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【中学保健】体の発達を図解で総まとめ—発育急進期・呼吸器と循環器・思春期の変化|武蔵野個別指導塾

発達すると脈拍数が少なくなるのはなぜか。1 回の量と回数を長方形で比べる図と例題 4 問で、発育急進期のグラフの読み取りから記述の答案まで組み立てられます。
よくあるのは、修学旅行の部屋割りと集合写真の並び順を決めている教室で、開いたままの保健のプリントに鉛筆が止まるという場面です。去年は同じ背丈だった友だちが、今は頭ひとつ高い。体はこんなに育っているのに、プリントには「呼吸数と脈拍数は少なくなる」とあります。育つなら増えるのではないか、と首をかしげたまま、班の話し合いに戻ってしまいます。
この単元は、暗記の前に「1 回の量と回数」というひとつの見方をつかむと、急に筋が通ります。発育急進期のグラフを読み取り、呼吸器と循環器の器官を分け、回数が減る理由を答案に書けるようになります。思春期の変化も、ホルモンが出る場所と順番で整理できるようになります。
この単元で押さえること
- 発育急進期は一生に 2 回:身長や体重が急に伸びる時期で、1 回目は乳幼児期、2 回目は思春期です。
- 時期と程度には個人差がある:山が来る時期も伸びる量も人によって違い、一般に女子のほうが男子より早く始まります。
- 器官によって育つ時期が違う:脳や神経は早くから、生殖器は思春期に大きく発育します。
- 呼吸器の中心は肺:肺が発達すると 1 回の呼吸で出入りする空気の量が増え、呼吸数は少なくなります。
- 循環器の中心は心臓:心臓が発達すると 1 回に送る血液の量が増え、脈拍数は少なくなります。
- 思春期の変化はホルモンから:脳の下垂体から出るホルモンが生殖器のはたらきを高め、体つきの変化につながります。
小学校の理科で習った肺と心臓の話が土台になっていて、中学校の理科で学ぶ血液の循環とも重なります。ここで体の変化を整理しておくと、続けて学ぶ心の発達や生活習慣の単元も読みやすくなります。
基本の考え方
発育急進期は「伸びの速さ」のグラフで見る
体や器官が大きくなることを発育、器官のはたらきが高まることを発達といいます。身長や体重が急に発育する時期が発育急進期で、一生のうちに 2 回あります。1 回目は生まれて間もない乳幼児期、2 回目は思春期です。
図1は、身長そのものではなく、1 年間にどれだけ伸びたかを時期ごとに結んだ模式図です。左端の高いところが 1 回目の山、中ほどのふくらみが 2 回目の山にあたります。線が右へ下がっている部分を見ても、身長は縮んでいません。伸び方がゆるやかになっているだけで、線が 0 に近づくまでは身長は増え続けています。縦軸が何を表しているかを最初に読むと、このグラフの読み違いはほぼ防げます。

図1の 2 回目の山は、女子の線が男子の線より左にあります。一般に女子のほうが早い時期に発育急進期を迎えるからです。ただしこれは多くの人をならしたときの傾向で、山が来る時期も高さも人によって違います。この違いを個人差といいます。集合写真の並び順が去年と入れ替わるのは山の来る時刻がずれているからで、背の高さで発育の良し悪しは決められません。
体の中の器官も、すべてが同じ時期に育つわけではありません。脳や脊髄などの神経は乳幼児期に大きく発育し、骨や筋肉、肺や心臓は身長と同じように発育急進期に大きくなり、生殖器は思春期に急に発育します。
呼吸器と循環器は「運ぶもの」で分ける
呼吸器は空気を運ぶ器官のなかまで、鼻や口、気管、気管支、肺からなります。肺は肺胞という小さな袋がたくさん集まったつくりをしていて、肺胞をとりまく毛細血管との間で、酸素を取り入れ、二酸化炭素を出します。発育が進むと肺全体が大きくなり、肺胞の数も増えると説明されることが多いです。思いきり息を吸ったあとに吐き出せる空気の量を肺活量といい、肺が発達すると肺活量は増えます。
循環器は血液を運ぶ器官のなかまで、心臓と血管(動脈・静脈・毛細血管)からなります。心臓は筋肉でできたポンプです。発育が進むと心臓は大きくなり、筋肉も厚く強くなって、1 回の拍動で送り出せる血液の量が増えます。この量を 1 回拍出量といいます。
