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【中学保健】心の健康を図解で総まとめ—欲求・ストレス・対処の方法|武蔵野個別指導塾

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発表の前に心臓が速くなるのはなぜか。欲求とストレス、心身相関、4 つの対処の方法を図で整理し、心のはたらきの見分けや記述問題の例題で、答案を自分の言葉で書けるようにしていきましょう。

よくあるのは、実験の結果を班ごとに発表する日、理科室の実験台の脇で順番を待っているうちに心臓が速くなり、おなかまで痛くなってくるという場面です。ところが翌週の保健のテストで「心と体が影響し合う例を書きなさい」と聞かれると、あれほど全身で味わったことなのに手が止まります。用語を知らないのではありません。教科書の言葉と自分の体験が、頭の中でまだ結びついていないのです。

この単元を学ぶと、心のはたらきの 3 つの区分、欲求の 2 つの種類、ストレスへの対処の方法を、自分の生活の例で説明できるようになります。記述問題に自分の言葉で答えられるだけでなく、実際に困ったときに、どの手を打つかを選ぶ材料にもなります。

先に、いちばん大切なことを書いておきます。眠れない、食べられない状態が続いている、学校へ行くのがとてもつらい、消えてしまいたいと思う、自分を傷つけてしまいそう。そういうときは、この先を読むより、今日のうちに家族や学校の先生に話してください。医療機関を受診するのも大切な方法で、今の状態が何なのかを判断するのは、記事でも自分自身でもなく医師です。命が危ないと感じたら 119 番に電話します。身近な人に言えないときは、文部科学省が案内している 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)に、夜間や休日でも電話で相談できます。

この単元で押さえること

「体の発達」で学ぶ思春期の変化と同じ時期に心も大きく変わり、「健康と生活習慣」で学ぶ休養や睡眠は、ここで学ぶ対処の土台になります。

基本の考え方

心は 3 つのはたらきが育っていく

心は目に見えませんが、保健では主に大脳のはたらきとして学びます。大脳は思春期にかけて発達し、そこに毎日の生活経験や学習が重なることで、心のはたらきも育っていきます。テストでよく問われるのは、このはたらきを 3 つに分ける次の表です。

はたらき 中身 理科室での例
知的機能 言葉を使う、記憶する、考える、判断する 実験の結果から理由を考えて書く
情意機能 感情と意志 失敗が悔しい、もう一度やろうと決める
社会性 自主性、協調性、責任感など、人と関わって生きる力 班で役割を分け、片づけまで受け持つ

「情意」の 2 字を分けると覚えやすくなります。「情」は感情の情、「意」は意志の意です。悔しい、うれしいという気持ちだけでなく、「それでもやり抜こう」という意志も同じ区分に入ります。知的機能は頭の良さの順位を表す言葉ではなく、社会性も友だちの多さを指す言葉ではありません。どちらも経験を積むことで少しずつ育つはたらきです。

思春期になると、「自分はどんな人間なのか」を考えるようになります。友だちと比べて落ち込んだり、周りからどう見られているかが急に気になったり、親の言葉に反発したくなったりするのは、自分を外側から見る力が育ってきたからでもあります。いろいろな人と関わり、成功も失敗も経験する中で、得意なことも苦手なことも含めた「自分らしさ」ができていきます。これを自己形成といいます。

欲求と欲求不満

「〜したい」「〜がほしい」という気持ちが欲求です。欲求は大きく 2 つに分けます。1 つは生理的欲求で、食べる、飲む、眠るなど、生きていくために体が求めるものです。もう 1 つは心理的・社会的欲求で、認められたい、仲間に入りたい、知りたい、自分で決めたいなど、成長の中で心や人との関わりから生まれてくるものです。

欲求がかなわず、イライラしたり落ち着かなくなったりする状態を欲求不満(フラストレーション)といいます。誰にでも起こることで、起きること自体は悪いことではありません。問題になるのは、その後の動き方です。実現に向けて努力する、別の目標に切り替える、今は時期を待つなど、自分や周りの状況を考えてよりよい方法を探すことが、心の安定につながります。人を傷つけたり、物に当たったりして晴らすのは、相手にも自分にも新しい問題をつくるので、適切な方法とはいえません。

