志望理由書は書き直しで良くなるか——推敲・フィードバック・添削の実証
出願の前に、志望理由書の下書きを開く志願者は少なくありません。一度書いた文を消す。教員や仲間のコメントを待つ。誤りの位置だけを直す。束を見ると、書き直せば良くなるのかを、合格の一点で測りたくなります。良くなるか、ならないか。二値です。二値のままだと、添削すれば通る、書き直しても無意味だ、という短い文が残りやすい。短い文は、執筆の質を動かした介入の種類と、フィードバックの出し方の差を消します。この回は、その差を戻します。
Graham と Perin は、青少年の執筆指導の介入文献を、メタ分析として検討しています [1]。論文の表題は “A meta-analysis of writing instruction for adolescent students” です。2007年の報告です。扱うのは、米国の4年生から12年生の執筆指導です。実験研究と準実験研究に焦点を置いています。日本の志望理由書、総合型選抜、学校推薦型選抜そのものを測った研究ではありません。米国の青少年の執筆指導であり、総合型選抜ではない、ということを、この回は最初に言います。後でもう一度言います。総合型選抜にそのまま当てはまる、とは書きません。平均加重効果量を、合格点や評定に換算することは、この回ではしません。
Biber、Nekrasova、Horn は、第一言語が英語の執筆と、英語を第二言語とする執筆の発達に、フィードバックがどれだけ効くかを、メタ分析として置いています [2]。論文の表題は “The effectiveness of feedback for L1-English and L2-writing development: A meta-analysis” です。2011年の報告です。扱うのは、英語のライティングにおけるフィードバックです。日本語の志望理由書の添削そのものを測った研究ではありません。英語のライティングであり、日本語の書類添削ではない、ということを、この回は最初に言います。後でもう一度言います。総合型選抜にそのまま当てはまる、とは書きません。フィードバックの伸びを、志望理由書の合否に換算することは、この回ではしません。
結論を先に言います。123文献から、執筆の質についての154の効果量を得た、と2007年の報告は述べています [1]。11の介入について平均加重効果量を算出した。方略指導は0.82、要約は0.82、仲間による支援は0.75、成果物の目標設定は0.70、文書処理は0.55、文の結合は0.50、探究は0.32、執筆前の活動は0.32、過程執筆の接近法は0.32、モデルの学習は0.25、文法指導はマイナス0.32、とも述べています [1]。全体として、フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす、と2011年の報告は述べています [2]。執筆発達には、書面のフィードバックが口頭のフィードバックより有効である。英語を第二言語とする学生では、仲間のフィードバックが教員のフィードバックより有効である。コメントは誤りの位置の指摘より有効である。一般に、形式と内容への焦点は、形式のみへの焦点より有効である、とも述べています [2]。0.82と、書き直せば合格する、は違います。マイナス0.32と、文法は不要だ、も違います。伸びをもたらす、と、添削すれば必ず良くなる、も違います。書面が口頭より有効、と、日本語の志望理由書は書面で直せ、も違います。どちらも、総合型選抜の志望理由書の手順書ではありません。
先に、この回がしないことも言っておきます。一次証拠は、米国の4年生から12年生の執筆指導と、英語ライティングのフィードバックです。日本の志望理由書・総合型選抜に、そのまま当てはめません [1] [2]。0.82も、0.75も、マイナス0.32も、合格点や評定に換算しません。添削すれば必ず良くなる、とは書きません [1]。添削は無意味だ、とも書きません。フィードバックの種類の差を、日本語の添削の正解手順にはしません [2]。志望理由書が入学後の何を予測するかの話は、すでに別稿があります。この回では再説明しません。採点者差の一般論も、すでに別稿があります。再説明しません。フィードバック一般の介入の話も、すでに別稿があります。再説明しません。睡眠、運動、教室環境も、軸にしません。大学別の字数や設問の解説も、扱いません。この回の軸は、執筆指導の介入の効果量と、フィードバックの種類の差を、同じ重さで置くことです。志願者の下書きが短いことを、責めの文にはしません。受験生の準備を、足りない、と決めつけません。
