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高校国語 単元解説(古典文法・漢文・現代文・小論文)

【高校漢文】絶句と律詩の違い—句の数・押韻・対句・首聯 頷聯 頸聯 尾聯|武蔵野個別指導塾

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白文の漢字を数えるだけで形式は決まります。杜甫の「春望」を 8 句に並べた図で押韻と対句の位置を確かめ、七言の第 1 句末を落とさない答え方まで練習できます。

よくあるのは、古文の小テストが次の時間に控えた休み時間に、助動詞の表を閉じたとたん隣の席から「来週の漢文、28 字の白文を見て形式を答える問題が出るらしいよ。あれ、どうやって見分けるの」と聞かれて、言葉に詰まる場面です。五言も七言も、絶句も律詩も、耳にしたことはあります。それなのに 4 つの言葉が組み合わさると、どれが字の数でどれが句の数なのか急にあやしくなり、ノートの隅の漢字の列はどこで切ればよいかも見えないまま、チャイムが鳴ります。ここを通り抜けると、句読点のない白文を見ただけで形式を答え、韻を踏む字を抜き出し、対句のある場所を言い当てられるようになります。

絶句は 4 句、律詩は 8 句の詩で、1 句が 5 字なら五言、7 字なら七言と呼びます。押韻は偶数句の末尾が基本で、七言では第 1 句の末尾にも踏むのが原則です。律詩は 2 句ずつ首聯、頷聯、頸聯、尾聯に分かれ、頷聯と頸聯を対句にする決まりがあります。

この単元で押さえること

絶句と律詩は唐の時代に形が整った近体詩の仲間で、このあと杜甫や李白の詩を読むときは、この形の知識を土台にして読み取りを進めます。

基本の考え方

名前は 2 つの数で決まる

俳句が 5・7・5 という音の数で形を決めているように、絶句と律詩も数で形が決まります。見る数は 2 つだけで、1 句の字の数と、句の数です。五言の「言」はここでは字のことで、五言は 1 句が 5 字、七言は 1 句が 7 字を指します。絶句と律詩は句の数の呼び名で、絶句は 4 句、律詩は 8 句です。名前の前半が横の長さ、後半が縦の長さを言っていると思うと混ざりません。

図1のように、マス 1 個を 1 字として並べると、4 つの形式の大きさの違いがひと目で見えます。五言絶句は 5×4 で 20 字、七言絶句は 7×4 で 28 字、五言律詩は 5×8 で 40 字、七言律詩は 7×8 で 56 字です。4 つの値はどれも重なりません。だから、返り点も送り仮名も句読点もない漢字だけの文、つまり白文でも、字を数えるだけで形式が決まります。

図1 五言と七言、絶句と律詩を組み合わせた4形式と全体の字の数

絶句と律詩は、句の数や韻の踏み方の縛りがゆるい古詩とは別のものとして扱います。律詩の形を 10 句以上に伸ばした排律という形もありますが、まず押さえるのは図1の 4 つです。

押韻は句の終わりの響きをそろえること

押韻は、決まった句の末尾に、響きの似た字を置くことです。ラップで行の終わりの音をそろえると耳に残るのと同じで、漢詩も声に出したときの心地よさを句末の音で作っています。踏む場所には決まりがあり、偶数句末が基本です。そのうえで、七言は第 1 句末にも踏むのが原則で、五言は第 1 句末に踏まないのが原則です。

確かめるときは音読みを使います。日本の音読みは唐の時代の発音そのままではないので、きれいにそろわない組もあります。音読みはあくまで手がかりであり、最後は「踏むはずの位置」と合わせて判断すると確実です。

絶句の起承転結と、律詩の四つの聯と対句

絶句の 4 句は順に起句、承句、転句、結句と呼びます。起句で場面を開き、承句でそれを受けて広げ、転句で視線や話題を転じ、結句で全体を締めます。4 コマ漫画の 3 コマ目で話が動く、あの感じです。孟浩然の五言絶句「春暁」で確かめます。

句 白文 書き下し 中身
起句 春眠不覚暁 春眠暁を覚えず 夜明けに気づかない朝寝
承句 処処聞啼鳥 処処啼鳥を聞く あちこちで鳴く鳥の声
転句 夜来風雨声 夜来風雨の声 ゆうべの雨風の音へ転じる
結句 花落知多少 花落つること知る多少 どれほど花が散ったかと思う

寝床の中で耳に届く鳥の声から、第 3 句で時間が前の夜へ戻り、そこから見ていない庭の花へ思いが移ります。転句で向きが変わるからこそ、結句の一言が効いてきます。なお結句の書き下しは、教科書によって読み方が少し違うことがあります。