ストレスと、心と体のつながり

暑さ、騒音、人間関係、テスト、発表など、周りからのさまざまな刺激によって心や体に負担がかかった状態をストレスといいます。原因になる刺激はストレッサーと呼びます。同じ刺激でも、感じ方は人によって違います。ストレスを感じること自体は自然なことで、適度なものは心の発達に必要ですが、大きすぎたり長く続いたりすると、心身の健康に影響することがあります。

理科室の脇で心臓が速くなったのは、心と体がつながっているからです。図1のように、大脳と体は神経やホルモンを通じて結ばれています。緊張という心の状態は大脳から伝わって、脈拍が速くなる、口が渇く、おなかが痛くなるといった体の変化になります。反対向きの矢印もあります。歯が痛いと勉強に集中できない、寝不足だとイライラするなど、体の状態は心に影響します。このように心と体が影響し合う関係を心身相関といいます。

図1 心と体が神経やホルモンを通じて影響し合う心身相関の模式図

ストレスへの対処には、大きく分けて 4 つの方向があります。原因そのものに働きかける、受け止め方を変える、気分転換やリラックスをする、人に相談する、の 4 つです。大切なのは、どれか 1 つが正解なのではなく、原因や自分の状況に合わせて選ぶことです。教科書によって分け方や呼び名は少し違うので、テストでは自分の教科書の言葉に合わせてください。

相談する相手には、家族、友だち、担任の先生、保健室の養護教諭、スクールカウンセラー、かかりつけの医師などがいます。学校の中に話せる人がいなければ、最初に書いた電話の窓口もあります。この窓口は保護者からの相談にも応じているので、お子さまの様子が気になるときにも使えます。つらさが強いときや長く続くときは、自分で何とかしようとせず、大人につないでもらうことが先です。

例題で解き方を確かめる

例題1 心のはたらきの見分け

次のア〜エは、知的機能・情意機能・社会性のどれに当たりますか。

解き方は次の順です。

  1. まず文の動詞に線を引きます。「考える」「決める」「協力する」「覚える」のように、何をしているかが区分の手がかりになるからです。
  2. 「考える」「覚える」のように頭で情報を扱うものを知的機能に入れます。言葉を使う、記憶する、判断するという中身にそのまま当てはまるからです。
  3. 残りのうち、気持ちや「やろう」という決意が中心のものを情意機能に入れます。感情と意志がこの区分の中身だからです。
  4. 人と関わる場面で発揮される力を社会性に入れます。相手がいないと成り立たないかどうかで、ほかの 2 つと区別できるからです。

答え: ア 知的機能、イ 情意機能、ウ 社会性、エ 知的機能

例題2 図から欲求を分ける

図2を見て答えましょう。(1)「のどが渇いたので水を飲みたい」「発表をほめられたい」「部活の仲間に入りたい」を、2 種類の欲求に分けなさい。(2) 試合のメンバーに選ばれず、悔しくて何も手につかない状態を何といいますか。また、図2の下の段から道を 1 つ選び、具体的な行動を書きなさい。

図2 2種類の欲求がかなわないときの欲求不満と、その後の3つの道
  1. 欲求を 1 つずつ読み、「体が生きるために求めているか」を考えます。図2の左上の箱に入るかどうかは、この 1 点で決まるからです。
  2. 体の求めでなければ右上の箱に入れます。ほめられたい、仲間に入りたいは、人との関わりから生まれる欲求だからです。
  3. メンバーに選ばれず悔しいという場面を、図2のまん中の箱に当てはめます。欲求がかなわず、心が落ち着かなくなった状態だからです。
  4. 下の段から道を 1 つ選び、自分の行動の形に直します。「努力する」を「苦手な練習を毎日 10 分増やす」と書けば、何をするのかが読み手に伝わる答案になるからです。

