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志望理由書の大学の呼び方—「貴学」「貴校」の使い分けと、正式名称で書く所|武蔵野個別指導塾

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大学あての書類は「貴学」、高校や専門学校あては「貴校」、面接の声では「御校」。下書きで拾う語の表と正式名称を最初の1回に置く順があれば、併願先から運んだ段落の呼び方も取り違えずに呼び分けられます。

大学に出す志望理由書なら、相手の大学は「貴学」と書きます。高校や専門学校に出す書類なら「貴校」です。どちらも書き言葉で長く使われてきた慣用の呼び方で、法令や入試の要項が決めているものではありません。だから、募集要項の記入例や様式の注意書きに別の書き方が示されていれば、そちらに合わせます。大学名は、文中で最初に出す1回を正式名称にし、学部と学科の名前も略さずに写します。2回目からは「貴学」に替え、同じ主語が続く文では呼び方そのものを省きます。面接で声に出すときは、書類の「貴学」を「御校」と言い換える形がよく使われます。

よくあるのは、「貴学」と「貴校」が1枚の中に両方出てきた下書きを、清書の前の晩に読み返して見つける場面です。1段落目は「貴学の観光学部を志望する」で始まっているのに、3段落目では「貴校の演習で町並みの調べ方を学びたい」になっている。夏のあいだ、観光の専門学校にも出すつもりで書いた下書きから、段落を1つ運んできた跡です。中身は何度も直してきたので、書いた本人の目は、名前の揺れの上を素通りしていきます。

「貴学」と「貴校」が混ざった1枚は、読み手にどう見えるか

「貴」は、相手やその持ち物を敬って言うときに頭に付ける字です。会社あての手紙なら「貴社」と書くのと同じ組み立てで、大学には「貴学」、高校や中学校、専門学校には「貴校」を使うのが、書類や手紙での一般的な使い分けです。短期大学は、学校教育法 第108条で、修業年限を2年か3年とする大学として定められているので、書類では「貴学」で通ります。一方で、文部科学省の令和9年度の実施要項を読んでも、志願者が大学をどう呼ぶかを定めた所はありません。志望理由書での「貴学」の書き方は、決まりというより書き言葉の作法です。

作法でも、紙の上では目に見えます。図1のように、呼び方は相手の学校の種類と、書類か面接かで分かれます。けれども、1枚の書類の中で呼び方が2通りになる理由は、ふつうはありません。それでも混ざるのは、別の学校あてに書いた文を運んできたときです。大学に「貴校」と書いても意味は通じます。ただ、同じ1枚に「貴学」もあると、読み手には、どこかから段落を写した跡に見えやすくなります。

図1 相手の学校の種類と、書類と面接での呼び方の対応

跡が見えると、中身にも同じ疑いがかかりやすくなります。志望理由書で問われる「なぜこの大学か」に、別の学校でもそのまま通る答えを書いていないか。呼び方の揺れは小さな傷ですが、中身の使い回しを外から見せてしまう目印になります。呼び方の誤り1つが評価をどれだけ動かすかは、大学の中のことで、外からはわかりません。わかっているのは、目印を消す作業が1時間かからずに終わることです。

正式名称も同じ理屈で考えます。「◯◯大」のような略し方や、学部をまとめて呼ぶ通称は、友だちとの会話なら通じても、出願の書類としては相手の名前を半分しか書いていない状態です。しかも学部と学科の名前は、組織の組み替えで年ごとに変わることがあり、去年のパンフレットで覚えた名前が、今年の募集要項では別の名前になっていることも起こります。志望理由書の書き方で迷いやすい大学の呼び方は、結局のところ、その年の募集要項を開いて一字ずつ写したかどうかで、仕上がりが分かれます。

もう1つ、教室で下書きを見ていてよく出会うのが「本学」です。これは大学が自分のことを指すときの言葉で、パンフレットや大学のサイトの文に多く出てきます。志願者の書類に「本学の理念に共感した」とあれば、その1文は大学の文を写したものと受け取られやすくなります。

正式名称と「貴学」を置き直す6つの手順

呼び方の直しは、中身を直し終えた後、清書の前日までに1回まとめて行います。中身を直している途中で名前をそろえても、段落を入れ替えたときにまた揺れるからです。下の6つは、合わせて40分ほどの作業です(分の数は、塾で使っている目安です)。