律詩は 8 句を 2 句ずつ組にして読みます。この 2 句の組を聯といい、第 1・2 句が首聯、第 3・4 句が頷聯、第 5・6 句が頸聯、第 7・8 句が尾聯です。字の意味をたどると、首は頭、頷はあご、頸はくび、尾は尾で、頭から体を下へおりていく並びになっています。起承転結に当てはめるなら、首聯が起、頷聯が承、頸聯が転、尾聯が結と読むことが多いです。

対句は、語の組み立てがそろっていて、同じ位置で語が向かい合う 2 句のことです。「山は高く、海は深い」と言えば、山と海、高いと深いが同じ場所で向かい合います。律詩では頷聯と頸聯を対句にする決まりがあります。絶句に対句の決まりはありませんが、使ってはいけないわけでもなく、作品によっては出てきます。

例題で解き方を確かめる

白文を前にしたら、図2の順に進みます。字を数えれば形式は 1 つに決まり、形式が決まれば切り方が決まり、切れて初めて句末が見えます。内容を読もうとする前にこの順番を守ると、読めない字が混じっていても手が止まりません。

図2 白文から形式を答える手順を3段階で示した流れ図

例題1 五言絶句の白文から形式と押韻を答える

王維の「鹿柴」の白文です。形式を答え、押韻している字を抜き出しなさい。

空山不見人但聞人語響返景入深林復照青苔上

  1. 全部の字を数えると 20 字です。形式はこの値だけで決まるので、内容を読む前に数えます。
  2. 図2に当てはめて五言絶句とし、5 字ずつ切ります。「空山不見人/但聞人語響/返景入深林/復照青苔上」となります。切らないと句末の字が見えないからです。
  3. 五言なので第 2 句末と第 4 句末を見ます。響はキョウ、上はジョウで、終わりの響きがそろいます。第 1 句末の人はジンで響きが違い、五言では踏まないのが原則という決まりとも合います。

答え:五言絶句、押韻している字は響・上

例題2 七言絶句の押韻を第 1 句まで確かめる

李白の「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」の白文です。形式を答え、押韻している字をすべて抜き出しなさい。

故人西辞黄鶴楼煙花三月下揚州孤帆遠影碧空尽唯見長江天際流

  1. 数えると 28 字です。28 は 5 で割り切れないので、五言の可能性はここで消えます。
  2. 7 字ずつ 4 句に切ります。「故人西辞黄鶴楼/煙花三月下揚州/孤帆遠影碧空尽/唯見長江天際流」で、七言絶句です。
  3. 句末の字を全部書き出します。楼、州、尽、流です。押韻の字だけ拾おうとすると見落とすので、いったん全部並べます。
  4. 音読みを並べます。ロウ、シュウ、ジン、リュウとなり、尽だけ響きが違います。第 3 句は七言でも踏まない位置です。七言は第 1 句末にも踏むのが原則なので、楼を入れます。

答え:七言絶句、押韻している字は楼・州・流

例題3 図を読んで聯と対句を答える

図3は杜甫の「春望」を 8 句に並べ、四つの聯に分けたものです。赤い丸は押韻の字、右の括弧は対句の決まりがある聯を示します。(1) 形式、(2) 頷聯と頸聯はそれぞれ第何句と第何句か、(3) 押韻している字、(4) 第 3 句の「感時」と向かい合う第 4 句の語を答えなさい。

図3 杜甫「春望」の8句と四つの聯、対句と押韻の位置
  1. 1 句が 5 字で 8 句あるので、五言律詩です。横と縦の数を見るだけで答えが出ます。
  2. 上から 2 句ずつ区切り、順に首聯、頷聯、頸聯、尾聯と数えます。聯は必ず 2 句の組なので、順番さえ言えれば句の番号が出ます。頷聯は第 3・4 句、頸聯は第 5・6 句です。
  3. 五言なので偶数句末を見ます。深、心、金、簪の音読みはシン、シン、キン、シンで、終わりの響きがそろいます。第 1 句末の在はザイで、踏んでいません。
  4. 第 3 句と第 4 句を上下に重ね、同じ位置の語を読みます。対句は位置で向かい合うので、第 3 句の 1 字目と 2 字目の「感時」の真下にある「恨別」が答えです。書き下しも「時に感じては」「別れを恨んでは」とそろい、続く花と鳥、濺涙と驚心も向かい合います。

