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解答例の使い方は習熟度で変える—完全な例と穴あきの例|武蔵野個別指導塾
解答を閉じると止まってしまう問題も、一行だけを隠すことから練習を始められます。方程式の完全な例と穴あきの例を比べ、見せる情報と任せる操作を本人の理解に合わせて調整する練習法です。

解答例の使い方は習熟度で変える—完全な例と穴あきの例
解答を閉じると鉛筆が止まる理由を探す
よくあるのは、コンビニのイートインで迎えを待つ間に宿題を広げ、解答の横に同じ式をきれいに写したあと、次の問題で鉛筆が止まるという場面です。さっきの問題には丸が付き、ノートも埋まっています。それでも、「同じようにやってみよう」と言われると、どの数字から動かせばよいのか決まりません。解答をもう一度開くと納得できるため、自分でも何が足りないのかつかみにくくなります。
ここで「答えを見たから身に付かない」と片付けると、必要な助けまで取り上げてしまいます。一方、毎回すべての式を写すだけでは、次の操作を自分で選ぶ機会が残りません。考えたいのは、解答を見ることの良し悪しではなく、今のお子さまがどこまで自分で選べるかです。
途中式と理由をすべて示したものを「完全な解答例」、その一部を空欄にして補うものを「穴あきの解答例」と呼びます。初めての内容では全体を見渡し、流れがつかめたら一部を自分で担います。この順序を、方程式の短い例で具体的に考えていきましょう。

わかっている部分によって必要な助けが違います
たとえば、3x + 5 = 20を解くとします。慣れていれば、両辺から5を引き、両辺を3で割ると考えられます。しかし学び始めには、xとは何か、等号は何を表すのか、なぜ右辺にも同じ計算をするのかを同時に考える必要があります。「自力で解いて」と言われても、どこに注意を向けるかが決まらず、数字を動かす試行が続いてしまうことがあります。
完全な解答例には、その試行をいったん減らし、式と操作の関係を見る役割があります。3x + 5 – 5 = 20 – 5という行があれば、左右から同じ数を引いていることを目で追えます。続く3x = 15からx = 5への変化にも、両辺を3で割るという理由を添えられます。答えだけでなく、答えに至る道筋を学ぶための材料です。
Zhengらは160名が参加した実験で、知識が少ない学習者には完全な解答例、知識がある学習者には穴あきの解答例が有効だと報告しています(Zhengら・2020)。助けは、多ければいつでもよいというものではありません。すでに理解している操作まで毎回すべて示されると、自分でその操作を取り出して使う場面が少なくなります。どこを見せ、どこを任せるかが学習の課題になります。
また、多段階の数学問題を扱った研究では、解答例を学ぶ場合に、自力で解く場合より保持と転移に優れ、各段階の負荷が小さいという結果が報告されています(Chenら・2023)。保持は学んだことをあとで使えること、転移は学んだことを別の問題にも使えることです。途中で何をしているかが見える例を読むことには、自力で解くための準備としての意味があります。
学習支援の研究の多くは海外の小中学生を対象としており、ここで紹介する結果も、日本の中学生全員に同じ順序や学習時間を当てはめる根拠にはなりません。そのため、完全な例を何問読んだら必ず次へ進む、と固定せず、お子さまが書いた途中式と説明を見ながら調整します。研究は選び方の方向を示し、毎日の答案が次の一歩を決める材料になります。
習熟度も、人を丸ごと分ける言葉として使わないようにしましょう。同じお子さまでも、整数の方程式なら流れを説明でき、かっこが入ると止まり、分数が入ると計算自体が難しいことがあります。そこで「数学が得意だから穴あき」「苦手だから完全な例」と決めると、実際のつまずきと教材がずれます。「今扱っている形で、何を自分でできるか」と捉える方が、選択が具体的になります。
読むとわかることと、見ずに続きを書けることも分けて確かめます。印刷された3x = 15を見れば自然に感じても、3x + 5 = 20からその式を自分で作れるとは限りません。解答が横にあるときの安心感は大事にしながら、短い空欄を使って自分が担える範囲を探します。空欄で止まった行こそ、次に詳しく読む場所です。
完全な例から自力へ進む練習の手順
今日の練習では、教科書や手持ちの問題集から、途中式のある例題を選びます。まずは3x + 5 = 20のように、今確かめたい操作が少ない形を使ってください。問題、途中式、答えを別々の場所から探す必要がある場合は、ノートの同じページにまとめます。さらに、同じ操作で解ける練習問題を近くに用意します。最初から形の違う問題を並べると、例の読み方の練習と新しい内容の学習が重なります。
