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看護の小論文の書き方—よく出る問いの型と、「看護師になりたい」で終わらせない答案|武蔵野個別指導塾

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祖母の面会の話で止まった下書きも、問いを5つの型から見分け、問いの中の人を書き出してから立場を1文で置けば、「なりたい」で終わらない答案として書き進められます。

看護の小論文で問われているのは、看護師になりたい気持ちの強さではありません。問いの中にいる人、たとえば入院している人やその家族の立場に立って、どう考え、なぜそう言えるのかを筋道立てて示せるかです。問いが「患者と家族」「チーム」「命や老い」「地域の暮らし」「課題文」のどの型に近いかを先に見分け、看護師の仕事のどちら側にかかわる話かを決めてから、立場を 1 文で置きます。体験を書きたいなら、序論で長く語るのをやめて、理由を支える具体として本論に 1〜2 文で入れます。最後を「看護師になりたい」で締めると、問いに答えないまま終わった答案と読まれやすいので、序論の立場に戻って閉じます。

よくあるのは、祖母の入院の話を 3 行書いたところで止まった下書きという場面です。「祖母が入院したとき、毎日面会に行った。祖母は私の顔を見ると安心した顔をした。看護師さんがいつも声をかけてくれていた。」ここまでは一息で書けたのに、4 行目が出てきません。書きたいことはまだあるのに、次の文を何につなげればいいのかが見えない。止まった原因は文章の力ではありません。3 行のどこにも、問いへの答えがまだ置かれていないのです。

「看護師になりたい」で閉じる答案が、問いに答えていないと読まれる理由

止まった下書きの 3 行を教室で一緒に読み直すと、どの文も「あったこと」と「感じたこと」でできています。作文なら、このあとに「だから私は看護師になりたい」と続ければ、一つの文章として閉じられます。けれども、問いが「入院している人と家族の面会について、あなたの考えを述べなさい」のような形なら、聞かれているのは面会についての考えです。「看護師になりたい」は書く人の進路の話で、面会の問いへの答えにはなっていません。読み手には、問いを受け取ったあと、自分の話へ戻ってしまった答案と受け取られやすくなります。

図1のように、作文になる下書きは「祖母の入院」という体験から「うれしかった」という気持ちへ進み、「看護師になりたい」で止まります。小論文の答案は問いから始まり、立場、理由、反論と応答を経て、結論で問いへ戻ります。同じ祖母の話を使っても、左の流れでは体験が最後まで主役のままで、右の流れでは理由を支える材料の一つに収まります。差は文の上手さではなく、答案の真ん中に何が座っているかです。

図1 作文になる下書きと小論文の答案の流れの違い

「医療のことを知らないと書けないのでは」と心配する人もいます。文部科学省の令和9年度の実施要項は、小論文などを教科・科目の知識ばかりを問う試験にしないよう大学に求めています。看護の学部の小論文で答案に示すのも、病名や治療の手順の知識の量ではなく、問いをどう考えたかの筋道です。一方、看護専門学校(看護を学ぶ専門学校。専門学校は、ふつう専修学校の専門課程を指します)の入試はこの要項の外にあり、試験の形は学校ごとの募集要項が決めます。なお、令和9年度の要項はいまの高3が受ける入試の物で、高2の人が受ける年の要項はまだ出ていません。

答案の中で看護師の仕事に触れるときは、言葉を自分で広げないことも大事です。保健師助産師看護師法 第5条は、厚生労働大臣の免許を受けた看護師の仕事を、傷病者などに対する「療養上の世話又は診療の補助」と定めています。下書きによく出てくる「患者さんを笑顔にする仕事」「心を支える仕事」は、気持ちとしてはわかっても、定義の言葉からは離れています。面会の問いは、検査や処置を手伝う話ではありません。入院している人がどう過ごすかの話なので、答案で看護師の役割に触れるなら、療養上の世話の側に置いて考えると筋が通ります。定義の言葉を一度確かめておくと、看護師の仕事を美しく言いすぎる文が減り、問いの中身に紙面を回せます。

看護の小論文を書く手順—問いの型を見分けてから、立場を1文にする

看護の小論文の練習で扱う問いは、教室では 5 つの型に分けています。面会の題材をそれぞれの型に当てはめると、次のようになります。

問いの型 問いの中心にいる人 面会の題材に当てはめると 答案が崩れやすい所
患者と家族とのかかわり 入院している人と家族 面会を続けるか、どう続けるか 自分の家族の思い出で終わる
チームで働くこと 看護師どうし、医師やほかの職員 面会のやり方を病棟の中で誰とどう決めるか 「協力が大切」の一般論で終わる
命や老い 年を重ねた人、命の終わりが近い人 長く入院している高齢の人と家族の時間 心を動かされた話で論が消える
地域の暮らし 病院の外で暮らす人 退院した後の家での暮らしへのつなぎ方 制度の名前を並べて終わる
課題文型 文章の筆者 面会について書かれた文章への賛否 要約が長く、自分の考えが短い

