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共通テスト数学の出題範囲—数学Ⅲ、数学Aの整数、数学Cはどこまで出るか|武蔵野個別指導塾

数学Ⅲは共通テストに出ず、数学Aの整数を扱う「数学と人間の活動」も出題の項目の外です。令和9・10年度の出題方法等と学習指導要領を並べて数学Cの二次曲線や複素数平面まで線を引き、高1が教科書へ印を付ける順を追います。
共通テストの数学に、数学Ⅲ(数3)は出ません。数学Aから出るのは図形の性質と場合の数と確率の二つで、整数の約数や倍数、互除法を扱う「数学と人間の活動」は出題の項目に入っていません。数学Cからはベクトルと、平面上の曲線と複素数平面が出て、数学Bの数列・統計的な推測と合わせた四つの中から三つを選んで解きます。この線引きは、2027年1月の令和9年度試験と2028年1月の令和10年度試験の出題方法等に同じ書き方で載っており、いまの高1が受ける令和11年度試験の分は、まだ公表されていません。
| 項目 | いまわかっていること | どの年度の何という文書か |
|---|---|---|
| 数学①(70分100点) | 『数学Ⅰ,数学A』か『数学Ⅰ』の一方を解く。数学Aの二つの項目は両方とも解く | センターの出題方法等(令和9年度版と令和10年度版) |
| 数学②(70分100点) | 『数学Ⅱ,数学B,数学C』。数学Ⅱは中身の全体、数学B・Cは四つの項目から三つを選ぶ | 同じ二つの文書 |
| 数学Ⅲ | 出題科目の一覧に名前が無い | 同じ二つの文書 |
| 数学Aの整数 | 学習指導要領では「数学と人間の活動」の中で扱う内容で、共通テストの出題の項目の外 | 高等学校学習指導要領(平成30年告示)の数学A |
| いまの高1の年度 | 令和11年度試験の出題方法等はまだ出ていない | 大学入試センターの試験情報の頁(2026年11月8日に確かめた) |
よくあるのは、高1の秋、数学Aの教科書で整数の章を開いた生徒が、最初の例題の手前で鉛筆を止める場面です。約数と倍数、ユークリッドの互除法、二進法。小学校で聞いた言葉と、初めて見る言葉が同じページに並んでいます。「これは共通テストに出るのか」。出ないなら軽く流したいし、出るなら今のうちに固めたい。どちらにも決めきれないまま、ページがめくれなくなります。この迷いは、大学入試センターの文書の数行と、志望校の要項の数学の欄を一つ読むと、行き先が決まります。
出題方法等の数行が引いた線—数学Ⅲは科目ごと、整数は項目ごと外れる
大学入試センターの「出題教科・科目の出題方法等」は、表の見出しの欄に一つの約束を置いています。範囲について特に書き添えが無い科目は、その出題科目の名前に含まれる学習指導要領の科目の内容を合わせたものを範囲とする、という約束です。数学Ⅰと数学Ⅱには書き添えが無いので、学習指導要領に書かれた中身が、そのまま範囲になります。学習指導要領の項目でいえば、数学Ⅰは数と式・図形と計量・二次関数・データの分析の四つ、数学Ⅱはいろいろな式・図形と方程式・指数関数と対数関数・三角関数・微分と積分の考えの五つです。
書き添えが付いているのは、数学A・数学B・数学Cの三つです。学習指導要領では、この三科目はどれも中身が三つの項目に分かれていて、その中から適宜選んで学ぶ作りになっています。共通テストは、それぞれから二つずつを拾いました。数学Aからは図形の性質と場合の数と確率で、この二つは両方とも解きます。数学Bからは数列と統計的な推測、数学Cからはベクトルと、平面上の曲線と複素数平面です。数学Bと数学Cのこの四つは、四つのうち三つの内容の問題を選んで解く形になっています。
拾われなかった三つ目の項目は、数学Aの数学と人間の活動、数学Bの数学と社会生活、数学Cの数学的な表現の工夫です。学習指導要領は、数学と人間の活動の中で「整数の約数や倍数,ユークリッドの互除法や二進法」なども扱うと書いています。教科書の整数の章は、ここに当たります。図1のように、整数は数学Aの中で拾われなかった項目として、共通テストの外に置かれています。

