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志望理由書の終わり方—最後の一文に書くことと、「貴学で学びたい」で締めない書き方|武蔵野個別指導塾

締め切り前夜に最後の1行で止まった下書きも、冒頭の問いへ言い直して戻る一文か、入学後の最初の一歩を書く一文を置けば、研究したい問いと卒業後の行き先をつないで閉じられます。
志望理由書の終わり方は、研究したい問いと卒業後に向かう先をつなぎ、最後の一文で閉じる形にします。最後の一文の作り方は二つあります。冒頭に書いた問いへ、本論で得た言葉に替えて戻る形と、入学してから最初に取りかかる一歩を書く形です。問いと仮説の説明で進んできた下書きなら前者が、授業やゼミや調べ方の話が厚い下書きなら後者が収まります。「ぜひ貴学で学びたいと考えている」や「よろしくお願いします」で締めると、出願したという事実をもう一度言うか、手紙の挨拶を書くかのどちらかになり、最後の1行が何も運ばないまま書類が終わります。その1行を消し、問いか一歩のどちらかに置き換えてください。
よくあるのは、締め切りを明日に控え、ほかの行は埋まったのに、志望理由書の最後の1行が空いたままという場面です。きっかけも、大学でしたいことも、もう書けている。冒頭の問いは先生に一度見てもらった。それなのに最後の行の前でペンが止まり、浮かぶのは「ぜひ貴学で学びたいと考えている」という一文ばかりです。書いては消した跡で、その行の紙が薄く灰色になっている。そこに何を置けば書類が閉じるのかを、順にほどいていきます。
志望理由書の最後は、冒頭の問いと卒業後の行き先を結ぶ場所
志望理由書は、冒頭で研究したい問いを立て、きっかけと高校での取り組みを書き、いちばん厚く「大学でしたいこと」を書いて、最後の段に着きます。最後の段が受け持つのは、ここまでの流れの両端を結ぶことです。一方の端は冒頭の問い、もう一方の端は卒業後に向かう先です。図1のように、最後の段は流れの終点であると同時に、冒頭へ戻る線と、卒業後へ伸びる線が出ていく結び目になります。

いまの高3が受けている入試について、文部科学省の令和9年度の実施要項は、大学入学希望理由書や学修計画書を使う大学が、入学を望む理由と、入ってから学ぶ内容と計画と、卒業の先を見すえた目標を書かせるとしています。大学がこの形で書かせるなら、三つ目の目標の置き場として最も自然なのが最後の段です。ただ、目標を書き込めば閉じるわけではありません。その目標が冒頭の問いから出てきたものだと読めて、はじめて最後の段は結び目になります。問いと目標が別の話に見えると、読み手には、研究の書類と就職の書類を1枚に貼り合わせたように映ります。高2の人が受ける令和10年度の要項はまだ出ていないので、書かせる項目はその年の要項と大学の募集要項で確かめてください。
「ぜひ貴学で学びたいと考えている」が弱いのは、書類を出した時点で読み手がもう知っていることを、最後の行で言い直しているからです。宛先の大学を別の大学に替えても、この一文はそのまま通じます。教室で何人分かの下書きを並べると、題材がばらばらでも、この一文で終わる書類は最後の行がそろって同じ顔をしています。研究したい問いがどれほど個性的でも、最後の行で誰の書類かわからなくなるのは惜しいことです。
「よろしくお願いします」は、さらに遠い所にあります。これは手紙の結びの挨拶で、志望の理由の一部ではありません。志望理由書は、なぜその分野をその大学で学ぶのかを説明する書類です。挨拶で閉じると、最後の1行で書類の種類が、説明から手紙に変わってしまいます。
最後の一文には、もう一つ役目があります。要項は、総合型選抜と学校推薦型選抜で、志望する分野への意欲や適性を見る面接を原則として行うよう定めています(推薦の一部に例外があり、導入までの移行の期間もあります)。本人が書いた書類も、プレゼンテーションなどの場で積極的に使うとしています。面接で書類のどこから話が始まるかは大学しだいですが、最後の一文は、読み手の記憶にいちばん新しい文です。そこに「入学後はまず、路線が減った地区で乗り継ぎの待ち時間を記録する」とあれば、「どの地区ですか」「なぜ待ち時間なのですか」と話を広げる糸口になります。「ぜひ貴学で学びたい」には、広げる糸口がありません。最後の一文は、尋ねられたら続きを話せる中身を、1行に縮めた物として書いておきます。
