答えを出す前の概算は教えるべきか——概算は多様な方略で発達する|武蔵野個別指導塾が薦める学習の仕方

概算は、正確な答えを暗算することとは分けて教えます。研究は多様な方略と数・計算の理解との関係を示しますが、子どもの概算を狙って育てる介入の研究は少ない状態です。家では答えの前におよその値を言い、その値を選んだ考え方を説明してもらいます。

子どもが長い計算を終え、答えを囲みます。保護者が「だいたいどのくらいになりそうだった?」と聞くと、「計算しないとわからない」と返ってきます。ここでは、計算の結果をおよそで見積もることを求めています。

今回の題材は、計算の結果をおよそで見積もる概算です。数の量を直感的に比べる課題や、プログラミングの思考とは区別します。概算の発達を整理したレビュー、方略を扱うレビュー、問題場面を用いた指導の研究を並べ、家庭で尋ねる問いを考えます。

1. 論文を役割で並べる

Elke Sekerisほか(2019)は、幼児と小学生の概算の測定、発達、指導を系統的に整理し、多くの研究で年齢に伴う成績と方略の改善が観察されたと報告しています。一方、概算を狙って育てる研究はとても少なく、ほかの数や数学の能力との関係、発達を長く追う研究にも不足がありました。発達の記述と指導の効果を区別するためのレビューです [1]。

Paul Andrewsほか(2021)は、概算に関する研究を整理し、概算は多様な方略を用い、数と算術の確かな理解と相互に関わりながら発達すると報告しています。また、概算の目的は正確な答えを暗算することだという誤解を扱う介入により、概算の低い成績を改善できると整理しています。何を概算と呼ぶかを明確にする論文です [2]。

Yu-Ju Lanほか(2010)は、小学生の日常の概算問題を扱う問題基盤型の指導で、概算の技能学習に有効な結果があったと報告しています。携帯端末を用いた条件と用いない条件を比べ、端末の支援が話し合いや協力、概算方略に関するメタ認知的な知識を助ける様子も示されました。端末そのものと、概算の方略を話し合う授業の役割を分けて読みます [3]。

2. 概算は正確な暗算の前段階なのか?

概算を求められても、正確な答えを頭の中で計算しようとします。その誤解は、今回のレビューが明確に挙げています。概算の目的を話すときは、「正確な答えを早く出す練習」と同じ説明にしません。問題の結果をおよそで捉えるための課題として扱います [2]。

家庭では、答えに加えて「どう見積もった?」と尋ねます。どの数をどう扱ったかを説明してもらいます。見積もった値が正確な答えと一致したかだけを見ると、何の方略を使ったかが消えます。多様な方略と数の理解を扱うレビューに沿って、考え方を確認の中心に置きます [2]。

見積もり方を聞くときは、問題の場面と、およその値を使う目的を一緒に確認します。子どもの返答を見て、およその値を作る課題を理解しているかを確かめます。正確な答えの検算とは役割を分けます。

幼児と小学生の概算を整理した系統的レビューは28研究を検討しています。成績を測る方法は多様で、多くの研究は年齢に伴う成績や方略の改善を報告しています。ところが概算を狙って育てる介入は少なく、発達を追う縦断研究も不足しています。年齢の異なる子どもの成績を比較することと、同じ子の変化を追うことを区別して読む必要があります [1]。

3. 年齢とともに伸びるなら教えなくてもよいか?

発達を整理したレビューでは、多くの研究で年齢に伴う成績と方略の改善が見られました。このレビューは、年齢に伴う成績や方略の変化を整理しています。年齢と成績の関係を、教える必要がないという因果関係に読み替えないことが必要です [1]。

概算の指導について読む際は、概算そのものの成績に注目します。ほかの基本的な数や数学の能力との関係を調べる研究が不足していると整理されています。概算の成果を測ることと、計算全体への波及を測ることは別の問いです [1]。

家庭では、年齢だけで「もうできるはず」と決めず、実際の見積もり方を聞きます。レビューは多様な測定法が使われていることも述べています。どんな問題を、どの形式で答えたかを残すほうが、概算が得意か苦手かという大まかな評価より、次に相談する課題を明確にできます [1]。

発達を扱うレビューでは、研究によって概算の測定方法が異なっています。成績の変化を読むには、問題の内容と答え方を確認します。家庭での相談にも、実際の問題と子どもの見積もりを持ち込み、答えの値に加えて方略の説明を伝えます。測った課題を具体的にすることが、概算の状態を共有する助けになります [1]。

4. 端末を使わない家庭でも取り組めるか?

