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リビングで勉強すると集中できない—テレビと家族の声がある部屋で机を使う約束|武蔵野個別指導塾

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夜7時に番組の音楽が鳴り出す食卓でも数学を進めたい中高生へ。テレビに背を向ける席、番組の時刻に教科を替える段取り、話しかけてよい合図を家族と紙に書く手順を順に追えます。

リビングで勉強すると集中できないのは、気合いが足りないからではありません。くつろぐための部屋には、テレビの音、目の端で動く画面と人、家族からの声かけという3つの入り口が、はじめから開いています。だから直すのは自分の根性ではなく、座る場所と時刻と家族との約束です。テレビに背を向ける席に座る。番組が始まる時刻を、考える問題から手を動かす作業へ切り替える時刻にする。話しかけてよい合図と、テーブルをあける時刻を家族と紙に書く。リビングで収まらない分だけを、自分の部屋の時間に回します。

よくあるのは、ダイニングテーブルの端で数学の問題集を広げ、連立方程式の2問目に入ったところで、すぐ横のテレビからバラエティ番組の始まりの音楽が流れてくる夜7時という場面です。最初の笑い声で顔が上がり、画面の下に出た文字を目で追ってからノートに戻ると、さっき代入しようとしていた式がどれだったか、もう見当たりません。そこへ台所から「お風呂、先に入っちゃう?」と声がかかります。解きかけの1問が、耳と目と声の3方向から同時に崩されていきます。

なぜそうなるのか

リビングは家族が一日の終わりにほっとするための部屋で、勉強のために作られた場所ではありません。そこで起きている邪魔は、図1のように「耳」「目」「声かけ」の3つの入り口に分けて見ると、手の打ちようが見えてきます。どの入り口から入ってきても、顔が上がり、ノートに戻ったときに途中式を探し直すところで時間が消えていきます。

図1 リビングで集中が切れる耳・目・声かけの3つの入り口

耳から入るのは、意味を持った言葉と笑い声

換気扇や雨の音は、しばらくすると気にならなくなります。意味を持たない音だからです。テレビから流れてくるのは人の話す言葉で、耳は頼まれなくてもその意味を拾いにいきます。数学の文章題を読んでいる途中で、画面の中の誰かが値段や順位を口にすると、頭の中で2つの数字がぶつかります。台所と食卓で交わされる家族の会話も同じで、自分の名前や明日の予定が聞こえた瞬間に、耳はそちらへ向きます。そのうえバラエティ番組は、笑い声や効果音で「いま面白いことが起きた」と知らせてきます。合図が鳴るたびに顔を上げたくなるのは、番組がそう見てもらうように作られているからで、勉強している側の落ち度ではありません。

目に入るのは、光の変わる画面と行き来する家族

画面は、正面から見ていなくても、場面が切り替わるたびに明るさが変わります。テレビが視界の横にある席では、ノートを見ている間も注意の一部が光のほうへ引っ張られます。リビングでは人も動きます。台所と食卓を往復する足音、洗濯物を畳む手、廊下へ出ていく背中。テーブルの上には、勉強とは関係のない物も残っています。郵便物、調味料の瓶、読みかけの雑誌、果物の皿。一つ一つは小さくても、目に入るたびに考えが半歩ずつ横へずれます。

声かけが来るのは、家族に「勉強中」が見えないから

自分の部屋なら、閉めたドアが「いまは邪魔しないで」の合図になります。リビングにはドアがありません。食卓でノートを開いていても、本気で解いている最中なのか、宿題をぼんやり眺めているだけなのか、家族には見分けがつきません。だから家族は悪気なく用事を話しかけます。困るのは、話しかけられた10秒そのものより、その後です。「明日のお弁当いる?」に答えるのは一瞬でも、数学の途中式の何行目まで戻ればよいかを探すのに、2〜3分かかることがあります。

リビングの時間は、家族の予定で区切られる

食卓は夕食の場所でもあります。支度が始まれば教科書をどけなければならず、食後には皿が並びます。自分で決めた区切りではなく、外から来た区切りで勉強が切られるので、ちょうど調子が出てきたところで片づけを言われることになります。片づけを急いだ日は、どこまで解いたかの印も残さずに教材を抱えて移動するので、次に開いたときの再開が遅れます。

