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小論文で「私は〜と思う」は使ってよいか—言い切る文と、推量を残してよい所|武蔵野個別指導塾

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答案に並んだ「思う」を立場・理由・事実・予測・感想・他人の考えの6つに分けて直せば、制服を残すという立場の一文を、根拠を添えたまま迷わず言い切れます。

小論文の書き方で「思う」を使ってはいけない、という全国共通の決まりはありません。文部科学省の令和9年度の実施要項を読んでも、答案の文末の言葉づかいの定めも、それを理由に点を引くという定めも無く、採点の基準は大学がそれぞれ決めます。ただし、1枚の答案に「思う」が何回も並んでいるなら、直す値打ちがあります。立場を述べる文と、理由や確かめた事実の文は「〜である」「〜べきだ」で言い切ります。これから起きることの見込みや、根拠が足りない推測には「〜と考えられる」「〜可能性がある」を残します。「思う」を残したいなら、立場の文で1回使い、すぐ後ろに理由の文を続ける形にとどめるのが、塾で練習するときの目安です。

よくあるのは、1枚の答案に「思う」が9回出てきて、赤の丸が縦に並んだ下書きという場面です。題は「高校の制服は残すべきか」で、書いた人は残す側に立ち、理由も持っています。それなのに読み返すと、「残したほうがいいと思う」「楽だと思う」「大切だと思う」が同じ調子で続き、どの文が主張でどの文が感想なのか、書いた本人にも見分けがつきません。丸の数を減らす前に、9つの「思う」がそれぞれどんな役目をしていたのかを確かめるところから始めます。

「〜と思う」が続く答案で、読み手に見えなくなるもの

「思う」は、その前に書いたことが書き手自身の判断だと示す言葉です。立場の文に1回付くくらいなら害はありません。一つ目の問題は、役目の違う文に同じ「と思う」が付いたときに起きます。制服を残すべきだという立場の文も、服を選ぶ手間が減るという理由の文も、私服にすると朝の支度が長くなるという予測の文も、どれも「〜と思う。」で終わると、文末から役目を読み取る手がかりが消えます。

答案を読んでいる間、読み手は書いた人に「どこまで本気でそう言っているのか」を聞き返せません。手がかりは答案に書かれた文字です。図1のように、直す前の答案では立場も理由も予測も同じ灰色の帯に見え、どの一文を最後まで守るつもりなのかが読み手には見えません。直した後は立場が「べきだ」、理由が「からだ」、予測が「可能性がある」で終わります。文末を拾っていけば、答案の骨組みが追えます。

図1 文末が「と思う」でそろうと、立場・理由・予測の区別が消える

二つ目の問題は、言い切ってよい文に「思う」が付くと、書き手が確かめていないように読めることです。「制服は入学の前にそろえるものだと思う」と書かれると、読み手には、書いた人がその事実に自信を持っていないと受け取られやすくなります。自分の学校で毎年見ていることなら、「そろえる」と言い切って困ることはありません。

三つ目は、もっと根の深い問題です。教室で赤の丸を付けた所を本人と読み返すと、「思う」の直前で理由が途切れている文がたびたび見つかります。「楽だと思う」と書いた人に「何がどう楽なのか」と聞くと、「朝、着る服を考えなくていい」という答えがすぐに返ってきます。その答えこそが理由で、「思う」はそれを書かずに済ませるためのふたになっていました。主張を言うばかりで根拠を並べない文は、言った者勝ちの断言にとどまり、議論にはなりません。逆に言えば、「私は制服を残すべきだと思う。理由は、着る服を毎朝決めずに済むからだ」と、すぐ後ろに理由を置くなら、「思う」が1回あること自体は弱点になりません。

要項の第6の3は、「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」を見る手立ての一つに小論文を挙げ、使うことが望ましいと書いています。「思う」が9回続く答案では、その考えた道のりが、どの文で判断し、どの文で事実を示したのかという形で読み手に届きません。です・ます調の答案なら「〜と思います」が並ぶ形になりますが、起きることは同じで、です・ますとだ・であるのどちらで書くかは問題の注意書きと学校の指導に合わせ、1つの答案の中でそろえておきます。

