出願書類の締切と先延ばし——提出が遅れる人に何が起きているか
総合型選抜の出願を前に、志望理由書の下書きが、締切の近くまで動かないことがあります。活動の記録。調査書。面接の予定。束を見ると、提出が遅いことを、性格の一点で測りたくなります。だらしないか。反抗しているか。二値です。二値のままだと、締切前に必ず書ける、先延ばしは性格のせいだ、という短い文が残りやすい。短い文は、先延ばしが自己調整の失敗としてどう記述され、学業成績とどう関係するかを消します。この回は、その役割を戻します。
Steel は、先延ばしの性質を、メタ分析と理論のレビューとして置いています [1]。論文の表題は “The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure” です。2007年の報告です。扱うのは、先延ばしという自己調整失敗の概念と、原因と効果の統合です。日本の総合型選抜の出願締切、志望理由書の提出そのものを測った研究ではありません。691という数を、提出が遅れた人数や割合に換算することは、この回ではしません。
Kim と Seo は、先延ばしと学業成績の関係を、メタ分析として置いています [2]。論文の表題は “The relationship between procrastination and academic performance: A meta-analysis” です。2015年の報告です。扱うのは、学業成績と先延ばしの関係です。出願書類の締切や、総合型選抜の合否そのものを測った研究ではありません。負の相関を、合格点や評定に換算することは、この回ではしません。
結論を先に言います。先延ばしは自己調整失敗の一般的かつ有害な形態で、完全には理解されていない、と2007年の報告は述べています [1]。691相関に基づくメタ分析で、神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみ。強く一貫した予測因子は、課題嫌悪性・課題遅延・自己効力感・衝動性、および誠実性とその自己制御・注意散漫・組織化・達成動機の各面である、とも述べています [1]。先延ばしと学業成績の関係について先行研究の結果は一貫していない。33の関連研究・合計38,529名をメタ分析すると、先延ばしは学業成績と負の相関だった。ただしこの関係は測定法・指標の選択に影響され、自己報告尺度の使用は有意な関係の検出を妨げた、と2015年の報告は述べています [2]。一般的かつ有害、と、性格のせい、は違います。弱い関連、と、無関係、も違います。負の相関、と、提出が遅れると落ちる、も違います。どちらも、日本の総合型選抜の提出手順書ではありません。
先に、この回がしないことも言っておきます。一次証拠は、先延ばしの概念と原因のレビューと、学業成績との関係のメタ分析です。総合型選抜の出願締切・志望理由書の提出にそのまま当てはめません [1] [2]。締切前に必ず書ける、とも、先延ばしは性格のせいだ、とも書きません。691を提出遅延の人数・割合に換算しません。負の相関を合否や評定に換算しません。時間の使い方の一般論は、この回の軸ではありません。この回では扱いません。睡眠、運動、教室環境も、軸にしません。大学別の提出方法の解説も、扱いません。この回の軸は、先延ばしという自己調整失敗の記述と、学業成績との関係を、同じ重さで置くことです。志願者の提出が遅いことを、責めの文にはしません。受験生の準備を、足りない、と決めつけません。
1. 先延ばしの概念と、学業成績との関係は、別の技術である
志願者が「提出が遅れる」と呼ぶものの中には、いくつかの層が混ざります。課題が嫌で手が付かない。締切が遠いと動かない。自分が書けるという見込みが薄い。衝動で別のことに寄る。学業の成績と先延ばしがどう関係するか。層が混ざったまま、「だらしない」と言うと、どの層の、どの測定の話なのかが見えなくなります。
Steel が置いているのは、先延ばしの概念と、原因と効果の統合です [1]。出願の一点ではありません。日本の志望理由書の提出時刻を、人数に直した表でもありません。置いているのは、先延ばしが自己調整失敗としてどう記述され、どの要因と一貫して関係するかです。関係があることと、性格が悪い、という二値は、最初から違います。違うものを、同じ「遅い」という言葉で結ぶと、提出の遅れが一つの欠点の証明に見えます。見せません。
