
高校 化学 単元解説
【高校化学】アルカン・アルケン・アルキンの違い—一般式・名前・結合・反応|武蔵野個別指導塾

炭素の手の数から3つの一般式を導き、ヘキサンとヘキセンの試験管の図を読む例題まで通せば、臭素水の結果を考察に書く力が身につくはずです。
よくあるのは、実験レポートの提出前夜、考察の欄で手が止まる場面です。ヘキセンを入れた試験管は臭素水の赤褐色がきれいに消えました。ところがヘキサンを入れた試験管も、下の水の層だけを見ると色がずいぶん薄くなっています。「どちらも脱色した」と書いてよいのか。名前は 1 字しか違わないのに、なぜ結果が分かれるのか。夜中に教科書を開き直しても、一般式と反応の名前がばらばらの暗記事項に見えて、考察の文章につながりません。この単元を通ると、分子式を見て種類を絞り、名前から構造式を書き、臭素水の結果を結合の違いで説明できるようになります。
アルカンは単結合だけでできた鎖状の炭化水素で、一般式は CnH2n+2、主に置換反応をします。アルケンは二重結合を 1 つもつ CnH2n、アルキンは三重結合を 1 つもつ CnH2n-2 で、どちらも付加反応をして臭素水の色を消します。名前は炭素数を表す部分に語尾のアン・エン・インを付けたもので、語尾が進むごとに水素は 2 個ずつ減ります。
この単元で押さえること
- 一般式: アルカン CnH2n+2、アルケン CnH2n、アルキン CnH2n-2。丸暗記しなくても、炭素の手が 4 本であることから導けます。
- 結合: 炭素どうしの結合が、単結合のみ、二重結合 1 つ、三重結合 1 つと変わります。結合が増えるほど水素の席が減ります。
- 名前: メタン、エタン、プロパン、ブタンの語尾を変えるのが基本です。エチレン(エテン)とアセチレン(エチン)は 2 つの呼び名を両方覚えます。
- 反応: アルカンは原子が入れ替わる置換反応、アルケンとアルキンは原子が加わる付加反応が中心です。
- 見分け方: 臭素水の赤褐色が消えればアルケンかアルキン、消えなければアルカンと判断します。
- 構造式: どの炭素からも手が 4 本出ているかを数えれば、書きまちがいは自分で見つけられます。
ここで身につける手の数え方は、この先のアルコール、芳香族化合物、高分子まで、有機化学の全単元で同じように使います。
基本の考え方
炭素の手を数えると一般式が出てくる
炭素と水素だけでできた化合物を炭化水素といいます。共有結合の手の数(原子価)は炭素が 4、水素が 1 で、構造式ではこの手を線(価標)で書きます。腕が 4 本ある炭素が一列に並び、隣どうしで手をつなぎ、空いた腕で水素を 1 個ずつ持つ場面を思い浮かべてください。
炭素が n 個なら腕は全部で 4n 本あります。n 個が鎖になるとつなぎ目は n-1 か所で、1 か所につき腕を 2 本使うので、つなぎ目に消える腕は 2(n-1) 本です。残りは 4n-2(n-1)=2n+2 本で、これが水素の数になります。n=3 なら 2×3+2=8 で、プロパン C₃H₈ です。アルカンの一般式 CnH2n+2 の正体は、この引き算です。
つなぎ目の 1 か所を二重結合にすると、炭素どうしがもう 1 本ずつ腕を出し合うので、水素を持てる腕が 2 本減ります。これがアルケンの CnH2n です。三重結合にするとさらに 2 本減って CnH2n-2 になり、これがアルキンです。図1のように炭素 2 個で比べると、エタン C₂H₆、エチレン C₂H₄、アセチレン C₂H₂ と水素が 2 個ずつ減っていくのが目で見えます。どの炭素からも手が 4 本出ていることも、図の上で数えて確かめてください。

結合が変わると形も変わる
