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小論文の例文—課題文型とテーマ型の答案の組み立て|武蔵野個別指導塾

課題文型とテーマ型の小論文を、序論100字と本論400字と結論100字の骨組みに分け、自作の例文で見ていきます。赤字で返された答案を構成・根拠・文の3つに分けて直す順番もたどれます。
小論文の例文は、文を写すためではなく、段落の役割を見るために読みます。読み方の手順は次の4つです。
- 問いを1行で書き写し、例文がその問いにどう答えているかを探す。
- 例文を序論・本論1・本論2・結論の4つに切り、段落ごとに役割の名前を付ける。
- 根拠の段落だけを、自分の経験と知識で入れ替える。
- 600字なら序論100字、本論200字と200字、結論100字の配分で、自分の答案を組み立てる。
よくあるのは、初めて書いた小論文が、赤字でいっぱいになって返ってくるという場面です。段落の横に「根拠は」と書かれ、最後の行には「結局どちらの立場ですか」という赤い字と、二重線。自分では書けたつもりだったのに、どこから直せばよいのかがわからず、答案用紙を机の端に寄せてしまいます。この赤字は、文が下手だという印ではありません。答案の骨組みが読み手に見えなかったという印です。骨組みは、例文から借りられます。借り方を順に見ていきます。
書く前にすること
赤字になる答案のほとんどは、書く前のメモが無いまま、1行目から書き始めています。書く前に用意するのは、図1のような6つの枠を埋めたメモです。枠の順に埋めれば、答案の骨組みはメモの段階でできあがります。

1つ目の枠は「問い」です。設問の文をそのまま書き写すのではなく、「何について、どう答えるのか」の形に言い換えます。たとえば「次の文章を読み、筆者の考えについてあなたの意見を述べなさい」という設問なら、「筆者の考えに賛成か反対か、理由を付けて答える」と書き直します。「あなたの考えを自由に述べなさい」という設問でも、何を書いてもよいという意味ではなく、問いの中にある語を使って答える必要があります。
2つ目の枠は「筆者の主張」です。課題文型でだけ使います。課題文を読み終えたら、筆者が一番言いたいことを1文で書きます。課題文の中の言葉をそのまま並べるのではなく、「筆者は、〜だから〜だと言っている」の形にします。この1文が書けないときは、課題文の最後の段落と、繰り返し出てくる語をもう一度探します。テーマ型では、この枠に「テーマの語の意味」を書きます。たとえば「協力」がテーマなら、「協力とは、目的を同じくする人が、役割を分けて動くこと」のように、自分の答案で使う意味を決めておきます。
3つ目の枠は「立場」です。賛成か反対か、必要か不要か、どちらかに決めます。「どちらとも言える」は立場ではありません。決められないときは、根拠が多く出せる方を選びます。小論文は本心を当てる試験ではなく、選んだ立場を根拠で支えられるかを見る試験です。本心と違う立場を選んでも、根拠がそろっていれば答案として成り立ちます。
4つ目と5つ目の枠は「根拠1」と「根拠2」です。根拠は、自分が見たこと、やったこと、学校で習ったことの中から、立場を支えるものを2つ選びます。「みんなそう言っている」「ニュースでよく聞く」は根拠になりません。「部活の大会前に、役割を決めずに練習した週は、同じ失敗が3回続いた」のように、いつ、どこで、何が起きたかが書けるものを選びます。2つ目が出ないときは、1つ目の根拠を別の場面でもう一度確かめる形にしても構いません。
6つ目の枠は「反対と答え」です。自分と反対の立場の人が言いそうなことを1つ書き、それに対する自分の答えを添えます。この枠があるだけで、答案は一方的な主張ではなく、考えた跡のある文章になります。反対意見は、自分の立場に一番きついものを選びます。弱い反対意見を倒しても、読み手は納得しません。
メモは、箇条書きで十分です。1つの枠に1行から2行。全部で10分以内に書きます。10分を超えるなら、立場か根拠のどちらかで迷っている印なので、迷っている枠を飛ばして先に進み、あとで戻ります。メモの6つの枠が埋まった答案と、埋まらないまま書き始めた答案は、読み手が最初の3行を読んだ時点で区別がつきます。
書き方の手順
メモができたら、4つの段落に流し込みます。図2のように、600字の答案なら、序論に100字、本論1に200字、本論2に200字、結論に100字を配ります。800字なら、序論120字、本論1と本論2に280字ずつ、結論120字です。この配分は目安で、本論が長くなり結論が短くなるのは構いませんが、序論が本論より長くなる答案は、問いに答える前に終わってしまいます。

