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書き方の方略を教わると伸びる—中高生の作文指導の研究|武蔵野個別指導塾
材料選び、段落の組み立て、点検を別々に練習すると、志望理由書のどこを直すか判断しやすくなります。作文指導の研究をもとに、手が止まった箇所で試せる動作を具体化します。

書き方の方略を教わると伸びる—中高生の作文指導の研究
書き出せないとき、必要なのは次の動作です
よくあるのは、返却された成績表の封筒から作文の答案も取り出し、「考えを具体的に」と書かれた講評を前に立ち止まるという場面です。自分では体験を詳しく書いたつもりでも、何を補えばよいのかがつかめません。志望理由書のメモを開いても同じところで迷い、「この分野を深く学びたい」という一文から先へ進めなくなります。
こうしたとき、高校生本人は語彙が足りないと考え、保護者はもう少し詳しく書けばよいと感じるかもしれません。しかし、詳しくする場所も、足す材料の選び方もわからないままでは、原稿の前に座る時間だけが延びます。「もっと具体的に」という助言を、実際にできる動作へ変える必要があります。
その動作のまとまりが、書くための「方略」です。たとえば、伝えたいことを仮に置く、根拠になる経験を選ぶ、読み手に足りない説明を探す、といった手順を指します。総合型選抜の準備でも、完成した文章の形だけを見るのではなく、そこに至る判断を練習すると、自分で手を動かす道筋ができます。

方略指導は、文章を作る判断を見えるようにします
文章を書く際には、いくつもの仕事を同時に進めています。何を伝えるかを考えながら経験を思い出し、順序を決め、言葉を選び、読み返して意味を確かめます。これらを一度に片づけようとすると、「体験はあるのに書けない」「文章は続くのに要点が見えない」という状態になります。ここでは、それぞれの仕事を分け、次に何をするかを選べるようにすることを考えます。
作文指導を検討した最良証拠メタ分析では、書き方を教える指導全体の効果量は0.38、方略指導は0.59、自己調整方略の指導は0.84と報告されています(Grahamほか・2024)。分析の範囲は6〜12年生22,838名に関する148比較で、測っているのは作文の改善であり、日本の総合型選抜における志望理由書の評価とは区別が必要です。複数の指導をまとめて見ても、文章を書く方法を明示して教える取り組みに、作文の改善を支える根拠がある点を受け止めたいところです。
効果量は、異なる研究の結果を共通の尺度で表すための数値です。0.59を成績が59%上がるという意味で読んだり、0.84を一人ひとりの伸び幅と考えたりはしません。また、方略指導と自己調整方略の数値を引き算して、目標設定を加えれば必ずその差だけ伸びると読むこともできません。ここでは数値の順位で方法を選ぶのではなく、書く手順に加えて、その手順をいつ使うかも教えるという視点を取り出します。実際の準備では、どの作業で止まるのかを確かめ、その場所に必要な手順を置いていきます。
方略と定型文は、役割が異なります。「私は経験を通じて学びました」という表現は、文の形を整える助けにはなります。しかし、その経験のどこに注目し、何を学んだと言えるのかは、別に考える必要があります。方略は「前と後で、自分の見方が変わった箇所を探す」のように、内容を見つけるためにも使えます。書き出しの表現を借りるだけでは埋まらない部分を扱うのです。
自己調整という言葉も、特別な精神力を指すものとして受け取る必要はありません。文章作成に引き寄せれば、今回の目標を決め、途中で進み方を確かめ、結果を見て次の手を選ぶことです。「今日は全体を完成させる」から「経験と関心をつなぐ段落を作る」へ目標を絞る。読み返してつながりが飛んでいたら、言い回しではなく材料に戻る。こうした判断を本人が担えるようにします。
指導する側が完成文だけを渡すと、生徒が見られるのは判断の結果です。そこで、材料を見ながら「この出来事は詳しいけれど、今の問いとは離れているので外す」と、選択の理由も示します。その後、生徒が別の材料で同じ判断を試し、自分の言葉で理由を説明します。以下では、この考え方を、志望理由書の準備で一人でも試せる手順へ落とし込みます。示す時間は、着手しやすくするための区切りとして使ってください。
材料を選び、並べ、確かめる手順を試しましょう
用意するものは、自分の活動や読書の記録、下書き用の紙、点検を書き込む紙です。端末で進めるなら、記録と原稿と点検を別々の欄に分けても構いません。教材として最初に使うのは、自分が残した短い記録です。整った文章にしてから持ち込む必要はありません。提出に関わる条件は、志望大学の最新の募集要項で確かめるようにしてください。
