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【化学】天然高分子を図解で総まとめ—糖類・アミノ酸とタンパク質・核酸・検出反応|武蔵野個別指導塾

デンプンとセルロースの結合、アミノ酸の電荷、ペプチドの生成を図で整理します。加水分解の質量計算と検出反応の例題を通して、糖類・タンパク質・核酸を構造から読み解く力を養えます。
よくあるのは、塾の教材棚の脇で天然高分子の問題集を開き、「デンプンもセルロースもグルコースからできるのに、なぜ性質が違うのだろう」と手が止まる場面です。隣のページにはアミノ酸、タンパク質、核酸が並び、物質名と色の変化を別々に覚えようとすると、知識の置き場所がなくなってしまいます。共通の材料からできていても、つながる向きや場所、枝分かれの有無が違えば、物質の性質は変わります。
この単元では、まず小さな分子を確かめ、次につながり方を読み、最後に反応や計算へ進みます。糖類では「どこが加水分解されるか」、アミノ酸では「どの部分が電荷をもつか」、タンパク質では「鎖の並びと立体的な形を区別できるか」が出発点です。構造を見ながら説明できるようになると、検出反応も名称の暗記だけで終わらず、何を確かめる反応なのかが見えてきます。
この単元で身につけること
- 単糖・二糖・多糖を区別します。加水分解でさらに小さな糖に分けられるかを基準に、グルコースからデンプンまでを整理します。
- 同じ組成でも性質が変わる理由を説明します。糖どうしの結合に注目して、還元性の有無やデンプンとセルロースの違いを考えます。
- アミノ酸の酸・塩基としての性質を読みます。アミノ基とカルボキシ基の状態から、酸性・塩基性の水溶液中での電荷を判断します。
- ペプチドの生成と分解を量で扱います。結合の数を先に数え、水の出入りと分子量の関係を式にします。
- タンパク質の構造、変性、検出反応を区別します。核酸についても、構成単位とつながり方を入口にして、糖類やタンパク質との違いをつかみます。
前の有機化学で学んだヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド結合と、化学基礎の物質量が土台になります。名前を思い出せない部分があれば、分子全体を覚え直す前に、その官能基がどの原子からできているかを確かめます。
基本の考え方
糖類は構成単位と結合で整理する
糖類は、分子内に複数のヒドロキシ基をもち、アルデヒドまたはケトンに関係する構造をもつ物質や、そのような物質がつながったものとして学びます。糖類には炭水化物という呼び名もありますが、「炭素と水を混ぜた物質」という意味ではありません。単糖や二糖は天然高分子を理解するための材料であり、それら自体を高分子とは呼びません。
単糖は、加水分解してより簡単な糖に分けられない糖です。代表例のグルコースとフルクトースは、どちらも分子式が C₆H₁₂O₆ です。分子式が同じでも原子のつながり方が違うため、別の物質です。鎖状のグルコースは CHO-(CHOH)₄-CH₂OH と表せて、アルデヒド基をもちます。鎖状のフルクトースは CH₂OH-CO-(CHOH)₃-CH₂OH と表せて、ケトンの構造をもちます。
水溶液中では、グルコースの大部分は環状構造をとり、少量の鎖状構造と互いに変わり合っています。環状のグルコースには、1位の炭素についたヒドロキシ基の向きが異なる α型と β型があります。標準的な D-グルコースの環状構造式では、1位の OH と CH₂OH が環の反対側なら α型、同じ側なら β型です。「図の下向きだから α型」とだけ覚えるより、比較する2か所を決める方が、図の向きを変えた問題にも対応できます。
グルコースが銀鏡反応やフェーリング反応を示すのは、鎖状になったときのアルデヒド基が酸化されるからです。このように相手を還元する性質を還元性といいます。フルクトースも、これらの反応のアルカリ性条件で構造が変化してアルデヒド基をもつ糖を生じるため、還元性を示します。一般のケトンの性質を、そのままフルクトースの判定に当てはめないことが必要です。