9つの「思う」を6つの種類に分けて、言い切る文と推量の文に振り分ける

直すのは、清書の前の下書きです。家で直すなら、下の7つの手順で合わせて20分あまりが目安になります。鉛筆と、文末を書き出すための白い紙を1枚用意してください。

  1. 下書きの「思う」に鉛筆で丸を付け、数を右上の余白に書きます(2分)。「思った」「思われる」「思います」も数えます。場面の下書きなら、ここで9と書くことになります。
  2. 丸の1つずつに、種類の頭文字を書き込みます(5分)。種類は、立場・理由・事実・予測・感想・他人の考えの6つです。迷った丸は、その文から「と思う」を外して読んでみて、残った文が何をしているかで決めます。種類と直す先は下の表のとおりです。
  3. 立場の文を1つ選び、「〜べきだ」で言い切ります(2分)。どうしても判断の言葉を残したいなら、「〜べきだと思う」か「〜べきだと考える」のどちらかを1回だけ使い、すぐ後ろに理由の文を続けます。最後の段で立場を言い直すときも、序論と同じ強さの文末にそろえます。
  4. 理由と事実の文を言い切ります(4分)。理由は「〜からだ」「〜ためだ」で閉じます。事実は、自分の学校で見ていることや、資料で確かめたことなら言い切ります。どこで知ったのか言えない一般論は、削るか、「私の高校では」のように自分が見た範囲に絞ります。
  5. 予測の文に推量を残し、何が足りないのかを書き添えます(3分)。「私服にすると、朝の支度が長くなる可能性がある」のように、まだ起きていないことは言い切りません。推量の言葉は1つの文に1つにし、「〜と考えられるのではないかと思う」のように重ねません。
  6. 感想と他人の考えの文を書き換えます(3分)。「制服は大切だと思う」のような感想は、何がどう大切なのかを理由の文で書けているなら削ります。「自由になると思う人もいると思う」は「〜という意見がある」と書き、その意見をどこまで認め、どこから反対するのかの文を続けます。
  7. 文末を縦に書き出して読みます(3分)。白い紙に、各文の最後の5〜6字を上から順に書き、同じ文末が3文続いていないか、立場の文と最後の段の文の強さがそろっているかを見ます。3文という数は、塾で見直しに使っている目安です。
種類 下書きの文の例 直す先
立場 制服は残したほうがいいと思う 「残すべきだ」と言い切る
理由 服を選ばなくてすむので楽だと思う 「〜からだ」で言い切る
事実 制服は入学の前にそろえるものだと思う 確かめたことは言い切り、確かめられないことは削る
予測 私服にすると朝の支度が長くなると思う 「〜可能性がある」を残し、条件を添える
感想 制服は大切だと思う 削るか、理由の文に書き換える
他人の考え 自由になると思う人もいると思う 「〜という意見がある」と書き、応答を続ける

場面の下書きの9つを、たとえばこう分けたとします。立場が1つ、理由が2つ、事実が2つ、予測が1つ、感想が2つ、他人の考えが1つです。事実の2つは、どちらも本人が自分の学校で毎年見ている事柄だったので、言い切る側に入れました。すると図2のように9回の「思う」は、言い切る側が5回、推量を残す側が1回、削るか書き換える側が3回に分かれます。9つの丸が一つ残らず消えるのではなく、予測の1つは推量のまま残る。そこが、この下書きの直しの要でした。

図2 9つの「思う」を6つの種類に分け、3つの直す先へ振り分ける

手順2で種類を決めずに、いきなり手順3から始めると、どの文を言い切ればよいのかが決まらず、「思う」を別の言葉に置き換えて終わりがちです。分けるのに5分かけるのは、そのためです。保護者の方がお子さまの下書きを見るときも、「思うを消しなさい」と言うより、丸の1つずつに頭文字が付いているかを聞くほうが、直しが先へ進みます。

