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学校推薦型選抜で成績が悪いとき—評定の基準の「全体」と「教科」を読み直す|武蔵野個別指導塾

評定が足りないと思ったら、条件が全体・教科・概評のどれで書かれているかを先に確かめます。割り算の答えが3.45以上か未満かで、記入される値と概評の段階が変わるからです。
成績が悪いから推薦は無理だ、と決める前に、募集要項の条件がどの数で書かれているかを確かめてください。同じ通知表でも、読む欄が違えば、出せる区分と出せない区分が入れ替わります。
| 募集要項の条件の書き方 | 調査書で対応する欄 | 自分の数の出し方 |
|---|---|---|
| 全体の学習成績の状況(評定平均値)が○.○以上 | 欄3「全体の学習成績の状況」 | すべての評定の合計を、評定の個数で割る |
| 指定された教科の学習成績の状況が○.○以上 | 欄3「各教科の学習成績の状況」 | その教科の評定だけを足し、その教科の評定の個数で割る |
| 学習成績概評が○以上 | 欄4「学習成績概評」 | 全体の値を A〜E の段階に当てはめる |
| 指定された科目の単位を修得していること | 欄2「各教科・科目等の学習の記録」 | 修得単位数の欄を見る |
全体と教科の割り算の答えは、小数第2位を四捨五入して、小数第1位までの値で調査書に載ります。評定がどれくらい要るかは大学と選抜区分ごとに決まっていて、全国で共通の線はありません。
よくあるのは、募集要項の出願資格の欄に付箋を貼った日曜の午後、という場面です。付箋には条件の数字が自分の字で写してあり、横には高1と高2の通知表が並んでいます。電卓をたたくと、答えはわずかに届かない。そこで手が止まります。けれど付箋の下の行をもう一度読むと、条件は全体の平均ではなく、ある教科の評定で書かれていた。成績が悪いという思い込みは、ときどき一行の読み違いから始まります。
学校推薦型選抜の評定はどれくらい要るか——答えは募集要項の中にしかない
「どのくらいの評定があれば推薦に出せますか」と聞かれても、数字では答えられません。突き放した言い方に聞こえるかもしれませんが、これは制度のつくりから来ています。
推薦という入試の性格は、令和9年度の実施要項(文部科学省)の書き方にそのまま表れています。高校の校長が「この大学・学部で学ぶ力と意欲がある」と見込んで送り出す入試、というのがその位置づけです。志願者の意志だけで出せる入試ではないので、大学は、どんな生徒なら推薦してよいかという推薦要件をできるだけ具体的に決め、募集要項などで示さなければなりません。学校推薦型選抜の基準のうち、成績にかかわる部分はこの推薦要件の一部です。決めるのが大学である以上、数字は大学ごとに、さらに同じ大学の中でも選抜区分ごとに違ってきます。
同じ要項の調査書の節には、大学が重く見る教科や科目を指定して、その単位を修得していることや、一定以上の評定を取っていることを出願の条件にできる、とも書かれています。条件は全体の平均で書かれるとは限らず、特定の教科の評定で書かれることがある。ここを読み落とすと、届いているのに届いていないと思い込んだり、その逆が起きたりします。
もう1つ、要項は、評価の方法や対象に違いをつけるなら募集人員を分け、区分を設ける理由を示すよう大学に求めています。同じ学部に推薦の区分が2つあれば、成績の条件も2通りあり得る、ということです。学部の名前だけを見て「この大学は評定が足りない」と片づけず、区分ごとに出願資格の欄を読んでください。
時期も押さえておきます。2027年度入試(令和9年度)で、大学が試験の科目や評価の方法といった骨組みを公表する期限は2026年7月31日で、条件の細部まで載る募集要項の期限は同じ年の12月15日です。推薦の願書を受け付けてよいのは11月1日からなので、推薦の分の募集要項は、いまならもう手に取れます。いっぽう、高2の人が来年受ける入試の条件はまだ出ていません。文部科学省の Q&A は、出願要件を変えるときはできるだけ早く知らせるよう大学に求めていますが、今年の数字が来年も続く保証にはなりません。今年の募集要項は形を知るために読み、数字は来年の要項で確かめ直してください。
「全体」「教科」「概評」——成績基準を読む3つの物差し
調査書の表面には、成績にかかわる欄が3つ並んでいます。欄2は学年ごとの科目の評定(5段階)と修得単位数、欄3はそこから計算した「学習成績の状況」、欄4は「学習成績概評」と、学年の中で各段階に何人いるかを示す成績段階別人数です。募集要項に「評定平均値」とあれば、たいていは欄3の数のことを言っています。図1のように、条件の書き方ごとに、見るべき欄が1つに決まります。

