっても、同じ関係が残るか」を確かめます。合計の問題だと答えられても、どの量が部分なのか説明できなければ、図へ戻ります。名前をすぐ思い出せなくても、量どうしを正しく結べるなら練習は進められます。型は、考えた根拠を外に出すために使います。答えが出た後にも、違う式で同じ関係を表せるかを考えると、1つの書き方に縛られずに済みます。
Q2 読む力が弱いなら、数学より先に国語を練習すべきですか
文章の言い回しを理解しにくいのか、理解した数量を式にしにくいのかを分けて見てください。「赤は青より長い」を自分の言葉にできないときは、実際に長さを比べるなど、文の意味を確かめます。意味は言えるのに立式で止まるなら、長い量・短い量・差を図へ置く練習ができます。読む練習を終えるまで数学を止める必要はありません。数字を小さくしても関係の説明で止まるのか、短い文なら進めるのかを確かめると、必要な支えを選びやすくなります。
Q3 毎回、図を描くと時間が足りなくなりませんか
練習の初めは、図を描く時間も関係をつかむための時間に含めます。慣れてきたら、すべての数字を図に書く段階から、大小と差だけを簡単に示す段階へ移れます。図を省いても、立式の理由が言え、答えを条件へ戻せるなら、毎回同じ図を描く必要はありません。ただ、急いだときだけ大小を逆にするなら、その関係だけは残してください。速くする場所を一度に増やすより、どの印が誤りを防いでいたかを見ながら減らすほうが、自分の確認方法を保てます。
次の1問には、関係を表す1行を残す
文章題の空欄を埋める最初の一歩は、すぐに計算を始めることとは限りません。「小さい量に差を足すと大きい量になる」という1行が書ければ、数字と式の間につながりが生まれます。今日は手元の短い1問で、求める量を囲み、関係を言い、答えを元の条件へ戻すところまで試してください。
止まった場合も、問題全体に大きなバツをつけず、どこまでは自分で進めたかを残します。その跡があれば、家庭は同じ説明を繰り返す負担を減らせますし、塾は次に示す支えを選べます。立式の前のたどたどしい1行にも、「差を合計と読んでいた」という発見が含まれます。文章の量と式の数字が結びつけば、空欄だった場所へ自分の根拠を書き込めます。
参考文献
- Powellほか(2020)Journal of Mathematical Behavior。米国の3年生111名を対象とした16週のスキーマ指導研究。 https://consensus.app/papers/details/09d17431e9f15d2ea66e39e15c34ca4b/
- Myersほか(2022)Review of Educational Research。算数が苦手な小学生への文章題指導に関する52研究のメタ分析。 https://consensus.app/papers/details/17cc8812fd1b535eafd37993ff49cec7/
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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