プレゼンテーションの評価——口頭発表は何で点が決まり、どう鍛えられるか

プレゼンテーションの評価——口頭発表は何で点が決まり、どう鍛えられるか

総合型選抜や学校推薦型選抜の二次に、口頭発表が載ることがあります。持ち時間のあいだに話し、そのあとで問われる。志願者は、点が何で決まるかを、話し方の上手さの一点で測りたくなります。上手いか、下手か。二値です。二値のままだと、練習すれば必ず上達する、才能が無いと無理だ、という短い文が残りやすい。短い文は、口頭発表能力を育てる学習環境の側と、発表する側の動機づけを消します。この回は、その二つの層を戻します。

van Ginkel、Gulikers、Biemans、Mulder は、高等教育における口頭プレゼンテーション能力の育成について、関連研究を分類し、設計原理のセットを導いています [1]。論文の表題は “Towards a set of design principles for developing oral presentation competence: A synthesis of research in higher education” です。2015年の統合です。扱うのは、高等教育の口頭発表能力です。日本の総合型選抜、学校推薦型選抜のプレゼン合否や評価基準そのものを測った研究ではありません。設計原理の個数を、配点や評定に換算することは、この回ではしません。

De Grez、Valcke、Roozen は、大学1年生を対象とした探索的研究で、目標設定・自己省察・発表中の特性を分析しています [2]。論文の表題は “The impact of goal orientation, self-reflection and personal characteristics on the acquisition of oral presentation skills” です。2009年の報告です。扱うのは、ベルギーの大学1年生です。高校生の総合型プレゼンそのものを測った研究ではありません。動機づけ構成要素の重要性を、合格点や評定に換算することは、この回ではしません。

結論を先に言います。口頭プレゼンテーション能力の育成は高等教育の必須目標だが、パフォーマンスを高める学習環境の全体像はこれまで欠けていた、と2015年の報告は述べています [1]過去20年の4データベース系統検索で52文献を選定し、学生特性・学習環境特性・学習過程・成果に分類した。統合の結果、指導・学習・評価の7つの設計原理を提示した、とも述べています [1]自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が、口頭プレゼン技能習得に重要、と2009年の報告は述べています [2]。必須目標だ、と、総合型選抜で必ず点が付く、は違います。7つの設計原理がある、と、この7項目で採点される、も違います。動機づけが重要だ、と、才能が無いと無理だ、も違います。練習機会がある、と、練習すれば必ず上達する、も違います。どちらも、日本の総合型選抜の口頭発表の手順書ではありません。

先に、この回がしないことも言っておきます。一次証拠は、高等教育の口頭発表能力のレビューと、大学1年生の探索的研究です。総合型選抜のプレゼン合否・評価基準にそのまま当てはめません [1] [2]。練習すれば必ず上達する、とも、才能だけだ、とも書きません。52と7を、配点や評定に換算しません。総合型選抜のプレゼンテーションについて、すでに別稿があります。この回では再説明しません。面接の構造化や、第一印象の話も、すでに別稿があります。この回では再説明しません。睡眠、運動、教室環境も、軸にしません。大学別の持ち時間や設問の解説も、扱いません。この回の軸は、高等教育における口頭発表能力の設計原理と、大学1年生の動機づけ・自己省察を、同じ重さで置くことです。志願者の発表が短いことを、責めの文にはしません。受験生の準備を、足りない、と決めつけません。

1. 口頭発表能力の育成と、総合型選抜の合否は、同じ話ではない

志願者が「プレゼンの点」と呼ぶものの中には、いくつかの層が混ざります。話し方の上手さ。題材の選び方。練習の回数。その場の評価者の目。層が混ざったまま、「練習すれば通る」と言うと、どの層の、どの基準の話なのかが見えなくなります。

van Ginkel、Gulikers、Biemans、Mulder が置いているのは、高等教育における口頭プレゼンテーション能力の育成です [1]。合否の一点ではありません。日本の総合型選抜の配点表でもありません。置いているのは、口頭発表のパフォーマンスを高める学習環境の特性です。特性があることと、当たる当たらないの二値は、最初から違います。違うものを、同じ「点が決まる」という言葉で結ぶと、口頭発表の役割が一つの勝者に見えます。見せません。

