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小論文に英単語や略語を書いてよいか—AI・SNSの書き方と、初めて出す語の添え方|武蔵野個別指導塾

SNSの年齢の制限を論じる答案を例に、1回目に「交流サイト(SNS)」と日本語の名前を置く形と、英単語を日本語に開く見分け方を示すので、初めて出す略語にも迷わず説明を添えられます。
英単語や略語は、問題の注意書きに使わないよう求める一文が無ければ、小論文に書いてかまいません。ただし、小論文での英単語や略語の書き方には、条件が2つあります。1つ目は、日本語にしたほうが意味の伝わる語なら日本語で書くことです。「メリット」は「利点」、「リテラシー」は「投稿の真偽を見分ける力」と書くほうが、何を論じたいのかがはっきりします。2つ目は、言い換えにくい略語を残すなら、答案の中で初めて出す1回目に「人工知能(AI)」「交流サイト(SNS)」のように日本語の名前を先に置き、2回目からは略語で通すことです。縦書きの答案なら、英字の語の数そのものを減らす方向で組み立てます。
よくあるのは、縦書きの答案用紙に「SNS」の3字を縦に並べたところで、ペンが止まる場面です。問いは「SNSの利用に年齢の制限を設けるべきか」。序論の1行目を略語で書き始めたものの、読み手にこの3字が通じるのか、最初に説明を入れるべきだったのか、次に出てきたときも同じ書き方でよいのか、迷いが一度に押し寄せます。消して「ソーシャルメディア」に替えるか、カタカナで「エスエヌエス」と書くか。消しゴムを持ったまま、2行目のマスが白いまま残ります。
略語の3字では、答案が何を論じるのかが決まらない
小論文の英字の書き方で手が止まる理由は、マス目への入れ方より手前にあります。その語が、読み手の頭の中で書き手と同じ物を指すかどうか。答案は、書いた人がその場で言い足せない文章です。会話なら「SNSって、写真を載せるほう?」と聞き返してもらえますが、答案の読み手は紙の上の文字を頼りに論を追うしかありません。
「SNS」は、その食い違いが起きやすい語です。写真を載せる場、短い文を投稿する場、友だちとメッセージを送り合う場、動画を配る場。同じ3字で、思い浮かべる物が人によって違います。年齢の制限を論じる答案では、この違いが結論を左右します。写真の投稿に制限をかけるのと、知り合いどうしの連絡の手段に制限をかけるのとでは、守られる物も失われる物も別だからです。範囲を決めないまま「SNSは危険だ」と書くと、読み手には、どの場面の何が危ないのかが読み取れず、論が大きな題のまま広がっているように受け取られやすくなります。
英単語をそのまま書いたときにも、似たことが起きます。教室で下書きを見ていて赤字が入りやすいのは、「リテラシーが低い」「モラルが大切だ」のように、英語から来た語で文を言い切った所です。その語を日本語にしてみるよう頼むと、書いた本人の手が止まります。投稿の真偽を見分ける力なのか、見知らぬ相手を疑う力なのか、自分の名前や学校を書き込まない力なのか。止まったその場所が、論の詰め切れていない所です。英単語は、考えが決まる前に文を終わらせてしまう語として働くことがあり、日本語に置き換える作業は、言いたかったことを決め直す作業になります。
縦書きの答案では、気になる点がもう1つ増えます。英字は縦の行の中で形の違う文字として目に入るので、1枚の中に英字の語が5つも6つも並ぶと、答案が英字の語を軸に組まれているように見えます。中身が日本語の論でも、見た目の印象が先に立ちます。
文化審議会の「公用文作成の考え方」(2022年1月7日の建議)は、役所の文書のための考え方で、入試の答案の決まりではありません。それでも、略語と外来語の扱いは答案を書くときの参考になります。略語は、元になった言葉を先に示してから使い、要るなら説明を添えるとしています。何度も出てくる語なら、初めて出す所で正式な名前と括弧の略語を示し、2回目からは略語で書いてよいという扱いです。その解説では、SNSも略語の例として挙がっています。外来語には、4つの向き合い方を示しています。日本語になじんだ語はそのまま使い、ふだんの漢語や和語に置ける語は置き換えます。置き換えると意味が欠ける語には説明を添え、なじむ途中の語は文の組み方で工夫します。