最後の段は結び目なので、長さは要りません。厚く書くのは本論の「大学でしたいこと」で、最後の段はそこで使った語を拾って結ぶ場所です。新しい中身を運び込む場所ではないと決めておくと、最後の1行の前で迷う時間が短くなります。
最後の一文を5つの手順で作る—冒頭の問いを写すところから
締め切りの前夜でも回せるように、時間はたとえば合わせて50分で組みました。手元に置くのは、いまの下書きと、白い紙1枚と、色の違うペン2本です。図2は、5つの手順と時間の目安を、分の数に比例した長さの帯で並べたものです。

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冒頭の問いを白い紙に写す(5分)。下書きの冒頭の段から、研究したい問いの文を白い紙のいちばん上に写します。写したら、問いの中の名詞に1色目のペンで線を引きます。たとえば冒頭の問いが「バスの路線が減った町で、車を持たない人の外出は何によって決まるのか」なら、線を引くのは「路線」「町」「外出」です。この語が最後の段にもう一度出てくると、冒頭と最後がつながって読めます。冒頭に問いが一文で書けていないと気づいたら、最後の段より先に冒頭を直す番です。最後の一文は冒頭の問いに寄りかかって立つので、土台が無いままでは書けません。
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「大学でしたいこと」の段から、最初の一歩を拾う(10分)。本論の大学でしたいことの段を読み直し、入学してすぐ取りかかれる行動を3つ、白い紙に書き出します。授業や演習で取り組むこと、ゼミで使う調べ方、自分で始める記録などです。書き出したら、手順1の問いにいちばん近い1つに丸を付けます。このとき、本論に書いていない行動を思いついたら、最後の段に置く前に本論へ1文足してください。最後の段に初めて出てくる行動は、読み手には根拠の見えない約束に見えるからです。
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卒業後の行き先を、3つの欄で1文にする(10分)。白い紙に「働く場所」「仕事の中身」「そこで実現したいこと」の3つの欄を作り、1欄ずつ埋めてから1文につなげます。「地域に貢献したい」は、3つのどの欄にも入りません。たとえば「地方の市役所」「公共交通の計画を担当する」「路線を減らす前に、住民の外出の記録を集めて計画に入れる」まで書けて、ようやく問いとつながる行き先になります。欄が埋まらないときは、手順1の問いを見ながら、その問いの答えを使う人がどこで働いているかを考えると手がかりになります。
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最後の一文を2通り書き、下書きの終わりに当てて読み比べる(15分)。下の表の2つの形で1文ずつ書きます。それぞれを下書きの最後に置き、冒頭から通して2回読みます。読み終えたときに問いが閉じた感じのする方を残します。どちらも閉じないときは、手順1で線を引いた語が入っているかを見ます。入っていなければ、2色目のペンで語を足してから、もう一度読みます。
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声に出して読み、面接で尋ねられそうな問いを3つ書く(10分)。最後の段を声に出して読み、その段から面接で尋ねられそうな問いを白い紙の下に3つ書きます。たとえば「なぜ市役所なのですか」「最初に記録する地区はどこですか」「仮説が外れたらどうしますか」です。答えられない問いが残ったら、その問いを生んだ語を消すか、答えを本論に足します。書類に書いたことは、面接で自分の口から説明できる範囲にとどめておきます。
| 最後の一文の形 | 書くこと | 合う下書き | 面接の前に言えるようにしておくこと |
|---|---|---|---|
| 冒頭の問いに戻る | 冒頭の問いを、本論で立てた仮説の言葉で言い直す | 問いと仮説の説明が厚い | 仮説が外れたら、何を確かめ直すか |
| 入学後の最初の一歩 | 入学してすぐ取りかかる行動を、場所や方法の名前つきで書く | 授業・ゼミ・調べ方の話が厚い | なぜその一歩を最初に選ぶのか |
最後の段の全体は、たとえば800字の志望理由書なら3文で160字ほどを、塾で練習に使う目安にしています。決まりではなく、大学の様式や字数の指定が先に立ちます。
