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教育学部の小論文—学校のテーマで「先生になりたい」から一歩進める書き方|武蔵野個別指導塾

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「これからの学校」のような題で、子ども・保護者・教員・地域から書く立場を1つ選び、自分が見た授業の場面を根拠に置けば、「先生になりたい」の作文から答案へ踏み出せます。

教育学部の小論文で、学校についての題に「先生になりたい」から書き始めると、答案は志望の作文に寄っていきます。題が学校や学びのあり方を聞いているなら、まず題を自分が見た授業の1つの場面まで絞り、子ども・保護者・教員・地域のうち、どの立場から書くかを1つ決めてください。次に、その場面を根拠に置き、反対の立場の言い分に答えてから、立場を言い切ります。先生になりたい気持ちは、書くなら結論の最後に1文、答案の主張とつながる形で添えます。題が「あなたの目指す教師像」のように書く人自身のことを聞く問いなら、その気持ちを中心に置いてかまいません。そのときも、見た場面と理由で支えます。

よくあるのは、「これからの学校」という一行の題を前にした高3が、中学の担任の言葉を思い出している場面です。「わからないと言える教室にしよう」。あの一言を書きたくて、1行目に「私は将来、中学校の教師になりたい。」と書きます。2行目に担任の思い出を足したところで、ペンが止まります。消しゴムを持ったまま、時計の針ばかりが気になり始めます。題は学校について聞いているのに、答案はまだ書く人自身の話から一歩も出ていません。

「これからの学校」に「先生になりたい」と書くと、問いに答えていない答案に読める

「これからの学校」という題が聞いているのは、学校がこれからどうあるべきかです。「先生になりたい」は、書く人が自分のこれからをどうしたいかの文で、学校のあり方には触れていません。1行目にこの文があると、読み手には、題を自分の志望の話に置き換えた答案として受け取られやすくなります。教室で教育学部を受ける人の下書きを見ると、序論の1行目が志望で始まり、2行目が恩師の思い出、3行目で題に戻ろうとして「これからの学校は大切だと思う」となる形が少なくありません。3行を使って、立場はまだ1つも出ていません。

気持ちの文が論にならないのは、反対する人がいないからです。「子どもが好き」「生徒の気持ちがわかる先生になりたい」に、「それは違う」と言う人はまずいません。反対の言い分が立たない文には、それに答える理由を積む場所もできません。小論文で読み手が追うのは、題をどう受け取ったか(問題提起)、どこに立つか(主張)、反対の側は何と言うか(反論)、それにどう答えるか(再反論)のつながりです。気持ちの文は、このつながりの外に置かれています。

教育のテーマには、志望の作文に流れやすい事情がもう1つあります。書く人は全員、学校に通ってきました。材料は思い出の形で出てきて、思い出は「いい先生だった」「楽しい授業だった」で閉じやすい。そのうえ、「生徒の個性を大切にする学校」のような、誰も反対しない答えに引き寄せられます。道徳的に正しく見える答えを選ぶ必要はありません。論理が通っていれば、どちらの立場に立ってもかまいません。反対する人がいる立場を選んだ答案のほうが、理由と反論への応答を書く場所が生まれます。

教育学部や教員養成の学部の小論文で目にするテーマは、次の4つの型に分けて考えると準備がしやすくなります。どの型でも、題の主語は「私」ではなく、学校や学びのほうにあります。なお、教員採用試験で書く小論文は、大学を出て教員になろうとする人が受ける別の試験のもので、教育学部に入るための答案とは分けて考えます。

テーマの型 問いの形の例(型として) 志望の作文に流れやすい所
学校の課題 「これからの学校」「学校のきまり」 恩師の思い出と「よい学校にしたい」で終わる
子どもの学び 「学ぶ意欲」「失敗から学ぶこと」 「子どもが好き」「楽しく学ばせたい」で止まる
家庭と地域 「家庭と学校の役割」「地域と学校」 「協力が大切」で、誰が何をするかが書かれない
授業の道具 「授業でのタブレット」「紙の教科書と画面」 「便利だが使いすぎに注意」で立場が消える

