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【地学基礎】地球環境の変化を図解で総まとめ—温暖化・オゾン層・酸性雨|武蔵野個別指導塾

CO₂濃度のグラフと高度の図で温暖化とオゾン層の破壊の混同をほどき、pH 5.6 の境目や海面上昇の計算を例題で試してみませんか。
よくあるのは、職員室前の廊下の長椅子で質問の順番を待ちながら、返ってきた小テストを見つめている場面です。「オゾンホールが広がると地球が暖まる」に丸を付けて×をもらったのに、どこが違うのかを自分の言葉にできません。ドアが開いて名前を呼ばれても、何をどう聞けばいいのかが定まらないままです。
環境の単元は、ニュースで聞き慣れた言葉が多いぶん、わかった気になりやすいところです。原因の物質、はたらく高さ、関わる光の種類を 1 組にして整理すると、温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨は別々の現象として見分けられます。読み終えるころには、二酸化炭素濃度のグラフから増加の速さを計算し、pH 5.6 という境目の理由を説明し、短い期間の寒暖と長い期間の傾向を分けて論述できるようになります。
この単元で押さえること
- 地球温暖化: 二酸化炭素などの温室効果ガスが増え、地表から出る赤外線が宇宙へ逃げにくくなって、地表付近の気温が上がる現象です。
- 二酸化炭素濃度の増加: 産業革命前の約 280 ppm から、近年は約 420 ppm まで増えました。主な原因は化石燃料の燃焼と森林の減少です。
- 海面上昇: 海水の熱膨張と、陸上の氷河や氷床の融解が主な原因です。海に浮かぶ氷が融けても海面はほとんど変わりません。
- オゾン層の破壊と回復: フロンから出た塩素原子が成層圏のオゾンを壊します。国際的な規制で回復に向かっていますが、元の状態に戻るには長い時間がかかります。
- 酸性雨: 硫黄酸化物や窒素酸化物が溶け込み、pH が 5.6 以下になった雨です。発生源から遠く離れた地域にも被害が及びます。
- 自然の変動と人間活動の区別: 太陽活動、火山噴火、氷期と間氷期などの自然の変動と人間活動による変化を、時間の長さと変化の速さで見分けます。
大気の層のつくりと、太陽放射と地球放射の考え方がこの単元の土台になり、ここで身につく「地球の営みと人の暮らしを結びつける見方」は次の自然災害と防災の単元へそのまま続きます。
基本の考え方
温暖化と海面上昇は「熱の出口」の話
地球は太陽放射を受け取り、ほぼ同じ量のエネルギーを地球放射として宇宙へ返すことで、全体の温度を保っています。太陽放射は可視光線が中心で、大気をほとんど通り抜けて地表を温めます。温まった地表から出る地球放射は赤外線が中心で、大気中の水蒸気、二酸化炭素、メタンなどに吸収されます。赤外線を吸収した気体は自らも赤外線を四方へ放射し、その一部が地表へ戻ります。このはたらきが温室効果です。寒い夜の毛布に似ています。毛布は自分で熱を出しませんが、体から逃げる熱を引き止めるので中が暖かくなります。
温室効果そのものは悪者ではありません。太陽定数と反射率から計算すると、温室効果がない場合の地表の平均気温は氷点下約 18℃ で、実際の約 15℃ との差の約 33℃ は温室効果がつくり出しています。液体の水が海として広がる地球の環境は、この効果に支えられています。問題になっているのは、人間活動によってこの「毛布」が短い間に厚くなっていることです。
二酸化炭素の量は ppm という単位で表します。ppm は 100 万分の 1 を表す単位で、420 ppm は空気の分子 100 万個のうち約 420 個が二酸化炭素という意味です。図1のように、濃度は産業革命前には約 280 ppm でほぼ一定でしたが、1800 年代の後半から増え始め、20 世紀の後半には増え方が急になりました。2020 年に約 414 ppm に達し、近年は約 420 ppm です。グラフの縦軸は 260 ppm から始まっているので、線の傾きだけを見て何十倍にも増えたと読まないようにしてください。産業革命前と比べて増えた割合は約 1.5 倍です。