型を見分ける目的は、答案の中心にいる人を早く決めることです。型は重なることもあり、面会の問いが「家族」と「チーム」の両方にまたがる場合もあります。そのときは、問いの文に名前の出てくる人を優先します。以下の手順は、たとえば課題文の無い問いで、試験時間 60 分・800 字の練習をするときの目安です。本番は問題の注意書きにある時間と字数に合わせて組み替えます。

  1. 問いの型を決める(2 分・問題用紙)。問いの文の中の人と場面に線を引き、表の 5 つの型のどれに近いかを余白に書きます。
  2. 問いの中の人を書き出す(3 分・問題用紙の余白)。図2のように、入院している人を真ん中に置き、家族、看護師、医師、同じ病室の人を周りに書きます。それぞれが面会で何を得て、何に困るかを 1 語ずつ添えます。
  3. 看護師の仕事のどちら側の話かを決める(1 分)。療養上の世話の側か、診療の補助の側かを余白に書きます。面会なら前者です。
  4. 立場を 1 文で書く(2 分・下書き用紙)。「面会を制限すべきか」と問われても、「するか、しないか」の二択に乗る前に、「面会の何を守り、何を変えるか」と問い直せないかを考えます。
  5. 理由 2 つ、反論 1 つ、反論への応答を、文ではなく語と矢印で書く(7 分・下書き用紙)。反論は「問題もある」とぼかさず、病室が落ち着かない、のように中身を書きます。
  6. 体験を使うなら置く場所を決める(1 分)。本論の 1 段目、理由のすぐ後ろに 1〜2 文と決め、メモの理由の横に「祖母」と 1 語書いておきます。
  7. 答案用紙に書く(36 分)。800 字なら、序論 120 字、本論の 1 段目(理由と体験)260 字、2 段目(反論と応答)280 字、結論 140 字が練習の目安です。課題文がある問いでは、読む時間をこの 36 分から削って作ります。
  8. 見直す(8 分)。最後の段が「看護師になりたい」で終わっていないか、序論の立場と結論が同じことを言っているか、看護師の仕事に触れた文が定義の言葉から離れていないかを、この順に見ます。誤字はそのあとです。
図2 面会の問いで書き出す、問いの中の人の図

手順 1〜6 の 16 分は、書いていない時間なので長く感じます。それでも、ここを削って書き始めた答案は、本論の途中で「何を言いたいのか」が見えなくなり、消しゴムを持つ時間が増えがちです。図2の人の書き出しは、面会のように身近な題材ほど効きます。自分の祖母の顔しか浮かばない状態から、家族の側の負担、同じ病室の人の落ち着き、看護師の手の回り方へと、見る場所が増えるからです。

手順 4 で、どちらの立場を選ぶかに正解はありません。面会を減らす側に立つ答案も、理由と、家族の側の言い分への応答が通っていれば、同じ組み立てで書けます。型は書く順番を決める道具で、目的は論の筋が通ることです。練習では、手順 2 の書き出しを、5 つの型で 1 回ずつ試すと、型ごとに真ん中に置く人が変わる感覚がつかめます。

面会の答案を直す前と直した後

最初の組は、止まった下書きの 3 行に 2 文を足して、そのまま序論にした例です。

直す前:

私の祖母が入院したとき、私は毎日面会に行った。祖母は私の顔を見ると安心した顔をした。看護師さんもいつも祖母に声をかけてくれていた。面会はとても大切だと思う。私も将来、そのような看護師になりたいと思う。

弱い所は 3 つあります。問いへの立場がどこにも無いこと。「面会は大切だと思う」が、誰にとって、何と比べて大切なのかを言っていないこと。最後の文が進路の話で、問いの答えになっていないこと。序論のほとんどを体験が占めているので、読み手はこの答案がどちらへ向かうのかをつかめません。

直した後:

入院している人と家族の面会は、病室を落ち着いた場に保つために減らすべきだという意見がある。しかし、問うべきは面会を残すか減らすかではなく、面会の何を守り、何を変えるかである。私は、時間や人数のやり方を工夫したうえで、面会そのものは守るべきだと考える。面会は、入院している人が家族とのつながりを保ち、病室の外の暮らしを思い出せる時間だからである。

反対の意見を先に一つ示し、「残すか減らすか」という二択の前提を問い直してから、立場を言い切っています。祖母の話は、ここでは消えたのではなく、本論へ移しました。

次の組は、その本論の 1 段目です。

直す前:

面会は入院している人にとって大切である。祖母も家族が来るととても喜んでいた。面会があると元気が出るし、さびしくない。看護師さんも面会の時間を大事にしていた。家族も会えば安心できる。だから面会は大切である。