結合の種類は分子の形を決めます。メタンは炭素を中心とする正四面体形で、結合角は約 109.5 度です。単結合はその軸のまわりで回転できるので、アルカンの鎖はくねくねと形を変えられます。エチレンは 6 個の原子がすべて同じ平面にのり、二重結合のまわりは回転できません。アセチレンは 4 個の原子が一直線に並びます。炭素間の距離は、単結合が約 0.154 nm、二重結合が約 0.134 nm、三重結合が約 0.120 nm で、結合が多いほど短くなります。構造式は平面に書いた「つながり方の地図」で、立体の形をそのまま写したものではないことも覚えておいてください。
身近なところでは、都市ガスの主成分のメタン、プロパンガスのプロパン、カセットコンロの燃料のブタンはどれもアルカンです。エチレンは果実の成熟を進める気体で、ポリエチレンの原料にもなります。アセチレンは燃やすと高温の炎が得られるので、金属の溶接や切断に使われます。
3 つを並べると次の表になります。テスト前はこの表を白紙に再現できるかどうかを試すのが近道です。
| 比べる点 | アルカン | アルケン | アルキン |
|---|---|---|---|
| 一般式 | CnH2n+2 | CnH2n | CnH2n-2 |
| 炭素間の結合 | 単結合のみ | 二重結合 1 つ | 三重結合 1 つ |
| いちばん小さい例 | メタン CH₄ | エチレン C₂H₄ | アセチレン C₂H₂ |
| その例の形 | 正四面体形 | 平面形 | 直線形 |
| 主な反応 | 置換反応 | 付加反応 | 付加反応 |
| 臭素水の色 | 消えない | 消える | 消える |
名前は「炭素数」と「語尾」の組み合わせ
名前は 2 つの部分に分けて読みます。前半が炭素数、後半が結合の種類です。エタン、エテン、エチンをつづりで書くと ethane、ethene、ethyne です。eth の部分が炭素 2 個を、語尾の ane、ene、yne(アン、エン、インの音)が単結合のみ、二重結合、三重結合を表しています。
| 炭素数 | アルカン | アルケン | アルキン |
|---|---|---|---|
| 1 | メタン CH₄ | なし | なし |
| 2 | エタン C₂H₆ | エチレン(エテン)C₂H₄ | アセチレン(エチン)C₂H₂ |
| 3 | プロパン C₃H₈ | プロペン C₃H₆ | プロピン C₃H₄ |
| 4 | ブタン C₄H₁₀ | ブテン C₄H₈ | ブチン C₄H₆ |
| 5 | ペンタン C₅H₁₂ | ペンテン C₅H₁₀ | ペンチン C₅H₈ |
| 6 | ヘキサン C₆H₁₄ | ヘキセン C₆H₁₂ | ヘキシン C₆H₁₀ |
炭素数 1 の行が「なし」なのは、炭素が 1 個では二重結合や三重結合をつくる相手がいないからです。そのため一般式の n は、アルカンが 1 以上、アルケンとアルキンは 2 以上です。
炭素数 5 からはおもにギリシャ語の数詞が使われます。五角形のペンタゴン、六角形のヘキサゴン、足が 8 本のオクトパス、十種競技のデカスロンと同じ根です。アルカンなら 7 がヘプタン C₇H₁₆、8 がオクタン C₈H₁₈、9 がノナン C₉H₂₀、10 がデカン C₁₀H₂₂ と続きます。
炭素数 4 以上のアルケンとアルキンでは、多重結合の位置だけが違う別の物質が出てきます。そこで鎖の端から炭素に番号を振り、多重結合が始まる炭素の番号を名前の前に付けます。番号は左右どちらの端から数えるかで変わるので、小さくなるほうを使います。CH₂=CH-CH₂-CH₃ は 1-ブテン、CH₃-CH=CH-CH₃ は 2-ブテンです。CH₃-CH₂-CH=CH₂ は反対の端から数えれば 1-ブテンなので、3-ブテンとは呼びません。プロペンやプロピンは二重結合や三重結合の位置が 1 通りしかないので、番号は付けません。なお、プロペンにはプロピレンという呼び名もあります。
置換反応と付加反応はどこが違うのか