Kim と Seo が置いているのは、先延ばしと学業成績の関係です [2]。出願書類が間に合うかどうかの話ではありません。同じ先延ばしでも、概念と原因の側と、成績との関係の側は、層が違います。層が違うものを、出願の手順に溶かすことはしません。溶かすると、自己調整失敗であることが、落ちる、という文に見えます。見せません。
日本の総合型選抜に、出願の締切が載ることがあります。載ることと、2007年の先延ばしのレビューが測っている対象が同じであることは、別です。別である、を、本番では先延ばしは関係ない、と読むこともしません。関係がある、と著者が書いているのは、自己調整失敗としての先延ばしの側です。側があることと、日本の出願締切が同じ式であることは、違います。違う、を、この回の入口に置きます [1] [2]。
時間の使い方の一般論は、この回の層ではありません。この回は、その層を厚くやり直しません。別である技術を、同じ「締切」という言葉で結ぶと、予定の立て方の話と、自己調整失敗の話が、一つの方針に見えます。見せません。この回の層は、先延ばしという自己調整失敗です。失敗であることを、予定表の言い換えにはしません。
2. 先延ばしは自己調整失敗の一般的かつ有害な形態で、完全には理解されていない
2007年の報告が入口に置いているのは、合否の保証ではありません。先延ばしの位置です [1]。
先延ばしは自己調整失敗の一般的かつ有害な形態で、完全には理解されていない。
一般的かつ有害、です。完全には理解されていない、です。両方です。片方だけを採って、よくあるから問題ない、という文にはしません。片方だけを採って、有害だから性格が悪い、という文にもしません。著者が並べたのは、広がりと害と、理解の不足です。並ぶ三つを、当日の提出の命令に潰すことはしません [1]。
自己調整失敗、です。先延ばしの位置として著者が置いた名前です。日本の総合型選抜の提出遅延、という書き方ではありません。名前が近いことと、測っている対象が同じであることは、別です。別である名前を、出願要項の説明に読み替える対応表は、ありません。対応表が無い以上、名前は名前のまま使います。
完全には理解されていない、です。全く理解されていない、ではありません。完全には、という語が付いています。このあとの節で、著者らは予測因子を統合します。入口の不足と、あとの統合を、同じ一文に溶かさない。溶かさない理由は、入口が「分かっていない」を、結論の「強い予測因子がある」より先に置いているからです。先に置く順番を、この回も守ります [1]。
有害、です。主語は、先延ばしという形態です。志願者への「遅い人は有害だ」ではありません。形態の性質です。性質を、本人の欠点の証明に翻訳することはしません。翻訳すると、入口の位置が、受験生への断定的助言に見えます。見せません。2007年がここで言っているのは、自己調整失敗としての位置です。提出が遅れる人を責めよ、という助言の形ではありません。助言の形にしない。それが、この節の上限です [1]。
3. 691相関——神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみ
入口のあと、著者らは何を統合したかを置きます [1]。統合の対象を隠すと、先延ばし一般の性格論に見えます。見せません。
691相関に基づくメタ分析で、神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみ。
691相関、です。提出が遅れた691人、ではありません。相関の件数です。件数があることと、出願が遅れた人数があることは、別です。別である件数を、提出遅延の人数に換算することはしません。換算表は、この回が使う範囲にはありません。無い表を、締切に間に合わない割合の顔で出すことはしません [1]。
神経症傾向、です。反抗性、です。感覚追求、です。著者が弱い関連のみ、と書いた側です。弱い、です。ゼロだ、という書き方ではありません。無い、と、弱い、は違います。違う語を、性格は無関係だ、と読む根拠にもしません。無関係、と読むと、著者が書いた「弱い関連のみ」が消えます。消えた語の上に、性格のせいではないから放ってよい、という口語が乗ります。口語を、この一文の言い換えとしては使いません。
