
武蔵野個別指導塾の特徴
志望理由書の書き方—最初の一文と、直し方|武蔵野個別指導塾

最初の一文は結論から書き、きっかけの体験を一つに絞ります。提出1週間前からでも、中身、順番、文、表記の順に1日1段で直せます。
志望理由書は、次の順で書くと形になります。
- 最初の一文で、志望する理由を言い切る。「なりたい」ではなく「なぜこの学校か」を書く。
- きっかけになった体験を一つだけ選び、したことと気づいたことを分けて書く。
- 入学後に学びたいことを、学校の固有名詞を入れて書き、その先の目標で締める。
- 書き終えたら、中身、順番、文、表記の順に直す。表記から直し始めない。
よくあるのは、提出1週間前の進路室で、下書きを先生に見せたら「気持ちは伝わるけれど、なぜこの学校なのかがわからない」と言われて返される、という場面です。机の上には赤で囲まれた「貴校の自由な校風に魅力を感じ」の一行があり、本人は何を直せばよいのか見当がつきません。書き直す時間は、あと6日しかありません。志望理由書は、気持ちの強さを競う文章ではなく、理由と体験と計画の3つがつながっているかを読まれる文章です。つながりの作り方と、残りの日数での直し方を、順に書きます。
書く前にすること
最初にするのは、書かせる側が何を読みたいのかを確かめることです。大学の場合、文部科学省の2027年度大学入学者選抜実施要項(2026年5月27日付の通知)に、大学入学希望理由書を使うときは「入学希望理由」「入学後に学びたい内容・計画」「大学卒業後を見据えた目標」を記載させる、と書かれています。つまり、読む側は最初から3つの欄を頭に置いて読んでいます。高校の志望理由書に同じ要項は当てはまりませんが、読まれ方は同じで、「なぜここか」「入って何をするか」「その先にどこへ向かうか」の3つがそろっているかを見られます。この3つを、書き出す前に紙の上に3行で置くのが準備の全部です。
期日も先に押さえます。同じ要項では、2027年4月入学の総合型選抜は願書の受付が2026年9月1日以降、合格発表が11月1日以降、学校推薦型選抜は願書の受付が11月1日以降、合格発表が12月1日以降と決められています。出願の締め切りと書類の様式は学校ごとに違うので、募集要項の該当ページを手元に置き、文字の上限、手書きか入力か、用紙の枠の大きさを確かめてから書き始めます。400字の枠に800字の下書きを作ると、削る作業に丸1日取られます。
次に、きっかけの体験を選びます。志望理由書で一番時間がかかるのはここで、文を書くことではありません。候補になる体験を3つ、箇条書きで出してください。部活の大会、文化祭の係、家族の病気、旅先で見た風景、授業で読んだ一冊、どれでも構いません。そのうえで、図1のように、それぞれの体験に「したこと」「気づいたこと」「学びたいこと」の3つの問いを当てます。3つとも答えられる体験が、書くべき体験です。「したこと」だけが大きくて、気づきが「楽しかった」で止まる体験は、志望理由につながりません。逆に、小さな出来事でも、気づきが志望する学科の内容まで一本の線で届くなら、それが正解です。

図1の流れで一つに絞ったら、その体験について、日付、場所、相手、言われた言葉、数字を思い出せるだけメモします。「中学2年の7月、地区大会の2回戦、相手校の主将に言われた一言」のように具体が並ぶほど、本文は短くても強くなります。ここで思い出せないことは、本文にも書けません。
最後に、志望する学校そのものを調べます。学科名、授業の名前、実習や研究室、施設、行事の中から、自分の「学びたいこと」に直接つながる固有名詞を2つ選びます。要項と学校案内に載っている言葉をそのまま使い、自分の記憶や噂で書かないこと。固有名詞が2つあれば、「なぜこの学校か」は自然に答えられます。「校風」「雰囲気」「環境」という言葉は、どの学校にも当てはまるので、志望理由にはなりません。
書き方の手順
書く順番は、最初の一文、体験、学びたいこと、締めの4つです。段落ごとの配り方は、図2のように、800字なら最初の一文と結論に80字、体験に320字、学びたいことと計画に320字、締めに80字が目安です。1割、4割、4割、1割と覚えると、400字でも1200字でも同じ比で割れます。体験と学びが同じ重さなのは、読む側が「体験は本当か」と「計画は具体か」を同じ重さで見るからです。

最初の一文には、3つの型があります。一つ目は、理由を直接言い切る型です。「私が貴校を志望する理由は、看護学科の地域実習で、在宅での看護を学べるからです。」理由の中に学校の固有名詞が入っているので、1行目で「なぜここか」に答え終わります。二つ目は、学びたいことを先に置く型です。「河川の氾濫を減らす土木の技術を学びたい。それが、貴校の環境建設学科を志望する理由です。」短い言い切りのあとに理由が続くので、読む側の目が止まります。三つ目は、体験の一場面から入る型です。「中学2年の7月、祖母の家の前の道路が、ひざの高さまで水に沈みました。」この型は、2文目で必ず志望理由に戻す約束が要ります。場面を3文も続けると、読む側は「何の話か」と迷い、気持ちの文章に見えてしまいます。
