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資料読み取り型の小論文—グラフの数字を文にする言い方と、読み取りと意見の分け目|武蔵野個別指導塾

縦軸が0から始まらない折れ線グラフでも、38%から46%を「8ポイント上がった」と書けば言い過ぎません。割合と人数、調べた年を順に確かめれば、資料の数字を推測の混ざらない読み取りの文に移せます。
資料読み取り型の小論文で手が止まったら、読み取りの段には、同じ資料を見た人なら誰が書いても同じになる文を置き、理由の見立てや良し悪しの評価は意見の段へ送ってください。グラフの数字は、始まりと終わりの2つの値と、その差を「ポイント」で書けば言い過ぎになりません。縦軸が0から始まっていないなら、線の傾きではなく目盛りの数字で書きます。割合の資料しかないなら「人が増えた」とは書かず、人数の資料があるときに限って掛け算で確かめます。設問に字の割り振りの指示が無いなら、読み取りは全体の4分の1以下に抑えるのが、塾で練習に使っている目安です。
よくあるのは、試験の途中で折れ線グラフの縦軸を見直し、いちばん下の目盛りが0ではなく30だったと気づく場面です。下書きにはもう「バスで通う高校生の割合は、10年でほぼ2倍になった」と書いてあります。線が下の方から上の方へ、大きく跳ね上がって見えたからです。目盛りを読み直すと、38%から46%。2倍どころか、8ポイントの上昇でした。消しゴムを握ったまま、どの文まで戻ればいいのかがわからなくなります。
ここから先は、練習のために作った、ある町の高校生の通学の手段の資料を例にします。数字は説明のための作りの値で、どこかの町を実際に調べた結果ではありません。通学の手段は徒歩・自転車・バスの3つに分けてあり、どの年も3つの割合を足すと100%になります。資料1は、バスと自転車で通う人の割合を5年おきに結んだ折れ線グラフで、縦軸は30%から50%までです。
| 資料1の点の値 | 2005年 | 2010年 | 2015年 | 2020年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|---|
| バス | 38% | 38% | 38% | 44% | 46% |
| 自転車 | 40% | 41% | 42% | 38% | 38% |
資料2は、2015年と2025年の2つの年について、町の高校生の数と、3つの手段の割合を並べた表です。
| 資料2 | 高校生の数 | 徒歩 | 自転車 | バス |
|---|---|---|---|---|
| 2015年 | 1,000人 | 20% | 42% | 38% |
| 2025年 | 800人 | 16% | 38% | 46% |
読み取りは誰が書いても同じ文、意見は書く人ごとに違う文
資料型の設問が求めるのは、たいてい2つです。資料から何が言えるかを書く読み取りと、それを受けて自分はどう考えるかを書く意見です。小論文の読み取りの書き方で手が止まるのは、この2つの境目が、書いている途中で見えなくなるからです。
境目を見分ける物差しは1つで足ります。その文は、同じ資料を渡された別の人が書いても、ほぼ同じ文になるか。「資料1では、バスで通う人の割合が2015年の38%から2025年の46%に上がった」は、誰が書いても数字と向きが変わりません。これが読み取りです。「自転車が危ないと感じる家庭が増えたのだろう」は、書く人によって「家から学校までが遠くなった」にも「バスの便がよくなった」にもなります。こちらは意見の側で、もう少し細かく言えば、意見を組み立てるための見立てです。
図1のように、境目の左には資料が言うこと、右には自分が言うことを置き、境目で段落を変えます。左の段の文に「〜ため」「〜だろう」「〜べきだ」が入っていたら、その文を右へ移す合図です。

なぜここまで分けるのか。答案の読み取りの段は、読み手には、資料と照らして確かめられる場所として読まれやすいからです。数字の1つ1つは、資料に戻れば合っているかどうかがすぐにわかります。その段に見立てが混ざると、どの文が資料から来ていて、どの文が書く人の考えなのかが区別できません。38と46を正しく写していても、隣の文が資料に無い理由を言い切っていれば、段全体が、資料を自分の考えの側へ引き寄せて読んでいると受け取られやすくなります。
教室で資料型の下書きを見ると、赤を入れる場所はだいたい動詞の周りに集まります。数字の無い「増えた」、目盛りからは言えない「急に」、資料に書いていない「人気になった」。どれも、読み取りの文の中で、書く人の評価が動詞にこっそり乗った所です。反対に、数字を2つ入れて「上がった」「下がった」「変わらない」「上回った」と書いた文には、赤がほとんど入りません。
