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小論文の年の書き方—西暦か元号か、年代と年齢の数字、「近年」でぼかしてよいか|武蔵野個別指導塾

2008年生まれなら平成20年。1枚の答案で西暦か元号かを決める目安、縦書きと横書きの数字、年数と年齢の引き算、「近年」の置き換え方を押さえておけば、本番で年の書き方に迷わずに済みます。
小論文の年は、西暦で書いても、元号(年号とも言います)で書いても誤りではありません。決めておくべきなのは、1枚の答案をどちらか一方でそろえることです。問題の注意書きに指定があればそれが答えで、指定が無く、課題文や資料が元号で書かれているなら、答案を元号にそろえてもかまいません。平成から令和に変わった2019年をまたいで年数を数える答案なら、引き算一つで確かめられる西暦の方が読み手を止めません。数字の字は、横書きの答案なら算用数字、縦書きなら漢数字にそろえます。「近年」は、年を言えるなら年に置き換え、言えないなら年を作らずに、自分の年齢や学年で時点を示します。
よくあるのは、「平成」と書くか「2008年」と書くかで、消しゴムを持ったまま手が止まる場面です。たとえば「あなたが生まれてから今までに身の回りで変わったことを1つ挙げ、18歳からの1年をどう過ごすかを論じなさい」という問いです。1行目に「私は平成20年に生まれた」、2行目に「2026年に18歳になった」と書いたところで、急に不安になります。平成と2008年のどちらが正しいのか、書いた1行目を消すべきか。時計は進んでいるのに、迷っているのは答案の中身ではなく、年の書き方です。
西暦と元号が混ざった答案は、読み手をどこで止めるか
年は、論の根拠が「いつの話か」を示す目印です。読み手は答案に出てくる年を順につなぎ、話の時間の流れを頭の中に組み立てながら読み進めます。そこへ西暦と元号が混ざると、年をつなぐ前に換算の手間が一つ入ります。
さきほどの「私は平成20年に生まれた。2026年に18歳になった」で考えます。平成20年が2008年だとすぐに直せる読み手は、2026から2008を引いて18を確かめ、そこでやっと文の中身に戻ります。直せない読み手は、18歳が合っているかを確かめられないまま先へ進みます。どちらの読み手にとっても、年の書き方が中身より先に目に入る文になっています。1回なら小さな手間ですが、答案の中で年が3回、4回と出てくれば、そのたびに同じ手間が重なり、論の流れが途切れます。
元号には、もう一つ数え方の癖があります。図1のように、2019年は4月30日までが平成31年、5月1日からが令和元年で、元号の数字はそこで1に戻ります。そのため、平成20年から令和8年までが何年かは、元号の数字どうしを引いても出てきません。西暦なら2026から2008を引いて18年です。生まれた年から18歳の今までを語る答案は、ちょうどこの切り替わりをまたぎます。

ここで取り違えやすいのは、「元号で書くのは古い」「西暦の方が正式だ」という思い込みです。答案の年としては、どちらも同じように使えます。課題文が「平成二十年」のように元号で書かれていれば、答案の年を元号にそろえるのは筋の通った選び方です。読み手を困らせるのは方式そのものではなく、1枚の中で方式が入れ替わることです。
教室で下書きを見ていると、年がぶれる場所はだいたい決まっています。課題文から引いた年と、自分の体験の年がぶつかる所です。課題文は元号で書かれていて、自分の生まれた年は西暦で覚えている、という組み合わせのときに、段落の境目で方式が入れ替わります。書いた本人は、どちらの年もそれぞれ正しいので気づきません。赤字で「どちらにそろえる?」と書かれて、はじめて2つの方式が並んでいたことに目が行きます。
数字の字の選び方も、同じ「そろえる」の話です。役所の文書の書き方をまとめた文化審議会の「公用文作成の考え方」は、横に書く文書には算用数字を、縦に書く文書には漢数字を使うという考え方を示しています。入試の答案の決まりではありませんが、答案用紙の向きで数字の字を決めるときの手がかりにはなります。縦書きの答案に「2008年」と算用数字が1つ混ざると、方式が西暦でそろっていても、今度は字の種類が気になって、読む流れが途切れます。
