試験対策は点を上げるか——テスト準備・コーチングと波及効果

試験対策は点を上げるか——テスト準備・コーチングと波及効果

対策の教室を出たあと、得点が動いたかどうかを、同じ「効いた」という言葉で結びたくなることがあります。集中的にテストの型をなぞれば上がる、とも思う。長く触れれば上がる、とも思う。対策しなければ上がらない、とも思う。三つの声は、同じ「対策」に見えます。見え方と、研究が述べている層が同じかは、別です。

Green は、IELTS アカデミック・ライティングの指導後の得点上昇を、大学進学準備コースのあいだで比較しています [1]。論文の表題は “Washback to learning outcomes: a comparative study of IELTS preparation and university pre-sessional language courses” です。2007年の報告です。扱うのは、英国の大学進学を控えた留学生向けの、IELTS アカデミック・ライティングです。英検対策や、級別の得点上昇を、直接測った研究ではありません。IELTS であり、英検ではない、ということを、この回は最初に言います。後でもう一度言います。英検にそのまま当てはまる、とは書きません。

Messick と Jungeblut は、SAT のコーチングを、時間と方法の側から見ています [2]。論文の表題は “Time and method in coaching for the SAT” です。1981年の報告です。扱うのは、SAT コーチング研究の網羅的レビューです。言語テストの研究ではありません。英検の対策時間や、合格点を、直接測った研究でもありません。SAT であり、英検ではない、ということを、この回は最初に言います。後でもう一度言います。英検にそのまま当てはまる、とは書きません。.7 や、20から30点や、200から800点の尺度を、英検の級や合否には当てはめません。

結論を先に言います。集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった、と2007年の報告は述べています [1]SAT コーチング研究の網羅的レビューは、さまざまな点で方法論的欠陥があった、と1981年の報告は述べています [2]欠陥とノイズにもかかわらず、コーチングの得点効果の大きさと学習者接触時間には一定の規則性が見られた、とも述べています [2]SAT-Verbal と SAT-Math とも、2変数の順位相関は .7 超、とも述べています [2]関係は非線形であり、接触時間の等差増加に、得点効果の等比増加が伴う、とも述べています [2]断片的データの限界内では、SAT-Verbal と SAT-Math とも、平均 20から30点(200から800点尺度)を大きく超える得点上昇に必要な接触時間は、全日制学校教育に近づく、とも述べています [2]。明確な優位は見られなかった、と、対策しない方がよい、は違います。順位相関が .7 超、と、長く触れれば英検は上がる、も違います。どちらも、英検対策の手順書ではありません。

先に、この回がしないことも言っておきます。一次証拠は、IELTS アカデミック・ライティングのコース比較と、SAT コーチングの網羅的レビューです。英検対策や、級別の得点上昇を、一次資料としては扱いません [1]対策しない方がよい、とは断定しません。優位がないことは、無効であることではありません。SAT の .7 と、20から30点と、200から800点の尺度を、英検の級や合否に換算しません [2]対策は無意味、とも、対策すれば必ず上がる、とも書きません。過去問の再テスト効果の話は、すでに別稿があります。この回では再説明しません。睡眠、運動、教室環境も、軸にしません。この回の軸は、テスト対策の型に明確な優位が見られなかったことと、コーチングの接触時間と得点効果の非線形な関係を、同じ重さで置くことです。受験者の対策の量を、足りないと決めつけません。学習者の教室の選び方を、欠点の証明にもしません。

1. 対策の型と得点上昇は、同じ「効く」ではない

受験者が「対策」と呼ぶものの中には、いくつかの層が混ざります。テストの型に焦点を当てた準備。大学の学術ライティングそのもの。両者を組み合わせたコース。長く触れるコーチング。層が混ざったまま、「対策すれば上がる」と言うと、どの試験の、どの技能の、どの接触の話なのかが見えなくなります。

