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【地学基礎】大気の構造を図解で総まとめ—対流圏・成層圏・中間圏・熱圏と気圧|武蔵野個別指導塾

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高度と気温の線がなぜ3回折れるのかを、地面・オゾン層・熱圏の3つの熱源から読み解きます。気温減率の計算、気圧のグラフの読み取り、論述の例題まで一気に通してみませんか。

よくあるのは、雨の日に塾の玄関の傘立ての前で、ぬれた傘を差し込んだまま手が止まるという場面です。さっき授業で見た大気のグラフが頭に残っていて、「上に行くほど寒いはずなのに、なぜ線は途中で右へ折れるのだろう」「いま降っているこの雨は、どの層の出来事なのだろう」と引っかかっている。高さと気温のグラフを暗記の図形として眺めているうちは、この疑問はほどけません。

この単元を学ぶと、4つの層の名前と高さを、線が折れる理由と結びつけて言えるようになります。気温減率の計算、気圧と高度のグラフの読み取り、オゾン層の高さをめぐる引っかけにも、丸暗記に頼らず答えられるようになります。

この単元で押さえること

前の単元までの地球史で出てきた「光合成がためた酸素」が今の組成とオゾン層につながり、次の単元では対流圏の中で水蒸気が雲に変わるしくみへ進みます。

基本の考え方

大気の中身は高度約80 km付近までほぼ同じ

地球をとりまく気体全体を大気といいます。水蒸気を除いた空気の組成は、次の表のとおりです。割合は体積で比べた値です。分子の数の割合と考えてかまいません。

気体 体積の割合 覚え方
窒素 N₂ 約78% 最も多く、ほかの物質と反応しにくい
酸素 O₂ 約21% 光合成によってたまった
アルゴン Ar 約0.9% 3番目に多い
二酸化炭素 CO₂ 約0.04% ごくわずかだが温室効果をもつ

テストでねらわれやすいのは、3番目に多いのがアルゴンであって二酸化炭素ではないこと、その二酸化炭素は1%に遠く届かないことです。

水蒸気を表に入れないのは、場所と時間で大きく変わるからです。乾いた地域の空気にはほとんど含まれず、蒸し暑い日の地表付近では数%に達することもあります。しかも大部分が対流圏にあり、この偏りが、雲や雨がほぼ対流圏に限られる理由になります。

窒素と酸素の割合が高度約80 km付近までほぼ同じなのは、風や対流で空気がよくかき混ぜられているからです。高い山で息苦しくなるのは、酸素の「割合」が減るからではありません。空気全体が薄くなり、ひと息で吸い込める酸素の量が減るからです。

気温の向きが変わる高さで4層に分ける

図1は、縦軸に高度、横軸に気温をとったグラフです。線は下から順に、左へ、右へ、左へ、右へと向きを変えます。この折れ目を境に、下から対流圏・成層圏・中間圏・熱圏と呼びます。折れ目にあたる境界の面は、それぞれ対流圏界面(約11 km)、成層圏界面(約50 km)、中間圏界面(約80〜90 km)です。

図1 高度と気温の関係と、大気の4つの層の境界

線が折れる理由は、「大気はどこで太陽のエネルギーを受け取っているか」で説明できます。太陽の光の多くは大気を素通りして地面を温めます。紫外線の一部は成層圏のオゾンに吸収されます。さらに波長の短い紫外線やX線は熱圏の気体に吸収されます。つまり暖まる場所が地面・成層圏の上部・熱圏の3か所にあり、その間の約11 kmと約80〜90 kmが冷たい谷になる。図1のジグザグは、この3つの山と2つの谷の形です。

対流圏は地表から約11 kmまでです。太陽に温められた地面が空気を下から温めるので、地面から離れるほど低温になり、平均すると100 mのぼるごとに約0.65℃下がります。この割合を気温減率といいます。地表が約15℃なら、対流圏界面では約 -56℃です。暖かく軽い空気が下にあるので対流が盛んに起こり、雲・雨・雪・台風はほぼすべてこの層の中で生じます。ジェット旅客機が飛ぶ高度約10 kmはこの層の上のほうで、機外の気温は -50℃ 近くになります。層の厚さは緯度で変わり、低緯度で厚く、高緯度で薄くなります。