西暦と年号(元号)をそろえる5つの手順—問題用紙を開いてから清書の見直しまで
小論文の西暦の書き方で答案が崩れるのは、書いている途中で方式を決めようとするときです。決める場所を本文の前に移すと、迷いは書き始める前の2分足らずで片づきます。図2は、その5つの手順を並べたものです。かっこの中の時間は、塾で練習に使う目安です。

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注意書きと課題文の年に印を付ける(30秒・問題用紙)。注意書きに年の書き方の指定があれば、それに従います。指定が無ければ、課題文や資料の年が西暦と元号のどちらで書かれているかを見て、最初に出てくる年に鉛筆で小さく丸を付けます。課題文と資料で方式が違うこともあるので、両方に目を通します。この段では、どちらで書くかをまだ決めなくてかまいません。見るのは、問題がどちらで書かれているかです。
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構成メモの欄外に、方式と字を2語で書く(10秒・下書き用紙の右上)。「西暦・算用数字」「元号・漢数字」のように書きます。答案用紙が縦書きなら漢数字、横書きなら算用数字です。方式の決め方の目安は表1にまとめました。紙に書いておくのは、本文の途中で迷ったときに見返すためです。頭の中で決めただけでは、課題文の年を引いた瞬間に、そちらの方式へ引っ張られます。
表1 年の方式を決めるときの目安
| 問題の様子 | 塾で練習に使う決め方の目安 | そう決める理由 |
|---|---|---|
| 注意書きに指定がある | 指定のとおりに書く | 大学の指示が、その答案の決まりになる |
| 課題文や資料が元号で、2019年をまたいで年数を数えない | 元号にそろえてもよい | 課題文の年を換算せずに引ける |
| 2019年をまたいで年数を数える | 西暦にそろえる | 引き算一つで年数を確かめられる |
| 課題文は元号で、自分は西暦で書きたい | 西暦にそろえ、課題文の年を初めて引く所で元号をかっこで1回添える | 課題文と答案の年の対応が読み手に見える |
| 課題文にも資料にも年が無い | 書きやすい方を選び、最後まで変えない | どちらでも誤りではない |
- 換算の要る年を、本文の前に余白で計算しておく(1分・問題用紙の余白)。構成メモから年を拾い、換算が要るものは書き始める前に済ませます。表2は、2008年に生まれた人の答案に出てきやすい年の対応です。換算に自信の無い年は、元号で書かずに西暦で書きます。年数は引き算で出し、指で数えません。2008年から2026年までを「2008、2009……2026」と指で数えると19になり、引き算の18と1つずれます。
表2 西暦と元号の対応と、2008年に生まれた人の年齢
| 西暦 | 元号 | その年の誕生日を過ぎた後の年齢 |
|---|---|---|
| 2008年 | 平成20年 | 0歳(生まれた年) |
| 2019年 | 4月30日までは平成31年、5月1日からは令和元年 | 11歳 |
| 2026年 | 令和8年 | 18歳 |
| 2027年 | 令和9年 | 19歳 |
| 2028年 | 令和10年 | 20歳 |
- 年代・年数・年齢の書き方を、決めた字でそろえる(書きながら・答案用紙)。年そのものだけでなく、年代や年数や年齢の数字も、欄外に書いた字に合わせます。表3は横書きと縦書きの書き分けです。縦書きの西暦は、表3のように数字を一字ずつ並べる形のほかに、「二千八年」のように千や十を入れる形もあります。どちらにするかを決めて、1枚の中で混ぜないでください。年齢と年を並べる文では、「2026年に18歳になった」のように「なった」で書くと、誕生日の前か後かでずれません。「2026年の私は18歳だ」と書くと、その年の誕生日より前の自分は17歳なので、文が正しい期間が1年の途中からになります。マス目に数字を何字ずつ入れるかは、原稿用紙の使い方の約束と問題の注意書きに従います。
