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家で数学の話をする—短い文章題が親子の苦手意識を変えた研究|武蔵野個別指導塾
数学の話が親子の言い争いになりそうなときは、短い文章題を一緒に読むところから始めてください。数を絵にする方法や答えの確かめ方、家庭と個別指導の役割を具体的に考えます。

家で数学の話をする—短い文章題が親子の苦手意識を変えた研究
数の話を始めた途端に、会話が止まるとき
よくあるのは、公園の木陰に広げた敷物で、お菓子を分けようとして「6個を3人で分けたら、いくつずつかな」と聞いた途端、お子さまが黙ってしまうという場面です。大人は雑談のつもりでも、お子さまには突然始まったテストに感じられることがあります。「これくらい簡単でしょう」と続くと、答えよりも、大人の期待に合うことが気になってしまいます。
保護者の方にも、計算の説明には自信がなく、途中で間違えたら困るという気持ちがあるかもしれません。家で数学の話をしたいのに、何を聞けばよいのか迷う。その迷いを、家庭の努力不足と考える必要はありません。問いの形と会話の終わり方を決めておくと、試せる関わり方が見えてきます。
親子で短い数の文章題を読む取り組みを調べた研究があります。そこから家庭で考えたいのは、保護者が解き方を教えきる方法ではなく、お子さまと同じ問題を見ながら、数の意味を言葉にする時間です。答えを言う前にも、数学について話せることはあります。

短い文章題を読む取り組みから考えること
親子がタブレットで短い数の文章題を読む「算数の読み聞かせ」を取り入れた実験では、読書をする対照群と比べて、1年間の算数の成績が伸びました。親がふだん数学に不安を持つお子さまで、特に効果が大きかったと報告されています(Berkowitzほか・2015)。米国の小学1年生587人がタブレットで短い文章題に触れた無作為化現場実験なので、紙での雑談や中高生への効果、親子双方の不安の軽減とは分けて受け止める必要があります。家庭で注目したいのは、保護者が数学を得意になるのを待たずに、数を扱う会話への入り方を工夫できるという点です。
この研究を「苦手な親は教えない方がよい」という話に置き換えると、取り組みの意味を取り逃がします。試されたのは、親子が数の文章題に触れる活動です。保護者の得意不得意だけで家庭の可能性を決めるのではなく、何を一緒に読み、どんなやり取りをするかに目を向けたいところです。数学への不安がある保護者の方にも、題材を用意する、文章を読む、考えを聞くという役割があります。
家庭で取り組んだ後は、成績の変化と気持ちの変化を別々に振り返ってみましょう。「短い文章題で親子の苦手意識が変わる」と考えるときも、何が変わったのかを具体的にする必要があります。問題を避けずに読めたのか、答えの理由を話せたのか、計算が正確になったのか。それぞれは別の変化です。「今日は読み始められた」「絵にすると話せた」と、実際に起きた変化を受け取ることから会話を続けられます。
家庭で試す会話では、まず「何を答える問題か」と「どう計算するか」を切り離してみましょう。「箱に赤い球が4個、青い球が3個あります。全部で何個ですか」という文章なら、計算する前に、何が入っているのか、何を知りたいのかを話せます。「赤と青を合わせた数」と言えれば、式を書く前に捉えられたことがあります。すぐに「足し算だね」と大人が言ってしまうと、その読み取りをお子さま自身が確かめる機会が小さくなります。
また、文章題には、数だけを抜き出して計算する読み方と、場面を思い浮かべて数の関係を捉える読み方があります。前の問題が足し算だったから今回も足す、という進め方では、文章が少し変わったときに迷います。会話では「何が増えたのかな」「分けた後はどうなっているかな」と、数が表すものを確かめてください。説明が長くなりそうなら、言葉を重ねるより、紙に丸を描いて同じ場面を見る方が進めやすい場合もあります。
以下で示す時間の区切りや紙の使い方は、家庭で取り組みを始めるための提案です。研究の活動をそのまま再現する手順としてではなく、ご家庭で負担を調整するために使ってください。文章を読むことが負担なら読み上げてもらう、話すことが負担なら絵で示すなど、参加の入口を選べるようにしておきます。
今日の1問を、読む・表す・確かめるに分ける
最初に、お子さまがすでに扱える計算で解ける短い文章題を1問選びます。手元の教科書やノートから、説明を聞いたことのある問題を選んでかまいません。新しい計算の練習と、文章を理解する練習を同時に始めると、どこで困ったかが見えにくくなります。まずは場面が短く、求めるものが1つで、数字の意味を絵にしやすい問題から始めましょう。