増加の主な原因は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料の燃焼と、森林の減少です。化石燃料は大昔の生物に由来する炭素が地下にたまったもので、燃やすことは、長い時間をかけて地下に閉じ込められた炭素を短い期間で大気へ戻すことにあたります。森林が減ると、光合成で吸収される二酸化炭素も減ります。
世界の平均気温は、19 世紀の終わりごろから現在までに約 1℃ 上がりました。たった 1℃ に見えても、地球全体を平均した値が動くには大きなエネルギーが必要で、氷期と現在の平均気温の差でさえ数℃ です。上がり方は一様ではなく、海より陸、とくに北極の周辺で大きくなっています。地球全体の反射率は約 30% ですが、雪や氷はそれよりずっとよく太陽放射を反射します。融けると暗い海面や地面が現れて吸収が増え、さらに温まって氷が融けます。変化が同じ向きの変化を強めるこのしくみを正のフィードバックといいます。
海面が上がる主な原因は 2 つです。1 つは海水の熱膨張で、海水は温まると体積が増えます。もう 1 つは、山岳氷河やグリーンランド、南極の氷床など、陸上の氷が融けて海へ流れ込むことです。世界の平均海面は 20 世紀のはじめから約 20 cm 上がり、近年は上昇の速さが増しています。海は大気よりはるかに多くの熱をためられ、深いところまで熱が伝わるのにも時間がかかるので、気温の上昇が止まっても海面の上昇はしばらく続くと考えられています。低い土地や島々では、浸水や高潮の被害が大きくなることが心配されています。
海に溶ける二酸化炭素が増えると海水の酸性化も進み、炭酸カルシウムの殻や骨格をもつ生物への影響が懸念されています。こうした変化についての科学的な知見は IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が評価して報告書にまとめ、温室効果ガスの削減には 2015 年に採択されたパリ協定のもとで各国が取り組んでいます。
オゾン層と酸性雨は「別の物質、別の高さ」の話
オゾンは酸素原子 3 個からなる気体(O₃)で、成層圏の高度約 20〜30 km に多く集まっています。この部分がオゾン層です。オゾン層は太陽からの紫外線のうち生物に有害な波長のものを吸収し、地上の生物を守っています。成層圏で上ほど気温が高くなるのも、この吸収で大気が温められるためです。
オゾン層を壊した主役はフロンです。冷蔵庫やエアコンの冷媒、スプレー、電子部品の洗浄剤として広く使われてきました。化学的に安定なので対流圏ではほとんど分解されず、長い年月をかけて成層圏まで上がります。そこで強い紫外線を受けて分解され、塩素原子を放出します。塩素原子はオゾンを壊したあとも元の形に戻り、次々と別のオゾンを壊します。人間にとって便利だった「安定で壊れにくい」という性質が、そのまま被害を広げた理由です。
1980 年代には、南極上空でオゾンの量が著しく少なくなる領域が見つかりました。これがオゾンホールです。本当に穴が開いているわけではなく、衛星の観測図で周囲より極端に少ない部分が穴のように見えるための呼び名です。南半球の春にあたる 9〜10 月ごろに最も大きくなります。冬の南極上空は非常に低温で、その間にオゾンを壊しやすい形の塩素がたまり、春に太陽の光が戻ると一気に反応が進むためです。オゾンが減ると地上に届く有害な紫外線が増え、皮膚がんや白内障の増加、植物やプランクトンへの影響が心配されます。
