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模試の漢文の勉強法—句形は答えられるのに返り点を飛ばした答案の直し方|武蔵野個別指導塾

句形の意味は答えられるのに内容問題で落とす高1へ、返り点を写して読む順に番号を振り、答案で飛ばした一字を特定してから別の短文で確かめ直す手順を示します。
句形の確認では「使」は使役、「不」は打ち消しと正しく答えた。それなのに、同じ範囲の模試では内容を問う設問で点を落とした。この差は、覚えた句形の意味が足りないのではなく、返り点が示す読み順を答案の上で再現できていないことから生まれます。句形は用語と意味の対応で答えられますが、内容を問う設問は、どの字からどの字へ返るかという順序と係りを受けて初めて答えられます。まず確かめるのは、間違えた設問の傍線部に付いている返り点を、自分の答案の書き下しや訳の語順と突き合わせることです。意味の暗記が足りないのか、読む順を落としたのかで、次にやることが変わります。
| 答案に残っているもの | まず見る場所 | 次にやること |
|---|---|---|
| 句形の設問は正解、内容の設問は失点 | 句形の解答欄と傍線部 | 意味の暗記ではなく読み順を疑う |
| 書き下しの語順が原文の字の並びと同じ | 傍線部の書き下し | 返り点を写して番号を振り直す |
| 訳の「を」「が」の付き方が逆 | 訳の助詞と動詞の位置 | どの字からどの字へ返ったかを探す |
| 傍線部が空欄のまま | 設問が指す範囲 | 読む順を言える一字まで戻る |
この表は、返却された答案を開いたときに、どこから手を付けるかを決めるために置いています。当てはまる行が決まれば、次の節で見る場所も決まります。
句形の意味と読み順は別の力
よくあるのは、句形の小テストでは満点に近い高1が、返却された模試の答案を開いて、内容説明の設問だけが並んで失点している場面です。本人は「句形は覚えた」と言い、実際に「使」は使役、「不」は打ち消しと答えられます。それでも、傍線部の訳を見ると、原文の漢字を左から順にたどっただけの日本語になっていて、返り点が示す戻り方が抜けています。本人にとっては、覚えた知識を使ったのに点が来ない、説明のつかない返却日になります。答案を返した教室で「句形は覚えたのに」と言う本人に、傍線部の字を指でなぞってもらうと、途中で止まり、戻る先を探し始めます。覚えていないのではなく、点を見る順番を持っていない状態です。
この状態を「句形が足りない」と読むと、対策は用語の暗記を増やす方向へ流れます。しかし、句形の設問が取れている以上、用語の暗記は足りています。足りないのは、返り点を見て読む順を組み立てる作業です。ここを分けずに復習すると、同じ答案を何度開いても内容問題の失点は減りません。
答案のどこを見れば切り分けられるかは、三か所です。一つ目は、傍線部の書き下しです。原文の字の並びと書き下しの語順が同じなら、返り点を無視して左から読んだ疑いがあります。二つ目は、訳の助詞です。「を」と「が」の付き方が原文の係りと逆になっていれば、返った先の字を取り違えています。三つ目は、句形の設問で問われた字が、内容問題の傍線部にも出ているかどうかです。同じ字を句形では正解し、内容では落としているなら、意味は言えるが順序で止まる型です。
返却された模試では、問題用紙と答案の両方が手元に戻ります。まず問題用紙の傍線部を開き、字の左下に付いた点を指で数えます。そのうえで答案の訳を読み、助詞がどの字に付いているかを確かめます。この二つを並べると、意味がわからなかったのか、順を追えなかったのかが、答案の上で見分けられます。意味がわからないときは語の訳が抜けており、順を追えていないときは訳の語が原文と逆の位置にあります。
図1のように、つまずきは三つに分かれます。句形の意味が言えない場合は用語の確認へ、返り点の順が振れない場合はこの記事の手順へ、順は振れるが係りが取れない場合は主語と目的語の確認へ進みます。三つを混ぜたまま復習すると、直す場所を間違えたまま時間だけを使います。

図1の左の箱に当たるなら、句形の意味を言い直す確認から始めます。真ん中の箱なら、次の節の手順をそのまま使います。右の箱なら、読む順は合っているので、誰が何をしたのかという係りを確かめる作業になります。