避けたい書き出しは、「私は将来、看護師になりたいと思っています。」という形です。なりたい職業は目標であって、この学校を選ぶ理由ではありません。同じ職業を目指せる学校はほかにもあるので、読む側は「ではなぜうちか」と1行目から疑います。もう一つ避けたいのは、「貴校の掲げる理念に深く共感し」という書き出しです。共感は誰でも書けるので、固有の理由になりません。
第2段落は、体験です。書く順は、したこと、見たこと、言われたこと、そして気づいたことです。事実を先に置き、気づきを後に置くと、読む側は自分で事実を確かめてから気づきを受け取れます。「水が引いたあと、祖母は、町の人が土のうを積む順番をどこで覚えたのかと話していました。私はそのとき、防災は知識ではなく、誰が何をするかを決めておくことだと気づきました。」という具合に、気づきは1文か2文で足ります。気づきを長く書くほど、作文の感想に近づきます。
第3段落は、学びたいことと計画です。ここで、準備で選んだ固有名詞を2つ使います。「貴校の環境建設学科には、1年次から河川の現地調査を行う授業があります。私はそこで、水の流れを測る方法を学び、3年次の地域と連携した防災の演習で、避難の手順を町の人と一緒に作りたいと考えています。」というように、授業の名前、学年、することを並べます。「たくさんのことを学びたい」「視野を広げたい」は、計画ではありません。
締めは、最初の一文を別の言葉で言い直し、入学後の自分の姿で終わります。「水に沈んだ道路を見た日から、私の目標は変わっていません。貴校で、町を守る技術を身につけます。」最初の一文と締めが同じことを言っているかどうかで、文章の芯が通っているかがわかります。
文の長さは、1文を60字までに収めます。敬体のです・ますで統一し、「貴校」は書き言葉、「御校」は面接で口にする言葉として使い分けます。「私」は、1段落に1回あれば十分で、毎文の頭に置かないこと。主語が続くと、文章が自分の話ばかりに見えます。
例文で見る
例文は、型を見るための短い物です。そのまま写して出す物ではなく、固有名詞と体験を自分の物に置き換えて使ってください。
一つ目は、高校の普通科の国際コースを志望する例です。「私が貴校の国際コースを志望する理由は、2年次の海外研修で、現地の高校生と共同でプレゼンテーションを作る授業があるからです。中学3年の春、市の交流事業でオーストラリアの生徒を1週間案内しました。英語は通じたのに、相手が一番知りたがった神社の由来を、私は日本語でも説明できませんでした。伝える力は、語学だけでは足りないと気づきました。貴校の国際コースには、地域の歴史を英語で発表する授業があります。私はそこで、自分の町を自分の言葉で語れるようになり、海外研修で現地の生徒に本当に伝わる発表をしたいと考えています。説明できなかった神社の前に、私はもう一度立つつもりです。」
この例の良いところは3つあります。1行目に授業の名前が入っていて、志望理由が1文で終わっていること。体験が「英語は通じたのに説明できなかった」という一つの場面に絞られ、気づきが1文で書かれていること。締めが最初の場面に戻っていて、文章の始めと終わりが結ばれていることです。足りないところもあります。「2年次の海外研修」の実施時期と内容は、必ず学校案内で確かめてから書くこと。実在しない授業を書いた志望理由書は、面接で必ず崩れます。
二つ目は、大学の総合型選抜で、教育学部を志望する例です。「小学生に算数を教える仕事に就きたい。それが、貴学の教育学部初等教育コースを志望する理由です。高校1年の夏から、地域の学習支援の教室で小学4年生に算数を教えています。最初の2か月、分数の割り算を何度説明しても、その子は手が止まったままでした。ある日、ピザの絵を描いて見せたら、その子は自分で式を書きました。わかるとは、言葉で聞くことではなく、自分の手で形を作ることだと知りました。貴学の初等教育コースには、1年次から附属小学校で授業を観察する科目があります。私はそこで、子どもの手が動く瞬間を記録し、3年次の教育実習で、自分の授業にその瞬間を作りたいと考えています。式を書いたあの子の顔を、教室で何度も見るのが私の目標です。」
この例では、気づきが「わかるとは手で形を作ること」という一文に凝縮され、それが学びたいことの「子どもの手が動く瞬間を記録する」に直結しています。体験と計画が同じ言葉でつながっているので、読む側は「この人は本当にここで学ぶつもりだ」と受け取ります。一方で、「高校1年の夏から」という期間と「最初の2か月」という数字は、本当のことでなければ書いてはいけません。面接で「何人教えましたか」と聞かれて答えに詰まると、文章全体が疑われます。
まちがえやすいところ
一つ目の誤りは、学校への褒め言葉で理由を作ることです。「貴校の自由な校風と、充実した設備に魅力を感じ、志望しました。」どこが違うかというと、自由な校風も充実した設備も、ほかの学校の志望理由書にそのまま貼れる言葉で、この学校とあなたを結ぶ線がどこにもありません。直すと、「貴校には、2年次から週2回、研究室で実験を続けられる課題研究の授業があります。私はこの授業で、中学から続けている水質の調査を、器具を使って確かめたいと考え、志望しました。」固有名詞と、自分の体験が、1文の中で握手している形です。
