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平方完成のやり方—公式と手順、二次関数の頂点まで|武蔵野個別指導塾

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2x² − 8x + 3 を括る一手目から、定数項まで括弧に入れてしまう誤りを止めます。分数が出る式、頂点と軸の読み方、範囲つきの最大最小まで同じ手順で解き切りましょう。

平方完成の公式は次の 2 本で足ります。1 本目の p は x の係数です。2 本目の a は x² の係数(0 でない数)、b は x の係数、c は定数項です。

x² の係数 公式
1 のとき x² + px = (x + p / 2)² − (p / 2)²
a のとき ax² + bx + c = a(x + b / (2a))² − (b² − 4ac) / (4a)

y = a(x − s)² + t の形に直せたら、グラフの頂点は点 (s, t)、軸は直線 x = s です。手でやることは「x の係数を半分にして 2 乗し、足して引く」の一つだけです。

よくあるのは、数学Ⅰの小テストが返された昼休みという場面です。弁当のふたを開ける前に答案を見ると、2x² − 8x + 3 の変形で、括弧の中までは丸がついているのに、最後の定数に赤い斜線が引かれています。頂点の y 座標も連鎖して不正解です。隣の友人は -5 と書いて丸をもらっていました。途中式を指でなぞっても、どこでずれたのか見つかりません。ずれる場所はほぼ決まっていて、この式なら括弧の外へ数を出す一手です。

公式の形と文字の意味

平方完成は、x² の項と x の項を一つの ( )² の中に閉じ込める変形です。2 か所に散らばっていた x が 1 か所に集まるので、x を動かしたとき式の値がどう変わるかが読めるようになります。数学Ⅰの二次関数で本格的に使い、中3の解の公式の導き方にも同じ手が出てきます。手順は次の 6 段で、どの式でも変わりません。右の列は、小テストの 2x² − 8x + 3 を実際に変形した途中式です。

順番 すること 2x² − 8x + 3 の途中式
1 x² と x の項だけを x² の係数で括る 2(x² − 4x) + 3
2 括弧の中の x の係数を半分にして 2 乗する -4 の半分は -2、2 乗して 4
3 その数を括弧の中で足して引く 2(x² − 4x + 4 − 4) + 3
4 前の 3 項を ( )² にまとめる 2{(x − 2)² − 4} + 3
5 余った数を括弧の外へ出す。このとき係数を掛ける 2(x − 2)² − 8 + 3
6 定数をまとめる 2(x − 2)² − 5

x² の係数が 1 のときは順番 1 が要らず、順番 5 で掛ける数も 1 なので、公式の 1 本目だけで片づきます。係数が 1 でないときに増えるのは、括る一手と掛け戻す一手の 2 か所です。

でき上がった y = a(x − s)² + t の文字は、それぞれ別の役目を持っています。a はグラフの開く向きと開き具合を決め、正なら下に凸、負なら上に凸です。s は頂点の x 座標で、軸の位置を決めます。t は頂点の y 座標で、式の値の最小値か最大値になります。教科書では y = a(x − p)² + q と書くことも多いのですが、ここでは p を x の係数に使ったので s と t にしました。

図1 2x² - 8x + 3 を平方完成した式とグラフの頂点の対応

図1のように、y = 2x² − 8x + 3 のグラフは点 (2, -5) を底にした下に凸の放物線です。元の式のままでは 2 も -5 も見えませんが、平方完成すると式の中にそのまま現れます。y 軸との交点が 3 になるのは元の式の定数項を読めば済み、変形後の式に x = 0 を入れても 2 × 4 − 5 = 3 で同じ値が出ます。

頂点の読み方を、別の 3 本で並べます。

式 頂点 軸 向き 頂点の値
y = 3(x − 1)² + 4 (1, 4) x = 1 下に凸 最小値 4
y = -(x + 2)² + 5 (-2, 5) x = -2 上に凸 最大値 5
y = (1 / 2)(x − 4)² − 3 (4, -3) x = 4 下に凸 最小値 -3