最初の5分は、今回答える問いを決めます。 指示された問いを読み、何について説明するのかを短く言い換えます。学びたい内容を問われているなら、「今ある関心と、これから調べたいことを説明する」と書いてみます。この一行は原稿に入れる文章ではなく、作業中に戻る目印です。課外活動の紹介に話が広がったときも、この目印に照らして必要な部分を選べます。
同時に、その回の作業目標を一つに絞ります。「よい文章を書く」では、終えたかどうかを確かめにくくなります。「関心が変化した出来事を選ぶ」「経験の説明を一段落にする」のように、終えた後に紙を指して示せる形にしてください。自分で確かめるには、作業後に目標の一行を読み、できた箇所に印を付けます。印を付けられなければ、どこまで進んだかを短く残します。
次の10分は、経験を事実と解釈に分けます。 活動記録を開き、扱いたい出来事について「その場で起きたこと」「自分がしたこと」「そのとき考えたこと」を書き分けます。読書の記録なら、「本が述べていたこと」と「自分が疑問に思ったこと」を分けます。誰の考えなのかを区別しておくと、借りた説明がいつの間にか自分の主張になる混乱を防げます。
たとえば、行事の案内を作った経験なら、「わかりやすさの重要性を学んだ」だけでは材料が足りません。どの説明で相手が迷い、自分は何を変更し、その後に何を見聞きしたのかを記録から探します。実際には反応を確かめていなければ、「改善できた」と結論づけず、工夫した事実と確かめていない結果を分けます。材料が足りない場所には、記憶を飾る言葉ではなく、調べ直すための印を置きます。
ここでの点検は、記録とメモを照らし合わせることです。行動を表す箇所に線を引き、元の記録のどこが支えになっているかを指します。自分の感想は感想として残せますが、他の人も同じように感じたかのように広げていないかを確かめます。過去の出来事を家族に聞くときも、文章の案を求める前に、いつ、何をしたかという事実から確認すると進めやすくなります。
続く10分は、使う材料と順番を選びます。 下書き用の紙に、伝えたい考え、その考えを支える経験、経験から生まれた問いを、それぞれ短く書きます。ここでは長い文を作らず、材料の関係を見ます。「案内の説明を変えた」という経験から、「伝え方によって受け取り方がどう変わるか」という関心につなぐなら、その間に自分が気づいたことを置く必要があります。
材料を並べたら、隣り合う項目の間を「なぜ次にこの話をするのか」と問い直します。理由を説明できるなら、短く余白へ書いておきます。説明できない場合は、項目を入れ替えるか、つなぐために必要な経験を探します。順番の正解を先に決めるのではなく、自分が説明できるつながりを残す作業です。使わない材料も、別の紙へ移せば捨てずに済みます。
この段階で、学びたいことが「社会に役立ちたい」といった広い言葉だけになったら、経験の中で答えが出なかった問いへ戻ってみます。何を知れば自分の疑問に近づくのか、どの点を比べてみたいのかを書き足します。本の内容を教材にするときも、要約を丸ごと置くのではなく、自分の問いに関係する説明を選びます。資料の説明と自分の経験が別々に並んでいたら、関係を説明する一文が必要です。
次の15分は、選んだつながりを一段落にします。 余白に書いた理由を手がかりに、伝えたい考えと経験を文章へつなぎます。この時間は、一文ごとに表現を磨く作業をいったん後へ回します。適切な語が浮かばなければ、普段話す言葉で意味を残してください。途中で材料不足に気づいたら、必要な事実をかっこに書いておき、思い出したふりをして埋めないようにします。
書き終えたら、段落の横に「この段落で読み手に伝えること」を一行で添えます。複数の話が混ざって一行にできなければ、段落を分ける候補です。逆に、段落の説明は具体的なのに本文が抽象的なら、頭の中にある説明が紙に出ていないのかもしれません。その差を見つけて本文へ戻すことも、自分でできる点検です。文章の長短だけを完成の判断にしないでください。
最後の10分は、点検する対象を分けます。 まず、最初に置いた問いへ答えている部分に線を引きます。次に、その答えを支える事実を囲みます。最後に、読み手が「なぜそう考えたのか」と尋ねそうな箇所へ印を付けます。答え、根拠、説明のつながりを別々に確かめると、「何となく弱い」という感覚を、手を入れる場所へ変えられます。