| 文の役目 | 書く中身 | 字数の目安 |
|---|---|---|
| 本論を受ける文 | 本論で書いた学びや仮説を、問いの語を使って一言で受ける | 40字 |
| 行き先の文 | 卒業後の行き先(働く場所・仕事の中身・実現したいこと) | 70字 |
| 最後の一文 | 冒頭の問いに戻るか、入学後の最初の一歩を書く | 50字 |
| 合計 | 160字 |
最後の一文に置く形は、手順4で選んだ方です。前の2文の順は下書きに合わせて入れ替えてかまいませんが、最後の一文は段の最後に置きます。行き先の文で卒業後まで進んでから最後の一文で入学後の一歩へ戻ると、時間が逆に流れるように見えますが、「その入り口として」「そのために」と一言でつなげば、行き先から逆にたどった最初の一歩として読めます。200字や400字のように枠が短いときは最後の段を独立させる余裕が少なく、この3文の組み立ては800字前後の枠を前提にしています。
「貴学で学びたい」で終わる結びを、直す前と直した後で比べる
1組目は、決まり文句を重ねて終わる結びです。
【直す前】このように、私はバスの路線が減る町の暮らしについて深く考えるようになった。この経験を通して、身近な地域の問題に目を向けることの大切さを学んだ。貴学の充実した学習環境のもとで多くのことを学び、将来は地域社会に貢献できる人間になりたい。ぜひ貴学で学びたいと考えている。
弱い所は五つあります。冒頭の問いから残っている語が「暮らし」の一語で、問いそのものが消えています。「大切さを学んだ」は感想で、何がわかったのかが書かれていません。「充実した学習環境」は、宛先の大学を替えても通じる言葉です。「地域社会に貢献できる人間」には、働く場所も仕事の中身もありません。そのうえで最後の一文が、出願の事実を言い直して終わっています。
【直した後】時刻表の本数よりも、乗り継ぎの待ち時間と停留所までの坂道が、車を持たない人の外出を決めているのではないか。この仮説を確かめた先で、地方の市役所の公共交通の担当として、路線を減らす前に住民の外出の記録を集め、計画に入れる仕組みを作りたい。その入り口として、入学後はまず地域調査の演習で、祖母の住む町の停留所を一つずつ歩き、待ち時間を記録することから始める。
本論を受ける文で冒頭の問いを仮説の形で受け、行き先の文で働く場所と仕事と実現したいことを書き、最後の一文で入学後の最初の一歩に戻りました。「貴学」の語は一度も出てきませんが、入学後に通う演習の場が書かれているので、その大学で学ぶことは伝わります。演習の名前は、大学のシラバスで実在を確かめてから書きます。
2組目は、挨拶と決意で終わる結びです。
【直す前】以上の理由から、私は貴学を志望する。入学後は努力を惜しまず、どんなことにも積極的に挑戦し、精一杯学んでいきたい。貴学で過ごす4年間を、自分を大きく成長させる時間にしたいと考えている。最後までお読みいただき、ありがとうございました。よろしくお願いします。
「以上の理由から」は本文をまとめ直した言葉で、新しいことが書かれていません。「努力を惜しまず」「精一杯」は決意の言葉で、何をするかが見えません。「自分を大きく成長させる」は、主語が自分に戻っていて、研究したい町も問いも消えています。残りの二文は手紙の結びで、志望の理由の外にあります。五つの文を使いながら、問いも行き先も一度も出てきません。
【直した後】卒業後は地域のバス会社で路線の計画を担当し、便を減らすかを決める前に、沿線の人がどこまで出かけているかを調べる手順を仕事に組み込みたい。そのために4年間で確かめたいのは、冒頭の問いの先にある次の一点である。車を持たない人の外出を決めているのは、時刻表の本数なのか、停留所までの道のりなのか。
こちらは行き先の文を先に置き、最後の一文を問いに戻る形にしました。冒頭で「外出は何によって決まるのか」と書いた問いを、本論で立てた仮説の言葉に替え、二つのうちどちらかを問う形で言い直しています。この形の問いは、本論を読んだ後でなければ出てきません。1組目と行き先が違うのは、市役所とバス会社のどちらでも書けるからで、どちらを選ぶかは本論で書いた学びとのつながりで決めます。
最後の段で起きる3つのつまずき—新しい話、冒頭の写し、「貢献」の一語
最後の一文まで書き終えた下書きにも、赤字が入りやすい所が3つあります。図3は、その3つと直し方を左右に並べたものです。

