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中学生の自由研究—テーマの決め方と、仮説の立て方|武蔵野個別指導塾

部活の休みの3日で中学生が進める型です。変える条件を1つに絞り、「糸を4倍にすると1往復は2倍くらい」のような仮説を先に書くと、測った数から考察まで一気に書けます。
中学生の自由研究は、次の 5 つの手順で 3 日あれば形になります。
| 手順 | すること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 1 | 気になることを 10 個書き出し、1 つに絞る | 30 分 |
| 2 | 変える条件を 1 つ、測る物を 1 つ決める | 30 分 |
| 3 | 「〜を〜にすると、〜は〜になるだろう」の形で仮説を書く | 15 分 |
| 4 | 条件を 3 段階以上に変え、それぞれ 3 回ずつ測る | 半日 |
| 5 | 表とグラフにし、仮説と比べて考察を書く | 半日 |
よくあるのは、部活が休みに入った 8 月の中ごろ、朝練の無い日が 3 日続くのに、机の上に白いままの自由研究の用紙が置いてある、という場面です。テーマは思いつかないわけではなく、どれも大がかりに見えて手が出ないだけ、ということがほとんどです。部活の休みの 3 日は、仮説を 1 本立てて確かめるのにちょうどよい長さです。小学生のころの「観察して感想を書く」から、中学生の「仮説を立てて測る」へ切り替える手順を、順に書きます。
テーマの選び方
中学生のテーマ選びで最初に決めるのは、題材ではなく「何を変えて、何を測るか」です。題材が振り子でも植物でも駅前の人通りでも、変える条件が 1 つで、測る物が数で出てくるなら、それは中学生の研究になります。逆に、題材がどれほど立派でも、変える物が 2 つも 3 つもあると、結果がどの条件のせいなのかがわからなくなり、考察が書けません。
図1のように、気になることをまず 1 つ選び、そこから変える条件を 1 つ、測る物を 1 つ取り出し、最後に仮説の文にします。この 4 段をノートに縦に書くだけで、研究の骨組みが決まります。

気になることが浮かばないときは、部活の道具や家の台所を見渡してください。ボールの空気圧、ラケットの糸の張り、麦茶の冷え方、洗濯物の乾き方、どれも「何かを変えると何かが変わる」物です。中学生が家で安全にできて、しかも条件を変えて数で測れるテーマを表にまとめます。
| テーマ | 変える条件 | 測る物 | 教科 |
|---|---|---|---|
| 振り子 | 糸の長さ | 10 往復にかかる時間 | 理科 |
| 輪ゴムで走る車 | 輪ゴムを巻く回数 | 止まるまでに進んだ距離 | 理科 |
| 砂糖と食塩のとける量 | 水の温度 | とけきった量 | 理科 |
| 氷のとけ方 | 下に敷く紙の色 | とけ終わるまでの時間 | 理科 |
| 紙飛行機 | 翼の幅 | 飛んだ距離 | 理科 |
| カイワレ大根の育ち方 | 光を当てるかどうか | 5 日目の茎の長さ | 理科 |
| 洗濯物の乾き方 | 干す場所 | 2 時間後の重さの減り | 理科 |
| 駅前の人通り | 時間帯 | 10 分間に通った人の数 | 社会 |
| 野菜の値段 | 曜日 | 同じ野菜 1 個の値段 | 社会 |
| サイコロ | 振る回数 | 1 の目が出た割合 | 数学 |
表の 10 本に共通するのは、変える条件が 1 列、測る物が 1 列で書けていることです。自分で思いついたテーマも、この 2 列に書けるかどうかで判断してください。「水と植物の関係」のように 2 列に書けないテーマは、「水の量を変えて 5 日目の茎の長さを測る」のように書き直せば研究になります。
もう 1 つの決め方は、測る道具が家にあるかどうかです。定規、はかり、スマートフォンのストップウォッチ、温度計、この 4 つでほとんどのテーマは測れます。砂糖や食塩をお湯にとかす実験は、お湯を扱うので大人と一緒に行い、やけどをしない温度から始めてください。氷を日なたに置く実験は、直射日光の下で長時間待たず、こまめに日かげに戻って記録します。
進め方
変える条件を 1 つに決めたら、次に「そろえる条件」を書き出します。変える条件が主役なら、そろえる条件は舞台の固定です。ここを書き出さずに始めると、測るたびに何かが違っていて、ばらついた結果の原因がわからなくなります。
振り子を例にします。変える条件は糸の長さ、測る物は 10 往復にかかる時間です。そろえる条件は、おもりの重さ、ふれはばの大きさ、糸の種類、糸を結ぶ位置、測る人、測り方の 5 つです。図2のように、長さの違う 3 本の振り子を、同じおもり、同じふれはばで並べて考えると、何をそろえるのかが目に見えます。