括弧の中が x + 2 のとき、頂点の x 座標は +2 ではなく -2 です。括弧の中を 0 にする x が頂点の x 座標だ、と読めば符号で迷いません。

なぜこの形になるのか

「半分にして 2 乗」には図形の理由があります。x² + 6x を面積として見てください。x² は 1 辺 x の正方形、6x は縦 x、横 6 の長方形です。

図2 x² + 6x の長方形を半分に割って正方形に寄せる面積図

図2のように長方形を横 3 ずつの 2 枚に割り、正方形の右と下に貼ると、1 辺 x + 3 の正方形にあと一歩まで近づきます。足りないのは右下の角、3 × 3 = 9 の小さな正方形だけです。そこで 9 を足して大きな正方形を完成させ、元の面積から増えた 9 を引いて戻します。x² + 6x = (x + 3)² − 9 という式は、この絵をそのまま書いたものです。「半分」は長方形を 2 枚に割る操作、「2 乗」は欠けた角の面積、「足して引く」は完成させて元に戻す操作にあたります。平方(正方形)を完成させるので、平方完成と呼びます。

文字のままでも同じです。(x + p / 2)² を展開すると x² + px + (p / 2)² になります。x² + px より (p / 2)² だけ多いので、その分を引けば等号が成り立ちます。これが公式の 1 本目です。p が負でも分数でも展開の計算は変わらないので、公式はそのまま使えます。

2 本目は、1 本目に p = b / a を入れただけです。次の 4 行で追えます。

  1. x² と x の項だけを a で括り、a(x² + (b / a)x) + c とします。
  2. 括弧の中に 1 本目を使うと、a{(x + b / (2a))² − b² / (4a²)} + c です。
  3. 外の a を掛けると a(x + b / (2a))² − b² / (4a) + c になります。分母の a² の一つが a と消えるのがここです。
  4. 定数を通分すれば a(x + b / (2a))² − (b² − 4ac) / (4a) が出ます。

分子に現れた b² − 4ac は、二次方程式の判別式と同じものです。平方完成と解の公式が同じ変形から出ていることが、この式から読めます。

頂点が読める理由は 2 乗の性質にあります。(x − s)² はどんな x でも 0 以上で、0 になるのは x = s のときだけです。a が正なら a(x − s)² も 0 以上なので、y = a(x − s)² + t の値は t を下回らず、x = s でちょうど t になります。これがグラフの一番低い点、つまり頂点です。a が負なら向きが逆になり、t が一番高い値です。x = s から同じだけ左右に離れた 2 点では (x − s)² の値が等しいので、グラフは直線 x = s を折り目にして左右対称になります。軸と呼ぶ理由もここにあります。

例題で使い方を確かめる

例題 1: x の係数が偶数のとき

x² + 6x + 2 を平方完成し、y = x² + 6x + 2 のグラフの頂点と軸を求めてください。

  1. x² + 6x だけを見ます。定数の 2 は変形に関わらないので、横に置いておきます。
  2. 6 を半分にして 3、2 乗して 9 とします。図2の欠けた角がこの 9 です。
  3. x² + 6x を (x + 3)² − 9 に置き換えます。9 を引いておかないと、元の式と値が変わるからです。
  4. 定数をまとめて (x + 3)² − 9 + 2 = (x + 3)² − 7 とします。定数が 1 つになれば、頂点の y 座標がそのまま読めます。
  5. 括弧の中を 0 にする x = -3 を読みます。これが軸の位置で、頂点の x 座標です。

答え: x² + 6x + 2 = (x + 3)² − 7、頂点は点 (-3, -7)、軸は直線 x = -3

例題 2: 半分にすると分数が出るとき

x² + 3x − 1 を平方完成し、グラフの頂点を求めてください。

  1. 3 を半分にして 3 / 2、2 乗して 9 / 4 とします。小数に直さず分数のまま進めるのは、次の通分がそのまま使えるからです。
  2. x² + 3x = (x + 3 / 2)² − 9 / 4 と書きます。足した 9 / 4 を引いて戻すのは整数のときと同じです。
  3. 残りの定数を -9 / 4 − 1 = -9 / 4 − 4 / 4 = -13 / 4 と計算します。1 を 4 / 4 に直すのは、分母をそろえないと引き算ができないからです。
  4. x + 3 / 2 = 0 となる x = -3 / 2 を読みます。分数でも、括弧の中を 0 にする値が頂点の x 座標であることは変わりません。

