
高校 物理 単元解説
【高校物理】剛体のつり合いの解き方—力のモーメントと重心の問題の手順|武蔵野個別指導塾

壁に立てかけた棒の問題で、式を何本立てるか迷う人へ。うでの長さの取り方と、未知の力が式から消える軸の選び方を、てこと立てかけた棒の図で追っていきましょう。
よくあるのは、夕方の駅前のベンチで問題集を開き、壁に立てかけた棒の問題で手が止まる場面です。膝の上のノートには棒が 1 本と矢印が 2 本。重力と床から押し上げる力までは描けたのに、式を何本立てればよいのか、軸をどこに置けばよいのかが決まらないまま、バスが来てページを閉じてしまいます。公式を覚えていないのではなく、書き始める順番を持っていないことが原因である場合がほとんどです。この単元を身につけると、棒の問題を見た瞬間に矢印の本数と式の本数を数えられるようになり、てこ、つるした棒、立てかけた棒、重心の問題を同じ手順で解けるようになります。
剛体のつり合いの問題は、はたらく力をすべて矢印で描き、水平と鉛直の力のつり合いの式を立て、未知の力が集まる点を軸にして力のモーメントの和を 0 とおく、という順に解きます。力のモーメントは力の大きさとうでの長さの積で、うでの長さは軸から力の作用線までの距離です。重心は重力がまとめてはたらくと見てよい点で、一様な棒なら中央にあります。
この単元で押さえること
- 剛体: 力を加えても形が変わらないと考える、大きさのある物体です。移動だけでなく回転も考えます。
- 力のモーメント: 物体を回転させるはたらきの大きさで、M=F×L と表します。単位は N·m です。
- うでの長さ: 回転軸から力の作用線までの距離です。力の作用点までの距離ではなく、力が棒に垂直なときだけ両者が一致します。
- つり合いの 2 条件: 力のつり合いと、任意の点のまわりの力のモーメントの和が 0 であることの 2 つです。
- 軸の選び方: 軸はどこに置いてもかまいません。未知の力が集まる点に置くと式が短くなります。
- 重心: 物体の各部分にはたらく重力の合力の作用点です。重力の矢印はここから 1 本で描きます。
物体を点として扱ってきた力のつり合いに「回転」を足した単元で、力の分解と三角比をそのまま使います。ここで矢印を全部描く習慣がつくと、あとで学ぶ運動の問題でも力の見落としが減ります。
基本の考え方
剛体では回転も考えます
これまでの力のつり合いでは、物体を大きさのない点(質点)として扱い、力の和が 0 ならつり合うと考えてきました。ところが棒や板のように大きさのある物体では、同じ力でも加える場所で結果が変わります。ドアを取っ手の近くで押すと軽く開くのに、ちょうつがいのすぐそばを押すと同じ力ではほとんど動きません。長い柄のスパナほどねじを回しやすいのも同じ理由です。そこで、力を加えても変形しないと考える、大きさのある物体を剛体と呼び、移動に加えて回転も考えます。
力のモーメントは力とうでの長さの積です
物体を回転させるはたらきの大きさを力のモーメントといい、M=F×L で表します。F は力の大きさ、L はうでの長さです。うでの長さは、回転軸から力の作用線までの距離を指します。作用線とは、力の矢印を前後にまっすぐ延ばした線のことで、回転軸からこの線へ下ろした垂線の長さがうでの長さです。

図1のように、長さ 2.0 m の棒の端 O を回転軸とし、もう一方の端 A に、棒の延長と 30° をなす向きに 10 N の力を加えたとします。O から作用線へ垂線を下ろすと直角三角形ができ、うでの長さは 2.0×sin30°=1.0 m、モーメントは 10×1.0=10 N·m です。同じ値は、力を棒に垂直な分力 10×sin30°=5.0 N と棒に沿った分力に分けても出せます。棒に沿った分力は作用線が O を通るのでうでの長さが 0 になり、回転に効くのは垂直な分力だけで、5.0×2.0=10 N·m となります。どちらの計算でもかまいません。同じ 10 N でも、棒に垂直に加えればうでは 2.0 m で 20 N·m、棒に沿って加えれば 0 です。作用線の上で力の作用点をずらしても、うでの長さは変わりません。