二糖は、2個の単糖が水1分子を失って結びついた糖です。この糖どうしの結合をグリコシド結合と呼びます。マルトースはグルコースどうし、スクロースはグルコースとフルクトース、ラクトースはグルコースとガラクトースからできています。ここで挙げた二糖の分子式はいずれも C₁₂H₂₂O₁₁ です。2 C₆H₁₂O₆ から H₂O を引くと、この式になることを原子の数で確かめられます。
マルトースとラクトースには、環が開いてアルデヒド基を生じられる部分が残るため、還元性があります。スクロースでは、グルコースの1位とフルクトースの2位にあたる、環が開くことに関係する部分どうしが結合しており、そのままでは還元性を示しません。ただし、加水分解後に生じるグルコースとフルクトースは還元性を示します。分解前の糖と分解後の糖は、区別して判定します。
多糖は、多数の単糖が結びついた物質です。デンプンには、主に α-1,4結合でつながったアミロースと、α-1,4結合の鎖に α-1,6結合による枝分かれがあるアミロペクチンが含まれます。1,4や1,6は、結合に関わる炭素の位置を表します。動物の体内などに蓄えられるグリコーゲンもグルコースからでき、アミロペクチンより枝分かれの多い構造です。

図1の丸はグルコース由来の単位、線は単位間の結合を表します。上段と中段の青い線は α-1,4結合、中段の赤い枝は α-1,6結合、下段の緑の線は β-1,4結合です。丸を一直線に並べた模式図であり、分子の実際の形をそのまま描いたものではありません。アミロースの鎖はらせん状になり、その内部にヨウ素が取り込まれることが、ヨウ素デンプン反応の青紫色に関係します。
セルロースは β-1,4結合でグルコース由来の単位が連なった多糖です。鎖は伸びた形をとり、多数の鎖が水素結合で結びつくことが、植物の細胞壁や綿の繊維の強さに関係します。セルロースはヨウ素デンプン反応を示しません。デンプンとセルロースはともに繰り返し単位を用いて (C₆H₁₀O₅)ₙ と表しますが、同じ組成が同じ結合や性質を意味するわけではありません。
ここで n は、繰り返す単位の数を示します。高分子の組成式では通常、末端に由来するわずかな違いを省略します。一方、単糖を少数つないだ有限の鎖について厳密に水の数を問われた場合は、単位が n 個なら結合は n−1 個です。繰り返し単位の式と、末端まで含めた1分子の式を使い分ける必要があります。
アミノ酸からタンパク質へつなぐ
アミノ酸は、同じ分子内にアミノ基 -NH₂ とカルボキシ基 -COOH をもつ化合物です。タンパク質を構成する主なアミノ酸は、同じ炭素に両方の基が結びついた α-アミノ酸で、一般式を H₂N-CH(R)-COOH と表します。R は側鎖と呼ばれる部分で、グリシンでは H、アラニンでは CH₃ です。グリシンには不斉炭素原子がありませんが、アラニンの中心の炭素には4種類の原子・原子団が結合しており、不斉炭素原子になります。
カルボキシ基は H⁺ を放出する酸として、アミノ基は H⁺ を受け取る塩基として働きます。この両方の性質をもつことを両性といいます。アミノ酸は結晶中や水溶液中で、-NH₃⁺ と -COO⁻ を同時にもつ双性イオンとして存在できます。正と負の電荷を同時にもつ状態と、電荷をもつ部分がまったくない状態は同じではありません。
水溶液の pH によってアミノ酸の各イオン形の割合は変わります。アミノ酸全体の平均の電荷が0になり、電気泳動で正味の移動をしなくなる pH を等電点といい、pI と書くことがあります。等電点はアミノ酸の種類によって異なり、必ず pH 7 ではありません。側鎖に酸性や塩基性の基があると、その基の電荷も含めて考えます。
アミノ酸のカルボキシ基と別のアミノ酸のアミノ基から水が取れてできる -CO-NH- の結合を、ペプチド結合といいます。これはアミド結合の一種です。2個のアミノ酸がつながるとジペプチド、3個ならトリペプチド、多数ならポリペプチドと呼びます。鎖に組み込まれたアミノ酸由来の部分は、アミノ酸残基と呼びます。
タンパク質は、多数のアミノ酸残基がつながり、特有の立体構造をとった天然高分子です。アミノ酸の配列が一次構造、主鎖の水素結合によってできる αヘリックスや βシートが二次構造、1本のポリペプチド鎖全体の折りたたまれ方が三次構造です。さらに複数のポリペプチド鎖が集まってできる構造を四次構造といいます。すべてのタンパク質に四次構造があるわけではありません。