答え: x² + 3x − 1 = (x + 3 / 2)² − 13 / 4、頂点は点 (-3 / 2, -13 / 4)

例題 3: x² の係数が負で、分数も出るとき

次の式 -2x² + 6x + 1 を平方完成し、y = -2x² + 6x + 1 の最大値を求めてください。

  1. x² と x の項を -2 で括り、-2(x² − 3x) + 1 とします。6x を -2 で括ると -3x に変わります。-2(x² + 3x) と書くと、展開したとき -2x² − 6x になって元に戻りません。
  2. -3 を半分にして -3 / 2、2 乗して 9 / 4 とします。2 乗すると負の符号は消えるので、足して引く数はいつも正です。
  3. 括弧の中を -2{(x − 3 / 2)² − 9 / 4} + 1 と書きます。x² − 3x + 9 / 4 が (x − 3 / 2)² にまとまるからです。
  4. -9 / 4 を括弧の外へ出すとき -2 を掛け、(-2) × (-9 / 4) = 9 / 2 とします。負と負の積なので符号が正に変わります。
  5. 定数をまとめて 9 / 2 + 1 = 11 / 2 とします。
  6. x² の係数 -2 が負なのでグラフは上に凸で、頂点の y 座標が最大値です。

答え: -2x² + 6x + 1 = -2(x − 3 / 2)² + 11 / 2、x = 3 / 2 のとき最大値 11 / 2

x² の係数そのものが分数のときも同じ手順です。(1 / 2)x² + 3x + 1 は、1 / 2 で括ると (1 / 2)(x² + 6x) + 1 になります。3 を 1 / 2 で割るので 6 に増える点だけ注意すれば、(1 / 2)(x + 3)² − 9 / 2 + 1 = (1 / 2)(x + 3)² − 7 / 2 と進みます。

例題 4: 範囲つきの最大と最小

y = x² − 4x + 1 について、(1) 0 ≦ x ≦ 3、(2) 3 ≦ x ≦ 5 のそれぞれで最大値と最小値を求めてください。

  1. 平方完成して y = (x − 2)² − 3 とします。軸の位置がわからないと、範囲との関係を判断できないからです。
  2. 軸 x = 2 が範囲の中か外かを見ます。同じグラフでも、範囲によって使える部分が変わるからです。
    1. は軸が範囲の中にあるので、頂点が最小です。最大は軸から遠い端で、軸までの距離は x = 0 が 2、x = 3 が 1 なので x = 0 です。下に凸のグラフは軸から離れるほど高くなるからです。
  3. (2) は軸が範囲の左の外にあるので、範囲の中でグラフは右上がりの一方です。だから左端が最小、右端が最大です。
  4. 端の値は式に入れて計算します。x = 0 で 1、x = 3 で -2、x = 5 で 6 です。頂点以外の点の値は、頂点を読むだけでは出てこないからです。
図3 軸が範囲の中にある場合と外にある場合の最大と最小

図3の左が (1)、右が (2) です。同じ放物線なのに、右では頂点が範囲の外へ出て使えません。太い線の部分だけを見て一番高い点と低い点を拾えば、計算の答えを目で確かめられます。

答え: (1) x = 0 のとき最大値 1、x = 2 のとき最小値 -3。(2) x = 5 のとき最大値 6、x = 3 のとき最小値 -2

まちがえやすいところ

定数項まで括ってしまう

余った数に x² の係数を掛けない

頂点の x 座標を符号のまま読む

覚え方と忘れたときの戻り方

2 本目の公式は暗記しなくて構いません。覚えるのは「半分、2 乗、足して引く」の 3 語で、語呂の代わりに口で言いながら手を動かします。a のついた形は、毎回この 3 語と括る一手から作れます。

3 語を忘れたら、(x + 3)² を展開します。x² + 6x + 9 が出て、6 は 3 の 2 倍、9 は 3 の 2 乗です。逆にたどれば、x の係数を半分にすると 3 が、それを 2 乗すると 9 が戻ってきます。図2の正方形を紙の隅に描いても同じところへ戻れます。