序論の役割は、問いを受け取ったことを示し、立場を1文で宣言することです。課題文型なら、最初の1文か2文で筆者の主張を要約し、次の1文で「私はこの考えに賛成である」「私はこの考えには反対である」と書きます。テーマ型なら、最初の1文でテーマの語の意味を決め、次の1文で立場を書きます。序論に自分の経験を書き始めると、本論との区別がつかなくなるので、序論では経験に触れません。序論の最後に、立場の理由を一言だけ添えると、本論への橋になります。
本論1の役割は、根拠1を具体で示すことです。段落の最初の1文で「第一に、〜だからである」と根拠を言い切り、続く3文から4文で、その根拠の中身を具体に書きます。具体とは、場面が目に浮かぶ書き方のことです。「努力は大切だ」は具体ではなく、「毎朝20分の素振りを3か月続けたら、打球の方向が安定した」が具体です。段落の最後の1文で、その具体が立場にどうつながるかを戻します。この戻しの1文が無いと、経験を書いただけの段落になり、根拠として読まれません。
本論2の役割は、根拠2を示すか、反対意見に答えることです。600字の答案では、どちらか一方で十分です。反対意見に答える形を選ぶなら、「たしかに、〜という意見もある」で始め、「しかし、〜」で切り返します。「たしかに」の後に書く反対意見を強いものにするほど、「しかし」の後の自分の答えが重く読まれます。切り返しの後には、本論1と同じく、場面の見える具体を1つ置きます。
結論の役割は、立場をもう一度言い切ることです。序論と同じ文を繰り返すのではなく、本論で示した根拠を一言で受けて、「したがって、私は〜と考える」と結びます。結論で新しい根拠を出さないこと、「〜ではないだろうか」とぼかさないこと、この2つを守れば、結論は3文で足ります。
文体は、小論文では「だ・である」でそろえます。「です・ます」と混ぜません。一文は60字以内を目安にし、「〜が、〜が、〜」と「が」でつなぎ続けません。主語と述語を近づけます。この3つは、書き終えてから読み返すときに確かめる項目で、書いている最中に気にすると手が止まります。
時間の配分は、60分の試験なら、課題文を読む10分、メモ10分、書く30分、読み返し10分です。書く時間を40分にしてメモを5分に削ると、途中で立場が揺れて書き直しが増え、結局は遅くなります。読み返しの10分は、文の赤を自分で消すための時間です。この10分を残して書き終える練習を、家で時計を置いてしておきます。
例文で見る
例文は、文をそのまま写すためのものではありません。段落の役割と、根拠の置き方を見るために読みます。そのため、答案の形ではなく、段落ごとに役割の名を付けた短い骨組みで示します。
1つ目は課題文型です。課題文が「便利な道具が増えるほど、人は自分の頭で考えなくなる」と主張しているとします。
【序論】筆者は、便利な道具が増えるほど、人は自分の頭で考えなくなると述べている。私はこの考えに反対である。道具は考える対象を変えるだけで、考える力そのものを奪うわけではない。 【本論1】第一に、道具は考える時間を別の問いに回すからである。地図の読み方を覚える代わりに、私は目的地で何をするかを前もって調べるようになった。考える量が減ったのではなく、考える場所が移った。 【本論2】たしかに、道具に任せきりにして、確かめもせずに信じる人はいる。しかし、それは道具のせいではなく、確かめる習慣がないせいである。習慣は、道具の有無とは別に身につけるものだ。 【結論】したがって、便利な道具が考える力を奪うという見方には賛成できない。奪われるのは力ではなく、確かめる習慣を持たない人の時間である。
この骨組みの良いところは3つあります。序論の1文目で筆者の主張を要約し、2文目で立場を言い切っているので、読み手は最初の3行で答案の向きを知ります。本論1の根拠が「地図の読み方」という自分の経験で、場面が見えます。本論2で、反対意見を「確かめもせずに信じる人はいる」という強い形で出してから切り返しているので、一方的に聞こえません。
2つ目はテーマ型です。テーマが「学校に制服は必要か」だとします。
【序論】制服とは、学校が指定し、全員が同じ形で着る服のことである。私は、制服は必要だと考える。制服は、服を選ぶ時間と、服で人を測る目を減らすからだ。 【本論1】第一に、朝の時間が守られる。私服の日に、何を着るかで15分迷い、朝食を抜いて登校したことがある。制服の日にはその15分がない。 【本論2】たしかに、制服は個性を消すという意見もある。しかし、個性は服ではなく、発言や行動に出るものである。服が同じでも、授業での意見は人によって違う。 【結論】制服は、時間と目を守る道具である。だから私は、制服は必要だと考える。