答案に当てはめると、図1のように、英字の語を書く前に問いを2つ立てれば迷いが減ります。日本語にしたほうが伝わるか。伝わらないなら、答案の中で初めて出すのか。1つ目が「はい」なら日本語で書き、2つ目が「はい」なら日本語の名前を添え、2回目以降なら略語のまま書きます。問題の注意書きに英字の扱いについての指示があれば、この流れより先にそちらに従います。

英単語と略語を答案に入れる6つの手順
小論文の略語の書き方は、答案用紙に向かう前に、下書き用紙の上でほとんど決まります。図2のように、使う紙は問題用紙・下書き用紙・答案用紙の3枚で、手順1〜4を試験の始めに、手順5を書きながら、手順6を最後の1分に行います。塾の練習では、たとえば60分の試験なら、6つの手順に合わせて4分ほどをかける目安にしています。

1. 問題用紙の注意書きに線を引く(最初の30秒)
注意書きの中で、「横書き」「縦書き」「算用数字」「英字」のように表記にかかわる語に線を引きます。英字やカタカナ語の扱いに触れた一文があれば、それがその答案での決まりです。触れていなければ、使うかどうかは書き手が決めます。ここで縦書きか横書きかを確かめておくと、手順5で英字の語をどこまで減らすかの見当が付きます。
2. 下書き用紙に、使いたい英字の語とカタカナ語を書き出す(1分)
構成メモの右の端に、問いに出てくる語と、自分が使いそうな語を縦に一列で書きます。「SNSの利用に年齢の制限を設けるべきか」なら、「SNS」「DM」「フィルタリング」「リテラシー」「アカウント」「インターネット」の6語ほどが並びます。文にはせず、語を書くにとどめます。英字と数字がまじる英数字の語があれば、それも同じ列に入れて、同じ順に扱います。
3. 1語ずつ、日本語にするかを決める(1語につき10秒ほど)
書き出した語の横に、日本語の言い換えを書いてみます。日本語にするとはっきりする語は、日本語で書く側へ。日本語にすると長くなる略語や、意味が欠ける語は、1回目に名前や説明を添えて残す側へ。日本語にするとかえって伝わりにくくなる語は、そのまま使う側へ分けます。6語なら1分ほどです。下の表は、手順2の6語を分けた例です。
| 書き出した語 | 日本語にすると | 答案での書き方 |
|---|---|---|
| SNS | 長くなる | 1回目に「交流サイト(SNS)」、2回目から「SNS」 |
| DM | はっきりする | 「一対一のメッセージ」と書き、略語を使わない |
| フィルタリング | 意味が欠ける | 1回目に「有害なサイトを表示させない仕組み(フィルタリング)」 |
| リテラシー | 何の力かが決まる | 「投稿の真偽を見分ける力」など、できることで書く |
| アカウント | はっきりする | 「利用の登録」と書く |
| インターネット | かえって伝わりにくい | そのまま書く |
4. 残した略語の、初めて出す文を決める(30秒)
表で「1回目に」と書いた語について、その語が初めて出る文の頭を下書き用紙に書いておきます。日本語の名前や説明を先に、略語やカタカナ語を括弧に入れ、すぐ後の文で、答案の中でその語が指す範囲を決めます。「SNS」の3字は「交流サイト(SNS)」にすると10字で、7字増えます。たとえば800字の答案なら、論の中身を削るほどの量ではありません。清書の後で1回目に名前を足そうとすると、その行から後ろを書き直すことになりかねません。この段で決めておく意味はそこにあります。
5. 答案用紙では、呼び方を1つにそろえて書く(書きながら)
2回目からは略語で通し、説明をくり返しません。1回目に「交流サイト(SNS)」と書いたら、結論まで「SNS」です。縦書きの答案なら、略語のまま残した英字の語が多すぎないかも見ます。塾の練習では、縦書きで英字の語が3つ以上残ったら手順3に戻り、1つ日本語にできないかを考える目安にしています。