回転には向きがあるので、時計回りと反時計回りで符号を変えます。反時計回りを正とすることが多いですが、1 本の式の中でそろっていれば逆でも結果は同じです。式を立てるときは「時計回りのモーメントの和=反時計回りのモーメントの和」の形で書くと、符号の間違いが減ります。
つり合いの条件は 2 つあります
剛体が静止し続けるには、次の 2 つが両方とも必要です。
- 力のつり合い: 水平方向、鉛直方向のそれぞれで力の和が 0 である。
- モーメントのつり合い: 任意の点のまわりの力のモーメントの和が 0 である。
1 だけでは足りないことは、車のハンドルを両手で回す場面で確かめられます。左右の手は大きさが等しく逆向きの力を加えるので合力は 0 ですが、ハンドルは回ります。このような 1 組の力を偶力といいます。
「任意の点」とあるのは、力のつり合いが成り立っていれば、ある 1 点のまわりでモーメントの和が 0 のとき、ほかのどの点のまわりでも和が 0 になるからです。だから軸は自分の都合で選べます。棒や板を平面の中で考える問題で立てられる独立な式は、水平 1 本、鉛直 1 本、モーメント 1 本の合計 3 本です。この 3 本に、軸を変えたモーメントの式を足しても新しい情報は増えないので、この形で解けるのは未知数が 3 つまでの問題です。
軸は未知の力が集まる点に置きます
軸を通る力はうでの長さが 0 なので、モーメントの式に出てきません。したがって、未知の力の作用点を軸にすれば、その力を式から消せます。軸は実際に棒が回転する中心である必要はなく、計算のために好きな点に置けます。立てかけた棒の下端には床の垂直抗力と摩擦力の 2 つの未知の力がはたらくので、ここを軸にすると一度に 2 つ消えます。
重心は重力をまとめて描く点です
物体の各部分にはたらく重力の合力の作用点を重心といいます。一様な棒なら中央、一様な円板なら中心、一様な長方形の板なら対角線の交点です。棒全体の重力を中央から 1 本の矢印で描いてよいのはこのためです。質量 m₁, m₂ の 2 つの物体が位置 x₁, x₂ にあるとき、全体の重心の位置は x=(m₁x₁+m₂x₂)/(m₁+m₂) です。これは重心のまわりでモーメントがつり合う式を書き直したもので、重心は 2 つの物体を結ぶ線分を質量の逆比に分けます。ほうきを指 1 本で水平に支えるとつり合う点が穂の側に寄るのは、重い穂の近くに重心があるためです。
問題を解く手順
どの問題でも、次の順に進めます。式より先に図を仕上げるのが、この順番の要点です。
- 力をすべて描く。重力は重心から、ほかの力は物体が触れている場所(糸、床、壁、支点)から描きます。
- 力のつり合いの式を立てる。斜めの力は水平と鉛直に分解します。
- 軸を決める。未知の力が最も多く集まる点を選びます。
- 各力のうでの長さを出し、モーメントの式を立てる。軸は式の途中で変えません。
- 連立して解き、時間があれば別の点を軸にして検算する。
例題で解き方を確かめる
例題1 用語の見分け
次の文のうち、正しいものをすべて選びなさい。
- ア 力のモーメントの大きさは、力の大きさと、回転軸から力の作用点までの距離の積である。
- イ 剛体にはたらく力の合力が 0 ならば、剛体は回転を始めない。
- ウ 静止している剛体では、どの点のまわりでも力のモーメントの和は 0 である。
- エ 一様な棒の重心は、棒の中央にある。
- アを確かめます。掛けるものの定義が問われているからです。掛けるのは作用線までの距離なので、作用点までの距離と書かれたアは誤りです。
- イを確かめます。合力が 0 でも回転を始める例が 1 つあれば誤りと言えるからです。偶力は合力が 0 なのに回転させるので、イは誤りです。
- ウとエを確かめます。残りの 2 つが条件や性質そのものかを照らし合わせるためです。ウはつり合いの条件、エは一様な棒の重心の性質なので、どちらも正しい文です。
答え: ウ、エ
例題2 てこの形の棒
長さ 3.0 m、重さ 60 N の一様な棒 AB があります。A から 1.0 m の点 C を支点で支え、A におもりをつるすと、棒は水平につり合いました。おもりの重さ W と、支点が棒を押し上げる力 N を求めなさい。

- 図2のように力を描きます。棒の重力 60 N は中央 G(A から 1.5 m)から下向きに描きます。棒自身の重さを式に入れ忘れないためです。