1987 年のモントリオール議定書でフロンの生産と使用の規制が始まると、大気中のフロンの濃度は減少に転じ、オゾン層には回復の傾向が見られるようになりました。ただし、フロンには大気中に数十年以上とどまるものがあるので、南極上空のオゾン層が 1980 年ごろの水準に戻るのは今世紀の半ば以降と見込まれています。代替フロンの中にはオゾン層を壊しにくい代わりに強い温室効果をもつものがあり、今はその削減が課題です。1 つの問題を解いた手当てが別の問題の入口になることがある点も、この単元の見どころです。
酸性雨は、舞台がもっと低いところにあります。雨には大気中の二酸化炭素が溶けているので、汚れのない大気から降る雨でも pH は約 5.6 で、もともと弱い酸性です。このため、pH 5.6 以下の雨を酸性雨とよびます。工場や発電所、自動車で化石燃料を燃やすと硫黄酸化物や窒素酸化物が出て、大気中で硫酸や硝酸に変わり、雨や霧に溶けて地上に落ちてきます。火山ガスに含まれる硫黄酸化物のような自然の発生源もあります。
被害は、森林の衰退、湖や川の酸性化による魚の減少、大理石や石灰岩でできた建造物の溶解、金属製の像の腐食などです。これらの物質は風に運ばれるので、排出した国とは別の国で被害が出ることもあります。日本でも pH 5 を下回る雨はめずらしくありません。対策としては、工場の排煙から硫黄酸化物を取り除く装置の設置や、燃料の見直しが進められました。
自然の変動と人間活動は「時間の物差し」で分ける
気候はもともと変動しています。下の表のように、自然の変動には数年で終わるものから 10 万年規模のものまであり、人間活動による変化と時間の長さを並べると違いが見えてきます。
| 変動の原因 | 時間の長さの目安 | 気候への影響 |
|---|---|---|
| 大規模な火山噴火 | 1〜2 年ほど | 成層圏に広がった微粒子が太陽放射を反射し、気温が下がる |
| エルニーニョ、ラニーニャ | 数年おき | 海と大気の変化が世界各地の天候を変える |
| 太陽活動 | 約 11 年 | 太陽放射が増減するが、その幅は約 0.1% とわずか |
| 氷期と間氷期 | 約 10 万年 | 地球の公転軌道などの変化がきっかけと考えられ、氷期には海面が 100 m 以上下がる |
| 人間活動 | 約 200 年前から現在 | 温室効果ガスが増え、気温が上がる傾向が続く |
見分ける手がかりは 3 つあります。第 1 は時間の長さです。ある年の寒波や猛暑は「天気」の話で、数十年以上の平均を見る「気候」の話とは分けて考えます。第 2 は変化の速さです。氷期から間氷期への移り変わりでは数千年以上かけて数℃ 変わりましたが、現在は 100 年あまりで約 1℃ 上がっています。第 3 は原因の裏づけです。南極の氷に閉じ込められた空気を調べると、過去約 80 万年の二酸化炭素濃度は約 180〜300 ppm の範囲に収まっていて、現在の約 420 ppm はその範囲を大きく超えています。
太陽放射の増減は小さく、火山噴火は気温を下げる方向に短い期間はたらきます。これらの自然の要因だけでは長期の上昇を説明しにくいので、現在の温暖化は人間活動による温室効果ガスの増加が主な原因と考えられています。
例題で解き方を確かめる
例題1 3 つの現象と物質を結びつける
次の現象 A〜C と、最も関係の深い物質ア〜ウを組み合わせなさい。
- 現象: A 地球温暖化 B オゾン層の破壊 C 酸性雨
- 物質: ア フロン イ 硫黄酸化物と窒素酸化物 ウ 二酸化炭素とメタン
解き方は次の手順です。
- 現象ごとに「何が変わる現象か」を書き出します。物質名から考えるより、起きていることから考えるほうが取り違えにくいからです。A は地表付近の気温、B は成層圏のオゾンの量、C は雨の pH が変わります。
- 変化を起こす物質のはたらきを結びつけます。赤外線を吸収する気体が気温を上げ、塩素原子を出す物質がオゾンを壊し、水に溶けて強い酸になる物質が雨の pH を下げます。はたらきで結んでおくと、名前を忘れても考え直せます。
- 組み合わせに矛盾がないかを確かめます。フロンには温室効果もありますが、問われているのは「最も関係の深い」ものなので、B に当てます。