今夜からの手順

手順は、席、時刻、約束、持ち込む物、戻り方、部屋の分け方の6段です。最初の3段は、今夜の夕食の前に決められます。

1. テレビに背を向ける席を選ぶ

最初に変えるのは座る向きです。図2のように、テーブルをはさんでテレビの反対側の席に座ると、問題集の向こうに画面が正面に見えてしまいます。ノートから目を上げた瞬間に画面が入るので、笑い声が鳴るたびに顔が上がりやすくなります。テレビとテーブルの間にある席、つまりテレビに背を向ける側に座れば、画面の光は背中側に回ります。音は残りますが、目の入り口は一つ閉じられます。図2の三角は、座った人の顔の向きを表しています。

図2 テレビと台所の位置から見たダイニングテーブルの席の選び方

背を向ける側に席が2つあるなら、台所から遠いほうを選びます。図2で「よい席」としたのがその席です。台所が近い席は、家族が冷蔵庫を開けたり鍋をのぞいたりする動きが目の端に入り続けます。テーブルの端に座るときも、人が後ろを通る通り道の側は避けます。後ろを通られるたびに、手元をのぞかれている気がして落ち着かなくなるからです。席を決めたら、問題集とノートは体の正面に置き、テレビのある側に教材を広げないようにします。

2. 番組が始まる時刻を、教科を替える時刻にする

家族がテレビをつける時間は、曜日ごとにおおよそ決まっています。まず1週間分、夜のリビングでテレビがついている時間を紙に書き出してください。家の人に「毎週見ている番組は何曜日の何時から」と聞けば、10分もかからずにわかります。

時刻がわかったら、テレビがつく前の時間に、いちばん頭を使う問題を置きます。数学の文章題や証明、英語の長文を訳す作業、理科の計算問題などです。帰宅してから番組が始まるまでの時間、たとえば18時から19時までを、この「考える問題」に当てます。番組が始まったら、そこを教科を替える合図にして、音があっても手が進みやすい作業に移ります。漢字の書き取り、英単語のつづりの練習、ワークの答え合わせと赤での直し、提出物の清書がこれに当たります。こう決めておけば、夜7時の音楽は集中を壊す音ではなく、教科を替える時報に変わります。

3. 家族と決める約束を、はがき大の紙に書く

リビングを使う約束は、口で言うだけだと家族の誰か一人しか覚えていません。はがきくらいの大きさの紙に書き、勉強する席の近くに置いておきます。書くのは次の3つです。

一つ目は、使う時刻です。「平日は18時から19時まで、テーブルの窓側の端を使う」のように、曜日と時刻と場所を書きます。終わる時刻を先に書いておくと、夕食の支度と取り合いになりません。二つ目は、話しかけてよい合図です。たとえば「筆箱を立てている間は、急ぎでない用は後で。寝かせたら話しかけてよい」と決めます。火の元やけが、電話の取り次ぎのような急ぎの用は、合図に関係なく声をかけてもらいます。三つ目は、テレビの音です。「静かにして」と頼むのではなく、「音量を2つ下げる」「字幕を出す」のように、家族がすぐにできる形で頼みます。

約束は、家族にだけ我慢をさせるものにしません。自分の側からも、「夕食の支度が始まる15分前にはテーブルをあける」「終わったら教材をテーブルに残さない」と書き足します。リビングは家族にとってもくつろぐ部屋なので、お互いに守る線を一枚に並べておくと、言い合いになりにくくなります。決めたら1週間だけ試し、日曜の夜に守れた所と守れなかった所を家族と見直します。

4. テーブルに持ち込む物を、箱1つに決める

食卓の上を勉強の場所に変えるのに、大がかりな片づけは要りません。A4のファイルが入る浅い箱かトレーを1つ用意し、その夜に使う教科書、ノート、問題集、筆箱だけを入れて運びます。座ったら、自分の前のノートを2冊並べたくらいの幅から、郵便物や調味料を家族に一声かけてどけます。その範囲だけを勉強の島にして、それより外に教材を広げません。