成層圏は約11 kmから約50 kmまでです。約20 km付近までは気温がほぼ一定で、そこから上は高度とともに上がり、約50 kmで約0℃に達します。熱源はオゾン O₃ です。オゾンは高度約20〜30 kmに特に多く、この部分をオゾン層と呼びます。オゾンは太陽の紫外線を吸収して大気を温めるとともに、生物に有害な紫外線が地表へ届く量を大きく減らしています。暖かい空気が上にある状態は対流を起こしにくく、空気は層をなして安定します。夏の積乱雲の頭が平らに広がることがあるのは、上昇する流れがこの安定な層の手前で止められるからです。

中間圏は約50 kmから約80〜90 kmまでです。成層圏の熱源から離れるので上空ほど再び低温になり、上端の中間圏界面は約 -90℃ と、大気の中で最も低い気温になります。流星が光るのは、この層の上部から熱圏の下部にかけての高さです。

熱圏は約80〜90 kmより上で、はっきりした上端はありません。ここでは窒素や酸素が波長の短い紫外線やX線を吸収するので、上空ほど気温が上がり、高度数百 kmでは約1000℃に達することもあります。また、太陽から飛んでくる電気を帯びた粒子は地球の磁場に導かれて高緯度の上空へ入り、熱圏の気体にぶつかって光ります。これがオーロラで、主に高度約100 kmより上で光ります。極に近い地域でよく見られるのは、粒子が磁場に導かれて高緯度へ集まるからです。

4層と聞くと分厚い印象を受けますが、地球と比べると大気はとても薄い膜です。地球の半径は約6400 kmなので、直径30 cmの地球儀にのせると、対流圏は約0.3 mm、約90 kmまで含めても約2 mmにすぎません。

気圧は「上にのっている空気の重さ」

気圧は、その高さより上にある空気の重さによって生じる圧力です。単位はhPa(ヘクトパスカル)で、1 hPaは100 Paにあたります。地表の平均は約1013 hPaで、これは1 m²あたり約10 tの空気がのっているのと同じです。直径1 mの傘を開くと、傘の上には約8 tの空気がある計算になります。それでも傘がつぶれないのは、空気の圧力が上からだけでなく下からも横からも同じように働くからです。

高くのぼるほど、上に残っている空気は少なくなります。だから気圧は高度とともに必ず下がり、気温のように途中で向きを変えることはありません。山の上でお菓子の袋がふくらむのは、外の気圧が下がって、袋の中の空気が押し返す力のほうが勝つからです。標高3776 mの富士山頂の気圧は約640 hPaで、地表の3分の2に届きません。

下がり方には癖があります。空気は押し縮められるので、下の空気は上の空気の重さで濃くなり、上の空気は薄くなります。そのため地表近くでは少しのぼるだけで気圧が大きく下がり、上空では下がり方がゆるやかになります。めやすは「約5.5 kmのぼると約半分」で、およそ16 kmで約10分の1、およそ30 kmで約100分の1です。裏返すと、大気の質量の約半分は高度約5.5 kmより下に、約8割は対流圏に、約99%は約30 kmより下に集まっています。オーロラも流星も、空気がほとんど残っていない高さでの出来事です。

例題で解き方を確かめる

例題1 特徴から層を見分ける

次のA〜Dにあてはまる層の名前を答えてください。

  1. 気温の向きで2組に分けます。向きは4層を分ける基準そのものなので、これだけで候補が半分に減ります。AとCは「下がる」ので対流圏か中間圏、BとDは「上がる」ので成層圏か熱圏です。
  2. 現象で1つに決めます。雲や雨の材料である水蒸気は地表の近くに集まっているので、Aは対流圏です。オゾン層は成層圏にあるのでBは成層圏、太陽から来る粒子が大気にぶつかるオーロラは熱圏で光るのでDは熱圏です。
  3. 残りのCを消去と数値で確かめます。下がる層のうち対流圏はAで使ったので、Cは中間圏です。最低気温の約 -90℃が中間圏界面にあることとも合います。

