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高校生の自由研究—探究の課題につなげる進め方|武蔵野個別指導塾

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振り子の10往復を10回ずつ測り、平均とばらつきを出して理論の値と並べるところまで、高校の探究の課題にそのまま使える自由研究の進め方を、問いの立て方から順に追います。

高校生の自由研究は、夏の宿題で終わらせずに、総合的な探究の時間の課題へそのままつなげる形で組むと、二度手間がなくなります。進め方は次の 5 段です。

段 すること 目安の日数
1 興味を「測れる問い」まで狭める 2 日
2 先に調べられていることを教科書・図書館・公的な資料で確かめる 2 日
3 変える条件とそろえる条件を決め、同じ測定を 10 回ずつ行う 3 日
4 平均とばらつきを出し、予想と比べる 1 日
5 問い・予想・方法・結果・考察・次の問いの順でレポートにする 2 日

よくあるのは、総合的な探究の時間のあと、教室に残った数人が「で、何をやればいいの」と顔を見合わせる場面です。先生からは「自分で問いを立てて」と言われたものの、問いの立て方そのものは習っていません。配られたプリントには「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」と 4 つの箱が並んでいて、最初の箱が空のままです。夏休みの自由研究をこの最初の箱に入れてしまえば、秋の発表までが一本の道になります。この記事で扱うのは、その道の歩き方です。

問いの立て方

高校生の自由研究が中学までと違うのは、「何をしたか」ではなく「何がわかったか」で評価されるところです。だから最初に決めるのはテーマではなく問いです。問いの形は「AをBにすると、Cはどうなるか」で、A(変える条件)とC(測る量)が両方とも数で言えれば、あとは手を動かすだけになります。

図1のように、問いは 3 段で狭めます。1 段目は興味です。「音や振動が気になる」「食べ物の味の変化が気になる」「人の歩く速さが気になる」といった、まだ問いになっていない状態でかまいません。2 段目で、それを「何が何で決まるのか」の形にします。「振り子の周期は何で決まるのか」のように、調べれば答えが出そうな広さまで絞ります。3 段目で、変える物と測る物を 1 つずつに決めて、「糸の長さを 4 倍にすると、周期は 2 倍になるか」のように、はい・いいえか数で答えられる問いにします。

図1 興味から測れる問いへ、3段で狭める流れ

3 段目まで来たら、次の 3 つを自分に聞いてください。家にある物で測れるか、2 週間のうちに終わるか、数で答えが出るか。1 つでも「いいえ」なら、問いを一段戻して別の枝を選びます。たとえば「人の歩く速さは年齢で決まるか」は、年齢の違う人を何十人も測る必要があり、夏休みの間に家の周りで済ませるのは難しい問いです。「自分の歩幅は歩く速さで変わるか」なら、巻き尺と時計があれば今日のうちに測れます。問いが小さくなることを恥ずかしがる必要はありません。探究の評価で見られるのは問いの大きさではなく、問いと方法と結果が一本の線でつながっているかどうかです。

社会に向いた興味でも、狭め方は同じです。「駅前の人の流れが気になる」から始めて、「駅前の歩行者の数は曜日で違うか」に絞り、「平日と土曜の午前 10 時に、同じ横断歩道を 10 分間に渡る人の数はどれだけ違うか」まで落とせば、数えて比べるだけの問いになります。測る物が「数」であれば、理科でも社会でも、このあとの進め方はまったく同じです。

この先の例は、振り子で進めます。問いは「糸の長さを 4 倍にすると、振り子の周期は 2 倍になるか」です。周期は 1 往復にかかる時間のことで、高校の物理の教科書に出てくる式では、周期は糸の長さの平方根に比例し、おもりの重さには関係しないとされています。式を先に知っていても、自分の手で測って確かめる価値はあります。教科書の式はふれ幅が小さいときの近似で、家で測った数字がどこまで式に合うかは、やってみなければわからないからです。

