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指定校推薦の推薦書は誰が書くのか—学校長の名前で出る書類と、記載責任者に渡す材料|武蔵野個別指導塾

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宛先は大学の学長、名義は高校の校長、末尾には記載責任者の欄。担任に「メモで出して」と頼まれたら、学力の三要素の箱に日付つきの事実を分けて渡すと先生の筆が進みます。

大学に名指しされた高校の校長が、この大学で学べると見込んだ生徒を推して出願させる。学校推薦型選抜のうちのこの形が指定校推薦で、その出願で大学に届く推薦書は、生徒ではなく高校が作る書類です。文部科学省が示すイメージ例では、名義は校長、宛先は大学の学長で、末尾に記載の責任を負う人の名を書く「記載責任者」の欄があります。下書きをどの先生が受け持つのか、仕上がった文面を本人が読めるのかは要項に決まりがなく、高校ごとに違います。担任に頼まれるメモは推薦書の原稿ではなく、先生が推薦理由を書くための材料です。

何についての決まりか 令和9年度の文書に書かれていること どの文書か
名義と宛先 学校名と学校長名を記し、大学の学長に宛てて出す 令和9年度 実施要項 参考様式1(推薦書のイメージ例)
推薦理由の中身 学部のアドミッション・ポリシーに照らし、本人の学習歴と活動歴をふまえた学力の三要素の評価を書く 令和9年度 実施要項 第3の1(3)③
もう一つの記載 努力を要する点など、その後の指導で特に配慮の要ることがあれば、その中身も書く 令和9年度 実施要項 第3の1(3)③
記載責任者 イメージ例の最後に、校長名とは別の欄として置かれている 令和9年度 実施要項 参考様式1
様式の扱い あくまで見本で、文言や欄は大学が変えてよく、押印の要否も大学が決める 令和9年度 実施要項等のQ&A Q推-1

よくあるのは、放課後の職員室の前で担任から「推薦書に書くことをメモで出して」と言われ、うなずいて教室に戻ったところで手が止まる、という場面です。何を、どれだけ、どんな言葉で書けばいいのか。自分をほめる文を並べるのは気恥ずかしく、先生が書く書類に口を出すのも筋違いな気がする。机の上には白い紙と、3年分の通知表の写しが一冊あるだけです。

令和9年度の要項が推薦書に求めていること

令和9年度の大学入学者選抜実施要項で推薦書が出てくるのは、学校推薦型選抜の留意点を並べた第3の1(3)の③です。中身は二本立てになっています。一本目は、志望する大学・学部のアドミッション・ポリシー(どんな力を持つ学生に来てほしいかを大学が書いた方針)に照らして、本人の学習歴と活動歴をふまえた学力の三要素の評価。二本目は、努力を要する点など、その後の指導で特に気を配ってほしいことがあれば、その中身です。なお、要項は「指定校推薦」という呼び名を使っていません。推薦書の決まりは学校推薦型選抜の全体に掛かるもので、指定校推薦のためだけの様式が要項に用意されているわけではありません。

学力の三要素は、要項の冒頭の基本方針に並んでいます。土台になる知識と技能。その知識を使って自分で課題を見つけ、調べて解き方を探り、結果を人に伝えるための思考力・判断力・表現力。そして、自分から動き、いろいろな人と力を合わせながら学ぶ態度。推薦理由の欄は、この三つを志望学部の方針の言葉に結びつけて書く場所です。成績がよい、まじめだ、という言葉だけでは、三つのどれにも届きません。

要項の後ろに付いた推薦書のイメージ例(参考様式1)から、主な欄を抜き出したのが図1です。上から、大学の学長あての宛名、学校名・学校長名、推薦する旨の一文に続く志望学部・学科と、フリガナつきの氏名。紙面の大半を占めるのが推薦理由の欄で、そこに添えられた注意書きは、学力の三要素の評価を書くよう求めています。配慮を要する点は、要項の本文では、あれば書くものとされていますが、イメージ例のどこに書くかまでは示されていないので、図1では点線の枠で添えました。最後に置かれるのが記載責任者の欄で、校長の名とは別に、書かれた中身に責任を負う人の名が残る作りです。

図1 推薦書のイメージ例の主な欄を、宛名から記載責任者まで並べた見取り図

ただし、図1はあくまで見本です。令和9年度の要項のQ&A(Q推-1)の答えは三点です。イメージ例を大学が必ず使う必要はない。文言や欄は大学の判断で変えてよい。押印が要るかどうかも大学が決める。出願先の大学が高校に送ってくる推薦書の用紙は、欄の分け方も注意書きも図1と違うことがありえます。実物を見ないうちに「推薦書とはこういう紙だ」と決めてかからないことです。

書く人の区別については、要項にもう一つ手がかりがあります。第6の5は見出しで、本人が書く資料と、高校に記載を求める資料を書き分けています。本文が「志願者本人が記載する資料」の例に挙げるのは、活動報告書・大学入学希望理由書・学修計画書です。そして先のQ&Aは、推薦書のイメージ例を、大学が高校に作成を求めるものと位置づけます。いわゆる志望理由書は本人の側、推薦書は高校の側。ここが、誰が書くのかという問いへの答えの芯です。