ここが、修学旅行前の教室で鉛筆が止まった場所です。体に必要な量を運ぶとき、1 回に運べる量が増えれば、回数は少なくて済みます。バケツで水を運ぶ場面を思い浮かべてください。小さなバケツなら何度も往復しますが、大きなバケツなら往復は減ります。肺と心臓が育つと、安静にしているときの呼吸数と脈拍数が少なくなるのは、この関係と同じです。
胸の痛みや強い息苦しさ、めまいがあるときは、すぐに運動をやめて近くの大人に伝え、急に悪くなるようなら救急を呼んでください。ふだんの脈拍数は緊張や運動、体調でも変わるので、数だけで自分の体の良し悪しを決めないようにします。
思春期の変化はホルモンの順番で覚える
体の変化で心配なことがあるときは、ひとりで抱えず、保護者や保健室の先生、医療機関に相談してください。お子さまの変化が気になる保護者の方も、同じ窓口を頼れます。そのうえで、教科書の流れを順番に見ていきます。
ホルモンは、血液によって全身に運ばれ、決まった器官のはたらきを調節する物質です。思春期になると、脳の下垂体から性腺刺激ホルモンが多く出るようになります。性腺とは卵巣と精巣のことで、このホルモンを受けて生殖器のはたらきが発達します。下垂体からは、体の発育をうながす成長ホルモンも出ています。女子では卵巣で卵子が成熟して排卵と月経が起こるようになり、男子では精巣で精子がつくられて射精が起こるようになります。
卵巣と精巣からは性ホルモンが出て、体つきにも変化があらわれます。女子では乳房が発達して皮下脂肪が増え、丸みのある体つきになっていきます。男子では声変わりが起こり、ひげが生え、筋肉が発達して肩幅が広くなっていきます。こうした変化を第二次性徴といいます。いつ、どの順番で起こるかにも個人差があります。
体力の高まりと運動
肺と心臓、骨と筋肉が発達する時期は、体力が高まる時期でもあります。教科書では、動きの巧みさは小学校のころ、ねばり強さ(持久力)は中学校のころ、力強さ(筋力)は高校のころに高めやすいと整理されることが多いです。中学生の時期に呼吸器と循環器が大きく発達することと、持久力の話はつながっています。
長く続ける運動は呼吸器と循環器に、大きな力を出す運動は筋肉や骨にはたらきかけます。発育を支えるのは運動だけではなく、食事と睡眠も同じように欠かせません。骨や筋肉が育っている途中の時期なので、痛みが続くときは無理に練習を続けず、休んで受診してください。
例題で解き方を確かめる
例題1(用語の見分け)
問題:次の語を呼吸器と循環器に分けなさい。気管、心臓、肺胞、動脈、気管支、毛細血管
- まず運ぶものを決めます。呼吸器は空気、循環器は血液を運ぶので、「中を何が通るか」と問えば名前の印象に引っぱられなくなります。
- 図2の左の列を上からたどります。空気は鼻や口から気管、気管支を通って肺胞へ届くので、気管・気管支・肺胞が呼吸器だと確かめられます。
- 図2の右の輪をたどります。血液は心臓から動脈、毛細血管、静脈を通って心臓へ戻るので、心臓・動脈・毛細血管が循環器だとわかります。
- 最後に迷いやすい語を見直します。毛細血管は肺胞をとりまいていますが、中を通るのは血液なので循環器に入ります。

答え:呼吸器は気管・気管支・肺胞、循環器は心臓・動脈・毛細血管です。
例題2(グラフの読み取り)
問題:図1について答えなさい。(1) 発育急進期は一生に何回あり、それぞれどの時期か。(2) 2 回目の山が先に来るのは女子と男子のどちらか。(3) 思春期の山を過ぎて線が右下がりになっている部分で、身長はどうなっているか。
- 縦軸を読みます。身長そのものか 1 年の伸びかで読み方が変わるので、線を見る前に軸の言葉を確かめます。
- 山を数えます。左端の高いところと中ほどのふくらみの 2 つがあり、下に書かれた時期の名前と照らすと乳幼児期と思春期です。
- 2 本の線の山の位置を比べます。横軸は右へ行くほど年齢が進むので、左にある山ほど早く来たことになり、女子の線の山が左にあります。
- 右下がりの部分を言葉にします。1 年の伸びが小さくなっていても 0 より上にある間は伸びているので、「縮む」とは書きません。
答え:(1) 2 回で乳幼児期と思春期、(2) 女子、(3) 伸び方はゆるやかになるが身長は増え続けています。
例題3(計算)