進め方

先に調べられていることを確かめる

問いが決まったら、いきなり測り始める前に、同じ問いがどこまで調べられているかを確かめます。高校生の探究で求められるのは、この「先行の情報を調べた」という一手です。順番は、教科書と資料集、学校の図書館の本、公立図書館のレファレンス、公的な機関が公開している統計や資料、の順で近い所から遠い所へ広げます。インターネットの検索は最後にし、見つけた頁は「誰が、いつ、何を根拠に書いたか」が載っている物だけを使います。書いた人も日付もない頁は、いくら上の方に出てきても使いません。

調べた物は、その場でノートに 1 行ずつ控えます。書く項目は、書名か資料名、書いた人か出した機関、出た年、見た頁、わかったことの要点、の 5 つです。この控えがあとでレポートの「参考にした物」の節になります。レポートを書く段になってから探し直すと、同じ本が見つからないことが多いので、読んだその日に書いておきます。

振り子の例では、教科書に「周期は糸の長さの平方根に比例する」と書いてあるので、予想は「4 倍にすると 2 倍になる」です。ここで大事なのは、先に調べたことを「答え」ではなく「予想の根拠」として扱うことです。予想が教科書と同じでも、自分の測定がどのくらいそれに近づくか、どこでずれるかが研究の中身になります。

変える条件とそろえる条件

測る前に、変える条件を 1 つ、そろえる条件を全部書き出します。図2のように、振り子では変える条件が糸の長さ(25 cm・50 cm・100 cm の 3 段階)、そろえる条件がおもりの重さ、ふれ幅、糸の種類、測る人、測る道具です。ふれ幅は小さくそろえます。糸をつるした点の真下から 10 度くらいまでにすると、教科書の式が当てはまりやすくなります。測る道具はスマートフォンのストップウォッチで足ります。

図2 振り子の装置と、変える条件・そろえる条件の表

1 往復だけを測ると、押す指の反応の遅れが、測りたい時間と比べて無視できない大きさになります。そこで、10 往復にかかる時間を測って 10 で割ります。これを長さごとに 10 回ずつ繰り返します。合計で 30 回、1 回が 20 秒ほどなので、準備を含めても 1 時間で終わります。

糸をつるす所は、机の端に定規を出してテープで止め、定規の先に糸を結ぶと安定します。カーテンレールや棚の縁でもかまいませんが、ぐらつく所は避けてください。おもりはナットや洗濯ばさみのような、小さくて重い物にします。糸の長さは、つるした点からおもりの中心までを測ります。おもりの上端までで測ると、長さが数 cm ずれて、結果の比が合わなくなります。はさみで糸を切るときと、机の上に乗って高い所に糸を結ぶときは、大人と一緒に行ってください。

記録の表

記録は、測りながら表に入れます。列は、糸の長さ、回数、10 往復の時間(秒)、気づいたこと、の 4 列です。「気づいたこと」の列には、「糸がねじれた」「押すのが遅れた」のように、あとで数字を見直すときの手がかりを書きます。測り直したいと思っても、最初の数字は消さずに残し、横に「やり直し」と書いて新しい行を足します。消した数字は戻せませんが、残した数字はあとで使わない判断ができます。

糸の長さ 回 10 往復の時間(秒) 気づいたこと
50 cm 1 14.1
50 cm 2 14.3
50 cm 3 14.2 糸が少しねじれた
50 cm 4 14.0 押すのが早かったかもしれない

測定の日は、1 つの長さを 10 回測り終えてから次の長さに移ります。長さを変えるたびに結び直すので、25 cm・50 cm・100 cm を行ったり来たりすると、結び目の分だけ長さが変わります。順番を決めて、一方向に進めてください。測定の日付と時刻、部屋の温度や風の有無も、表の上に一行で書いておきます。あとで「2 日目だけ数字が違う」とわかったときに、原因を探す手がかりになります。