時間の目安は、読む時間を1分、絵や式で考える時間を3分、確かめる時間を1分とします。速さを測るための制限ではありません。途中でも区切りにできるようにする約束です。読み終わらなければ読むだけ、絵を描いて疲れたら絵までにします。親子で始めるときも、お子さまが一人で取り組むときも、先に「今日はここまでで終える」と決めておくと、追加問題を心配せずに向き合いやすくなります。
最初の1分は、問題を読み、聞かれている部分に線を引きます。次に「何の数を答えるのか」を短く言ってみます。お菓子の問題なら「1人がもらう数」、球の問題なら「箱の中の全部の数」です。言葉が出なければ、問題の最後の文を指さすだけでも進められます。一人で取り組むときは、余白に「答えるもの」と書き、その横に品物や人数を書いてください。
ここでは、保護者が同じ質問を何度も繰り返さないようにします。「何を聞かれているの」と聞いて返事がなければ、質問を強くするより、「全部の数かな、1人分かな」と、文章に合う選択肢を出す方法があります。選んだ後は、そう思った箇所を一緒に指してみます。選択肢がないと進めなかったことも、次に問題を選ぶための手がかりになります。
次の3分は、数を目に見える形にします。「6個のお菓子を3人に同じ数ずつ分ける」なら、紙に3つの枠を描き、6個の丸を1つずつ入れていきます。式が先に浮かぶお子さまは、6 ÷ 3 = 2と書いた後で、それぞれの数字が何を表すかを説明します。6はお菓子の数、3は人数、2は1人分です。どちらから始めても、文章と絵と式が同じ場面になっているかを確かめることが目的です。
教材の使い方も分けておくと便利です。教科書は短い問題を選ぶために使い、白い紙は丸や線を自由に描くために使います。手元の解答は、考え始める前に読むのではなく、確かめた後で答えや考え方を照らすために使います。解答がない問題なら、具体物を並べる方法で確かめてもかまいません。消しゴムなどを数えるときは、途中で物が増えたり減ったりしないよう、使う分だけを先に出しておきます。
最後の1分には、確かめ方を1つ選びます。1つ目は、答えを文章に戻す方法です。「1人2個ずつ」と言って終わらず、3人とも2個になっているかを絵で見ます。2つ目は、逆向きの計算です。2 × 3 = 6となり、元のお菓子の数に戻るかを調べます。3つ目は、別の表し方での確認です。式で考えたなら丸を描き、丸で考えたなら式を書いて、同じ答えになるか見ます。毎回すべてを行う必要はなく、その日に使いやすい方法を選んでください。
間違いがあったときは、答えを消す前に、ずれた場所を探します。丸が5個しかなければ数の写し取り、3人分の枠が2つなら場面の表し方、絵は合っているのに式が違えば計算とのつながりを見直します。「どこからやり直すか」が定まれば、全部を最初から解き直す必要はありません。一人のときも、合わない箇所に小さな印を付けて残せます。答えだけを赤く直すより、次に尋ねたいことがはっきりします。
保護者の返事は、評価よりも聞き取った内容を返す形にしてみましょう。「すごい、頭がいい」だけでは、何がよかったのかが残りません。「1人ずつ順番に分けたんだね」「答えを掛け算で戻して確かめたんだね」と言えば、お子さまが使った方法を共有できます。違う答えになったときも、「絵では2個ずつ、式では3になったね。どこを見ようか」と、違いを一緒に見られます。
慣れてきたら、同じ数字でも問いを変えてみます。「6個を3人で分ける」と「6個を1人3個ずつ配る」では、求めるものが違います。前者は1人分の個数、後者は配れる人数です。どちらも6 ÷ 3という式になりますが、答えの後に付く言葉は変わります。計算ができた後に「2の後には何を付けるかな」と聞くと、数の意味をもう一度考えられます。問題を増やす日は、初めの1問で決めた終了時刻を延ばさず、次の機会に回してください。
中学生や高校生が取り組む場合は、幼い題材に戻すことにこだわらず、本人が納得する短い場面を選びます。例えば「毎分60m進むとき、5分でどれだけ進むか」なら、60 × 5の各数と単位を確かめられます。「一定の速さで進む」という条件を添え、現実の移動との違いも整理します。式を作れたら、時間を長くしたときに距離も長くなるかなど、答えの向きも確かめてください。学年相応の難しさを演じるより、今確かめたい関係に題材を合わせます。