問題:発達の前の心臓を A、発達の後の心臓を B とします。A は 1 回に 50 mL の血液を送り 1 分間に 80 回拍動し、B は 1 回に 80 mL を送り 1 分間に 50 回拍動するとします。これは計算の練習のためにそろえた、かりの数です。1 分間に送る血液の量をそれぞれ求め、B の脈拍数が少なくても足りている理由を答えなさい。
- 式を決めます。1 分間に送る量は「1 回の量 × 回数」で求められるので、かけ算の形に置きます。
- A を計算します。50 × 80 = 4000 で、1 分間に 4000 mL です。
- B を計算します。80 × 50 = 4000 で、こちらも 1 分間に 4000 mL です。
- 図3で確かめます。左の長方形が A、右の長方形が B で、縦を 1 回の量、横を回数にとると面積が 1 分間に送る量を表すので、形は違っても面積は等しいと目で見て確かめられます。
- 理由を書きます。1 回に送る量が多い分だけ少ない回数で同じ量を送れる、という形にすれば、問いへの答えになります。

実際に送る量は体の大きさや運動の強さで変わるので、この数をそのまま覚える必要はありません。覚えたいのは、高さが増えると同じ面積を保つ横幅は縮む、という形のほうです。
答え:どちらも 1 分間に 4000 mL で、B は 1 回の量が多いので回数が少なくても足ります。
例題4(定期テストの記述)
問題:発育が進むと、安静時の呼吸数と脈拍数が少なくなるのはなぜか。「肺」「心臓」「1 回」の語を使って説明しなさい。
- 問われていることを結果と原因に分けます。文の最後に置く結果は「回数が少なくなる」なので、その前に原因を書けばよいと決まります。
- 原因を呼吸器と循環器の 2 つに分けて考えます。肺が大きくなると 1 回の呼吸で出入りする空気が増え、心臓が大きく強くなると 1 回に送る血液が増えます。
- 原因と結果をつなぎます。「1 回の量が増えるので少ない回数で足りる」とつなぐと、問いの「なぜ」に答える形になります。
- 指定された語が入っているかを読み直します。語を指定する問いでは抜けがそのまま失点につながることがあるので、最後に 3 語へ印をつけます。
答え:肺と心臓が発達して 1 回に運べる空気と血液の量が増えるので、少ない回数でも必要な量を運べるからです。
まちがえやすいところと直し方
誤り1:回数と量を入れ替える
- 誤った書き方:「発達すると肺活量が増えるので、呼吸数も増える」
- どこが違うか:増えるのは 1 回の量で、回数ではありません。「発達」という語から何でも増えそうに感じますが、量が増えた分だけ回数は少なくて足ります。図3の長方形で、高さが増えると横幅が縮んでいたことを思い出してください。また、運動をしている最中は誰でも回数が増えます。少なくなると言っているのは安静にしているときの比べ方なので、運動中の話と混ぜないようにします。
- 正しい書き方:「発達すると肺活量が増え、呼吸数は少なくなる」
誤り2:全部の器官が同時に育つと考える
- 誤った書き方:「思春期には体のすべての器官が同じように急に発育する」
- どこが違うか:図4のように、器官によって大きく発育する時期が違います。脳や神経は乳幼児期に大きく発育していて、生殖器は思春期に入ってから急に発育します。身長のグラフと同じ 2 つの山を持つのは、骨や筋肉、肺や心臓のなかまです。器官ごとの発育を線で表した図(スキャモンの発育曲線として知られています)が教科書に載っているときは、線の形と図4を重ねて確かめてください。図4の大人の列に色がないのは、はたらきが止まるという意味ではなく、大きく伸びる時期を過ぎたという意味です。
- 正しい書き方:「器官によって発育する時期と程度が違う」

誤り3:ホルモンの出どころを取り違える
- 誤った書き方:「性腺刺激ホルモンは卵巣や精巣から出る」
- どこが違うか:語を分けて読むと「性腺を刺激するホルモン」で、刺激される側が卵巣と精巣です。このホルモンが出るのは脳の下垂体で、卵巣と精巣から出るのは性ホルモンです。下垂体、生殖器、性ホルモンの順に矢印で書いてみると、出す場所と受ける場所を取り違えなくなります。
- 正しい書き方:「性腺刺激ホルモンは脳の下垂体から出て卵巣や精巣のはたらきを高め、卵巣や精巣からは性ホルモンが出る」
用語のまとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 発育 | 体や器官が大きくなること |