6. 見直しで、答案の英字の語を丸で囲む(最後の1分)
書き終えたら、答案の英字の語とカタカナ語を鉛筆で丸く囲み、次の表の欄を上から順に確かめます。
| 見る所 | 確かめる問い | 直し方 |
|---|---|---|
| 丸を付けた略語の1回目 | 日本語の名前が前にあるか | 無ければ、その行を消して名前を入れて書き直す |
| 2回目からの略語 | 説明をくり返していないか | 2回目からの説明は消す |
| 同じ物の呼び方 | 途中で別の言い方に変わっていないか | 1回目の呼び方にそろえる |
| 英単語で言い切った文 | 日本語で何の意味か言えるか | 言えた日本語に書き換える |
1分で全部を直せないときは、表の上の行から順に直します。いちばん上の行の欠けは、答案の最初の段で読み手を迷わせる欠けだからです。
略語と英単語を直す前と直した後
問いは「SNSの利用に年齢の制限を設けるべきか」、立場は制限を設ける側です。1組目は初めて出す略語を、2組目は反論と再反論の段に並んだカタカナ語を直します。
1組目 初めて出す略語に名前を添える
【直す前】SNSの利用には年齢の制限を設けるべきだ。SNSではDMで知らない大人から連絡が来ることがあり、中学生はリテラシーが足りないからだ。フィルタリングをかけても、アカウントを作るときの年齢はノーチェックである。
弱いのは、1文目から略語で始まり、答案が論じるSNSの範囲が決まっていない所です。続く2文には「DM」「リテラシー」「フィルタリング」「アカウント」「ノーチェック」と英字やカタカナの語が5つ並び、中学生に何が足りないのか、何を確かめていないのかが日本語で書かれていません。「ノーチェック」は話し言葉に寄った語で、だ・である調の答案の中で浮きます。
【直した後】交流サイト(SNS)の利用には、年齢の制限を設けるべきだ。ここでいうSNSは、写真や短い文を投稿でき、見知らぬ相手とも一対一でメッセージを送り合えるサービスを指す。中学生が、相手の名乗る年齢や職業の真偽を確かめるのは難しい。有害なサイトを表示させない仕組み(フィルタリング)は、見るサイトを絞ることはできても、SNSの中で届くメッセージの相手までは選べない。
1回目に日本語の名前を置き、次の文で範囲を「一対一でメッセージを送り合える」所まで決めたので、後の論がその一点に向かいます。「リテラシー」を「真偽を確かめる」に開いたことで、中学生に足りない物が何かが文に出ました。答案は長くなりましたが、増えた分は論の中身です。
2組目 反論と再反論の段のカタカナ語を開く
【直す前】もちろん、年齢の制限には、若いユーザーのフリーダムを奪うという反論もある。SNSは情報収集のツールでもあり、コミュニケーションのチャンスでもある。しかし、トータルで見ればメリットよりデメリットのほうが大きいので、制限はマストである。
反論を受けて再反論する段ですが、「フリーダム」「ツール」「チャンス」「トータル」「メリット」「デメリット」「マスト」と、英語から来たカタカナ語が並んでいます。誰の何の自由なのか、何と何を比べてデメリットが大きいと言えるのかが、どこにも書かれていません。これらの語が、比べる作業を飛ばしたまま結論へ運んでいます。
【直した後】年齢の制限には、中学生が学校の外の人と意見を交わす機会を奪うという反論がある。たしかに、関心の近い人と出会える場が減るのは損失だ。しかし、制限が閉じるのは見知らぬ大人と一対一でつながる入口であり、調べ物をすることや、学校や地域で意見を発表することまで禁じるわけではない。失われる機会は別の場で補えるが、一対一のやり取りから生じる被害は、起きてからでは取り返しにくい。
カタカナ語を日本語にしようとすると、「フリーダム」は「学校の外の人と意見を交わす機会」に、「メリットよりデメリット」は「補える損失」と「取り返しにくい被害」の比べに置き換わりました。日本語にする手間が、反論を認める一文と、比べる軸を書かせています。
英字を混ぜた答案でつまずく3つの所
