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正負の数—符号の規則を暗記で終わらせない|武蔵野個別指導塾
負の数の計算で迷ったら、数につく符号と計算の記号を読み分けるところから始めましょう。数直線、途中式、逆算を使い、自分で誤りを見つけて直す練習に取り組めます。

正負の数—符号の規則を暗記で終わらせない
「マイナスがあるから」で手が止まるとき
よくあるのは、冬の自転車置き場で手袋をはめながら、お子さまが「マイナスとマイナスはプラスなのに、また間違えた」と、返されたプリントを保護者に見せるという場面です。そこには -3 + (-2) = 5 と書かれています。覚えてきた言葉を使ったつもりなのに、答えに丸がつかない。どの場面で使う規則なのかが曖昧なままだと、練習したこと自体が不安につながります。
正負の数には、似た形の記号が別の役割で登場します。-3 の「-」は数の符号、5 – 3 の「-」は引くという計算の記号です。さらに、足し算と掛け算では符号の扱いが異なります。「マイナスがいくつあるか」だけを数えると、違う規則を呼び出してしまいます。
立て直す出発点は、速く計算することではなく、式が何を求めているかを読めるようにすることです。数の位置、計算による変化、答えの確かめ方をつなげれば、規則を忘れたときにも戻る場所ができます。ここでは整数の短い式を使い、一人でも進められる練習と、塾や家庭が支える範囲を具体的に整理します。

規則を覚えたのに間違える理由
数の符号と計算の記号が重なって見える
式 -3 – (-2) には「-」が複数あります。最初は負の数であることを示し、中央は引き算を示し、かっこの中は引く数が負であることを示します。全部を同じ役割だと思うと、「2つ消す」「残ったから負にする」といった見た目の処理になりやすくなります。まず「負の3から、負の2を引く」と読めるかを確かめます。
正の数だけを扱っていたときには、数そのものの符号を意識せずに計算できたかもしれません。しかし、正負の数では「どの数を」「どの演算で」扱うかを読み取る必要があります。かっこはそのまとまりを示す道具です。慣れる前にかっこを省いてしまうと、数と操作の境目が見えにくくなります。途中式を丁寧に書くのは、計算を長くするためではなく、その境目を残すためです。
大きさという言葉にも違いがある
-7 と -2 を比べて「7のほうが大きいから -7」と答える場合には、数の大小と、0からの距離が混ざっています。数直線では右にある数ほど大きく、-2 は -7 より右です。一方、0から遠いのは -7 です。この距離を絶対値と呼び、-7 の絶対値は7、-2 の絶対値は2です。
負の数の計算で「大きいほうから小さいほうを引く」とだけ覚えると、何の大きさを比べているかが抜け落ちます。例えば -7 + 2 では絶対値の差を計算して5とし、負の向きが残るので答えは -5 です。数として大きい2の符号を選ぶわけではありません。言葉を少し補うだけで、使う規則の対象がはっきりします。
足し算の規則を掛け算に持ち込まない
-3 + (-2) は負の向きにさらに2進むので -5 です。一方、(-3) × (-2) は6です。同じ負の数が2つあっても、演算が変われば考えることが変わります。「同符号なら正」という覚え方は乗除の場面に結び付けて使い、加法へ広げないことが必要です。覚えた言葉が間違っているというより、使う条件が抜けている場合があります。
「負が2つなら正」と答えたときには、覚えている規則と目の前の演算を照合する必要があります。この見直し方を考える参考として、代数での規則の誤用や不正な約分を調べ、誤り分析のワークシートを用いて誤答を減らした報告があります(Machisi・2026)。数学の学習研究には海外の小中学生を扱うものが多い一方、この調査の対象は南アフリカの11年生35名なので、正負の数を学ぶ日本の中学生への効果を直接示す資料としては扱えません。符号の指導に取り入れたい視点は、「どの計算にも同じ合言葉を使っていないか」を途中式から探ることです。
例えば -3 + (-2) = 5 を見たら、正しい答えを横に書くだけではなく、「足し算に、掛け算の符号の規則を使った」と記録します。次に見るべき場所が演算記号だとわかるからです。「符号ミス」とひとまとめにするよりも、次の行動につながる記録になります。間違いを説明することは、自分を責める作業ではありません。使い分ける条件を見つける作業です。
今日からできる、式を読むところからの練習
最初の3分は計算せずに式を読む
用意するものは、学校で使っている教科書、ノート、紙の切れ端です。まず教科書から正負の数の短い例題を選び、答えを紙で隠します。最初から難しい式を集める必要はありません。負の数の足し算、負の数を引く引き算、負の数どうしの掛け算が、それぞれ見つかれば始められます。