最初と最後の文が同じことを言っていて、間の文には体験と感想が並び、なぜ面会が大切なのかを説明する文がありません。「看護師さんも大事にしていた」は、ほかの人の態度で、面会を守る根拠にはなりません。

直した後:

面会を守るべき理由の一つ目は、家族との会話が、入院している人にとって病室の外の暮らしとのつながりになるからである。病室で過ごす一日の中で、家族と話す時間は、本人が患者としてではなく、家族の一員として過ごせる時間になる。私の祖母も、家族が来た日は、退院したら何をしたいかを自分から話していた。面会を減らせば、この時間ごと失われる。

理由を先に言い切り、体験を 1 文に縮めて、理由の具体として後ろに置きました。体験の文の役目は「祖母がうれしそうだった」から、「家族の一員として過ごす時間がある」という理由の裏づけに変わっています。

看護の答案でつまずきやすい3つの所—体験、知識、最後の一文

一つ目は、体験を序論で長く語ってしまうことです。たとえば、祖母の話を書き続けて 800 字を埋め、体験に 480 字、気持ちに 200 字、「なりたい」の段に 120 字を使った下書きがあるとします。図3のように、直した後は手順 7 の目安に組み替え、体験は「理由と体験」の 260 字の段の中で 1〜2 文にします。体験を消すのではなく、置く場所と長さを変えます。

図3 800字の例で見る、直す前と直した後の体験の置き場所

二つ目は、医療の言葉や知識を並べてしまうことです。病名、治療の名前、制度の名前を並べても、面会の問いへの答えは一歩も進みません。知識を使うなら、意味を自分の言葉で 1 文に言えて、確かめられた物に絞ります。ニュースで見たばかりの話や、ネットの書き込みで読んだ意見は、根拠に置かないほうが安全です。確かめが済んでいない話は、反論されたときに支えきれません。代わりに、図2で書き出した人の立場から、面会で何が起きるかを理由にします。

三つ目は、最後の段を「看護師になりたい」「〜な看護師を目指したい」で締めてしまうことです。結論の段では、序論の立場をもう一度言い切り、本論の理由と反論への応答を一言で添えます。面会の答案なら、「面会の形を変えてでも、家族とのつながりは残すべきである」のように、序論と同じ向きの文で閉じます。看護を目指す気持ちは、問いが聞いていないなら書かなくても答案は崩れません。

よくある質問

看護学校や看護専門学校の小論文も、看護大学と同じ書き方でよいですか

問い、立場、理由、反論と応答、結論という組み立ては、看護学校でも看護大学でも同じように使えます。違うのは試験の決まりで、試験時間、字数、「小論文」か「作文」かの呼び方、課題文があるかどうかは、学校ごとの募集要項と問題の注意書きで決まります。看護専門学校を受けるなら、まず受ける学校の募集要項で試験の名前と形を確かめ、学校が過去の問題を示していれば、それで練習するのが近道です。

看護の小論文の例文を覚えておけば、本番で使えますか

覚えた例文をそのまま写す使い方はおすすめしません。問いの文が少し変わると、覚えた答案の立場や理由が問いからずれます。例文から持ち帰るのは文ではなく組み立てです。たとえば「遠くに住んでいて、面会に来られない家族がいる」という問いの形でも、手順 2 の人の書き出しから始めれば、例文を覚えていなくても立場の 1 文まで進めます。

小論文の中に、看護師になりたい理由を書いてもいいですか

問いが志望の理由を聞いていないなら、志望の気持ちで答えを置き換えないでください。触れるとしても、本論の体験の文の近くに一言添える程度にとどめ、最後の段は問いへの立場で閉じます。問いが「看護師を目指す理由」そのものを聞いているときは志望の理由が答えになりますが、その場合も「人の役に立ちたい」で止めず、どんな場面の看護に関心があるかまで書きます。看護専門学校に出す志望理由書は、小論文とは別の書類として準備します。

個別指導で確かめること

武蔵境の教室で 1対1 で見るときは、まず下書きの最初の 3 行を一緒に読み、体験の文と考えの文に別々の色で線を引きます。考えの文に線が 1 本も引けなければ、表の 5 つの型のどれに当たるかを決めるところまで戻り、問いの中の人の書き出しからやり直します。

書き直した答案では、最後の一文を声に出して読み、序論の立場と同じ向きのことを言っているかを確かめます。看護師の仕事に触れた文があれば、定義の言葉から離れていないかもその場で見ます。

まとめ

看護の小論文で示すのは、看護師になる決意ではなく、問いの中にいる人をどう見て、どう考えたかの筋道です。止まった下書きの 3 行は消さずに、立場を 1 文で置いた後ろの本論へ移し、理由を支える 1〜2 文に縮めます。面会の場面は、気持ちの証明に使えば作文で終わり、立場の根拠に使えば答案を前へ押し出します。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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