最後に新しい話を足してしまう
最後の段になって、それまで一度も出てこなかった「高齢の人の孤立」や「車の排気」の話が急に出てくる下書きがあります。書いている側は締めくくりに厚みを足したつもりでも、読み手には、本論で扱わなかった話を最後に投げて終わったように見えます。こう変えます。最後の段の名詞に線を引き、同じ語が本論にあるかを1語ずつ照らします。本論に無い語は消すか、本論のふさわしい段へ移してから、最後の段を本文に出た語で閉じます。
冒頭の文を、そのまま写してしまう
問いに戻る形を選んだときに起きやすいのが、冒頭の一文を一字も変えずに最後に置くことです。冒頭と最後が同じ文だと、間に挟んだ本論が何も足さなかったように読めます。こう変えます。冒頭の問いの語を残したまま、本論で立てた仮説の語を1つ入れて言い直します。「何によって決まるのか」を「乗り継ぎの待ち時間で決まるのか」に絞るように、本論で進んだ分、問いの幅を狭めると、言い直しになります。
卒業後を「貢献」の一語で済ませてしまう
「地域の役に立ちたい」「社会に貢献したい」は、書く側の気持ちとしては本当でも、働く場所も仕事の中身も書かれていないので、問いとのつながりが読み手から見えません。こう変えます。手順3の3つの欄に戻り、働く場所と仕事の中身を名前で書き、その場所で何を実現したいかを1文で添えます。行き先がまだ固まっていなくても、いまの問いを使える仕事を仮に1つ置いて書くことはできます。
よくある質問
志望理由書の結論の書き方は、冒頭で書いた志望の理由と同じでよいですか
冒頭と最後は、同じ物を2回書く場所ではありません。冒頭では研究したい問いと志望の理由を短く示し、最後の段では、その問いが卒業後のどこへつながるかを書きます。たとえば冒頭で、高校の探究の時間にバス停と病院の位置を地図に書き込んだことから問いを立てたなら、最後の段でその地図の話を繰り返す必要はなく、問いの語を使って行き先へ進めば足ります。冒頭と最後に同じ文が二度出てきたら、どちらか一方を書き直してください。
大学の志望理由書の最後に「よろしくお願いします」と書くと、落ちますか
その一文で合否や点がどう動くかは大学が決めることで、書類の側から言えることではありません。言えるのは、挨拶の一文は志望の理由を何も足さず、その行の分、問いと行き先に使える字数が減るということです。大学の様式の記入例に結びの言葉が示されているなら、それに合わせます。記入例が無ければ、挨拶は消して、最後の一文を問いか一歩に替えるのが筋です。
最後の一文のことを面接で尋ねられたら、何を話せばいいですか
最後の一文に書いた一歩か問いの、その先を話します。たとえば最後に「路線が減った地区から通う同級生に、通学の時間を聞き取る」と書いたとします。それなら、何人に聞くつもりか、聞いた答えを何と比べるか、比べた結果を問いのどこに使うかの3つを、自分の言葉で言えるようにしておきます。書類に無い数字や計画を面接の場で初めて出すと、書類と話が食い違って見えることがあるので、話す中身は書いた一文の延長に置きます。答えに詰まりそうな所があれば、提出の前に一文のほうを直しておく方が確かです。
個別指導で確かめること
最初にするのは、冒頭の段と最後の段を左右に並べて読むことです。問いの語が両方に出ているか、卒業後の一文が本論の「大学でしたいこと」から出てきたものか、最後の一文から面接の問いを3つ作ったときに答えが本論にあるかを、1対1で下書きに印を付けながら確かめます。
最後の段を何度直しても閉じないときは、本論の「大学でしたいこと」が薄いか、冒頭の問いがまだ一文になっていないことがよくあります。その場合は最後の1行を空けたまま本論まで戻り、問いと学びを先に固めてから、最後の一文に帰ってきます。
まとめ
最後の段は、冒頭の問いと卒業後の行き先を結ぶ短い結び目です。「ぜひ貴学で学びたい」も「よろしくお願いします」も、その結び目を作りません。問いに戻るか、最初の一歩を書くかを選び、声に出して読み、面接で続きを話せるかを確かめてから清書に移ってください。空いていた最後の1行に入るのは、お礼でも決意でもなく、バスの減った町で確かめに行く問いか、その町へ向かう最初の一歩です。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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