最初の3分は答えを出すよりも、式を声に出して読む時間にします。-4 + 6 は「負の4に、正の6を足す」、3 – (-5) は「正の3から、負の5を引く」と読みます。ノートでは数の符号に丸を付け、演算記号には下線を引いてください。色をそろえる必要はなく、鉛筆だけでも区別できます。
読み方に迷った式には印を付け、いったん先へ進みます。計算できなかった式と、読み方で止まった式を分けておくことが大切です。最後に答えを見たとき、正解だったとしても読めなかった部分を残しておけば、偶然合った問題を練習済みにしてしまわずに済みます。読み方が安定したら、印を付ける作業は少しずつ減らせます。
次の4分は数直線で加法を確かめる
ノートに横線を引き、0の右に正の数、左に負の数を書きます。目盛りの間隔はそろえてください。最初に -4 と2を置き、どちらが右にあるか、どちらが0から遠いかを別々に答えます。位置と距離の区別を確かめてから、足し算に進みます。
-4 + 6 では -4 を出発点にし、正の6を足すので右へ6目盛り進みます。0までに4目盛り使い、さらに2目盛り進むので答えは2です。-4 + (-3) なら、同じ -4 から左へ3目盛り進み、-7 に着きます。出発点は最初の数、移動の向きと長さは足す数で決まる、と言葉を添えます。
自分で確かめるときは、答えだけでなく移動方向も見ます。正の数を足したのに出発点より左に着いていたら、どこかで向きを取り違えています。負の数を足して右に着いた場合も同じです。さらに、移動した目盛りの数と足した数の絶対値が一致するかを数えます。この2つを確かめると、符号の誤りと目盛りの数え間違いを分けられます。
同じ距離を反対方向に進む場合も試します。-4 + 4 = 0 では、左に4の位置から右へ4進み、0に戻ります。ここでは0に正や負の符号を付ける必要はありません。正の数と負の数が打ち消し合う組を見つけられると、-7 + 2 も「負の7のうち、正の2と打ち消し合う分を除くと負の5が残る」と読めます。図と言葉の両方が同じ答えを指しているかを確認してください。
数直線を書かずに解ける問題でも、答えが不安な1問だけは図へ戻してみてください。図を毎回きれいに仕上げる必要はありません。必要なのは、出発点、0、到着点の関係が読めることです。慣れたら、同符号の加法は絶対値を足して共通の符号を付け、異符号の加法は絶対値の差と残る向きから答えを決める、と図の動きを規則へまとめます。
次の4分は引き算を足し算に直す
引き算では、引く数の符号を反対にして足します。例えば 3 – (-5) = 3 + 5 = 8 です。中央の引き算を足し算へ変え、それに合わせて引く数 -5 を5に変えます。「マイナスを消す」ではなく、操作と数を対応させて変えたと捉えてください。
ここは逆の計算でも確かめられます。3 – (-5) の答えが8なら、8に引いた数 -5 を足すと、もとの3へ戻るはずです。実際に 8 + (-5) = 3 となります。答えを2としていたら 2 + (-5) = -3 となり、もとの3に戻りません。負の数を引く意味がつかみにくいときも、この確かめ方を添えると、変形が合っているかを調べられます。
教科書の例を見た後は、変形した行だけを紙で隠し、自分で埋めてみます。3 – (-5) のすぐ下に答えを書くのではなく、まず 3 + 5 を書けるかが確認点です。正解と照合するときには、最初の3を保てたか、引く数の符号を変えたか、演算を加法に変えたかを順に見ます。答えが合っていても途中の変形が違う場合には、その行からやり直します。
もう1問、-3 – (-2) = -3 + 2 = -1 を書きます。最初の -3 はそのままで、引く数の -2 だけが2へ変わったことを指で追います。次に -3 – 2 = -3 + (-2) = -5 と並べてください。引く数が異なるため、足し算へ直した後の移動方向も異なります。似た式を並べる教材の使い方には、変える箇所を見つけやすくする利点があります。
掛け算の符号は、積の並びで理由をつかむ
掛け算には別の時間を取り、まず (-3) × 2 = -6、(-3) × 1 = -3、(-3) × 0 = 0 を縦に書きます。掛ける数が1ずつ小さくなると、積は3ずつ大きくなっています。同じ関係を保つと、(-3) × (-1) = 3、(-3) × (-2) = 6 と続きます。これが、負の数どうしの積が正になることを考える入口です。
より確かめたいときは、分配法則とのつながりを見ます。2 + (-2) = 0 なので、(-3) × {2 + (-2)} = 0 です。分配すると (-3) × 2 + (-3) × (-2) = 0 で、前の積は -6 です。全体を0にするには後ろの積が6になる必要があります。掛け算の規則は、以前に使ってきた計算の関係を保つ形でつながっています。
