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高校生のTOEIC—大学入試で使えるか、英検との比べ方|武蔵野個別指導塾

校内のIPと公開テストでは高校生の平均が436点と539点に分かれます。入試で使えるかは募集要項の4か所で決まるので、英検とはCEFRの段で比べ、受ける時期を逆算しましょう。
| 聞きたいこと | 先に答え |
|---|---|
| 入試で使えるか | 使える大学はあります。IIBCの調査では、2025年度入試で786校のうち390校がTOEIC Programを活用しています。ただし扱いは学部と入試方式ごとに別です |
| 校内のIPテストの点は | 有効性は通常、公開テストと同等と判断されます。ただし公式認定証は出ません。受け方の指定は募集要項で確かめます |
| 英検とどう比べるか | CEFRの段で比べます。B1の段なら、英検2級の合格基準と、TOEIC L&RのListening 275点・Reading 275点が目安です |
| 高校生の平均 | 2025年度は校内のIPで436点、公開テストで539点です。受けている人の集まりが違うので、そのまま比べません |
| いつ受けるか | 志望校の要項を読んでからです。要項に名前の無い試験を、入試のためだけに受ける必要はありません |
よくあるのは、高2の秋の進路の面談で、担任が「校内で受けたTOEICの480点、入試に使えるかもしれないね」と口にする場面です。机の上には英検2級の合格証の写しもあります。生徒が聞き返します。「480点って、英検だと何級ですか」。先生は少し考え込みます。どちらも英語の物差しなのに、目盛りの刻み方が違うからです。
入試で使えるかは募集要項の4か所で決まる
「TOEICは入試で使えますか」という問いには、大学名だけでは答えが出ません。同じ大学でも、学部が変われば基準が変わり、同じ学部でも総合型選抜と一般選抜で扱いが変わります。TOEICを運営するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の2025年度入試の一覧には、L&R 375点を基準にする行も、730点の行も、もっと高い行もあります。使い道も、出願資格、判定優遇・合否参考、試験免除、得点換算、加点の5つに分かれます。「使える」の一言では、受ける資格になるのか、点が足されるのか、英語の試験が免除されるのかさえわかりません。
読むべき場所は多くありません。図1のように、試験の名前、受け方、いつの点か、基準の書き方の順に4か所を見ます。

1つ目の試験の名前では、L&Rだけでよいのか、S&Wもそろえるのかを見ます。L&Rは聞くと読むの試験で、S&Wは話すと書くの試験です。IIBCの一覧には「L&R+S&W:CEFR B1」のような行が数多くあり、この書き方の大学ではL&Rを何度受けても基準を満たせません。2つ目の受け方は、公開テストのみか、IPテストも認めるかです。3つ目は受験日の範囲です。TOEICのスコアは開発元のETSが有効期限を2年と定めていますが、提出先が別の方針を持つことは妨げられていません。要項の「出願前2年以内」の起点が出願開始日なのか締切日なのかまで読みます。
いちばんつまずきやすいのは、4つ目の基準の書き方です。文部科学省の対照表では、L&RとS&Wを合わせて判定するとき、S&Wの点を2.5倍してL&Rに足します。L&R 550点とS&W 240点なら、550に600を足して1150です。990点が満点の試験なのに要項に1150と書かれているのは、誤植ではなくこの計算の結果です。
まだ志望校が決まっていない高2でも、気になる大学の前年度の要項で十分に練習になります。年度が変わると中身も変わるので、数字は覚えず、読み方だけを手に残してください。
校内のIPと公開テストは提出の場面で分かれる
校内で一斉に受けるTOEICの多くは、IPテストと呼ばれる団体受験です。公開テストはIIBCが決めた日と会場で受け、IPテストは学校や企業が日時と場所を決めて実施します。IIBCは、IPテストの結果の有効性は通常、公開テストと同等と判断されると説明しています。それでも出願の場面では差が出ます。IPテストでは公式認定証が発行されず、スコアレポートでの結果報告になるからです。
