
武蔵野個別指導塾の特徴
自由研究の親の関わり方—どこまで手伝うか|武蔵野個別指導塾

刃物と火と買い物は一緒に、テーマと予想と考察はお子さまに。段ボールを親が先に切る前に決める線引きと、止まったら2分待って問いを1つ出す声のかけ方を、手伝いの記録表つきで載せています。
親がどこまで手伝うかは、次の 3 行に収まります。
| 誰がするか | すること |
|---|---|
| お子さまがする | テーマを選ぶ、予想を書く、切る、測る、数える、結果と考察を書く |
| 一緒にする | 刃物と火を使う作業、材料の買い物、重い物を運ぶ、夜の作業の切り上げ |
| 親がする | 材料の置き場を空ける、時間の枠を決めて始まりと終わりを告げる、安全を見守る、手伝いの記録表を書く |
迷ったら「これは誰の研究か」と自分に聞いてください。それだけで、伸びかけた手の 9 割は止まります。
よくあるのは、8 月の半ば、居間の床に段ボールを広げた場面です。お子さまが「風で動く車を作る」と言い、カッターを持ったまま 10 分考え込みます。見かねた親が「貸して」と言って先に 1 辺を切り、気がつけば車体の形まで切り終えています。お子さまは横で見ているだけになり、その日の作業は親の工作になりました。夜、模造紙の「方法」の欄に書く言葉が出てきません。自分の手で切っていないからです。この文章は、その段ボールにカッターを入れる前に戻って、親の手をどこで止めるかを決めるためのものです。
用意するもの
親が用意するものは、材料より先に 3 つあります。線引きを書いた紙、時間の枠、手伝いの記録表です。どれも 10 分あれば作れますし、どれも作らないまま 8 月の後半に入ると、段ボールの場面がそのまま起きます。
1 つ目は線引きの紙です。図1のように、「お子さまがする」「一緒にする」「親がする」の 3 列に分けて、紙に書いて冷蔵庫に貼ります。頭の中で決めただけでは、お子さまが困った顔をした瞬間に消えてしまいます。紙に書いてあれば、「貸して」と言いかけたときに紙を見て、自分で引っ込められます。お子さまの側も、「ここは一緒にするところ」と紙を指して頼めるので、頼みづらさが減ります。

2 つ目は時間の枠です。夏休みのうち自由研究に当てる日を、先に数えて決めます。例として、12 日を当て、1 日 30 分ずつ進めるとします。合わせて 360 分、6 時間です。短く見えますが、テーマ決めに 1 日、材料の買い物に 1 日、工作や実験に 6 日、まとめに 3 日、見直しに 1 日で、ちょうど 12 日に収まります。親の役目は、「今日は 30 分」と始まりを告げ、30 分たったら終わりを告げることです。終わりを告げるほうが大切です。「切りのいいところまで」と延ばすと、親のほうが先に焦り、手が出ます。
3 つ目は手伝いの記録表です。親が代わりに手を動かした時間と、その内容を書く表です。後で模造紙の「協力してもらったこと」の欄に写します。表の形は次の節に載せます。
材料そのものは、親が揃えないほうがうまくいきます。段ボール、割り箸、輪ゴム、ストロー、紙コップ、クリップ、定規、はさみ、カッター、カッターマット、養生テープ。このあたりが工作系の定番ですが、買い物は「一緒にする」の列に入れてください。店で材料を選ぶのも研究の一部です。親が先に揃えると、お子さまの頭の中にあった設計と違う物が届き、そこから「違う」「これでいい」の言い合いが始まります。親が整えるのは材料ではなく、置き場です。食卓の端や居間の棚を 1 段空けて、「ここに置いたものは誰も片づけない」と決めます。作りかけを毎日しまわずに済むと、翌日の最初の 5 分が短くなります。
カッターと火については、「一緒にする」であって「親がする」ではありません。親が段ボールを押さえ、刃の向きを確かめ、手を添えます。刃を引くのはお子さまです。火を使う実験なら、火をつけるのと消すのは親、鍋や網に触るのも親、火にかけている間に時計を見て温度や色を記録するのはお子さまです。隣に座って、手が火元に近づいたら止める。それが「大人と一緒に」の中身です。
進め方
手順は 5 つです。順番どおりに進めると、親の手は自然に減ります。
1 つ目は、最初の日に線引きの紙を一緒に書くことです。親が書いてしまうと、それも親の手になります。お子さまに「自分でやること」を読み上げてもらい、親は「刃物はここで一緒に」「買い物は一緒に行こう」と足すだけにします。書き終えたら 2 人で名前を書きます。約束の形にしておくと、途中で守りやすくなります。
2 つ目は、工作や実験の 1 日目は見ているだけにすることです。手を出さず、口も出さず、記録表にメモを書くだけにします。最初の日に手を出すと、お子さまは「困ったら親がやってくれる」と覚えます。逆に最初の日を見ているだけで通すと、2 日目からお子さまは親を見ずに材料を見るようになります。