まとめ方

レポートの型

高校生のレポートは、問い・予想と根拠・方法・結果・考察・次の問い・参考にした物、の 7 つの節で組みます。中学までの「動機・方法・結果・感想」との違いは、「予想の根拠」と「次の問い」が入ることです。予想の根拠には、先に調べた教科書や資料の要点を書きます。次の問いには、今回の結果から出てきた新しい疑問を 1 つ書きます。探究の時間の課題として出すときは、この「次の問い」がそのまま秋以降のテーマになります。

結果の節には、測った数字の表と、それをまとめた数字(平均とばらつき)と、グラフを置きます。考察の節には、予想と結果がどこまで合ったか、合わなかったならその理由として考えられることを書きます。「楽しかった」「大変だった」は感想なので、考察には入れません。書きたければ最後に 2 行だけ「振り返り」として足します。

平均とばらつき

10 回測った数字を 1 つにまとめるのが平均です。10 個の数字を全部足して 10 で割ります。50 cm の糸で 10 往復を 10 回測って、14.1、14.3、14.2、14.0、14.4、14.2、14.1、14.3、14.2、14.2 秒という記録になったとします。合計は 142.0 秒なので、平均は 14.20 秒、1 往復あたりは 1.42 秒です。

平均だけでは、その数字がどのくらい信じられるかがわかりません。そこで、ばらつきも一緒に出します。いちばん簡単なのは範囲で、最大から最小を引いた値です。上の記録では 14.4 から 14.0 を引いて 0.4 秒です。もう一段進めると、それぞれの数字が平均からどれだけ離れているかを 2 乗して平均し、その平方根をとった値を使います。これが標準偏差で、上の記録ではおよそ 0.11 秒になります。計算は表計算ソフトや電卓の関数で出せます。高校生の自由研究では、平均と範囲まで書ければ十分で、標準偏差まで書けると「測定の精度」の話ができます。

図3のように、10 回の記録を点で並べて、平均の線を引くと、ばらつきが目で見えます。点が平均の線の近くに集まっていれば、その平均は信じてよい数字です。点が左右に散っていれば、測り方に揺れがあったか、条件がそろっていなかった印です。

図3 50 cmの糸で測った10回の記録と平均の線

同じように 25 cm と 100 cm でも平均を出します。25 cm で平均 10.0 秒、100 cm で平均 20.0 秒という結果になったとすると、100 cm は 25 cm の 2.00 倍で、予想どおり「長さ 4 倍で周期 2 倍」に近い数字です。50 cm は 25 cm の 1.42 倍で、2 の平方根(約 1.414)とほぼ同じです。こうした比を 1 つの表に並べ、教科書の式から出る理論の値(25 cm で約 10.0 秒、50 cm で約 14.2 秒、100 cm で約 20.1 秒)を横に置くと、考察の材料がそろいます。ここで出した数字は 1 つの例なので、自分の測定では必ず違う値になります。違うのが普通で、どこがどれだけ違ったかを書くのが考察です。

考察の文は、「結果」「理論との差」「差の理由として考えられること」「次に確かめたいこと」の順に 4 文で書くと形が崩れません。たとえば、「100 cm の平均は 25 cm の 2.00 倍で、予想の 2 倍と一致した。50 cm は 1.42 倍で、理論の 1.414 倍との差は 0.01 以下だった。範囲が 0.4 秒あったのは、押す瞬間の判断が回ごとに揺れたためと考えられる。次は、ふれ幅を 10 度と 30 度にして周期の差を測りたい」という形です。数字を 3 つ以上入れて、感想の語を入れなければ、それだけで考察として読めます。

グラフ

横軸に糸の長さ、縦軸に周期の平均をとった折れ線グラフが基本です。3 点しかなくても折れ線にして、理論の値の線を一緒に引くと、測定が理論に沿っているかが一目でわかります。各点には範囲をひげとして付けます。点の上下に、最大と最小の所まで短い線を伸ばすだけです。ひげが付いていると、「この点は上下 0.2 秒くらい揺れる」という情報が読む人に伝わります。横軸の目盛りは 0 から始め、25・50・100 を等間隔ではなく実際の間隔で打ちます。等間隔に打つと、長さと周期が比例しているように見えてしまい、平方根の関係が隠れます。