答え: (1) 生理的欲求は水を飲みたい、心理的・社会的欲求はほめられたいと仲間に入りたい。(2) 欲求不満。行動の例は、苦手な練習を毎日 10 分増やす。

例題3 図から対処の方法を読み取る

図3は、ストレスに向き合う 4 つの対処の方法を並べたものです。次の行動は A〜D のどれに当たりますか。

図3 ストレスに向き合う4つの対処の方法A〜Dを並べた図
  1. 行動の後で、ストレスの原因が小さくなるかを考えます。原因そのものに手を入れているなら A だからです。アは、範囲の広さから来る不安の元を、分量を決めることで減らしています。
  2. 出来事は変わらないのに見方だけが変わったものを探します。これが B の特徴だからです。イは失敗そのものは消えていませんが、その意味が変わっています。
  3. 心や体の緊張をゆるめているものを探します。C は原因に触れず、負担を軽くする方法だからです。ウがこれに当たります。
  4. 他の人に話しているものを D にします。話すことで気持ちが軽くなるうえに、相手の力も借りられる方法だからです。エがこれに当たります。

答え: ア A、イ B、ウ C、エ D

例題4 定期テストの形の記述問題

人前で発表する前に脈拍が速くなり、おなかが痛くなることがあります。(1) このような心と体の関係を何といいますか。(2) 起こるしくみを、大脳という語を使って説明しなさい。(3) 体の状態が心に影響する例を 1 つ書きなさい。

  1. 最初に矢印の向きを確かめます。問題文の例は心から体への向きで、(3) はその逆を聞いているため、同じ向きの例を書くと得点になりません。
    1. は用語をそのまま書きます。説明を求められていない問いに長く書くと、(2) や (3) に使う時間が減るからです。
  2. (2) は「何が」「どこを通って」「どうなる」の順に組み立てます。大脳、神経やホルモン、体の変化が順に並ぶと、しくみの説明になるからです。
  3. (3) は自分の生活から例を探し、体の痛みや疲れ、寝不足を文の前半に置きます。原因を先に書けば、向きを間違えにくいからです。

答え: (1) 心身相関 (2) 緊張という心の状態が大脳から神経やホルモンを通じて体に伝わり、脈拍やおなかのはたらきが変わるから。(3) 歯が痛くて勉強に集中できない。

まちがえやすいところと直し方

ストレスは全部なくすものだと書く

誤った書き方は、「ストレスは心と体に悪いので、できるだけなくすのがよい。」というものです。

どこが違うかというと、ストレスのすべてが害になるわけではありません。図4のように、問題になるのは大きすぎるときと長く続くときです。適度なストレスは心の発達に必要で、試合の前の緊張や少し難しい課題の重みがなければ、自分の力を試す場面も減ってしまいます。また、どこから大きすぎるのかは人によって違うので、友だちが平気だから自分も平気なはずだと考えるのも誤りです。

図4 ストレスの大きさと長さで心身への影響が変わることを示す図

正しい書き方は、「適度なストレスは心の発達に必要だが、大きすぎたり長く続いたりすると心身の健康に影響することがある。」です。

心身相関を片方の矢印だけで書く

誤った書き方は、「心身相関とは、心の状態が体に影響することである。」というものです。

どこが違うかというと、矢印が 1 本足りません。図1には向きの違う矢印が 2 本あり、体の状態も心に影響します。緊張でおなかが痛くなる例は書けるのに、体から心への例が書けない答案は、この 1 本を忘れています。なお、おなかの痛みには体の病気が原因のこともあるので、実際に痛みが続くときは「緊張のせい」と自分で決めつけず、受診してください。

正しい書き方は、「心の状態が体に影響し、体の状態も心に影響する。このように心と体が互いに影響し合う関係を心身相関という。」です。

がまんすることだけを対処の方法と書く

誤った書き方は、「欲求不満やストレスは、がまんして自分だけで解決するのがよい。」というものです。

どこが違うかというと、時期を待つことは方法の 1 つですが、それしかないように書くと誤りになります。図3のように、対処には人に相談する道もあります。相談は弱さの告白ではなく、教科書が対処の方法として数えているものです。逆に、どんな場合も話せば解決すると書くのも行きすぎで、原因や状況に合わせて選ぶことが答案の要になります。

