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解の公式—覚え方、導き方、使い方を中3の範囲で|武蔵野個別指導塾

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根号の中は b² − 4ac、分母は 2a。迷ったら平方完成の 6 行で書き戻せます。b が偶数の短い形と、因数分解と公式のどちらで解くかの決め方も例題で試せます。

二次方程式 ax² + bx + c = 0(a は 0 でない)の解の公式は、次のとおりです。

形 解の公式
いつでも使える形 x = (-b ± √(b² − 4ac)) / (2a)
b が偶数で b = 2b’ のときの短い形 x = (-b’ ± √(b’² − ac)) / a

a は x² の係数、b は x の係数、c は x が付いていない定数項です。右辺を 0 にしてから読みます。

よくあるのは、チャイムのあと日直が黒板を消してしまい、ノートに「x = (-b ±」までしか残っていないという場面です。周りが次の授業へ移っていく中、席に座ったまま思い出そうとします。根号の中は b² − 4ac だったか、分母は 2a だったか a だったか。宿題の 3x² + 5x + 1 = 0 は、整数の組をどう探しても因数分解できません。続きは上の表のとおりです。写して終わりにせず、次に黒板が消えても自分で書き戻せるところまで進みましょう。

公式の形と文字の意味

解の公式は、a、b、c の 3 つの数を入れると解が出てくる式です。中3で習い、二次方程式ならどんな式にも使えます。図1は、方程式の係数と公式の中の文字を色で結んだものです。赤の a、緑の b、オレンジの c が、下の式のどこへ入るかを目で追ってください。

図1 方程式の a b c と公式の文字の対応、判別式と分数の線の範囲

図1で矢印が指す分数の線は、-b から根号の終わりまで全部を 2a で割るという意味です。x = -b ± √(b² − 4ac) / (2a) のように括弧なしで 1 行に書くと、割る範囲が根号だけに見えてしまいます。1 行で書くときは、分子全体を必ず括弧でくくります。

係数は符号ごと読みます。書かれていない 1 や、項そのものが無いときの 0 も読み取ってください。

方程式(右辺は 0) a b c 読むときの注意
2x² + 3x + 1 = 0 2 3 1 そのまま読む
x² − 5x + 2 = 0 1 -5 2 x² の前の 1 は省略されている
-x² + 4x − 3 = 0 -1 4 -3 マイナスも係数の一部
3x² − 7 = 0 3 0 -7 x の項が無いので b = 0
5x² + 2x = 0 5 2 0 定数項が無いので c = 0

公式の部品には、それぞれ役目があります。

根号の中の b² − 4ac は判別式と呼ばれ、記号 D で表します。計算の前にここだけ見れば、解がいくつあるかが読めます。

D = b² − 4ac の値 解の個数 根号の様子
正の数 異なる 2 つ ± で 2 つに分かれる
0 1 つ(重解) ± の部分が消える
負の数 実数の解はない 根号の中が負で計算できない

判別式という名前と D の記号は数学Ⅰで習います。実数でない解(虚数解)を扱うのは数学Ⅱです。中3の問題は解のある式がほとんどなので、根号の中が負になったら、まず符号の写し間違いを疑ってください。

b が偶数のときは、b の半分を b’(b ダッシュと読みます)として、短い形が使えます。根号の中の 4 が消え、分母も a だけになるので、大きな数の計算と最後の約分が減ります。このときの根号の中 b’² − ac は、D を 4 で割った値です。中3の問題は基本の形だけでも必ず解けます。短い形は、数学Ⅰ以降で特に役に立つ近道です。

なぜこの形になるのか

解の公式の正体は、平方完成です。x² + px の形に数を足して (x + ○)² の形にできれば、あとは平方根をとるだけで解けます。中3で習う (x + m)² = n の解き方を、数字の代わりに a、b、c のまま最後までやった結果が、あの式です。

