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【中学美術】20 世紀の美術を図解で総まとめ—ピカソ・ダリ・ムンク・ウォーホル|武蔵野個別指導塾

ピカソとダリを取り違える原因は、絵の特徴で流派を覚えていないことです。心・色・形・夢・題材の 5 語の見分け表と年表、「ゲルニカ」の記述の例題で、作品名から流派までつなげましょう。
よくあるのは、テスト前の夕方、コンビニのイートインで美術のプリントを広げ、揚げ物の包み紙の横で「ピカソがシュルレアリスムだっけ、ダリがキュビスムだっけ」と手が止まる場面です。どちらもスペイン出身で、どちらも変わった絵を描いた人、という記憶しか残っていないと、カタカナの流派名は簡単に入れ替わります。ところが顔を上げると、棚には同じ缶スープが何十個も並んでいます。その並びを作品の題材にした画家がいると聞くと、店の景色が少し違って見えてきます。20 世紀の美術は、画家ごとに「絵の中の何を変えたのか」を 1 語で持つと、名前と作品と流派が同時につながります。読み終えるころには、短い説明文から流派を言い当て、「ゲルニカ」の記述問題まで自分の言葉で書けるようになります。
この単元で押さえること
テストで問われる中身は、次の 5 つの流れと、それぞれの代表作に集まります。
- 表現主義とムンク:不安や孤独など、心の中の動きをうねる線と強い色で外に出します。代表作は「叫び」で、ムンクはノルウェーの画家です。
- フォービスム(野獣派)とマティス:目に見えた色から離れ、感じたままの強い色で塗ります。
- キュビスム(立体派)とピカソ:1 つのものを複数の方向から見た形に分け、1 枚の画面に組み立てます。
- 「ゲルニカ」:ピカソが 1937 年に描いた、スペイン内戦の空爆が題材の大作です。白と黒と灰色だけで描かれています。
- シュルレアリスム(超現実主義)とダリ:夢や無意識の世界を、細かく写実的な筆で描きます。代表作は溶けた時計の「記憶の固執」です。
- ポップアートとウォーホル:広告や商品、映画スターといった大量生産の時代の像を題材にし、シルクスクリーンを使いました。
光の移ろいを追った印象派の次に来る単元で、ウォーホルの版の話は、デザインと版画の単元へそのままつながります。
基本の考え方
写真が広まったあと、絵には何が残ったのか
19 世紀に写真が広まると、目の前のものをそっくり写す役目は、絵より機械のほうが速く正確にこなせるようになりました。それだけが理由ではありませんが、画家たちが「絵にしかできないことは何か」を問い直すきっかけの 1 つになったと考えられています。そこへ 2 度の世界大戦と、工場で同じ物をいくつも作る時代が重なり、美術の姿は短い間に大きく変わっていきます。
図1のように、フォービスムが話題になった 1905 年からキュビスムの出発点とされる 1907 年まで、間はわずか 2 年です。点の間隔が詰まっている前半ほど、新しい流れが次々に現れたと読めます。一方でムンクの点だけは、20 世紀の帯の外にあります。「叫び」は 1893 年の作品で、描かれたのは 19 世紀の終わりです。20 世紀に広がる表現主義の先がけとして、この単元で学びます。

これほど多くの流れを、名前の暗記だけで持ち続けるのは大変です。そこで、流派ごとに「絵の中の何を変えたのか」を 1 語で押さえます。表現主義は心、フォービスムは色、キュビスムは形、シュルレアリスムは夢、ポップアートは題材です。ここから先は、この 5 語を順に見ていきます。
心・色・形を変えた 3 つの流れ
表現主義が変えたのは、絵の出発点です。目の前の景色を写すのではなく、心の中の不安や孤独を先に置き、それに合わせて景色をゆがめます。ムンクの「叫び」では、赤くうねる空の下、細長い人物が両手で耳をふさいでいます。ムンク自身が、自然をつらぬく叫びを感じた体験を書き残しており、人物が叫んでいるというより、その叫びを聞いて耳をふさいでいると読む見方が知られています。同じ題の作品は、絵具やパステル、版画など何点も作られました。前の単元で見たゴッホのうねる筆づかいとのつながりも、よく指摘されるところです。
フォービスムが変えたのは色です。1905 年にパリの展覧会で、人の顔に緑を塗るような作品が並び、批評家が「野獣」にたとえて書いたことが名前の起こりとされます。中心にいたのがフランスのマティスで、木の葉は緑、肌は肌色という約束を外し、画面の中で色どうしが響き合うかどうかで色を選びました。青と緑と赤のごく少ない色で踊る人々を描いた「ダンス」は、代表作の 1 つです。