1. 米国の青少年の執筆指導は、日本語の志望理由書の手順ではない
志願者が「書き直し」と呼ぶものの中には、いくつかの層が混ざります。方略を教える。要約させる。仲間と直す。目標を置く。画面で書く。文を結合する。探究する。書く前に準備する。過程に沿って書く。モデルを読む。文法を教える。教員が口で返す。書面で返す。誤りの位置だけ示す。形式だけ見る。内容も見る。層が混ざったまま、「添削しろ」と言うと、どの介入の、どの言語の話なのかが見えなくなります。
Graham と Perin が置いているのは、米国の4年生から12年生の執筆指導です [1]。青少年の執筆です。日本の高校生の志望理由書ではありません。総合型選抜の書類でもありません。最初に、その限界を言います。限界を、無関係、と読むこともしません。執筆の質についての効果量の一次の報告として、この論文は残ります。残る報告と、志望理由書の書き直しの正解は、別です。
Biber らが置いているのも、英語のライティングのフィードバックです [2]。第一言語が英語の執筆と、英語を第二言語とする執筆です。日本語の志望理由書の添削ではありません。入試の書類添削でもありません。近い「フィードバック」を、同じ試験の別名にはしません。近い、を外挿の根拠にしない。
「総合型選抜の志望理由書だから、青少年の執筆指導は使えない」という見送りも、ここでは使いません。使えない、は、読んでいない、ではありません。読んだうえで、対象が違う、と置く。違うことを、書き直しは関係ない、と読むこともしません。方略指導の平均加重効果量が0.82だった、という文は残ります。フィードバックが伸びをもたらす、という文も残ります。残るものと、当日の添削の命令は、結びません [1] [2]。
受験生本人が読むときの形も、同じ範囲に置きます。「直しているのに点が付かないから、自分は書けない」。その物語を、この二つの報告は支えていません。支えていないことと、介入が無い、は、また別です。効果量があることと、向き不向きの判定であることは、層が違います。層を混ぜて、本人を責める文にはしません。
2. 4年生から12年生の実験・準実験を、123文献から154の効果量で統合した
2007年の報告が入口に置いているのは、志望理由書の保証ではありません。対象です [1]。ここでも、最初に限界を言います。米国の4年生から12年生の執筆介入です。日本の志望理由書ではありません。
- 執筆介入の文献(4年生から12年生)のメタ分析である。実験研究と準実験研究に焦点を置いた。
- 123文献から、執筆の質についての154の効果量を得た。
4年生から12年生です。米国の学校段階です。日本の小学4年から高校3年の対応表、という書き方ではありません。対応表は、この回が使う範囲にはありません。無い表を、志望理由書の対象学年の顔で出すことはしません。出さない理由は、著者が置いているのが、米国の4年生から12年生だからです [1]。
実験研究と準実験研究に焦点、です。全ての執筆の話を集めた、という書き方ではありません。焦点がある以上、観察だけ、感想だけ、という層は、この統合の外側です。外側を、無意味だ、と読むこともしません。著者が選んだのは、実験と準実験です。選んだ範囲を、総合型選抜の全書類の観察に広げることはしません。
123文献です。154の効果量です。著者が書いた数です。123を154で割って、1文献あたりの効果量を作ることはしません。作ると、著者が書いていない別の標本が生まれます。生まれた標本を、志望理由書の一通の顔で出すことはしません。123と154を足すこともしません。足した合計は、この回にはありません [1]。
執筆の質、です。合格の一点ではありません。入試の評定でもありません。質についての効果量です。効果量があることと、日本の書類点が同じ単位であることは、別です。別である単位を、合格率の話に溶かすことはしません。溶かすと、154が、合格者数に見えます。見せません。
