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指定校推薦の小論文・作文・レポート—当日書く文章と事前に出す課題の違い|武蔵野個別指導塾

当日その場で書く小論文と、出願前に家で仕上げる課題レポートは、準備の順番がまるで違います。令和9年度の要項が小論文に求める条件と、書いた文を面接で問われる前提の仕上げ方を順に追います。
当日の会場で書く小論文や作文は、題をその場で受け取り、決められた時間の中でどう考えを組み立てたかを見られる文章です。事前に出すレポートは、題を先に知り、調べて考えて仕上げてから出す文章で、出した中身を面接で問い返されても自分の言葉で説明できるところまでが準備に入ります。どちらの形なのか、何字を何分で書くのかは、高校に届いた大学の書類の中にしか答えがありません。令和9年度の要項は、小論文を教科の知識を確かめるだけの場にしないよう、大学に求めています。
| 項目 | 令和9年度の文部科学省の文書で言えること |
|---|---|
| 学力をみる方法 | 調査書と推薦書に加えて、教科の個別テスト、共通テスト、小論文・面接の類、資格・検定のどれか 1 つ以上を使い、募集要項で示す(大学入学者選抜実施要項 第3の1(3)②) |
| 小論文に求めること | 考えを筋道立てて組み立てる力と、それを伝える力をみる。教科の知識を小論文の体裁で問うだけにしない(同 第6の3) |
| 本人が書いて出す資料 | 学校推薦型でも、本人が書いた資料をもとにしたプレゼンテーションなどで積極的に使うよう求めている(同 第6の5(3)) |
| 出願の前に出す課題 | 講義を受けて課題を出すことなどを出願の条件にするのは、受付の前でもできる。評価と判定は願書の受付日から後。課題の成績を出願後の評価に加えるなら募集要項に書く(同 Q&A Q4-2) |
| 出願の受付 | 学校推薦型は 2026年11月1日から後(同 第4の5) |
よくあるのは、10月の終わりに進路の先生から大きな封筒を受け取り、出願の書類を一枚ずつめくっていくと、いちばん下から「課題レポート」と刷られた用紙が出てくる場面です。題は一行だけで、その下に罫線の枠が続きます。家に帰って机に広げると、締め切りの日付は書いてあるのに、当日にも作文の試験があるのか、調べた本の名前を書いてよいのか、誰かに読んでもらってよいのかは、用紙のどこにも見当たりません。ペンを持ったまま、どこから手をつけるかを決められずに夜が過ぎていきます。
令和9年度の要項は、書く試験と事前の課題をどう扱っているか
先に呼び名をそろえます。指定校推薦は、大学が高校ごとに枠を示し、その高校の校長の推薦を受けた生徒が出願する入り方を指して、学校や塾が使ってきた呼び名です。文部科学省の要項の言葉では学校推薦型選抜の中に入り、高校と組んで丁寧に組み合わせる非公募型で、受かったら入学すると約束して受けるもの、という書き方で触れられています。要項に「指定校推薦」という見出しが立っているわけではありません。
令和9年度の要項は、学校推薦型選抜について、調査書や推薦書を読むだけで終わらせず、学力をみる方法を少なくとも一つ使うよう大学に求めています。選べる方法は四つの系統に分かれ、教科ごとの個別テスト、共通テスト、小論文や面接や実技検査の類、資格・検定の成績のうち、どれを使うかを募集要項に書くことになっています。小論文はこの中の一つの選択肢であって、決まりの上では、小論文を課さずに別の方法を選ぶこともできます。面接も要項は原則として求めていますが、入学を確約して受ける非公募型については、面接を置くかどうかを大学が実情に応じて決められるとしています。自分の出願先に書く試験があるかどうかは、決まりから推し量るものではなく、書類を開いて初めてわかるものです。