二つ目の誤りは、体験を並べることです。「部活動では副部長として部をまとめ、生徒会では文化祭を運営し、ボランティアでは地域の清掃に参加しました。」3つ並べると、どれも1文で終わるので、気づきを書く場所がなくなります。読む側には、活動報告の箇条書きに見えます。直すには、一つを残して、残りは捨てます。「文化祭の運営で、私は出し物の順番を決める係でした。3つのクラスが同じ時間を希望し、話し合いは2時間止まりました。私が各クラスの準備にかかる時間を表にして見せたところ、順番は10分で決まりました。人を動かすのは説得ではなく、同じ表を見ることだと知りました。」残した一つが、学びたいことにつながる形で深くなります。捨てた活動は、調査書や活動報告書の欄に書けば足ります。
三つ目の誤りは、文末がゆれることです。「〜と思います」「〜と考えています」が続く文章と、です・ますとだ・であるが混ざる文章です。「私は貴校で学びたいと思います。将来は地域に貢献したいと思います。そのために努力したいと思います。」どこが違うかというと、思うだけの文が3つ続くと、何一つ決まっていないように読めます。直すと、「私は貴校の地域看護の実習で、在宅での看護を学びます。将来は、祖母が暮らす町で訪問看護に携わります。」言い切りに変えるだけで、文章の背筋が伸びます。
直す順番は、図3のように、中身、順番、文、表記の4段です。中身とは、理由、体験、学びたいことの3つがそろい、一本の線でつながっているか。順番とは、最初の一文が結論になっていて、体験が学びの前に置かれているか。文とは、1文が60字までで、文末が言い切りになっているか。表記とは、誤字、敬語、数字の書き方、枠の中に収まっているか。提出1週間前なら、この4段に1日ずつ使い、残りの2日を清書と先生の確認に当てると、間に合います。表記から直し始めると、翌日に中身を書き直したときに、直した表記ごと消えます。

図3の順に直すとき、一度に2段をまたがないことが大切です。中身の日は、固有名詞と体験の線だけを見て、誤字は目に入っても直しません。順番の日は、段落を入れ替えるだけで、文は触りません。1日に1段と決めると、直しの途中で全部を書き直したくなる気持ちが抑えられます。
よくある質問
書ける体験が何もありません
誰にでもある体験で足ります。大会で勝った、賞を取った、という出来事は要りません。授業で読んだ一つの文章、家族の一言、通学路で毎日見ている光景でも、「気づいたこと」と「学びたいこと」が線でつながれば、志望理由になります。候補を3つ書き出し、図1の3つの問いを当てる作業を、まず30分やってみてください。何もないと思っている人の多くは、体験が無いのではなく、気づきをまだ言葉にしていないだけです。
枠の上限に対して、どのくらい書けばよいですか
上限の9割を目安にします。400字の枠なら360字前後、800字なら720字前後です。枠の半分で終わると、書く意欲を疑われます。上限を超えた下書きは、体験の描写の形容詞と、締めの重なりから削ります。最初の一文と学びたいことの固有名詞は、最後まで削らないでください。
先生に見せるのは何回がよいですか
3回です。1回目は中身の段階で、体験と学びの線が通っているかだけを見てもらいます。2回目は文と表記を直した後、3回目は清書の前日です。毎日見せると、先生の指摘がそのたびに別の所に向き、本人がどこを直せばよいか見失います。見せるときは、「今日は中身だけ見てください」と、見てほしい段を先に伝えます。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
親ができるのは、聞き役です。「その日、何があったの」「そのとき何を思ったの」と聞いて、お子さまが話した言葉をそのままメモに書き取ってください。親の言葉で言い換えた瞬間に、面接で本人が語れない文章になります。文章そのものを書き直すことは、しないほうがよいです。
個別指導で確かめるのは、3点です。最初の一文が志望の理由になっているか。体験の気づきと学びたいことが、同じ言葉でつながっているか。本文に書いた学校の固有名詞が、募集要項や学校案内の表記と一致しているか。この3点が通れば、あとは本人の声で面接に持っていけます。
まとめ
志望理由書で読まれるのは、理由と体験と計画が一本の線でつながっているかどうかです。線が見えたら、最初の一文は自然に決まり、残りはその一文の説明になります。提出1週間前からでも、1日1段ずつ直せば、間に合います。固有名詞を2つ調べ、体験を一つに絞った瞬間に、志望理由書は半分書き上がっています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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