
武蔵野個別指導塾の特徴
小論文模試の書き方を見直すとき—二つのコメントが食い違う答案をどう直すか|武蔵野個別指導塾

同じ答案に「例を増やせ」と「削れ」が並んだら、まず指摘の指す行を答案に結び、設問の条件と照らします。改稿は一度に一つだけ動かし、前の版と読み比べて採る方を決める進め方です。
小論文の答案に二つの講評が付き、片方は「具体例を増やしたほうがよい」と書き、もう片方は「具体例が多くて論点がぼやける」と書いている。この二枚を前にすると、どちらの先生の言うことを聞くかという問いに変わってしまい、答案は動きません。先に決めるのは、どちらが正しいかではありません。二つのコメントが答案の同じ行を指しているのか、別の行を指しているのかを確かめます。指している行が違えば、二つは最初から争っていません。同じ行を逆方向に指しているときだけ、設問の条件文を開いて、どちらが条件に答えるかを決めます。まず答案の右端に行番号を振り、講評の語がどの行を指すかを鉛筆で結びます。そのうえで、次の表のように四つの組に分けます。
| コメントの指す位置 | 二つの向き | 先にすること |
|---|---|---|
| 同じ段落 | 同じ向き | 一つの指示にまとめ、その段落だけを直す |
| 同じ段落 | 逆向き | 設問の条件を書き抜き、条件に答える方を残す |
| 違う段落 | どちらでも | 二つとも候補に残し、直す順を決める |
| 段落の外 | 設問への指摘 | 答案より先に設問の読み方を確かめる |
よくあるのは、学校と模試の講評が逆に見えて書き直せなかった高3という場面です。机の上には同じ答案が二枚、赤ペンの位置も語も違います。一方には例を足せとあり、もう一方には例を削れとあります。本人は「どちらも先生だから、どちらも正しいはずだ」と考え、両方を少しずつ採った第三の稿を作り、前より読みにくい文章にしてしまいます。ここで必要なのは、講評のどちらかを信じる判断ではなく、指摘の指す先を答案の上で確かめる作業です。
二つのコメントが同じ行を指しているか、別の行を指しているか
講評は答案の全体に対して書かれますが、指摘の根拠になっているのは、たいてい一行か二行です。「具体例が足りない」という一文にも、書き手がどの段落を読んでそう書いたかという場所があります。答案の右端に行番号を振り、講評の語を一行ずつ結び直すと、二枚の講評が同じ場所を指しているのか、別々の場所を指しているのかが見えてきます。この作業を飛ばして、講評の語だけを並べて読むと、言葉の強さを比べる読み方に変わります。
語が同じでも、指す段落が違うことがあります。導入の段落に自分の体験が一つも入っていないことと、結論の直前の段落に体験が三つ並んでいることは、別の失敗です。前者には「足りない」と書かれ、後者には「多すぎる」と書かれています。二枚を並べると矛盾に見えますが、答案の上ではまったく争っていません。増やすのは導入の段落、減らすのは結論前の段落と、場所が分かれているだけです。まず確かめるのは、この分離ができているかどうかです。
同じ段落を逆方向に指していることもあります。ひとつの体験の段落に「短い」と「長い」の両方が付く場合です。このとき、二人の講評者のあいだで基準が違うのか、それとも同じ段落の別の行を見ているのかを分けます。段落の前半は経過の説明が長く、後半は結果が一行しかないなら、前半を削って後半を足すという一つの直し方にまとまります。逆方向に見えたものが、行の単位まで下ろすと同じ方向を向くことがあります。
設問の要求と、自分の論点が同じかどうかも照合します。設問の紙から、問いの動詞、条件の数、立場の指定、使う資料、長さの指定を書き抜きます。「説明しなさい」と「提案しなさい」では、答案の最後に置くものが変わります。「二つの理由を挙げて」とあれば、理由の段落は二つ要ります。「〜の立場から」とあれば、その立場を外から眺めた段落は条件に答えていません。答案の主張を一行に直し、書き抜いた条件の横に置いて、どれに答えてどれに答えていないかを印で分けます。