小論文の役目について、要項の第6の3は、入学志願者の「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」と、考えた道筋や結果を的確に伝える力を、多角的にみるためのものだと位置づけています。同じ並びに挙がっているのは、エッセイ、口頭試問、ディベート、集団討論、プレゼンテーションなどです。そのうえで、こうした方法が教科の知識を問うだけのもの、たとえば知識の問題を小論文の体裁で出すようなものにならないよう、大学に注意を促しています。知識がいらないという意味ではありません。授業で身につけた知識を材料にして、自分はどう判断するのかを書く文章が求められている、と読むのが筋です。
事前に出す課題については、文部科学省のQ&A(Q4-2)が手がかりになります。講義の受講や、それにもとづく課題の提出を出願の条件にすることは、出願の受付が始まる前でも妨げないとしています。一方で、選抜としての評価や判定そのものは願書の受付日から後に行うものとし、課題の成績を出願の後の評価に加える場合は、そのことを募集要項に書いておく必要があるとしています。要項の第13の7にも、オンラインの模擬授業を受けてその内容についてレポートを出す形が、工夫の例として出てきます。届いた課題が「出さないと出願できない条件」なのか「出願の後に点をつける材料」なのかは、募集要項の選考方法の欄が区別の手がかりになります。
もう一つ見ておきたいのが、本人が書いて出す資料の扱いです。要項の第6の5は、総合型選抜や学校推薦型選抜では、本人が書いた資料をもとにしたプレゼンテーションなどで積極的に活かすよう求めています。例に挙がっているのは活動報告書や入学希望理由書などで、事前のレポートが同じ扱いになるかは大学の書き方しだいですが、書いて出した文章が口頭で問い返される場面を想定しておく理由はここにあります。また第13の6は、記入した事項や出す書類に偽りがないこと(真正性)を確保する点を、募集要項などで周知するよう大学に求めています。

図1のように、当日の文章は時間の中で考える力に、事前の文章は仕上げたあとに語れる力に、重心が移ります。どちらも最後は面接の準備につながる、という点は同じです。なお要項は、小論文のテーマや口頭試問の内容を公表することも「望ましい」として大学に勧めています。義務ではなく勧めなので、公表しているかどうかは大学ごとです。高2の人が受けるのは令和10年度の選抜で、その要項は公表前です。公表されたら、第6の3と第6の5の文言を自分で開き直してください。
何を何字で、いつまでに、誰を通して出すか——大学と高校で変わる部分
決まりで言えるのはここまでで、その先の具体は大学ごと、高校ごとに変わります。文章の試験に限っても、違いうる点は次のとおりです。
- 書く形: 当日の小論文だけか、事前のレポートだけか、その両方か。文章の試験がなく面接だけということもありえます。
- 呼び名: 小論文、作文、レポート、エッセイ、課題論文など。呼び名が同じでも、求める中身が同じとは限りません。
- 長さと時間: 何字以内か、何字以上か、試験時間は何分か。この数字は、書類に書かれたものだけを使います。
- 書き方の条件: 手書きか、パソコンで打って印刷するか。原稿用紙か罫線の用紙か。題に資料文や図表がついているか。
- 調べ方の条件: 本やインターネットを使ってよいか、使ったものをどう書き添えるか。
- 出し方: 出願の書類と一緒に高校がまとめて送るか、本人が送るか、ウェブで出すか。高校の中の締め切りが、大学の締め切りとは別に決まっているか。
呼び名よりも頼りになるのは、題の下に書かれた指示の言葉です。「あなたの考えを述べなさい」とあれば立場を決めて理由を示す文章、「経験をふまえて書きなさい」とあれば自分の出来事を材料にする文章、「読んで要約したうえで」とあれば前半に要約の段が要る文章になります。用紙の見出しが「作文」でも、指示が考えを求めていれば、書くべきは考えです。逆に「小論文」とあっても、指示が体験を求めていれば、体験を軸に組み立てます。
校内選考の段階で作文や志望理由を書かせるかどうかも高校ごとで、こちらの読み手は高校の先生です。大学に出す文章は、大学の教員が読みます。同じ題材を使い回すこと自体は悪くありませんが、読み手が変われば、学部の学びへのつなげ方を厚くする必要が出てきます。また、合格の後に大学から出されることがある入学前の課題は、ここで扱っている出願のための文章とは別のものです。