この骨組みでは、序論の1文目で「制服」の意味を自分で決めてから立場を書いています。テーマ型では、この1文があるかどうかで、答案の芯が決まります。本論1の根拠は「15分迷って朝食を抜いた」という小さな場面ですが、小さくても場面が見える根拠は、大きくても場面の見えない根拠より強く読まれます。結論が2文と短いのは、本論で根拠を出し切っているからで、短さは欠点ではありません。
2つの骨組みを、自分の答案に使うときの手順は3つです。段落の役割の名前だけを残し、文を全部消します。根拠1の枠に、自分の経験を1つ入れます。反対意見の枠に、自分の立場に一番きつい反対を入れます。これで、文は一つも同じでないのに、骨組みは同じ答案ができます。文を残したまま語だけを入れ替えた答案は、読み手には借り物だとすぐにわかります。
まちがえやすいところ
赤字で返ってきた答案には、図3のように3つの種類の赤があります。構成の赤、根拠の赤、文の赤です。直す順番もこの順です。文の赤から直し始めると、きれいな文で書かれた骨組みのない答案ができあがります。

1つ目は構成の赤で、感想文になっている答案です。
誤り: 「この文章を読んで、便利さについて考えさせられた。私も道具に頼りすぎていると思った。これからは気をつけたい。」 どこが違うか: 立場がなく、根拠もなく、「思った」「気をつけたい」という気持ちの報告で終わっています。小論文は、気持ちではなく主張を書く文章です。 直した文: 「筆者は便利さが考える力を奪うと述べるが、私は反対である。道具は考える対象を変えるだけだからだ。」
2つ目は根拠の赤で、根拠が「みんな」になっている答案です。
誤り: 「制服は必要だ。多くの人がそう言っているし、ほとんどの学校にあるからだ。」 どこが違うか: 「多くの人」「ほとんどの学校」は、確かめようのない数で、読み手には場面が見えません。他の人が言っていることは、自分の立場の根拠になりません。 直した文: 「制服は必要だ。服装で人を測る目が減るからだ。私服の日に、靴の値段を言い当てる遊びが教室で始まったのを見たことがある。」
3つ目は文の赤で、主語と述語が合っていない答案です。
誤り: 「私の考えは、制服があることで時間が守られると思う。」 どこが違うか: 主語が「考えは」なのに、述語が「思う」になっています。「考えは」を受ける述語は「〜ということだ」で、「思う」の主語は「私は」です。長い文で主語を忘れると、この形になります。 直した文: 「私は、制服があることで時間が守られると考える。」
赤字が3種類のどれかを見分けるだけで、直す場所は決まります。構成の赤なら書く前のメモに戻り、根拠の赤なら本論の段落だけを書き直し、文の赤なら1文ずつ主語と述語を線で結びます。赤字の数を数えるのではなく、種類で分けることが、直しの最初の一歩です。
よくある質問
例文を暗記して、そのまま書いてよいですか
よくありません。問いが違えば、暗記した根拠は問いからずれます。読み手は同じ例文を何度も読んでいるので、借り物の文は最初の段落で見抜かれます。暗記するなら、文ではなく、段落の役割と、「第一に」「たしかに、しかし」「したがって」という段落の入り口の語だけにします。入り口の語が決まっていれば、中身は試験場で自分の経験から出せます。
指定された長さに届きません
本論の具体を足します。いつ、どこで、何が起きたか、その後どうなったかの4つを、根拠の段落に順に書き足します。序論や結論を伸ばすと、問いに答えない部分が増えるだけです。それでも届かないときは、本論2を反対意見への答えから根拠2に変え、場面をもう1つ足します。
賛成と反対、どちらが有利ですか
どちらも同じです。根拠が2つ出せる方を選びます。筆者と反対の立場を選ぶときは、筆者の主張を正確に要約する必要があり、要約が雑だと、立場の前に赤字が付きます。筆者と同じ立場を選ぶときは、筆者の根拠をなぞるだけにならないよう、自分の場面を1つ足します。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
家で手伝うなら、文を直す役ではなく、読み手の役に回ります。お子さまの答案を読み、「それはいつのこと」「どこで見たの」と聞くだけで、根拠の段落に場面が足されます。立場を変えさせたり、言い回しを書き換えたりはしません。個別指導では、問いに答えているか、根拠に場面があるか、4つの段落がそれぞれの役割を果たしているか、この3つを答案ごとに確かめます。1本書くたびに赤字を3つの種類に分け、次の1本で同じ種類の赤を減らすことを目標にします。
まとめ
例文から借りるのは文ではなく、序論・本論1・本論2・結論という役割と、その配分です。根拠は、自分の経験から、場面の見えるものを選びます。赤字は構成、根拠、文の順に直します。借りた骨に自分の根拠を載せた答案だけが、次の赤字を減らします。
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