勉強する自分と遊ぶ自分は両立する?——自己像を結ぶ介入が学習を支える|武蔵野個別指導塾が薦める学習の仕方

学習者としての自己像を現在の課題や将来と結び付ける介入は、学習への向き合い方を支えています。中学生の研究では、介入後にも不可能さの感覚と決意の低下が残りました。家庭では、難しさの場所と本人が学ぶ意味を別々に聞きます。

ゲームの話なら勢いよく説明する子が、机に向かうと「自分は勉強するタイプじゃない」と言います。保護者としては、遊ぶ自分を捨てて勉強する自分になってほしい、と言いたくなります。この回では、本人が学習をどう意味づけるかに目を向けます。

扱うのは学習者としての自己像と行動の結び付きです。「勉強する自分と遊ぶ自分は両立できるか」という問いを、自己像と学習の関係から考えます。研究が答えるのは、「自分に関係のある学習だ」と感じることや、難しさをどう受け止めるかが、学校での取り組みとどう結び付くかです。

1. 論文を役割で並べる

Oysermanほか(2010)は、自己像に合う行動では、困難が重要さや意味のしるしになると報告します。自己像にもとづく動機づけの理論を整理した論文であり、自己像に合わない行動では「自分たちには関係ない」という受け止め方になると説明します。自己像は状況の中で作られるという枠組みです。いまの場面でどの自己像が働いているかに着目します。[1]

Oysermanほか(2021)は、学校での介入を調べ、教師から伝わる内容が明確なほど、自己像にもとづく動機づけを支え、学校でのよい結果につながったと報告します。教師が他の教師へ実施方法を伝えることもできました。単に将来の夢を言わせるだけでなく、介入の量、内容への忠実さ、質、生徒の反応、受け取り方などを含む実施の条件を見る役割があります。[2]

Floreaほか(2024)は、ルーマニアの中学生への介入で、難しさを重要さのしるしとみる考えが実験群で強まったと報告します。一方、難しさを不可能さのしるしとみる考えは両群で増え、学業への関与の決意も両群で下がりました。実験群ではその低下が小さく、深く探ることが増えました。よかった結果と、残った困難を並べて読む論文です。[3]

Salmela-Aroほか(2021)は、青年期の学習への取り組みを追った縦断研究を整理し、行動、感情、認知という側面の扱われ方や測定方法が異なると報告します。研究の多くは自己申告の質問紙を使い、取り組みの結果よりも、その前にある要因に注目していました。自己像への介入が何を変えたのかを読むための周辺資料になります。[4]

2. 「難しい」は不向きの証拠なのか?

同じ難問でも「大事だから難しい」と「自分には無理だから難しい」は違う読み方です。理論論文は、自分の自己像と行動が合っているとき、困難が重要さを示すと説明します。難しさの意味を、本人がいま使っている自己像との関係で読みます。[1]

介入の結果には、重要さの感覚が強まったことと、疑いが残ったことが同時に現れています。ルーマニアの研究では、重要さとしての困難は実験群で強まったが、不可能さとしての困難も両群で増えました。「難しいけれど意味がある」と思うことと、「できるかどうか不安だ」と思うことは、結果の中で同時に残っています。[3]

家庭では「難しいと言うな」より、「何が難しく、何のために扱うのか」を別々に聞きます。本人が迷うことを、介入の失敗や根性の不足と決めません。疑いが残ったという結果まで読めば、元気な言葉を言わせるだけの目標にはなりません。

自己像にもとづく動機づけの理論では、同じ難しさでも、その行動を自分に合うと感じるかで意味が変わります。家庭の会話では「難しい」という言葉のあとを聞きます。大事な課題だから取り組みたいという話なのか、自分に関係が薄いという話なのかを区別します。趣味を説明する言葉と学習を説明する言葉を聞き、いまの場面で本人が使っている自己像を具体的に捉えます。[1]

米国の学校での介入は N=1142 の生徒を扱い、ルーマニアの研究には182人の中学生が参加しました。前者は教師が伝える内容の明確さとその働く過程を調べ、後者は介入前後の考え方や教育への関与を比べています。同じ自己像の理論を使っていても、実施の条件と測った変化を区別して読みます。[2][3]

3. 将来の話をすれば現在の行動は変わるのか?