最初の2分ほどは、理解している場所を探す時間にします。問題だけを見て、最初に何をしたいかを短く書いてください。「xだけにしたい」「まず5をなくしたい」でも構いません。次の式が書けなければ、そこで完全な解答例を開きます。この時間は速さを競うためではなく、自分が読み始める位置を決めるために使います。
次の5分ほどは、完全な例を上から読みます。ノートには、3x + 5 = 20、3x + 5 – 5 = 20 – 5、3x = 15、3x ÷ 3 = 15 ÷ 3、x = 5と順に置きます。両辺から5を引く行には「左右の等しさを保ちながら、左の+5をなくす」、割る行には「3倍されたxを、xだけにする」と添えます。式の右側に理由を書く場所を残すと、式と説明を対応させやすくなります。
読むときの問いは、まず3つに絞ります。「前の行から何を変えたか」「左右に同じことをしたか」「何をしやすくするための操作か」です。全部を長く説明する必要はありません。「両辺から5を引いた」と言えても目的が曖昧なら、「左を3xだけにしたかった」と足します。うまく言葉にできない場合は、消したい+5を指で示し、説明を読んでからもう一度指し直してください。
教材の解答が3x = 15まで一気に進んでいる場合は、省略された行を補います。途中式が短いほど見やすいとは限りません。「移項した」で読み終えてしまうなら、両辺から5を引く行を自分のノートに加えます。反対に、その操作を十分説明できるなら、毎回すべてを書き直す必要はありません。自分が追える細かさに整えることも、解答例の使い方です。
続く3分ほどで、最後の行だけを紙で隠します。3x = 15まで見えている状態から、x = 5と補い、「両辺を3で割った」と添えてください。書けたら紙をずらして照合します。答えが合ったかに加え、見えていた式からその答えを出したかも確かめます。先ほど見た5という数字を思い出しただけなら、次は3x = 18のように数字を変えて同じ操作を試します。
次は、空欄の場所を最後から途中へ移します。3x + 5 = 20のあとに「両辺から5を引く」という説明を残し、続く式を空欄にします。ここでは3x = 15が書けるかを見ます。さらに慣れたら、式を残して理由の方を隠し、なぜその行になるかを書きます。式の空欄と理由の空欄では求められることが違うため、最初から両方を隠さず、どちらか片方から始めてください。
空欄の数だけで難しさを決めないことも大切です。最後の答えが空欄の問題と、最初の方針が空欄の問題では、必要な判断が違います。計算はできても方針が出ないなら、「左辺をxの項だけにする」という目的を残し、計算の部分を任せます。方針が言えて計算で間違うなら、操作の説明を繰り返し読むより、間違えた計算を別に短く確かめます。
一度、机から目を離して休んだあと、4分ほど使って例を閉じた練習に移ります。たとえば2x + 7 = 19を解き、どの行で迷ったかに小さな印を付けてください。迷わず両辺から7を引いて2x = 12とできれば、最初の操作を選べています。x = 6まで書けたら、答えだけでなく途中式も開いて照合します。見本と表現が違っていても、等しさを保った変形なら、その違いだけで誤りにはしません。
自分で確かめる方法も分けておきます。1つ目は、上下の行を比べ、左右に行った操作を指で追う方法です。2つ目は、出した答えを元の式に戻す方法で、2 × 6 + 7 = 19となるかを確かめます。3つ目は、「最初に7を引いたのはなぜか」を短く言う方法です。代入で確かめれば答えの不一致に気付けますが、最初の操作を自分で選べたかは、理由も合わせて見ます。
ここで間違えたときは、全部を最初から写し直さなくても構いません。2x = 26と書いたなら、19から7を引く行だけを開いて読みます。2x = 12のあとを間違えたなら、両辺を2で割る部分を見ます。そして同じ場所を隠し、そこから続きを補います。「どこまで戻れば再開できるか」がわかると、やり直しが具体的な作業になります。
答えを元の式に戻して左右が合わなかったら、すぐに全行を消さず、最初に食い違った場所を探します。元の問題を写す段階で数を取り違えたのか、引き算で間違えたのか、割る数を間違えたのかを順に見ます。解答例と照らすときも、下の答えから眺めるより、上から行を対応させてください。誤りの位置を残しておけば、次回はその操作を空欄にして、直ったかを確かめられます。
翌日の最初の3分ほどには、解答を閉じて3x + 4 = 19を解いてみます。前日に見た答えを覚えているだけか、同じ操作を使えるかを見直す時間です。解けたら、どんな順序でxだけにしたかを説明します。止まったら、前日の穴あきの例に戻ります。その日の疲れもあるため、1回の結果で自分の力を決めず、必要だった助けを記録しておきましょう。