答え:A-ウ、B-ア、C-イ
例題2 グラフから増加の速さを読み取る
図2は、北半球のある観測点の二酸化炭素濃度の動きを単純化した模式グラフです。横軸の 1 目盛りは 1 年で、目盛りの位置が毎年の春にあたります。0 年目の春は 403 ppm、10 年目の春は 428 ppm でした。(1) 1 年あたりの増加量を求めなさい。(2) 1 年の中で濃度が上下する理由を述べなさい。(3) 0 年目の春から半年後に約 398 ppm まで下がったことを根拠に「二酸化炭素は減っている」と言えるかを答えなさい。

解き方は次の手順です。
- 同じ季節の点どうしを選びます。春と秋を比べると季節の上下が混ざってしまうので、春と春を比べます。
- 差を年数で割ります。428 − 403 = 25 ppm の増加が 10 年間で起きたので、25 ÷ 10 = 2.5 ppm/年です。図の赤い破線の傾きがこの値にあたります。
- 上下の理由を植物のはたらきで説明します。陸地の多い北半球では、夏は植物の光合成が盛んで二酸化炭素が減り、冬は光合成が弱まって生物の呼吸や分解のはたらきが勝つので増えます。春に高く、夏から秋に低いのはそのためです。
- (3) は時間の長さを確かめて判断します。半年の下がりは毎年くり返す季節の変化で、同じ季節どうしでは増え続けています。短い区間だけを切り取ると傾向を読み違えるので、この確認を省かないようにします。
答え:(1) 2.5 ppm/年 (2) 夏は光合成で減り、冬は呼吸や分解で増えるため (3) 言えない
例題3 熱膨張による海面上昇を計算する
海面から深さ 1000 m までの海水の温度が、平均 0.5℃ 上がったとします。この範囲の海水は 1℃ 上がると体積が 0.02% 増えるものとし、海の面積は変わらないものとします。熱膨張だけで海面は約何 cm 上がるかを求めなさい。
解き方は次の手順です。
- 体積の増加を厚さの増加に置きかえます。面積が変わらないなら、体積の増えた割合と海水の層の厚さの増えた割合は等しいからです。
- 温度の変化に合わせて増加の割合を求めます。1℃ で 0.02% なので、0.5℃ では 0.01%、つまり 0.0001 倍の増加です。割合は小数に直しておくと、次のかけ算で桁を誤りません。
- もとの厚さにかけて、単位をそろえます。1000 m × 0.0001 = 0.1 m = 10 cm です。問われている単位が cm なので、最後に直します。
実際の海面上昇には、これに陸上の氷の融解による分が加わります。深さ 1000 m は水温躍層の下の端にあたります。その下の深層にも熱はゆっくり伝わるので、熱膨張は長い時間をかけて続きます。
答え:約 10 cm
例題4 自然の変動と人間活動を分けて論述する
近年の気温上昇が自然の変動だけでは説明しにくい理由を、「太陽活動」「二酸化炭素濃度」「速さ」の語をすべて使って述べなさい。
解き方は次の手順です。
- 語の役割を決めます。太陽活動は自然の要因、二酸化炭素濃度は人間活動に結びつく要因、速さは比べる観点です。役割を決めておくと、語を並べただけの答案を防げます。
- 文の骨組みを「A は小さいのに、B は C である」の形で作ります。自然の要因を退けてから人間活動の要因を示す順にすると、理由を問う問いにそのまま答える形になります。
- 事実を入れて確かめます。太陽放射の増減は約 0.1% とわずかで、濃度は過去約 80 万年の範囲を超えています。数値を添えられなくても、大小の関係が正しく書けていれば骨組みは崩れません。
答え:太陽活動による太陽放射の変化はわずかなのに、二酸化炭素濃度は自然の範囲を超えて増え、気温も氷期の終わりの変化を上回る速さで上昇しているから。
まちがえやすいところと直し方
誤り1 オゾンホールと温暖化を結びつける
- 誤った書き方: 「オゾンホールから太陽の熱が入ってくるので、地球が温暖化する。」