自分の場合を知るために見る物は四つあります。一つ目は高校に届いた大学の書類で、募集要項の「選考方法」と「提出書類」の欄、そして課題の用紙の注意書きです。注意書きを読み落とさないよう、用紙の裏まで確かめます。二つ目は校内の推薦の要項で、高校の中の締め切りや、下書きを先生に見てもらう手順が書かれていないかを見ます。三つ目は大学のウェブサイトで、過去の小論文のテーマを公表しているかどうかを見ます。四つ目が進路の先生との面談で、書類を読んでもわからなかった点を質問の形にして持っていきます。
先輩の年に出たテーマを高校が記録しているかどうかも、高校によって違います。記録があっても、年度が変われば題も形式も変わりうるので、正とするのは今年届いた書類です。書類を読んで疑問が残り、大学に問い合わせたくなったときは、その前にまず高校の先生に相談してください。
用紙が届いた夜から、出願の封をするまでにやること
当日の小論文でも事前のレポートでも、準備の骨組みは変わりません。届いた夜に1だけは済ませ、あとは図2の番号の順に一つずつ片づけていきます。

- 用紙と書類のコピーを取り、条件を一枚の紙に写します。何字で書くか、時間、用紙の種類、手書きかどうか、締め切り、出し先、調べたものの書き方。書類に無い項目は空欄のまま残し、先生への質問に回します。
- 題を言葉ごとに分けます。たとえば題が「地域の公共交通をどう守るか」なら、「地域」は自分の住む町のことか広い話か、「守る」は誰にとっての何を守るのか、と小さな問いに割ります。そのうち題が答えを求めているのはどれかに印をつけます。
- 学部のアドミッション・ポリシーと、1年生の授業の名前を読みます。題がその学部の学びのどこにつながるかを、一行で書いておきます。
- 材料のメモを作ります。授業で習ったこと、総合的な探究の時間で調べたこと、部活や生活の中で見たことから、題につながるものを書き出し、使う材料を二つか三つに絞ります。調査書や志望理由書に書いたこととずれていないかも、ここで照らし合わせます。
- 下書きを書きます。結論を先に一文で置き、理由と材料をつなぎ、反対の立場から出そうな疑問に一度答えてから結びます。
- 読んでもらって直します。誰に、いつまでに見てもらえるかは高校の指示に従います。直された箇所は、なぜそう直すのかを自分で説明できる形に書き換えます。
- 清書して控えを取ります。出す前にコピーを取り、面接の前日にもう一度読めるようにしておきます。
たとえば、用紙が届いた日を1日目、高校の中の締め切りを15日目とします。1日目に1を、2〜3日目に2と3を、4〜5日目に4を、6〜8日目に5を、9〜11日目に6を、12〜13日目に7を済ませると、残る2日が書き損じや先生の都合に備える余白になります。使う日数を足すと 1 + 2 + 2 + 3 + 3 + 2 で13日、15日から13日を引いた2日が余白です。締め切りまでの日数が短ければ、削るのは5と6の日数ではなく、2と3を一晩でまとめるほうです。
当日の小論文があるときは、書類に書かれた制限時間をそのまま使って練習します。時間を三つに区切り、最初の区切りで題を分けて材料を書き出し、真ん中の長い区切りで書き、最後の短い区切りで読み直す、と配分を先に決めておくと、本番で時計を見て慌てずにすみます。題は、大学が過去のテーマを公表していればそれを使い、無ければ学部の学びにつながる身近な問いを自分で立てます。手書きなら、本番と同じ種類の用紙に書きます。書き終えた答案は、その日のうちに直す点を一つだけ決め、次の答案ではそこだけを意識して書きます。
最後の一歩は、どちらの形でも同じです。書いた文章から、聞かれそうな問いを三つ作ります。「なぜその結論にしたのか」「反対の意見を言われたらどう答えるか」「入学してから、その問いをどの授業で深めたいか」。この三つに、原稿を見ずに一分ずつ話せるかを家族の前で試すと、文章が借り物になっていないかがすぐにわかります。保護者の方は、内容の良し悪しを判定するより、お子さまが言葉に詰まった箇所に印をつけて返すほうが役に立ちます。