Green が置いているのは、IELTS アカデミック・ライティングの指導後の得点上昇です [1]。英検の級別の得点上昇ではありません。置いているのは、テスト対策型と、学術ライティング型と、統合型という、3種類のコースです。種類があることと、対策すれば必ず上がる、という口語の助言は、最初から違います。違うものを、同じ「対策」という言葉で結ぶと、コースの比較が一つの勝者に見えます。見せません。

Messick と Jungeblut が置いているのも、SAT のコーチングです [2]。言語テストではありません。英検の対策時間ではありません。コーチングの得点効果と、学習者の接触時間です。接触時間と、当日の一問の手順は、層が違います。層が違うものを、英検の級の合格点の手順に溶かすことはしません。

英検の会場に、対策の記憶が載ります。載ることと、2007年の IELTS の比較が測っているコースが同じであることは、別です。別である、を、本番では対策は関係ない、と読むこともしません。関係がある、と著者が書いているのは、IELTS アカデミック・ライティングの指導後の得点上昇の側です。側があることと、英検の級の点が同じ式であることは、違います。違う、を、この回の入口に置きます [1] [2]

学習者本人が読むときの形も、同じ範囲に置きます。「対策したのに上がらなかったから、自分は準備不足だ」。その物語を、この二つの報告は支えていません。支えていないことと、対策が無い、は、また別です。コースの比較があることと、向き不向きの判定であることは、層が違います。層を混ぜて、本人を責める文にはしません。

2. 一次証拠は IELTS のライティングと SAT のコーチングである。英検ではない

入口のあと、対象を固定します。ここでも、最初に限界を言います。2007年は IELTS アカデミック・ライティングです。1981年は SAT コーチングのレビューです。どちらも、英検そのものの研究ではありません。1981年は、言語テストの研究でもありません。

  1. Green が比較したのは、英国の大学進学を控えた留学生向けの、3種類の大学進学準備コースである。
  2. Messick と Jungeblut がレビューしたのは、SAT のコーチング研究である。言語テストではない。

IELTS アカデミック・ライティング、です。英検のライティングではありません。英国の大学進学、です。英検の公開会場ではありません。対象が留学生向けである、という位置です。位置を、日本の級の対策教室の一般法則にはしません。一般法則にすると、IELTS のコース比較が、英検の対策の証明に見えます。見せません [1]

SAT、です。大学進学適性の、米国の試験です。英検ではありません。言語テストでもありません。対象が SAT である、という位置は遠い。遠い、と、無関係、は違います。違う遠さを、英検の対応表にはしません。対応表が無い以上、SAT は、その名前のまま使います [2]

波及効果、という語も、2007年の表題の位置です [1]。学習成果への波及です。英検の一次と二次を、この箱に入れる、という記述ではありません。記述でない箱を、技能別の対策目標の顔で出すことはしません。出さない、を、ライティングの対策は無関係だ、と読むこともしません。関係がある、と著者が書いているのは、IELTS アカデミック・ライティングの得点上昇です。関係がある上昇と、英検の合格点が同じ式であることは、違います。違う、がこの節の上限です [1] [2]

過去問の再テスト効果の話は、すでに別稿があります。同じ問題に再び当たったときの層です。この回の層は、対策コースの型と、コーチングの接触時間です。別である層を、同じ「対策が足りない」という言葉で結ぶと、再テストの壁と、コースの型の壁が、一つの欠点に見えます。見せません。見せない、が、学習者を責めない、というこの回の約束の入口です。

3. 3種類の進学準備コースで、IELTS アカデミック・ライティングの得点上昇を比較した

対象の隣に、Green は、比較の形を置きます [1]。ここでも、英検の対策教室ではありません。

  1. IELTS アカデミック・ライティングの指導後の得点上昇を、3種類の大学進学準備コースで比較した。
  2. コースの種類は、テスト対策型、大学の学術ライティング型、両者を組み合わせた統合型である。
  3. 参加者や各コースの実践の差は、質問票とテストで収集した。