アルカンの炭素は 4 本の手をすべて単結合に使い切っています。新しい原子が入るには、いま結合している水素を追い出して席を空けてもらうしかありません。これが置換反応です。メタンと塩素の混合気体に光を当てると CH₄ + Cl₂ → CH₃Cl + HCl と進み、水素 1 個が塩素 1 個に入れ替わります。追い出された水素は HCl になって出ていくので、生成物は 2 種類です。反応はさらに進み、ジクロロメタン CH₂Cl₂、トリクロロメタン CHCl₃、テトラクロロメタン CCl₄ までできます。
アルケンの二重結合は、2 本のうち 1 本が切れやすい結合です。その 1 本がほどけると両側の炭素に腕が 1 本ずつ空き、そこに別の原子が入ります。これが付加反応です。エチレンと臭素なら C₂H₄ + Br₂ → CH₂Br-CH₂Br となり、1,2-ジブロモエタンができます。だれも追い出されないので、生成物は 1 種類です。
アルキンは空く腕が 2 組あるので 2 段階で付加します。アセチレンと臭素は C₂H₂ + Br₂ → CHBr=CHBr、続いて CHBr=CHBr + Br₂ → CHBr₂-CHBr₂ と進みます。触媒を使って水素を付加させれば、アセチレン → エチレン → エタンと進み、図1の水素の減り方を逆向きにたどることになります。
臭素水の色が消える理由
臭素水は臭素 Br₂ を水に溶かした赤褐色の液体で、色のもとは臭素の分子です。アルケンやアルキンを加えて振ると、付加反応で Br₂ が使われ、色が消えます。アルカンには付加できる場所がないので、暗いところで短時間振る程度では反応しません。色が消えるかどうかで、炭素間の二重結合や三重結合があるかどうかを確かめられるのはこのためです。
ただし、光を強く当て続けると、アルカンでも置換反応で臭素が使われて色が薄くなることがあります。実験レポートの条件の欄に光の当て方まで書いておくと、考察の根拠が崩れません。
例題で解き方を確かめる
例題1 分子式から種類を見分ける
次の (1)〜(3) はいずれも鎖状の炭化水素で、炭素間の二重結合または三重結合はあっても 1 つです。アルカン、アルケン、アルキンのどれかを答え、物質名も答えてください(位置を表す番号は不要です)。
- C₃H₈ (2) C₄H₈ (3) C₅H₈
- 炭素数 n を読み取り、アルカンなら水素がいくつになるかを 2n+2 で計算します。基準を 1 つ決めておけば、あとは比べるだけで済むからです。(1) は 8 個、(2) は 10 個、(3) は 12 個です。
- 基準の数から実際の水素の数を引きます。差が 0 ならアルカン、2 ならアルケン、4 ならアルキンです。二重結合 1 つで水素が 2 個、三重結合 1 つで水素が 4 個減るという理屈をそのまま使っています。(1) は 8-8=0、(2) は 10-8=2、(3) は 12-8=4 です。
- 炭素数の部分と語尾を組み合わせて名前にします。名前は炭素数と結合の 2 つの情報でできているからです。
答え: (1) アルカン、プロパン (2) アルケン、ブテン (3) アルキン、ペンチン
問題文の「鎖状」「あっても 1 つ」という条件には意味があります。たとえば C₆H₁₂ は鎖状ならヘキセンですが、環状のシクロヘキサンも同じ分子式で、こちらは単結合だけなので臭素水の色を消しません。同じように C₄H₆ には、1-ブチンのほかに二重結合を 2 つもつ 1,3-ブタジエンもあります。一般式に当てはまることと、その種類であることは同じではありません。
例題2 名前から構造式を書く
1-ブテンと 2-ブテンの構造式を、CH₃ のように水素をまとめた略式で書いてください。
- 名前から炭素数を読み、炭素を 4 個一列に書いて端から 1、2、3、4 と番号を振ります。「ブテン」の前半が炭素 4 個を表しているからです。
