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中学受験の算数で偏差値60前後の模試を直す—難問を粘るか戻るかの記録の付け方|武蔵野個別指導塾

一問に長く留まったまま最後の見開きが白紙になるなら、返却答案の余白を書いた順にたどり、式が増えない時間に印を付けます。移る合図を自分の記録から決める手順です。
最後の見開きが白紙になったのは、解けなかったからではなく、そこへ着く前に時間を使い切ったからです。直す対象は難問の解法より先に、一問に留まる長さの決め方になります。返却された答案を開き、余白を書いた順に上からたどってください。式が続いている場所と、印だけが増えて式が増えない場所が分かれているはずです。その境目が、最初に見る点です。
| 答案に残っているもの | 見る場所 |
|---|---|
| 式が行の途中で切れている | 切れた式のすぐ下の余白 |
| 同じ式を何度も消している | 消し跡が重なった問 |
| 問題文に印だけが増えている | 印の数と式の数の差 |
一問に留まった時間は、答案の余白に残っている
よくあるのは、難問を解き続けて最後の見開きが白紙になった小6という場面です。返却された答案を開くと、前のほうの計算問題は式が最後まで並び、中ほどの大問で式が一行だけ書かれたまま止まり、最後の見開きには問題文への線だけが残っています。本人に聞くと「最後の問題が難しかった」と答えます。ただ、余白を順にたどると、難しさより先に時間の配り方が崩れていることが多いのです。
返却答案は、書いた順の記録として読めます。多くの子は余白の左上から右へ書き、行が埋まると次の行へ移ります。だから式の位置をたどると、どの問にどれだけ手を動かしたかがおおよそ復元できます。ここで見るのは正誤ではなく、書いた量とその途切れ方です。
答案の余白は、大きく3つの型に分かれます。1つ目は、式が最後まで続いた問です。答えが出ていてもいなくても、式の種類が増えています。2つ目は、式が一行か二行で終わり、そのあとが空いている問です。問題文の印は増えているのに、式が増えていない区間があります。3つ目は、同じ式を消しては書き直している問です。手は動いていますが、試した手は1つか2つに留まっています。
この3つは、直し方がそれぞれ違います。1つ目は解法を補う対象で、解説を読んで手を増やす作業になります。2つ目は滞在の長さを決める対象で、この型が本題です。3つ目は手を変える練習の対象で、同じ式の書き直しをやめて別の手を出す訓練になります。3つをまとめて「難問対策」と呼ぶと、2つ目の子に解法の解説をいくら足しても、次の模試で同じ場所に留まります。
順序を復元する手掛かりは、余白の式だけではありません。計算の書き出しが左端でそろっている問は、そこから書き始めた問です。図が途中で終わっている問は、図を描く手が止まった地点で詰まっています。問題文に引いた線が増えているのに、その下の式が増えていないなら、読む作業だけが続いていたことになります。消し跡が重なった場所は、同じ考えを何度もやり直した場所です。これらを問ごとに拾うと、答案の上に時間の線が1本引けます。
偏差値60前後という言い方は、手元に届いた1回の模試の結果を指します。別の回や別の模試に同じ難しさを当てはめるものではありません。同じ数値でも、白紙になる位置は子によって違います。だから順位や判定の紙ではなく、答案の余白から読み始めます。
図1のように、余白の型は書いた跡の並びで見分けられます。線が最後まで続くか、途中で切れて赤い線のあとが空くか、最初から何も書かれていないかで、直す場所を分けます。

滞在の記録を1問ずつ付け、移る合図を自分の数字で決める
まず記録用紙を一枚作ります。B5の白紙に定規で線を引き、列を5つに分けます。問番号、着手したかどうか、書き足した式の数、試した手の名前、やめた理由です。市販の帳票を探すより、この5列を手書きで用意するほうが、書く場所で迷いません。
次に、模試と同じ形で練習を解きます。大問をまとめて並べ、途中で休まず、最後まで通します。ここで気をつけるのは、時計を何度も見ないことです。時計を見る動作そのものが手を止めさせ、記録したい「手が動いていない時間」を作ってしまいます。