弱い関連のみ、を、先延ばしは性格のせいだ、という文の根拠にもしません。根拠にすると、著者が「弱い」と書いた側が、原因の勝者に見えます。見せません。著者が置いているのは、この三つの関連が弱い、という範囲です。範囲を、志願者の性格診断にはしません。診断にすると、メタ分析が、本人の欠点の採点に見えます。見せません [1]。
メタ分析、です。一校の一回の出願を観察した、という書き方ではありません。複数の相関をまとめた、という位置です。位置を、志願者の一通が平均に近い、とも、遠い、とも、判定する材料にはしません。判定にしない。691という数を、総合型選抜の提出遅延の人数に読み替える対応表も、ありません。無い対応表で、日本の出願に伸ばすことはできません [1]。
4. 強く一貫した予測因子は、課題と自己調整の側にある
弱い関連の隣に、著者らは、強く一貫した側を置きます [1]。隣を隠すと、性格の弱さだけが残ります。残しません。
強く一貫した予測因子は、課題嫌悪性・課題遅延・自己効力感・衝動性、および誠実性とその自己制御・注意散漫・組織化・達成動機の各面である。
強く一貫した、です。弱い関連のみ、と対になる位置です。対であることを、性格は関係なく課題だけが原因だ、という短い文にはしません。短い文にすると、弱い側が消えます。消さない。並べる。溶かす、ではない [1]。
課題嫌悪性、です。課題遅延、です。課題の側です。課題が嫌であること、課題が先に伸びていること。側があることと、志望理由書は嫌な課題だ、という診断は、別です。診断にすると、予測因子の名前が、本人の気持ちの採点に見えます。見せません。著者が置いているのは、課題の嫌悪と遅延が、先延ばしと強く一貫して関係する、という範囲です。範囲を、今夜の下書きを嫌うな、という声かけに翻訳することはしません。
自己効力感、です。衝動性、です。誠実性、です。その自己制御・注意散漫・組織化・達成動機の各面、です。面、という語が正確です。誠実性という一つの得点だけ、ではありません。各面です。面があることと、日本の調査書の評定が同じ面であることは、別です。別である面を、評定の換算表にはしません。換算表は、この回が使う範囲にはありません [1]。
自己効力感の話を、進路を決める自己効力感の別稿の層に溶かすことはしません。溶かすと、この回の予測因子が、別の測定の言い換えに見えます。見せません。この回が使うのは、先延ばしの予測因子としての自己効力感です。予測因子であることと、確信が高いほどよい、という助言は、別です。別である助言を、根拠の顔で出すことはしません。
強く一貫した予測因子、です。主語は、先延ばしを予測する側です。志願者への「こう直せ」ではありません。予測の側です。側を、提出せよ、という命令に翻訳することはしません。翻訳すると、課題嫌悪性の話が、嫌でも書け、という口語に見えます。見せません。2007年がここで言っているのは、予測因子の強さです。締切前に必ず書ける、という断定的助言の形ではありません [1]。
5. 時間的動機づけ理論と整合する。有病率は増加しているように見える
予測因子のあと、著者らは理論との整合と、有病率の向きを置きます [1]。両方残す、がこの節の中心です。
- これらの効果は時間的動機づけ理論(期待理論と双曲割引の統合)と整合する。
- 先延ばしの有病率は増加しているように見える。
時間的動機づけ理論、です。著者が置いた理論の名前です。期待理論と双曲割引の統合、と書いてあります。統合、です。新しい理論をこの回が作った、という書き方ではありません。著者が、効果はこの理論と整合する、と述べた、という位置です。位置を、日本の出願締切の説明に読み替えることはしません。名前があることと、総合型選抜の提出がこの理論で動いていることは、別です。別である名前を、提出の手順書にはしません [1]。
整合する、です。証明した、という書き方ではありません。効果は理論と整合する、です。整合、と、出願の現場で同じ式が使える、は違います。違う語を、締切を近くに置けば書ける、という口語の助言にはしません。口語の助言には、この回が使う範囲に無い手順が入ります。入っていない手順を、この一文の言い換えとしては使いません。