- 力のつり合いの式を書きます。未知数が W と N の 2 つなので式が 2 本要るからです。鉛直方向で N=W+60 です。
- 軸を C に置きます。未知の N のうでの長さが 0 になり、W だけを先に求められるからです。
- C のまわりのモーメントの式を立てます。W のうでは 1.0 m で反時計回り、60 N のうでは 0.50 m で時計回りなので、W×1.0=60×0.50 となり、W=30 N です。
- 2 の式に戻して N=30+60=90 N とします。A を軸にしても N×1.0=60×1.5 から N=90 N となり、検算になります。
答え: W=30 N、N=90 N
図2で棒とおもり全体の重心を求めてみましょう。質量の代わりに重さを入れても比は変わらないので、A を原点として (30×0+60×1.5)/(30+60)=1.0 m となり、ちょうど支点 C の真上に来ます。1 点で支えてつり合うのは全体の重心がその点の真上にあるときだ、という見方がここで確かめられます。
例題3 立てかけた棒
長さ 4.0 m、重さ 60 N の一様な棒を、なめらかな鉛直の壁とあらい水平な床の間に、床と 60° をなすように立てかけたところ、棒は静止しました。(1) 壁から受ける力 N₁、(2) 床から受ける垂直抗力 N₂ と静止摩擦力 f、(3) 棒がすべらないために床の静止摩擦係数 μ が満たす条件を求めなさい。

- 図3のように力を 4 本描きます。壁はなめらかなので、壁からは垂直抗力 N₁ だけを受けます。棒の下端は壁から離れる向きにすべろうとするので、f は壁に向かう向きです。
- 力のつり合いの式を書きます。すぐに決まる未知数を先に片づけるためです。水平方向で f=N₁、鉛直方向で N₂=60 となり、N₂=60 N が決まります。
- 軸を下端 A に置きます。N₂ と f の 2 つが同時に式から消えるからです。
- うでの長さを出します。力の作用線までの距離が必要だからです。重力は鉛直なのでうでは水平距離で 2.0×cos60°=1.0 m、N₁ は水平なのでうでは高さで 4.0×sin60°=2√3 m です。
- モーメントの式を立てます。重力は A のまわりに時計回り、N₁ は反時計回りに回そうとするので、60×1.0=N₁×2√3 となり、N₁=10√3 N です。2 の式から f=10√3 N です。
- すべらない条件を書きます。静止摩擦力は最大摩擦力を超えないからです。f≦μN₂ に値を入れると 10√3≦60μ となり、μ≧√3/6 です。
答え: N₁=10√3 N(約 17 N)、N₂=60 N、f=10√3 N(約 17 N)、μ≧√3/6(約 0.29)
軸の選び方の差も見ておきましょう。上端 B を軸にしても答えは同じですが、式は 2.0×N₂=2√3×f+60×1.0 となり、未知の力が 2 つ残ります。N₂=60 を入れれば f=10√3 N と一致するものの、一手多くなります。また、床となす角を θ として同じ計算をすると、必要な μ は 1/(2tanθ) となり、棒を寝かせるほど大きくなります。はしごを寝かせて立てかけるとすべりやすいことと合っています。
検算の道具をもう 1 つ挙げます。N₂ と f を合わせて床から受ける 1 つの力と見ると、棒にはたらく力は 3 つです。平行でない 3 つの力がつり合うとき、3 本の作用線は 1 点で交わります。図3で N₁ と重力の作用線の交点は A から右へ 1.0 m、上へ 2√3 m の点で、床から受ける力の傾きも N₂÷f=60÷(10√3)=2√3 ですから、確かにこの点を通ります。
例題4 穴のあいた板の重心
半径 2r の一様な円板から、図4のように半径 r の円を切り抜きました。切り抜いた円は元の円板に内側で接しています。残りの板の重心は、元の円板の中心 O からどの向きにどれだけ離れていますか。

- 元の円板を「残りの板」と「切り抜いた円」の 2 つに分けて考えます。元の円板の重心が O だとわかっているので、穴のない形から逆にたどれるからです。