仮説は、変える条件と測る物を使った一文にします。型は「糸の長さを長くすると、10 往復の時間は長くなるだろう。なぜなら、おもりが通る道のりが長くなるからだ」です。前半が予想、後半がその理由で、この 2 つがそろって初めて仮説と呼べます。理由が間違っていてもかまいません。あとで結果と見比べたとき、理由の方が修正の材料になります。
さらに一歩進めて、数の入った仮説にすると、考察が書きやすくなります。「糸を 4 倍の長さにすると、10 往復の時間は 4 倍になるだろう」のように、予想を数で言い切っておきます。測った値が 4 倍にならなければ、その差そのものが考察の主役になります。
測るときの決まりは 3 つです。
- 条件は 3 段階以上に変える。振り子なら 25 cm、50 cm、100 cm のように、倍々で変えると差が見えやすくなります。
- 同じ条件で 3 回測り、平均を取る。1 回の値は、手の離し方や目の錯覚でずれます。
- 1 往復ではなく 10 往復を測り、あとで 10 で割る。1 往復を測ると、ストップウォッチを押す指の遅れが結果の大半を占めてしまいます。
ふれはばは小さく、糸がたるまない程度に保ちます。おもりを離すときは、押し出さずに手を開くだけにします。糸の長さは、結び目からおもりの中心までを測ります。記録の表は、測る前に作っておきます。
| 糸の長さ | 1 回目 | 2 回目 | 3 回目 | 平均(10 往復) | 1 往復 |
|---|---|---|---|---|---|
| 25 cm | 10.1 秒 | 9.9 秒 | 10.0 秒 | 10.0 秒 | 1.0 秒 |
| 50 cm | 14.1 秒 | 14.3 秒 | 14.2 秒 | 14.2 秒 | 1.4 秒 |
| 100 cm | 20.0 秒 | 20.3 秒 | 20.0 秒 | 20.1 秒 | 2.0 秒 |
この表は記録の例で、家の糸やおもりの付け方によって前後しますが、糸を 4 倍にすると 1 往復の時間が 2 倍くらいになる、という傾向はよく見られます。4 倍にしたのに 4 倍にならなかった、という形で仮説とのずれが数で出るのが、この研究のおもしろいところです。
おもりの重さを変えたら時間はどうなるか、と気になったら、それは別の研究です。今回は糸の長さだけを変え、重さの実験は「次に調べたいこと」として考察に書きます。1 本の研究で 2 つの条件を追わないことが、中学生の研究を研究らしくします。
他のテーマでも組み立ては同じです。輪ゴムの車なら、巻く回数を 5 回、10 回、20 回と変え、床の材質、車の重さ、放す位置をそろえ、止まった所までの距離を 3 回ずつ測ります。カイワレ大根なら、光を当てる鉢と箱をかぶせる鉢を用意し、種の数、水の量、置く部屋の温度をそろえ、5 日目の茎の長さを 1 本ずつ測って平均します。駅前の人通りなら、朝 8 時、昼 12 時、夕方 6 時と時間帯を変え、立つ場所、数える向き、数える時間の長さをそろえ、同じ曜日に 2 日分数えます。
まとめ方
中学生のレポートは、見出しを決まった順に並べるだけで読みやすくなります。題、動機、仮説、方法、結果、考察、感想、参考にした物の 8 つです。方法の中に「変えた条件」「そろえた条件」「測った物」の 3 行を必ず入れます。この 3 行があるだけで、読む人は実験の形を一目でつかめます。
結果は表とグラフの両方で見せます。表は測った値をそのまま、グラフは傾向を見せるための物です。変える条件が長さや温度のように連続した量なら折れ線グラフ、時間帯や紙の色のように飛び飛びの物なら棒グラフを選びます。横軸に変えた条件、縦軸に測った物を置きます。図3は振り子の記録の例を折れ線グラフにした物で、横軸が糸の長さ、縦軸が 1 往復の時間です。

図3のように、横軸の目盛りは 0 から始め、25、50、100 を実際の間隔で打ちます。3 点を等間隔に並べてしまうと、4 倍の長さで 2 倍の時間という関係が、見た目では読み取れなくなります。縦軸も 0 から始め、1 往復の時間が 1 秒、1.4 秒、2 秒と上がっていく様子が、線の傾きでわかるようにします。
考察は、結果の数と仮説を並べて書きます。書き方の順は、仮説が合ったか外れたか、どれだけずれたか、ずれた理由として考えられること、次に調べたいこと、の 4 つです。振り子の例なら、「糸を 4 倍にすると時間も 4 倍になると予想したが、記録では 2 倍にとどまった。道のりは 4 倍になったはずなので、長い振り子ほどおもりが速く動いていると考えられる。次は、同じ長さで重さを変えて時間を測りたい」のように、数と理由をつなげます。