学校での介入は、学校が将来の目標に関係すること、いまが始める時期であること、難しさが重要さを示すことを扱っていました。将来像を掲げるだけでなく、現在の課題へつながる道筋を伝える内容でした。研究が示したのは、この介入の伝わり方と学校での結果の関係です。[2]

家庭では、職業名を聞いたあとに、現在の学習とのつながりも聞きます。本人が思い浮かべる将来と、いまの単元の関係を問い、本人の言葉を待ちます。職業が決まっていなければ、学校でできるようになりたいことから話してよいです。

理論は、社会の条件が「自分たちには何が可能か」という見方に関わることも扱います。努力の不足だけに説明を集めず、本人がどんな自己像をいまの場面で使っているかに目を向けます。[1]

学校での介入の伝わり方には、実施する量だけでなく、内容への忠実さや生徒の反応、受け取り方も含まれていました。家庭でも、親が話した内容と子どもが受け取った内容を別々に聞きます。「この単元は将来に必要」と説明したあと、本人がどこを自分に関係すると感じたかを確かめます。研究を読む際にも、実施したという事実と、内容が明確に伝わったという条件を分けます。[2]

4. 何が変われば学習者として育ったと言えるのか?

ルーマニアの研究は、学業への決意、深く探ること、決意の見直しを区別していました。実験群で深く探ることが増えても、決意は下がり、見直しは増えました。自分の進路を考え直すことを、単純に学習意欲が落ちたと判定してはいけません。研究で測ったものを同じ「やる気」にまとめません。[3]

縦断研究のレビューでも、学習への取り組みには、行動、感情、認知の側面があります。机に座った行動、授業を面白いと思った感情、課題をどう考えたかという認知を、それぞれ見ます。この回では、その区別を家庭で使い、取りかかった事実と本人の意味づけをそれぞれ聞きます。[4]

また、介入の研究では都市部の生徒が農村部の生徒より恩恵を受けました。結果を読む際は、介入内容と学習環境の違いも確認します。日本の中高生については、本人の場面を確かめ、自己像と課題を結び付ける問いを具体化します。[3]

ルーマニアの結果は、深く探ることが増えたことと、決意が低下したことを同時に示しています。本人が進路の話を詳しくするようになったときは、その変化を聞きながら、決めたことを見直しているかも確かめます。学習への取り組みのレビューが区別する行動、感情、認知に沿えば、着手した課題、感じた面白さ、考えた方法をそれぞれ話題にできます。[3][4]

【反証】この回が言えないこと

遊びや部活動を続ける群とやめる群の比較は、今回の研究にありません。学習者の自己像を支える介入と、趣味を持つ自己像との両立の証明は別です。家庭で将来の夢を話すだけで成績が上がるとも言えません。[1][2]

ルーマニアの実験群でも、決意は低下し、不可能さの感覚は増えました。都市部と農村部では恩恵も異なりました。家庭での会話は学校の介入と同じ手順ではなく、日本の入試への効果や変化の長期的な持続も、この研究では確定していません。[3][4]

実務——家でできる 3 つの確認

まず、「自分には無理」の中身を本人に説明してもらいます。次に、答えを見ずに説明できる内容を確かめ、難しさの場所を課題の中に置きます。最後に、日を空けて戻る箇所を決め、次に何をできるようにしたいか本人の言葉を聞きます。学習者の自己像を親が完成させるのでなく、実際の課題と結び付けるための方法です。

武蔵野個別指導塾は、アクティブリコールと間隔反復を採用し、完全1対1で指導します。本人がどう受け止めたかを聞きながら課題を扱う場として、武蔵境の定期テスト対策を案内しています。取りかかる場面の作り方は、やる気が出ないときに動き出す方法も参照してください。

よくある質問

Q. 遊ぶことをやめさせる必要がありますか?

今回の研究は、遊びをやめさせる効果を調べていません。遊びの話と学校の課題の話をそれぞれ本人の言葉で説明してもらいます。[1]

Q. 将来の夢が決まっていないと使えませんか?

将来の職業名を決めることは、理論が示す出発点の条件に含まれていません。いまの課題のどこを自分に必要と感じるかを聞き、将来の職業名を決める話とは分けます。[1][2]

Q. 迷いが増えたら介入は失敗ですか?

迷いだけでは介入の結果を判定しません。ルーマニアの実験群では、深く探ることと決意の見直しが増え、決意は下がりました。[3]

出典

  1. Identity-based motivation: Implications for intervention(D. Oysermanほか、2010、The Counseling psychologist)
  2. Process matters: Teachers benefit their classrooms and students when they deliver an identity-based motivation intervention with fidelity(D. Oysermanほか、2021、Contemporary Educational Psychology)
  3. Strengthening Educational Identity: Linking an Identity-Based Motivation Intervention to Educational Identity Processes(Andreea Floreaほか、2024、Identity)
  4. Student Engagement in Adolescence: A Scoping Review of Longitudinal Studies 2010-2020.(K. Salmela-Aroほか、2021、Journal of research on adolescence)

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