キュビスムが変えたのは形です。イートインのカップを思い浮かべてください。上から見れば丸い口、横から見れば細長い胴で、同じカップでも見る場所で形が違います。ふつうの絵は見る場所を 1 か所に決めますが、キュビスムは上から見た丸と横から見た胴を 1 枚の中に同時に描きます。だから、正面の顔に横顔の鼻がついたような人物が現れます。スペイン生まれでパリを拠点にしたピカソと、フランスのブラックが進めた流れです。1907 年のピカソの「アビニヨンの娘たち」が出発点とされ、物を単純な立体としてとらえようとしたセザンヌの考えを受けついだといわれます。
ピカソの仕事の中で、テストに最も出やすいのが「ゲルニカ」です。1937 年、スペイン内戦のさなかに北部の町ゲルニカが空爆を受けました。ピカソはこの出来事を題材に、同じ年のパリ万国博覧会のスペイン館に展示する大作を描きます。横幅は 7 m を超え、色は白と黒と灰色だけです。死んだ子を抱いて泣き叫ぶ母親、倒れた兵士、苦しむ馬、牛が、切り分けられた形で画面に詰めこまれています。絵は長くアメリカに預けられ、スペインに戻ったのはピカソの死後の 1981 年でした。
夢と、棚の上の商品を描いた 2 つの流れ
シュルレアリスムは「超現実主義」と訳されます。1924 年に詩人のブルトンが宣言を出し、夢や無意識の世界を表そうとする運動が広がりました。ここで気をつけたいのは、キュビスムのように視点を分解しているわけではないことです。スペインのダリが 1931 年に描いた「記憶の固執」では、岸辺のような風景の中で、時計が布のように溶けて枝や台に垂れ下がっています。文字盤は細かく描かれ、見た瞬間に時計だとわかります。描き方は写実なのに、起きていることがありえない。これがキュビスムとの分かれ目です。なお、この絵の横幅は 33 cm ほどで、「ゲルニカ」とは大きさも正反対です。同じ流れの画家に、ベルギーのマグリットやスペインのミロがいます。
ポップアートは popular(大衆の)から来た呼び名で、1950 年代のイギリスに始まり、1960 年代のアメリカで大きく広がりました。変えたのは題材です。宗教や歴史や風景の代わりに、広告、漫画、缶詰、映画スターを絵の主役にしました。アメリカのウォーホルは 1962 年に、スープ缶の絵を 32 枚並べた「キャンベルのスープ缶」を発表し、同じ年に映画スターのマリリン・モンローの顔もくり返し画面に並べ始めます。その顔を刷るのに使ったのがシルクスクリーンという版の技法です。同じ像をいくつも作れるこの方法は、棚に同じ商品が並ぶ社会の姿とよく重なります。漫画のひとコマを大きく描き、印刷の細かい点まで絵にしたリキテンスタインも、同じ流れの画家です。
テスト範囲のプリントにカンディンスキーやモンドリアンの名前があれば、具体的な物を描かず色と線だけで画面を作る「抽象絵画」の画家として、6 つ目の流れに加えておきましょう。
例題で解き方を確かめる
図2は、5 つの流れを古い順に並べ、流派・画家・変えた点を 1 行ずつにした表です。問題を解くときは、説明文から手がかりの語を探し、右端の列から左へ読むのが基本の動きになります。

例題1 用語の見分け
次の説明に当てはまる流派の名前を答えなさい。「目で見たとおりの色にとらわれず、顔に緑を塗るなど強い色で描いた。展覧会で批評家に野獣のようだと書かれた。」
- 説明の中から、絵の特徴を表す語に線を引きます。ここでは「色」と「野獣」です。説明文は長くても、流派を決める語は 1 つか 2 つにしぼれるからです。
- 図2の「変えた点」の列から「色」の行を探します。5 つを 1 語で切り分けてあるので、迷う候補がこの時点で 1 つになるからです。
- 同じ行を左へ読み、流派名と画家名を確かめます。フォービスムとマティスです。次の小問で作者を聞かれても止まらないよう、行ごと頭に入れておきます。
答え:フォービスム(野獣派)
例題2 年表の読み取り
図1を見て、次の 4 つを古い順に並べなさい。ア 「ゲルニカ」の制作 イ シュルレアリスムの宣言 ウ ウォーホルのスープ缶の発表 エ フォービスムの名が生まれた展覧会
- 図1から年を読み取り、記号の横に書きます。アは 1937、イは 1924、ウは 1962、エは 1905 です。記憶の順番はあいまいでも、数に直せば比べられるからです。