数学Ⅲは、外れ方が違います。出題科目の一覧に、数学Ⅲという名前がそもそもありません。学習指導要領の数学Ⅲの項目は極限・微分法・積分法の三つで、これが丸ごと共通テストの外です。数学Ⅱにも微分と積分がありますが、学習指導要領は、数学Ⅱでは微分は三次までの関数、積分は二次までの関数を中心に扱うとしています。共通テストの微分・積分は、この数学Ⅱの側にとどまります。
では、数学Cはどこまで出るのか。ベクトルの項目には、平面のベクトルから、座標とベクトルの考えを空間へ広げる所までが入っています。平面上の曲線と複素数平面の項目には、放物線・楕円・双曲線、曲線の媒介変数表示、極座標と極方程式、複素数平面と極形式、ド・モアブルの定理が入っています。行列や離散グラフは数学的な表現の工夫の側に書かれていて、出題の項目の外です。
時間と配点は、数学①も数学②も70分100点です。令和8年度の本試験の数学②では、後半の4問が四つの項目に一問ずつ対応していて、そこから3問を選ぶ形でした。これは令和8年度の例で、次の年度も同じ並びになると決まっているわけではありません。
もう一つ、線の内側での問われ方も読んでおきます。問題作成方針は、学習指導要領に準拠し、教科書を基礎にしたうえで、教科書などで扱われていない資料を使う場合があると書いています。数学では、教科書に載っていない定理を、習った知識を使って導いていく題材が例に挙がっています。見たことのない話題が題材として出てきても、解く道具は線の内側にある。出題方法等と問題作成方針を並べると、そう読めます。
自分の数学の範囲を決める紙は二枚—共通テストの科目と、志望校の数学の欄
共通テストの範囲は、だれが受けても同じです。出題方法等に文系・理系の区別はなく、理系の人にだけ数学Ⅲが足されることも、文系の人にだけ数学Cが外れることもありません。人によって変わるのは「どの科目を受けるか」で、それを決めるのは志望校です。
一枚目は、志望校の募集要項にある、共通テストで使う教科・科目の欄です。数学①を『数学Ⅰ,数学A』で求めているか、『数学Ⅰ』でもよいとしているか。数学②の『数学Ⅱ,数学B,数学C』まで求めているか。ここに書かれた科目の名前が、共通テストで自分が解く範囲になります。『数学Ⅰ』の科目で受ければ数学Aの図形と確率も範囲から外れますが、それを認めるかどうかを決めるのも大学です。
二枚目は、同じ募集要項にある個別試験(国公立大学のいわゆる二次試験や、私立大学の一般選抜の筆記試験)の数学の欄です。整数や数学Ⅲを勉強しておく必要があるかは、共通テストではなく、ここで決まります。読む所は二つあります。科目の名前の並びに数学Ⅲがあるか。数学A・B・Cに、どの項目を出すかの注が付いているか、付いていればその中に数学と人間の活動が入っているか。数学Ⅲの名前があれば、共通テストには出ない数学Ⅲを、個別試験のためだけに仕上げることになります。
高1が気をつけたいのは、いま大学のサイトで読める要項が、二つ上の学年のための物だという点です。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、学力検査で課す教科・科目の変更などが志願者の準備に大きく響くときは、「2年程度前には予告・公表する」としています。いまの高1の入試から見て2年程度前といえば、高1の終わりから高2のはじめのころです。ですから、いまは令和9年度の要項で形をつかみ、高2になったら大学の入試情報の頁で予告や変更の知らせを探す、という二段構えで読みます。
自分の高校の側にも、確かめる紙があります。どの学年で数学Ⅱ・数学B・数学C・数学Ⅲを履修するかを書いた教育課程の表です。数学A・B・Cは項目を選んで学ぶ作りなので、学校によっては授業で扱わない項目もありえます。整数の章を授業で扱うのか、数学Cのどの項目をいつ習うのかは、学校の数学の先生に聞くのがいちばん早い道です。