検算の道は 2 つあります。1 つは x = 0 と x = 1 を元の式と変形後の式に入れる方法です。x² の係数がそろっていれば、2 か所で値が一致した時点で式全体が一致します。2x² − 8x + 3 なら、x = 0 で 3 と 2 × 4 − 5 = 3、x = 1 で -3 と 2 × 1 − 5 = -3 です。もう 1 つは頂点の x 座標 -b / (2a) で確かめる方法です。同じ式なら 8 / (2 × 2) = 2 で、元の式に x = 2 を入れると 8 − 16 + 3 = -5 となり、頂点と一致します。テストで時間が足りないときは x = 0 だけでも入れてください。定数のずれはそれで見つかります。

練習問題

次の 3 問を、途中式を省かずに解いてください。終わったら x = 0 を入れて検算してみましょう。

  1. x² − 10x + 4 を平方完成し、y = x² − 10x + 4 のグラフの頂点と軸を求めてください。
  2. 3x² + 2x − 1 を平方完成し、グラフの頂点を求めてください。
  3. y = -x² + 2x + 5 について、(1) -2 ≦ x ≦ 3、(2) 2 ≦ x ≦ 4 のそれぞれで最大値と最小値を求めてください。

答えと解説

練習 1 は、-10 を半分にして -5、2 乗して 25 です。x² − 10x = (x − 5)² − 25 なので、定数をまとめて (x − 5)² − 25 + 4 = (x − 5)² − 21 となります。頂点は点 (5, -21)、軸は直線 x = 5 です。x = 0 で元の式は 4、変形後は 25 − 21 = 4 で一致します。

練習 2 は、3 で括ると 3(x² + (2 / 3)x) − 1 です。2 / 3 を半分にして 1 / 3、2 乗して 1 / 9 です。3{(x + 1 / 3)² − 1 / 9} − 1 = 3(x + 1 / 3)² − 1 / 3 − 1 = 3(x + 1 / 3)² − 4 / 3 となります。外へ出すときに 3 × (1 / 9) = 1 / 3 と掛けるのを忘れないでください。頂点は点 (-1 / 3, -4 / 3) です。x = 0 で元の式は -1、変形後は 3 × (1 / 9) − 4 / 3 = 1 / 3 − 4 / 3 = -1 で一致します。

練習 3 は、-x² + 2x + 5 = -(x² − 2x) + 5 = -(x − 1)² + 1 + 5 = -(x − 1)² + 6 で、頂点は点 (1, 6)、上に凸のグラフです。上に凸のときは、軸から離れるほど低くなります。(1) は軸 x = 1 が範囲の中にあるので、最大は頂点の 6 です。最小は軸から遠い端で、x = -2 までの距離 3 が x = 3 までの距離 2 より大きいので x = -2、値は -(-2 − 1)² + 6 = -9 + 6 = -3 です。(2) は軸が範囲の左の外なので、範囲の中では右下がりの一方です。x = 2 で -(2 − 1)² + 6 = 5、x = 4 で -(4 − 1)² + 6 = -3 となります。

答えをまとめると、(1) は x = 1 のとき最大値 6、x = -2 のとき最小値 -3 です。(2) は x = 2 のとき最大値 5、x = 4 のとき最小値 -3 です。

次に確かめる公式

解の公式は、ax² + bx + c = 0 の左辺を平方完成して x について解き切った結果で、因数分解できない二次方程式を解くときに使います。判別式 b² − 4ac は、二次方程式の実数解の個数や、放物線と x 軸の共有点の個数を読むときの目印です。乗法公式の (x + k)² = x² + 2kx + k² は、平方完成の途中式が正しいかを展開で確かめるときに役立ちます。

個別指導では、頂点の符号や最後の定数で止まる生徒に対して、乗法公式の展開と平方完成を同じ紙の上で往復できるところまで戻って確かめます。

まとめ

赤い斜線の原因は、公式を知らないことではなく、括弧の中の 4 が外に出て 8 に変わる一手の見落としです。その一手は x = 0 を入れれば自分で見つけられます。x² の係数が整数でも負の数でも分数でも、半分にして 2 乗する動きは変わりません。放物線の頂点は探しに行くものではなく、式を整え終えた時点で紙の上に書いてあります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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