答え:A 対流圏、B 成層圏、C 中間圏、D 熱圏

例題2 気圧のグラフを読み取る

図2は高度と気圧の関係を表したグラフです。(1) 気圧が地表の約半分になる高度はおよそ何kmですか。(2) 高度5 kmから10 kmまでの間と、20 kmから25 kmまでの間では、気圧はそれぞれおよそ何hPa下がりますか。

図2 高度と気圧の関係。約5.5 kmで約半分になり上空ほどゆるやか
  1. 軸を確かめます。縦が高度、横が気圧です。高さを実際の空と同じ縦にとっています。左へ行くほど気圧が低いことを先に頭に入れておくと、線の傾きを読み違えません。
  2. (1)は地表の約1013 hPaの半分、約500 hPaを横軸で探し、真上にたどって線にぶつかる高度を読みます。半分の値を先に計算するのは、「半分になる高度」という問いをグラフで読める形に言い換えるためです。図2の破線のとおり約5.5 kmです。
  3. (2)は両端の気圧を読んで差をとります。問われているのが気圧の値そのものではなく下がる量だからです。5 kmで約540 hPa、10 kmで約265 hPaなので差は約275 hPa、20 kmで約55 hPa、25 kmで約25 hPaなので差は約30 hPaです。
  4. 結果の意味を確かめます。同じ5 kmの幅でも、下のほうが約9倍も大きく下がっています。線が上へ行くほど縦に近づく図2の形と合っているので、読み取りは妥当だと判断できます。

答え:(1) 約5.5 km (2) 約275 hPaと約30 hPa

例題3 気温減率で上空の気温を求める

対流圏の気温減率を0.65℃/100 mとします。地表の気温が20℃のとき、(1) 高度8 kmの気温は何℃ですか。(2) 気温が -45℃になる高度は何kmですか。

  1. 高さを100 m単位に直します。減率が100 mあたりの値なので、単位をそろえないと桁を誤ります。8 kmは8000 mで、100 mの80個分です。
  2. 下がる量を求めます。0.65 × 80 = 52で、52℃下がります。かけ算で出るのは温度そのものではなく変化の量だと意識しておくと、次の手順で迷いません。
  3. 地表の気温から引きます。52℃はあくまで「下がる量」で、その高さの気温ではないからです。20 − 52 = -32で、高度8 kmは -32℃です。
  4. (2)は同じ道を逆にたどります。まず下がった量を 20 − (-45) = 65℃と求め、65 ÷ 0.65 = 100から、100 mの100個分で10000 m、つまり10 kmです。10 kmは対流圏の中なので、この減率を使ってよいことも最後に確かめます。

答え:(1) -32℃ (2) 10 km

例題4 気温が上がる理由を説明する

成層圏では高度とともに気温が上がります。この理由を、「オゾン」「紫外線」の2語を使って40字程度で説明してください。

  1. 熱を与えるものを特定します。上のほうが暖かい層には上のほうに熱源があるはずで、地面の熱では説明できないからです。成層圏の熱源はオゾンによる吸収です。
  2. 2語を因果の順に並べます。「何が、何を、どうして、どうなった」の順に書くと、採点で見られる因果関係がはっきりします。「オゾンが紫外線を吸収して大気を温める」が骨組みです。
  3. 「高度とともに」に答える一言を足します。骨組みだけでは上ほど暖かい理由にならないので、上空ほど紫外線が強く届き、空気が薄くて温まりやすいことを短く添えます。

答え:オゾンが紫外線を吸収して大気を温め、その効果が上空ほど大きいから。

まちがえやすいところと直し方

誤り1 「高いところほど気温は低い」と言い切る

誤り2 気圧が一直線に下がると考える

誤り3 オゾンが最も濃い高さと、気温が最も高い高さを同じにする

図3 オゾンが濃い高さと気温が最も高い高さのずれ

図3の左右で、点の高さが違うことを一度指でたどってみてください。オゾンの線は約25 km付近でふくらんでいるのに、気温の線はそこではまだ -50℃ 近くで、約50 kmまでのぼってようやく頂点に届きます。この2つの線を並べて思い出せれば、選択肢で高さを入れ替えられても迷いません。