有病率は増加しているように見える、です。ように見える、という語が正確です。必ず増えている、ではありません。見える、です。見える、を、今の志願者は昔よりだらしない、という物語にはしません。物語にすると、有病率の向きが、世代の欠点の証明に滑ります。滑らせません。著者が置いているのは、有病率の向きです。向きがあることと、日本の総合型選抜の提出遅延が増えていることは、別です。別である向きを、出願の危機の数字にはしません [1]。
増加しているように見える、の主語は、先延ばしの有病率です。受験生への「今すぐ提出せよ」ではありません。研究の側の観察です。観察を、今夜の提出の命令に下ろすことはしません。下ろさない理由は、2007年がここで言っているのが、有病率の見え方だからです。見え方があることと、この志願者の一通が遅れることは、別です [1]。
6. 学業成績との関係は、先行研究で一貫していない
2007年の隣に、2015年のメタ分析を置きます [2]。隣に置く、を、同じ助言だ、とは言いません。ここでも、最初に限界を言います。学業成績と先延ばしのメタ分析です。出願書類の締切・総合型選抜の合否にそのまま当てはめません。
先延ばしと学業成績の関係について先行研究の結果は一貫していない。
一貫していない、です。最初から負だと決まっていた、という書き方ではありません。先行研究の結果が揃っていなかった。揃っていなかった、を入口に置く。置く順番を、この回も守ります。入口を飛ばして、負の相関だけを採ると、関係はいつも同じだ、という文に見えます。見せません [2]。
学業成績、です。入試の合否ではありません。入ったあと、あるいは在学中の成績の側です。側があることと、総合型選抜の合格の一点が予測できることは、別です。別である側を、合格率の話に溶かすことはしません。溶かすと、一貫していない、が、落ちるかどうか分からない、という文に見えます。見せません。
先行研究の結果、です。一校の一回ではありません。複数の研究の結果が、揃っていなかった、という位置です。位置を、この志願者の成績が先延ばしで決まっている、とも、決まっていない、とも、判定する材料にはしません。判定にすると、入口の不一致が、本人の物語の採点に見えます。見せません [2]。
2007年が置いたのは、自己調整失敗としての先延ばしと、予測因子です [1]。2015年が置いているのは、学業成績との関係です。概念と、成績との相関は、同じ「先延ばし」という言葉で結びたくなる。結びは、分かりやすい。分かりやすい結びは、測っている層が同じだ、という前提を、黙って置きます。この回は、その前提を置きません。並べる。溶かす、ではない。
7. 33研究・38,529名——負の相関。測定法と人口統計が効く
入口の不一致のあと、著者らは統合の結果を置きます [2]。結果の両方を残す、がこの節の中心です。
- 33の関連研究・合計38,529名をメタ分析した。
- 先延ばしは学業成績と負の相関だった。
- この関係は測定法・指標の選択に影響された。
- 自己報告尺度の使用は、先延ばしと学業成績の有意な関係の検出を妨げた。
- 各研究の参加者の人口統計学的特性も、観察された関係に影響した。
33の関連研究、です。合計38,529名、です。人数があることと、日本の総合型選抜の志願者数が同じであることは、別です。別である人数を、出願の母集団の顔で出すことはしません。出さない理由は、著者が置いているのが、学業成績との関係を統合した研究の人数だからです。人数を、合否の割合に換算する対応表は、ありません [2]。
負の相関、です。先延ばしと学業成績が、逆向きに関係した、という報告です。逆向き、です。提出が遅れると落ちる、という書き方ではありません。学業成績、です。入試の合否ではありません。合否の一点へ換算する対応表は、この回にはありません。無い表を、合格率の目安の顔で出すことはしません。出さない。負の相関があることと、総合型選抜の提出が遅れると不合格になることは、別です [2]。