- 質量の比を出します。一様な板の質量は面積に比例するからです。元の円板は π(2r)²=4πr²、切り抜いた円は πr² なので、残りの板と切り抜いた円の質量の比は 3:1 です。質量を 3m と m とおきます。
- 重心の位置を図に書きます。2 つを合わせた重心が O になるはずだからです。切り抜いた円の重心はその中心 P で、O から r の位置にあります。残りの板の重心 G は、O をはさんで P の反対側にあります。
- O のまわりのつり合いの式を立てます。G と O の距離を x とすると、3m×x=m×r となり、x=r/3 です。
答え: O から、切り抜いた円と反対の向きに r/3 離れた点
まちがえやすいところと直し方
斜めの力に棒の長さをそのまま掛けてしまう
誤った書き方: 長さ 3.0 m の棒の一端を回転軸とし、もう一方の端に、棒と 30° をなす向きに 20 N の力を加えたとき、M=20×3.0=60 N·m とする。
どこが違うか: 3.0 m は軸から作用点までの距離で、うでの長さではありません。図1で見たように、うでの長さは作用線へ下ろした垂線の長さです。力が棒に垂直なときだけ、この 2 つが一致します。
正しい書き方: うでの長さは 3.0×sin30°=1.5 m なので、M=20×1.5=30 N·m とします。棒に垂直な分力 20×sin30°=10 N を使って 10×3.0=30 N·m としても同じです。
傾いた棒で、棒に沿った長さをうでにしてしまう
誤った書き方: 図3の棒で、A のまわりの式を 60×2.0=N₁×4.0 とし、N₁=30 N とする。
どこが違うか: 2.0 m も 4.0 m も棒に沿った長さです。この式には 60° が入っていないので、棒をどれだけ寝かせても N₁ が変わらないことになり、寝かせるほどすべりやすくなるという例題3の結果と合いません。角度が式から消えたら、うでの取り方を疑います。
正しい書き方: 鉛直な力のうでは水平距離、水平な力のうでは高さです。60×(2.0×cos60°)=N₁×(4.0×sin60°) として、N₁=10√3 N を得ます。
静止摩擦力をはじめから μN₂ とおいてしまう
誤った書き方: 例題3の棒で μ=0.50 が与えられたとき、f=μN₂=0.50×60=30 N とする。
どこが違うか: μN₂ は、すべり出す直前の最大摩擦力です。静止しているときの摩擦力は、つり合いの式で決まる大きさになり、最大摩擦力より小さくてもかまいません。摩擦力は押された分だけ押し返す力で、μN₂ はその上限だと考えると区別がつきます。
正しい書き方: まず f=N₁=10√3 N(約 17 N)とつり合いの式から求め、最大摩擦力 30 N より小さいので棒はすべらない、と判断します。f=μN₂ とおいてよいのは、すべり出す直前の場面だけです。
用語のまとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 剛体 | 力を加えても形が変わらないと考える、大きさのある物体 |
| 質点 | 大きさを考えず、質量だけをもつ点として扱う物体 |
| 作用点 | 力がはたらく点 |
| 作用線 | 力の矢印を前後にまっすぐ延ばした線 |
| うでの長さ | 回転軸から作用線へ下ろした垂線の長さ |
| 力のモーメント | 物体を回転させるはたらきの大きさ。M=F×L、単位は N·m |
| 偶力 | 大きさが等しく逆向きで、作用線が異なる平行な 2 力。合力は 0 でも回転させる |
| 力のつり合い | 水平、鉛直それぞれの方向で力の和が 0 である状態 |
| モーメントのつり合い | 任意の点のまわりの力のモーメントの和が 0 である状態 |
| 重心 | 物体の各部分にはたらく重力の合力の作用点 |
| 2 物体の重心 | x=(m₁x₁+m₂x₂)/(m₁+m₂)。2 物体を結ぶ線分を質量の逆比に分ける点 |
| 静止摩擦力 | 動いていない物体が面から受ける摩擦力。大きさはつり合いの式で決まる |
| 最大摩擦力 | すべり出す直前の静止摩擦力。静止摩擦係数を μ、垂直抗力を N として μN |
練習問題