試験の本番では、7つの手順を回す時間はありません。本番で使うのは手順7の見直しで、清書を終えた後に、立場の文と最後の段の文の文末を見るところまでにとどめます。ふだんの練習で6つの種類を分ける目が育っていれば、書いている最中に「この文は事実だから言い切る」「この文は見込みだから推量を残す」と、手のほうが先に決めるようになります。

「私は〜と思う」を直す前と直した後

ここからは、制服を残す側の短い例文を2組使います。1組目は立場と理由、2組目は反対の意見と見込みの書き方です。

直す前(1組目)

私は、高校の制服は残したほうがいいと思う。制服があれば毎朝着る服を選ばなくてすむので、楽だと思う。また、制服は入学の前にそろえるものなので、私服より負担が少ないと思う。だから、私は制服は大切だと思う。

弱い所は4つあります。立場の文が「ほうがいい」と「思う」の二重にやわらげられ、どこまで強く残すと言っているのかが読み手にぼやけて見えます。理由の「楽だと思う」は、何がどう楽なのかが書かれず、気分の話に読めます。「私服より負担が少ない」は、費用を比べた根拠がどこにも無く、書いた本人も確かめていませんでした。最後の「大切だと思う」は、新しい理由を足さない感想です。

直した後(1組目)

高校の制服は残すべきだ。毎朝の服選びという判断を、一つ減らせるからだ。私の高校では、制服は入学の前にそろえ、3年間同じものを着る。そのため朝の支度で迷う時間がなくなり、始業前の時間を小テストの見直しに回せている。

「私は」を立場の文から外しても、誰の意見かは変わりません。費用の比べは家庭によって違い、本人も確かめていなかったので、直した後では消しました。代わりに、自分の高校で見ている事実を言い切り、その事実から朝の時間という具体へつないでいます。立場の文の後ろには理由が、理由の後ろには事実が続き、言い切った文がそれぞれ次の文に支えられています。

直す前(2組目)

制服をなくせば、好きな服を着られて自由になると思う人もいると思う。しかし私は、私服にすると、毎日の服装で悩む人が増えると思う。それに、制服がなくなると、行事のときなどに学校の一体感もなくなってしまうと思う。

ここでは「思う」が4回出てきますが、直し方は1か所ずつ違います。1文目は他人の考えに「思う」が二重に付き、誰の意見なのか、書き手がそれをどこまで認めるのかがぼやけています。2文目は見込みなので、推量を残すこと自体は合っていますが、なぜ悩む人が増えるのかが書かれていません。3文目の「一体感」は、何を指すのかを本人も説明できず、なくなると言える根拠も持っていませんでした。

直した後(2組目)

制服をなくせば、服装で自分を表す自由が広がるという意見がある。この自由が小さくないことは認める。しかし私服にすれば、何を着ていくかという判断が、生徒全員に毎朝かかる。服装について学校が新しい決まりを作る必要も出てくる可能性がある。自分を表す場は、部活動や文化祭の発表のように、服装の外にもある。

反対の意見は「〜という意見がある」と書き、認める所を一文で示してから「しかし」で自分の側へ戻しました。私服にすれば毎朝の判断が全員にかかるのは、仕組みから言えることなので言い切ります。新しい決まりが要るかどうかはまだ起きていないことなので、「可能性がある」を1か所に残しました。確かめようのなかった「一体感」は削っています。

「考える」への置き換え、言い切りすぎ、推量への逃げ

「思う」を減らそうとしたときによく見かけるつまずきは、次の3つです。どれも、丸の数を減らすことが目的になると起きやすくなります。

一つ目は、「思う」を「考える」にそのまま置き換えてしまうことです。9回の「思う」が9回の「考える」になっても、文末がそろって役目が見えない状態は変わりません。「考える」は、自分の判断だと示したい立場の文で1回使えば足ります。置き換えたくなったら、手順2に戻って頭文字を付け直してください。