だから「校内で点を取ったから出願に使える」とは言い切れません。要項が公式認定証の提出を求めていれば、IPの点は書類の段階で止まります。受験方法や提出書類を指定する大学があることは、IIBCの資料にも明記されています。さらに、IPテストにはオンライン方式もあり、こちらは約1時間で90問です。公開テストの約2時間200問とは形が違うので、受けた形式も成績票で確かめておきます。
もう1つ紛らわしいのが、学校が取りまとめて申し込む「公開テスト団体一括受験申込」です。学校経由でも、これは公開テストで、公式認定証が全員に発送されます。学校から案内が回ってきたからIPだ、と決めつけないでください。
自分で公開テストに申し込むなら、紙の認定証を選ぶかどうかも判断の分かれ目です。受験料は紙の公式認定証ありが7,810円、なしが7,700円です(どちらも税込)。紙は申込時に希望した人にだけ、試験日から30日以内に発送されます。スコアのインターネット表示は試験日から17日後、デジタル公式認定証は回ごとの発行予定日(下の表の 3 回は試験日の 18 日後)が目安で、祝日の影響で遅れることがあります。提出先が原本を求めるのか、デジタルでよいのかが読めないうちは、110円の差で迷うより紙を選んでおくほうが、やり直しが利きます。
高校生の平均436点と539点をどう読むか
IIBCの公式データでは、2025年度(2025年4月から2026年3月)の高校生の平均に2つの数字があります。公開テストは34,383人で539点、校内で実施されたIPテストは18,389人で436点です。図2のように、同じ高校生でも103点の開きがあります。

この差を「公開テストのほうが易しい」と読むのは誤りです。IPは学校の行事として全員で受ける場合があり、公開テストは自分から申し込む人が中心だと考えるのが自然です。英語が得意な生徒が多く混じる集まりと、そうでない生徒も含む集まりでは、平均が違って当然です。全体の平均616点も、社会人を含む公開テストの数字なので、高校生が自分の位置を測る物差しにはなりません。
校内の数字をさらに分けると、見え方が変わります。学年別は高校1年が401点、高校2年が434点、高校3年が443点です。所属別では普通科が425点、英語科・国際科が504点です。高2で480点なら、高2全体の平均を46点上回っていますが、英語科・国際科の平均には届きません。自分の位置は、どの集まりと比べるかで動きます。
受験回数別の数字にも落とし穴があります。高校のIPでは、今回はじめての人が392点、これまでに1回の人が444点、2回の人が493点で、3回以上の人は488点です。階段のように見えますが、同じ生徒を追いかけた記録ではありません。「受けるたびに50点伸びる」とは読めないし、3回以上で下がるのも、回数を重ねると下がるという意味ではありません。
平均から読み取れて役に立つのは、むしろ内訳です。校内の高校生はListening 258点、Reading 178点で、80点の差があります。次の節で扱うB1の段の下限は、どちらも275点です。平均の高校生なら、Listeningはあと17点ですが、Readingはあと97点あります。75分で100問を読み切る側に壁があると、この数字は語っています。
英検との比べ方はCEFRの段でそろえる
TOEICと英検は、結果の出し方からして違います。TOEICは合否が無く、10点から990点のスコアだけが出ます。英検は級の合否があり、同時に英検CSEスコアが出ます。級と点を直接には結べないので、間に共通の物差しを置きます。それがCEFRで、A1からC2まで6段階の枠組みです。図3のように、同じ段の中で比べます。

図の英検の級は、その級の合格基準スコアが入る段を示しています。2級の合格基準は1980で、B1の下限1950の上にあります。準1級は2304で、B2の下限2300の上です。準2級は1728、準2級プラスは1829で、どちらもA2の段に入ります。TOEICの数字は、IIBCが示す各段の最低スコアです。目安であって、「2級に受かれば550点取れる」という意味ではありません。2級は聞く、読む、書く、話すの4技能を測り、L&Rは聞くと読むだけを測っています。測っている範囲が違うものを、1本の式で置き換えることはできません。
そこで、次の表で違いを押さえます。
| 比べる点 | TOEIC L&R | 英検 |
|---|---|---|
| 結果 | 10〜990点のスコア | 級の合否と英検CSEスコア |