練習1 長さ 2.0 m の棒の端 O を回転軸とし、もう一方の端に 6.0 N の力を加えます。(a) 棒に垂直に加えるとき、(b) 棒と 30° をなす向きに加えるとき、(c) 棒に沿って O へ向かう向きに加えるときの、O のまわりの力のモーメントの大きさをそれぞれ求めなさい。
練習2 長さ 2.0 m、重さ 50 N の一様な棒 AB を、両端につけた鉛直な 2 本の糸で水平につるします。A から 0.50 m の点に重さ 20 N のおもりをつるしたとき、A 側の糸の張力 T₁ と B 側の糸の張力 T₂ を求めなさい。
練習3 長さ 80 cm、質量 3.0 kg の一様な棒の右端に、質量 1.0 kg の小球を固定しました。全体の重心は棒の左端から何 cm の位置にありますか。
練習4 長さ 2.0 m、重さ 80 N の一様な棒を、なめらかな鉛直の壁とあらい水平な床の間に、床と 45° をなすように立てかけたところ、棒は静止しました。壁から受ける力 N₁、床から受ける静止摩擦力 f、棒がすべらないために床の静止摩擦係数 μ が満たす条件を求めなさい。
答えと解説
練習1 (a) 12 N·m、(b) 6.0 N·m、(c) 0 N·m。(a) はうでが棒の長さと同じ 2.0 m です。(b) はうでが 2.0×sin30°=1.0 m です。(c) は作用線が O を通るので、うでの長さが 0 です。
練習2 T₁=40 N、T₂=30 N。A を軸にすると T₁ が消え、T₂×2.0=50×1.0+20×0.50=60 から T₂=30 N です。鉛直方向のつり合い T₁+T₂=50+20 から T₁=40 N です。B を軸にすると T₁×2.0=50×1.0+20×1.5=80 となり、同じ値が出ます。
練習3 左端から 50 cm。左端を原点とすると棒の重心は 40 cm の位置にあるので、x=(3.0×40+1.0×80)/(3.0+1.0)=50 cm です。棒の中央から重心までが 10 cm、重心から小球までが 30 cm で、距離の比 1:3 は質量の比 3:1 の逆になっています。
練習4 N₁=40 N、f=40 N、μ≧0.50。鉛直方向のつり合いから N₂=80 N です。下端を軸にすると、重力のうでは 1.0×cos45°、N₁ のうでは 2.0×sin45° なので、80×1.0×cos45°=N₁×2.0×sin45° となります。cos45°=sin45° なので N₁=40 N です。水平方向のつり合いから f=40 N、f≦μN₂ から μ≧40÷80=0.50 です。
次の単元へのつながりと確かめ方
ここで使った力の分解は、運動方程式の単元の斜面の問題でもそのまま働きます。重心の式は、2 物体の衝突や分裂で全体の動きを考えるときに再び現れ、偶力の考え方は磁場の中で回るコイルの単元につながります。式の本数を数えてから解き始める習慣も、力学全体で役に立ちます。
家で 5 分でできる確かめ方を 2 つ挙げます。1 つ目は、30 cm の定規を指 1 本で水平に支え、つり合う点が中央付近に来ることを確かめたあと、片方の端に消しゴムを載せて、つり合う点がそちらへ動くことを見ることです。2 つ目は、白紙に立てかけた棒を描き、何も見ずに力を 4 本と式を 3 本書けるか試すことです。個別指導では、モーメントの式より前に、矢印を全部描けるか、sin30° と cos60° を直角三角形から出せるかまで戻って確かめます。
まとめ
剛体のつり合いで手が止まる原因の多くは、難しい式ではなく、描かれていない矢印と、軸を決めずに書き始めた 1 行目にあります。矢印を全部描き、未知の力が集まる点に軸を置けば、残りは三角比と連立方程式の計算です。重心も、重力の矢印を 1 本にまとめるための点だと思えば怖くありません。止まっている棒は、何もしていないのではありません。式 3 本ぶんの力を、黙って打ち消し合っています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
武蔵境駅徒歩30秒、講師1人に生徒1人の完全1対1。授業のあいだ、先生は隣を離れません。いまの詰まりを、無料相談でそのまま話してください。
本気になった日が、入塾の日。
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