De Grez、Valcke、Roozen が置いているのは、大学1年生の口頭プレゼン技能の習得です [2]。入試の合否を当てる話ではありません。同じ口頭発表でも、学習環境の設計原理と、習得に効く動機づけは、層が違います。層が違うものを、出願の手順に溶かすことはしません。溶かすると、設計原理があることが、この順で話せば通る、という文に見えます。見せません。

日本の総合型選抜に、口頭発表が載ることがあります。載ることと、2015年の高等教育レビューが測っている授業の場が同じであることは、別です。別である、を、本番では口頭発表は関係ない、と読むこともしません。関係がある、と著者が書いているのは、高等教育の口頭発表能力の側です。側があることと、日本の総合型選抜が同じ式であることは、違います。違う、を、この回の入口に置きます [1] [2]

総合型選抜のプレゼンテーションの別の層は、すでに別稿があります。この回は、その層を厚くやり直しません。別である技術を、同じ「プレゼン」という言葉で結ぶと、別稿の話と、学習環境の設計原理の話が、一つの方針に見えます。見せません。この回の層は、高等教育における口頭発表能力の育て方と、大学1年生の動機づけです。育て方であることを、入試の当日点の言い換えにはしません。

2. 高等教育の必須目標だが、学習環境の全体像は欠けていた

2015年の報告が入口に置いているのは、合否の保証ではありません。目標があることと、全体像が欠けていることの差です [1]

口頭プレゼンテーション能力の育成は高等教育の必須目標だが、パフォーマンスを高める学習環境の全体像はこれまで欠けていた。

必須目標、です。高等教育において、口頭発表能力を育てることは必須だ、という位置です。日本の総合型選抜で必須だ、という書き方ではありません。名前が近いことと、測っている場が同じであることは、別です。別である目標を、出願要項の説明に読み替える対応表は、ありません。対応表が無い以上、必須は、高等教育の側の必須のまま使います [1]

パフォーマンスを高める学習環境、です。発表そのものの上手さだけではありません。学習環境の側です。側があることと、当日の一回が上手くいくことは、別です。別である側を、合格率の話に溶かすことはしません。溶かすと、必須目標だ、が、練習すれば通る、という文に見えます。見せません。

全体像はこれまで欠けていた、です。全く研究が無い、ではありません。包括的な絵が欠けていた、という位置です。欠けていた、を、根拠は無い、と読むこともしません。このあとの節で、著者らは52文献を分類します。入口の不足と、あとの統合を、同じ一文に溶かさない。溶かさない理由は、入口が「全体像が欠けていた」を、結論の「7つの設計原理」より先に置いているからです。先に置く順番を、この回も守ります [1]

高等教育、です。大学の学びの側です。高校生の総合型選抜、という書き方ではありません。書き方でないものを、志願者の一回の発表の採点に読み替えることはしません。読み替えない理由は、著者が置いているのが、高等教育の必須目標だからです。目標があることと、日本の二次試験の配点があることは、別です。

3. 過去20年の4データベースから52文献を選び、4つの層に分類した

入口のあと、著者らは何を集めたかを置きます [1]。集めた対象を隠すと、口頭発表一般の話に見えます。見せません。

  1. 関連研究を分類し、設計原理のセットを導くことを目的とした。
  2. 過去20年の4データベース系統検索で52文献を選定した。
  3. 学生特性・学習環境特性・学習過程・成果に分類した。

目的は、設計原理のセットを導くことです。合否の予測式を作ることではありません。セット、です。一つの正解手順、という書き方ではありません。セットがあることと、当日の発表がこの順で進むことは、別です。別である目的を、二次試験の進行表にはしません [1]