立体構造の安定には水素結合や、側鎖どうしのさまざまな相互作用が関係します。システイン由来の側鎖間には、共有結合であるジスルフィド結合 -S-S- ができる場合もあります。鎖をつなぐペプチド結合と、離れた部分を結ぶジスルフィド結合は、同じ役目の結合ではありません。
検出反応と核酸を構造に結びつける
タンパク質の検出では、何に反応して色が出るかを対応させます。ビウレット反応は、通常2個以上のペプチド結合をもつ物質が、アルカリ性で銅(Ⅱ)イオンと反応して赤紫色を示す反応です。したがって、一般にトリペプチドやタンパク質は陽性になり、ペプチド結合が1個の通常のジペプチドは陰性です。「アミノ酸が2個以上」ではなく「ペプチド結合が2個以上」と数えます。
ニンヒドリン反応は、α-アミノ酸などのアミノ基の検出に利用され、多くの場合は青紫色を示します。ただし、プロリンのように通常とは異なる色を示すものもあります。キサントプロテイン反応は、チロシンなどの芳香族の側鎖に由来する反応で、濃硝酸によって黄色を呈し、その後アルカリ性にすると橙黄色になります。どのタンパク質も同じ強さで反応すると決めつけず、構成アミノ酸に注目します。
システインなどに由来する硫黄を調べる反応では、所定の処理で生じた硫化物イオンを黒色の硫化鉛(Ⅱ) PbS として検出します。ただし、硫黄を含むアミノ酸がすべて同じように反応するわけではなく、メチオニンの硫黄は通常この方法では検出されません。これらは反応と構造の関係として学び、家庭で薬品を混ぜて試す対象にはしません。
核酸は、ヌクレオチドが多数つながった天然高分子です。ヌクレオチドは、リン酸、糖、塩基からできています。糖と塩基だけの組合せはヌクレオシドなので、リン酸があるかを見分けます。DNA の糖はデオキシリボース C₅H₁₀O₄、RNA の糖はリボース C₅H₁₀O₅ です。両者の糖は2位の炭素につく基が異なり、デオキシリボースではリボースの OH に相当する部分が H になっています。
DNA の塩基にはアデニン A、チミン T、グアニン G、シトシン C があり、RNA では T の代わりにウラシル U が使われます。ヌクレオチドどうしは、糖とリン酸がつくるホスホジエステル結合でつながります。DNA の2本の鎖の間では A と T、G と C が水素結合で組になり、二重らせんをつくります。鎖の内部をつなぐ共有結合と、2本の鎖の間の水素結合を分けて読むことが、核酸の構造を理解する入口です。
例題で解き方を確かめる
計算では高校化学で用いる原子量として H=1.0、C=12、N=14、O=16 を使います。この値から求める H₂O のモル質量は 18.0 g/mol です。以下の数値はこの原子量に基づき、測定量から求める質量は有効数字3桁で示します。分子量は相対的な値なので単位をつけず、モル質量には g/mol をつけます。
例題1 還元性と加水分解を分けて判定する
グルコース、フルクトース、マルトース、スクロースのうち、加水分解前にフェーリング反応を示すものを答えます。また、スクロースを完全に加水分解した液について、反応に適した条件に整えたときの判定を考えます。
- まず単糖と二糖に分けます。グルコースとフルクトースは単糖、残り2つは二糖なので、二糖では結合によって何が使われているかを調べる必要があります。
- グルコースは鎖状のアルデヒド基、フルクトースはアルカリ性での構造変化を根拠に、どちらも還元性があると判断します。フルクトースの鎖状構造にケトンがあるという一点だけで、陰性にはできません。
- マルトースには環が開いてアルデヒド基を生じる部分が残りますが、スクロースでは対応する部分どうしが結合しています。したがって、分解前はマルトースが陽性、スクロースが陰性です。
- スクロースの加水分解生成物を書きます。グルコースとフルクトースはいずれも還元性を示すので、分解後の液は陽性になり、酸化銅(Ⅰ) Cu₂O の赤色沈殿を生じます。
答え:分解前はグルコース・フルクトース・マルトースが陽性で、スクロースの完全加水分解後の液も陽性です。