二つ目は、勢いで確かめていないことまで言い切ってしまうことです。「制服のある学校のほうが勉強に集中できる」と言い切ると、読み手には「どこで確かめたのか」という問いが残ります。図3の左端の「〜である」「〜べきだ」は、立場と理由と確かめた事実のための文末で、比べた結果をまだ確かめていない文や見込みの文に使うものではありません。真ん中の「〜と考えられる」「〜可能性がある」が、予測のための文末です。自分の高校で見たことに絞るか、「〜可能性がある」まで下げるか、それもできないなら削ります。

図3 言い切りから推量までの文末の強さと、使わない所

三つ目は、推量を重ねて立場から逃げてしまうことです。「制服は残したほうがよいのではないか」「どちらの考えにも一理あると言える」と書くと角は立ちませんが、書き手がどちらに立つのかが読み手には見えなくなります。意見を問われた小論文は、どちらかの立場にはっきり立って書くものです。道徳的にふさわしい側を選ぶ必要はなく、筋道が通っていれば、残す側でもなくす側でもかまいません。図3の右端の「〜ではないか」は、立場の文には使いません。反対の意見に一理あると感じるなら、それを認める文を一つ書き、そのうえで自分の立場を言い切ります。

よくある質問

「思う」を使うと減点されると学校で言われました。本当ですか

全国で共通の減点の決まりはなく、答案をどう採点するかは大学が決めます。受ける大学の答案の扱いを知りたいときは、問題用紙の注意書きと募集要項を読みます。そのうえで、学校の先生が「思うは使わない」と言うなら、練習の答案ではその約束を守って書いてみてください。たとえば制服の題で「思う」を封じて書くと、どの文に理由が足りなかったのかが、手の止まる所ではっきりします。

「私は」を書かないと、誰の意見かわからなくなりませんか

小論文の答案は書き手一人の意見なので、文ごとに「私は」を置かなくても、誰の意見かは伝わります。「私は」を書くのは、立場の文と、反対の意見を紹介した後に「しかし私は」と自分の側へ戻る所の2か所くらいが目安です。一人称は「私」がいちばん無理がなく、「僕」は話し言葉の調子が出やすく、「自分」は誰を指すのかがあいまいになる文があります。たとえば制服の夏服と冬服の切り替えについて書いた段落で「私は」が3回続いていたら、2回目と3回目を外して読み直してみてください。

言い切ると、偉そうな答案に読まれませんか

偉そうに読まれやすいのは、言い切った後に理由が無い答案です。「制服は残すべきだ」の後ろに、なぜそう言えるのかの文が続いていれば、読み手には、書き手が自分の立場を引き受けて書いていると受け取られます。反対の意見を認める一文が入っていれば、独りよがりにも読まれにくくなります。答案をやわらかく見せたいなら、文末を弱めるより、反対の意見に触れる一文を足すほうが効きます。

個別指導で確かめること

1対1で下書きを見るときは、「思う」に丸を付ける所までを書いた本人に任せ、余白の頭文字がどの種類になっているかを一緒に読み合わせます。立場の文が推量のまま残っていたら、序論まで戻って、残すのかなくすのかを決め直してもらいます。事実の「思う」には、どこで知ったのかを聞き、答えが出てこないものはその場で消します。

推量を残した文が、見込みとして筋が通っているかもここで確かめます。直した下書きは文末を縦に書き出した紙と一緒に持ち帰ってもらい、新しい題の答案でも同じ目で読めるかを次に見ます。

まとめ

直しの出発点は、丸の数を減らすことではなく、丸の1つずつに「立場」「理由」「予測」といった役目の名前を付けることでした。役目が決まれば、言い切る文と推量を残す文は自然に分かれます。「制服は残すべきだ」と言い切れるかどうかを決めるのは、文末の言葉そのものではなく、その次に置く理由の一文です。

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