メタ分析です。一校の一回の添削を観察した、という書き方ではありません。複数の介入を、効果量としてまとめた、という位置です。位置を、志願者の一通が平均に近い、とも、遠い、とも、判定する材料にはしません。判定にすると、メタ分析が、本人の文章の採点に見えます。見せません [1]。
3. 方略指導と要約の平均加重効果量は0.82である
対象のあと、著者らは11の介入の平均加重効果量を置きます [1]。括弧内の数字を、書き直せ、と読まない、がこの節の上限です。ここでは、まず二つの0.82を残します。
- 方略指導の平均加重効果量は0.82である。
- 要約の平均加重効果量は0.82である。
平均加重効果量です。合格点の0.82ではありません。執筆の質についての、介入ごとの要約値です。要約値があることと、志望理由書を方略で書けば点が0.82上がることは、別です。別である数字を、当日の伸びとして配ることはしません [1]。
方略指導です。要約です。著者が別々に置いた介入です。数字がどちらも0.82であることと、同じ介入であることは、別です。同じ数字を平均して、新しい0.82を作ることはしません。作るまでもなく、著者はすでに別々の0.82として書いています。別々を、一つの「書き方指導」に溶かすと、要約と方略の差が消えます。消さない。
0.82を、合格点に換算することもしません。換算する元の対応表も、この回が使う範囲にはありません。無い対応表を、評定の動きにしない。0.82を、総合型選抜の配点の何点、としても足しません。足すと、著者が書いていない点数が生まれます。生まれた点数を、根拠の顔で出すことはしません [1]。
受験生本人が「0.82なら、型を覚えれば勝つ」と思うとき、その思いは、平均加重効果量には触れています。触れていることと、その思いが著者の結論そのものであることは、別です。結論は、方略指導の平均加重効果量が0.82、要約の平均加重効果量が0.82、です。型を覚えれば勝つ、ではありません。入口の数字と、出願の方針を、同じ一文に溶かさない。
米国の4年生から12年生です。日本の志望理由書の下書きではありません。対象が違う数字を、総合型選抜の処方にはしません。処方にしない、を、0.82はどうでもよい、と読むこともしません。0.82は、著者が算出した平均加重効果量です。算出があることと、日本語の書類の必達であることは、層が違います [1]。
4. 仲間による支援は0.75、成果物の目標は0.70、文書処理は0.55、文の結合は0.50
0.82の隣に、著者らは別の介入を置きます [1]。隣を、順位表にしない、がこの節の中心です。
- 仲間による支援の平均加重効果量は0.75である。
- 成果物の目標設定の平均加重効果量は0.70である。
- 文書処理の平均加重効果量は0.55である。
- 文の結合の平均加重効果量は0.50である。
仲間による支援です。志願者が一人で直す話ではありません。仲間と書く、という介入の側です。側があることと、総合型選抜の志望理由書を友人に見せよ、という命令は、別です。命令にすると、0.75が、提出前の必達に見えます。見せません [1]。
成果物の目標設定です。書いたものの目標を置く、という側です。合格せよ、という目標そのものではありません。目標設定の介入があることと、志望理由書の主題を合格に置け、は、違います。違う目標を、出願の標語にはしません。
文書処理です。画面で書く、という介入の側です。2007年の報告が置いた介入です。いまの用具の名前ではありません。名前でないものを、特定のソフトの指定に読み替えることはしません。0.55を、画面で書けば点が上がる、という当日の手順にもしません [1]。
文の結合です。文と文をつなぐ練習、という側です。志望理由書の接続の正解、という書き方ではありません。練習があることと、接続詞の一覧があることは、別です。一覧は、この回が使う範囲にはありません。無い一覧を、添削のチェックリストとして配ることはしません。
0.75と0.70と0.55と0.50を、足して新しい効果量にすることはしません。平均して、新しい中間値を作ることもしません。作ると、著者が書いていない11番目とは別の数字が生まれます。生まれた数字を、根拠の顔で出すことはしません。著者は、介入ごとに括弧内の値を置いています。括弧の外で合成しない [1]。