過去20年です。4データベースです。52文献です。著者が書いた数です。20と4をかけて、新しい数を作ることはしません。52を7で割って、1原理あたりの文献数を新しい値として出すこともしません。無い値は、補いません。系統検索、という語も、拾っておきます。手元の都合のよい研究だけを集めた、という自己描写ではありません。系統的に検索した、と著者らは書いています。検索したことと、全ての口頭発表研究を尽くしたことは、別です [1]

52文献です。日本の総合型選抜の口頭発表を、直接測った数ではありません。52の中に日本の入試研究が入るか、入らないかも、この文は述べていません。述べていない所属を、足すことはしません。足さない、を、日本は外側だ、と読むこともしません。高等教育の口頭発表能力の統合として、この規模は残ります。残る規模と、高校生の総合型プレゼンの点は、別です。最初に、その限界を言います。限界を、無関係、と読むこともしません。

学生特性・学習環境特性・学習過程・成果、です。文献の分類です。志願者を4つの型に分ける、という書き方ではありません。分類の名前があることと、受験生の性格診断であることは、別です。別である分類を、向き不向きの判定に下ろすことはしません。下ろすと、学生特性が、本人の欠点の証明に見えます。見せません。著者が置いているのは、研究をどの層で読んだかです。層の名前を、当日の自己紹介の項目にはしません [1]

4. 統合の結果、指導・学習・評価の7つの設計原理を提示した

分類のあと、著者らは統合の結果を置きます [1]。結果の主語が、受験者の話し方ではなく、学習環境の設計である、という位置を外しません。

統合の結果、指導・学習・評価の7つの設計原理を提示した。

7つ、です。指導の側、学習の側、評価の側にまたがる設計原理です。7つの採点項目、という書き方ではありません。設計原理である以上、授業や学習の場をどう組むかの話です。場の話を、当日の評価者のチェックリストに翻訳することはしません。翻訳すると、統合が、二次試験の配点表に見えます。見せません [1]

提示した、です。証明した、という書き方ではありません。52文献を統合した結果として、7つの設計原理を置いた、という位置です。位置を、この7つを守れば総合型選抜に通る、という保証にはしません。保証にする換算表は、この回が使う範囲にはありません。無い表を、合格率の目安の顔で出すことはしません。

指導・学習・評価、です。三つの側です。側があることと、配点が三つだ、という話は、別です。三つに割った点数は、この報告からは出てきません。出てこない点数を、持ち時間の配分に読み替えることもしません。時間配分の話は、この回の軸ではありません。軸にしない。

統合、という語が正確です。一校の一回の口頭発表を観察した、という書き方ではありません。複数の研究を、分類のうえでまとめた、という位置です。位置を、志願者の一回が平均に近い、とも、遠い、とも、判定する材料にはしません。判定にすると、レビューが、本人の発表の採点に見えます。見せません [1]

52を、7つの配点に換算することもしません。換算する元の効果量を、この回が新しく作ることもしません。向きだけを使います。高等教育の口頭発表能力には、指導・学習・評価の側から見た設計原理がある。それ以上の点数の話は、この回にはありません。無い点数を、偏差値の動きにしない。

5. 7原理に含まれる学習環境特性は、目標から自己評価まで並ぶ

7つの設計原理の中身を、著者らは学習環境特性として列挙します [1]。列挙を、当日の手順に潰さない、がこの節の上限です。

7原理に含まれる学習環境特性は、学習目標・学習課題・行動モデリング・練習機会・フィードバックの強度とタイミング・ピア評価・自己評価である。

学習目標、です。学習課題、です。何を目指し、何を課すか、という側です。側があることと、総合型選抜の出願書類の題が同じであることは、別です。別である目標を、志望理由書の見出しに読み替えることはしません。読み替えると、学習環境の話が、書類の書き方に見えます。見せません [1]

行動モデリング、です。手本となる振る舞いを示す、という側です。側があることと、誰かの発表を一度見れば足りる、という話は、別です。回数は、この回が使う範囲にはありません。無い回数を、見学の規則として配ることはしません。配ると、著者が書いていない手順が生まれます。生まれた手順を、根拠の顔で出すことはしません。