  1. 募集要項と志望理由書の様式を並べて開く(5分)。様式の欄の上にある注意書きと、記入例があれば記入例を読み、相手の呼び方や大学名の書き方が示されていないかを探します。記入例が大学名で書いていれば大学名で、「貴学」で書いていれば「貴学」で書きます。示されていなければ、書類の慣用どおり「貴学」で進めます。
  2. 正式名称を写す(5分・下書きの余白か付箋に)。大学名、学部、学科、専攻やコースまでを、その年の募集要項の出願の頁から一字ずつ写します。中黒「・」の有無、カタカナか漢字か、古い字体の漢字を使っているかまで、見たとおりに写します。大学によっては、学部にあたる組織を「学部」と呼ばない所もあります。短期大学は学部を置かずに学科を置く学校なので(学校教育法 第108条)、大学名の次は学科の名前から書きます。
  3. 下書きの呼び方を拾う(10分)。入力で書いているなら、検索で「貴」「御」「本学」「大」を順に引きます。手書きなら、呼び方と学校名に色ペンで丸を付けます。拾った数を余白に「貴学4・貴校1」のように書いておくと、直した後の数と比べられます。拾った語は、下の表で直し方を決めます。
  4. 置き場所を決める(10分)。図2のように、最初の1回を正式名称、2回目からを「貴学」、同じ段落で大学が主語の文が続くときは呼び方を省く、の3段で置き直します。学部の話をするときは「貴学の◯◯学部」と書けば、長い大学名を繰り返さずに済みます。
  5. 敬語の重なりを数える(5分)。「させていただく」「いただける」を拾い、1枚に何回出ているかを数えます。常体(だ・である)で書いた書類に、へりくだる言い方が続くと、文の主張がぼやけます。「学ばせていただきたい」は「学びたい」に戻します。敬体で書く様式でも、「〜したいと考えています」で足ります。
  6. 声に出して読む(5分)。清書の前に1回音読し、面接で同じ話をするときの言い方に置き換えてみます。総合型選抜と学校推薦型選抜では、面接などで評価することが原則とされているので、書類の「貴学」を声では「御校」と言えるか、一度口に出して確かめておきます。

手順3で拾った語は、次の表で直し方を決めます。左の欄の語が1つも残っていない状態が、清書に進んでよい合図です。

下書きに出てきた語 読み手に見えること 直し方
大学あての文の「貴校」 別の学校あての文を運んだ跡 「貴学」にそろえる
「本学」「本学部」 大学のパンフレットの文を写した跡 「貴学」に替え、写した文を自分の言葉に戻す
「御校」 話し言葉が書類に混ざった 書類では「貴学」にする
「◯◯大」などの略し方 相手の名前を半分しか書いていない 最初の1回を正式名称にする
併願先の大学名 前の下書きの名残 消して、その段落の中身も読み直す
1段落に3回以上の「貴学」(目安) 同じ主語の繰り返し 2回目からを省けるか試す
図2 1枚の志望理由書の中で、正式名称と「貴学」と省略を置く場所

図2の3段のうち、いちばん迷うのが3段目の「省く」です。省いてよいのは、直前の文と同じ大学が主語で、読み手が取り違えようのない文です。段落が変わって話題が大学の授業から自分の体験に移り、また大学の話に戻るときは、戻った最初の文にもう一度「貴学」を置きます。省きすぎて、誰が何をするのかわからない文になったら、置き直しすぎの合図です。

呼び方を直す前と直した後

例は、観光客と町並みの守り方を研究したい人の志望理由書の一部です。大学名と学部名と学科名は「◯◯」「△△」「□□」で伏せています。

直す前の1つ目です。

貴学観光学部を志望する。高校2年の夏、家族で訪れた古い町並みで、観光客の列が住宅の玄関先まで伸びているのを見た。貴校では観光と地域について学ばせていただけると知り、ぜひ入学させていただきたいと考えた。卒業後は町並みを守る仕事をさせていただきたい。

弱いのは3か所です。1文目の「貴学」と3文目の「貴校」で呼び方が割れています。学部の名前は書かれていても、大学名と学科名がありません。そして「させていただく」が3回続くうちに、何を研究したいのかが一度も書かれないまま終わっています。3か所を直すと、次のようになります。

◯◯大学△△学部□□学科を志望する。観光客が増えた古い町並みで、住む人の暮らしと建物の保存をどう両立させるかを研究したい。高校2年の夏、家族で訪れた町で、観光客の列が住宅の玄関先まで伸びているのを見たことが、この問いの始まりである。貴学の地域調査の演習で住民への聞き取りを学び、卒業後は町並みの残る市町村の役所で、観光と景観の計画づくりを担う職員として働きたい。

直した後は、1文目に正式名称を置き、2回目の呼び方を「貴学」にしました。へりくだる言い方を消して空いた場所に、研究したい問いと、卒業後に働く場所を入れています。

直す前の2つ目です。

貴学は町並みの保存に力を入れている。貴学には景観を研究する先生がいる。貴学の演習では町に出て調べることができる。貴学のアドミッション・ポリシーにも強く共感した。私は貴学でこそ自分の問いを深められると考える。