割り算は掛け算へ戻して確かめます。(-12) ÷ (-3) = 4 なら、4 × (-3) = -12 になるかを見ます。(-12) ÷ 3 = -4 なら、(-4) × 3 = -12 です。正負が異なる商が負になることも、この関係で確かめられます。なお、0で割る計算はできません。符号の規則を覚えても、割る数が0の場合まで規則を広げないようにします。
最後の3分で、誤りを次の練習に変える
答え合わせは、正解を写す前に始めます。自分の途中式と教科書の例を1行ずつ比べ、初めて違った行に印を付けます。その横に「引く数だけの符号を変える」「加法なので積の規則は使わない」など、次にする動作を書いてください。「気を付ける」より、手の動かし方まで決まる言葉が役立ちます。
ノートの使い方も分けます。左側には自分の式を残し、右側に直した式を書きます。正解で上書きすると、どこで迷ったかが消えるためです。紙の切れ端には片面に式、裏面に答えと確かめ方を書き、短い確認カードとして使えます。教科書は正しい手順を照合するため、ノートは誤りを残すため、カードは答えを見ずに試すために使います。
翌日は2分ほど取り、前日に直した式を答えを隠して解きます。その後、数だけを変えた式を1問解き、同じ説明が通るか確かめます。時間が来たら、迷った箇所を印にして終えて構いません。時間の区切りは練習を続けやすくする目安です。急いで全問を埋めるより、どこから再開するかが残る終え方にしてください。

個別指導では「符号ミス」の中身を分ける
最初に見るのは答えより判断の場所
個別指導で扱うべきなのは、正解の数だけではありません。同じ -5 という誤答でも、式を読み違えたのか、引き算の変形で最初の数まで変えたのか、最後の計算だけを間違えたのかで、戻る場所が違います。講師は途中式を見て、必要な箇所だけ「ここでは何を引いていますか」と尋ね、判断の位置を確かめます。
診断には、似ているけれど使う規則が違う式を並べます。例えば -2 + (-4)、-2 – (-4)、(-2) × (-4) です。加法、減法、乗法が区別できているかを見てから、数の大小や絶対値へ戻る必要があるかを考えます。正解していても「マイナスが2つだから」とだけ説明する場合には、その言葉がどの演算に使えるかを追加で確かめます。
一度に全部を説明させると、お子さまはどこから話せばよいか迷うことがあります。まず演算記号を指す、次に引く数を囲む、最後に変形後の式を読む、という順に問いを小さくします。声での説明が負担なら、丸や矢印で示す方法も使えます。説明の流暢さと、数学の判断の正確さを同じものとして扱わない配慮が必要です。
教える順序と教材の調整は塾が持つ
塾が担うのは、原因に合う問題を選び、説明を調整し、次の授業で残っているかを確かめることです。負の数の大小が曖昧なら数直線へ戻り、大小はわかっていて減法だけ崩れるなら、符号を変える対象を囲む練習へ進みます。できる内容まで一律に最初からやり直すと、何を直しているのか見えにくくなります。
講師が例を示すときも、完成した式だけを見せず、「ここは引き算だから、引く数を反対の符号にする」と判断を添えます。その直後は同じ手順の短い式をお子さまが解き、次には見た目の似た加法を挟みます。規則を使えることと、規則を選べることを別々に確かめるためです。選ぶ段階で崩れたら、演算記号を確かめるところへ戻ります。
複数の演算を含む式は、短い式での判断が安定してから扱います。例えば -2 + 3 × (-4) では、先に 3 × (-4) = -12 を求め、次に -2 + (-12) = -14 とします。符号の理解だけでなく、計算の順序も必要になるためです。ここで間違えたときは「負の数がまだ苦手」とまとめず、順序の問題か、途中の積の問題かを分けて指導します。
家庭には教え直しを背負わせない
家庭でお願いしたいのは、短い練習の時間と場所を確保し、困った箇所を塾へ渡せるようにすることです。「なぜわからないの」と理由を問い詰める代わりに、「どの行に印を付けたか見せて」と尋ねれば、説明がまとまらなくても伝えられます。保護者がその場で別の覚え方を足すより、教科書や塾で使った手順に戻せる状態を整えます。
保護者がお子さまの答えを見て不安になった場合にも、すべての問題を解き直させる必要はありません。同じ誤りが現れた式を残し、どんな言葉で考えていたかを短く添えてください。「引き算へ直すところで止まった」「図ではできるが式だけだと迷う」といった情報があれば、講師は次の練習を選びやすくなります。家庭で説明し切れない部分は、授業で扱う課題として渡せます。