自分で問題を選ぶときは、まず文章を最後まで読んで、登場するものを思い浮かべられるかを見ます。知らない言葉が多い問題は、数の関係を考える前に説明が必要になります。今は数学の話を始めたいのであれば、場面を知っている問題に替えてかまいません。問題を選び直すことも、自分が取り組める条件を整える行動です。数字を小さくして試す場合は、問いの意味まで変えないようにし、元の問題とは分けて書いておきましょう。
また、「どうしてそうなるの」と尋ねるだけでは、何を説明すればよいかわからないことがあります。お子さまが一人で確かめるときも、「この数字は何の数」「この線は何を表す」「答えを元の文に入れるとどうなる」と、対象を絞って問いかけます。説明を整った文章にする必要はありません。図を指しながら「ここが1人分」と言えれば、対応を示せています。うまく言えなかった箇所は、無理に言い直し続けず、図のそばに疑問符を残す方法もあります。
記録は、日付と「今日わかったこと」「次に聞きたいこと」を短く残せば十分です。「3は人数」「同じ式なのに答えの単位が違うのが気になる」など、問題の中身を書きます。一人で終えた日は、答え合わせが済んだ箇所と、保留した箇所を分けておきましょう。正解数だけの記録にすると、途中で何を考えられたのかが消えてしまいます。次に開くときに、前の自分の考えを拾える記録にします。

個別指導では、会話のどこで止まるかを確かめる
家庭で短い文章題を読むことと、学習内容を系統立てて教えることは、役割を分けて考えられます。家での会話を成立させるために、保護者が先の単元まで学び直し、あらゆる質問に答える必要はありません。個別指導を選ぶときには、お子さまが止まる場所を見つけ、次に扱う問題へつなげる指導かどうかを、体験授業や面談で確かめてください。
塾に確認したい点の1つは、文章を読めないことと、計算できないことを区別して見てもらえるかです。例えば、声に出して読めても「何を求めるか」が捉えられない場合と、求めるものは言えるのに割り算の計算で止まる場合では、必要な練習が違います。前者には場面の整理、後者には計算の確認が候補になります。読む速さだけを見て「文章題が苦手」とまとめず、実際の紙面と説明を見て判断するかを尋ねてみましょう。
もう1つは、手助けの量を区別して見てもらえるかです。講師が図を完成させれば答えられるのか、枠だけ描けば続きを描けるのか、白い紙から自分で表せるのか。同じ正解でも、自分でできた範囲は異なります。家庭で毎回説明を添えないと解けないときは、すぐに練習量を増やす前に、どの手助けを少しずつ減らせるかが相談の焦点になります。ヒントを使ったことを失敗とせず、支援の内容を具体的にします。
家庭から相談するときは、お子さまの性格を評価する言葉より、1問の記録を持っていく方が話を進めやすくなります。「集中力がありません」だけでは、どこを見ればよいのかが曖昧です。「文章の最後に線を引けましたが、3人分の図を描くところで止まりました」「図があると式を選べました」と伝えてみてください。問題文、残した絵、保留した箇所があれば、見直したい部分を指して相談できます。
家庭が持つ役割は、学習の全工程を引き受けることよりも、取り組むかどうかを話し合い、終了の約束を守り、困った点を残せるようにすることです。保護者の方が答えに迷ったときには、「ここは私も確かめたいので、質問にしておこう」と言えます。知っているふりをして説明を重ねる必要はありません。お子さまにとっても、疑問をその場で解消できないときに、問いを保って次へつなぐ練習になります。
塾に相談したいのは、その問いを次に学ぶ内容へどう結び付けるかです。「全部で」と書かれている問題だけは解けるなら、言葉を変えても数の関係を捉えられるか。割り算の式は作れるのに答えの単位を迷うなら、何を1つ分としているか。こうした確認に基づいて、戻る範囲や問題の難しさを説明してもらえるか、体験授業や面談で確かめてください。簡単な問題に戻る理由が具体的なら、お子さまも何を練習しているのかを理解しやすくなります。
進み具合は、「読む」「表す」「確かめる」を分けて見ると整理できます。読む段階では、求めるものを自分の言葉で言えたか。表す段階では、数字と図の対応を示せたか。確かめる段階では、解答を見る前に別の方法を使えたかを見ます。3つとも同時に変わる必要はありません。前は大人が聞いていた問いを自分で口にできるようになったなら、その行動も記録できます。
相談の後に家庭で試す内容は、曖昧な「文章題を頑張る」より、次の1問で見る点を決める形が扱いやすいでしょう。例えば「答えの後に単位を書く」「数字を使う前に何の数か言う」「式が合っているか図に戻す」のうち、今必要なものを選びます。家庭での会話を増やすこと自体を目標にすると、保護者もお子さまも負担になりかねません。何を確かめたら区切るのかまで含めて相談してください。