練習機会、です。機会がある、という位置です。練習すれば必ず上達する、という書き方ではありません。機会と、上達の保証は、層が違います。層が違うものを、同じ「練習」という言葉で結ぶと、設計原理が、本人への命令に見えます。見せません。著者が置いているのは、学習環境に練習の機会がある、という特性です。特性を、「足りないから落ちる」という責めの文にはしません。責めにすると、機会の話が、準備不足の証明に滑ります。滑らせません [1]

フィードバックの強度とタイミング、です。強さと、いつ返すか、の両方です。片方だけを採って、強く言えば足りる、という文にはしません。片方だけを採って、すぐ返せば足りる、という文にもしません。著者が並べたのは、強度とタイミングです。並ぶ二つを、当日の一言の声かけに潰すことはしません。

ピア評価、です。自己評価、です。学習環境の評価の側です。入試の相互採点、という書き方ではありません。書き方でないものを、二次試験で受験生どうしが点を付け合う、という運用の要求にはしません。要求にすると、2015年の設計原理が、入試制度への注文に見えます。見せません。自己評価であることと、自分を責めよ、も違います。評価の特性を、性格の欠点の証明にしない [1]

7つを足して、新しい配点を作ることはしません。7を、総合型選抜の評定の段階に読み替えることもしません。列挙は、高等教育の学習環境特性です。特性があることと、日本の一大学の口頭発表がこの7項目で採点されることは、別です。別である列挙を、チェックリストの勝者にはしません。

6. 大学1年生の探索的研究は、指導設計を導く研究が少ない、と先に置く

2015年の隣に、2009年の探索的研究を置きます [2]。隣に置く、を、同じ助言だ、とは言いません。ここでも、最初に限界を言います。大学1年生を対象とした探索的研究です。ベルギーです。高校生の総合型プレゼンにそのまま当てはめません。

  1. 口頭プレゼン指導の指導設計を導く研究は少ない。
  2. 大学1年生を対象とした探索的研究で、目標設定・自己省察・発表中の特性を分析した。

研究は少ない、です。指導する人は多いが、その設計を導く研究は少ない、という位置です。位置を、塾の指導は根拠が無い、という責めの文にはしません。責めにすると、2009年の入口が、教室の欠点の証明に見えます。見せません。著者が置いているのは、指導設計を導く研究の不足です。不足があることと、口頭発表は教えられない、は、違います [2]

大学1年生、です。探索的研究、です。探索的、という語が正確です。確定した因果の実験だ、という書き方ではありません。大学1年生を対象に、目標設定・自己省察・発表中の特性を分析した、という位置です。位置を、高校3年生の二次試験と同じだ、という記述にはしません。記述でないものを、当日の学年の話に読み替えることはしません。

ベルギー、です。日本の高校の教室を、直接測った場所ではありません。場所が違う、を、無関係だ、と読むこともしません。大学1年生の口頭プレゼン技能の習得として、この報告は残ります。残る報告と、高校生の総合型プレゼンの点は、別です。別である場所を、日本の配点の内側の説明に読み替える対応表は、ありません。対応表が無い以上、場所は場所のまま使います [2]

目標設定、です。自己省察、です。発表中の特性、です。分析の対象です。対象があることと、今夜の下書きに目標を書け、という手順があることは、別です。別である対象を、出願書類の項目に溶かすことはしません。溶かすと、探索的研究が、書類の書式に見えます。見せません。発表中の特性であることと、見た目で決まる、も違います。特性の分析を、第一印象の話にはしません。第一印象の話は、すでに別稿があります。この回では再説明しません [2]

2015年が置いたのは、学習環境の設計原理です [1]。2009年が置いているのは、発表する側の目標設定と自己省察と、発表中の特性です。環境と、発表する側は、同じ「プレゼン」という言葉で結びたくなる。結びは、分かりやすい。分かりやすい結びは、測っている層が同じだ、という前提を、黙って置きます。この回は、その前提を置きません。並べる。溶かす、ではない。