0.82より小さい、を、無視してよい、と読む根拠にもしません。小さい、という比較の基準を、この回が新しく置くことはしません。置いていない基準で、仲間の支援はどうでもよい、と読むこともしません。著者が置いたのは、介入ごとの平均加重効果量です。効果量であることと、志望理由書の優先順位であることは、別です。
5. 探究・執筆前・過程執筆は0.32、モデルの学習は0.25、文法指導はマイナス0.32
残る介入も、同じ表の内側です [1]。マイナスを隠さない。プラスだけを残して「書き直しは効く」と短くしない。両方が、この節の上限です。
- 探究の平均加重効果量は0.32である。
- 執筆前の活動の平均加重効果量は0.32である。
- 過程執筆の接近法の平均加重効果量は0.32である。
- モデルの学習の平均加重効果量は0.25である。
- 文法指導の平均加重効果量はマイナス0.32である。
探究、執筆前の活動、過程執筆の接近法。三つとも0.32です。三つが同じ数字であることと、同じ介入であることは、別です。三つを束ねて、新しい「0.32の群」の人数を作ることはしません。人数を作ると、著者が書いていない分類が生まれます。生まれた分類を、添削のコースの名前にしない [1]。
モデルの学習は0.25です。お手本を読む、という側です。合格者の志望理由書を読め、という口語の助言そのものではありません。平均加重効果量があることと、お手本が合格の近道であることは、別です。別である0.25を、写せ、という命令にはしません。
文法指導はマイナス0.32です。マイナス、です。プラスの0.32ではありません。符号を外して、0.32として隣の探究と並べることはしません。外すと、著者が書いた向きが消えます。消えた向きの上に、文法も少しは効く、という口語が乗ります。口語を、この一文の言い換えとしては使いません [1]。
マイナス0.32を、文法は学ぶな、という断定的助言にもしません。主語は、執筆の質についての文法指導という介入の平均加重効果量です。受験生への「文法を捨てよ」ではありません。米国の4年生から12年生の執筆指導です。日本語の志望理由書の語法の話ではありません。対象が違うマイナスを、出願前の禁止リストにはしません。禁止にすると、効果が、本人の学習の否定に見えます。見せません。
11の介入は、勝ち負けの表ではありません。方略指導の0.82と、文法指導のマイナス0.32を、差し引いて新しい値にすることもしません。差し引くと、著者が書いていない効果が生まれます。生まれた効果を、書き直しの純益の顔で出すことはしません。著者が算出したのは、介入ごとの平均加重効果量です。介入ごと、です。合成した純益ではありません [1]。
ここまでの数字を、日本語の志望理由書の添削メニューに読み替える対応表は、ありません。無い対応表を、出願前の点検表にはしません。しない、を、介入は無関係だ、と読むこともしません。介入の効果量は、青少年の執筆の質について残ります。残るものと、総合型選抜の手順は、結びません。
6. フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす。英語ライティングであり、日本語の添削ではない
2007年の隣に、2011年を置きます [2]。隣に置く、を、同じ助言だ、とは言いません。ここでも、最初に限界を言います。第一言語が英語の執筆と、英語を第二言語とする執筆のフィードバックです。日本語の志望理由書の添削にそのまま当てはめません。
全体として、フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす、とされた。
全体として、です。いつも、ではありません。全ての添削が伸びる、という書き方ではありません。フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす、とされた、という位置です。位置を、添削すれば必ず良くなる、という標語に潰すことはしません。潰すと、全体として、が消えます。消えた語の上に、直せば通る、という口語が乗ります。口語を、この一文の言い換えとしては使いません [2]。
執筆発達の伸び、です。入試の合否ではありません。書類の評定でもありません。発達の伸びです。伸びがあることと、志望理由書の点が上がることは、別です。別である伸びを、合格率の話に溶かすことはしません。溶かすと、フィードバックが、総合型選抜の必勝手順に見えます。見せません。