表3 横書きと縦書きでの年と数字の書き分け
| 書くもの | 横書き(算用数字) | 縦書き(漢数字) |
|---|---|---|
| 西暦の年 | 2008年 | 二〇〇八年 |
| 元号の年 | 平成20年 | 平成二十年 |
| 年代 | 2010年代 | 二〇一〇年代 |
| 年数 | 18年間 | 十八年間 |
| 年齢 | 18歳 | 十八歳 |
- 清書の後に、年と数字を目で拾って見直す(1分・答案用紙)。答案の頭から終わりまで、年と数字のある所で指を止めます。見るのは4か所です。方式が欄外に書いた2語のとおりか、横書きと縦書きの字が混ざっていないか、年数と年齢が引き算と合っているか、課題文の年をかっこで添えたのが初めの1回で済んでいるか。ここで見つかった食い違いは、消して書き直す前に、どちらの方式に寄せるかを欄外の2語で確かめてから直します。
年の書き方を直す前と直した後
例の問いは、場面で出した「あなたが生まれてから今までに身の回りで変わったことを1つ挙げ、18歳からの1年をどう過ごすかを論じなさい」です。1組目は横書きの答案、2組目は縦書きの答案を横に起こしたものです。
1組目の直す前です。
私は平成20年に生まれた。近年、家族の連絡のしかたは大きく変わった。祖母への連絡は、電話から写真を添えた文のやり取りになった。2019年には元号も令和に変わった。令和8年に18歳になった今、この19年間の変化を手がかりに、これからの1年の過ごし方を考える。
弱い所は3つあります。1つ目は、平成20年、2019年、令和8年と、5文の中で方式が2回入れ替わることです。入れ替わりのきっかけになった2019年の元号の文は、問いに答える材料にもなっていません。2つ目は「この19年間」です。指で数えた年数で、2026から2008を引くと18年なので、換算して確かめた読み手はここで食い違いに気づきます。3つ目は「近年」です。連絡のしかたが変わったのが、生まれてから18年のうちのいつなのか、読み手には見えません。
私は2008年(平成20年)に生まれ、2026年に18歳になった。この18年間で、家族の連絡のしかたは大きく変わった。小学生のころ、祖母への連絡は電話だったが、中学生になるころには写真を添えた文のやり取りが中心になった。声を聞く回数は減り、近況を知る回数は増えた。この変化を手がかりに、18歳からの1年の過ごし方を考える。
西暦にそろえ、元号は初めの1回だけかっこで添えました。年数は引き算の18年にし、「近年」は「小学生のころ」「中学生になるころ」と、書き手の学年で時点を示しています。覚えていない年を作らずに、変化の前と後の位置を読み手に渡せる書き方です。
2組目の直す前です。縦書きの答案を横に起こしています。
私は二千八年に生まれ、今年十八才になった。昔から、十八歳は大人への入口だと言われてきた。二〇一〇年代の私は、お金の出入りを考えたことがなかった。この1年は、まず自分の使ったお金を記録することから始めたい。
縦書きの漢数字の中で、西暦が「二千八年」と「二〇一〇年代」の2つの形に分かれています。年齢は「十八才」と「十八歳」が混ざり、「この1年」には算用数字が1つ入っています。「昔から」は、誰がいつから言ってきたのかがわからず、根拠に見えて根拠になっていません。
私は二〇〇八年に生まれ、二〇二六年に十八歳になった。十八年間、買う物を決めるのはいつも家族で、私はお金の出入りを考えたことがなかった。十八歳からの一年は、まず自分の使ったお金を記録することから始めたい。
西暦の形を「二〇〇八年」「二〇二六年」の一字ずつ並べる形にそろえ、年齢は「歳」に、「一年」も漢数字にしました。「今年」は、いつ読まれても同じ年を指すように「二〇二六年」と年で書いています。「昔から言われてきた」という出どころのわからない一文は削り、代わりに自分の十八年間の事実を置いています。年の数字がそろうと、読み手の目は「記録することから始めたい」という中身に、まっすぐ届きます。