7. 自己効力感・目標志向と、プレゼン題材が、技能習得に重要である

分析のあと、著者らは結果を置きます [2]。結果の両方を残す、がこの節の中心です。

自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が、口頭プレゼン技能習得に重要である。

動機づけ構成要素、です。自己効力感、です。目標志向、です。例として並んでいます。例、です。この二つだけが対象だ、という書き方ではありません。など、という語が付いています。付いている以上、一覧を閉じて、この二つを才能の別名にすることはしません。才能だけだ、という文は、この報告からは出てきません。出てこない文を、向き不向きの判定にはしません [2]

重要、です。十分条件だ、という書き方ではありません。必須だ、という書き方でもありません。口頭プレゼン技能の習得に重要、という位置です。位置を、自己効力感が無ければ落ちる、という責めの文にはしません。責めにすると、動機づけの話が、本人の心の欠点の証明に滑ります。滑らせません。重要であることと、才能が無いと無理だ、は、違います。違う語を、才能の物語の根拠にもしません。

プレゼン題材、です。動機づけ構成要素の隣に、題材が置かれています。両方です。片方だけを採って、自信があれば題材は何でもよい、という文にはしません。片方だけを採って、題材さえ良ければ動機づけは関係ない、という文にもしません。著者が並べたのは、動機づけ構成要素と、題材です。並ぶ二つを、当日のテーマ選びの命令に潰すことはしません [2]

口頭プレゼン技能の習得、です。入試の合否ではありません。入ったあとの、あるいは授業の中での、技能の側です。側があることと、総合型選抜の合格の一点が予測できることは、別です。別である側を、合格率の話に溶かすことはしません。溶かすと、重要だ、が、この題材なら通る、という文に見えます。見せません。

日本の点数へ換算することもしません。換算する元の効果量も、この回が新しく作ることもしません。向きだけを使います。大学1年生の探索的研究では、自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が、口頭プレゼン技能習得に重要だった。それ以上の点数の話は、この回にはありません。無い点数を、偏差値の動きにしない [2]

8. 二つの研究を並べる。練習すれば必ず上達、でも才能だけ、でもない

ここまでを一度だけ表にします。新しい数値は足しません。

著者が述べていること
2015年の対象 高等教育の口頭発表能力。総合型選抜の合否・評価基準そのものではない [1]
2015年の入口 育成は必須目標だが、パフォーマンスを高める学習環境の全体像はこれまで欠けていた [1]
2015年の規模 過去20年の4データベース系統検索で52文献を選定。学生特性・学習環境特性・学習過程・成果に分類 [1]
2015年の結果 指導・学習・評価の7つの設計原理を提示。7を配点に換算しない [1]
7原理の中身 学習目標・学習課題・行動モデリング・練習機会・フィードバックの強度とタイミング・ピア評価・自己評価。当日の手順ではない [1]
2009年の対象 大学1年生の探索的研究。ベルギー。高校生の総合型プレゼンそのものではない [2]
2009年の入口 口頭プレゼン指導の指導設計を導く研究は少ない。目標設定・自己省察・発表中の特性を分析 [2]
2009年の結果 自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が技能習得に重要。才能だけ、ではない [2]
総合型選抜の当日点 この二つの報告からは決まらない。練習すれば必ず上達する、も、この7項目で採点される、も、出てこない

表の読み方は、上下の勝敗ではありません。上段の2015年は、高等教育の学習環境の設計原理です。中段の2009年は、大学1年生の動機づけと題材です。下段の総合型選抜の当日点は、どちらの報告にも無い層です。無い層を、表の空欄のまま置きます。

7つの設計原理と、自己効力感の重要性を、平均した新しい方針は、作りません。測っている層が違います。一方は、学習環境の特性です。他方は、発表する側の動機づけ構成要素と題材です。近い「口頭発表」を、同じ量の反復としては読めません [1] [2]