コメントが設問の外を向いている場合もあります。答案の内容ではなく、次の授業で書く力を見越した指摘や、以前の答案から続く癖への指摘が、学校の講評には混ざります。模試の講評は、その回の設問に沿って書かれることが多いものです。どちらが上かは決められませんし、決める必要もありません。コメントが何を目的にした指摘なのかを、講評の他の語から読み取ります。「次は自分の言葉で」とあれば、言葉づかいの話であって、段落の構成の話ではありません。
講評に書かれていない採点の内訳は、想像で埋めません。「論点がずれている」と書いてあっても、何点減ったのか、どの基準に触れたのかは、そこに書かれていない限りわかりません。書かれていないことを補って読み始めると、直す場所がどんどん増えて、手が止まります。使ってよい材料は、講評に実際に書かれた語と、答案に実際に残っている行だけです。
図1のように、二つのコメントは「指す位置」と「向き」の二つで四つに分かれます。左上の同じ段落・同じ向きは、二つの言い方を一つの指示にまとめられる組です。右上の同じ段落・逆向きは、設問の条件を物差しにして片方を選ぶ組です。左下の違う段落は、両方を候補に残して順番を決める組です。右下の段落の外は、答案を直す前に設問の読み方へ戻る組です。この四つを分けるだけで、二枚の講評は「どちらを信じるか」という問いから離れます。

四つに分けたあと、右上の組が一つもなければ、答案の直し方は一つに決まります。左下の組だけなら、直す順番を決めれば済みます。厄介なのは右上の組で、ここだけは設問の条件文を読まない限り決まりません。逆に言えば、条件文を読めば決まる組でもあります。講評の強さや赤ペンの太さで決める必要はありません。
指の先を確かめてから、直す候補を一つに絞る
ここからは手を動かす順番です。最初に答案のコピーを一枚作り、右端に上から1、2、3と行番号を振ります。段落の頭には「段落1」「段落2」と書き添えます。原本は手元に残したまま、書き込みはコピーにだけ入れます。直したあとで「前のほうがよかった」となることがあります。そのとき戻る先が原本です。行番号のない答案では、講評の語と本文の行を結び直すのに毎回時間がかかります。
次に、二つの講評の語を、それぞれ別の色の鉛筆で答案の余白に書き写します。写すのは面倒に見えますが、写しているあいだに講評の語を一字ずつ読むことにつながります。読み飛ばしていた「まず」「ただし」「全体として」のような語に気づくのも、この段階です。書き写した語の横に、指していると思う行番号を書きます。決められないコメントは、余白に「未定」と書いて残します。捨てると、あとで思い出せなくなります。
三つ目に、設問の条件を別の紙へ書き抜きます。問いの動詞、条件の数、立場の指定、使う資料、長さの指定の五つを、設問の文からそのまま抜き出します。答案の主張を一行にまとめ、その下に置きます。主張が条件のどれに答えているかを、線で結びます。結べない条件が残ったら、それが答案の弱点です。講評がまだ何も言っていない弱点が見つかることもあります。
四つ目に、書き写したコメントを四つの組へ振り分けます。同じ段落を指していて向きも同じなら、二つの言い方を一つにまとめます。「具体例を足したほうがよい」と「体験をもう一つ入れるとよい」は、同じ段落への同じ向きの指摘です。まとめると、直す作業は一回で済みます。同じ段落で向きが逆なら、設問の条件を物差しにします。違う段落なら、両方を候補に残します。段落の外を指すなら、答案より先に設問の読み方を確かめます。
五つ目に、直す候補を三つ以内に絞ります。候補が多いまま書き始めると、どこを直したのか自分でも追えなくなります。逆向きの組では、設問の条件に二つ答えているほうを残します。どちらも条件に適うなら、段落の役割で決めます。主張の段落なら主張を強める指摘を、根拠の段落なら根拠を補う指摘を採ります。それでも決まらないときは、両方の版を作って読み比べます。紙の上で決められないものを、頭の中だけで決めようとしないことです。
六つ目に、一度に動かすのは一種類だけにします。根拠の数を変える改稿と、段落の順を入れ替える改稿を同時にすると、読み比べたときにどちらが効いたのかわかりません。同じ理由で、語を短くする作業と、段落を足す作業も分けます。動かした種類を一行のメモに残します。「今回は段落3の例を二つから一つに減らした」という一行で十分です。このメモが、次の講評を読むときの手がかりとして残ります。