英語のライティングです。日本語ではありません。言語が違うフィードバックを、日本語の志望理由書の添削の別名にはしません。別名にしない、を、フィードバックはどうでもよい、と読むこともしません。フィードバックが伸びをもたらす、という文は残ります。残る文と、日本語の書類の正解は、別です [2]。
2007年が置いたのは、執筆指導の介入の平均加重効果量です [1]。2011年が置いているのは、フィードバックの有無と種類です。介入の効果量と、フィードバックの伸びは、同じ「直し」という言葉で結びたくなる。結びは、分かりやすい。分かりやすい結びは、測っている層が同じだ、という前提を、黙って置きます。この回は、その前提を置きません。並べる。溶かす、ではない。
伸びをもたらす、を、添削は無意味だ、の否定としてだけ使うこともしません。無意味だ、を否定することと、必ず良くなる、を肯定することは、別です。著者は、必ず、とは書いていません。全体として伸びをもたらす、と書いています。書いてある範囲を、出願の命令に下ろすことはしません [2]。
7. 書面は口頭より、仲間は教員より(第二言語)、コメントは誤り位置より、形式と内容は形式のみより
伸びのあと、著者らは種類の差を置きます [2]。差を、日本語の添削の手順に翻訳しない。種類の主語を外さない。両方が、この節の上限です。
- 執筆発達には、書面のフィードバックが口頭のフィードバックより有効である。
- 英語を第二言語とする学生では、仲間のフィードバックが教員のフィードバックより有効である。
- コメントは、誤りの位置の指摘より有効である。
- 一般に、形式と内容への焦点は、形式のみへの焦点より有効である。
書面が口頭より有効、です。執筆発達について、です。志望理由書の面談より書類が上だ、という意味ではありません。フィードバックの出し方の比較です。比較があることと、口頭は無意味だ、は、違います。違う比較を、面接をやめよ、という文にはしません。面接の話は、この回の軸ではありません。軸にしない [2]。
英語を第二言語とする学生では、です。条件が付いています。全ての学生で仲間が教員より上だ、という書き方ではありません。第一言語が英語の学生へ、同じ一文を伸ばすことも、この回ではしません。伸ばすと、著者が書いた条件が消えます。消えた条件の上に、友人に見せよ、という口語が乗ります。口語を、この一文の言い換えとしては使いません。
仲間のフィードバックが教員のフィードバックより有効、です。英語を第二言語とする学生、という範囲の中です。日本語の志望理由書を、教員ではなく友人に出せ、という命令ではありません。命令にすると、条件付きの比較が、提出先の正解に見えます。見せません。2007年の仲間による支援0.75と、この比較を平均することもしません。測っている層が違います。一方は、青少年の執筆指導の介入です。他方は、英語を第二言語とする学生のフィードバックの種類です。近い「仲間」を、同じ量の反復としては読めません [1] [2]。
コメントは、誤りの位置の指摘より有効、です。位置だけ示すより、コメントのほうが執筆発達に有効、という向きです。向きがあることと、誤りは指摘するな、は、違います。違う向きを、誤字はそのままでよい、と読む根拠にもしません。著者が置いているのは、コメントと位置指摘の比較です。比較を、添削をやめよ、という文にはしません [2]。
一般に、形式と内容への焦点は、形式のみへの焦点より有効、です。一般に、です。いつも、ではありません。形式と内容、です。内容だけ、ではありません。形式のみより、です。形式が不要だ、という書き方ではありません。形式だけに限るより、形式と内容の両方へ焦点を置くほうが有効、という位置です。位置を、中身さえあれば形はどうでもよい、と読むこともしません。読まない、を、形式だけ見よ、と読むこともしません。著者が書いたのは、形式のみより、形式と内容、です。片方だけの命令にはなりません。
四つの比較を、一つの「良い添削」に合成しない。書面と仲間とコメントと形式と内容を、足して新しい手順にすることもしません。手順にすると、英語ライティングの比較が、日本語の志望理由書のマニュアルに見えます。見せません。比較は比較のまま残します。残すことと、総合型選抜の添削の正解であることは、別です [2]。