紙で隠す方法なら、問題集に直接書き込まずに空欄を変えられます。細い紙を途中式の上に置き、ノートには隠した部分だけを書きます。問題の条件や直前の式まで隠してしまうと、何を手掛かりにすればよいかわからなくなるので、隠す前に必要な情報が残っているか確かめてください。書いたあとで紙を外し、違っていた箇所を直すときは、正しい式の横に「右辺も引く」のような短い注意を添えます。
同じ例を繰り返すうちに答えを覚えたら、答えの再現だけで終えず、操作を言い直します。「5だった」ではなく「15を3で割った」と言えるかが確認点です。次の問題を選ぶときも、数字と式の形を一度に大きく変えず、まず数字だけを変えます。その問題で進めれば、使えた操作を記録します。進めなければ、前の答えを覚えていた部分と、使い方を理解していた部分を分け直せます。
時間は、手を止めて状態を見直す区切りとして使います。完全な例を読むだけで集中が切れた日は、読み取れた行と次に確かめる行を書いて終えます。全部の段階を同じ日に通ることを目標にすると、わからない行を飛ばしやすくなります。記録には「理由を見れば式を書けた」「翌日は最初の操作からできた」のように、使った助けを残してください。

個別指導では隠す場所を一緒に決めます
個別指導で最初に確かめたいのは、何問間違えたかだけではありません。解答が全部見えているとき、説明だけがあるとき、問題だけのときで、できることがどう変わるかを見ます。同じ方程式でも、説明を読めば自分で書けるお子さまと、説明に出てくる「両辺」がまだ曖昧なお子さまでは、始める場所が違います。塾は、その違いを短い課題で見分け、見せる情報を整えます。
たとえば3x = 15からx = 5へ進めない場合、方程式全体の理解が足りないとすぐには決めません。15 ÷ 3はできるのか、3xを3 × xと読めるのか、左右を同じ数で割る意味がわかるのかを分けます。計算に迷っているなら計算を確かめ、文字の表し方に迷っているならその表現に戻ります。解答例を増やす前に、どの説明が届いていないかを探すことが必要です。
塾が持つのは、例題の選択、途中式の補充、空欄にする場所の判断、次回の確かめ方です。完全な例を渡すだけで終えず、読んでほしい操作を絞り、お子さまが何を見て書いたかを尋ねます。「わかりましたか」と聞いてうなずきを得るだけでは、次の問題の準備ができたかは見えません。「この行を隠すので、続きを書いてみましょう」と、実際の動きで確かめます。
すぐにヒントを追加しすぎない配慮も要ります。お子さまが考えている途中で講師が次の式を口にすると、答案は進んでも、自分で選べた範囲が見えなくなります。まず問題のどこを見ているかを聞き、必要なら目標だけを示し、それでも難しいときに操作の説明を見せます。助けを出した場合は、その助けのある状態でできたこととして記録します。
穴あきの例へ進む目安は、完全な例を見ながら行のつながりを説明でき、短い空欄を補ったあとにも理由が言えることです。ただし、これを一度通過したら永久に戻らない階段にはしません。2(x + 3) = 14のようにかっこが加われば、これまでと違う選択が生まれます。新しい形では完全な例に戻し、慣れた操作だけを空欄にする調整ができます。
かっこのある式では、両辺を2で割ってx + 3 = 7とする道も、かっこを外して2x + 6 = 14とする道もあります。最初に扱う例では、一方の道筋を最後まで示し、途中で別の方針を混ぜないようにします。その道筋を追えるようになってから、もう一方との違いを比べます。お子さまがどの見通しで操作を選んだかを聞くことで、見本の並びを覚えただけかも確かめられます。
文章題に使う場合は、計算の途中だけを空欄にしても、式を立てる練習にはなりません。最初は「何をxとするか」「数量の関係をどう表すか」「できた式をどう解くか」を示した完全な例を読みます。次に、数量の関係の説明を残し、式だけを補います。計算が得意なお子さまでも、文章と式の対応で止まるなら、その部分には助けを残します。単元が変わっても、任せたい判断を先に決める点は共通です。
関数の問題なら、値の代入はできるのに式を選べないことがあります。その場合は、関係を表す式を示したうえで計算を空欄にする練習と、表の数値を見て式を選ぶ練習を分けます。前者ができたという記録だけで、後者もできるとは扱いません。図形でも、使う性質を示せば計算できるのか、性質そのものを選べるのかを分けて見ます。「穴あきができた」の中身を具体的にするほど、次の教材を選びやすくなります。
進み具合は、正答数とともに「必要だった助け」を見えるようにします。記録欄は、扱った式の形、見せた情報、自分でできた操作、次に確かめることに分けます。「整数の方程式。理由を残すと途中式を補えた。両辺から同じ数を引く目的を説明できた。次回は問題だけで開始」と書けば、次の授業で何を見るかが明確になります。完全な例を使った日も、読めるようになった部分を残せます。