もう1つの理由は、意見の足場です。意見の段は、読み取りの段のどれかの数字に乗って立ちます。読み取りが正確なら、意見の段の最初の文で「この8ポイントの上昇を、町はどう受け止めるべきか」と、読み取りの言葉をそのまま引き継げます。読み取りが言い過ぎていると、意見は言い過ぎた数字の上に立つことになり、反論を受けたときに足場から崩れます。文部科学省の令和9年度の実施要項は、考えて判断した筋道や結果を正しく、さらに効果的に言葉にする力も、小論文などで見ることが望ましいとしています。資料の数字を正確に文へ移すのは、その筋道のいちばん手前にある作業です。
数字を文に移す8つの手順と、読み取りに回す字の目安
資料型の答案は、書き始める前の10分あまりで形がほぼ決まります。次の8つの手順のうち、1から6は答案用紙に1字も書かないうちに済ませる作業です。かっこの中の分の数は、塾で練習するときに使っている目安です。
- 設問の文に2種類の線を引く(1分・問題用紙)。資料の中身を求める部分(「資料から読み取れることを述べ」など)に直線を、考えを求める部分(「あなたの考えを述べなさい」など)に波線を引きます。設問が「読み取りを150字以内で」のように字を分けて指示していれば、その数がそのまま割り振りなので、線の横に書き写しておきます。分けた指示が無ければ、手順6で割り振りを自分で決めます。
- 資料の枠を4つ確かめる(2分・資料の余白)。数字を読む前に、題、単位、縦軸のいちばん下の目盛り、調べた年とその間隔の4つを見て、余白に「%・30から・5年おき」のように短く書きます。表なら、欄の見出しにある単位と、表の下の小さな注もこの2分で読みます。試験の途中で縦軸に気づく場面は、この手順を飛ばして、線の形から読み始めたときに起きます。
- 動きを3つまでに絞る(3分・下書き用紙)。いちばん大きく変わった所、いちばん高い(低い)所、順位が入れ替わった所の3種類から選びます。たとえばの資料なら「バス 38→46」「自転車 2015年の42が最高」「2015年と2020年の間で順位が入れ替わる」の3つです。3つまでにするのは、600字の答案で読み取りに回せる字が150字前後なら、1つの動きに使えるのが50字ほどだからです。
- 1つの動きを1文にする(4分・下書き用紙)。1文に入れる数字は始まりと終わりの2つ、年も2つまでにします。動詞は下の表の言い方から選び、評価の混ざった言い方は使いません。
- 推測の語を探して印をつける(1回読む・1分)。手順4の文を頭から1回読み、「ため」、理由を表す「から」、「だろう」「はずだ」「べきだ」に丸をつけます。丸の付いた文は読み取りの段から外し、下書き用紙の意見の欄へ矢印で送ります。消さずに送るのは、その見立てが意見の段の材料になるからです。
- 字を割り振る(1分・下書き用紙の端)。設問に分けた指示が無いときは、読み取りを全体の4分の1以下にし、残りを意見の側に回します。
- 意見の段の1文目を、読み取りの数字で始める(下書き用紙・1文)。「では、この8ポイントの上昇を、町はどう受け止めるべきか」のように、読み取りで書いた数字か動きを文の中心に置いて、意見の段を始めます。この1文があると、意見が資料のどこに乗っているかが、読み手に一目で伝わります。
- 清書の後に、数字を資料と1つずつ照らす(2分・答案と資料を並べて)。答案の数字に左手の指を、資料の同じ値に右手の指を置き、値・単位・年の3つが合っているかを、数字を1つずつ移りながら確かめます。38と36、2015と2025のような写し違いは、目で流し読みしているうちは見つかりません。
手順1から6までで、合わせて12分ほどです。試験時間が短ければ、手順3の動きを2つに減らして縮めます。
手順4で使う言い方を、資料の動きごとに次の表の6つにまとめました。右の欄は、同じ動きを書いて言い過ぎになった書き方です。
| 資料の動き | 文にする言い方(たとえばの資料で) | 言い過ぎの書き方 |
|---|---|---|
| 割合の差 | バスは38%から46%へ、8ポイント上がった | バスは8%増えた |
| 割合の比 | バスの割合は約1.2倍、約2割の伸びである | バスはほぼ2倍になった |
| 増減の向き | 2015年・2020年・2025年と、調べるたびにバスの割合は上がった | バスの利用者が急増した |
| 横ばい | 2005年から2015年まで、バスは38%で横ばいだった | バスは変わらず人気だった |
| ピーク | 自転車は2015年の42%が最も高く、2025年は38%だった | 自転車は年々減っている |
| 上回る | 2020年には、バスの44%が自転車の38%を上回った | バスが通学の主流になった |
右の欄に共通しているのは、数字が抜けて、かわりに書く人の印象が入っている点です。「急増」「人気」「主流」は、目盛りのどこにも書いていません。動きが小さいときの言い方も1つ持っておきます。自転車の2005年から2015年(40%から42%)は、10年で2ポイントの動きです。グラフの目盛りの1つ分(ここでは5ポイント)にも届かないこうした動きは、「ほぼ横ばい」か「わずかに上がった」と書きます。