8. 二つの研究を並べる。添削すれば必ず良くなる、にも、添削は無意味、にもしない
ここまでを一度だけ表にします。新しい数値は足しません。
| 側 | 著者が述べていること |
|---|---|
| 2007年の対象 | 米国の4年生から12年生の執筆介入。実験・準実験。日本の志望理由書そのものではない [1] |
| 2007年の規模 | 123文献から、執筆の質についての154の効果量。1文献あたりの値は作らない [1] |
| 2007年の0.82 | 方略指導0.82、要約0.82。書き直せば合格する、ではない [1] |
| 2007年の中段 | 仲間による支援0.75、成果物の目標設定0.70、文書処理0.55、文の結合0.50。順位表ではない [1] |
| 2007年の下段と符号 | 探究0.32、執筆前の活動0.32、過程執筆の接近法0.32、モデルの学習0.25、文法指導はマイナス0.32。文法は学ぶな、ではない [1] |
| 2011年の対象 | 第一言語が英語の執筆と、英語を第二言語とする執筆のフィードバック。日本語の添削そのものではない [2] |
| 2011年の全体 | フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす。添削すれば必ず良くなる、ではない [2] |
| 2011年の種類 | 書面は口頭より。第二言語では仲間は教員より。コメントは誤り位置より。形式と内容は形式のみより。日本語の手順ではない [2] |
| 志望理由書の合否 | この二つの報告からは決まらない。合格点への換算も、当日の手順も、出てこない |
表の読み方は、上下の勝敗ではありません。上段の2007年は、青少年の執筆指導の介入と、平均加重効果量です。中段の2011年は、英語ライティングのフィードバックの伸びと、種類の差です。下段の志望理由書の合否は、どちらの報告にも無い層です。無い層を、表の空欄のまま置きます。
添削すれば必ず良くなるか、という問いは、志願者が持ちやすい問いです。問いがあることと、答えが「必ず良くなる」であることは、別です。2007年が置いたのは、介入ごとの平均加重効果量です。文法指導はマイナスです。マイナスがある以上、全ての直しがプラスだ、とは書けません [1]。2011年が置いたのは、全体として伸びをもたらすことと、種類の差です。伸びがある以上、添削は無意味だ、とも書けません [2]。両方を残す。片方の標語に潰さない。
出願での見え方に一度だけ引き直します。新しい数値は足しません。下書きがある。直す。2007年の報告は、方略指導と要約の平均加重効果量が0.82だと書き、文法指導はマイナス0.32だと書いています [1]。2011年の報告は、フィードバックは伸びをもたらす、と書き、書面と口頭、仲間と教員、コメントと位置、形式と内容の差を置いています [2]。引き直した結果として出てくるのは、志望理由書の添削の命令ではありません。青少年の執筆指導と、英語ライティングのフィードバックを、総合型選抜の手順に溶かさない、という確認の形です。
志望理由書が入学後の何を予測するかの話は、すでに別稿があります。この回の二つの報告は、その話ではありません。執筆指導と、フィードバックです。別稿の層を、ここに厚くやり直すことはしません。採点者差の一般論も、すでに別稿があります。再説明しません。フィードバック一般の介入の話も、すでに別稿があります。再説明しません。置く軸は、効果量と種類の差があることと、総合型選抜の手順にはしないことです [1] [2]。
睡眠や運動を、書き直しの代わりに置くこともしません。活動報告書やポートフォリオの話も、この回の軸ではありません。面接の第一印象の話も、すでに別稿があります。再説明しません。置くのは、11の介入の平均加重効果量と、フィードバックの種類です。種類があることと、今夜の下書きをこう直せ、は、結びません。
9. 【反証】この回が言えないこと
第一に、一次証拠は二篇です。Graham と Perin の2007年と、Biber、Nekrasova、Horn の2011年です [1] [2]。日本の志望理由書、総合型選抜、学校推薦型選抜を、一次資料として測った研究ではありません。合否も、大学の評定も、この二つの報告は述べていません。