3種類、です。テスト対策型、学術ライティング型、統合型、です。3を足したり、割ったりして、新しい比率を作ることはしません。作ると、著者が書いていない別の割合が生まれます。生まれた割合を、英検の級の目安の顔で出すことはしません [1]

テスト対策型、です。学術ライティング型、です。統合型、です。型があることと、英検の対策講座の時間割が同じであることは、別です。別である型を、この回は混ぜません。混ぜない理由は、慎重さの演出ではありません。著者が最初に置いたのが、英国の大学進学準備コースだからです。入口の型を、英検の級の合格ラインに溶かすことはしません。

質問票とテスト、です。IELTS アカデミック・ライティングの得点に加えて、参加者と実践の差を集めた、という位置です。位置を、英検の過去問と同じだ、と読むことはできません。過去問の話は、すでに別稿があります。この回では再説明しません。別稿の層を、ここに厚くやり直すことはしません [1]

指導後の得点上昇、です。上昇を測った、という位置です。英検の級が上がった、という記述ではありません。記述でない上昇を、級の対応表に読み替えることはしません。対応表は、この回が使う範囲にはありません。無い表を、次の級へ移る時期の規則として配ることはしません。置く軸は、3種類のコースで得点上昇を比較した、という形です。形があることと、当日の対策の正解があることは、別です。

4. 集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった

比較のあと、著者は分析の形と、結果を置きます [1]。結果の主語が、英検の対策教室ではない、という位置を外しません。

  1. 調整変数の多さと非線形性のため、ニューラルネットワークで分析した。
  2. 集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった。

調整変数の多さ、です。非線形性、です。多い、と、非線形、を、新しい個数や新しい曲線の式にはしません。無い式を、英検の得点曲線の顔で出すことはしません。著者が書いたのは、調整変数が多く、データに非線形性があるため、ニューラルネットワークを用いた、という位置です。位置を、この分析法が英検の正解だ、と読むことはしません [1]

明確な優位は見られなかった、です。明確な、という語が正確です。優位が全く無い、という書き方ではありません。見られなかった、の主語は、集中的なテスト対策の明確な優位です。対策は無効だ、という記述ではありません。記述でない無効を、対策するな、という命令に翻訳することはしません。翻訳すると、比較の結果が、本人への断定的助言に見えます。見せません。

集中的なテスト対策、です。テストの型に焦点を当てた準備です。学術ライティング型より明確に上だった、とは書いてありません。統合型より明確に上だった、とも書いてありません。書いてない上を、この回が足すことはしません。足すと、著者が書いていない順位が生まれます。生まれた順位を、根拠の顔で出すことはしません [1]

優位なし、と、無効、は違います。違う比較を、対策は無意味だ、と読む根拠にもしません。無意味だ、と読むと、2007年の結果が、教室を捨てる理由に見えます。見せません。著者が書いたのは、集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった、という報告です。報告を、英検の対策講座の廃止の文にはしません。廃止の文にしない。それが、この節の上限です [1]

学習者本人が読むときの形も、ここに置きます。「テスト対策の教室に通ったから、自分は遠回りをした」。その物語を、この報告は支えていません。支えていないことと、テスト対策型が勝った、は、また別です。明確な優位は見られなかった、です。勝者を一人にしない、が、この報告の読み方です。読み方を、本人の選択の採点にはしません。

5. SAT コーチングの網羅的レビューである。言語テストではない

2007年の隣に、1981年のレビューを置きます [2]。隣に置く、を、同じ助言だ、とは言いません。ここでも、最初に限界を言います。SAT コーチングの網羅的レビューです。言語テストではありません。英検の対策時間と合格点に、そのまま当てはめません。

SAT コーチング研究の網羅的レビューは、さまざまな点で方法論的欠陥があった。

網羅的レビュー、です。一つの教室を観察した、という書き方ではありません。研究をレビューした、という位置です。位置を、このレビューを使え、という英検の手順にはしません。手順にすると、レビューが、正解テクニックに見えます。見せません [2]