答案の漢字を写して読む順に番号を振る
返り点を飛ばした答案を直すとき、最初にやるのは解説を読むことではありません。自分の答案に残っている読み順を、もう一度自分で作ってみることです。手順は五つで、図2のように進みます。

1 傍線部の漢字だけを写す
まず、設問の傍線部に使われている漢字だけを、横一列に写します。このとき送り仮名は付けません。送り仮名を先に付けると、頭の中で読み方が決まってしまい、返り点を見る前に語順を想像してしまうからです。写すのは問題用紙の傍線部です。模試では問題用紙も返ってくるので、答案に書いた訳と並べて見られます。問題用紙が手元にないときは、答案の訳から漢字を拾い直し、同じように並べます。
2 返り点を一字ずつ写す
次に、字の左下に付いている返り点を、写した字の下へ移します。レ、一、二、上、下の種類まで写します。点の位置を字の上や横に書くと、どの字に付いていたかわからなくなるので、必ず下にそろえます。写し終えたら、問題用紙の点と見比べて、付け忘れがないかを確かめます。ここで写し間違えると、あとの番号が全部ずれます。
3 読む順に番号を振る
左端から見て、返り点のない字には出てきた順に番号を振ります。返り点の付いた字に来たら、対応する字まで下がって先に番号を振ります。レ点ならすぐ下の一字を先に読みます。一二点なら、二の付いた字から下がって一の付いた字を先に読みます。上下点や甲乙点も、同じように組の下のほうから先に読みます。たとえば「見レ花」なら、花に1、見に2を振ります。「不レ忘レ友」なら、友に1、忘に2、不に3を振ります。番号は必ず1から続くように振り、同じ番号を二度使ったら振り直します。「不レ忘レ友」では、不にも忘にもレ点が付いているので、どちらもそのままは読めません。レ点の付いていない友を見つけて1を振り、友を読み終えたら一つ上の忘へ返って2、忘を読み終えたらさらに一つ上の不へ返って3を振ります。この戻りを声に出して言えるようにすると、点の見落としが減ります。
4 番号の順に訓読を作る
番号の順に字を並べ、送り仮名を付けます。「見レ花」は花を見る、「不レ忘レ友」は友を忘れずになります。送り仮名は字ごとに決まっているので、順番が決まってから付けます。ここで日本語として意味が通らないときは、番号の振り方か、点の写し方を疑います。
5 訳して、元の答案と比べる
訓読を日本語の文にします。そして、自分の答案に書いた訳と並べ、助詞と動詞の位置が違う箇所に印を付けます。印が付いた字が、返り点を飛ばした場所です。答え合わせはこの順で行い、正しい訳を先に見ないようにします。先に訳を読むと、自分がどこで順を落としたかがわからなくなります。比べる順は、訓読、訳、元の答案の訳です。訓読の時点で意味が通らなければ、そこまで戻ります。訳まで進んでから元の答案を見ると、正しい語順の記憶が先に働き、自分の間違いを間違いとして拾いにくくなります。
止まったときの戻り先は、点の種類で決まります。番号が飛んだときは、点の写し漏れを探します。一に対応する二が見つからないときは、レ点と一点の見間違いを疑います。同じ番号が二度出たときは、組の対応を取り違えています。訳が通らないのに番号が続いているときは、順は合っていて係りが違うので、主語と目的語の確認へ移ります。
読み順が崩れる別の型と、直せたかの見極め
返り点を飛ばす型は、レ点の飛ばしだけではありません。返却答案を見ていると、いくつかの型に分かれます。
第一の型は、入れ子です。図3のように、レ点と一二点が重なると、内側の一を読んでから外側の二へ返る途中で、レ点を忘れます。「不レ読二古文一」なら、古に1、文に2、読に3、不に4を振りますが、返りながら読むときに読を飛ばして不へ行くと、「古文を読まず」ではなく「読まない古文」という名詞句になります。

第二の型は、置き字を読んでしまう型です。而、於、矣、焉などの字は訓読では読みません。読まない字を読むと、返り点の数と字の数が合わなくなり、番号が一つずつずれます。写した字のうち、読まない字に斜線を引いておくと、このずれは起きにくくなります。
第三の型は、再読文字を一度しか読まない型です。未、将、当、応などの字は二度読みます。一度しか読まないと、番号が一つ足りず、後ろの字の順が繰り上がります。再読文字を含む傍線部では、同じ字に二つの番号を振ることを先に決めておきます。