| 発達 | 器官のはたらきが高まること |
| 発育急進期 | 身長や体重が急に発育する時期。乳幼児期と思春期の 2 回 |
| 個人差 | 発育の時期や程度が人によって違うこと |
| 呼吸器 | 空気を運ぶ器官のなかま。鼻や口、気管、気管支、肺 |
| 肺胞 | 肺をつくる小さな袋。毛細血管との間で酸素と二酸化炭素を交換する |
| 肺活量 | 思いきり息を吸ったあとに吐き出せる空気の量。発達すると増える |
| 呼吸数 | 1 分間の呼吸の回数。発達すると少なくなる |
| 循環器 | 血液を運ぶ器官のなかま。心臓と血管 |
| 1 回拍出量 | 心臓が 1 回の拍動で送り出す血液の量。発達すると増える |
| 脈拍数 | 1 分間の脈の回数。発達すると少なくなる |
| ホルモン | 血液で全身に運ばれ、決まった器官のはたらきを調節する物質 |
| 下垂体 | 脳にある部分で、性腺刺激ホルモンを出す |
| 性腺刺激ホルモン | 下垂体から出て、卵巣と精巣のはたらきを高めるホルモン |
| 性ホルモン | 卵巣と精巣から出て、体つきの変化を起こすホルモン |
| 第二次性徴 | 思春期にあらわれる体つきの変化 |
| 持久力 | 長く運動を続ける力。ねばり強さとも呼ぶ |
練習問題
練習1 空らんに入る語や数を答えなさい。身長や体重が急に発育する時期を(ア)といい、一生のうちに(イ)回あります。1 回目は(ウ)、2 回目は(エ)です。
練習2 次の語のうち、循環器に入るものをすべて選びなさい。肺、静脈、気管、心臓、鼻、毛細血管
練習3 1 回の呼吸で 300 mL の空気が出入りし、1 分間に 20 回呼吸するとします(計算の練習のためのかりの数です)。1 回の量が 400 mL になると、同じ量の空気を出入りさせるのに 1 分間に何回の呼吸で足りますか。
練習4 次のできごとを起こる順に並べなさい。ア 生殖器のはたらきが発達する イ 脳の下垂体から性腺刺激ホルモンが多く出る ウ 排卵や月経、射精が起こるようになる
答えと解説
練習1:ア 発育急進期、イ 2、ウ 乳幼児期、エ 思春期。思春期だけと思いこんで 1 回と書く人がいるので、図1の左端の高いところを思い出してください。
練習2:静脈、心臓、毛細血管。中を血液が通るものを選びます。肺、気管、鼻は空気が通るので呼吸器です。
練習3:15 回。1 分間に出入りする量は 300 × 20 = 6000 mL で、6000 ÷ 400 = 15 となります。1 回の量が増えると回数が減るという関係を、数でも確かめておきます。
練習4:イ → ア → ウ。ホルモンが出るのが先で、それを受けて生殖器が発達し、そのあとに排卵や月経、射精が起こるようになります。
次の単元へのつながりと確かめ方
「1 回の量と回数」という見方は、理科の血液の循環や、体育の持久走で息が落ち着くまでの話にそのまま使えます。体の変化を自分の言葉で言えるようになると、続く心の発達の単元で、気持ちの揺れを体の変化と並べて考えられます。
家でできる確かめ方を 2 つ挙げます。1 つ目は、白い紙に図1の 2 つの山を何も見ずに描き、時期の名前と縦軸の言葉を書き入れることです。2 つ目は、いすに座って落ち着いた状態で手首の脈を 1 分間数え、発達するとこの数がどう変わっていくかを「1 回の量」の語を使って 1 文で書くことです。運動の直後は避け、体調が悪いときはやめておきます。
個別指導では、器官の名前で止まっている生徒には小学校の理科の肺と心臓の図まで戻り、回数が減る理由を口で説明できるかどうかまでを確かめます。
まとめ
修学旅行の集合写真で並び順が変わっても、それは誰かが追い越したという話ではなく、体の山が来る時刻がずれているというだけのことです。背の順には写らないところで、肺と心臓も 1 回に運べる量を増やしています。テストの答案に回数が減ると書くとき、その一行は自分の胸の中で今まさに起きていることの説明でもあります。
発達とともに脈が静かになっていくのは、心臓が 1 回で多くを運べるようになった証しです。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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