測定法・指標の選択に影響された、です。負の相関が、どの測り方でも同じ強さだった、という書き方ではありません。測り方が効く。効く、を隠して、負だ、だけを残すことはしません。残すと、関係はいつも同じだ、という文に戻ります。戻りません。著者が続けているのは、自己報告尺度の使用は、有意な関係の検出を妨げた、という報告です。妨げた、です。自己報告では関係が無い、ではありません。検出を妨げた、です。妨げた、と、無関係、は違います。違う語を、自分で遅いと感じても成績とは関係ない、と読む根拠にもしません [2]。
人口統計学的特性も、観察された関係に影響した、です。誰を測ったかが、関係の見え方に効く、という位置です。位置を、この属性なら遅れてよい、という文にはしません。遅れてよい、にすると、影響した、が、免除の証明に見えます。見せません。著者が置いているのは、参加者の人口統計が、観察された関係に影響した、という範囲です。範囲を、日本の高校生の属性表にはしません。属性表は、この回が使う範囲にはありません。
負の相関と、検出の妨げと、人口統計の影響を、平均した新しい方針は、作りません。測っている層が、成績との関係の中でも分かれます。片方だけを採って、先延ばしは成績を下げる、という命令にはしません。片方だけを採って、自己報告では分からないから放ってよい、という命令にもしません。著者が並べたのは、負の相関と、測定の効き方です。並ぶ二つを、出願の手順に潰すことはしません [2]。
8. 二つの研究を並べる。締切前に必ず書ける、とも、性格のせい、ともしない
ここまでを一度だけ表にします。新しい数値は足しません。
| 側 | 著者が述べていること |
|---|---|
| 2007年の対象 | 先延ばしの概念・原因のレビュー。総合型選抜の出願締切そのものではない [1] |
| 2007年の位置 | 自己調整失敗の一般的かつ有害な形態。完全には理解されていない [1] |
| 2007年の弱い関連 | 691相関で、神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみ。性格のせい、ではない [1] |
| 2007年の強い予測因子 | 課題嫌悪性・課題遅延・自己効力感・衝動性、誠実性とその自己制御・注意散漫・組織化・達成動機の各面。締切前に必ず書ける、ではない [1] |
| 2007年の理論 | 時間的動機づけ理論(期待理論と双曲割引の統合)と整合。有病率は増加しているように見える。提出の命令ではない [1] |
| 2015年の対象 | 学業成績と先延ばしのメタ分析。出願書類の締切・総合型選抜の合否そのものではない [2] |
| 2015年の入口 | 先行研究の結果は一貫していない [2] |
| 2015年の結果 | 33研究・38,529名で負の相関。測定法・指標が効く。自己報告尺度は有意な関係の検出を妨げた。人口統計も影響した [2] |
| 総合型選抜の提出 | この二つの報告からは決まらない。締切前に必ず書ける、も、性格のせい、も、出てこない |
表の読み方は、上下の勝敗ではありません。上段の2007年は、自己調整失敗としての先延ばしと、予測因子の強弱です。中段の2015年は、学業成績との関係と、測定の効き方です。下段の総合型選抜の提出は、どちらの報告にも無い層です。無い層を、表の空欄のまま置きます。
弱い関連と、負の相関を、平均した新しい方針は、作りません。測っている層が違います。一方は、神経症傾向などの関連の弱さです。他方は、学業成績との向きです。近い「先延ばし」を、同じ量の反復としては読めません [1] [2]。
出願での見え方に一度だけ引き直します。新しい数値は足しません。志望理由書の下書きが、締切の近くまで動かない。2007年の報告は、先延ばしは自己調整失敗の一般的かつ有害な形態だ、と書き、同時に、神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみだ、とも書いています [1]。2015年のメタ分析は、先延ばしは学業成績と負の相関だ、と書き、同時に、測定法が効き、自己報告尺度は検出を妨げた、とも書いています [2]。引き直した結果として出てくるのは、当日の提出の命令ではありません。概念のレビューと、成績との関係を、日本の出願締切の手順に溶かさない、という確認の形です。