5文に「貴学」が5回並び、どの文も大学の紹介になっています。「力を入れている」「共感した」は、別の大学の名前に差し替えても通る文です。「先生」も話し言葉に寄っています。呼び方を1回に減らし、大学の紹介を自分の研究の段取りに置き換えると、次のようになります。

貴学の□□学科では、2年次の演習で町に出て、住民への聞き取りを重ねる。観光客の増えた通りで、住む人が何に困り、何を残したいと考えているのかを、自分の耳で集めるところから研究を始めたい。集めた声は、景観の保存を研究する◯◯教授のゼミで、建物の調査の記録と重ねて読み直したい。

「貴学」は最初の1回に減り、2文目と3文目は主語を省いても読めます。演習の学年やゼミの中身は例として置いたもので、実際に書くときは、志望先のシラバスと教員の紹介で確かめた事実に置き換えます。

併願の下書きや大学の文を写したときに残る名前

呼び方の揺れは、注意が足りないから起きるというより、下書きの作り方から生まれます。教室でよく出会うつまずきは、次の3つです。

1つ目は、併願先あての下書きを写して、前の学校の名前と呼び方が残ってしまうことです。観光の専門学校あてに書いた「貴校の実習で」が、大学あての1枚にそのまま入っていた、という形です。直し方は、学校ごとに下書きのファイルや紙を分け、段落を運ぶときは、運んだ段落の固有の名前に色を付けてから書き換えることです。書き換えた後は、その段落の授業や行事が、新しい志望先に本当にあるかまで読み直します。

2つ目は、大学のパンフレットやサイトの文を写して「本学」が残ってしまうことです。「本学」を「貴学」に置き換えれば呼び方は直りますが、写した文はそのままです。大学の方針の言い換えを何行も並べても、ほかの志願者と同じ文になりやすいので、方針の中で自分の経験とはっきり重なる所をひとことで書き、残りの字数を研究したい問いに回します。

3つ目は、授業や教員の名前を、記憶や先輩から聞いた呼び方で書いてしまうことです。授業の名前は年度で変わることがあり、教員の職名も教授か准教授かで書き分けられています。図3のように、名前ごとに写し元を決めておき、その年の物から写します。

図3 名前ごとの写し元(募集要項・シラバス・教員の紹介の頁)

大学・学部・学科の名前は募集要項、授業の名前はシラバス、教員の名前と職名は大学のサイトの教員の紹介の頁です。3つとも、写した日をメモの端に書いておくと、出願の直前にもう一度開いたとき、どこが変わったかを見比べられます。

よくある質問

専門学校や短期大学に出すときは「貴校」と「貴学」のどちらですか

専門学校あての志望理由書なら「貴校」、短期大学あてなら「貴学」と書くのが一般的で、「貴校」の書き方も「貴学」と同じく、最初の1回の正式名称の後に置きます。たとえば観光を学べる短期大学の学科と、観光の専門学校の両方に出すなら、1枚ごとに呼び方を決め直します。短期大学は学部を置かない学校なので、正式名称は大学名に続けて学科の名前を書きます。記入例が別の呼び方をしていれば、記入例に合わせます。

学校名の書き方は、「貴学」を使わずに大学名で書き通しても誤りではありませんか

誤りではありません。ただ、学部と学科まで合わせると20字近くになる正式名称もあります。それを何度も書くと、400字や800字の枠では研究したい問いや入学後の学びを書く場所が削られます。たとえば、町並みの聞き取りの計画に字数を回したいなら、2回目からを「貴学」に替えたほうが字数が残ります。大学名で通すか「貴学」に替えるかは、1枚の中でどちらかにそろえます。

「貴大学」と書いてもかまいませんか

「貴大学」も相手の大学を敬う書き方として使われており、誤りとは言えません。気をつけたいのは、1枚の中で「貴大学」と「貴学」が混ざることです。手順3で引く語に「貴大学」も足し、観光の授業を書いた段落と将来の段落とで呼び方が割れていないかを確かめてから、清書に進みます。

個別指導で確かめること

志望理由書の正式名称は、1対1の授業で、下書きとその年の募集要項とシラバスの頁を机に並べ、一字ずつ照らします。呼び方を拾う作業も一緒に行い、拾った数を余白に書いて、直した後の数と比べます。

呼び方を直せば済む所は、その場で直します。併願先から運んだ段落が見つかったときは、名前を替えるだけで終わらせず、研究したい問いと志望先の授業のつながりまで戻って、その段落を書き直すところから始めます。

まとめ

呼び方が1つにそろい、最初の1回の正式名称が募集要項と一字も違わない1枚には、読み手の目を名前の上で止める理由が残りません。その先は、観光客の増えた通りで何を聞き、何を残したいかという問いの勝負です。町並みの古い看板を一字も変えずに残したいと書く人こそ、志望先の学科の名前を、募集要項の一字のまま写します。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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