1. 呼び方が途中で変わってしまう
序論で「SNS」と書き、本論で「ソーシャルメディア」、結論で「ネット」と書くと、読み手には、段落ごとに別の物を論じているように読めることがあります。年齢の制限をかける先が、段落を追うごとに広がったり狭まったりして見えるからです。図3のように、1回目に「交流サイト(SNS)」と書いたら、本論と結論も「SNS」で通します。手順4で決めた呼び方を下書き用紙の目に入る所に大きく書いておき、書きながら見ると、途中で言い方が揺れにくくなります。

2. 英語のつづりまで書こうとして手が止まる
略語の元の英語を添えるべきかで迷い、つづりを思い出そうとして時間が過ぎる答案があります。答案では、「人工知能(AI)」のように日本語の名前を添えれば、元の英語のつづりが無くても意味は通じます。試験の最中は辞書を引けないので、確かでないつづりは書かないほうが安全です。1字の書き誤りが、論と関係の無い所で目に付いてしまうからです。
3. 通じる語まで無理に日本語にしてしまう
英字やカタカナ語を減らそうとするあまり、「インターネット」を「電子の通信網」、「メッセージ」を「伝言」と書き換えると、読み手は何のことかを一度考え直すことになり、かえって伝わりにくくなります。言い換えるのは、言い換えると意味がはっきりする語に限ります。迷ったら、ふだんの授業で先生が説明なしに使っている語かを思い出し、使っているならそのまま書きます。
よくある質問
縦書きの小論文で、アルファベットはどう書けばよいですか
横書きのマス目なら、大文字は1マスに1字、小文字は1マスに2字入れるのが一般的な書き方です。縦書きでは、「SNS」「AI」のような大文字の略語を1マスに1字ずつ、向きを変えずに縦に並べる書き方を塾では練習しています。小文字の続く英単語は縦の行に収まりにくいので、縦書きの答案では日本語に置き換える道を先に考えます。問題の注意書きに英字の書き方の指示があれば、そちらに合わせます。
「スマホ」「ネット」のような縮めた言い方は、答案に書いてよいですか
答案では「スマートフォン」「インターネット」と、縮めずに書くほうが、だ・である調の答案の言葉とそろいます。「スマホ」「ネット」は会話でよく使う言い方なので、答案に混ざると、その語の所で口調が軽く見えやすいからです。年齢の制限を論じる答案なら、「スマートフォンを持ち始める年齢」のように書きます。縮めずに書いても、増えるのは1語あたり4字です。
誰でも知っている「AI」にも、説明は要りますか
答案の中で初めて出すなら、「人工知能(AI)」と1回目に日本語の名前を添えておくことを勧めます。略語が通じるかどうかより、答案の中で何を指すのかをはっきりさせる役目があるからです。たとえば、年齢を確かめる方法の案として「顔写真から年齢を推し量る人工知能(AI)」と書けば、どんな働きのAIを論じているかが1回目で決まります。2回目からは「AI」で通してかまいません。最後まで「人工知能」と書き通すのも、1つの書き方です。
個別指導で確かめること
答案の英字の語とカタカナ語に、講師と並んで鉛筆で丸を付け、1語ずつ「日本語で言うと何か」を声に出してもらいます。すぐに言えた語は、その日本語に書き換えて終わりです。言えずに止まった語は、考えがまだ決まっていない所なので、答案から下書き用紙の構成メモまで戻り、その語で何を言いたかったかを決め直します。
略語については、1回目の文に日本語の名前があるかと、結論まで同じ呼び方で通っているかを、丸の数を数えながら一緒に確かめます。
まとめ
英単語や略語を使うかどうかの分かれ目は、その語で何を指すかを書き手が決めているかどうかです。日本語のほうが伝わる語は日本語に、残す略語は1回目に名前を添え、呼び方を結論までそろえます。「SNS」の3字の前に置く数文字と、すぐ後に続く1文を決めておけば、年齢の制限を誰の何に向けて論じるのかが、序論の2文目までに読み手に届きます。
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