時間の使い方の一般論は、すでに別稿があります。この回の二つの報告は、その話ではありません。先延ばしという自己調整失敗です。別稿の層を、ここに厚くやり直すことはしません。睡眠や運動を、提出の遅れの代わりに置くこともしません。志望理由書が入学後の何を予測するかも、軸にしません。置く軸は、自己調整失敗としての記述があることと、出願の手順にはしないことです [1] [2]。
9. 【反証】この回が言えないこと
第一に、一次証拠は二篇です。Steel の2007年と、Kim と Seo の2015年です [1] [2]。日本の総合型選抜の出願締切、志望理由書の提出を、一次資料として測った研究ではありません。合否も、提出時刻も、この二つの報告は述べていません。
第二に、2007年は先延ばしの概念・原因のレビューです。総合型選抜の出願締切そのものではありません。自己調整失敗の一般的かつ有害な形態で、完全には理解されていない、は、日本の提出遅延と同じだ、という意味ではありません。先延ばしの概念、です。総合型選抜にそのまま当てはまる、とはこの回では言いません [1]。
第三に、691相関を、提出が遅れた人数や割合に換算することはできません。相関の件数です。人数ではありません。神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみ、を、性格は無関係だ、とも、先延ばしは性格のせいだ、とも、片方だけの断定にはできません。弱い、です。ゼロだ、ではありません [1]。
第四に、強く一貫した予測因子を、締切前に必ず書ける、という助言にはできません。課題嫌悪性・課題遅延・自己効力感・衝動性、誠実性の各面、です。志願者への手順ではありません。時間的動機づけ理論との整合も、提出の命令ではありません。有病率は増加しているように見える、は、今の受験生がだらしない、という物語ではありません [1]。
第五に、2015年は学業成績と先延ばしのメタ分析です。出願書類の締切・総合型選抜の合否にそのまま当てはめることはできません。先行研究の結果は一貫していない、を飛ばして、負の相関だけを一般法則にすることはできません [2]。
第六に、負の相関の主語は、学業成績です。入試の合否ではありません。33研究・38,529名を、日本の志願者数や合格率に換算する対応表は、ありません。測定法・指標の選択が影響した、自己報告尺度は有意な関係の検出を妨げた、人口統計も影響した、を隠して、必ず下がる、という文にもできません [2]。
第七に、二つの研究を合成して、新しい数値を作ることはできません。弱い関連と負の相関を平均した方針も、この回からは出てきません。締切前に必ず書ける、も、性格のせい、も、出てこない、が上限です。
第八に、時間の使い方の一般論は、この回では再説明していません。すでに書いた話だからです。必要でも、参照に留めます。睡眠、運動、食事、教室環境を、この回の軸にもしていません。大学別の提出方法も、扱いません。志望理由書の予測の話も、推敲の話も、軸にしていません。
第九に、自己効力感は、この回では先延ばしの予測因子としてだけ使っています。進路を決める自己効力感の別稿の層を、ここに厚くやり直してはいません。課題嫌悪性を、志望理由書は嫌な課題だ、という診断にもしていません [1]。
第十に、この回は、志願者の提出が遅いことを間違っていると決めつけていません。準備が足りない、という責めの文にもしていません。先延ばしを、本人の欠点だとも書いていません。著者らが述べたのは、先延ばしの概念と原因のレビューと、学業成績との関係のメタ分析です。研究があることと、受験生を責めることは、別です [1] [2]。
10. 実務——出願と提出の前に使える3つの確認
- 先延ばしは性格のせいだ、と読んでいませんか。神経症傾向・反抗性・感覚追求の関連の弱さを、無関係だ、と読んでいませんか。Steel によれば、先延ばしは自己調整失敗の一般的かつ有害な形態で、完全には理解されていません。691相関で、神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみです。弱い、です。ゼロだ、ではありません。性格のせいだ、に上げていないか。無関係だ、に上げていないか。面談の前に、断定に上げていないか、を一度だけ言い直す、という確認です [1]。