正しい書き方は、「原因や自分の状況に応じて、原因に働きかける、受け止め方を変える、気分転換をする、人に相談するなどの方法から適切なものを選ぶ。」です。

用語のまとめ

テストの前は、意味の列を手で隠し、用語だけを見て説明できるかを試すと、覚えたつもりの語を見つけられます。

用語 意味
知的機能 言葉を使う、記憶する、考える、判断するなどのはたらき
情意機能 感情と意志のはたらき
社会性 自主性、協調性、責任感など、人と関わって生きる力
自己形成 経験を通して自分を見つめ、自分らしさをつくっていくこと
生理的欲求 食べる、飲む、眠るなど、生きるために体が求める欲求
心理的・社会的欲求 認められたい、仲間に入りたいなど、心や人との関わりから生まれる欲求
欲求不満 欲求がかなわず、イライラしたり落ち着かなくなったりする状態。フラストレーションともいう
ストレス 周りからの刺激によって心や体に負担がかかった状態
ストレッサー ストレスの原因になる刺激
心身相関 心と体が神経やホルモンを通じて互いに影響し合う関係
リラクセーション 呼吸を整えたり体をほぐしたりして、心と体の緊張をゆるめること
養護教諭・スクールカウンセラー 学校の中で心や体の相談に応じてくれる人

練習問題

練習1 次の文の空欄に入る語を答えなさい。心は主に( ア )のはたらきで、言葉を使ったり考えたりする( イ )、感情や意志の( ウ )、人と関わって生きる力である( エ )に分けて考えることができます。

練習2 次の欲求を、生理的欲求と心理的・社会的欲求に分けなさい。ア 眠りたい、イ 友だちに認められたい、ウ おなかがすいたので食べたい、エ 新しいことを知りたい。

練習3 次の行動は図3の A〜D のどれに当たりますか。ア 試合に負けて落ち込んだので、好きな音楽を聴いて気持ちを切り替えた。イ 宿題がたまって不安なので、順番を決めて 1 つずつ片づけた。ウ 友だちに無視されてつらいので、スクールカウンセラーに話した。エ テストの失敗を「苦手な単元が見つかった」と考え直した。

練習4 「ストレスはすべて健康に害がある」という文は正しいですか。正誤を答え、理由を書きなさい。また、体の状態が心に影響する例を、例題4の答えとは違うものを 1 つ書きなさい。

答えと解説

練習1 ア 大脳、イ 知的機能、ウ 情意機能、エ 社会性。「情」と「意」を分けて思い出すと、イとウを取り違えにくくなります。

練習2 生理的欲求はアとウ、心理的・社会的欲求はイとエ。体が生きるために求めているかどうかで分けます。知りたいという気持ちは体の求めではないので、後者に入ります。

練習3 ア C、イ A、ウ D、エ B。イとエで迷ったら、原因そのものが小さくなったかどうかを基準にします。イは残りの宿題が減っていき、エは失敗の事実を変えずに見方だけを変えています。

練習4 誤り。適度なストレスは心の発達に必要で、大きすぎたり長く続いたりしたときに心身の健康に影響することがあるからです。体から心への例は、寝不足でイライラする、かぜで熱があると気分が沈むなどです。矢印の出発点が体の側にあれば、例としてふさわしい答えになります。

次の単元へのつながりと確かめ方

この単元の言葉は、別の単元でもそのまま使います。「健康と生活習慣」の休養や睡眠は心身相関を体の側から支える話で、「飲酒・喫煙・薬物の害」で学ぶ誘われたときの断り方は、仲間に入りたいという欲求とどう付き合うかの話です。

家で 5 分でできる確かめ方を 2 つ挙げます。1 つ目は、白い紙に「心」「体」と書いて矢印を 2 本引き、それぞれの向きの例を自分の生活から 1 つずつ書くことです。2 つ目は、今週困ったことを 1 つ選び、図3の A〜D のそれぞれで何ができるかを 1 行ずつ書くことです。どちらも教科書を閉じて書けるかどうかが基準になります。

個別指導で確かめるときは、用語の暗記より先に、自分の生活の例を 1 つ言えるかを聞きます。言えなければ、3 つのはたらきの表と欲求の 2 つの分け方まで戻って、例を探し直します。

まとめ

テストで問われるのは用語ですが、この単元の言葉はテストが終わっても捨てられません。困ったときにどの方法を選ぶかを考えることは、知的機能と情意機能と社会性を一度に使う、実際の作業だからです。うまく対処できない日があっても、それは育っている途中の出来事で、次は別の手を選び直せば足ります。

理科室の実験台の脇で鳴っていた心臓は、欠陥の音ではありません。大脳と体がつながっている音です。

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