手順6の割り振りは、次の表を目安にしています。どこかで決まっている数ではなく、塾で練習に使っている割り振りです。
| 答案の字数 | 読み取り | 立場と理由 | 反論への応答 | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| 600字 | 150字 | 270字 | 120字 | 60字 |
| 800字 | 180字 | 380字 | 160字 | 80字 |
| 1,000字 | 220字 | 480字 | 200字 | 100字 |
どの行も、読み取りは全体の4分の1以下で、意見の側(立場と理由・反論への応答・結論の3つ)の半分にも届きません。図2は600字の行を帯にした物で、帯の長さは字の数に比例させてあります。読み取りの150字は、意見の側の450字のちょうど3分の1です。

読み取りを短くするのは、読み取りが軽いからではありません。資料の数字そのものは、問題用紙の上で読み手も見ています。答案でしか読めないのは、どの数字を選び、それをどう受け止めたかの方で、そこに字を回すための割り振りです。
読み取りの段を直す前と直した後
1組目は、読み取りの段に推測が混ざった例です。
直す前:
資料1を見ると、2015年以降、バスで通う高校生がどんどん増えている。自転車の事故を心配する家庭が増え、親がバスを選ばせるようになったのだろう。この流れは今後も続き、町の高校生の半分以上がバスで通う日も近いはずである。
3つの文のうち、資料から言えるのは1文目の向きに限られます。その1文目も、グラフが示すのは割合なのに「高校生が増えている」と人の数のように書き、「どんどん」に数字の代わりをさせています。2文目の事故の心配は資料のどこにも無く、3文目の「半分以上」は、いちばん新しい2025年でも46%の資料から、まだ来ていない年を言い当てています。読み手には、資料よりも書く人の見立てが前に出た段と映ります。
直した後:
資料1によると、バスで通う高校生の割合は2005年から2015年まで38%で変わらず、2025年には46%となった。2015年からの10年で8ポイントの上昇である。反対に、自転車は2015年の42%が最も高く、2025年は38%に下がった。2つの線は2015年から2020年の間で交わり、2020年にはバスが自転車を上回っている。
外した事故の話は捨てずに、意見の段へ送ります。「なぜ割合が自転車からバスの側へ寄ったのかは、この資料からはわからない」と一度断ってから、自分の見立てとして出します。その見立てを確かめるには何を調べればよいかまで書けば、意見の段の材料に変わります。
2組目は、数字を写すことに字を使い切った例です。
直す前:
資料1では、バスは2005年が38%、2010年が38%、2015年が38%、2020年が44%、2025年が46%である。自転車は2005年が40%、2010年が41%、2015年が42%、2020年が38%、2025年が38%である。資料2では、2015年は徒歩が20%、自転車が42%、バスが38%、2025年は徒歩が16%、自転車が38%、バスが46%である。
数字は1つも間違っていません。それでも、この段で180字あまりを使い、600字の答案なら読み取りの目安の150字を超えます。しかも、どの値が大事なのかを選ぶ作業を、読み手に預けたままです。値を並べることと、値から動きを読むことは別の作業で、読み取りとして受け取られるのは後の方です。
直した後:
資料2の2015年と2025年を比べると、バスの割合は38%から46%へ8ポイント上がり、自転車と徒歩はどちらも4ポイント下がった。バスの伸びは、ほかの2つが下げた分を合わせた大きさに当たる。では、通学の手段の割合がこの10年でバスの側へ寄ったことを、町はどう受け止めるべきか。
割合の値は、38%・46%と、差の8ポイント・4ポイントの4つに減りました。2文目は計算して確かめられる関係で、3つの割合を足すと100%になる資料だから言えることです。3文目は手順7の橋渡しで、ここから先が意見の段になります。読み取りに使ったのは2文、100字足らずで、残りの字を、町がどう受け止めるべきかという問いに回せます。
縦軸の目盛り・割合と人数・調べた年で起きる3つの読み違い
資料の数字を正しく写していても、資料の枠を読み違えると、文は言い過ぎます。枠の読み違いとして教室の下書きによく出てくるのは、次の3つです。
線の傾きを見て「急に」「2倍」と書いてしまう