第二に、2007年は米国の4年生から12年生の執筆指導です。実験研究と準実験研究に焦点を置いたメタ分析です。日本の志望理由書そのものではありません。総合型選抜にそのまま当てはまる、とは書けません [1]。
第三に、123文献と154の効果量を、日本の志願者数や書類の通数に読み替えることはできません。123を154で割った値も、足した値も、この回は作っていません。無い商と和を、点検の点数にはできません [1]。
第四に、方略指導0.82、要約0.82を、書き直せば点が上がる、という断定的助言にはできません。平均加重効果量です。合格点の伸びではありません。0.82を合格点や評定に換算する対応表も、ありません [1]。
第五に、仲間による支援0.75、成果物の目標設定0.70、文書処理0.55、文の結合0.50、探究0.32、執筆前の活動0.32、過程執筆の接近法0.32、モデルの学習0.25を、足したり平均したりした新しい値は、この回にはありません。11の介入の順位表でもありません。文書処理を、特定の用具の指定に読み替えることもできません [1]。
第六に、文法指導の平均加重効果量はマイナス0.32です。文法は学ぶな、という助言ではありません。符号を外した0.32として、探究の0.32と同一視することもできません。主語は、米国の青少年の執筆の質についての介入です。日本語の語法の禁止リストではありません [1]。
第七に、2011年は英語ライティングのフィードバックのメタ分析です。日本語の志望理由書の添削にそのまま当てはめることはできません。フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす、は、添削すれば必ず良くなる、という意味ではありません。添削は無意味だ、とも書けません [2]。
第八に、書面が口頭より有効、は、面接をやめよ、という意味ではありません。英語を第二言語とする学生では仲間が教員より有効、は、全ての学生の話ではありません。第一言語が英語の学生へ伸ばすことも、日本語の提出先の正解にすることも、できません。コメントが誤り位置より有効、は、誤りは指摘するな、という意味ではありません。一般に形式と内容は形式のみより有効、は、形式が不要だ、という意味でも、内容だけ見よ、という意味でもありません [2]。
第九に、志望理由書の予測の話、採点者差の一般論、フィードバック一般の介入の話は、この回では再説明していません。すでに書いた話だからです。睡眠、運動、食事、教室環境を、この回の軸にもしていません。大学別の字数や設問も、扱いません。
第十に、この回は、志願者の下書きが短いことを間違っていると決めつけていません。書き直しが足りない、という責めの文にもしていません。文法指導がマイナスであることを、本人の欠点だとも書いていません。著者らが述べたのは、米国の青少年の執筆指導のメタ分析と、英語ライティングのフィードバックのメタ分析です。研究があることと、受験生を責めることは、別です [1] [2]。
10. 実務——出願と面談で使える3つの確認
- 方略指導の0.82や、11の介入の効果量を、総合型選抜の合格点や評定に換算していませんか。米国の4年生から12年生の執筆指導を、日本語の志望理由書の手順に読み替えていませんか。Graham と Perin によれば、123文献から執筆の質についての154の効果量が得られ、方略指導と要約の平均加重効果量は0.82です。米国の青少年の執筆です。総合型選抜ではありません。平均加重効果量は、合格点の伸びではありません [1]。換算表は、この報告からは出てきません。出ない、を、出願前の確認の答えにします。
- 文法指導のマイナス0.32を、文法は学ぶな、と読んでいませんか。11の介入を一つの「添削」に溶かしていませんか。探究と執筆前と過程執筆の0.32を、足したり束ねたりした新しい値にしていませんか。マイナス、です。符号を外しません。介入ごと、です。合成した純益ではありません。モデルの学習0.25を、合格者の文を写せ、という命令にもしません [1]。命令だけを残して、対象が米国の4年生から12年生である限界を隠していないか。面談の前に、断定に上げていないか、を一度だけ言い直す、という確認です。