図1のように、志望の作文は気持ちの文から気持ちの文へとつながり、反論の入る場所がないまま終わります。答案の側は、立場を1つ決めるところから始まり、見た場面を置き、反論に答えてから、立場を言い切って閉じます。先生になりたい気持ちを消せという話ではありません。その気持ちを置く場所を、答案のつながりの後ろへ移すということです。

図1 志望の作文と小論文の答案で、書く順番がどう違うか

教育学部の小論文の書き方—立場を1つ選び、見た授業の場面を根拠にする7つの手順

たとえば60分で800字の問いを練習するとき、塾では書き始める前の10分を次の1〜5に使い、6で書き、7で見直す配分を目安にしています。分の数は練習のための目安で、本番の試験時間と長さは、大学が問題の注意書きや募集要項で決めます。例に使うのは「これからの学校」の題を「授業で使うタブレット」に絞り、使い方を絞る立場に立つ答案です。

  1. 題に「誰の」「どの場面の」を書き足す(1分・問題用紙)。「これからの学校」には、誰にとっての学校か、学校のどの時間の話かが書かれていません。題の横に「誰の?」「どの場面?」と小さく書きます。大きな題のまま書き始めると、答案は「学校は大切だ」のような、どこにも引っかからない文で埋まります。ここで、自分が見たことのある学校の中の1つの場面、たとえば授業で使うタブレットへ絞ります。

  2. 4つの立場を並べて1つ選ぶ(3分)。子ども・保護者・教員・地域を縦に書き、それぞれの横に「気になること」を1語ずつ書きます。書き出す紙は問題用紙の余白でも下書き用紙でもよいのですが、どこにメモしてよいかは試験の注意書きで決まります。選ぶ基準は、その立場から見た場面を自分が1つ書けるかどうかです。高校生が一番近くで見てきたのは子どもの側なので、迷ったら子どもの立場から入ります。教員の側に立つなら、先生が授業の中で何をしていたかを見た場面が要ります。保護者や地域の側は、見た場面が少ないまま書くと想像で埋めることになるので、「もし〜なら」と条件をつけて書きます。

立場 気になること(図2の語) 授業のタブレットで見える場面 使い方を絞る案への反対の言い分
子ども 考える時間 予想を書く前に検索し、出てきた説明を写して終わる 調べたほうが速く、まちがいも減る
保護者 家での使いすぎ 宿題の画面と動画の画面が同じ端末に並ぶ 学校で使い方を教えてくれるほうが家は助かる
教員 考えを集める 全員の意見が一度に画面に並ぶ 紙を配って集める時間が惜しい
地域 外の人と話す 地域の人の話を画面越しに聞ける 画面を減らすと、外の人と話す機会も減る

図2のように、4つの立場は同じタブレットを違う所から見ています。表の右の欄は、手順5で使う反論の材料になります。

図2 授業のタブレットを4つの立場から見て、1つを選ぶ
  1. 見た授業の場面を5つの語で書く(2分)。いつ(学年と教科)、誰が、何をしたか、どうなったか、自分はどこにいたか、の5つです。文ではなく語で書きます。たとえば「中2・社会の調べ学習・班の全員がすぐ検索・同じ説明を写した発表が並んだ・自分は聞く側」。5つのうち2つ以上が埋まらないなら、それはまだ思い出で、根拠になるほど細かく覚えていない場面です。別の場面に替えます。

  2. 立場を1文で書く(2分)。反対する人が1人思い浮かぶ文にします。「タブレットは使い方が大切だ」には、反対する人がいません。「調べ学習では、自分の予想を紙に書くまで画面を開かない」なら、「時間がもったいない」と言う人がいます。反対の声が聞こえたら、その文は立場になっています。「大切だ」「必要だ」で止まった文は、何をどこまで変えるのかを足して言い直します。

  3. 反対の言い分を、その立場の人の言葉で1文書き、答えを1文書く(2分)。表の右の欄から1つ選びます。たとえば教員の側の「画面なら全員の考えを一度に集められる」に、「集める場面では使い、考えを作る最初の数分は紙に戻す」と答えます。反論を認めたうえで、絞る場所を言い直す答え方は、この題では立場を崩さずに書けます。