解き終えたら、問ごとに区切りを書きます。何分に着手し、何分に手が止まり、何分に次へ移ったかです。時刻は区切りのたびに1度だけ見て、あとは書くことに集中します。分単位で正確でなくてかまいません。前後2分の幅があっても、型は十分に読めます。
試した手を数えます。手とは、式を立てる、図を描く、表にまとめる、小さい数で試す、逆から計算する、場合を分ける、といった作業の種類です。算数の問題なら、線分図を描く、面積図に置き換える、単位をそろえる、求める数を仮に置く、も手に入ります。同じ式を書き直しただけの時間は、同じ手として1つに数えます。ここを甘く数えると、手が増えていないのに増えたように見えてしまいます。
手の名前が思い浮かばないときは、消しゴムをかけた回数を数えるだけでもかまいません。同じ場所を3回消していれば、3つの手を試したのではなく、1つの手を3回やり直したと見ます。記録の最初の数回は、この粗い数え方で十分です。細かく書こうとして続かなくなるより、問番号と印だけが残っているほうが、次の練習で使えます。
3つの型に分けたら、合図を決めます。合図は「新しい手が出ず、式も増えない状態が続いたら、印を付けて次へ移る」という一行です。続く長さは、記録から出します。たとえば10問を解いた記録で、最後まで解けた問でも終わり近くの5分は式が増えていなかったなら、その5分が目安になります。人から決められた長さではなく、自分の答案に書かれた事実から決めるのが要点です。
移るときの動作も決めておきます。問題番号の横に「戻」と書き、詰まった場所を一行で添えます。「比の片方が決まらない」「補助線の位置が決まらない」のように、次に読んだときの入口になる言葉です。「難しい」では入口になりません。戻ったときに最初に読む一文を、その場で作っておくということです。
なぜ時間ではなく手の数なのか。時間だけを見ると「もっと速く」という指示になりがちですが、速さは指示できません。手の数なら「別の手を出す」という動作に変わります。また、手が増えている時間は捨てる時間ではないので、切り捨てる対象から外れます。
本番でも同じ合図を使います。時計を見る回数をあらかじめ決めておき、区切りのいいところで1度だけ見ます。合図が出たら、問題番号の横に小さく印を付け、詰まった場所を頭の中で一行にしてから次へ移ります。答案に書き込めない試験でも、印の代わりに指で問題番号を押さえるだけなら同じ働きをします。
合図を決めても動けない日は、記録の「やめた理由」欄が空いている問を探します。理由を書けない問は、実はまだ手が止まっていません。書けないまま次へ移ると、戻ったときに何も残らず、もう1度同じ場所で止まります。
図2のように、余白を読むところから印を付けて移るところまでを、一枚の順序にしておくと迷いません。順序を決めておけば、解いている最中に「どうしようか」と考える時間が減り、その分だけ手を動かせます。解き直しのときも、同じ順序で記録を取り直せば、前の記録と並べて比べられます。

合図を決めても移れないときに見るもの
合図を決めた直後は、うまく動けないことがあります。原因はいくつかに分かれるので、記録のどこを見るかを変えます。同じ「移れない」でも、直す場所は別になります。
難問を手放すのが惜しい場合は、記録の数字を見せます。留まった区間に増えた式が0本、新しい手が0の行が並ぶと、本人も納得します。言葉で説得するより、自分の記録を指でなぞるほうが早いことが多いです。惜しさは性格ではなく、留まった時間の中身が見えていないことから来ています。
移った先でも同じだけ留まる場合は、合図の長さが長すぎます。記録に区切りの時刻を足し、2問続けて同じ長さ留まったら、次の回は短くする、という決め方にします。長さを毎回変えてよいことにしておくと、記録を取り続けられます。1度決めた長さを守ることより、記録が続くことを優先します。
逆に、移りすぎて解ける問題まで飛ばす場合もあります。合図が早すぎる状態です。手が2つ出て式が増えている問は最後まで解く、という条件を足します。移る合図は「手が増えない」であって「時間が経った」ではない、という元の一行に戻すと直ります。