SAT です。英検ではありません。言語テストでもありません。SAT である、を、入口に残します。残したまま、英検の一次点へは降ろしません。降ろさない、がこの節の上限です。上限であることと、コーチングの時間は無関係だ、と読むこともしません。無関係だ、と読むと、レビューの話が、捨ててよい話に見えます。見せません。残る報告は、方法論的欠陥があった、という評価です。評価と、英検の対策時間の手順は、別です。

さまざまな点で方法論的欠陥があった、です。欠陥、という語は、著者が書いた語です。欠陥があることと、レビューが無意味だ、は、違います。次の節で著者らは、欠陥とノイズにもかかわらず規則性が見られた、と続けます。欠陥だけを採って、コーチング研究は捨ててよい、という文にはしません。規則性だけを採って、欠陥は忘れてよい、という文にもしません。両方残す、が、このレビューの入口です [2]

1981年です。年代があることと、いまの英検の実施要項が同じであることは、別です。別である年代を、古いから無関係だ、と読むこともしません。著者が置いたのは、SAT コーチング研究の網羅的レビューです。置いた対象を、英検の級の名前に読み替える対応表は、ありません。無い表を、配ることはしません [2]

6. 得点効果の大きさと接触時間には、.7 超の順位相関があった

欠陥の隣に、著者らは、残った規則性を置きます [2]。規則性の主語が、英検の級ではない、という位置を外しません。

  1. 欠陥とノイズにもかかわらず、コーチングの得点効果の大きさと学習者接触時間には一定の規則性が見られた。
  2. SAT-Verbal と SAT-Math とも、2変数の順位相関は .7 超であった。

欠陥とノイズにもかかわらず、です。にもかかわらず、という語が正確です。欠陥が消えた、という書き方ではありません。ノイズが無い、という書き方でもありません。残った規則性です。残った、を、きれいな法則だ、と読むことはしません。読むと、レビューが、英検の対策時間の保証に見えます。見せません [2]

得点効果の大きさと、学習者接触時間、です。2変数、です。2変数の順位相関は .7 超、です。.7 超、という語が正確です。.7 ちょうど、ではありません。超、です。.7 を、英検の級の合格率に換算することはしません。換算する対応表は、この回が使う範囲にはありません。無い表を、級の壁の顔で出すことはしません。

SAT-Verbal、です。SAT-Math、です。とも、です。言語と数学の両方で、同じ向きの規則性が見られた、という位置です。位置を、英検の技能別の対策時間の配分表にはしません。配分表にすると、SAT の2変数が、英検のリーディングとライティングの時間に見えます。見せません。著者が書いた相手は、SAT-Verbal と SAT-Math です。書いた相手を、英検の技能の名前に溶かすことはしません [2]

順位相関、です。因果の保証ではありません。接触時間が長いほど得点効果が大きい、という向きの、順位の相関です。向きがあることと、何時間触れれば何点上がるかの対応表があることは、別です。対応表は、この要旨のこの文にはありません。無い表を、当日の学習計画の分刻みにはしません。分刻みにしない。それが、この節の上限です [2]

学習者本人が読むときの形も、ここに置きます。「接触時間が短かったから、自分は足りない」。その物語を、この報告は支えていません。支えていないことと、接触時間が無関係だ、は、また別です。規則性があることと、本人の欠点の証明であることは、層が違います。層を混ぜて、本人を責める文にはしません。

7. 関係は非線形である。20から30点を大きく超える上昇の接触時間は全日制に近づく

相関のあと、著者らは、関係の形と、限界の中の含意を置きます [2]。含意の主語が、英検の合格点ではない、という位置を外しません。

  1. 関係は非線形である。接触時間の等差増加に、得点効果の等比増加が伴う。
  2. 断片的データの限界内では、SAT-Verbal と SAT-Math とも、平均 20から30点(200から800点尺度)を大きく超える得点上昇に必要な接触時間は、全日制学校教育に近づく。