- どこが違うか: 図3のように、2 つの現象は光の種類も高さも違います。オゾン層が吸収するのは主に紫外線で、舞台は成層圏です。太陽のエネルギーの多くを運ぶ可視光線はオゾン層があってもなくても地表に届くので、穴から熱が入るという図式は成り立ちません。一方、温暖化は、地表から出た赤外線を水蒸気や二酸化炭素などが吸収して下へ放射し返すことで起こり、主な舞台は対流圏です。図の下向きの赤い矢印がその放射です。フロンは温室効果ももつので両方の話に顔を出しますが、それぞれ別のしくみです。
- 正しい書き方: 「オゾン層の破壊では、成層圏での紫外線の吸収が減り、地上に届く有害な紫外線が増える。温暖化は、赤外線を吸収する温室効果ガスの増加で起こる。」

誤り2 pH 7 を酸性雨の境目にする
- 誤った書き方: 「pH が 7 より小さい雨はすべて酸性雨である。」
- どこが違うか: pH 7 は中性の値で、酸性雨の基準ではありません。図4のように、二酸化炭素だけが溶けた雨の pH がすでに約 5.6 なので、基準はそこに置かれています。pH 6 の雨は酸性ですが酸性雨とはよびません。また、図の下段が示すように、pH は 1 小さくなると水素イオンの濃度が 10 倍になる目盛りです。pH 4.6 の雨と 5.6 の雨は「1 しか違わない」のではなく、水素イオンの濃度で 10 倍違います。
- 正しい書き方: 「二酸化炭素だけが溶けた雨の pH が約 5.6 であることから、pH 5.6 以下の雨を酸性雨とよぶ。」

誤り3 海に浮かぶ氷と陸の氷を同じに扱う
- 誤った書き方: 「北極海の海氷が融けると、その分だけ海面が上がる。」
- どこが違うか: 海氷はすでに海に浮かび、自分の重さと同じ重さの海水を押しのけています。融けてできた水がそのくぼみをほぼ埋めるので、海面はほとんど変わりません。コップの水に浮かべた氷が融けても水位がほぼ変わらないのと同じです。海面を上げるのは陸の上から新たに海へ加わる水で、グリーンランドや南極の氷床、山岳氷河がこれにあたります。海氷が融ける影響で大きいのは反射率の変化で、暗い海面が現れて太陽放射を多く吸収するようになります。
- 正しい書き方: 「海面上昇の主な原因は、海水の熱膨張と、陸上の氷河や氷床の融解である。海に浮かぶ海氷が融けても海面はほとんど変わらない。」
用語のまとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 温室効果 | 大気中の気体が赤外線を吸収し、その一部を地表へ放射して地表付近を暖めるはたらき |
| 温室効果ガス | 水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類など |
| ppm | 100 万分の 1 を表す単位。420 ppm は 0.042% にあたる |
| 地球温暖化 | 温室効果ガスの増加などにより、世界の平均気温が長期的に上がる現象 |
| 化石燃料 | 石炭、石油、天然ガス。燃やすと地下の炭素が二酸化炭素として大気へ戻る |
| 正のフィードバック | 変化が同じ向きの変化を強めるしくみ。雪氷が融けて反射率が下がる例が代表的 |
| 熱膨張 | 温度が上がると体積が増えること。海水の熱膨張は海面上昇の主な原因の 1 つ |
| 氷床 | 大陸を広くおおう氷のかたまり。現在はグリーンランドと南極にある |
| オゾン層 | 成層圏の高度約 20〜30 km に多く、有害な紫外線を吸収する |
| フロン | 冷媒などに使われた安定な物質。成層圏で分解されて塩素原子を出す |
| オゾンホール | 南極上空でオゾンの量が著しく少なくなる領域。9〜10 月ごろに最大 |
| モントリオール議定書 | 1987 年に採択された、フロンなどを規制する国際的な取り決め |
| 代替フロン | フロンの代わりの物質。オゾン層を壊しにくいが強い温室効果をもつものがある |
| 酸性雨 | pH 5.6 以下の雨。硫黄酸化物や窒素酸化物からできる硫酸や硝酸が原因 |