3 つ目は、止まったら 2 分待つことです。120 秒です。時計を見て数えてください。お子さまが黙って段ボールを見ている時間は、設計を考えている時間であることが多いです。2 分たってまだ止まっていたら、問いを 1 つだけ出します。「次はどうするの」ではなく、「今、何に困っているの」と聞きます。答えが出たら、2 択で返します。「幅を広くするか、長さを短くするか」「輪ゴムを 1 本にするか、2 本にするか」。親が答えを言わず、お子さまに選ばせます。選んだら、手は出さずに見ます。図2のように、待つ、問う、選ばせる、見るの 4 つを順にたどると、親の手が動く場面がほとんど残りません。

4 つ目は、刃物と火の作業を一緒にすることです。段ボールを切るなら、カッターマットを敷き、親が段ボールの端を押さえ、刃をお子さまの手前に引く向きで持っているかを確かめてから、お子さまが切ります。親の指が刃の進む先に無いことも確かめます。1 辺切るごとに、刃をしまう癖をつけます。火を使うなら、鍋を火にかける前に、記録する紙と鉛筆をお子さまの前に置き、「色が変わった時刻を書いて」と頼みます。手を火元から離しておく一番の方法は、手に鉛筆を持たせることです。
5 つ目は、その日の終わりに記録表を書くことです。測る項目は 3 つです。親が代わりに手を動かした分数、親が問いを出した回数、お子さまが自分で決めた回数。一緒にした作業は分数に数えません。数えるのは、親の手が「代わりに」動いた時間だけです。
記録表の例です。風で動く車の工作で、12 日のうち 6 日分を抜いています。
| 日付 | 作業 | お子さまが決めたこと | 親が代わりにしたこと | 親の分数 |
|---|---|---|---|---|
| 8 月 5 日 | テーマ決め | 風で動く車にする | 候補を 3 つに絞るのを手伝った | 10 |
| 8 月 6 日 | 材料の買い物 | 段ボールと割り箸を選んだ | 一緒に店に行った | 0 |
| 8 月 7 日 | 車体を切る | 幅を 12 cm にした | 刃の向きを直した | 5 |
| 8 月 9 日 | 車輪の軸をつける | ストローを軸受けにした | 穴の位置に印をつけた | 10 |
| 8 月 12 日 | 走らせて測る | うちわであおぐ回数を 5 回に決めた | 巻き尺を押さえた | 5 |
| 8 月 14 日 | 模造紙の下書き | 見出しの順を決めた | 題名の字の大きさを決めた | 15 |
6 日分の親の分数を足すと 45 分です。全体の 360 分に対して 12.5 パーセントです。私は 1 割を目安にしています。1 割を超えた日があってもかまいません。大事なのは、超えた日に何があったかを表が覚えていることです。「8 月 14 日は親が 15 分」と書いてあれば、次の年に「下書きは手を出しすぎた」と自分で読み返せます。
声のかけ方は、言葉を決めておくと迷いません。使う言葉は 4 つです。「今、何に困っているの」「どっちにする」「どうしてそう思ったの」「それ、書いておこう」。避ける言葉も 4 つです。「貸して」「そうじゃなくて」「こうすれば早い」「それは失敗するよ」。避ける側の 4 つは、どれも親が先に答えを持っている言葉です。親が答えを持っていても、口に出さなければ、お子さまの研究のままです。
まとめ方
模造紙に書くとき、親の手が入った部分を隠さないのが型です。図3のように、模造紙を横長に置き、左上に題名、左の列に動機、予想、方法、右の列に結果、考察、感想を置きます。そして右下に「手伝ってもらったこと」の欄を作ります。ここに記録表から写します。「段ボールを切るとき、父にカッターの刃の向きを直してもらった」「巻き尺を母に押さえてもらった」。この欄がある模造紙は、読む人に筋が通って見えます。手伝いを隠した模造紙は、文の調子が途中で変わるので、読む人にわかります。

模造紙の多くは 788 mm × 1091 mm の四六判です。横長に置くと、左右に 2 列を取ってちょうどよい幅になります。下書きは、模造紙を 4 分の 1 に縮めた紙に、鉛筆で見出しの位置だけ描きます。この下書きも、お子さまが描きます。親がやってよいのは、定規を渡すことと、「題名は何字にする」と聞くことまでです。
親が直してよい箇所は 3 つだけです。名前と題名の誤字、日付の間違い、安全に関わる記述です。たとえば「一人でカッターを使った」と書いてあったら、事実を確かめ直して、一緒に使ったなら「父と一緒に」と直してもらいます。直してはいけない箇所も 3 つです。考察の文、グラフの形、予想が外れたという記述です。グラフの目盛りがずれていても、ずれたまま貼ります。親が「きれいに描き直してあげる」と言った瞬間に、そのグラフは親のものになります。