「指定校の作文は形だけ」は本当か——思い込みと、読み手に届かない答案
一つ目の思い込みは、「指定校推薦なら、作文や小論文で落ちることはない」というものです。校長の推薦を受けたあとも、合否を判定するのは大学です。小論文や作文が募集要項の選考方法に書かれていれば、それは判定の材料の一つになります。指定校推薦だけを数えた不合格の割合は公式には出ていないので、「ほぼ受かる」「落ちるのは一部だけ」という言い方には根拠がありません。
二つ目は、「レポートは、調べたことを多く詰め込むほど評価される」というものです。要項は、小論文などを知識の確認の場にしないよう求めています。調べた事実は、自分の判断を支える根拠として置いたときに初めて働きます。事実を並べただけで結論の無いレポートは、題に答えていません。
三つ目は、「事前の課題なら、誰かに直してもらって完璧な形で出せばよい」というものです。大学は出す書類の真正性を確かめる立場にあり、面接で中身を問い返されることもあります。他の人の言葉で整えた文は、口で説明しようとした瞬間に崩れます。どこまで手を借りてよいかは、大学の書類と高校の指示に従います。生成AIの扱いも同じで、決まりは書類と先生に確かめます。
読み手に届きにくい答案には、決まった型があります。
- 題が求める問いに答えず、関連する話を広げて終わる。
- 調べた事実や数字を並べ、自分の判断が最後まで出てこない。
- 調査書や志望理由書、推薦書に書かれる内容と食い違う話をする。
- 分量、用紙、締め切りの条件を一つでも外す。
- 書いた本人が言い換えられない、借りてきた言い回しが続く。

図3のように、出す前に三つの問いを上から順に通すと、この型に自分で気づきやすくなります。題に答えていなければ題を読み直し、自分の学びとつながっていなければ材料のメモに戻り、口で説明できなければ自分の言葉に書き直します。三つとも「はい」になった文章だけを封筒に入れます。
高校の先生に確かめる質問
面談には大学から届いた書類を持っていき、次の問いを順に読み上げるだけでも話は進みます。
- 大学から届いた書類では、文章の試験は当日の小論文・作文と事前のレポートのどれになっていますか。書かれているページを一緒に見ていただけますか。
- 何字で書くか、時間、手書きかどうか、用紙の種類のうち、書類に書かれていない点があれば、どう確かめればよいですか。
- 課題のレポートは、高校がまとめて大学へ送りますか、それとも自分で送りますか。高校の中の締め切りはいつですか。
- 下書きを先生に見ていただくことはできますか。どなたに、いつまでに出せばよいですか。
- 調べた本や資料を使ったとき、出どころの書き方について、大学の書類や高校に決まりはありますか。インターネットや生成AIの使い方についてはどうですか。
- 書き損じたときに用紙の替えはもらえますか。訂正のしかたに決まりはありますか。
- 先輩の年の小論文のテーマや形式を、高校で記録していますか。見せていただくことはできますか。
- 校内選考で出した志望理由や作文と、大学に出す文章の中身は、そろえておいたほうがよいですか。
個別指導で確かめること
教室では、届いた用紙から写した条件の一覧と、時間を測って書いた答案を並べ、題に答えているか、材料が調査書や志望理由とずれていないかを一緒に読みます。下書きに赤を入れるときも、直す理由を本人が言えるところまでで止め、代わりに書くことはしません。仕上がった文章から面接の問いを三つ出し、原稿を見ずに答える練習までを一続きで行います。当日の小論文がある場合は、書類の制限時間で書いた答案を一枚ずつ残し、前の答案で決めた直す点が次の答案で直っているかを見比べます。
まとめ
当日の小論文は、知らない題を前に時間の中でどう考えたかを、事前のレポートは、仕上げた文章をあとから自分の口で語れるかを見られます。封筒が届いた夜は、まず条件を一枚の紙に写すところから始めてください。出す前の最後の確かめは、書いた紙を伏せて、その中身を一分で家族に話せるかどうか、その一点にかかっています。
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