戻る時間が足りない場合もあります。印だけ付けて戻らないまま終わる形です。戻る順は印の新しい順ではなく、着手した順の逆からにします。詰まった場所が近い問は、使う考え方も近いことが多いからです。最後に開いた見開きの問から戻ると、頭の中に残っている図や式をそのまま使えます。
やり直しの効果は、点数ではなく2つの条件で見ます。同じ長さの練習で白紙の問が減ったこと、印を付けた問のうち解き直しで手が増えた問が複数あったことです。点は回ごとに動くので、判定の紙が届く前に、この2つで自分の変化を確かめられます。
1回の記録で決めきらないことも大切です。その日の体調や問題の並びで、留まる長さは変わります。同じ形の練習を何回か続け、同じ問の位置で同じ型が出たときだけ、それを自分の癖として扱います。1回だけ長く留まった問は、たまたま相性が悪かった問として残しておけば十分です。
図3のように、同じ問題を解き直したときの手の数と時間を並べると、変わった場所がはっきりします。たとえば前は新しい手が1つのまま14分かかり、解き直しでは手が3つ出て6分で区切りがついた、という並びです。時間が縮んだことより、手が増えたことを先に見てください。

記録の読み方を確かめる
次の記録は、ある日の練習で取ったものです。数と問は例として作ったもので、実際の答案の値ではありません。どの問で合図を使うべきだったか、またその問の「戻」の横に書く一行を考えてください。
| 問 | 区切り | 書き足した式 | 新しい手 |
|---|---|---|---|
| 問1 | 0分から7分 | 3本 | 2 |
| 問1 | 7分から12分 | 1本 | 1 |
| 問2 | 0分から4分 | 2本 | 1 |
| 問2 | 4分から11分 | 0本 | 0 |
| 問3 | 0分から9分 | 4本 | 3 |
| 問3 | 9分から12分 | 2本 | 1 |
問いは3つです。1つ目、合図を使うべきだったのはどの問か。2つ目、その問の「戻」の横に書く一行には何を書くか。3つ目、この記録に列を1つ足すなら、どの列を足すか。紙に自分の答えを書いてから、下の解答を読んでください。
解答です。1つ目は問2です。4分から11分までの7分間に、式も手も増えていません。問1と問3は後半にも式が増えており、手も出ています。2つ目は、どこで詰まったかを書きます。「何が決まらなかったか」を一行にして、次に読んだときの入口にします。3つ目は、やめた理由の列です。合図で移ったのか、時間切れで移ったのか、諦めて移ったのかで、次の直し方が変わります。
計算も確かめておきます。問2で手が増えなかったのは11分から4分を引いた7分で、この問に使った11分のうち7分が試行のない時間になります。問1と問3は後半に式が増えているので、留まった時間がそのまま無駄とは言えません。同じ「長くいた問」でも、中身が違えば扱いを変えます。
再挑戦の条件は、同じ形の記録をもう1度取り、問2に当たる問で、合図の時刻に「戻」の印が付いていることです。印が付いていなければ、合図の長さを短くして同じ練習をやり直します。戻る場所は、この節の表ではなく、自分の記録用紙の「やめた理由」の列です。そこに自分で書いた一行が、次に同じ問へ向かうときの入口になります。
個別指導で見てもらう答案と記録
持ってくるのは3つです。返却された答案、練習の記録用紙、合図で移った問の一覧です。答案だけだと、止まった理由は推測になります。記録用紙があると、どの型が多いかを一緒に数えられます。
見るのは、3つの型のどれが多いか、合図の時刻に印が付いているか、「やめた理由」の列が埋まっているかです。そのうえで「この問で、自分は何が決まらなくて止まったのか」を言葉にしてもらいます。言葉にできない問は、まだ手が止まっていない問として扱います。答案の余白を指でなぞりながら、どの区間で式が増えていないかを本人と一緒に確かめると、直す場所が一つに絞れます。
次の模試に持っていく一枚
次の模試へ持っていく一枚は、点数を書いた紙ではなく、手が止まった場所と移った時刻を書いた記録用紙です。答案の余白に同じ型が現れたら、次に直すのはその境目の一行になります。難問を解く力より先に、手が止まった場所から離れる時刻を、自分の字で決めておく。
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