同じく高校が出す調査書のほうは、作る順番まで記入上の注意の3に書き込まれています。ホームルームの担当の先生などが下書きし、先生たちの委員会にかけ、校長が仕上げて責任を持って出す、という流れです。推薦書には、それに当たる手順の文がありません。名義が校長で、末尾に記載責任者が立つ。要項から言えるのはそこまでで、下書きの担い手から先は、それぞれの高校が決めることになります。また、推薦書がどれほど丁寧でも、それ一枚で判定が終わるわけではありません。出願書類とは別に、大学は四つの評価の道具のどれか一つ以上を必ず使います。教科のテスト、共通テスト、小論文や面接など、資格や検定の四つです。

下書きの担い手も、本人が読めるかも、高校の中で決まる

推薦書の下書きをするのが担任なのか、進路の担当の先生なのか、志望分野の教科の先生なのか、あるいは何人かで分けて書くのか。外からは見えませんし、要項のどこにも書かれていません。メモを集めるのが担任だからといって、担任が最後まで書くとは限らず、記載責任者の欄に入る名前が担任だとも限りません。わからないところを推測で埋めず、メモを渡すときに聞けば済む話です。

仕上がった推薦書を本人が読めるかどうかも、高校の扱いです。事実の誤りがないか本人に確かめさせる高校があってもおかしくはなく、本人に見せない扱いの高校があっても決まりには反しません。どちらの扱いでも、本人にできるのは、正確な材料を先に渡しておくことです。読めない書類の中身を良くする手段は、渡す前のメモしか残っていません。

メモの形も高校によって違います。専用の用紙を配るのか、分量を決めるのか、データで出させるのか、面談で聞き取るのか。締め切りの置き方も学校の予定しだいです。決まった用紙があるなら、それに従うのが先で、指定がないときに限って、あとで述べるA4で1枚の形を使ってください。校内選考の申込で書いた志望理由と、推薦書のためのメモは、読み手も役目も違う書類だと考えておきます。前者は校内で誰を推すかを決めるため、後者は大学に宛てた推薦理由の材料です。

大学の側にも違いがあります。Q推-1のとおり、推薦書の用紙は大学が作り変えてよいので、推薦理由の欄が項目ごとに区切られていたり、注意書きの言い回しが違ったりすることがありえます。指定校の出願の書類は高校に届くので、その用紙を最初に見るのは高校の先生です。もう一つ大学ごとに違うのが、アドミッション・ポリシーの中身です。要項の第2が大学に求めているのは、方針を抽象的な人物像で終わらせず、高校で履修しておいてほしい科目や持っていてほしい資格まで挙げて、入学前に何をどこまで学んできてほしいのかを具体的に書くことです。推薦理由が結びつく先はこの方針なので、学部が変われば、同じ生徒でも前に出すべき材料が入れ替わります。

自分の場合を知るために見る物は、次の五つです。

時期も、自分の高校の予定表で確かめます。令和9年度の学校推薦型選抜では、大学が願書を受け取ってよいのは2026年11月1日からと要項が決めています。推薦書はその出願に校長の名義で添える書類なので、メモの締め切りはそれより手前に来ます。何月何日かを決めるのは高校です。高2の学年が受けるのは令和10年度の選抜で、その年の要項はまだ公表されていません。推薦書の扱いに手直しが入るかどうかは、公表を待って読み比べてください。

担任に渡すメモを、6つの手順で1枚にまとめる

ここからは、「推薦書に書くことをメモで出して」と言われた日の夜から始める手順です。図2のように、6つの手順を1から順に進め、最後に1枚にして渡します。高校から用紙や書き方の指定があれば、そちらを優先してください。

図2 先生に渡すメモを6つの手順で組み立てる流れ

手順1 求める力に線を引く

志望学部のアドミッション・ポリシーを印刷し、入学までに身につけてほしい力や、高校で学んでおいてほしい科目にあたる言葉に線を引きます。線は2〜3か所で足ります。たとえば方針に「身近な現象を数量でとらえ、根拠を示して説明できる人」とあれば、「数量でとらえる」と「根拠を示して説明する」の二つが、あとで材料を結びつける先になります。指定校の一覧にある条件の欄も、同じ紙に書き写しておくと照らし合わせが楽になります。

手順2 材料を書き出す

次に、高1から今までの事実を、いつ・何を・どうした・何が残ったか、の形で書き出します。通知表、授業で書いたレポート、総合的な探究の時間の発表資料、部活や委員会の記録、資格や検定の証明書を机に並べてください。要項の活動報告書のイメージ例が挙げる欄(学内の活動、学外の活動、課題研究、資格・検定)は、書き漏らしを防ぐ点検表として使えます。資格は名称と級やスコア、取った年月を、証明書の表記どおりに写します。この段階ではまだ選ばず、思い出せる分を全部出します。