七つ目に、前の版と並べて読みます。変えた行に印を付け、声に出して最後まで読みます。息が続かない文、同じ語が続く文、指示語の指す先が遠くなった文は戻します。講評を満たすために一文が長くなったなら、その改稿は外します。読んで詰まる答案は、講評が何と言っていても読む人には伝わりません。声に出すと、目で追うだけでは飛ばしていた継ぎ目が見つかります。
八つ目に、採らなかったコメントの理由を一行で書きます。「Bは例を減らせと言っていたが、設問は根拠を二つ求めていたので、例の段落は残した」という具合です。理由を書いておくと、次の講評で同じ指摘が来たときに、判断をやり直さずに済みます。理由が書けないなら、そのコメントはまだ理解できていません。理解できていない指摘を、とりあえず採るのはやめます。
ここまでの五つの作業を一列に並べると、図2のようになります。行番号を振る、印を結ぶ、条件を抜く、一つだけ変える、前の版と読み比べる。この順番を飛ばすと、たいてい六つ目の「一度に一つ」が崩れます。二つの講評を同時に満たそうとして、両方の指示を混ぜた稿ができます。混ざった稿は、どちらの講評にも合わない第三の答案です。

止まったときの戻り先も決めておきます。指す行が決まらないコメントが出たら、二つ目の作業に戻って、講評の前後の文を読み直します。設問の条件が読み取れないときは、三つ目の作業に戻って、設問の文を区切って書き直します。どちらの版を採るか決められないときは、五つ目の作業に戻って、条件に答える段落の数を数えます。戻り先を決めておくと、迷っている時間が短くなります。
言葉どおりに全文へ広げて、論点が薄くなった答案の戻し方
別の失敗もあります。「例を増やしたほうがよい」というコメントを、答案の全文に対して掛け算のように当てはめてしまう場合です。導入にも、理由の段落にも、結論にも例を足すと、文字数は増えますが、主張は後ろへ押し出されます。読み手は最初の段落で何の話かをつかめず、最後まで読んでも主張の場所がわかりません。講評の語は正しく読んでいるのに、適用する範囲を間違えている失敗です。
この失敗から戻るには、直す前に段落の役割を書き出します。主張、理由、例、まとめの四つを、段落の横に鉛筆で書きます。同じ役割の段落が二つ続いていたら、それも印にします。そのうえで、例を増やす指示は例の段落だけに当てます。主張の段落とまとめの段落には触りません。範囲を切るだけで、文字数は増えても主張の位置は動きません。
二つ目の失敗は、二つの講評を交互に採ってしまうことです。片方の指摘で段落2を削り、もう片方の指摘で段落2に例を足し、また最初の指摘で段落3を短くする。一つの稿の上で二つの指示を往復すると、どちらの講評にも合わない稿ができます。これを避けるには、版を分けて保存します。版1はAの指摘だけを採った稿、版2はAを採ったうえでBも採った稿です。混ぜた稿は捨てます。版を分けると、どの変更がどの講評に対応するのかが紙の上に残ります。
三つ目の失敗は、講評を設問より上に置くことです。先生が言ったのだから正しいはずだと考え、設問の条件を読まずに直し始めます。講評が設問の外を向いていた場合、この直し方は答案を設問から遠ざけます。直す前に、設問の条件を声に出して読み、コメントがそのどれに対応するのかを一言で言います。言えないコメントは、いったん保留の欄へ移します。保留は捨てることではありません。次の答案で同じ指摘が来たときに、また考えればよいのです。
できたかどうかの判断は、四つの条件で行います。設問の条件に答えている段落がそろっていること。段落の役割が一つずつで、同じ役割が続いていないこと。採らなかったコメントについて、理由を一行で言えること。そして、前の版より長くなっていないか、同じ長さなら主張が前半に寄っていることです。四つとも言えたら、その稿は次の講評へ出せます。一つでも言えないなら、五つ目の作業に戻ります。
図3のように、同じ指摘でも、全文に当てた版と段落の役割で範囲を切った版では、印の付く範囲が変わります。左は四つの段落すべてに印が付き、右は例の段落にだけ付いています。指摘の数は同じでも、動く範囲が違うだけで、読みやすさは変わります。範囲を切る作業は、答案を書く時間より短く済みます。