この問題では、色を覚えていても判定する時点を取り違えると答えが逆になります。問題文の「加水分解前」「加水分解後」に印をつけ、物質名をその都度書き換えると、出発物質の性質を生成物へ持ち越す誤りを防げます。
例題2 スクロースの加水分解と質量
スクロース 34.2 g を完全に加水分解します。生成するグルコースとフルクトースの質量をそれぞれ求めます。副反応や生成物の損失はないものとします。
- 反応式を C₁₂H₂₂O₁₁ + H₂O → C₆H₁₂O₆ + C₆H₁₂O₆ と書きます。右辺の2つは順にグルコースとフルクトースであり、同じ分子式でも別の物質です。係数から、スクロース 1 mol に対して各単糖が 1 mol ずつ生じると読めます。
- スクロースのモル質量を 12 × 12 + 22 × 1.0 + 11 × 16 = 342 g/mol と求めます。質量から反応式の係数に進むため、34.2 g ÷ 342 g/mol = 0.100 mol と物質量に直します。
- 各単糖のモル質量は 6 × 12 + 12 × 1.0 + 6 × 16 = 180 g/mol です。各生成物は 0.100 mol なので、それぞれ 0.100 mol × 180 g/mol = 18.0 g になります。
- 質量保存も確かめます。反応で使われる水は 0.100 mol × 18.0 g/mol = 1.80 g なので、34.2 g + 1.80 g = 36.0 g となり、生成した単糖の合計と一致します。
答え:グルコースは 18.0 g、フルクトースは 18.0 g です。
もとの 34.2 g を単純に半分にしてはいけません。加水分解では、水が結合の切れた部分へ H と OH として取り込まれるため、生成した糖だけの合計質量は出発した糖より増えます。溶液全体の質量が何もないところから増えたわけではありません。
例題3 トリペプチドの分子量と結合の数
グリシン2分子とアラニン1分子から、環をつくらない1本のトリペプチドができます。グリシンの分子式は C₂H₅NO₂、アラニンは C₃H₇NO₂ とします。トリペプチドの分子量とペプチド結合の数を求め、ビウレット反応の判定も答えます。

図2の上段は結合前のアミノ酸、下段は鎖に組み込まれた残基です。Gly はグリシン、Ala はアラニンを表します。下段の赤い2本の線がペプチド結合です。図は Gly-Ala-Gly という並びを1例として示しており、各丸の原子の組成が結合前後でまったく同じという意味ではありません。
- 各アミノ酸の分子量を求めます。グリシンは 2 × 12 + 5 × 1.0 + 14 + 2 × 16 = 75、アラニンは 3 × 12 + 7 × 1.0 + 14 + 2 × 16 = 89 です。まず材料の合計を出すと、75 × 2 + 89 = 239 になります。
- 3個を1本の鎖にするには2か所を結びます。図2のように、端から次の単位へ進むたびに結合が1個増えるので、結合は 3−1=2 個です。
- 結合1個につき水1分子が取れるので、分子量は 239−18 × 2=203 です。原子数で確かめると、材料の合計 C₇H₁₇N₃O₆ から 2 H₂O が取れて C₇H₁₃N₃O₄ になり、同じ値が得られます。
- ペプチド結合が2個あるので、ビウレット反応は陽性と判断します。ここで根拠にするのは、グリシンの個数やアミノ基の個数ではなく、できた結合の個数です。
答え:分子量は203、ペプチド結合は2個で、ビウレット反応は陽性です。
通常の直鎖状ペプチドでは、アミノ基が残る側を N末端、カルボキシ基が残る側を C末端と呼び、配列は N末端から C末端へ書きます。Gly-Ala と Ala-Gly は向きを含む構造が違うため、別のジペプチドです。分子量が同じでも、配列まで同じとは限りません。
例題4 等電点と電気泳動の向き
グリシンの等電点を pH 6.0 とします。pH 2.0、pH 6.0、pH 10.0 の各水溶液で電気泳動を行うと、グリシンはどちらの電極へ正味に移動するでしょうか。電気泳動では陽極を正極、陰極を負極とし、溶液自体の流れの影響は考えません。
- pH を7と比べるのではなく、与えられた等電点6.0と比べます。電気泳動の向きは、アミノ酸の平均の電荷で決まるためです。