考察は、お子さまの言葉で書きます。親が「つまり、風が強いほど速いってことね」と言い換えると、その言い換えが模造紙に載ります。親ができるのは、「結果を見て、予想と違ったところはどこ」と聞くことです。違ったところをお子さまが指させたら、「それを書こう」と言います。書き方を教える必要はありません。「予想では 2 本のほうが速いと思ったが、1 本のほうが速かった」と、見たままを書けば考察になります。
中学生のレポートなら、最後に「協力してもらったこと」の項目を 2 行から 3 行で置きます。「材料の買い物と、カッターを使う作業は父と一緒に行った」「それ以外は自分で行った」。この 2 行があるだけで、どこまでが本人の手かが読む人に伝わります。
うまくいかないとき
親が先に段ボールを切ってしまったときは、戻せません。切った物を捨てないでください。「親が切った試作 1 号」として残し、お子さまがもう 1 枚で 2 号を切ります。1 号と 2 号を並べて走らせれば、それ自体が結果になります。「1 号は父が切った。2 号は自分で切った。走った距離はこうだった」と書けば、親の失敗も研究の一部に変わります。記録表には「8 月 7 日、親が車体を 1 つ切った、20 分」と正直に書きます。
お子さまが「全部やって」と言うときは、線引きの紙を指して、「一緒にする」の列から始めます。買い物に行く、材料を並べる、どちらも一緒にできます。手を動かし始めると、「自分でやる」の列に戻りやすくなります。それでも動かない日は、その日は 30 分で終えて、翌日にします。1 日空けると動き出すことが多いです。
親の答えをそのまま書いてしまったときは、「どうしてそう思ったの」と聞きます。答えられなければ、その文を消します。消した分だけ短くなってかまいません。短くて本人の言葉で書かれた考察のほうが、長くて親の言葉で書かれた考察より、読む人に伝わります。
工作が動かなかった、実験が予想どおりにならなかったときは、それを結果として書きます。「動かなかった」とそのまま書き、「なぜ動かなかったか」を考察に書きます。親が成功するまで作り直させるのは、親の研究にしてしまう近道です。動かなかった車の写真と、動かなかった理由の候補を 3 つ並べれば、立派な研究です。
きょうだいがいて年齢差があるときは、線引きの紙を 1 人 1 枚にします。小学校低学年のお子さまには「一緒にする」の列を広めに、高学年や中学生には狭めに取ります。同じ紙で 2 人分を決めると、上の子が「弟ばかり手伝ってもらっている」と感じます。
よくある質問
低学年でも同じ線引きでいいですか
列の分け方は同じで、「一緒にする」の列に入る作業を増やします。小学 1 年生や 2 年生なら、測る、数える、書くも、最初の 1 回は一緒にします。2 回目からは「お子さまがする」に移します。線引きの紙そのものを親が書いてしまわず、お子さまに絵で描いてもらっても十分です。
親が理科を教えられないときはどうしますか
教えなくて済みます。親の役目は答えを知っていることではなく、問いを 1 つ出すことと、2 分待つことです。理屈は学校の教科書の該当する単元を一緒に開けば足ります。親が「わからない」と言って一緒に教科書を開く姿は、お子さまにとって、答えを教わるより学びになります。
手伝ったことを書くと、評価が下がりませんか
評価の基準は学校や審査によって違うので、断言はしません。ただ、手伝いを書かなかった模造紙は、文の調子が途中で変わり、どこからが親の手かが読む人に見えてしまいます。書いてある模造紙のほうが、全体の筋が通ります。手伝った分数と内容を正直に書いた研究で、そのことを理由に困った例を、私は見ていません。
親の関わり方と個別指導で確かめること
親が手を出しすぎたかどうかは、記録表の分数を見ればわかります。個別指導で確かめるのは 3 つです。線引きの紙があるか、記録表に親の分数が書いてあるか、考察がお子さまの言葉で書いてあるかです。講師は親の代わりに手を動かす人ではなく、親と同じように、問いを 1 つ出して 2 分待つ側に立ちます。模造紙の下書きを持ってきてもらい、「ここはどうしてこう書いたの」と聞くだけで、本人の言葉かどうかはその場でわかります。親が持ってきた下書きは、お子さまに持ち直してもらいます。
まとめ
段ボールの最初の 1 辺にカッターを入れる手は、お子さまの手でなければなりません。親の手が動いた時間を分数で書き、模造紙の右下にその欄を作る。それだけで、研究は最後まで本人のものとして残ります。親の分数を正直に書いた模造紙が、いちばん強い自由研究です。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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