足す数は、図2の面積で見えます。

図2 x² + 2kx を正方形にするには角の k² が足りないことを示す面積図

図2の青い正方形と緑の長方形 2 枚を合わせた面積は x² + 2kx です。この L 字は、右下の角だけが欠けた正方形です。赤い点線の k² を足すと 1 辺が x + k の正方形になり、x² + 2kx + k² = (x + k)² が成り立ちます。だから足すのは「x の係数を半分にして 2 乗した数」です。x の係数が 2k なので、半分にすれば k だからです。図は x と k を正の長さとして描いていますが、式の変形は負の数でも同じように成り立ちます。

この手順を、数の式と文字の式で並べます。左の列を追ってから右の列を読むと、文字の式の意味がつかめます。

手順 数で試す 2x² + 6x + 1 = 0 文字のまま ax² + bx + c = 0
1. x² の係数で割る x² + 3x + 1/2 = 0 x² + (b/a)x + c/a = 0
2. 定数項を右へ移す x² + 3x = -1/2 x² + (b/a)x = -c/a
3. x の係数の半分の 2 乗を両辺に足す x² + 3x + (3/2)² = (3/2)² − 1/2 x² + (b/a)x + (b/(2a))² = (b/(2a))² − c/a
4. 左辺を 2 乗にまとめ、右辺を通分する (x + 3/2)² = 7/4 (x + b/(2a))² = (b² − 4ac) / (4a²)
5. 平方根をとる x + 3/2 = ±√7 / 2 x + b/(2a) = ±√(b² − 4ac) / (2a)
6. 残りを右へ移す x = (-3 ± √7) / 2 x = (-b ± √(b² − 4ac)) / (2a)

手順 3 で足した (b/(2a))² が、図2の k² にあたります。a で割ったあとの x の係数は b/a なので、その半分の k は b/(2a) です。手順 4 の右辺は、b²/(4a²) − c/a の c/a を 4ac/(4a²) に直して通分したものです。手順 5 で 4a² の平方根をとるとき、a が負なら本当は -2a ですが、前に ± が付いているので同じ 2a の形で書けます。

左の列の答えは、公式でも確かめられます。a = 2、b = 6、c = 1 を入れると x = (-6 ± √28) / 4 で、√28 = 2√7 を使って 2 で約分すれば (-3 ± √7) / 2 です。

短い形は、基本の形から 3 行で出ます。

  1. 基本の形の b に 2b’ を入れます。x = (-2b’ ± √(4b’² − 4ac)) / (2a) です。
  2. 根号の中を 4 でくくり、√4 = 2 として外へ出します。x = (-2b’ ± 2√(b’² − ac)) / (2a) です。
  3. 分子と分母を 2 で割ります。x = (-b’ ± √(b’² − ac)) / a です。

例題で使い方を確かめる

易しい順に 4 問です。どの問題も、a、b、c を書き出してから手を動かします。

例題 1 3x² + 5x + 1 = 0

冒頭の宿題の式です。和と積の組を探しても見つからないので、公式に渡します。

  1. a = 3、b = 5、c = 1 と紙に書き出します。頭の中で読むだけだと、代入の途中で符号を落としやすいからです。
  2. 根号の中を先に計算します。b² − 4ac = 25 − 12 = 13 です。式全体を一度に書くより、誤りを見つけやすくなります。
  3. 分母と -b を用意します。2a = 6、-b = -5 です。部品をそろえてから組み立てると、書き写しの誤りが減ります。
  4. 組み立てます。x = (-5 ± √13) / 6 です。13 には 2 乗の因数が無く、√13 はこれ以上簡単にならないので、ここで止めます。

答えは x = (-5 ± √13) / 6 です。

例題 2 2x² − 7x + 3 = 0

b が負の式です。-b を正しく作れるかどうかで、答えが分かれます。

  1. a = 2、b = -7、c = 3 と書きます。b を符号ごと書くのは、次に -b を正しく作るためです。
  2. 根号の中を計算します。(-7)² − 4 × 2 × 3 = 49 − 24 = 25 です。負の数も 2 乗すれば正になるので、b² が負になることはありません。
  3. √25 = 5 として根号を外します。25 は平方数なので、根号が消えます。
  4. 組み立てます。-b = 7、2a = 4 より x = (7 ± 5) / 4 です。根号が消えた分、分子は整数の足し引きだけになります。
  5. ± を分けます。(7 + 5) / 4 = 3、(7 − 5) / 4 = 1/2 です。根号が消えたときは、2 つに分けて計算し切るまでが答えです。