考察で割合を使うときは、計算をレポートに残します。たとえば食塩水の濃さを変える研究なら、水 100 g に食塩 25 g をとかしたとき、濃さは 25 ÷ 125 で 20 % と書き、分母に水だけでなく食塩も入れたことがわかるようにします。計算の式を残しておくと、あとで自分が読み返したときにも、先生が読んだときにも、どこで間違えたかをたどれます。
感想は考察と分けます。考察は結果から言えること、感想は自分が感じたことです。「楽しかった」は感想、「長い振り子ほど速く動く」は考察で、この 2 つが混ざると、せっかくの考察が感想に埋もれて見えなくなります。参考にした物は、教科書の単元名と、使った道具の名前を書けば足ります。
うまくいかないとき
3 回測った値がばらばらで、平均を取る気になれないことがあります。原因の多くは測り方で、ふれはばが毎回違う、ストップウォッチを押す目印が決まっていない、糸がたるんでいる、のどれかです。測り直す前に、そろえる条件の表をもう一度見て、抜けている項目を足してください。ばらつきが減らないなら、回数を 5 回に増やし、いちばん大きい値といちばん小さい値を除いて平均を取る方法もあります。
仮説が外れたときは、外れたまま書きます。「糸を 4 倍にしたら 4 倍になるはずだったのに 2 倍だった」は、失敗ではなく結果です。外れた理由を考える段落が、合ったときよりも長く、深く書けます。むしろ仮説どおりの結果しか出なかったレポートの方が、考察に書くことが少なくて困ります。
差が出ないときは、変える幅が小さすぎることが多いです。輪ゴムを 5 回巻きと 6 回巻きで比べても距離はほとんど変わりません。5 回、10 回、20 回のように倍々で変えると、差がはっきりします。それでも差が出ないなら、「この範囲ではこの条件は結果に影響しない」が結論で、それもまた立派な結果です。
時間が足りないときは、段階の数を減らさず、1 段階あたりの回数を 3 回から 2 回に減らします。段階が 2 つだけだと、増えているのか減っているのか、まっすぐなのか曲がっているのかが読めません。3 段階で 2 回ずつの方が、2 段階で 5 回ずつより、グラフとして多くを語ります。
よくある質問
仮説が外れたら、評価は下がりますか
下がりません。中学生の自由研究で見られるのは、仮説が当たったかどうかではなく、仮説を立て、条件をそろえて測り、結果から理由を考えたかどうかです。外れた仮説は、考察を書く材料が増えたということです。外れた理由を 2 つ以上挙げて、次にどう確かめるかまで書けば、当たった研究より読みごたえが出ます。
中 1 と中 3 で、求められる物は違いますか
骨組みは同じで、違うのは理由の深さです。中 1 なら、変える条件を 1 つにして測り、傾向を言葉で書ければ十分です。中 3 なら、教科書で習った言葉を使って理由を書き、結果を割合や比で言い直すところまで求められます。どちらも、変える条件が 1 つで、測る物が数で出ていれば、学年に合った評価を受けます。
理科以外のテーマでも仮説は要りますか
要ります。社会でも数学でも、「〜を変えると〜はこうなるだろう」の形は同じです。駅前の人通りなら「夕方の方が朝より多いだろう。なぜなら、帰宅する人と買い物をする人が重なるからだ」が仮説です。数えた結果が仮説と違えば、その理由を考えるのが考察で、理科とまったく同じ手順です。
親の関わり方と個別指導で確かめること
保護者の方にお願いしたいのは、材料をそろえることと、お湯や高い所を使う場面に立ち会うことの 2 つです。仮説を代わりに考えたり、グラフを代わりに描いたりすると、お子さまが考察で書くことが無くなります。「なぜそう思うの」と聞くだけで、理由の段落は自然にふくらみます。
個別指導で確かめるのは、変える条件が 1 つになっているか、仮説が測れる形で書けているか、考察が結果の数から出ているか、の 3 点です。この 3 点が通っていれば、題材が何であれ、中学生の研究として読まれます。
まとめ
中学生の自由研究は、変える条件を 1 つに絞り、測る物を 1 つ決め、仮説を数の入った一文にしてから測り始めれば、部活の休みの 3 日で考察まで届きます。仮説が外れたら、そのずれを数で書き、理由を考え、次に調べたいことを添えます。測る前に表を作り、測ったあとにグラフを描く、この順番を守るだけで、レポートの半分は書き上がっています。外れた仮説ほど、考察の 1 行目を自分の言葉で書かせてくれます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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