答え:(1) 五言律詩 (2) 頷聯は第 3・4 句、頸聯は第 5・6 句 (3) 深・心・金・簪 (4) 恨別

例題4 定期テストの形で七言律詩を解く

次は杜甫の「登高」の白文です。問1 形式を答えなさい。問2 押韻している字をすべて抜き出しなさい。問3 頸聯の 2 句を書き抜き、向かい合う語の組を 2 つ答えなさい。

風急天高猿嘯哀渚清沙白鳥飛廻無辺落木蕭蕭下不尽長江滾滾来万里悲秋常作客百年多病独登台艱難苦恨繁霜鬢潦倒新停濁酒杯

  1. 数えると 56 字で、7 で割ると 8 です。56 は 5 で割り切れないので、七言律詩と決まります。
  2. 7 字ずつ切ります。「風急天高猿嘯哀/渚清沙白鳥飛廻/無辺落木蕭蕭下/不尽長江滾滾来/万里悲秋常作客/百年多病独登台/艱難苦恨繁霜鬢/潦倒新停濁酒杯」となります。ここで切り間違えると問2と問3が全部崩れるので、切ったあと 8 句あることを指で確かめます。
  3. 七言なので第 1 句末と偶数句末を見ます。哀、廻、来、台、杯の音読みはアイ、カイ、ライ、ダイ、ハイで、どれも同じ響きで終わります。第 3・5・7 句末の下、客、鬢はカ、キャク、ビンで、踏んでいません。
  4. 頸聯は第 5・6 句です。「万里悲秋常作客」と「百年多病独登台」を上下に重ねると、距離を言う万里と年月を言う百年、悲秋と多病が同じ位置で向かい合います。

答え:問1 七言律詩 問2 哀・廻・来・台・杯 問3 万里悲秋常作客/百年多病独登台、向かい合う語は万里と百年、悲秋と多病

まちがえやすいところと直し方

七言の第 1 句末を落とす

誤った書き方:例題2の押韻を「州・流」と答える。

どこが違うか:「偶数句末」という基本だけで止まっていて、七言は第 1 句末にも踏むのが原則という条件が抜けています。図4のように、五言と七言の差は第 1 句のところだけに出ます。逆に、五言で第 1 句末まで足してしまう誤りも、同じところから生まれます。

図4 五言と七言、絶句と律詩で押韻する句の位置を比べた表

正しい書き方:「楼・州・流」と答えます。句末の字をすべて書き出し、図4の位置と音読みの響きの両方で決めます。位置だけに頼らないのは、原則に外れる詩があるからです。五言の「春暁」は第 1 句末の暁(ギョウ)も、鳥(チョウ)、少(ショウ)と響きがそろっていて、原則と違って踏んでいます。七言でも第 1 句末を踏まない詩があります。

聯の名前と句の番号がずれる

誤った書き方:「頸聯は第 3・4 句」と答える。首聯の首を「くび」と読み、くびの次に頸が来ると覚えてしまった形です。

どこが違うか:首聯の首はここでは頭やはじめの意味で、くびを指すのは頸のほうです。頷は「うなずく」の字で、動くのはあごです。頷と頸はどちらも右側が同じ形なので、字の見た目だけで覚えると入れ替わります。

正しい書き方:頭、あご、くび、尾と体を上からおりる順で唱え、首聯は第 1・2 句、頷聯は第 3・4 句、頸聯は第 5・6 句、尾聯は第 7・8 句と答えます。

内容が似ているだけで対句と答える

誤った書き方:「春望」の尾聯は白髪の話が続いているので対句だ、と答える。

どこが違うか:対句は内容のつながりではなく、語の組み立てで決まります。第 7 句の白頭は「白髪頭」という名詞ですが、第 8 句の同じ位置の渾欲は「すっかり〜しそうだ」という意味で、語の種類が向かい合っていません。

正しい書き方:2 句を上下に重ね、位置ごとに語の種類を比べ、そろっていれば対句と答えます。あわせて問いの言葉も読みます。決まりとして対句にするのは頷聯と頸聯ですが、作品によってはそれ以外も対句で作られています。「春望」の首聯も国破と城春、山河在と草木深が向かい合うと見ることができ、「登高」は四つの聯すべてが対句で作られています。「決まりを答える問い」か「その詩の中を探す問い」かで、答えが変わります。

