
武蔵野個別指導塾の特徴
読書感想文の終わり方—結びの型と、きれいごとにしないコツ|武蔵野個別指導塾

最後の3行で止まったら、本の場面に戻る、変わったことを書く、明日の一歩を書く、の順に3文を置けば結びが決まります。きれいごとで終わらせない直し方と自作の例文も載せています。
結びは 3 文あれば足ります。順番はこうです。
- 本の中の、いちばん心に残った 1 つの場面に戻る。
- その場面を読む前の自分と、読んだあとの自分のちがいを 1 文で書く。
- 明日からやってみる、小さな 1 つの行動を書く。
「これからもがんばりたいです」のような決意だけの文は使いません。場面と行動が具体的であれば、結びはきれいごとになりません。
よくあるのは、原稿用紙の最後の 3 行だけが空いたまま、時計が 11 時を回る夜です。あらすじは書けました。心に残ったところも書けました。あとは締めるだけなのに、鉛筆が止まります。「この本を読んで、ぼくもやさしい人になりたいと思いました」と書いては、何かうそをついたような気がして消します。消しゴムのかすが原稿用紙の上にたまり、机の横で見ていた親も「もう、それでいいんじゃない」と言い出します。この最後の 3 行は、才能ではなく材料の問題です。材料がそろえば、3 行は 5 分で埋まります。
書く前にすること
結びを書く前に、原稿用紙から一度はなれて、小さなメモを作ります。メモの箱は 3 つです。図1のように、左から「場面」「前の自分」「後の自分」と並べて、それぞれに 1 行ずつ書き込みます。

1 つ目の箱は「場面」です。本の中で、読み終えたあとも頭に残っている場面を 1 つだけ選びます。ここで大切なのは、本文ですでに触れた場面から選ぶことです。結びで初めて出てくる場面は、読む人にとって唐突で、話が終わらない印象になります。本文で「主人公が雨の中で犬を探す場面が忘れられません」と書いたなら、結びもその雨の場面に戻ります。書き方は短くてかまいません。「雨の中、名前を呼び続ける場面」のように、20 字くらいの言葉で十分です。
2 つ目の箱は「前の自分」です。その場面に関わることで、本を読む前の自分がどう考えていたか、どうふるまっていたかを 1 つ書きます。ここは小さなことでよいのです。「飼っている金魚のえさを、母に言われるまで忘れていた」でも、「友だちに貸した本を返してもらうのを、言い出せなかった」でもかまいません。大きな反省を書こうとすると、きれいごとに近づきます。日常の小さな事実のほうが、読む人には本当らしく届きます。
3 つ目の箱は「後の自分」です。読んだあと、考えが変わったことと、明日からやってみることを書きます。「やさしくなりたい」のような気持ちではなく、「明日の朝は、言われる前に金魚のえさをやる」のような行動にします。行動は、1 日でできる大きさに縮めます。「毎日続ける」と書くと、書いた本人も信じていない文になります。「明日」「今度の日曜日」「次に貸すとき」と、時を決めて書くと、文に体温が出ます。
3 つの箱がそろわないときは、本文を読み返します。本文の中に、本を読んで驚いたところ、腹が立ったところ、自分と重なったところがあれば、そこが「場面」です。「感動した」「おもしろかった」としか書いていないなら、本文のほうに具体の場面が足りていません。結びが書けないときは、本文の見直しが先になることもあります。
メモは、原稿用紙のすみでなく、別の紙に書きます。消しゴムで消す手間がなく、3 つを並べて見比べられるからです。箱が埋まったら、順番に 1 文ずつ文にしていきます。これが次の手順です。
書き方の手順
結びは、図2のように 3 文の型で組み立てます。長さの目安は、本文全体の 1 割ほどです。800 字の感想文なら結びは 80 字前後、2000 字なら 200 字前後になります。3 文の割合は、3 割・4 割・3 割です。100 字の結びなら、1 文目が 30 字、2 文目が 40 字、3 文目が 30 字くらいと考えます。真ん中の「変わったこと」を少し長めにするのは、ここが結びの中心だからです。

1 文目は、場面に戻る文です。メモの「場面」の箱をそのまま使います。「雨の中で名前を呼び続ける場面が、今も頭からはなれません」「もう一度、最後の試合の朝の場面を思い出します」。本文で書いた場面を、言葉を少し変えて呼び戻します。同じ言葉をそのまま繰り返すと、読む人は「さっきも読んだ」と感じるので、場面の中の別の細かいところ(音、色、持ち物)を 1 つ足します。「雨の中」を「ぬれた靴のまま走る場面」にするだけで、文が新しくなります。