欄3には2種類の数があります。教科ごとに出す「各教科の学習成績の状況」と、すべての教科をまとめて出す「全体の学習成績の状況」です。条件の文に教科の名前が添えられていれば教科の数、添えられていなければ全体の数として読むのが基本になります。
欄4の学習成績概評は、全体の学習成績の状況を5つの段階に振り分けたものです。5.0〜4.3 が A、4.2〜3.5 が B、3.4〜2.7 が C、2.6〜1.9 が D、1.8 以下が E。2025年度入試(令和7年度)の要項から、以前あった「Ⓐ」の印は廃止されました。概評は全体の数だけで決まり、教科の数は入りません。ある教科の数が A の範囲に入る値でも、それで概評が A になるわけではない、という点は取り違えやすいところです。
次に、条件どうしのつなぎ方を読みます。
- 「全体が○.○以上、かつ、外国語が○.○以上」なら、両方を満たさなければなりません。
- 「全体が○.○以上、または、外国語が○.○以上」なら、どちらか一方で足ります。
- 「以上」はその数を含み、「を超える」はその数を含みません。
全体では届かなくても、条件が教科で書かれていたり、「または」で教科の条件が並んでいたりすれば、出願できる区分は残ります。逆に「かつ」で教科の条件が足されていれば、全体が届いていても安心はできません。もう1つ覚えておきたいのは、条件は出願の入口にすぎないことです。要項は大学に、欄3の数だけでなく、調査書のほかの欄も合否の材料として活かすよう求めています。
評定平均を自分で計算する——調査書と同じ割り算と四捨五入
自分の数は、調査書と同じやり方で出さなければ比べる意味がありません。手順は次の4つです。
- 学年ごとの評定を、科目ごとに書き出します。体育のように2つ以上の学年で学ぶ科目は、学年ごとの評定を1つずつ別に数えます。高1と高2で1つずつ評定がついていれば、2個です。
- 全体の数は、すべての評定の合計を、評定の個数で割ります。教科の数は、その教科に属する科目の評定だけを足し、その教科の評定の個数で割ります。
- 割り算の答えの小数第2位を四捨五入して、小数第1位までにします。
- 高3の評定は、学年の成績がまだ決まっていない時期なら、直近の成績を総合して高校が判定した値が入ります。どの時点の成績をもとにするかは、担任か進路指導の先生に聞いてください。
説明のための数で、1人の例を追ってみます。高2を終えた時点で、高1と高2の評定が合わせて26個、その合計が89だとします。89÷26=3.423… で、小数第2位の2を切り捨てると、全体の学習成績の状況は 3.4 で、概評の段階に当てはめれば C です。同じ人の外国語の評定が 4・5・4・4 の4個なら、17÷4=4.25 で、小数第2位の5を切り上げて 4.3 になります。全体で見ると C の段階なのに、外国語だけを見れば A の範囲の値。全体の数と教科の数は、1人の中でこれだけ離れることがあります。
境目も見ておきます。図2は、全体の割り算の答えを横軸にとったものです。答えが 3.45 をまたぐと、記入される値が 3.4 から 3.5 に変わり、概評も C から B に移ります。3.45 にわずかでも届かなければ、記入は 3.4 のままで、概評も C から動きません。

では、高3でどこまで動くか。高3で評定が10個加わるとすると、評定は36個になります。割り算の答えを 3.45 以上にするには、36個の合計が 124.2 以上、つまり 125 以上要るので、高3の10個で合計36以上、平均にして 3.6 が要ります。合計が35なら 124÷36=3.44… で記入は 3.4 のまま、36なら 125÷36=3.47… で 3.5 です(図2の緑の点)。10個がすべて4なら 3.6、すべて3なら 3.3 で、高1と高2の26個が動かない以上、動く幅はこのあたりに収まります。教科の数は事情が違い、個数が少ないぶん、1つの評定で上にも下にも大きく振れます。教科の条件をあてにする人ほど、その教科の残りの科目を落とせません。
基準に届かないときの道——区分を変える、総合型、一般選抜
計算しても届かないとわかったら、図3のように道を3つに分けて考えます。

1つ目は、同じ大学か別の大学で、条件の違う選抜区分を探すことです。先に書いたとおり、区分が違えば成績の条件も変わり得ます。出願資格の欄に評定の数が書かれていない区分があれば、そこが候補になります。ただし推薦である限り、校長の推薦が要ることは変わりません。高校の中の手続と締切も、同じ週に確かめておきます。
2つ目は総合型選抜です。要項は総合型を、志願者が自分の意志で出せる公募制の入試とし、書類を細かく読み、時間をかけた面接などを組み合わせて評価するものと定めています。とはいえ、総合型にも評定を出願の条件に置く区分はあり得るので、「総合型なら成績は問われない」とは考えず、出願資格の欄を同じ物差しで読みます。総合型は2026年9月1日から願書を受け付けられる入試なので、11月のいまから間に合う区分が残っているかどうかは、日程の欄を1つずつ見るしかありません。