直す場所は、問いへの答えを理解するうえで最も困る箇所から選びます。経験と関心のつながりが抜けているなら、語尾をそろえる前にそこへ説明を足します。修正前の文も残し、「何が足りず、何を足したか」を点検用の紙に書いてください。最後に「次は記録を確かめる」「別の段落で同じ点検をする」と次の動作を決めれば、再開したときに原稿全体を眺め直す負担を減らせます。
すべてを続けて行う必要はありません。疲れている日は材料の整理までで止め、次の回に順番を決めても構いません。その際は「途中」とだけ残さず、「経験は選んだが、学びたい内容につながる理由がまだ書けていない」と記します。止まった場所が具体的なら、短い時間でも再開する作業を選べます。慣れてきたら手順の説明を伏せ、自分の記録だけを見て進められるか試してください。
慣れた後の教材には、自分が書き直した段落も使えます。修正前と修正後を並べ、足した説明を隠して読んでみてください。どこで意味が途切れるかを指し、何を補う必要があるかを口頭で説明します。その後に修正後の文を開き、自分の説明と比べます。文章を暗記して再現するのではなく、説明の役割を確かめる読み方です。同じ確認を、まだ直していない別の段落でも試すと、直し方を移して使えるかが見えてきます。
手順の紙を見ないと進まない場合には、すぐにすべての支えを外さなくても構いません。詳しい説明を折りたたみ、「問い」「材料」「つながり」「点検」という短い目印だけで始めます。止まったところだけ説明を開き、使った目印に印を付けます。次回はその印のある作業を意識して試してください。自力で進めた箇所と、説明を参照した箇所を分けておくと、どこを練習すればよいかが具体的になります。

個別指導では、手順を使う判断まで確かめます
塾で最初に確かめたいのは、文章の見栄えと、本人が進められる作業を分けることです。整った段落があっても、どの材料を選んだかを説明できなければ、次の文章で同じ判断ができるとは限りません。一方、原稿が短くても、経験を事実と感想に分けられ、足りない説明を自分で見つけられているなら、その過程を次につなげられます。
指導では、本人が原稿の一部分を扱う様子を見ます。材料を選ぶ前に表現で迷うのか、経験をたくさん挙げて選べなくなるのか、段落を書いた後に何を点検すればよいかわからないのか。止まる場所に合わせて、まず教える手順を絞ります。作文用の確認項目を増やす前に、今の困りごとに使える動作がどれなのかを明らかにします。
材料選びで止まる場合は、指導者が問いに関係する箇所を取り上げ、選ぶ理由を言葉にします。続いて、生徒本人が別の材料を選び、その理由を説明します。指導者と同じ材料を選ぶことだけを目標にすると、判断が借り物のままになります。違う材料を選んだ場合も、問いとの関係を本人が説明できるかを確かめ、必要なら根拠を一緒に探します。
段落の組み立てで止まる場合には、文章をすぐ書き換える代わりに、文ごとの役割を本人に添えてもらいます。「経験の説明」「そのときの疑問」「今学びたいこと」が見えると、間が飛んでいる場所を話し合えます。最初は指導者が役割の候補を示しても、次は本人が名付けるように進めます。支えを減らした後にも、関係を説明できるかが確認点になります。
添削の指摘も、その場の修正と次に使う手順を結びつけます。「具体的に」とだけ書くと、経験を長くする方向へ進むことがあります。「この結論につながった行動を、記録から探そう」と伝えれば、確認する対象が決まります。直った文を読んだ後には、どの指摘を受け、何を探し、どう変えたかを本人に説明してもらいます。修正の理由が残れば、次の原稿にも持ち運べます。
ただし、説明を聞いてうなずいた段階で、習得したと決めることは避けます。目の前でできたことと、一人で再現できることを分けて記録します。たとえば「問いへの答えを示す文は自分で選べた」「根拠が足りない箇所は問いかけを受けて見つけた」と残せば、次回どの支えを減らすかが具体的になります。本人も、すべてをやり直す必要があるとは感じずに済みます。
進み具合の記録は、原稿の完成率だけにしません。「今回使った手順」「一人でできた箇所」「助けが必要だった箇所」「次に試すこと」を短く並べます。前の原稿と今の原稿を残し、説明がつながった部分を本人が示せるようにします。文章が長くなったかだけでなく、判断の理由を言えるようになったか、違う段落でも手順を使えたかを見るためです。
家庭への連絡では、抽象的に「頑張っています」と伝えるだけでなく、作業の変化を知らせます。たとえば「経験を選ぶ理由は説明できました。次は、その経験から疑問が生まれた理由を書きます。ご家庭では当日の記録の有無を確認してください」という形です。できたこと、次の課題、家庭にお願いすることが分けて示されていると、保護者がお子さまの原稿全体を直す役割を引き受けずに支えられます。