進み具合は「助けの量」と一緒に伝える
連絡では、「扱った式」「できた判断」「必要だった助け」「次に確かめること」を順に記します。例えば「負の数を引く式で、引く数を囲めば加法へ直せました。次は囲む印なしで選べるか確認します」という形です。単に正解だったという連絡よりも、自力でできた範囲と、まだ支えが必要な範囲が伝わります。
進み具合を見るときは、答えを出せる、理由を短く言える、誤りを自分で発見できる、という違いも記録します。昨日できた式が今日は難しい場合でも、使える確かめ方が増えていれば、その変化を拾えます。反対に、その場で説明を聞いてうなずけただけなら、できるようになったとは扱わず、答えを隠して解く場面を設けます。
助けを減らすときにも段階を設けます。講師が引く数を囲んだ式から、お子さま自身が囲む式へ、さらに印のない式へと進めます。印なしで迷ったら、一つ前の段階へ戻せます。進む判断は、その場で何問終わったかだけではなく、時間を置いた後にも同じ手順を選べたかで行います。支えの有無を記録しておくと、家庭でどこまで見守ればよいかも共有できます。
保護者と共有する次の目標は、広い単元名よりも具体的な動作にします。「正負の数を完成させる」より、「引く数を反対の符号に直した後、逆算で確かめる」のほうが、家庭でも進み具合を見取りやすくなります。何を練習し、どこで止まり、次に何をするかがつながれば、お子さまも授業を受けるだけの立場から、自分の課題を確かめる立場へ進めます。
よくある誤解を整理する3つの質問
Q1. 規則を暗記することは避けたほうがよいですか
暗記も必要です。毎回すべての理由をたどっていては、長い式に取り組む負担が増えます。ただし、「何の計算で使う規則か」を一緒に覚えます。掛け算・割り算では、同符号なら正、異符号なら負です。加法では、同符号なら絶対値を足して共通の符号を付けます。同じ「同符号」という言葉でも、その後にすることは異なります。
覚えた直後は、式を見て規則を選び、迷ったときだけ数直線や積の並びへ戻ってください。説明を使うことと、素早く計算することは両立します。手順が身に付くにつれて図を省き、誤りが出た箇所には図を戻す、という使い方で構いません。
Q2. 負の数を引くと増えるのは、どう納得すればよいですか
引き算を「必ず数が小さくなる操作」と捉えていると戸惑います。まず 2 – (-3) = 5 を、5 + (-3) = 2 と戻して確かめてみましょう。引いた数を足すと出発点へ戻るという関係は、正の数の引き算と共通です。この関係を保つため、負の数を引く計算は、その絶対値だけ右へ進む計算になります。
気温やお金の話が役立つ場合もありますが、場面の言葉で迷うなら、数直線と逆算に絞って構いません。説明を増やすほどわかりやすくなるとは限りません。まず自分で使える確かめ方を持ち、その後に別の場面と結び付けます。
Q3. 基本の計算は合うのに、長い式で崩れる場合はどうしますか
長い式では、符号の処理に加え、計算順序、かっこ、書き写しが重なります。途中式を省かず、1行で変える部分を絞ってください。2 – 3 × (-4) なら、先に積を求めて 2 – (-12)、次に 2 + 12、最後に14とします。行を分けると、どの変化で誤ったかを追えます。
答え合わせでも、最終的な正誤だけで判断せず、最初に違った行を見つけます。積が違えば乗法へ、積は合っていて次が違えば減法へ戻ります。基本問題を無差別に増やすより、崩れた手順を短い式で練習し、再び元の式に戻る順序が具体的です。
迷ったときに戻れる一行を残す
正負の数で立ち止まったとき、必要なのは規則の追加とは限りません。いま見ている記号が数の符号なのか演算記号なのか、使おうとしている規則が加法のものか乗法のものか。その区別を短い式で確かめるところから始められます。
今日の練習では、間違えた式を1つ選び、次に見る場所を一行で残してください。「引く数を囲む」「足し算は数直線で向きを見る」「割り算は掛け算へ戻す」。その一行が、次に迷ったときの足場になります。保護者は印の付いた箇所を受け取り、講師はそこから次の課題を選びます。正解の横に残る小さな途中式にも、理解が進んだ跡があります。武蔵野個別指導塾で扱う符号の相談にも、「ここを掛け算だと思った」という言葉が役立ちます。記号の役割を読み分けることが、規則を正しく選ぶ土台です。
参考文献
- Machisi(2026), Contemporary Mathematics and Science Education. https://consensus.app/papers/details/8c4650bba8d059199f49bd3481ae180d/
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