3つ目は一般選抜です。一般選抜は学力検査や小論文などを主な資料にし、調査書はそれと組み合わせて使う資料の1つ、という位置づけです。ただ、共通テストへの申し込みは2026年10月2日に閉じていて、11月から新たに受験者として加わる道はありません。共通テストを使う入試を考えるなら、すでに出願したかどうかが分かれ目になります。私立の一般選抜の出願期間は大学ごとなので、推薦の発表日と同じ紙に並べて書き出してください。
高3のいま、まだ動く部分も整理しておきます。推薦の出願に使う調査書の評定は、ほとんど決まっています。動かせるのは、どの区分に出すかという選び方と、書類以外の評価への備えです。要項は推薦について、調査書や推薦書だけで合否を決めず、学力のテスト、共通テスト、小論文や面接、資格・検定のうち少なくとも1つを使うよう大学に求めています。推薦では調査書が主な資料であることに変わりはありませんが、成績の条件を越えたあとも、書類以外の評価で差がつく余地は残っています。いま高2の人は、高2の評定もまだ決まっていないので、図3の下の帯のとおり、数そのものを動かす時間があります。
よくある質問
評定が条件にわずかに届かないとき、出願できますか
出願要件の数に届かなければ、その区分には出願できません。大学が調査書で目にするのは、割り算の途中の数ではなく、小数第1位まで記入された値です。まず科目の数え方と四捨五入をやり直し、それでも届かなければ、条件の文に「または」で並ぶ別の条件がないか、同じ学部に別の区分がないかを探してください。
高1の成績が悪かった場合、あとから取り返せますか
全体の数は、高1から最終学年までの評定を1つずつ同じ重さで平均したものなので、高1の評定だけが後から軽くなることはありません。動かせるのはまだ決まっていない学年の評定で、残りの個数が多いほど動く幅は広がります。高2のうちに計算しておけば、全体の条件と教科の条件のどちらを目標にするかが決まり、勉強の配分もはっきりします。
評定の条件を満たしていれば、合格に近いと考えてよいですか
条件は出願の入口で、合否を決める物差しそのものではありません。推薦では書類のほかに学力のテストや小論文・面接などを少なくとも1つ使う決まりがあり、大学は調査書の評定以外の欄も読みます。条件を満たした人どうしの中で、書類の中身と当日の評価で差がつくと考えて準備してください。
通知表から計算した数は、調査書の数と同じになりますか
調査書は高校が指導要録をもとに作り、校長の責任で大学に出す書類なので、正しいのは高校が出す値です。数え方と四捨五入を調査書にそろえれば近い値になるはずですが、高3の評定のように高校が判定する部分もあります。出願資格の境目にいる人は、自分の計算を担任に見せて、調査書に入る値と合っているかを確かめてもらってください。
確かめる順番
今週、次の順に進めてください。
- 志望する学部の募集要項を開き、推薦の選抜区分ごとに出願資格の欄を書き写します。条件が全体・教科・概評・単位のどれで書かれ、「かつ」と「または」のどちらでつながっているかに印を付けます。
- 通知表から学年ごとの評定を書き出し、全体の数と、条件に出てくる教科の数を計算します。四捨五入は小数第2位で行います。
- 担任か進路指導の先生に、高3の評定がどの時点の成績で判定されるか、自分の計算が調査書の値と合っているか、校長の推薦を頼む手続と締切を聞きます。
- 条件の文の読み方に迷う所は、大学の入試の窓口に、募集要項の該当する行を示して問い合わせます。
- 届かない区分があれば、条件の違う区分、総合型選抜、一般選抜の出願の締切を、推薦の発表日と同じ紙に並べます。
高2の人は、1と2を今年の募集要項で済ませておき、来年の要項が出たら1だけやり直します。お子さまの評定が気になる保護者の方も、まず1の書き写しを一緒に見るところから始めると、話が感覚論になりません。
個別指導で確かめること
通知表を持ってきてもらえれば、評定の書き出し、割り算、四捨五入の検算を、生徒と1つずつやり直します。募集要項の出願資格の欄も区分ごとに読み合わせ、届かない区分が見つかったときは、どの区分の書類と面接の準備に時間を移すかを、その場で決めます。
まとめ
学校推薦型選抜で成績が悪いと感じたとき、最初にやるのは自分を責めることではなく、条件の文を読み直すことです。全体か教科か概評か、「かつ」か「または」か、四捨五入のあとでいくつになるか。この3つを確かめれば、あきらめる区分と、まだ出せる区分がはっきり分かれます。成績が悪いかどうかを決めるのは、通知表を眺めたときの印象ではなく、募集要項の1行と、小数第1位に記入される数字です。
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