用語のまとめ

テスト前は、次の表の右の3列を隠して、各層について言えるかどうか試してください。

層 高度のめやす 高度とともに気温は 結びつける語
対流圏 地表〜約11 km 下がる(約0.65℃/100 m) 対流、雲、雨、台風
成層圏 約11 km〜約50 km 約20 km付近まで一定、その上で上がる オゾン層(約20〜30 km)、紫外線の吸収
中間圏 約50 km〜約80〜90 km 下がる 大気の最低気温(約 -90℃)、流星
熱圏 約80〜90 kmより上 上がる オーロラ、X線や紫外線の吸収

練習問題

練習1 次の文の空欄に語を入れてください。大気は高度による気温の変化から、下から順に(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)に分けられる。オゾン層があるのは(イ)で、オーロラが現れるのは(エ)である。

練習2 地表の気温が30℃の日、標高3776 mの富士山頂の気温はおよそ何℃ですか。気温減率は0.65℃/100 mとし、最後に小数第1位を四捨五入して答えてください。

練習3 図2を使って答えてください。(1) 高度約5.5 kmより上にある大気の質量は、全体のおよそ何%ですか。(2) 高度約11 kmより下にある大気の質量は、全体のおよそ何%ですか。

練習4 次のa〜eのうち、正しいものをすべて選んでください。

答えと解説

練習1 ア 対流圏、イ 成層圏、ウ 中間圏、エ 熱圏。下から2番目にオゾン、いちばん上にオーロラと、位置で覚えておくと取り違えません。

練習2 約5℃。3776 mは100 mの37.76個分なので、下がる量は 0.65 × 37.76 = 24.544℃です。30 − 24.544 = 5.456で、約5℃になります。途中で丸めると答えがずれることがあるので、四捨五入は最後に行います。

練習3 (1) 約50%。気圧はその高さより上の空気の重さなので、気圧が約半分になる高さより上には、質量の約半分があります。(2) 約77%。図2で約11 kmの気圧は約230 hPaなので、上にある分は 230 ÷ 1013 = 約0.23、下にある分は残りの約77%です。

練習4 aとd。bの約1%に近いのはアルゴンで、二酸化炭素は約0.04%です。雲や雨は対流圏で生じるのでcは誤りです。eは気温と気圧の混同で、気圧は上に残る空気が減っていくだけなので、どの層でも高度とともに下がります。

次の単元へのつながりと確かめ方

ここで区切った対流圏は、次の単元の舞台そのものです。雲のでき方で出てくる乾燥断熱減率(約1℃/100 m)と湿潤断熱減率(約0.5℃/100 m)は、上昇する空気のかたまりの温度変化です。まわりの大気の平均を表す気温減率(約0.65℃/100 m)とは別物なので、混ぜないでください。オゾンと紫外線の話は、太陽放射と地球環境の単元でふたたび出てきます。

5分あれば、次の2つを家で試せます。ひとつは、白紙に縦軸を高度、横軸を気温として線を描き、11 km、50 km、80〜90 kmを書き込んでから図1と見比べること。もうひとつは、傘の上に約8 tの空気がのっているのになぜつぶれないのかを声に出して説明することで、保護者の方がお子さまに尋ねる形にすると、言葉に詰まる箇所がはっきりします。

個別指導では、気圧で止まるなら中学校の「圧力は力を面積で割ったもの」まで、縦軸が高度のグラフが読めないなら軸の読み方まで戻って確かめます。

まとめ

傘立ての前で見上げた雨雲は、直径30 cmの地球儀なら紙を数枚重ねたほどの厚さしかない対流圏の中にあります。その上で空気は紫外線に温められ、また冷え、太陽から来る粒子に光らされながら、上にのる量を半分ずつ減らして宇宙へ溶けていきます。

あのジグザグの線は暗記用の図形ではなく、いま傘をたたんだあなたの頭上にのっている空の断面です。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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