- pH 2.0 は等電点より低く、正に帯電した形の割合が大きくなります。正の電荷は負極に引かれるので、陰極へ移動します。
- pH 6.0 は等電点で、平均の電荷が0です。分子の熱運動はありますが、電場による正味の移動はありません。
- pH 10.0 は等電点より高く、負に帯電した形の割合が大きくなります。負の電荷は正極に引かれるので、陽極へ移動します。
答え:pH 2.0 では陰極、pH 6.0 では正味の移動なし、pH 10.0 では陽極です。
電極名を覚えるだけで迷ったときは、「溶質の電荷 → 引き合う電極の符号 → 電極名」の順で書きます。等電点で分子が止まっているという説明と、電場による平均の移動がないという説明は区別します。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 多糖は単糖の性質をそのままもつ
誤った書き方は「デンプンはグルコースからできているので、グルコースと同じ強い還元性を示す」です。どこが違うかというと、多くの単位が結合に使われており、巨大な分子に対して還元性を示しうる末端の割合が非常に小さいことを見落としています。高校化学では、デンプンやセルロースは通常、還元性を示さないものとして扱います。
正しい書き方は「デンプンは通常還元性を示さないが、完全に加水分解して得られるグルコースは還元性を示す」です。また、ヨウ素デンプン反応が陰性になっただけで、完全にグルコースまで分解したとは限りません。分解の途中で鎖が短くなっても呈色は変わるため、どの段階まで進んだかは別の情報と合わせて判断します。
誤り2 等電点ではすべての電荷が消える
誤った書き方は「等電点では H₂N-CH₂-COOH だけが存在し、等電点は pH 7 である」です。どこが違うかというと、分子全体の平均電荷が0であることを、分子内に電荷が存在しないことと取り違えています。等電点はそのアミノ酸の酸・塩基としての性質で決まるので、中性の pH と同義ではありません。

図3のように、グリシンでは酸性側で H₃N⁺-CH₂-COOH、等電点付近で H₃N⁺-CH₂-COO⁻、塩基性側で H₂N-CH₂-COO⁻ が代表的な形になります。中央には正負の電荷が1つずつあり、合計は0です。この図は各領域を代表する形を示しており、境目で全分子が一斉に切り替わるという意味ではありません。
正しい書き方は「等電点では双性イオンが主に存在し、各イオン形を合わせた平均の電荷が0になる」です。酸性側では H⁺ を受け取りやすく、塩基性側では H⁺ を失いやすいと考えると、図の左右も自分で再現できます。
誤り3 変性したタンパク質はアミノ酸になる
誤った書き方は「卵白が加熱で固まるのは、ペプチド結合がすべて切れてアミノ酸になるから」です。どこが違うかというと、立体構造が変わる変性と、共有結合を切って小さな分子にする加水分解を混同しています。熱や酸・塩基などによる変性では、主に二次構造や三次構造などが変わり、本来の性質や機能が失われます。
正しい書き方は「変性では一般にペプチド結合による一次構造は保たれ、完全な加水分解ではペプチド結合が切れてアミノ酸になる」です。したがって、変性したからといってビウレット反応が必ず陰性になるわけではありません。酵素の多くもタンパク質なので、立体構造の変化は働きに影響しますが、その説明をアミノ酸の配列がすべて変わったという説明に置き換えないようにします。
練習問題
練習1 デンプンの加水分解
乾燥したデンプン 16.2 g を完全に加水分解します。デンプンを (C₆H₁₀O₅)ₙ として末端の影響を無視し、生成するグルコースの質量と、取り込まれる水の質量を求めます。原子量は H=1.0、C=12、O=16 とし、副反応と損失はないものとします。高分子全体の分子量ではなく、繰り返し単位のモル質量から考えます。
練習2 2種類のアミノ酸の並び
グリシン1分子とアラニン1分子だけを使い、通常のペプチド結合で環をつくらないジペプチドをつくります。N末端から書いた配列は何種類ありますか。また、それぞれの分子量と、ビウレット反応の判定を答えます。グリシンの分子量を75、アラニンを89、水を18とします。配列の違いと、材料の合計質量の違いを分けて考えます。