用語のまとめ

語 読み 意味
白文 はくぶん 返り点も送り仮名も句読点もない漢字だけの文
近体詩 きんたいし 唐の時代に形が整った詩で、絶句と律詩がその代表
五言 ごごん 1 句が 5 字の形
七言 しちごん 1 句が 7 字の形
絶句 ぜっく 4 句の詩。五言なら 20 字、七言なら 28 字
律詩 りっし 8 句の詩。五言なら 40 字、七言なら 56 字
押韻 おういん 決まった句の末尾に響きの似た字を置くこと。偶数句末が基本で、七言は第 1 句末にも踏むのが原則
起句・承句 きく・しょうく 絶句の第 1 句で場面を開き、第 2 句でそれを受けて広げる
転句・結句 てんく・けっく 絶句の第 3 句で向きを変え、第 4 句で全体を締める
聯 れん 律詩の 2 句の組
首聯 しゅれん 律詩の第 1・2 句
頷聯 がんれん 律詩の第 3・4 句。対句にする決まり
頸聯 けいれん 律詩の第 5・6 句。対句にする決まり
尾聯 びれん 律詩の第 7・8 句
対句 ついく 語の組み立てがそろい、同じ位置で語が向かい合う 2 句

練習問題

練習1 王維の「元二の安西に使ひするを送る」の白文です。形式を答え、押韻している字をすべて抜き出しなさい。

渭城朝雨浥軽塵客舎青青柳色新勧君更尽一杯酒西出陽関無故人

練習2 杜甫の「絶句」です。空欄に入る字をア〜エから選び、そう判断できる理由を 2 つ書きなさい。

江碧鳥逾白/山青花欲( )/今春看又過/何日是帰年

ア 紅 イ 落 ウ 然 エ 開

練習3 律詩について答えなさい。(1) 第 5・6 句の呼び名と読み、(2) 決まりとして対句にする聯を 2 つ、(3) 第 1・2 句の呼び名と読み。

練習4 次のうち、絶句にも律詩にもならない全体の字の数を 1 つ選び、理由を書きなさい。ア 20 字 イ 28 字 ウ 35 字 エ 56 字

答えと解説

練習1:七言絶句、押韻している字は塵・新・人。28 字を 7 字ずつ切ると句末は塵、新、酒、人で、音読みはジン、シン、シュ、ジンです。第 3 句末の酒だけ響きが違い、転句は踏まない位置という決まりと合います。

練習2:ウ 然。理由の 1 つ目は押韻です。第 2 句は偶数句なので第 4 句末の年(ネン)と響きの合う字が入り、紅(コウ)、落(ラク)、然(ゼン)、開(カイ)のうち合うのはゼンだけです。2 つ目は対句です。第 1 句の「鳥逾白」に向かい合う第 2 句は「花欲然」となり、鳥と花、白いと燃えるが同じ位置に並びます。然はここでは燃と同じ意味です。絶句に対句の決まりはありませんが、この詩は起句と承句が対句で作られています。

練習3:(1) 頸聯、けいれん (2) 頷聯と頸聯 (3) 首聯、しゅれん。首、頷、頸、尾と体を上からたどれば、番号は自然に出てきます。

練習4:ウ 35 字。5 字で切ると 7 句、7 字で切ると 5 句になり、どちらも 4 句にも 8 句にもなりません。ア、イ、エはそれぞれ五言絶句、七言絶句、七言律詩です。

次の単元へのつながりと確かめ方

形の知識は、このあと唐詩を読むときに手がかりとして働きます。対句なら、片方の語の意味がわからなくても向かい合う語から見当をつけられますし、空欄補充では押韻の位置が答えを絞ります。読めない字が混じる白文でも、形式と韻の位置までは答えられるということです。返り点や句形の学習と組み合わせれば、書き下しや現代語訳の問題にも同じ手がかりが使えます。

家で 5 分でできる確かめ方は 2 つあります。1 つ目は、何も見ずに紙へ 2 行 2 列の表を書き、20、28、40、56 と形式の名前を埋めることです。2 つ目は、教科書の詩を 1 つ選んで句末の字をすべて書き出し、音読みをふって韻の字に丸をつけることです。個別指導で見るときは、押韻の字を落とすなら音読みが引けているかまで戻り、白文を切れないなら字を数える段階まで戻って確かめます。

まとめ

絶句と律詩の区別に、詩の才能はいりません。数えて、切って、句末を声に出す。この 3 つの動作は今日から使えますし、次の休み時間に隣の席の友だちへ説明することもできます。そして形が見えると、詩の読み方そのものが変わります。第 3 句と第 4 句が向かい合っていると気づいた瞬間に、杜甫が同じ位置に置いた花と鳥の距離が見えてくるからです。1000 年以上前の詩人が守った型は、いま机の上で指を折るだけで姿を現します。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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