- 小さい数から順に記号を並べます。1905、1924、1937、1962 の順で、エ、イ、ア、ウとなります。1 か所の入れ替えで全体を落とす形式なので、頭の中だけで並べないようにします。
- 流れと合うかを確かめます。新しい流れが続く前半の次に戦争の絵が来て、戦後の大量生産の時代を映すポップアートが最後に来ています。時代の背景と矛盾しなければ、読み違いの可能性を減らせるからです。
答え:エ→イ→ア→ウ
例題3 作品の説明から 4 つを答える
次の説明の作品について、(1) 題名 (2) 作者 (3) 流派 (4) 作者の出身国を答えなさい。「岸辺のような風景の中に、柔らかく溶けた時計が枝や台に垂れ下がっている。細部は丁寧に写実的に描かれている。」
- 形が分解されているのか、起きていることがありえないのかを先に決めます。時計の形はそのまま読み取れるのに、溶けるという出来事がありえないので後者です。ここを最初に決めると、キュビスムとの取り違えを防げるからです。
- 図2で「夢」の行を引き、シュルレアリスムとダリを取り出します。流派と画家が 1 行に並んでいるので、(2) と (3) が同時に埋まるからです。
- 題名は「記憶の固執」です。時計は時間、固執は離れないこと、と語の意味をつなげておくと、「固執」の字まで書きやすくなります。
- 出身国はスペインと書きます。ピカソも同じスペインなので、国名は 2 人を見分ける手がかりにならないと確かめておきます。
答え:(1)「記憶の固執」 (2) ダリ (3) シュルレアリスム(超現実主義) (4) スペイン
例題4 記述の問題
ピカソの「ゲルニカ」について、題材と色づかいにふれて 40 字以上 60 字以内で説明しなさい。
- 問われている項目を「題材」と「色づかい」の 2 つに分けます。記述は項目ごとに点がつくことが多く、片方を書き忘れると大きく失うからです。
- 事実を短い語で並べます。題材はスペイン内戦で町が空爆された出来事、色は白と黒と灰色です。事実を先に置くと、感想だけの答案にならないからです。
- 作品から受ける印象を 1 語足して文にします。ここでは「戦争の悲惨さ」です。なぜ色を使わなかったのかには、新聞の報道写真を思わせるなどいくつかの見方があり、1 つに決められません。だから理由を断定せず、白黒であるという事実のほうを確実に書きます。
答え:スペイン内戦で町が空爆された出来事を題材に、白と黒と灰色だけで戦争の悲惨さを描いた作品。
まちがえやすいところと直し方
誤り1 「ゲルニカ」の色を想像で書く
- 誤った書き方:「ゲルニカ」は、鮮やかな色で戦争への怒りをぶつけた作品である。
- どこが違うか:題材は合っていても、色の説明が逆です。ピカソは派手な色の画家だという印象や、怒りという言葉の勢いに引っぱられて、見ていない色を書いてしまいます。
- 正しい書き方:「ゲルニカ」は、スペイン内戦の空爆を題材に、白と黒と灰色だけで描かれた作品である。
誤り2 スペインの 2 人の流派を入れ替える
- 誤った書き方:ピカソはシュルレアリスムの画家で、ダリはキュビスムの画家である。キュビスムは、夢の場面を描く流派である。
- どこが違うか:同じ国の出身で、どちらも現実と違う絵を描くため、流派だけが入れ替わります。図3のように、キュビスムが変えたのは箱の見え方であり、夢の場面ではありません。上と前と横という 3 つの視点を 1 枚に集めるのが、この流派の中心です。
- 正しい書き方:ピカソはキュビスム(立体派)の画家で、複数の視点から見た形を 1 枚に組み立てた。ダリはシュルレアリスム(超現実主義)の画家で、ありえない場面を写実的に描いた。

誤り3 シルクスクリーンを版の別の仲間に入れる
- 誤った書き方:シルクスクリーンは、版の出ている部分にインクをつけて刷る凸版で、ウォーホルが使った。
- どこが違うか:木版のような凸版と混ざっています。図4のように、シルクスクリーンは版の穴だけインクを通し、穴の形をそのまま紙に写します。孔は穴のことで、穴を通して刷るので孔版と呼ばれます。
- 正しい書き方:シルクスクリーンは、版の穴(孔)からインクを押し出して刷る孔版で、ウォーホルは同じ像をくり返し表すのに使った。

用語のまとめ
テスト前に見返すときは、まず表の右端の 1 語を隠して言えるかを試してください。
| 流派 | 別の呼び名 | 画家と国 | 代表作 | 変えた点 |
|---|---|---|---|---|
| 表現主義 | なし | ムンク(ノルウェー) | 「叫び」 | 心 |