- フィードバックが伸びをもたらす、を、添削すれば必ず良くなる、と読んでいませんか。書面が口頭より、第二言語では仲間が教員より、を、日本語の志望理由書の添削手順にしていませんか。Biber、Nekrasova、Horn は、全体としてフィードバックは執筆発達の伸びをもたらす、と述べます。英語ライティングです。日本語の添削ではありません。仲間が教員より、は、英語を第二言語とする学生、という条件の中です。コメントは誤り位置より有効、は、誤りは指摘するな、ではありません。形式と内容は形式のみより、は、形式が不要だ、ではありません [2]。片方の標語に潰していないか。添削すれば必ず良くなる、とも、添削は無意味だ、とも、書いていないか。それが、面談の前の確認です。
それでも塾に通いたい方へ
当塾は講師1名に生徒1名の完全個別指導で、武蔵境駅から徒歩30秒です。事前診断テストと入塾前カウンセリングは無料で、割引制度は設けていません。方略指導の平均加重効果量を志望理由書の合否に換算していないか、文法指導のマイナスを文法は不要と読んでいないか、英語ライティングのフィードバックを日本語の添削手順に読み替えていないかを整理することは、カウンセリングの場でご一緒にできます。入塾されるかどうかとは切り離してお受けしています。
まとめ
- Graham と Perin は、4年生から12年生の執筆介入文献を、実験・準実験に焦点を置いてメタ分析した。123文献から、執筆の質についての154の効果量を得た。米国の青少年の執筆指導である。日本の志望理由書・総合型選抜そのものではない [1]。
- 11の介入の平均加重効果量を算出した。方略指導0.82、要約0.82、仲間による支援0.75、成果物の目標設定0.70、文書処理0.55、文の結合0.50。合格点への換算はしない。書き直せば合格する、という断定的助言にはしない [1]。
- 探究0.32、執筆前の活動0.32、過程執筆の接近法0.32、モデルの学習0.25、文法指導はマイナス0.32。マイナスを外さない。文法は学ぶな、という助言にはしない。足した新しい値も、平均した新しい値も、作らない [1]。
- Biber、Nekrasova、Horn は、全体として、フィードバックは執筆発達の伸びをもたらす、と述べた。第一言語が英語の執筆と、英語を第二言語とする執筆である。日本語の志望理由書の添削へはそのまま当てはめない。添削すれば必ず良くなる、とも、添削は無意味だ、とも書かない [2]。
- 執筆発達には書面のフィードバックが口頭より有効。英語を第二言語とする学生では仲間のフィードバックが教員より有効。コメントは誤りの位置の指摘より有効。一般に、形式と内容への焦点は形式のみより有効。日本語の添削手順ではない。面接をやめよ、でも、誤りは指摘するな、でも、形式は不要だ、でもない [2]。
- 二つの研究を並べると、執筆指導の効果量と、フィードバックの種類の差はある。総合型選抜の志望理由書への読み替えも、当日の手順も、この研究からは出てこない。予測の話と採点者差の一般論は再説明しない。読者の下書きを短いと決めつけない。受験生を責めない。
出典
本文中の番号に対応します。書誌を確認し、抄録に直接あたったものだけを挙げています。結論に反する記述も、同じ基準で載せています。
- 【青少年の執筆指導・メタ分析】Graham, Steve; Perin, Dolores (2007). A meta-analysis of writing instruction for adolescent students. Journal of Educational Psychology, 99(3), 445–476. DOI: 10.1037/0022-0663.99.3.445
- 【英語ライティングのフィードバック・メタ分析】Biber, Douglas; Nekrasova, Tatiana; Horn, Brad (2011). The effectiveness of feedback for L1-English and L2-writing development: A meta-analysis. ETS Research Report Series, 2011(1). ETS RR-11-05. DOI: 10.1002/j.2333-8504.2011.tb02241.x