2 文目は、変わったことを書く文です。メモの「前の自分」と「後の自分」を、1 文の中で向かい合わせます。型は「読む前の自分は〜だった。でも今は〜」です。「読む前のわたしは、金魚のえさをやるのは母の仕事だと思っていました。今は、生き物の世話は、気づいた人の仕事だと思います」。2 文に分けてもかまいません。大切なのは、前と後の両方を書くことです。後だけを書くと「〜だと思いました」という感想の繰り返しになり、前だけを書くと反省文になります。
3 文目は、明日の一歩です。メモの「後の自分」の行動の部分を使います。「明日の朝は、言われる前にえさをやります」。ここで気をつけるのは、文の大きさを行動の大きさに合わせることです。小さな行動を大げさな言葉で書くと、読む人は白けます。「わたしは、小さな命を守るために、これから毎日努力し続けることをここに誓います」ではなく、「明日の朝、まず水そうを見ます」のほうが、はるかに強い結びです。
3 文を書いたら、声に出して読みます。読み上げて息が苦しい文は長すぎます。1 文を 40 字以内に切ります。また、結びの 3 文に「〜と思いました」が 2 回以上あれば、1 つを言い切りに直します。「大切だと思いました」は「大切です」に、「やってみたいと思いました」は「やってみます」にします。言い切りの文が、結びに背骨を通します。
型の変形も 3 つ覚えておくと、同じ型ばかりにならずにすみます。1 つ目は、問いで終える型です。3 文目を「明日の一歩」でなく、本が自分に残した問いにします。「もし自分が同じ雨の夜にいたら、最後まで呼び続けられるだろうか」。答えを書かないことで、読む人にも問いが残ります。ただし、問いだけで終えると逃げたように見えるので、2 文目の「変わったこと」はしっかり書きます。
2 つ目は、題名に戻る型です。感想文の題名に使った言葉を、結びの最後の文にもう一度置きます。題名が「名前を呼ぶ声」なら、最後の文を「わたしも、名前を呼ぶ側の人になります」とします。最初と最後がつながり、1 本の文章としてまとまります。
3 つ目は、本の一文に戻る型です。本の中で短く引用した一文があれば、結びでもう一度、今度は自分の言葉を添えて置きます。引用は 1 文にとどめ、かぎかっこで囲みます。長い引用は、自分の文の場所をうばうので使いません。
どの型を選んでも、結びの最後の 1 文は、自分のことを書いて終えます。本のことや作者のことで終えると、感想文ではなく本の紹介文になります。最後の 1 文の主語が「わたし」「ぼく」になっているかを、書き終えたあとに確かめます。
例文で見る
例文は、型を見るためのものです。本は実在のものではなく、場面も自作です。そのまま写すのではなく、自分の本と自分の箱の中身に置き換えて使ってください。
1 つ目は、小学生の感想文の結びです。迷子の犬を飼うことになった男の子の物語を読んだ、という設定です。まず、よくある形の結びを見ます。
「この本を読んで、ぼくも動物にやさしくしようと思いました。命の大切さがわかりました。これからもがんばりたいです。」
3 文とも、本を読まなくても書ける文です。どの本の感想文にも使える文は、その本の感想文としては弱いのです。3 つの箱を使って書き直します。
「雨の中で、男の子がぬれた靴のまま名前を呼び続ける場面が、今も頭からはなれません。読む前のぼくは、金魚のえさを、母に言われるまで忘れていました。明日の朝は、言われる前に水そうを見ます。」
直したあとの文がよいのは、3 つの点です。1 文目に、本文で触れた場面が細かいところ(ぬれた靴)つきで戻ってきています。2 文目に、読む前の自分の小さな事実があります。大きな反省ではなく、金魚のえさという日常の話であるために、本当のことに聞こえます。3 文目は、明日の朝という時を決めた、1 日でできる行動です。「やさしくする」という言葉を 1 回も使わずに、やさしさについて書けています。
2 つ目は、中学生の感想文の結びです。けがをして部活をやめるかどうか迷う主人公の物語を読んだ、という設定で、問いで終える型を使います。
「最後の大会の朝、主人公が部室の鍵を返す場面を、何度も読み返しました。読む前のわたしは、やめることは負けだと思っていました。今は、やめ方にも、続け方と同じだけの決め方があるのだと思います。もし自分が同じ朝をむかえたら、鍵を返す手をふるわせずにいられるだろうか。」
この結びは 4 文です。長さが 2000 字に近い感想文なら、結びも 4 文から 5 文になります。よいのは、2 文目と 3 文目で「前」と「後」がはっきり向かい合っていることです。「やめることは負け」から「やめ方にも決め方がある」へ、考えの変わり方が一度で読めます。最後の問いは、本文で書いた鍵の場面に戻っていて、新しい話題ではありません。「がんばります」の一言がどこにもないのに、主人公と自分の両方が最後まで残ります。