- 強く一貫した予測因子を、締切前に必ず書ける、と読んでいませんか。691を提出遅延の人数や割合に換算していませんか。課題嫌悪性・課題遅延・自己効力感・衝動性、誠実性とその各面が、強く一貫した予測因子です。予測因子、です。提出の命令ではありません。時間的動機づけ理論との整合も、有病率の見え方も、出願の手順ではありません。691は相関の件数です。人数ではありません。件数を、間に合わない人の数にしない。時間の使い方の一般論は、別稿です。この回の層は、自己調整失敗としての先延ばしです。層を混ぜない、という確認です [1]。
- 学業成績との負の相関を、総合型選抜の合否や評定に換算していませんか。測定法が効くことと、自己報告尺度が検出を妨げたことを、消していませんか。Kim と Seo のメタ分析は、33研究・38,529名で負の相関を示します。主語は、学業成績です。合否ではありません。先行研究の結果は一貫していません。関係は測定法・指標に影響され、自己報告尺度は有意な関係の検出を妨げ、人口統計も影響しました [2]。換算表は、この報告からは出てきません。出ない、を、確認の答えにします。
それでも塾に通いたい方へ
当塾は講師1名に生徒1名の完全個別指導で、武蔵境駅から徒歩30秒です。事前診断テストと入塾前カウンセリングは無料で、割引制度は設けていません。先延ばしを性格のせいと読んでいないか、締切前に必ず書けると断定していないか、学業成績との負の相関を総合型選抜の合否に換算していないかを整理することは、カウンセリングの場でご一緒にできます。入塾されるかどうかとは切り離してお受けしています。
まとめ
- Steel は、先延ばしの性質をメタ分析と理論のレビューとして置いた。自己調整失敗の一般的かつ有害な形態で、完全には理解されていない。総合型選抜の出願締切そのものではない [1]。
- 691相関で、神経症傾向・反抗性・感覚追求は弱い関連のみ。弱い、を無関係にしない。性格のせい、にもしない。691を提出遅延の人数に換算しない [1]。
- 強く一貫した予測因子は、課題嫌悪性・課題遅延・自己効力感・衝動性、誠実性とその自己制御・注意散漫・組織化・達成動機の各面である。時間的動機づけ理論(期待理論と双曲割引の統合)と整合する。有病率は増加しているように見える。締切前に必ず書ける、という断定的助言にはしない [1]。
- Kim と Seo は、先延ばしと学業成績の関係をメタ分析した。先行研究の結果は一貫していない。出願書類の締切・総合型選抜の合否へはそのまま当てはめない [2]。
- 33研究・合計38,529名で、先延ばしは学業成績と負の相関だった。関係は測定法・指標の選択に影響された。自己報告尺度の使用は有意な関係の検出を妨げた。人口統計学的特性も影響した。主語は学業成績である。合否ではない [2]。
- 二つの研究を並べると、先延ばしには自己調整失敗としての記述と、学業成績との関係がある。日本の出願締切への読み替えも、当日の手順も、この研究からは出てこない。時間の使い方の一般論は再説明しない。志願者の提出を遅いと決めつけない。受験生を責めない。
出典
本文中の番号に対応します。書誌を確認し、抄録に直接あたったものだけを挙げています。結論に反する記述も、同じ基準で載せています。
- 【先延ばしの概念・自己調整失敗のメタ分析】Steel, Piers (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure. Psychological Bulletin, 133(1), 65–94. DOI: 10.1037/0033-2909.133.1.65
- 【先延ばしと学業成績のメタ分析】Kim, Kyung Ryung; Seo, Eun Hee (2015). The relationship between procrastination and academic performance: A meta-analysis. Personality and Individual Differences, 82, 26–33. DOI: 10.1016/j.paid.2015.02.038