| 測る技能 | 聞く・読む(話す・書くはS&W) | 3級以上は聞く・読む・書く・話す |
| 期限の考え方 | ETSは2年。提出先の方針を確認 | 留学目的は合格証明書の発行日から2年。入試は提出先の要項を確認 |
| 入試の書類 | 公式認定証(IPはスコアレポート) | 合格証明書や英検CSEスコア証明書 |
どちらを受けるかは、好みより先に要項で決めます。要項に英検だけが書かれていれば英検です。L&R単独の基準があり、英検と同じ段で扱われるなら、話すことに苦手意識のある生徒にはL&Rという選択肢が生まれます。逆に4技能の基準なら、TOEICではS&Wまで受ける必要があるので、1つの試験で4技能がそろう英検のほうが手間は少なくなります。入試のあとも見据えるなら、大学のクラス分けや就職活動で使われるTOEICを、高校のうちに一度経験しておく意味はあります。ただしそれは入試とは別の理由として考えてください。
高2の面談から受ける時期を逆算する
時期は、出願の日から逆に数えます。文部科学省の令和9年度の実施要項では、総合型選抜の願書受付は9月1日以降、学校推薦型選抜は11月1日以降です。今の高2が受ける年度の要項と、各大学の日程は、公表されたものをあらためて確かめてください。かりに高3の9月1日に紙の認定証を出すなら、発送に30日かかる場合を見て、8月2日までの試験でなければ間に合わない計算です。
1回で基準に届くとは限らないので、2回受ける余地を残します。今の高2なら、1回目は高2の冬から春が現実的です。2027年の公開テストのうち、高2のあいだに受けやすいのは次の3回です。
| 試験日 | デジタル公式認定証の発行予定 | 申込期間 |
|---|---|---|
| 2027年1月24日(日) | 2月11日 | 2026年11月11日 10:00〜12月9日 15:00 |
| 2027年2月14日(日) | 3月4日 | 2026年11月27日 10:00〜2027年1月7日 15:00 |
| 2027年3月14日(日) | 4月1日 | 2027年1月6日 10:00〜2月3日 15:00 |
申込の締切は試験日のかなり前に来ます。1月24日の試験なら、12月9日の15時で受付が終わります。試験の6週間以上前です。定期試験のあとに考えようと思っていると、そもそも申し込めません。
高2の冬に受けた点は、高3の9月なら受験から1年たっていないので、「2年以内」の条件には余裕を持って収まります。一方で、高1の春に受けた点は、高3の秋には2年を超えることがあります。早く受ければ安心というわけではありません。一般選抜の勉強が本格化する高3の夏以降に、TOEIC対策を重ねるのも得策ではありません。共通テストの準備と重なる時期は、なるべく空けておきましょう。
例題で確かめる
例題1 要項を読む
ある大学の要項に、次のように書かれているとします(説明のために作った文です)。
「出願資格:TOEIC L&R公開テスト 600点以上。出願開始日からさかのぼって2年以内に受験したものに限る。IPテストは不可。公式認定証の写しを提出すること。」
出願開始日は2027年9月1日です。次のうち、使える点はどれでしょうか。
- ア 2026年12月に校内のIPテストで取った640点
- イ 2025年7月の公開テストで取った620点
- ウ 2027年3月の公開テストで取った605点
答えはウです。アは点が足りていても、IPテストは不可と書かれています。イは公開テストですが、2025年7月は2027年9月1日から2年以上前で、範囲から外れます。ウだけが、種類、時期、点の3つをすべて満たします。点の高い順に飛びつくと、いちばん低いウを見落とします。
例題2 合算の点を出す
要項の基準が「L&R+S&W:1150以上」のとき、L&R 620点、S&W 220点の受験者は基準に届くでしょうか。
S&Wを2.5倍すると550です。L&Rの620に足すと1170で、1150を超えます。届きます。S&Wの点をそのまま足すと840になり、届いていないと早合点してしまいます。2.5倍を忘れないことが要点です。ただし、この計算を使うかどうかは大学の書き方によるので、要項に合わせてください。
例題3 TOEICの形式に触れる
次の空欄に入る語を選んでください(形式だけをまねて作った問題です)。
Please return the signed contract to the office ( ) Friday.