手順3 三つの箱に分ける

書き出した材料を、学力の三要素の三つの箱に振り分けます。たとえば次のような分け方です。

一つの材料が二つの箱にまたがってもかまいません。反対に、どの箱にも入らない材料は、無理に押し込まずに外します。

手順4 方針の言葉と結ぶ

箱ごとに、手順1で線を引いた言葉と材料を一行で結びます。先の例なら、横断歩道の観察は「数量でとらえる」に、散布図の学習は「根拠を示して説明する」につながります。結ぶ一行は「〜なので、〜に当たると考えます」程度の短さで十分です。推薦理由を文章に仕上げるのは高校の側で、メモの役目は、大学の方針と生徒の事実を突き合わせる先生の手間を減らすことにあります。結べる言葉が見つからない箱は、正直に空けておきます。空いた箱は、面接の準備で埋める課題として残ります。

手順5 弱みと手当てを添える

要項は推薦書に、努力を要する点など、その後の指導で気を配ってほしいことがあれば書くよう求めています。だからメモの終わりに、自分で弱いと思う点を一つと、それに対して打った手を添えます。たとえば、高1の化学基礎で計算問題を落とし続け、高2から間違えた問題を週に一度解き直す時間を決めた、という書き方です。書くかどうか、どう書くかを決めるのは高校の側ですが、手当てまで本人の言葉で伝わっていれば、先生は事実に即して書けます。体調で休んだ時期がある人は、メモにどう書くかを先に先生と相談してください。家族の仕事や信条のように、本人の力と関係のないことは書く必要がありません。

手順6 照合して渡す

最後に、メモの中身を手元の書類と突き合わせます。活動の名前と日付は記録どおりか。校内選考で出した志望理由と話が食い違っていないか。資格の級や取得の年月は証明書と同じか。用紙の指定がなければA4で1枚にまとめ、三つの箱、方針との結び、弱みと手当ての順に並べると先生が読みやすくなります。渡すときは「事実の確かめが要るときは、この記録を見てください」と一言添え、写しを自分の手元に残します。推薦書の文面を本人が読めない高校でも、渡したメモの写しがあれば、面接で話す中身を推薦書の材料とそろえられます。

保護者の方にできるのは、お子さまの代わりに書くことではなく、日付の思い出しを手伝うことです。家族の予定表や写真で、大会や発表の時期を確かめるだけでも、メモの正確さは上がります。文面に手を入れたくなったら、その気持ちを質問に変えて、お子さまに「この活動で何が変わったの」と聞いてみてください。

推薦書をめぐる三つの早合点

一つめは「推薦書は自分で書いて、先生に判を押してもらうもの」という思い込みです。図3のように、その書類が誰の名前で出るかで分けると迷いません。本人の名前で出る大学入学希望理由書などは自分で書く。校長の名前で出る推薦書は高校が作る書類なので、本人は材料を渡す側に回ります。推薦書の側に回ったら、次にするのは、メモの様式の指定を先生に聞くことです。用紙や分量を高校が細かく決めていればそれに従い、どの形でも、本人は事実を正確に書くことに力を注ぎます。

図3 誰の名前で出る書類かで、自分で書くか材料を渡すかが分かれる

二つめは「推薦書には良いことしか書かれない」という思い込みです。要項は推薦書に、努力を要する点などで配慮が要ることがあれば書くよう求めています。ほめ言葉だけが並ぶ書類だと思い込むと、弱みを隠したメモを出したくなりますが、それは正確に書くための材料を先生の手から取り上げることになります。手順5で弱みと手当てを並べたのは、このためです。

三つめは「推薦書の書きぶりで合否が決まる」という思い込みです。学校推薦型選抜は調査書を主な資料にし、そのうえで、先に見たとおり、出願書類のほかの評価の道具も一つ以上使われます。どの評価の方法を使うかは大学が募集要項に書くことになっているので、面接の有無や中身も含めて、大学の書類で確かめるものです。推薦書は判定の材料の一つで、それ一枚で結果が決まると考えるのは、書類の役目を大きく見すぎています。

高校の先生に確かめる質問

メモの下書きを机に置き、上から一つずつ口に出せる問いにしました。メモを渡す日か、その前の面談で聞いてください。

個別指導で確かめること

塾では、お子さまが書いたメモの下書きを、通知表の写し・探究のレポート・部活の記録と並べて読みます。日付と数字が記録どおりか、三つの箱のどこが空いているかを確かめるためです。推薦理由の文面も、メモの文章そのものも、代わりに書くことはしません。そのかわり、メモに書いた出来事を面接で自分の言葉で話せるかを、受け答えの練習で確かめます。弱みと手当ての一文が言い訳に聞こえないかどうかも、声に出して読み合わせます。

まとめ

推薦書は校長の名前で大学の学長に届き、末尾に記載責任者が立つ、高校の書類です。それでも、学力の三要素のどの箱に何が入るかを知っているのは、3年間を過ごした本人しかいません。形容詞を削り、日付と出来事を並べ、大学の方針の言葉と一行ずつ結んだメモを渡す。校長の名で届く一枚がどこまで具体的になるかは、あの放課後に書き始める一枚が決めます。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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