家庭への連絡でも「よくできました」だけでは、宿題の扱いが伝わりません。「今日は説明を残して式を補いました。家では同じ説明を見て始めて構いません。止まった行に印を付けて持参してください」と伝えれば、保護者が新しい教え方を考えなくても学習がつながります。解答を見てよい範囲と、困ったときの戻り先を塾から具体的に示します。
家庭が持つのは、取り組む時間と場所を相談し、使う例題と練習問題を出せるようにすることです。途中式を添削したり、説明の専門的な正しさを判定したりする役割まで抱える必要はありません。お子さまから助けを求められたら、「どの行で止まったか印を付けよう」「ここは例を開いてよいと書いてあるね」と、塾と共有した手順に戻します。
宿題が止まっていた場合も、空欄を埋めさせることだけを急ぎません。疲れて始められなかったのか、例の場所を探せなかったのか、最初の説明を読んでもわからなかったのかでは、次の対応が変わります。ご家庭からは「例を開いたあとも、この行で止まっていました」という事実を伝えていただければ十分です。塾はその行から確かめ、教材の細かさや量を調整します。
解答例についてよくある3つの疑問
Q1. 完全な解答例を読むのは、答えの丸写しと同じですか
写す動作だけを見ると似ていますが、何を確かめるかで学習の中身が変わります。読みながら前後の行の違いを見つけ、操作の目的を言い、短い空欄を補うなら、解き方を使う準備になります。ノートを埋めて丸を付けるだけで終わらせず、最後に一部分を隠すところまで取り組みましょう。
読む段階からすべてを覚えようとしなくても構いません。まず「左右に同じ計算をした」と追えることを確かめます。解答を閉じた瞬間に止まっても、読んだ時間が無駄だったとは決めず、隠す範囲を小さくします。続きを書ける場所を見つけることが、次の練習の入口です。
Q2. 穴あきの例ができたら、すぐ難問に進んでよいですか
空欄を埋められても、前後の式から答えを推測しただけの場合があります。まず同じ形で数字を変えた問題を、例を閉じて解いてください。さらに翌日にも取り組み、最初の操作を自分で選べるかを見ます。進む判断には、空欄の正答だけでなく、手掛かりが減ったときの様子を使います。
新しい要素を加えるときは、どこが変わったかを言葉にします。「今度はかっこがある」と気付いたら、その部分を示した例を読むところから始めても構いません。前にできた段階へ戻ることと、新しい内容の助けを借りることは、どちらも練習を続けるための調整です。
Q3. 家庭では解答を預かり、自力で考えさせるべきですか
自力で始める時間を作ることはできますが、止まったときの戻り先も一緒に決めておくと取り組みやすくなります。解答を取り上げるか自由に見るかの二択にせず、「最初の方針を書いてから開く」「わからない行だけ見る」と使い方を決めます。考える部分と助けを借りる部分を分ける方法です。
保護者が見た回数を数えて叱るより、お子さまが「ここまでは見ずに書けた」と示せる記録を使ってください。例を開いたことも、必要な助けを見つけた行動として扱えます。どこを見ても進めない場合は、そのまま塾に持ち込めるようにしておきましょう。
次に隠せる一行を見つけましょう
解答例を使うときに見るのは、読んだページ数でも、きれいに写した量でもありません。全部が見えていれば追えるのか、説明があれば式を書けるのか、問題だけでも最初の操作を選べるのか。その違いを確かめると、今必要な助けが具体的になります。
今日、完全な例が必要だった問題でも、最後の一行なら明日は自分で書けるかもしれません。逆に、新しい形に出会えば、再び道筋を見ながら学べます。進むことと戻ることの両方を使い、一行ずつ任せる範囲を広げていきましょう。
解答例に重ねた紙は、必要ならいつでもずらして戻せます。自分で選べた操作の分だけ、見本を覆う紙の幅も広がります。
参考文献
- Zheng et al.(2020), European Journal of STEM Education. https://consensus.app/papers/details/331ff6fad26c5afd82f9932e82317efa/
- Chen et al.(2023), Educational Psychology. https://consensus.app/papers/details/8fba3910b73754f0b192c1ba93562d5a/
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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