- by (B) until (C) since (D) among
答えは(A)です。「金曜までに返却する」という締切を表すのはbyです。untilは「金曜までずっと続ける」という継続に使います。sinceは「金曜以来」で、現在完了と組むのが基本です。amongは3つ以上のものの間を指すので、曜日の前には置けません。文法は高校の授業で習う範囲ですが、題材は契約書と事務室です。入試の長文とは違う景色に慣れるところから、TOEICの準備は始まります。
まちがえやすいところ
もっとも多いのは、2つの点を足して段を判断してしまう間違いです。IIBCの対照表で、B1の下限はListening 275点、Reading 275点と分かれています。合計550点でも、Listening 300点、Reading 250点なら、Readingの側はB1の下限に届いていません。「L&R 550」と合計で書く大学もあれば、CEFRの段で書く大学もあるので、どちらの基準なのかを要項で読み分けます。
次に、英検の級とCEFRを同じものと考える間違いです。英検のCEFRは、4技能すべてを受験して初めて「4技能総合CEFR」が表示されます。一次試験の成績だけでは出ません。また、受験した級によって算出できる範囲が決まっており、その範囲を上回っても、その級で出せる上限までしか表示されません。要項がCEFRで書かれているときは、級の合否だけでなく成績の証明書を確かめます。英検の個人成績表は公式の証明書ではなく、出願書類として認められない場合が多いので、合格証明書や英検CSEスコア証明書の準備にも日数を見ておきます。
3つ目は、TOEIC対策と入試対策を同じものと考えることです。公開テストのReadingは75分で100問あり、速く大量に読む練習になります。しかし題材はオフィスや日常の場面で、大学入試で出る論説文の読解とは語彙の方向が違います。TOEICの点を伸ばせば入試の英語も同じだけ伸びる、とは考えないでください。
保護者の方が気をつけたいのは、周りの高校生の点を聞いて焦ることです。お子さまの点が平均より低く見えても、比べている相手が公開テストの539点なら、集まりが違います。逆に平均を超えていても、それだけで志望校の基準を満たすわけではありません。見るべき数字は平均ではなく、要項に書かれた基準です。
よくある質問
高校生は何点あれば入試で使えますか
一律の点はありません。IIBCの一覧には、L&R 375点を基準にする入試も、550点、730点、785点を基準にする入試も並んでいます。同じ点でも、出願資格になる大学もあれば、加点の対象になる大学もあります。何点を目指すかは、志望校の要項の行を見つけてから決めてください。
TOEICの代わりにTOEIC Bridgeから受けてもよいですか
力試しとしては良い入口です。TOEIC Bridge L&Rは約1時間で100問、30点から100点で、時間も問題数もL&Rの半分です。IIBCの調査では、2025年度入試でTOEIC Bridge Testsを活用する大学は84校ありました。ただ、要項に書かれていなければ入試では使えないので、目的が出願なら要項を先に確かめます。
TOEICがあれば共通テストの英語はいらなくなりますか
共通テストの点そのものが変わるわけではありません。IIBCの一覧には、大学が共通テストの英語を満点として扱う得点換算の例もありますが、大学と入試方式ごとの決まりです。共通テストの受験を求められるかどうかも含めて、その大学の要項で確かめてください。
今週の進め方
1日目に、気になる大学を3校選び、前年度の要項からTOEICの行を探して4か所に印をつけます。2日目に、手元の成績票を見て、公開テストかIPか、ListeningとReadingが何点かを書き出します。3日目に、図3の段と見比べて、足りない側を決めます。そのうえで受けると決めたら、1月24日の試験の申込が12月9日15時までであることを手帳に書きます。個別指導では、Readingが伸びないとき、TOEICの問題に進む前に中学で習う品詞と時制まで戻り、1文を読み切れているかを確かめます。
まとめ
480点という数字は、面談の机に置いただけでは何も語りません。出願の資格になるのか、力試しの記録で終わるのかは、点を取ったあとではなく、要項を読んだ順番で決まります。
点数は、要項を読んだ人の手の中でしか武器になりません。
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