例えば、家庭の記録に「6個を3人で分ける絵は描けたが、6個を3個ずつ配る絵では迷った」と残っていれば、相談する内容はかなり具体的になります。割り算の計算を繰り返すべきか、1人分と人数を区別するところから扱うべきかを検討できます。教わった後には、数や品物が少し違う問題でも同じように表せるかを確かめたいところです。前に描いた絵を覚えていることと、新しい文章を読んで絵にできることを分けて見ます。
家庭の記録を持って相談する前には、お子さまにも見てもらいましょう。「ここで困っていたと伝えてよいかな」と確認し、本人が違うと感じる部分は書き直します。黙っていた理由を、大人がすべて推測して決める必要はありません。「解き方は浮かんだが説明が面倒だった」「何を答えるのかが曖昧だった」では、次の関わり方も変わります。本人の言葉が短くても、そのまま添えることで、学習の相談にお子さま自身が参加できます。
気持ちの様子も、正解数とは別に共有します。「問題を読む前は嫌がったが、図を描くことは選べた」「答えを求められると黙るが、文章を読んでもらうことには応じた」といった行動なら、その日の参加の仕方を伝えられます。お子さま本人の「今日はここまでならできる」という言葉も添えてください。学習の記録を、大人ができなかった点を並べる材料にせず、次に参加できる入口を探す材料として使います。
家庭で試す前に解いておきたい3つの疑問
親が数学を苦手でも、読み聞かせをしてよいですか
一緒に文章を読み、何を求めるのかを聞くところから始められます。解き方をすべて説明できることを参加の条件にしないでください。ただし、保護者自身が焦って答えを急がせてしまう日は、読むだけにする、短く終えるなどの調整が必要です。「私も数学が苦手だから、あなたも仕方がない」と結び付けず、「私はこの文を図にして確かめたい」と、今できる行動を言葉にしましょう。親子で別々に図を描き、同じところと違うところを見る方法もあります。保護者の方が間違えた場合は、元の文に戻って直す様子をそのまま示せます。
タブレットがなければ取り組めませんか
家庭で数の話を始めるなら、紙に書いた短い問題や、すでに使っている教材の1問を入口にできます。端末を買うことから始める必要はありません。文章を読み返せること、数を図にできること、答えを確かめられることをそろえてください。口頭だけの問題で数字を忘れてしまうなら、紙に残す方が扱いやすいでしょう。逆に、文字を読む負担が大きい日は、大人が読み、お子さまが丸を描く役を選べます。道具より先に、その問題で何を話したいかを決めると、教材選びに迷いにくくなります。
嫌がっていても、毎日続けた方がよいですか
毎日行うことを優先して、嫌がるお子さまを引き止める必要はありません。「問題は嫌だけれど絵なら描く」「今日は読むだけ」といった選び方ができるかを確かめます。それも負担なら、その日は終えてください。次に試すときは問題を短くする、計算を易しくする、答えを言わせず場面を話すなど、条件を変えます。「やると言ったでしょう」と約束の確認だけを重ねても、止まっている理由は見えてきません。中高生なら、数学の話をしてよい時間や題材を本人に選んでもらい、家族の雑談すべてを問題に変えない配慮も必要です。
答えの手前にある考えを、家で話せるように
家で数学の話をする第一歩は、難しい質問を用意することではありません。短い文章を一緒に読み、何の数かを確かめ、絵や式で表した後に、別の方法で見直すことです。今日の1問で全部ができなくても、どこまで考えられたかを残せば、次に尋ねる内容が見えてきます。
武蔵野個別指導塾の体験授業や面談では、家庭で残した疑問を示し、どこから学び直すのかを確かめてください。家庭での短い会話と指導がつながるかどうかも、その具体的な問いから見ていけます。お子さまが口にした「この3は何の数だろう」という疑問には、次の学びを選ぶ手がかりがあります。答えを待つひと呼吸が、数について語るお子さまの番を守ります。
参考文献
Berkowitz T, Schaeffer MW, Maloney EAほか(2015). Math at home adds up to achievement in school. Science. https://doi.org/10.1126/science.aac7427
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。