「近年」でぼかす、年を埋める、1つ数え違える—年の書き方で起きる3つのつまずき
1つ目は、「近年」「昔から」「最近」で時点をぼかしてしまうことです。「近年」という語は使ってはいけない語ではありません。弱くなるのは、その文が論の根拠を担っているのに、いつからの話かが読み手に見えないときです。直し方は図3の3つの道に分かれます。年を言えるなら、年を書きます。年を言えないなら、年を作らずに、自分の年齢や学年で時点を示します。問いに答えるのに時点が要らない文なら、その語を削ります。

2つ目は、覚えていない年を、それらしい数字で埋めてしまうことです。年が入ると文は確かそうに見えますが、その年を知っている読み手が1人でもいれば、1つの誤った年が答案のほかの根拠まで疑わせます。年が怪しいときは、図3の真ん中の道に進みます。「私が中学生だったころ」のように自分の時点で書くか、「元号が令和に変わった後」のように確かに言える出来事との前後で書きます。課題文や資料に年が書かれているなら、その年を使うのがいちばん確かです。
3つ目は、年数の書き方と年齢の書き方で、1つずれてしまうことです。原因はたいてい、年を指で数えることと、誕生日を考えずに年と年齢を並べることです。年数は「2026から2008を引いて18」のように引き算で出し、構成メモの余白に式を残しておきます。年齢は「2026年に18歳になった」「18歳になった年」のように、なった時点で書けば、誕生日の前か後かを読み手に考えさせずに済みます。
よくある質問
2019年の出来事は、平成と令和のどちらで書けばよいですか
2019年は、4月30日までが平成31年で、5月1日からが令和元年です。元号で書くなら、その出来事が5月1日より前か後かまで確かめてから書きます。日付まで覚えていないなら、2019年と西暦で書けば、取り違えは起きません。令和の最初の年を書くときは「令和元年」とするのが一般的で、答案でもそれで通じます。
年齢の書き方は、「18才」でもよいですか
答案では「18歳」、縦書きなら「十八歳」と書いておけば迷いません。常用漢字表を見ると、年齢の「さい」の例は「歳」の欄に「二十歳」として載っていて、「才」の欄に並ぶ例は「才能」「秀才」のような語です。メモで「才」と書いていても、清書では「歳」にそろえます。清書の見直しでは、年齢の数字の後ろの1字にも指を止めてください。
年代の書き方で、「2010年代」と「2010年ごろ」は何が違いますか
「2010年代」は2010年から2019年までの10年の幅を指し、「2010年ごろ」は2010年の前後のある時点を指します。自分が小さかったころの出来事の年が思い出せないとき、10年の幅のどこかだと言い切れるなら「2010年代」と書けます。ただし「2010年代の前半」のように幅を狭めて書くなら、その範囲に入ると言える根拠が要ります。言えないときは、年代ではなく自分の学年で時点を示す方が確かです。
個別指導で確かめること
年と数字のある所に鉛筆で小さく印を付けるところから、1対1の答案の見直しを始めます。方式と字が1枚の中でそろっているか、年数と年齢が引き算と合っているか、課題文の年を引いた所で方式が入れ替わっていないかを、書いた本人と一緒に1か所ずつ確かめます。
ずれが見つかったら、本文を直す前に構成メモの欄外まで戻ります。方式を2語で書く手順が抜けていたのか、書いたのに途中で課題文の年に引っ張られたのかで、次の練習で直す場所が変わるからです。「近年」があれば、その文の時点を口で言ってもらい、言えた形をそのまま答案の言葉にします。
まとめ
消しゴムを持ったまま止まった手は、平成と2008年のどちらが正しいかを探していました。その答えは問題用紙の注意書きと課題文の年の中にあり、選んだ後に効くのは、その方式を最後の行まで変えないことです。平成20年でも2008年でも、1枚の答案の数え方が一つなら、18年は18年のまま読み手に届きます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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