試験場での見え方に一度だけ引き直します。新しい数値は足しません。口頭発表の前で、何を練習すれば点が決まるかが止まる。2015年の報告は、学習目標から自己評価まで、学習環境の特性を7つ並べています。並べている主語は、学習環境です [1]。2009年の探索的研究は、自己効力感・目標志向と題材が習得に重要だ、と書いています。書いてある主語は、技能の習得です [2]。引き直した結果として出てくるのは、当日の話し方の命令ではありません。高等教育の設計原理と、大学1年生の探索を、日本の配点の手順に溶かさない、という確認の形です。

総合型選抜のプレゼンテーションの別の層は、すでに別稿があります。この回の二つの報告は、その話ではありません。口頭発表能力の設計原理と、動機づけ・自己省察です。別稿の層を、ここに厚くやり直すことはしません。睡眠や運動を、発表の代わりに置くこともしません。大学別の持ち時間も、軸にしません。置く軸は、学習環境の原理があることと、入試の手順にはしないことです [1] [2]

9. 【反証】この回が言えないこと

第一に、一次証拠は二篇です。van Ginkel、Gulikers、Biemans、Mulder の2015年と、De Grez、Valcke、Roozen の2009年です [1] [2]。日本の総合型選抜、学校推薦型選抜の口頭発表の合否や評価基準を、一次資料として測った研究ではありません。合否も、科目の得点差も、この二つの報告は述べていません。

第二に、2015年は高等教育の口頭発表能力のレビューです。総合型選抜のプレゼン合否・評価基準そのものではありません。育成が必須目標だ、は、日本の二次試験で必須だ、という意味ではありません。全体像が欠けていた、は、研究が一つも無い、という意味でもありません [1]

第三に、過去20年、4データベース、52文献は、系統検索で選定した規模です。日本の入試の口頭発表を52校で測った、という記述ではありません。学生特性・学習環境特性・学習過程・成果は、文献の分類です。志願者を4つの型に分ける診断ではありません [1]

第四に、指導・学習・評価の7つの設計原理を、当日の採点項目や配点にはできません。52と7を、評定や合格点に換算する対応表は、ありません。提示した、であり、この7つを守れば通る、という保証ではありません [1]

第五に、学習目標・学習課題・行動モデリング・練習機会・フィードバックの強度とタイミング・ピア評価・自己評価は、学習環境特性です。受験者への「こう話せ」ではありません。練習機会がある、を、練習すれば必ず上達する、と読むこともしません。ピア評価と自己評価を、入試の相互採点の要求にもしません [1]

第六に、2009年は大学1年生の探索的研究です。ベルギーです。高校生の総合型プレゼンへはそのまま当てはめることはできません。指導設計を導く研究は少ない、を、教えられない、と読むこともしません。目標設定・自己省察・発表中の特性は、分析の対象です。書類の書式ではありません [2]

第七に、自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が重要だ、を、才能だけだ、という断定にはできません。重要、です。十分条件ではありません。技能の習得の話であり、合否の話ではありません。題材の重要性を、このテーマなら通る、という当日の命令にもしません [2]

第八に、二つの研究を平均した新しい方針は、作っていません。一方は学習環境の設計原理、他方は発表する側の動機づけと題材です。測っている層が違います。近い「口頭発表」を、同じ量としては読んでいません [1] [2]

第九に、総合型選抜のプレゼンテーションの別の層は、この回では再説明していません。すでに書いた話だからです。必要でも、参照に留めます。面接の構造化、第一印象、面接コーチングの話も、扱いません。睡眠、運動、食事、教室環境を、この回の軸にもしていません。大学別の持ち時間や設問も、扱いません。

第十に、この回は、志願者の発表を下手だと決めつけていません。練習不足だ、という責めの文にもしていません。練習すれば必ず上達する、とも、才能だけだ、とも書いていません。著者らが述べたのは、高等教育の口頭発表能力の設計原理と、大学1年生の動機づけ・自己省察です。研究があることと、受験生を責めることは、別です [1] [2]