- 指定された番号の炭素と次の炭素の間を二重結合にします。1-ブテンは 1 番と 2 番の間、2-ブテンは 2 番と 3 番の間です。名前の番号は二重結合が始まる炭素を指しているからです。
- 各炭素に、4 本から使った手を引いた数だけ水素を付けます。この引き算をすれば、手の過不足が起こりません。1-ブテンなら、1 番は二重結合で 2 本使うので H₂、2 番は 2+1=3 本使うので H、3 番は 1+1=2 本使うので H₂、4 番は 1 本使うので H₃ です。
- 水素を合計して、一般式から出した C₄H₈ と合うかを確かめます。合っていれば書き損じがないと判断できるからです。1-ブテンは 2+1+2+3=8、2-ブテンは 3+1+1+3=8 です。
答え: 1-ブテン CH₂=CH-CH₂-CH₃ 2-ブテン CH₃-CH=CH-CH₃
2-ブテンには続きがあります。二重結合は回転できないので、2 つの CH₃ が同じ側にあるシス形と、反対側にあるトランス形は別の物質になります。これをシス-トランス異性体といいます。
例題3 試験管の図を読み取る
少量の臭素水を入れた試験管 2 本に、ヘキサンまたはヘキセンのどちらかを十分な量ずつ加えてよく振り、しばらく置きました。図2はそのときのようすで、左端ははじめの臭素水です(赤褐色はオレンジ色の塗りで示しています)。ヘキサンとヘキセンはどちらも水に溶けにくく、水より軽い液体です。試験管 X と Y に加えた液体はそれぞれどちらですか。また、Y の下の層の色が薄くなった理由も答えてください。

- 層の中身を決めます。加えた液体は水に溶けにくく水より軽いので、上の層が加えた液体、下の層が水です。どちらの層の話かを決めないと、色の読み取りがずれるからです。
- 色の行き先を追います。X はどちらの層も無色で、赤褐色がどこにも残っていません。Y は下の層の色が薄くなった分、上の層が赤褐色になっています。色のもとは臭素の分子なので、色を追えば臭素を追えるからです。
- 結合に結びつけます。X では臭素が使われてなくなったので、付加できる二重結合をもつヘキセンです。Y では臭素が残っているので、単結合だけのヘキサンです。臭素は水よりヘキサンに溶けやすいので、振ると上の層へ移ります。結果を結合の違いで説明するところまでが、この問いの求める考察だからです。
答え: X はヘキセン、Y はヘキサン。Y の下の層の色が薄くなったのは、臭素が反応せずに上のヘキサンの層へ移ったためです。
例題4 反応式から物質量を求める
エチレンとアセチレンの混合気体 0.10 mol に臭素を十分に反応させたところ、臭素 0.14 mol が付加して消費されました。混合気体中のエチレンとアセチレンの物質量をそれぞれ求めてください。
- 反応式を書き、1 mol あたりに必要な臭素の量を確かめます。二重結合は 1 回、三重結合は 2 回付加できるので、ここを間違えると計算全体が崩れるからです。C₂H₄ + Br₂ → C₂H₄Br₂ なのでエチレン 1 mol に臭素 1 mol、C₂H₂ + 2Br₂ → C₂H₂Br₄ なのでアセチレン 1 mol に臭素 2 mol です。
- エチレンを x mol、アセチレンを y mol として式を 2 本立てます。求めるものが 2 つなので、条件も 2 つ必要だからです。全体の物質量から x+y=0.10、臭素の量から x+2y=0.14 です。
- 2 本の式を引き算します。下の式から上の式を引くと x が消えるからです。y=0.04 となり、x=0.10-0.04=0.06 です。
- 元の条件に戻して確かめます。連立方程式の計算ミスはここで見つかるからです。0.06+2×0.04=0.14 となり、消費された臭素の量と一致します。
答え: エチレン 0.06 mol、アセチレン 0.04 mol
まちがえやすいところと直し方