終わったら、教材を箱に戻して自分の部屋へ運びます。持ち込む物が箱1つなら、片づけは1分で終わります。夕食の支度に追われて教材を抱えて走る、ということがなくなるので、約束の「テーブルをあける時刻」も守りやすくなります。

5. 話しかけられたら、印をつけてから返事をする

約束を決めても、声をかけられることはあります。そのときは、顔を上げる前に、解いていた行の横に鉛筆で小さな点を打ち、余白に次にやることを3〜5字で書いてから返事をします。「yに代入」「3行目から」くらいで十分です。英語の長文なら読んでいた文の頭に線を引き、暗記の確認ならページの端を小さく折ります。

戻ったら、点を打った行の1行前から読み直します。いきなり点の位置から始めると、前の行の符号や係数を取り違えたまま進むことがあるからです。この一手間にかかるのは5秒ほどですが、途中式を最初から探し直す数分を減らせます。

6. リビングでやる教科と、自分の部屋でやる教科を分ける

リビングに向くのは、家の人に聞きたいことが出そうな宿題と、20〜30分で区切りがつく作業です。わからない問題にすぐ印をつけて後で聞けるので、一人で止まり続けることが減ります。反対に、時間を計って1回分の問題を通しで解く演習や、声に出して覚える暗記は、自分の部屋に回します。声を出す勉強は、テレビを見ている家族の邪魔にもなるからです。どちらでやるかを教科ごとに決めておくと、その日の気分で場所を探してうろうろする時間がなくなります。

学年と時期で変わるところ

中1は、小学校のころからリビングで宿題をしてきた人が多く、急に自分の部屋へ移ると、かえって手が止まることがあります。中1のうちは、リビングを主な場所にしたまま、番組の時間と重ならない時刻に考える問題を置くだけでも十分に変わります。中2になると部活の帰りが遅くなり、帰宅してすぐ夕食という日が増えます。テレビの前の時間が消えるので、食後に考える問題をやるなら、その時間だけは自分の部屋に移るか、家族に音量と字幕の約束を頼みます。

中3は、入試に向けて、1回分の問題を時間を計って通しで解く練習が増えます。都立高校の学力検査は2027年2月21日の日曜日なので、冬が近づくほど、途中で話しかけられない長い時間が要ります。この演習は自分の部屋か、家族が出かけている休日のリビングで行います。高校生は帰宅が遅く、家族の夕食とずれることが多いうえ、教科ごとの教材が増えて、食卓の一角には収まりきりません。ふだんは自分の部屋を主にして、人の気配がある方が手が動く日や、家の人に見てほしい書類を書く日にだけリビングを使う形が合います。

時期によっても配分は変わります。図3のように、ふだんの平日は、テレビがつく前の18時台に考える問題、夕食の後の1時間にリビングで書く作業を置き、20時半ごろで切り上げます。テスト前は、食後の時間を自分の部屋に移し、ワークや問題集の演習に2時間ほど当てます。図3の上の帯は、テレビがついている19時から21時を表しています。夕食の時刻は家ごとに違うので、図3の時刻は一つの例として、自分の家の時刻に置き換えてください。

図3 ふだんとテスト前の夜にリビングと自分の部屋を使い分ける時間の流れ

夏休みや冬休みのような長期休みは、昼間のリビングの様子が平日とまるで違います。家族が家にいるか、昼にテレビがつくかは家ごとに変わります。休みの初日に午前と午後のリビングの予定を家族と確かめ、約束の紙を休み用に書き直します。午前中にリビングが空く家なら、そこを考える問題の時間にできます。

よくある失敗と直し方

「静かにして」と頼んで、言い合いになる

テレビの音が気になって「静かにして」と言うと、家族は自分のくつろぐ時間を責められたように感じます。何をどれだけ変えればよいのかも伝わらないので、音量が少し下がっても、数分後には元に戻っています。直し方は、頼み方を数と時刻に変えることです。「19時半から20時半までは、音量を2つ下げてほしい」「字幕を出せば、音が小さくても番組は追えるはず」と、家族が困らない形で頼みます。頼んだことは約束の紙に書き足し、守ってもらえた日は「助かった」と一言返します。