  4. 書く(約45分・解答用紙)。段落は、題の受け取り方、立場と理由、反論と答え、結論の順にします。1段落目では、大きな題を授業のタブレットに絞った理由を1〜2文で書きます。先生になりたい気持ちを書くなら、結論の最後に1文、主張とつながる形にします。たとえば「教員を目指す者として、画面を開く前の数分を授業の中で守りたい」のように、答案が言ってきたことを教える側から言い直す文なら、志望の作文には戻りません。

  5. 見直す(5分・解答用紙)。「子どもたち」「最近」「大切」の3つの語に鉛筆で軽く線を引き、線が引かれた所に、いつの誰の話かを書き足せるかを見ます。序論に志望の文が残っていると気づいても、5分で段落を組み直すのは難しいので、手順2〜4の7分の中で立場を先に決めておくことが、見直しで慌てないための準備になります。

教育の小論文を直す前と直した後—タブレットの答案で

手順の1〜5を通す前と後で、序論と反論の段がどう変わるかを、自作の例で比べます。例文の中は答案らしく常体で書いています。

序論を志望の文から立場の文へ

直す前の序論です。

私は将来、中学校の教師になりたいと考えている。中学3年のときの担任のように、生徒の気持ちがわかる教師になりたいからだ。これからの学校では、タブレットなどの新しい道具をうまく使うことが大切だと思う。私も教師になったら、タブレットを活用した授業をしたい。

4つの文のうち、題の「これからの学校」に答えようとしているのは3文目で、その文も「うまく使うことが大切」と、反対する人がいない形で終わっています。1文目と2文目は書く人の志望、4文目もまた志望に戻ります。読み手には、タブレットについて何を主張する答案なのかが、序論の最後まで見えません。

直した後の序論です。

「これからの学校」と聞くと、新しい道具をいくつ入れるかの話に見える。しかし問うべきは、入れた道具を授業のどの時間に使うかである。私は、授業でタブレットを使う場面は、増やすより絞るべきだと考える。中学2年の社会の調べ学習で、テーマが決まるとすぐ画面で検索した班からは、同じ説明を写した発表が3つ続いた。聞いていた私には、どれがどの班の考えなのかわからなかった。

1文目と2文目で、題の前提(道具を入れるほどよい学校になる、という読み)を疑い、3文目で立場を言い、4文目と5文目には手順3の5つの語がそのまま文になって入っています。「先生になりたい」の文は消えましたが、発表を聞く側から教室を見た場面が根拠になっているので、学校を内側から見ようとする人の答案として読めます。

反論の段を「バランス」から線引きへ

直す前の反論の段です。

たしかに、タブレットは便利だという意見もある。調べ物がすぐにでき、授業が早く進むからだ。しかし、使いすぎるのはよくないと思う。画面ばかり見ていると目も疲れるし、考える力も落ちてしまう。何事もバランスが大切であり、上手に使っていくことが求められる。

「意見もある」は、誰の意見かが書かれていません。「便利」という反論に答えず、「使いすぎはよくない」と別の話に移っています。「目も疲れる」は、ここで初めて出た論点で、根拠がありません。最後の「バランスが大切」は、絞るという自分の立場を自分で薄めています。

直した後の反論の段です。

たしかに、教員の側から見れば、タブレットには紙にない強みがある。生徒全員の考えを一度に画面に並べ、その場で比べられることだ。だから、使い方を絞るとは使わないことではない。考えを集めて比べる場面では画面を使い、一人で予想や意見を作る最初の数分はノートに向かう。授業の中にこの線を引けば、集める速さを捨てずに、考える時間も守れる。

反論を教員の側の言葉で具体にし、それを認めたうえで、絞る場所を言い直しています。線を引く答え方なので、反論の強みを認めても立場は残ります。直した後の段は、手順2の表の「教員」の行と、手順5の答え方を、そのまま文に組み直したものです。