縦軸が30から始まるグラフでは、38の点は底から8ポイント分、46の点は16ポイント分の高さにあります。目には2倍に映りますが、割合の差は8ポイント、比は約1.2倍です。図3のように、同じ値を縦軸が0から始まるグラフに描き直すと、線の傾きはずっとゆるやかになります。直し方は、手順2で縦軸のいちばん下の目盛りに丸をつけ、文には傾きの形容ではなく、差と比の数字を書くことです。「急に」「大きく」を使いたくなったら、その言葉を数字に置き換えられるかを確かめ、置き換えられなければ使いません。

割合が上がったことを「使う人が増えた」と書いてしまう
資料1の縦軸の単位は%で、人の数ではありません。資料2の高校生の数を掛けると、バスで通う人は2015年が380人、2025年が368人で、割合が8ポイント上がった10年に、人数はわずかに減っています。自転車は差がもっと大きく、割合では4ポイントの下げなのに、人数では420人から304人へ、3割近く減っています。直し方は、手順2で単位を確かめ、%の資料からは「割合が上がった」までを書くことです。人数を言いたいときは、人数の資料がある年に限って掛け算をし、計算した値だとわかるよう「人数に直すと」と添えます。
調べていない年のことを書いてしまう
資料1は5年おきの点を結んだ線です。2015年の38%と2020年の44%の間はまっすぐ結んであるものの、2017年や2018年の値を示しているわけではありません。「2018年ごろからバスが増え始めた」と書くと、調べていない年を作ったことになります。資料2の人数も2015年と2025年の2つの年しかなく、2005年の高校生の数はどこにもありません。直し方は、年を文に入れるとき、資料に点か欄がある年に限って使い、間の年は「2015年から2020年の間に」と幅で書くことです。2つの資料を合わせて計算するときは、両方にそろっている年(たとえばの資料では2015年と2025年)に限ります。
よくある質問
小論文で割合の変化を書くとき、「%」と「ポイント」はどう使い分けますか
割合どうしの差はポイントで書きます。資料2の徒歩は20%から16%なので「4ポイント下がった」です。「4%下がった」と書くと、20%の4%、つまり0.8ポイント下がったとも読めてしまいます。もとの値と比べた変わり方を言いたいときは「2割減った」と書き、何を基準にした2割かがわかるよう、20%と16%の2つの値を同じ文に入れてください。
小論文の数字の書き方で、資料の値はいくつまで書き写せばいいですか
決まった数はありませんが、1つの動きに始まりと終わりの2つの値、と考えると多すぎも少なすぎもしません。動きを3つ選んだなら、答案に入る値は6つ前後です。意見の段で使わない数字は、読み取りにも入れなくてかまいません。資料の値を年ごとに全部写すと、読み取りの段が数字の並びで埋まり、どれを大事と見たのかが伝わらなくなります。
目盛りと目盛りの間にある点の値は、どう書けばいいですか
このページでは説明のために資料1の点の値を表にしましたが、試験のグラフには点の値が書かれていないこともあります。そのときは、目盛りから読んだ値に「約」を付けるか、「40%をやや上回る」のように近い目盛りとの関係で書きます。目盛りから読めない「41.3%」のような細かい値を書くと、読み手には数字を作ったように見えます。「約」の付いた値どうしで差を計算したときは、答えにも「約」を付けたままにします。
個別指導で確かめること
講師と書く人で、読み取りの段の数字を1つずつ、資料の上に鉛筆の先を置いて照らしていきます。値・単位・年のどれかがずれていたら、戻るのは手順2の枠の確かめです。数字が合っていて、動詞に「人気」「急に」が乗っていたら手順4の表へ、「ため」「だろう」が残っていたら手順5へ戻ります。
意見の段は、1文目が読み取りのどの数字を受けているかを先に見ます。受けていなければ、意見の中身に赤を入れる前に、手順7の橋渡しの1文から書き直してもらいます。直すのは一度に1つの手順で、答案を頭から全部書き直すことはあまりしません。
まとめ
縦軸を30から切るか0から切るかで、バスの線の傾きはいくらでも変わって見えます。傾きを決めたのはグラフを描いた人の縦軸の切り方で、点の値を決めたのは調べた結果です。だから、バスで通う高校生の割合が38%から46%へ8ポイント上がったという一文は、どちらのグラフを前にしても、一字も書き換えずに済みます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
武蔵境駅徒歩30秒、講師1人に生徒1人の完全1対1。授業のあいだ、先生は隣を離れません。いまの詰まりを、無料相談でそのまま話してください。
まず15分だけ電話で話したい方は、無料電話相談(15分)から。塾からお電話を差し上げます。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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