番組が始まったら、そのまま勉強を終えてしまう

番組の音楽が流れた時点で問題集を閉じ、ソファへ移ってしまう失敗です。考える問題の途中で邪魔が入ると、「もう今日は無理」と一日ごと投げたくなります。けれど集中が切れたのは考える問題に対してで、手を動かす作業ならまだ進められます。直し方は、番組の時刻に替える作業を前もって決め、その教材を持ち込み箱の一番上に入れておくことです。音楽が鳴ったら、迷わず漢字のノートか単語の練習用紙を取り出します。替える作業が手元に無いと、席を立つ理由のほうが勝ちます。

教材を広げっぱなしにして、片づけで続きが消える

テーブルいっぱいに教科書と資料集とプリントを広げると、夕食の支度が始まったときに全部を急いで抱えて運ぶことになります。どこまで解いたかの印も残らず、次に開いたときにページを探すところから始まります。家族に「早く片づけて」と言われて気まずくなるのも、この形のときです。直し方は、持ち込み箱1つに入る量だけを運び、約束の時刻の5分前に、解いていた行へ点を打ってから片づけ始めることです。5分前に手を止めるのは、終わりを自分で決めるためでもあります。

よくある質問

中学生や高校生になっても、リビング学習を続けてよいですか?

続けてかまいません。学年で場所を決める必要はなく、見るのはリビングで手が止まる時間です。同じページで20分以上止まる日が週に何度もあるなら、その教科だけ自分の部屋に移る合図です。反対に、自分の部屋に移ったら寝転んでしまう、という人は、リビングに残る意味があります。高校生でも、人の気配がある方が書き始めやすい人はいます。移るか残るかは教科ごとに決めてよく、全部を一度に移す必要はありません。

家族がテレビを見るのをやめてくれません。どうすればよいですか?

テレビを消してもらうことを目標にしないでください。家族にとって、夜のテレビは一日の疲れを取る時間でもあります。頼む順番は、まず自分の席の向きを変える、次に音量と字幕を頼む、それでも難しい時間だけ自分の部屋へ移る、です。毎週同じ番組の時間に困るなら、その時間を自分の休憩や入浴の時間にしてしまう手もあります。家族の楽しみを取り上げずに済む形のほうが、約束は長く続きます。

リビングで勉強に集中できる日と、できない日があるのはなぜですか?

違いの元は、その日のリビングで何が起きているかにあります。家族がそろっている日、来客がある日、家族の好きな番組がある日は、同じ席でも入り口から入ってくる量が増えます。集中できなかった日は、何時に何で顔が上がったかを、約束の紙の裏に一言だけ書いておきます。1〜2週間続けると、「水曜の20時は無理」のような、自分の家の決まった山が見えてきます。その山の時間は、はじめからリビングを使わない予定にします。

保護者が手を貸すなら

お子さまがリビングで勉強しているときは、話しかける前にノートと筆箱を一度見てください。筆箱が立っていて、鉛筆が動いているなら、急ぎでない用は区切りまで待ちます。声をかけるなら「何時まで?」と終わりの時刻を聞くくらいがちょうどよく、解いている問題を後ろからのぞき込むのは控えます。テレビの音量は、お子さまに頼まれる前に勉強の時間だけ少し下げ、字幕を出しておくと、それだけで約束の話がしやすくなります。終わったときに「お疲れさま」と一言かければ十分で、何ページ進んだかを確かめる役は、お子さま自身に任せてください。

個別指導で確かめること

教室では、家のどの席で何時から何の教科をやったかを聞き、リビングで解いた数学のノートの途中式から、どの行で手が止まったかを一緒にたどります。止まった行の前後で、家の何が入り口になったかがわかれば、席や時刻の約束をその家に合わせて直せます。点を打った印が残っていれば、そこからの戻り方も確かめます。

まとめ

夜7時のバラエティ番組は、来週も同じ時刻に始まります。その音楽が鳴る前に連立方程式を終え、鳴った瞬間に漢字のノートを箱から出せるなら、リビングは邪魔の多い部屋ではなく、家族の気配のそばで手が動く席になります。笑い声の止まない部屋でも、背中を向けた席と立てた筆箱があれば、解きかけの1問は崩れずに残ります。

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