10. 実務——試験場と面談で使える3つの確認

  1. 7つの設計原理を、総合型選抜の配点表や当日の話し方の手順に読み替えていませんか。van Ginkel、Gulikers、Biemans、Mulder によれば、高等教育の口頭発表能力には、指導・学習・評価の7つの設計原理があります。中身は、学習目標・学習課題・行動モデリング・練習機会・フィードバックの強度とタイミング・ピア評価・自己評価です。主語は、学習環境です。受験者への命令ではありません。52と7を、評定に換算する表は、この報告からは出てきません。出ない、を、確認の答えにします [1]
  2. 練習機会がある、を、練習すれば必ず上達する、に上げていませんか。自己効力感と目標志向を、才能の有無に潰していませんか。2015年が置いているのは、学習環境に練習の機会がある、という特性です。機会と、上達の保証は、層が違います。2009年は、自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が技能習得に重要だ、と述べます。重要、です。才能だけ、ではありません。題材だけ、でもありません。片方の命令に潰していないか。面談の前に、断定に上げていないか、を一度だけ言い直す、という確認です [1] [2]
  3. 大学の口頭発表能力のレビューと、大学1年生の探索的研究を、高校生の総合型プレゼンの点数に換算していませんか。別稿の層と、この回の層を、一つの手順に溶かしていませんか。2015年は高等教育、2009年はベルギーの大学1年生です。日本の総合型選抜そのものではありません。換算表は、この報告からは出てきません。総合型選抜のプレゼンテーションの別の層は、別稿です。この回の層は、設計原理と、動機づけ・自己省察です。層を混ぜない、という確認です [1] [2]

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まとめ

  1. van Ginkel、Gulikers、Biemans、Mulder は、高等教育における口頭プレゼンテーション能力の育成について、関連研究を分類し、設計原理のセットを導いた。育成は必須目標だが、パフォーマンスを高める学習環境の全体像はこれまで欠けていた。総合型選抜の合否・評価基準そのものではない [1]
  2. 過去20年の4データベース系統検索で52文献を選定し、学生特性・学習環境特性・学習過程・成果に分類した。文献の分類であり、志願者の性格診断ではない [1]
  3. 統合の結果、指導・学習・評価の7つの設計原理を提示した。学習目標・学習課題・行動モデリング・練習機会・フィードバックの強度とタイミング・ピア評価・自己評価が含まれる。52と7を配点・評定に換算しない。練習機会を、練習すれば必ず上達する、にはしない [1]
  4. De Grez、Valcke、Roozen は、大学1年生を対象とした探索的研究で、目標設定・自己省察・発表中の特性を分析した。口頭プレゼン指導の指導設計を導く研究は少ない、と先に置く。ベルギーである。高校生の総合型プレゼンへはそのまま当てはめない [2]
  5. 自己効力感・目標志向など動機づけ構成要素と、プレゼン題材が、口頭プレゼン技能習得に重要である。重要、を才能だけにしない。題材だけにもしない。技能の習得であり、合否ではない [2]
  6. 二つの研究を並べると、口頭発表能力には学習環境の設計原理と、発表する側の動機づけの話がある。日本の合否への読み替えも、当日の手順も、この研究からは出てこない。総合型選抜のプレゼンテーションの別の層は再説明しない。志願者の発表を下手だと決めつけない。受験生を責めない。

出典

本文中の番号に対応します。書誌を確認し、抄録に直接あたったものだけを挙げています。結論に反する記述も、同じ基準で載せています。

  1. 【高等教育の口頭発表能力・設計原理】van Ginkel, Stan; Gulikers, Judith; Biemans, Harm; Mulder, Martin (2015). Towards a set of design principles for developing oral presentation competence: A synthesis of research in higher education. Educational Research Review, 14, 62–80. DOI: 10.1016/j.edurev.2015.02.002
  2. 【大学1年生・目標志向と自己省察】De Grez, Luc; Valcke, Martin; Roozen, Irène (2009). The impact of goal orientation, self-reflection and personal characteristics on the acquisition of oral presentation skills. European Journal of Psychology of Education, 24(3), 293–306. DOI: 10.1007/BF03174762
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宮川 涼 Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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