非線形、です。直線ではない、という位置です。接触時間を等差で増やしても、得点効果は等比で増える側に乗る、と著者らは書いています。等差、です。等比、です。新しい式を、この回は作りません。作ると、著者が書いていない別の傾きが生まれます。生まれた傾きを、英検の対策時間の顔で出すことはしません [2]

接触時間の等差増加に、得点効果の等比増加が伴う、です。伴う、の向きは、著者の文です。短い接触の延長が、同じ幅の得点を何度も生む、という読み方ではありません。読み方を誤ると、もう少し触れれば必ず上がる、という文になります。著者が書いているのは、非線形である、という形です。形を、もう一時間、という命令に翻訳することはしません。翻訳すると、非線形の話が、当日の延長のすすめに見えます。見せません。

断片的データの限界内では、です。限界が付いています。限界を外して、一般法則にはしません。平均 20から30点、です。200から800点尺度、です。SAT の尺度です。英検の尺度ではありません。20から30を平均した新しい値も、作りません。著者が書いた範囲は、20から30点です。大きく超える得点上昇、です。平均 20から30点そのものが、保証された上昇だ、という書き方ではありません。大きく超える上昇に必要な接触時間が、全日制学校教育に近づく、という位置です [2]

全日制学校教育に近づく、です。近づく、という語が正確です。全日制そのものだ、という書き方ではありません。必要な接触時間の側の話です。受験者の通学の形ではありません。通学の形に翻訳すると、学校を捨てて対策せよ、あるいは逆に、対策を捨てて学校だけにせよ、という命令に見えます。見せません。著者が書いたのは、断片的データの限界内での、SAT の尺度上の含意です。含意を、英検の級の合格点に換算する対応表は、ありません。無い表を、配ることはしません [2]

20から30点を、英検の級に当てはめません。200から800点尺度を、英検の点数の名前に読み替えません。読み替えると、1981年の SAT が、日本の級の切点に見えます。見せません。点数があることと、英検の当日点であることは、別です。別である点数を、この回の軸にはしません。

8. 二つの研究を並べる。対策は無意味、とも、必ず上がる、とも書かない

ここまでを一度だけ表にします。新しい数値は足しません。

著者が述べていること
2007年の対象 IELTS アカデミック・ライティング。英国の大学進学準備コース。英検対策・級別の得点上昇そのものではない [1]
2007年の比較 テスト対策型、学術ライティング型、統合型の3種類。質問票とテストで参加者と実践の差を収集 [1]
2007年の分析 調整変数の多さと非線形性のため、ニューラルネットワーク。分析法の推薦ではない [1]
2007年の結果 集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった。対策は無効だ、ではない [1]
1981年の対象 SAT コーチングの網羅的レビュー。言語テストではない。英検の対策時間・合格点ではない [2]
1981年の評価 さまざまな点で方法論的欠陥があった。欠陥とノイズにもかかわらず、得点効果の大きさと接触時間に一定の規則性 [2]
1981年の相関 SAT-Verbal と SAT-Math とも、2変数の順位相関は .7 超。英検の級への換算ではない [2]
1981年の形 非線形。接触時間の等差増加に、得点効果の等比増加が伴う。平均 20から30点(200から800点尺度)を大きく超える上昇の接触時間は全日制学校教育に近づく。断片的データの限界内 [2]
英検の当日点 この二つの報告からは決まらない。対策は無意味、にも、対策すれば必ず上がる、にも、出てこない

表の読み方は、上下の勝敗ではありません。上段の2007年は、IELTS アカデミック・ライティングのコース比較です。中段の1981年は、SAT コーチングの接触時間と得点効果です。下段の英検の当日点は、どちらの報告にも無い層です。無い層を、表の空欄のまま置きます。

明確な優位は見られなかった、と、.7 超の順位相関を、平均した新しい方針は、作りません。測っている層が違います。一方は、IELTS のライティングにおけるコースの型です。他方は、SAT における接触時間と得点効果です。近い「対策」を、同じ量の反復としては読めません [1] [2]