最後に、自分の答案です。センターの過去3年分の試験問題の頁には、いま令和6年度から令和8年度までの問題が並んでいます。どの年度のどの科目名の冊子を解いたのかを答案の右上に書いておかないと、あとで点を並べたときに、範囲の違う問題の点が混ざります。年度の見分け方は、このあとの早とちりの節で書きます。
高1の冬休みまでに、教科書の目次へ二色の印を付ける
範囲の線を頭で覚えておくより、教科書に書き込んでしまうほうが、三年間ぶれません。手順は次のとおりです。
- 数学Ⅰと数学Aの教科書の目次を開き、共通テストの出題の項目に入る章に一色目、入らない章に二色目の印を付けます。数学Ⅰは四つの項目がそのまま範囲なので、章はどれも一色目です。数学Aは、図形の性質と場合の数と確率が一色目、整数の章(数学と人間の活動)が二色目です。教科書によって章の名前は少し違うので、迷ったら章の扉にある項目の名前で決めます。
- 学校の教育課程の表で、数学Ⅱ・数学B・数学C・数学Ⅲを何年生で履修するかを確かめ、手帳の高2・高3の欄に書き写します。新しい教科書を受け取ったら、その日のうちに同じ二色の印を付けます。数学Bなら数学と社会生活、数学Cなら数学的な表現の工夫が二色目で、数学Ⅲは表紙ごと二色目です。
- 二色目の章も、飛ばさずに授業の進度で学びます。定期試験の範囲であることに変わりはなく、志望校が決まっていない高1にとっては、個別試験で要る見込みを残した章だからです。
- 行ってみたい学部が少しでも見えてきたら、その学部を置く大学を二つか三つ選び、令和9年度の入試の要項にある個別試験の数学の欄を読みます。大学が夏までに出す教科・科目の発表か、12月15日までに出る募集要項がそれに当たります。二色目の章の横に、その大学の欄に入っていたかどうかを書き込みます。高2の春からは、予告の知らせも同じ頁で探します。
- 一色目の章は、学校で習い終えた所から、共通テストの過去問の当たる大問だけを解いてみます。たとえば、場合の数と確率の章を終えた冬休みに、令和7年度と令和8年度の『数学Ⅰ,数学A』の第4問を解く、という使い方です。どちらの年度も、第4問は場合の数と確率の大問でした(塾が問題冊子を読んで分けた物で、年度の例です)。高1のうちは時間を計らず、どこで止まったかを答案に書き残せば足ります。
- 二色目の章は、共通テストの過去問ではなく、教科書の章末の問題や、志望校の個別試験の問題で練習します。
保護者の方は、お子さまの教科書の目次に付いた二色の印を、一度見せてもらってください。印の付いていない科目があれば、それはまだ履修の時期を確かめていない科目です。
図2は、教科書の章を一つずつ、この手順のどこへ進めるかをたどる分かれ道です。最初の問いは共通テストの出題の項目に入るかで、入らない章だけが二つ目の問いに進みます。二つ目の問いで志望校の個別試験の数学の欄に入っていれば個別試験の問題へ、入っていないか、まだ志望校が決まっていなければ、授業と定期試験で固める側へ進みます。

一色目と二色目の境目には、少しだけにじむ所があります。たとえば、1から30までの自然数のうち、6と1以外の公約数をもつ数を数える問題を考えます。6と1以外の公約数をもつのは、2か3で割り切れる数です。2で割り切れる数が15個、3で割り切れる数が10個、6で割り切れる数が5個なので、15と10を足して重なりの5を引き、20個になります。使っているのは約数の考えですが、数え方は、数学Aの場合の数と確率に入っている集合の要素の個数の関係です。整数の章が二色目でも、約数や倍数という言葉は、一色目の章の中にも出てきます。
「整数は出ない」から始まる三つの早とちり
一つ目は、「出ないのだから整数の章は軽くてよい」という早とちりです。外れたのは共通テストの出題の項目からで、学校の定期試験からでも、個別試験からでもありません。志望校の個別試験の数学の欄に数学と人間の活動が入っていれば、いわゆる整数問題はそこで正面から問われます。前の節の例のように、約数や倍数の考えは一色目の章の題材にも顔を出します。令和8年度の本試験の『数学Ⅰ,数学A』でも、第1問の前半は集合の問題で、集合を決める条件に公約数が使われていました。