やり直しのときは、前の版を消さずに残します。版が三つ並ぶと、どの変更が効いたのかを自分で確かめられます。講評をもらう前でも、条件に答えている段落の数を数えれば、前の版との違いは数字で見えます。
別の答案で、指摘の位置と条件の対応をたどる
次の答案は、この手順を確かめるために作った見本です。設問は「図書館の開館時間を延ばす提案を、利用する人の立場と運営する人の立場の両方から書きなさい」です。段落と文字数は次のとおりです。
| 段落 | 書いてあること | 文字数 |
|---|---|---|
| 1 | 提案の要約 | 140 |
| 2 | 利用する人の立場 | 110 |
| 3 | 運営する人の負担 | 90 |
| 4 | 運営する人の工夫 | 100 |
| 5 | まとめ | 60 |
講評は二つ付いています。A「利用する人の話が少ない。増やしたほうがよい」。B「全体が長い。運営する人の話を削ったほうがよい」。この二つを読んで、次の四つに答えてください。答えは下の欄にありますから、先に読み進めず、自分の言葉で書いてから照らしてください。
問1 AとBは同じ段落を指していますか。
問2 問1の答えが「違う段落」だったとき、二つの指摘をどう扱いますか。
問3 設問の二つの立場に直接答えている段落は、段落2と段落3です。この二つの文字数が答案全体に占める割合を求めてください。
問4 改稿で一度に変えてよい種類はいくつですか。
解答です。問1は「違う」。Aは段落2を指し、Bは段落3と段落4を指しています。問2は、両方を候補に残し、直す順を決める。片方を先に直して読み比べ、それから次へ移ります。二つを一つの稿で同時に動かしません。問3は、段落2と段落3の文字数が110と90で、合わせて200。全体は140と110と90と100と60で500。200を500で割ると0.4になり、40%です。問4は1つです。
理由を添えます。問1で「同じ段落」と答えたなら、講評の語の近くにある段落の名前をもう一度探してください。Aの「利用する人」は段落2に、Bの「運営する人」は段落3と段落4に対応します。問3で割合を出す前に、全体の文字数を足し忘れていないか確かめてください。部分の和と全体の和を別々に出すと、割り算の前に間違いが見つかります。この計算はpython3でも検算しました。問4を2つ以上と答えたなら、図2の五つ目の作業に戻り、候補を三つ以内に絞る段階を読み直してください。
もう一度試すときは、自分の答案で同じことをします。二つのコメントの指す段落を先に書き出し、四つの組のどれに入るかを言います。そのうえで、設問の条件に答えている段落の文字数を数え、全体に占める割合を出します。この三つを、別の答案でも続けてできるようになったら、講評の読み方は身についています。
個別指導で見てもらう答案と、聞いておくこと
個別指導の場では、答案と講評の二枚、設問の紙、書き直した版があれば両方を持ってきてください。講評の紙だけでは、指摘の語がどの行を指すかを確かめられません。見るのは三つです。指摘の語の横に行番号が書いてあるか。設問の条件を書き抜いた紙があるか。採らなかったコメントの理由を一言で言えるか。質問は「この指摘はどの段落の話だと思いますか」から始めます。講評の言葉を説明し直すより、指の先を本人に確かめてもらうほうが、次の答案で同じ手順を再現できます。
講評の二枚を閉じる前に
二枚の講評を読み終えたら、答案の行番号の横に、それぞれの指摘が指す番号を書き込みます。番号が並んだ紙を見れば、次にどこを直すかは一つに決まります。答案を直す順番は、講評の数ではなく、指摘の指す場所の数で決まります。食い違いの正体は、たいてい答案ではなく、指の先のずれにあります。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
武蔵境駅徒歩30秒、講師1人に生徒1人の完全1対1。授業のあいだ、先生は隣を離れません。いまの詰まりを、無料相談でそのまま話してください。
まず15分だけ電話で話したい方は、無料電話相談(15分)から。塾からお電話を差し上げます。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