試験場での見え方に一度だけ引き直します。新しい数値は足しません。対策の教室を出たあと、点が動かない。2007年の報告は、集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった、と書いています [1]。1981年のレビューは、欠陥とノイズのあとに規則性が残り、関係は非線形で、20から30点を大きく超える上昇の接触時間は全日制に近づく、と書いています。書いてある主語は、SAT の尺度です [2]。引き直した結果として出てくるのは、当日の対策の命令ではありません。IELTS の比較と、SAT のレビューを、英検の級の手順に溶かさない、という確認の形です。

過去問の再テスト効果の話は、すでに別稿があります。この回の二つの報告は、その話ではありません。対策コースの型と、コーチングの接触時間です。別稿の層を、ここに厚くやり直すことはしません。睡眠や運動を、得点の代わりに置くこともしません。級別のロードマップも、軸にしません。置く軸は、対策の型に明確な優位が見られなかったことと、接触時間の規則性を英検の手順にはしないことです [1] [2]

9. 【反証】この回が言えないこと

第一に、一次証拠は二篇です。Green の2007年と、Messick と Jungeblut の1981年です [1] [2]。英検対策や、級別の得点上昇を、一次資料として測った研究ではありません。合否も、級の得点差も、この二つの報告は述べていません。

第二に、2007年は IELTS アカデミック・ライティングの研究です。英検そのものの研究ではありません。英国の大学進学を控えた留学生向けの、3種類の大学進学準備コースです。英検の対策教室ではありません。IELTS の結果を、英検の級にそのまま当てはめることはできません [1]

第三に、集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった、を、対策しない方がよい、という断定にはできません。優位なしは、無効ではありません。テスト対策型が負けた、という順位表でもありません。ニューラルネットワークは、調整変数の多さと非線形性のための分析であり、英検の分析法の推薦ではありません [1]

第四に、1981年は SAT コーチングの網羅的レビューです。言語テストの研究ではありません。英検の対策時間・合格点の研究でもありません。SAT であり、英検ではありません。1981年である、という年代の限界もあります。年代があることと、いまの英検が同じであることは、別です [2]

第五に、網羅的レビューは、さまざまな点で方法論的欠陥があった、です。欠陥とノイズにもかかわらず規則性が見られた、は、欠陥が消えた、という意味ではありません。規則性を、きれいな法則として一般化することはできません [2]

第六に、SAT-Verbal と SAT-Math の2変数の順位相関は .7 超、です。.7 を、英検の級や合否に換算する対応表はありません。順位相関であり、因果の保証ではありません。接触時間の分刻みの計画にもなりません [2]

第七に、関係は非線形です。接触時間の等差増加に、得点効果の等比増加が伴う、は、もう少し触れれば必ず上がる、という意味ではありません。断片的データの限界内では、平均 20から30点(200から800点尺度)を大きく超える上昇に必要な接触時間は全日制学校教育に近づく、の主語は、SAT の尺度です。20から30点を、英検の級に当てはめることはできません。200から800点尺度を、英検の点数に読み替えることもできません [2]

第八に、二つの研究を合成して、新しい数値を作ることはできません。明確な優位なしと、.7 超を平均した対策時間の方針も、この回からは出てきません。対策は無意味、とも、対策すれば必ず上がる、とも、書いていません。

第九に、過去問の再テスト効果、級別のロードマップ、意見論述の指導効果、作文の計画時間は、この回では再説明していません。すでに書いた話だからです。必要でも、参照に留めます。睡眠、運動、食事、教室環境を、この回の軸にもしていません。

第十に、この回は、受験者の対策の量を間違っていると決めつけていません。準備が足りない、という責めの文にもしていません。学習者の教室の選び方を、欠点だとも書いていません。著者らが述べたのは、IELTS アカデミック・ライティングのコース比較と、SAT コーチングの接触時間です。研究があることと、受験生を責めることは、別です [1] [2]