どちらの例文も、結びに新しい出来事を入れていません。結びは、本文に書いたことを 3 つの箱で結び直す場所です。材料は本文にそろっていて、結びはそれを並べ直すだけです。
まちがえやすいところ
結びでつまずく形は、だいたい 3 つです。図3のように、左に避けたい結び、右に直したあとの形を並べて確かめます。

1 つ目は、決意だけで終わる結びです。「これからもがんばりたいです」「もっと本を読みたいです」。どこが違うかというと、何を、いつ、どうがんばるのかが無いので、読む人が確かめようのない文になっていることです。本人も、書きながら本当にそうするとは思っていません。直すときは、行動に時を付けます。「今度の日曜日に、図書館で同じ作者の本をもう 1 冊借ります」。これなら、読む人は日曜日のあなたを思い浮かべられます。
2 つ目は、本の宣伝で終わる結びです。「ぜひみんなにも読んでほしいです」「おすすめの本です」。どこが違うかというと、最後の 1 文の主語が自分ではなく、読む人や本になっていることです。感想文の最後に自分がいないと、本の帯の文のようになります。直すときは、誰に、なぜ読んでほしいのかを書き、自分の側に戻します。「犬を飼いたいと言い続けている弟に、この本の雨の場面だけを読ませてみます。弟がどんな顔をするか、となりで見ていたいからです」。これは宣伝ではなく、自分の行動です。
3 つ目は、結びで新しい話題を出す結びです。本文で雨の場面のことばかり書いていたのに、最後の 3 行で急に「また、主人公の妹もよい人だと思いました」と別の話を始めます。どこが違うかというと、文章が終わりに向かっていないことです。読む人は「まだ続くのか」と感じたところで、文章が切れます。直すときは、新しい話題を消し、本文で触れた場面に戻ります。「雨の場面を読み返すたびに、ぼくは水そうの前に立つ自分を思い出します」。終わりに向かう文は、前に書いたことへ戻る文です。
3 つに共通するのは、本文との糸が切れていることです。結びだけを何度も書き直すより、本文のどの場面に糸をつなぐかを決めるほうが、早く直ります。
よくある質問
結びはどれくらいの長さにすればよいですか
本文全体の 1 割ほどが目安です。400 字詰めの原稿用紙 2 枚なら 80 字前後、5 枚なら 200 字前後です。最後の 3 行が空いているなら、3 文の型をそのまま当てはめれば埋まります。長さの決まりが学校やコンクールの要項にあるときは、その指示が優先です。要項に結びの長さの決まりがあることはまれですが、全体の長さの上限はありますから、結びを足して上限を超えないかだけ確かめます。
「おもしろかったです」で終わってはいけませんか
いけなくはありませんが、その本でなくても書ける文なので、もったいないのです。「おもしろかった」の中身を 3 つの箱に分けます。どの場面がおもしろかったのか、読む前の自分は何を知らなかったのか、読んだあと何をしてみたいのか。この 3 つに分ければ、同じ気持ちが、その本だけの結びになります。
最後の 1 行がどうしても埋まりません
メモの「後の自分」の箱を見直します。行動が「がんばる」のような気持ちの言葉になっていると、1 行で終わってしまいます。時と場所を足します。「明日の朝」「学校の帰りに」「水そうの前で」。時と場所が入ると、1 文が自然に 20 字ほど長くなり、うそのない形で最後の行が埋まります。それでも足りないなら、1 文目の場面に細かいところを 1 つ足します。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
親ができる手伝いは、書くことではなく、聞くことです。「この本で、いちばん覚えている場面はどこ」「その場面を読む前は、どう思っていた」「明日、何かやってみたいことはある」。この 3 つの質問が、そのまま 3 つの箱になります。答えを親が言い直して書かせると、お子さまの文ではなくなるので、出てきた言葉をそのまま書かせます。個別指導では、結びの最後の 1 文の主語が本人になっているか、本文のどの場面に戻っているか、行動に時が付いているかの 3 点を、本人と一緒に声に出して確かめます。
まとめ
結びが書けない夜は、気持ちが足りないのではなく、材料が 3 つそろっていないだけです。場面、前の自分、後の自分。この 3 つを別の紙に書き出し、3 割・4 割・3 割の 3 文にします。決意ではなく明日の行動を、本の宣伝ではなく自分の 1 文を、新しい話題ではなく本文の場面を。最後の 3 行は、本を閉じたあとのあなたの顔を書く場所です。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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