構造式で炭素の手が 5 本になる
- 誤った書き方: プロペンを CH₃=CH-CH₃ と書く。
- どこが違うか: 図3の左のように左端の炭素を数えると、二重結合で 2 本、水素 3 個で 3 本、合わせて 5 本の手が出ています。水素の合計も 7 個で、プロペンの C₃H₆ と合いません。アルカンの CH₃ を書き慣れていると、二重結合の隣でもつい CH₃ と書いてしまいます。
- 正しい書き方: CH₂=CH-CH₃ と書きます。左端は 2+2=4 本、中央は 2+1+1=4 本、右端は 1+3=4 本で、水素は 2+1+3=6 個です。書き終えたら炭素を 1 個ずつ指でさして、手を数える癖をつけてください。

アルケンの反応を置換で書いてしまう
- 誤った書き方: エチレンと臭素の反応を C₂H₄ + Br₂ → C₂H₃Br + HBr と書く。
- どこが違うか: 図4の下の段のように、二重結合の 1 本がほどけて臭素が 2 個とも炭素に付くのが付加反応です。誤った式は上の段の置換反応の形をまねていて、ほどけるはずの二重結合を使っていません。名前は覚えていても、反応式を書くときに形が入れ替わるのがこの誤りです。
- 正しい書き方: C₂H₄ + Br₂ → CH₂Br-CH₂Br と書きます。迷ったら、生成物の数で確かめてください。付加反応なら反応した原子はすべて 1 つの分子に収まり、置換反応なら HCl のような 2 つ目の生成物が出ます。

水の層の色だけを見て脱色と書く
- 誤った書き方: 「ヘキサンを加えると水の層の色が薄くなったので、ヘキサンも臭素と反応した。」
- どこが違うか: 片方の層しか見ていません。図2の試験管 Y のように、臭素は上のヘキサンの層へ移っただけで、なくなってはいません。脱色と呼べるのは、どの層にも色が残らないときです。
- 正しい書き方: 「ヘキサンでは上の層が赤褐色になり、臭素は反応せずに残っていた。ヘキセンでは両方の層が無色になり、臭素は付加反応で使われたと考えられる。」結果を層ごとに書き、そのあとで結合の違いに結びつけると、考察の筋が通ります。
用語のまとめ
| 用語 | 意味と例 |
|---|---|
| 炭化水素 | 炭素と水素だけでできた化合物 |
| 飽和炭化水素 | 炭素間の結合がすべて単結合の炭化水素。鎖状のものがアルカン |
| 不飽和炭化水素 | 炭素間に二重結合や三重結合をもつ炭化水素。アルケンやアルキンなど |
| アルカン | CnH2n+2。単結合のみ。メタン、エタン、プロパン、ブタン |
| アルケン | CnH2n。二重結合 1 つ。エチレン(エテン)、プロペン |
| アルキン | CnH2n-2。三重結合 1 つ。アセチレン(エチン) |
| 置換反応 | 分子の中の原子が別の原子と入れ替わる反応。アルカンと塩素に光を当てたときなど |
| 付加反応 | 二重結合や三重結合の一部が切れて、そこに原子が加わる反応。アルケンやアルキンと臭素など |
| 臭素水の脱色 | 付加反応で臭素が使われ、赤褐色が消えること。アルケンとアルキンで起きる |
| 構造式 | 原子のつながりを価標で表した式。立体の形までは表さない |
| 構造異性体 | 分子式が同じで原子のつながり方が違う物質。ブタンと 2-メチルプロパン、1-ブテンと 2-ブテン |
| シス-トランス異性体 | 二重結合が回転できないために生じる、原子の並ぶ向きの違う物質。2-ブテンなど |
| シクロアルカン | 環状で単結合のみの炭化水素。アルケンと同じ CnH2n。シクロヘキサンは臭素水の色を消さない |
練習問題
練習1 次の炭化水素はいずれも鎖状で、炭素間の二重結合または三重結合はあっても 1 つです。アルカン、アルケン、アルキンのどれかを答え、物質名も答えてください(位置を表す番号は不要です)。