練習3 色の変化から物質を判定する
グルコース、デンプン、卵白由来のタンパク質を、それぞれ単独で含む3つの試料 A、B、C があります。適切な条件で調べたところ、A はヨウ素デンプン反応が陽性、B はビウレット反応が陽性、C はその2つが陰性でフェーリング反応が陽性でした。各試料を判定します。また、B を変性させたとき、ペプチド結合が残ると考えてよいかを答えます。
練習4 DNA の構成を読む
十分に長い二本鎖 DNA 全体で、アデニン A が全塩基の30%を占めています。通常の相補的な塩基対だけを考え、T、G、C の割合をそれぞれ求めます。また、DNA のヌクレオチドを構成する糖の名前と、RNA で T の代わりに用いられる塩基の名前を答えます。割合は片方の鎖だけではなく、2本を合わせた値です。
答えと解説
練習1:グルコースは 18.0 g、水は 1.80 g です。繰り返し単位のモル質量は 6 × 12 + 10 × 1.0 + 5 × 16 = 162 g/mol なので、単位の物質量は 16.2 ÷ 162 = 0.100 mol です。(C₆H₁₀O₅)ₙ + n H₂O → n C₆H₁₂O₆ より、グルコースと取り込まれる水はともに 0.100 mol です。ここでの 0.100 mol はデンプン分子自体の物質量ではありません。
練習2:Gly-Ala と Ala-Gly の2種類で、分子量はいずれも 75+89−18=146、ビウレット反応は陰性です。2個のアミノ酸を結ぶペプチド結合は1個なので、水を引く回数も1回です。N末端と C末端には違いがあるため、配列の左右を交換したものを同じ構造として数えることはできません。
練習3:A はデンプン、B はタンパク質、C はグルコースです。ヨウ素デンプン反応はデンプンの構造に、ビウレット反応は複数のペプチド結合に、フェーリング反応は還元性に対応します。B の変性では一般にペプチド結合は残ります。この判定は候補が指定された問題での結論であり、未知のあらゆる物質を単一の色だけで断定できるという意味ではありません。
練習4:T は30%、G と C はそれぞれ20%です。DNA 全体では A と T、G と C がそれぞれ同数なので、A と T の合計60%を100%から引き、残り40%を G と C に等しく分けます。糖はデオキシリボース、RNA で T の代わりに用いられる塩基はウラシルです。片方の鎖だけについて A=T としてよいわけではありません。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
天然高分子の問題は、有機化合物の構造と性質、縮合と加水分解、物質量の計算を一緒に使う練習になります。総合問題に進んだときも、初めに構成単位を見つけ、次に結合の数や位置を確かめる順序が役立ちます。デンプンとセルロースの比較は、同じ材料でも結合の違いが物性を変えることを考える基準になります。
家庭では、1つ目として5分間、紙に「スクロース → 単糖」と「デンプン → 単糖」を書き、矢印のそばに水を足して反応式を完成させてみます。反応前後で C、H、O の数を数えると、糖だけを見て質量を保存させていないか確かめられます。薬品を使う必要はありません。
2つ目として別の5分間で、丸3個を線でつないだ図と、グリシンの双性イオンを書きます。「線は何本か」「水は何分子取れるか」「正負の電荷の合計はいくつか」を声に出し、用語だけでなく根拠まで説明できるか確かめます。個別指導で計算が止まる場合は、まず1本の結合に対応する H と OH まで戻り、電気泳動で迷う場合はアミノ基とカルボキシ基の電荷から確かめます。
まとめ
未知の物質名が出てきたとき、知っている名前に無理に当てはめる必要はありません。構成単位、結合、残っている官能基を書き出せば、加水分解で何が生じ、どの反応が使え、どこで水の質量を数えるかを順に決められます。ペプチドの赤紫色も、デンプンの青紫色も、背後にある構造の手がかりとして読めます。
天然高分子の性質を決めるのは、材料の名前だけでなく、材料どうしを結ぶ一本一本の結合です。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