| フォービスム | 野獣派 | マティス(フランス) | 「ダンス」 | 色 |
| キュビスム | 立体派 | ピカソ(スペイン)、ブラック(フランス) | 「アビニヨンの娘たち」「ゲルニカ」 | 形 |
| シュルレアリスム | 超現実主義 | ダリ(スペイン)、マグリット(ベルギー) | 「記憶の固執」 | 夢 |
| ポップアート | なし | ウォーホル(アメリカ)、リキテンスタイン(アメリカ) | 「キャンベルのスープ缶」 | 題材 |
- 「ゲルニカ」:1937 年。スペイン内戦の空爆が題材。白と黒と灰色の大作です。
- 「叫び」:1893 年。19 世紀末の作品で、表現主義の先がけとされます。
- 「記憶の固執」:1931 年。溶けた時計の絵です。
- シルクスクリーン:版の穴からインクを押し出す孔版の技法です。
- 無意識:自分では気づいていない心の動きのことで、シュルレアリスムの画家たちが関心を寄せました。
- 大量生産・大量消費:同じ物を大量に作って売り、使う社会のしくみで、ポップアートの背景になりました。
練習問題
- 練習1 次の流派の日本語の呼び名を答えなさい。(1) キュビスム (2) フォービスム (3) シュルレアリスム
- 練習2 次の作品の作者と、作者の出身国を答えなさい。(1)「叫び」 (2)「記憶の固執」 (3)「ゲルニカ」 (4)「キャンベルのスープ缶」
- 練習3 次の文の誤りを 1 か所見つけて直しなさい。「ポップアートの画家ウォーホルは、宗教や神話の場面を題材にし、シルクスクリーンを使って同じ像をくり返し表した。」
- 練習4 キュビスムとシュルレアリスムの違いを、「形」と「場面」の 2 語を使って 2 文で説明しなさい。
答えと解説
練習1の答えは (1) 立体派 (2) 野獣派 (3) 超現実主義です。立体は箱を前と上と横から見る図3の話、野獣は批評家の言葉、超現実は現実を超えた夢の話、というように、呼び名の中身まで結びつけて覚えると入れ替わりません。
練習2の答えは (1) ムンク、ノルウェー (2) ダリ、スペイン (3) ピカソ、スペイン (4) ウォーホル、アメリカです。スペインが 2 人いるので、国名だけで流派を決めないように気をつけます。「叫び」の時代が 19 世紀末であることも、あわせて確かめておきましょう。
練習3の答えは「宗教や神話の場面」を「広告や商品、映画スターなど身のまわりの像」に直します。ポップアートが変えたのは題材で、大量生産の時代に誰もが目にする物を主役にした点が要です。シルクスクリーンのところは正しいので、直しません。
練習4の答えの例は「キュビスムは、ものを複数の視点から見た形に分け、1 枚の画面に組み立てる。シュルレアリスムは、形は写実的に描きながら、夢のようにありえない場面をつくる。」です。形をばらす流派か、場面をありえなくする流派かが読み手に伝われば、語順は変えてかまいません。
次の単元へのつながりと確かめ方
ここで身につけた「何を変えたのか」という問いは、デザインの単元やポスターの鑑賞でもそのまま使えます。シルクスクリーンは版の種類の問題に再び現れ、スペイン内戦や世界大戦は社会科の近現代とも重なります。
家で 5 分でできる確かめ方を 2 つ挙げます。1 つ目は、白い紙に 5 つの流派名を縦に書き、画家と変えた点を何も見ずに埋めて、図2と照らすことです。2 つ目は、手元のカップや箱を前と上と横から 1 分ずつ描き、3 つの形を 1 枚に重ねてみることです。キュビスムの考え方が手でわかります。保護者の方は、お子さまに作品の名前ではなく「この絵は何を変えたの」と聞いてみてください。
個別指導では、流派名が出てこないときほど暗記に進まず、説明文から色・形・場面の手がかりを声に出して拾えるところまで戻って確かめます。
まとめ
心、色、形、夢、題材。この 5 語に画家の名前をぶら下げておけば、説明文が短くても、見たことのない絵が出ても、どの流れの話なのかを自分で判断できます。20 世紀の画家たちが壊したのは絵そのものではなく、絵はこう描くものだという思い込みでした。
テストが終わって、もう一度あのイートインの窓際に座ったとき、棚に並ぶ同じ缶スープに目が留まるなら、美術の用語はもう暗記の中身ではなく、あなたの目の一部になっています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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