うまくいかないとき

よくある失敗は 3 つです。1 つ目は、10 回の記録が大きく散ることです。範囲が 1 秒を超えるようなら、押すタイミングの問題が大きいので、「おもりが右端に来た瞬間」のように、押す瞬間の決め方をそろえてから測り直します。2 つ目は、長さの比と周期の比が合わないことです。糸の長さをおもりの中心まで測っていないか、ふれ幅が大きすぎることが多いので、長さの測り方とふれ幅を見直します。3 つ目は、途中で糸が切れたり、おもりが外れたりして、記録が途切れることです。途切れた所から再開し、「何回目で糸を替えた」と記録に残せば、結果として使えます。

失敗した記録も、捨てずにレポートに残します。「ふれ幅を 30 度にしたときの 10 往復は、10 度のときより 0.2 秒ほど長かった」という結果が出ることが多く、これは教科書の式が「ふれ幅が小さいとき」に限られることを自分の手で確かめた、立派な考察の材料です。うまくいかなかった回を「失敗」の節ではなく、「条件を変えたときの結果」として書き直すと、研究の厚みが増します。

測定そのものが途中で止まったときは、問いを 1 段戻します。3 つの長さで比べる予定が 2 つしか測れなければ、「長さを 2 倍にすると周期は何倍になるか」に問いを小さくし、その範囲で結論を出します。小さい問いに正直な答えを出す方が、大きい問いに曖昧な答えを出すより評価されます。

よくある質問

探究の課題と自由研究を同じ物にしてよいのですか

学校によって扱いが違います。探究の課題を年間を通して進める学校なら、夏休みの自由研究はその最初の測定として位置づけられます。ただし、同じレポートを 2 つの課題にそのまま出すのは避け、自由研究で測った結果を「探究の 1 回目の測定」とし、秋以降に条件を増やす形にすると、どちらの先生にも説明がつきます。迷ったら、夏休みの前に担当の先生へ「自由研究の結果を探究の課題に使ってよいか」と一言聞いておくのがいちばん確かです。

統計はどこまで書けばよいですか

平均と範囲までで十分です。標準偏差まで出せれば、測定の精度について一段深い考察が書けます。それ以上の方法は、高校生の自由研究では求められていませんし、意味を理解せずに書くと、かえって聞かれたときに答えられなくなります。使った方法は、聞かれたら自分の言葉で説明できる範囲にとどめてください。

文系の生徒でも理科の実験でよいのですか

かまいません。問いの立て方、条件のそろえ方、平均とばらつきの出し方は、理科でも社会でも同じです。「家の前の道を通る自転車の数は時刻でどう変わるか」のような問いなら、道具はカウンターと時計だけで、進め方は振り子とまったく同じです。測る対象を自分の興味に合わせれば、教科の枠は気にしなくてよい物です。

親の関わり方と個別指導で確かめること

高校生の自由研究で保護者にできることは、測定の場所と時間を確保することと、「結果はどうだった」ではなく「予想とどこが違った」と聞くことです。結び目を結び直す、ストップウォッチを押す、といった手は、お子さまが自分で動かします。個別指導で確かめるのは、問いが「AをBにするとCはどうなるか」の形になっているか、平均と範囲の計算が合っているか、理論の値との比べ方が正しいか、の 3 点です。計算のずれは、その場で一緒に電卓を叩けば数分で見つかります。

まとめ

問いを「糸の長さを 4 倍にすると周期は 2 倍か」の形まで狭め、10 回ずつ測って平均と範囲を出し、理論の値と並べて考察を書く。この手順を夏のうちに一度通しておけば、秋の探究の時間は「次の問い」から始められます。自分の手で出した 14.2 秒と教科書の 14.19 秒の差を、自分の言葉で説明できたとき、その研究は自由研究から探究に変わっています。

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