教育学部の答案が崩れやすい3か所と直し方

1つ目は、「最近の学校では、子どもたちが」と一般論で書いてしまうことです。「最近の学校ではタブレットで学習が便利になった」は、いつの、どの学校の、誰の話かがわかりません。こう変えます。図3のように、「最近の学校」を「中2の理科」に、「子どもたち」を「班の4人」に、「便利になった」を「動画を3回見た」に置き換えると、文は「中2の理科で、班の4人が実験の動画を3回見た」になります。続けて「結果の予想は、誰も紙に書かなかった」と起きたことまで書けば、使い方を絞る立場の根拠になります。同じ場面でも、動画を見返して予想を直した班がいたなら、逆の立場の根拠にもなります。場面は、何が起きたかまで書いて、どちらの立場を支えるのかが決まります。

図3 一般論の語を、見た授業の場面の語に置き換える

2つ目は、4つの立場を全部答案に書いてしまうことです。「子どもには〜、保護者には〜、教員には〜、地域には〜という見方がある」と並べると、答案の前半が埋まっても、書く人がどこに立つのかが出てきません。手順2で並べた4つは、選ぶための材料です。こう変えます。答案に出すのは、自分が立つ立場と、反論として呼ぶもう1つの立場の2つにします。残りの2つはメモに置いたままでかまいません。

3つ目は、確かめていない数字や制度を書いてしまうことです。「全国の学校の多くで」「国の決まりで」と書きたくなったら、その数字や決まりを、出どころとあわせて言えるかを考えます。言えないなら書きません。こう変えます。「私が通った中学校では」と見た範囲を区切り、「もし同じ使い方がほかの教科にも広がれば」と条件の形で先を論じます。学校の制度についての数字は、試験の会場で確かめる方法がありません。見た場面は、書く人が一番確かに言える根拠です。

よくある質問

教育の小論文に、中学の担任の先生の話を書いてもよいですか

書いてかまいません。ほめる言葉ではなく、先生が言った言葉と、その後に教室で起きたことを書きます。たとえば「中3の国語で、担任がタブレットを閉じさせて『まず3行書こう』と言った。その日の話し合いでは、ふだん発言しない人が自分の3行を読んだ」なら、使い方を絞る立場の根拠になります。先生や学校の名前は書かず、「中学3年の担任」のように役割で書きます。

教育学部の小論文のために、教育の専門用語を覚えておくべきですか

覚えた語を並べるより、見た場面を1つ持っているほうが答案は書けます。語を使うなら、その意味を自分の言葉で1文添え、答案の中で役目を持たせます。意味を説明できない語は、読み手には知識を見せるために置いた語に見えやすく、場面の代わりにはなりません。

自分が受けた授業のよくない所を書くのは、失礼になりませんか

授業の場面を事実として書き、よくないと考える理由を書けば、失礼な答案にはなりにくいです。避けたいのは、先生個人を責める書き方です。「先生がタブレットを使わせすぎた」ではなく、「調べる前に考える時間が、授業の流れの中に置かれていなかった」と、人ではなく授業の順番の話にします。そうすると、読み手には、仕組みを直そうとしている答案として読めます。

個別指導で確かめること

下書きを見せてもらったら、最初に読むのは序論の1行目と、立場を書いた1文です。1行目が志望で始まっていれば、手順2の4つの立場を並べる所まで戻り、余白に一緒に書き出します。立場の1文に反対する人が思い浮かばなければ、手順4に戻って言い直します。お子さまの下書きを家で見る保護者の方も、この2か所から読むと、どこで止まっているかが見えます。

場面の文は、手順3の5つの語がそろっているかを数えます。「最近」「子どもたち」が残っていれば、いつの、誰の話かを口で説明してもらい、その言葉を答案に移します。担任の言葉や自分の授業の思い出は、書く人にしか持てない材料なので、削らずに置き場所を一緒に探します。

まとめ

担任の言葉を書きたい気持ちは、捨てなくてかまいません。題に答える立場を先に置けば、その言葉は思い出ではなく、教室で起きたことの1つとして答案に入ります。

教室のタブレットを、誰の、どの数分のために閉じるのか。そこを言い切った答案には、「先生になりたい」と書かなくても、教える側に立とうとする人のまなざしが表れています。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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