小学生の指導研究では、端末を使う条件と使わない条件のどちらにも、問題場面を用いた概算の指導が置かれています。著者らは、問題基盤型の概算指導が技能の学習を助けたと述べています。端末の有無にかかわらず、問題場面を用いた指導が共通する土台です [3]。

端末の支援については、話し合い、協力、概算方略に関するメタ認知的な知識という結果が示されています。これらを、正確な筆算の成績が必ず高まるという主張に広げません。何を選び、なぜその方略を使ったかを話す場面に関わる成果として読みます [3]。

家庭では、日常の数を扱う問題を選び、およその答えと理由を話してもらいます。端末を使うかどうかより、概算として何を求めているかを共有します。買い物などの場面で、何を見積もり、その値を何に使うかを親子で共有します。選んだ方略と、その理由を聞く時間を設けます。

携帯端末を使う指導と使わない指導を比べた研究に参加したのは、小学校の児童28人です。端末は答えを表示するだけでなく、見積もりを観察し、適切な方略の選択や評価を集団で議論する道具として使われています。家庭で同じ端末を用意する前に、子どもの考え方を見て、どの方略をなぜ選んだか話し合うという活動の役割を確認します [3]。

【反証】この回が言えないこと

端末を組み合わせた指導の研究は小標本のため、結果を広く一般化するには検討が必要です [3]。概算の指導だけで日本の中高生の定期テストの点がどれだけ上がるかは、今回の研究にありません。概算を狙って育てる研究は少なく、発達を長く追う研究にも不足があります。レビューが整理した年齢の傾向から、最適な開始学年や練習時間を決めることもできません [1]。

また、数字を使わず量を扱う近似的な数の課題と、計算問題のおよその答えを出す概算は同一ではありません。今回取り上げていない別の訓練の効果を、概算の指導の効果に足すことはしません。今回の結論は、概算の目的を正確な暗算から分け、方略の説明を課題に置くことです [2]。

実務——家でできる 3 つの確認

まず、「およそを出す課題」と「正確な答えを出す課題」を言葉で分けます。子どもが概算でも正確な暗算を始めたら、何を求められていると思ったかを聞きます。速さを競わせる前に、目的が伝わっているかを確認します。

次に、解いた後で見積もり方を手本なしで説明してもらいます。武蔵野個別指導塾のアクティブリコールを、答えを取り出すだけでなく、選んだ方略を取り出す確認に置きます。「なんとなく」で終わった所は、どの数をどう見たかを一緒に聞き直します。

別の買い物の場面でも、まずおよその値を出し、その理由を聞きます。塾の間隔反復に沿って、前に使った見積もり方を思い出してもらいます。完全一対一の授業では、概算として選んだ方略と、正確な計算へ戻った場面を講師に伝え、目的の理解を確かめます。

およその値と見積もり方を説明する課題は、武蔵境の定期テスト対策で学習内容に合わせて相談できます。

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よくある質問

Q. 概算でも正確な答えを暗算すべきですか?

概算で求めるのは、およその値です。およその値を作る目的と、正確な答えを出す目的を区別します [2]。

Q. 概算を教えれば計算全体が伸びますか?

概算の学習を数学全体の向上へ広げる関係は、レビューで研究不足とされています。概算の技能学習の結果を、数学全体の向上へ広げません [1][3]。

Q. 携帯端末がないと始められませんか?

端末なしでも概算を扱う指導が研究されています。家庭では、およその答えを求める目的を伝え、見積もり方の説明を課題にします [3]。

出典

  1. Measurement, development, and stimulation of computational estimation abilities in kindergarten and primary education: A systematic literature review(Elke Sekerisほか、2019、Educational Research Review)
  2. Computational Estimation and Mathematics Education: A Narrative Literature Review(Paul Andrewsほか、2021、Journal of Mathematics Education)
  3. Mobile-Device-Supported Problem-Based Computational Estimation Instruction for Elementary School Students(Yu-Ju Lanほか、2010、J. Educ. Technol. Soc.)

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