10. 実務——試験場と出願で使える3つの確認

  1. 集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった、を、対策しない方がよい、と読んでいませんか。優位なしを、無効と同一視していませんか。Green によれば、IELTS アカデミック・ライティングの指導後の得点上昇を、テスト対策型、学術ライティング型、統合型の3種類で比較し、集中的なテスト対策に明確な優位は見られませんでした。調整変数の多さと非線形性のため、ニューラルネットワークで分析しています [1]。優位なし、です。無効、ではありません。対策するな、という命令でもありません。面談の前に、断定に上げていないか、を一度だけ言い直す、という確認です。
  2. SAT の順位相関 .7 超と、20から30点(200から800点尺度)を、英検の級や合否に換算していませんか。言語テストではないレビューを、英検の対策時間の手順に読み替えていませんか。Messick と Jungeblut は、SAT コーチング研究の網羅的レビューです。言語テストではありません。方法論的欠陥があり、それでも得点効果の大きさと接触時間に一定の規則性が見られました。関係は非線形です。断片的データの限界内です [2]。SAT です。英検の秒数表ではありません。無い換算を、当日の手順にしない。過去問の再テスト効果の話は、別稿です。この回の層は、対策の型と接触時間です。層を混ぜない、という確認です。
  3. 対策は無意味、と、対策すれば必ず上がる、のどちらにも寄せていませんか。IELTS のコース比較を、英検の対策教室の勝者表にしていませんか。2007年の主語は、IELTS アカデミック・ライティングです。1981年の主語は、SAT の尺度です。どちらも英検ではありません [1] [2]。全日制学校教育に近づく、も、受験者の通学の命令ではありません。換算表は、この報告からは出てきません。出ない、を、確認の答えにします。

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まとめ

  1. Green は、IELTS アカデミック・ライティングの指導後の得点上昇を、3種類の大学進学準備コースで比較した。テスト対策型、学術ライティング型、統合型。英国の大学進学を控えた留学生向けである。英検対策・級別の得点上昇そのものではない [1]
  2. 調整変数の多さと非線形性のため、ニューラルネットワークで分析した。集中的なテスト対策に明確な優位は見られなかった。優位なしは、無効ではない。対策しない方がよい、という断定にはしない [1]
  3. Messick と Jungeblut は、SAT コーチング研究を網羅的にレビューした。言語テストではない。英検の対策時間・合格点へはそのまま当てはめない。さまざまな点で方法論的欠陥があった [2]
  4. 欠陥とノイズにもかかわらず、得点効果の大きさと学習者接触時間には一定の規則性が見られた。SAT-Verbal と SAT-Math とも、2変数の順位相関は .7 超。英検の級への換算ではない [2]
  5. 関係は非線形である。接触時間の等差増加に、得点効果の等比増加が伴う。断片的データの限界内では、平均 20から30点(200から800点尺度)を大きく超える上昇に必要な接触時間は全日制学校教育に近づく。SAT の尺度である [2]
  6. 二つの研究を並べると、対策の型に明確な優位が見られなかった報告と、接触時間の非線形な規則性がある。英検の級への読み替えも、当日の手順も、この研究からは出てこない。対策は無意味、とも、対策すれば必ず上がる、とも書かない。過去問の再テスト効果は再説明しない。受験者の対策の量を準備不足と決めつけない。

出典

本文中の番号に対応します。書誌を確認し、抄録に直接あたったものだけを挙げています。結論に反する記述も、同じ基準で載せています。

  1. 【IELTS アカデミック・ライティングの対策コース比較】Green, Anthony (2007). Washback to learning outcomes: a comparative study of IELTS preparation and university pre-sessional language courses. Assessment in Education: Principles, Policy & Practice, 14(1), 75–97. DOI: 10.1080/09695940701272880
  2. 【SAT コーチングの網羅的レビュー】Messick, Samuel; Jungeblut, Ann (1981). Time and method in coaching for the SAT. Psychological Bulletin, 89(2), 191–216. DOI: 10.1037/0033-2909.89.2.191
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宮川 涼 Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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