答えは x = 3、1/2 です。

この式は (2x − 1)(x − 3) = 0 と因数分解もできます。偶然ではありません。a、b、c が整数のとき、b² − 4ac が平方数なら、必ず整数の係数で因数分解できます。根号が消えたら「この式は因数分解で解けた式だった」と読んでください。

例題 3 3x² + 4x − 2 = 0

b が偶数の式です。短い形で解き、基本の形で答え合わせまでします。

  1. b = 4 は偶数なので b’ = 2 とします。a = 3、c = -2 です。半分の数で計算すれば、√40 のような大きな根号を作らずに済みます。
  2. 根号の中は b’² − ac = 4 − 3 × (-2) = 4 + 6 = 10 です。c が負だと、引き算が足し算に変わります。
  3. 分母は 2a ではなく a です。x = (-2 ± √10) / 3 となります。短い形は、分母の 2 がすでに約分された姿だからです。
  4. 基本の形でも確かめます。x = (-4 ± √(16 + 24)) / 6 = (-4 ± √40) / 6 = (-4 ± 2√10) / 6 となり、2 で割ると同じ式です。2 つの道が同じ答えに着くのを見ておくと、短い形を信じて使えます。

答えは x = (-2 ± √10) / 3 です。

例題 4 x² − 4x + c = 0 の c を 3、4、5 と変える

解の個数を読む問題です。式を全部解かなくても、根号の中だけで答えが決まります。

  1. a = 1、b = -4 は変わらないので、D = (-4)² − 4 × 1 × c = 16 − 4c とまとめます。c だけが動く式にしておけば、3 回同じ計算をせずに済みます。
  2. c = 3 なら D = 4 です。正なので解は 2 つで、x = (4 ± 2) / 2 より x = 3、1 です。
  3. c = 4 なら D = 0 です。± の部分が消えるので、解は x = 4 / 2 = 2 の 1 つです。2 つの解が重なった形なので、重解と呼びます。
  4. c = 5 なら D = -4 です。負なので、実数の解はありません。

答えは c = 3 のとき 2 個、c = 4 のとき 1 個、c = 5 のとき実数の解なしです。

図3は、同じことをグラフで見たものです。y = x² − 4x + c のグラフ(一般の形は数学Ⅰで習います)と x 軸の交わる点の x 座標が、方程式の解です。

図3 c を 3、4、5 と変えたときの放物線と x 軸の交点、判別式の値

図3のように、c が 1 増えるごとに放物線はそのまま上へ 1 動き、x 軸との交点は 2 個、1 個、0 個と減ります。点線の x = 2 は、-b / (2a) = 4 / 2 で求まる「真ん中」です。c = 3 の解 1 と 3 は、真ん中から 1 ずつ離れています。公式の ± が左右対称の 2 点を指していることが、形で確かめられます。

因数分解と公式のどちらで解くか

公式はどんな式にも使えますが、いつも最短とは限りません。式の形を見て、次の表で手を決めます。

式の形 最短の手 例
(x + p)² = q の形 そのまま平方根をとる (x − 2)² = 7 より x = 2 ± √7
定数項が無い x でくくる x² − 5x = 0 より x = 0、5
x の項が無い 平方根をとる x² − 9 = 0 より x = ±3
和と積の組がすぐ見える 因数分解 x² − 5x + 6 = 0 より x = 2、3
どれでもない 解の公式 3x² + 5x + 1 = 0

判断は 3 段で済みます。

  1. 式を整えます。右辺を 0 にし、分数や小数があれば掛けて整数にし、全体の公約数で割り、a が負なら全体に -1 を掛けます。たとえば 0.2x² + 0.5x − 0.3 = 0 は 10 倍して 2x² + 5x − 3 = 0 にします。係数が小さいほど、計算の誤りが減るからです。
  2. 和と積の組を 10 秒だけ探します。x² の係数が 1 の式なら、かけて c、たして b になる整数の組です。見つかれば因数分解が最短です。
  3. 10 秒で見つからなければ公式へ渡します。公式は必ず解を出すので、組を探し続ける時間のほうが無駄です。