| IPCC | 気候変動についての科学的な知見を評価し、報告書にまとめる国際的な組織 |
| パリ協定 | 2015 年に採択された、温室効果ガスの削減に各国が取り組む枠組み |
練習問題
練習1 次の文の空欄に入る語や数値を答えなさい。「雨には大気中の(ア)が溶けているので、汚れのない大気から降る雨でも pH は約(イ)である。(ウ)や窒素酸化物が溶けて pH が(イ)以下になった雨を(エ)という。」
練習2 二酸化炭素濃度が 280 ppm から 420 ppm に増えたとします。(1) 濃度は何倍になったか、(2) 420 ppm は百分率で何% かを答えなさい。
練習3 陸上の氷が融けて、3600 km³ の水が海に加わったとします。海の面積を約 3.6 億 km² とし、面積は変わらないものとして、海面は約何 cm 上がるかを求めなさい。
練習4 フロンの規制が始まって長い年月がたっても、オゾン層がすぐには元の状態に戻らない理由を、フロンの性質にふれて述べなさい。
答えと解説
練習1 ア 二酸化炭素、イ 5.6、ウ 硫黄酸化物、エ 酸性雨。境目が pH 7 でないのは、二酸化炭素だけが溶けた雨の pH が約 5.6 だからです。
練習2 (1) 1.5 倍 (2) 0.042%。420 ÷ 280 = 1.5 です。ppm は 100 万分の 1 なので、420 ÷ 1000000 × 100 = 0.042 となります。割合で見ると小さな値ですが、赤外線を吸収する気体はこの程度の量でも気温を左右します。
練習3 約 1 cm。海面の上昇は、加わった水の体積を海の面積で割って求めます。3600 ÷ 360000000 = 0.00001 km で、1 km は 100000 cm なので 1 cm です。km のまま計算して最後に cm へ直すと、桁の誤りを防げます。
練習4 フロンは化学的に安定で大気中に数十年以上とどまるものがあり、規制のあとも成層圏へ上がって塩素原子を出し続けるからです。塩素原子はオゾンを壊しても元の形に戻るので、1 個が多くのオゾンを繰り返し壊します。規制が始まった時点で破壊が止まるわけではない点が、答案で落としてはいけないところです。
次の単元へのつながりと確かめ方
海面の上昇は高潮や浸水の被害に、気温の上昇は豪雨の起こりやすさに関わるので、ここで整理した因果の鎖は次の自然災害と防災の単元の下敷きになります。地球環境の変化と災害を結びつけて考える問題でも、同じ鎖をたどれば答えが組み立てられます。
5 分あれば、家でも次の 2 つを試せます。まず、白紙に「温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨」の 3 行と「原因の物質、高さ、起こること」の 3 列の表を書き、何も見ずに埋めてみます。続いて、図1と図2を閉じたまま、280 と 420 の 2 つの数値と「春に高く、夏から秋に低い」の上下を入れて、二酸化炭素濃度の変化のグラフを手で描いてみます。
個別指導で確かめるときは、環境の用語に入る前に、太陽放射と地球放射の波長の違い、対流圏と成層圏の高さまで戻ります。この単元の混同は、多くの場合その前の大気の単元に根があるからです。
まとめ
気候の話が騒がしくなるほど、頼りになるのは ppm、km、pH という地味な単位です。どの気体が、どの高さで、どの光を相手にしているのか。それを言い分けられる人の前では、「地球が危ない」という大づかみな言葉は答案にも会話にも通用しません。廊下の長椅子で見つめていたあの×は、高さと光の種類を書き足すだけで直せます。空の異変は、感情で語られる前に、単位で読まれるべきものです。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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