二つ目は、「過去問に整数の大問がある。だから出る」という早とちりです。センターの過去3年分の頁に並ぶ問題のうち、令和6年度(2024年1月)の『数学Ⅰ・数学A』は、今と違う旧課程の出題でした。必答の第1問・第2問のあとに、場合の数と確率・整数の性質・図形の性質の三つの選択問題が並び、そこから2問を選ぶ形です。令和7年度の頁にも、旧課程で学んだ人のための『旧数学Ⅰ・旧数学A』の問題が載っていて、その第4問も整数の大問です。今の形の『数学Ⅰ,数学A』は、令和7年度・令和8年度とも4問がどれも必答で、整数の大問はありません。図3のように、数学Aに当たる40点の中身が、「三つから二つを選ぶ」から「二つとも解く」に変わりました。見分けるときは冊子の科目名を見ます。旧課程は「数学Ⅰ・数学A」と中黒でつなぎ、今の形は「数学Ⅰ,数学A」とコンマでつないでいます。数学②のほうも、令和6年度の『数学Ⅱ・数学B』は60分で、ベクトルが数学Bの側にあり、数学Cはありませんでした。

三つ目は、「文系だから数学Cは範囲の外」という早とちりです。範囲は文系も理系も同じで、数学②を受けるなら、数学Cは初めから範囲の中にあります。しかも、選ぶのは数学Bの二つと数学Cの二つ、合わせて四つの項目から三つです。数学Bの項目は二つしかないので、どう選んでも数学Cの項目を少なくとも一つは解くことになります。逆も同じで、数学Cだけでは三つにならず、数学Bの項目も少なくとも一つは入ります。数学Cを使わずに済むのは、志望校が数学②そのものを求めていない場合で、それは募集要項の一枚目の欄で決まります。
確かめる先と聞き方
数学の範囲の線は年度ごとの文書で引かれるので、確かめ先も「どの年度の、どの欄か」まで決めて持っておきます。
- 大学入試センターの試験情報の頁: 自分の受ける年度の「出題教科・科目の出題方法等」が出たかどうか。出たら、数学の欄にある数学A・B・Cの書き添えが、令和9年度・令和10年度と同じかを読みます。いまの高1は、令和11年度の分が出た日に、最初にここを開きます。
- 文部科学省の高等学校学習指導要領(平成30年告示)の数学: 数学A・B・Cの三つ目の項目に何が書かれているか。整数の扱いは、数学Aの内容の取扱いの欄にあります。
- 志望校の募集要項: 共通テストで求める数学の科目名(『数学Ⅰ,数学A』か『数学Ⅰ』か、数学②まで要るか)と、個別試験の数学の欄の科目名と項目の注。
- 志望校の入試情報の頁: 教科・科目の変更の予告が出ていないか。高2になったら、学期に一度は見に行きます。
- 高校の数学の先生: 「数学Aの三つの項目のうち、授業で扱うのはどれですか」「数学Cと数学Ⅲは何年生で履修しますか」の二つを聞きます。
- センターの過去3年分の試験問題の頁: 解く冊子の科目名が「数学Ⅰ,数学A」か「数学Ⅰ・数学A」か。旧課程の冊子を解いたら、答案にそう書いておきます。
- 大学入試センターの問い合わせ窓口: 出題方法等の書き方の読み方で迷ったときに、文書の名前と欄の場所を伝えて聞きます。
個別指導で確かめること
教科書の目次に付けた二色の印と、志望校候補の数学の欄を並べ、共通テストの過去問で練習する章と、個別試験の問題で練習する章を一枚の表に分けます。過去問の答案は年度と科目名で分けて記録し、旧課程の整数の大問の点が、今の形の点と同じ列に混ざっていないかを確かめます。定期試験の整数の章の答案も見て、間違いが計算の取り違えか、互除法の手順の抜けかを分けて書き、二色目の章をどこまで深く進めるかを決める材料にします。
まとめ
共通テストの数学の範囲は、数学Ⅲを科目ごと、整数を数学Aの項目ごと外し、数学Cはベクトルと平面上の曲線と複素数平面まで入れる、という線で引かれています。この線は、2027年と2028年の試験の文書に同じ書き方で載っていて、高1の年度の分は次の発表を待って確かめます。高1の整数の章に付ける二色目の印は、捨てる印ではなく、行き先を志望校の欄に預けた印です。
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