まちがえやすいところ

どれも計算力の問題に見えて、実は読み方の問題です。多いものを 3 つ挙げます。

-b の符号を取り違える

右辺を 0 にしないまま係数を読む

約分を片方の項だけで済ませる

覚え方と忘れたときの戻り方

よく使われる語呂は、語呂合わせというより、式をそのまま音にして唱える形です。「2a 分の、マイナス b、プラスマイナス、ルート、b² マイナス 4ac」と、分母から読みます。手で書きながら声に出すと、形が残ります。

ただ、唱え方は 1 か所抜けると戻れません。だから戻り方を別に持ちます。覚えるのは「割る、移す、半分の 2 乗を足す、2 乗にまとめる、ルートをとる、移す」の 6 つの動作だけです。この順に手を動かせば、文字の式は自分で作れます。テスト中に公式が飛んでも、余白で書き戻せる長さです。

もう 1 つの保険が、解を知っている式での試し算です。分母が 2a か a かで迷ったら、解が 2 と 3 の x² − 5x + 6 = 0 に入れます。分母が 2a なら (5 ± 1) / 2 で 3 と 2 が出て、分母が a なら (5 ± 1) / 1 で 6 と 4 になり、誤りだとわかります。短い形で迷ったら、解が 1 と 3 の x² − 4x + 3 = 0 で試します。b’ = -2 なので (2 ± √(4 − 3)) / 1 = 2 ± 1 となり、合っています。

ご家庭でお子さまの勉強を見るときは、公式を暗唱できるかを聞く代わりに、「3 番目の手順で何を足すの」と聞いてみてください。「x の係数の半分の 2 乗」と返ってくれば、公式が頭から消えても戻ってこられます。

練習問題

3 問です。1 と 2 は方程式を解き、3 は k の値と解を出します。紙に a、b、c を書き出すところから始めてください。

  1. 2x² − 3x − 4 = 0
  2. x(x + 6) = 2x + 1
  3. x² + 6x + k = 0 の解がただ 1 つになる k の値と、そのときの解

答えと解説

  1. a = 2、b = -3、c = -4 です。根号の中は (-3)² − 4 × 2 × (-4) = 9 + 32 = 41 で、41 は 2 乗の因数を持たないので √41 のまま残ります。-b = 3、2a = 4 より、答えは x = (3 ± √41) / 4 です。c が負の式は、根号の中が足し算になることを確かめてください。
  2. このまま a、b、c を読まず、先に展開して右辺を 0 にします。x² + 6x = 2x + 1 より x² + 4x − 1 = 0 です。b = 4 は偶数なので b’ = 2 で、根号の中は 4 − 1 × (-1) = 5 です。a = 1 なので分母は要りません。答えは x = -2 ± √5 です。x = -2 + √5 を元の式に入れると、左辺も右辺も -3 + 2√5 になります。
  3. 解がただ 1 つになるのは、根号の中が 0 のときです。b = 6 は偶数なので b’ = 3 として、b’² − ac = 9 − k = 0 より k = 9 です。このとき x² + 6x + 9 = (x + 3)² = 0 なので、答えは k = 9、x = -3 です。判別式は、解を出す前に条件を決めるときにも働きます。

次に確かめる公式

個別指導でこの公式につまずいたときは、公式を繰り返し書くことはしません。手前の √ の簡単化、負の数の 2 乗、移項の 3 つまで戻って、どこで止まっているかを確かめます。

まとめ

右辺を 0 にして a、b、c を書き出し、根号の中を先に出す。因数分解が 10 秒で見えない式は、この手順に渡せば片づきます。ノートの「x = (-b ±」で止まった続きは、もう誰かの板書を待たなくて構いません。黒板が消されても、平方完成の 6 行があれば、公式は何度でも書き戻せます。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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