第四の型は、点の写し間違いです。レと一は形が似ていて、小さく書かれた点は見分けにくいことがあります。写した点と問題用紙の点を、指でなぞって確かめます。
型を取り違えないために、答案の二か所を分けて見ます。書き下しの語順が合っているのに訳が違うときは、順は取れていて語の意味か係りが抜けています。逆に訳が合っているのに書き下しが違うときは、意味から文を作ってしまい、返り点を通っていません。後者は点が来ることがあるので、見逃されやすい型です。書き下しを先に作り、訳を後に置く順を守ると、この型は答案に出ます。
やり直しができたと判断する条件は三つです。一つ目は、同じ型の別の短文を見て、三十秒以内に番号を言えること。二つ目は、書き下しの助詞が原文の係りと合うこと。三つ目は、同じ型を二日続けて正しく読めることです。一度できただけでは、点を見る前に文の意味から順を想像している可能性が残ります。日を替えても同じように番号を振れたら、その型は直ったと見てよいです。
別の短文で読み順を確かめる
ここからは、本文で使った例とは別の文で確かめます。紙に字を書き、返り点を写し、番号を振ってから下の答えを見てください。
問1 「愛レ人」の読む順を番号で書き、書き下しにしてください。
問2 「知二其一名」の読む順を番号で書き、書き下しにしてください。
問3 「不レ捨レ民」を返り点を見ずに左から読むと、どのような意味に見えるか、一文で説明してください。
問1の答えは、人に1、愛に2で、「人を愛す」です。愛のレ点は、すぐ下の人を先に読む印なので、人を読んでから愛へ戻ります。返り点を見ずに左から読むと「愛する人」となり、動詞と目的語が入れ替わります。
問2の答えは、其に1、名に2、知に3で、「其の名を知る」です。知の二から名の一へ下がり、その前の其を読んでから名、最後に知へ返ります。返り点のない其を先に読むところが、左から読むのと同じに見えて違う点です。
問3の答えは、「捨てない民」という名詞句に見えることです。左から読むと、不と捨がつながって「捨てない」が民を修飾する形になり、民を捨てずという動詞の文ではなくなります。返り点を飛ばした答案が意味の通る日本語になりやすいのは、このように飾りと名詞の組み合わせが偶然作れてしまうからです。
丸を付けるときは、番号と書き下しを別々に見ます。番号が合っていても書き下しが違えば、送り仮名か係りの取り違えです。書き下しが合っていても番号が違えば、意味から順を想像した疑いがあります。三問のうち二問で番号と書き下しの両方が合い、残りの一問で戻る場所を言えれば、次の模試の同じ型へ進めます。
再挑戦の条件は、三問とも番号を先に書いてから書き下しを書くことです。番号を書かずに書き下しだけを書いたときは、意味から順を想像した可能性があるので、同じ問題をもう一度、番号から始めます。間違えたときは、その字の返り点の種類を本文の手順2に戻って写し直します。
個別指導で見てもらう答案と質問
塾で見てもらうときは、返却された答案と問題用紙をそろえて持って行きます。答案には、間違えた設問の傍線部と、自分が書いた訳をそのまま残しておきます。消して書き直した跡があると、どこで順を落としたかがわからなくなるためです。自分で番号を振った紙も、答案と一緒に持って行きます。
持って行く質問は、「この傍線部の返り点を、私はどの順で読んだことになるか」と「この訳の助詞は、どの字に付くのか」の二つです。答えを聞くのではなく、自分で振った番号を見てもらい、どの字で戻り損ねたかを指摘してもらう形にします。同じ型の短文をその場で一問出してもらい、番号を声に出して振れたら、その場の確認は終わりです。番号を見せると、どの字で止まったかが短い時間で伝わります。返り点の読み方そのものを説明し直してもらうより、自分の振った番号のどこが違うかを一点だけ指してもらうほうが、次の答案で同じ型を避けられます。
返り点を写す習慣を次の模試へ
返却のたびに、間違えた傍線部だけを一行に写し、返り点の番号を振る。この作業を十分ほど続けると、答案を開いたときに見る場所が決まってきます。番号を振れなかった字は、次に覚える語ではなく、次に読む順を確かめる字になります。句形の暗記はできているのですから、次の模試で疑うべきは順序です。
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