- C₆H₁₄ (2) C₃H₄ (3) C₅H₁₀
練習2 プロピンと 2-ペンテンの構造式を、CH₃ のように水素をまとめた略式で書いてください。
練習3 次のア〜エのうち、正しいものをすべて選んでください。
- ア エタンは臭素水の赤褐色を消す。
- イ エチレンを構成する 6 個の原子は同じ平面上にある。
- ウ アセチレンを構成する 4 個の原子は一直線上にある。
- エ メタンと塩素の混合気体に光を当てると付加反応が起こる。
練習4 ある鎖状のアルケン 2.8 g に、臭素 8.0 g が過不足なく付加しました。このアルケンの分子式を求めてください。原子量は H=1、C=12、Br=80 とします。
答えと解説
練習1の答えは、(1) アルカン、ヘキサン (2) アルキン、プロピン (3) アルケン、ペンテンです。2n+2 との差は順に 14-14=0、8-4=4、12-10=2 で、差が 0、4、2 なのでこの判定になります。
練習2の答えは、プロピン CH≡C-CH₃、2-ペンテン CH₃-CH=CH-CH₂-CH₃ です。プロピンは左端が三重結合 3 本と水素 1 個で 4 本です。2-ペンテンの水素は 3+1+1+2+3=10 個で、ペンテン C₅H₁₀ と合います。
練習3の答えはイとウです。アは、エタンには付加できる場所がないので誤りです。エは、起こるのは付加反応ではなく置換反応なので誤りです。
練習4の答えは C₄H₈ です。臭素 Br₂ のモル質量は 160 g/mol なので、8.0÷160=0.050 mol です。二重結合 1 つに Br₂ が 1 分子付加するので、アルケンも 0.050 mol あります。モル質量は 2.8÷0.050=56 g/mol です。CnH2n の分子量は 12n+2n=14n と表せるので、14n=56 より n=4 となります。
次の単元へのつながりと確かめ方
付加反応はこの先すぐに形を変えて出てきます。エチレンに水を付加させるとエタノールになり、アルコールの単元の入口になります。エチレンどうしが次々に付加してつながるとポリエチレンになり、これが高分子の付加重合です。一方、ベンゼンは構造式に二重結合が書かれるのに、ふつうの条件では臭素水の色を消さず、置換反応を起こしやすいという別の顔を見せます。ここで付加と置換を区別できていると、その違いに驚くことができます。
家で 5 分あれば、次の 2 つで確かめられます。
- 白紙にブタン、1-ブテン、1-ブチンの構造式をすべての手を書いて並べ、炭素ごとに手が 4 本あるかを数える。
- C₅H₁₂、C₃H₆、C₄H₆、C₂H₂、C₇H₁₆ の 5 つの分子式を、鎖状で多重結合はあっても 1 つとして、2n+2 との差だけで分類し、名前を付ける。
保護者の方が一緒に確かめるなら、お子さまに構造式の炭素を指さしてもらい、「ここの手は何本」と聞くだけで十分です。個別指導では、一般式で止まっている場合は化学基礎の共有結合と価標まで戻り、メタンの構造式を白紙から書けるかを確かめます。臭素水の考察で止まっている場合は、実験ノートの色の記録を層ごとに読み直すところから始めます。
まとめ
暗記帳に 3 行で並んだ一般式は、炭素どうしの結合が 1 本増えるたびに水素の席が 2 つ消えるという、たった 1 つの事実の影です。ヘキセンの試験管で赤褐色が消え、ヘキサンの試験管で色が上へ逃げたのも、同じ事実の続きでした。名前の語尾が 1 音変わるだけで反応まで変わるのは、その 1 音が結合の本数を名指ししているからです。提出前夜の考察欄に書く理由は、炭素の手を 4 本と数えた時点で、もう決まっています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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