家庭が担いやすいのは、落ち着いて書ける時間の相談、本人が求めた記録の確認、作業を終える時刻の調整です。「何を直したの」と聞いて話が止まるなら、「今日は材料選びと点検のどちらを進めたの」と、取り組んだ作業を聞いてみてください。本人がまだ説明を整理できないときは、無理に聞き出さず、次に塾で確認する項目として残せます。
文章の論理や資料の扱い、手順の選び方は、指導の場で検討します。保護者が好む表現と本人の表現が異なる場合にも、まず、本人が何を伝えようとしているのかを確かめます。難しい言葉への置き換えで整えるより、経験に照らして意味を説明できる表現を残すほうが、その後の書き直しを進めやすくなります。
作文の方略をどう使ったかも、武蔵野個別指導塾で総合型選抜を専任指導する代表の宮川が確認します。書き直した文章と、その際の判断を結びつけて確認することが、継続して見るべき点です。前にできた作業で再び止まったときも、意欲の問題だけで片づけず、問いが変わったのか、材料が足りないのか、点検の方法が合っていないのかを原稿から確かめます。
方略を使い始めるときの3つの疑問
Q1. 手順を使うと、誰もが似た文章になりませんか。
似やすいのは、内容まで決めた文の型をそのまま当てはめる場合です。ここで扱う手順は、問いを確かめ、材料を選び、関係を説明するためのものです。選ぶ経験も、そこから生まれる疑問も、本人によって異なります。同じ「根拠を探す」という動作をしても、根拠になる出来事は同じになりません。
点検では、表現の珍しさを競うより、どの部分が自分の経験に基づくのかを確かめてください。もっともらしい表現を外すと話すことがなくなるなら、材料へ戻る合図です。逆に、普段使う言葉で経験と考えを説明できるなら、その説明を起点に文章を整えられます。手順は内容をそろえるためではなく、本人の内容を取り出すために使います。
Q2. 語彙や文法を直してから取り組むべきですか。
意味が伝わらない表現は直す必要がありますが、すべてを整えてからでなければ材料を選べないわけではありません。まず、問いへの答えと根拠の関係を確かめ、次にその関係が伝わる文へ直す進め方ができます。材料が足りない状態で言い換えを重ねても、読み手の疑問が残ることがあります。
読み返して内容は説明できるのに一文が長くなっているなら、文を分ける作業へ進みます。内容自体を口頭でも説明できないなら、記録や考えの整理へ戻ります。「文章が苦手」という一つの見方でまとめず、今どこを直すと意味が通るのかを選んでください。表現の点検も、内容を確かめる点検も、それぞれの役割があります。
Q3. 手順どおりにしても止まる場合はどうしますか。
止まった箇所と、直前にできたことを残します。「何も書けない」ではなく、「経験は選べたが、学びたい内容との関係が説明できない」と書ければ、次に相談する内容が明確です。関係が薄い材料を無理につなぐ必要はありません。別の経験を探すことも、まだ答えのない問いとして整理し直すこともできます。
保護者は、空欄をすぐに埋めようとせず、お子さまが残した止まり方を受け取ってください。指導者に渡す際も、整えた原稿だけでなく、迷った箇所のある紙が役に立ちます。手順を使って初めて材料不足に気づく場合もあります。その発見を次の調査や相談へつなげれば、止まった時間にも次の作業が生まれます。
次の一段落を、自分で動かせるように
志望理由書を書く力を育てるには、完成した一文を見るだけでなく、その一文を作るために何を選び、何を確かめたのかへ目を向けたいところです。まずは原稿の一段落で、問いへの答えに線を引き、根拠を囲み、説明が飛んでいる場所を探してみてください。見つけた箇所を直す理由が言えれば、次の一段落を動かす手がかりになります。
保護者がお子さまの変化を見る際も、きれいに仕上がったかに加えて、「次にすることを自分で選べたか」を尋ねることができます。原稿に残った修正の跡は、判断を練習してきた記録です。「この説明が足りなかったから直した」と原稿を指して語れるとき、教わった手順は、自分で使える書く技術へと変わっています。
参考文献
Graham et al.(2024)Reading and Writing. 6〜12年生を対象とした作文指導の最良証拠メタ分析。 https://consensus.app/papers/details/f4a17e5ae2125e9ab40d01421e1dff05/
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。

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