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【化学】化学の実験操作を図解で総まとめ—器具 中和滴定 蒸留 ろ過 気体の発生と捕集 安全|武蔵野個別指導塾

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共洗いが必要な器具と不要な器具を図で比べ、中和滴定の濃度計算、再結晶の回収量、気体の捕集法を例題で確かめます。操作の理由から実験問題を読み解く力が身につきます。

よくあるのは、合唱コンクールの練習の合間の音楽室で化学のプリントを見返し、「ホールピペットは共洗いするのに、三角フラスコは水でぬれたままでよい」という説明に手が止まる場面です。どちらも溶液を入れる器具なのに、片方だけに水が残ってはいけない理由が見えません。器具の名前と操作を別々に覚えると、少し設定が変わった問題で判断が難しくなります。

実験操作には、濃度を変えずに一定体積を取り出す、反応した物質量を測る、性質の差を使って混合物を分ける、という目的があります。その目的から考えると、共洗いの要否も、滴定の計算式も、捕集する気体に応じた装置の選択も一続きになります。ここでは、実験の場面を紙の上で読み解きながら、操作の理由を自分の言葉で説明できる状態を目指します。実際の実験は教員の指示と学校の安全管理のもとで行い、家庭では薬品や火を使わずに確かめます。

この単元で身につけること

化学基礎で学んだ物質量とモル濃度、中和反応、混合物の分離が土台になります。式を忘れた場合にも、mol/L に L を掛けると mol になることまで戻れば、計算の意味を取り戻せます。器具の図を見たら、名前を答えるだけで終えず、測っている量と、その量が次の計算のどこへ入るかを確認しましょう。

基本の考え方

器具は「正確に測るもの」で区別する

ビーカーは液を入れたり混ぜたりする器具です。目盛りがあっても、通常は体積の目安に使います。メスシリンダーは液体の体積を測る器具ですが、精密な滴定の試料採取には、目的に合うホールピペットを用います。ガラス器具ならすべて同じ精度、というわけではありません。

ホールピペットは、標線という印まで満たした液を規定の方法で流し出すことで、一定体積を取り出す器具です。吸引には専用の器具を使い、口で吸ってはいけません。一般的なホールピペットは、自然に流し出したあと先端に残る少量も考慮して校正されているため、それを無理に吹き出しません。器具ごとの規定に従うことが、体積の正確さにつながります。

メスフラスコは、標線まで液を入れたときに、内部の液体が所定の体積になる器具です。一定濃度の溶液を調製したり、既知の倍率で希釈したりするときに使います。「水を100 mL加える」と「溶液全体を100 mLにする」は異なります。溶質を溶かしてから全体の体積を合わせるので、加えた水の体積だけで濃度を決めることはできません。溶解によって温度が変わった場合は、室温に戻してから標線に合わせます。

ビュレットは、コックで液の流出を調節し、出した体積を使用前後の目盛りの差から求める器具です。目盛りの数値は下へ行くほど大きくなります。無色透明な水溶液では、目の高さを液面に合わせ、曲がった液面であるメニスカスの最も低いところを読みます。上や下から見ると、液面と目盛りがずれて見える視差が生じます。

器具を洗ったあと、使用する溶液の少量で内壁をすすぐ操作を共洗いといいます。ホールピペットとビュレットは、残った水で溶液が薄まると「一定体積に含まれる物質量」が変わるので共洗いします。一方、滴定を受ける三角フラスコは、純水でぬれていても、あとから加える試料中の酸の物質量を変えません。試料で共洗いすると、洗った液の残りに含まれる酸まで反応し、正確に量り取った分以外の酸が増えてしまいます。

図1のように、洗い方は器具の材質ではなく、濃度を保つ必要と物質量を保つ必要から決まります。図の水滴は、洗浄後に残る純水を表す模式図です。メスフラスコも純水でぬれていて構いませんが、汚れたままでよいという意味ではありません。共洗いをしない器具も、適切に洗浄して純水ですすぐことが前提です。

図1 滴定に使う器具の共洗いと純水の残り方の違い

滴定は反応した物質量を測る操作

滴定とは、濃度がわかっている溶液を加え、反応に必要な体積から相手の溶液の濃度などを求める方法です。濃度が正確にわかっている溶液を標準溶液といいます。中和滴定では、酸と塩基の量的関係を利用します。例えば塩酸と水酸化ナトリウム水溶液なら、反応式は次のとおりです。

HCl + NaOH → NaCl + H₂O

HCl と NaOH は 1:1 の物質量で反応します。モル濃度を c mol/L、体積を V L とすれば、溶質の物質量は n = cV mol です。中和に必要な量が一致する点を中和点といい、指示薬の色などを目印に実験で滴定を終える点を終点といいます。両者は意味が異なり、終点を中和点の近くにとれる指示薬を選ぶ必要があります。

指示薬は液性によって色が変わる物質です。フェノールフタレインは酸性から中性では無色で、塩基性側で赤色を示します。メチルオレンジは酸性側で赤色、中性から塩基性側で黄色を示します。弱酸と強塩基の滴定では中和点が塩基性側になるため、フェノールフタレインが適しています。強酸と弱塩基では中和点が酸性側になり、メチルオレンジなどを用います。どの組合せでも中和点が pH 7 になるわけではありません。

滴定の流れは、洗浄と必要な共洗いを行い、試料をホールピペットで量り取り、適切な指示薬を用いて、標準溶液の使用前後の読みを記録する、という順です。ビュレットは先端まで液が満たされ、気泡がない状態を確認します。気泡があると、目盛りから計算した体積の一部が先端を満たすために使われ、三角フラスコに届いた体積と一致しません。読み取り前には注液用のろうとも外します。残った液があとから落ちると、読みの差が実際の滴下量を表さなくなるためです。

滴下中は液を混ぜ、終点に近づいたら少量ずつ加えて変化を見ます。一時的な色ではなく、混ぜたあとも学校で定めた判定条件を満たす色を終点の目安にします。壁についた液を少量の純水で洗い落とすことは、付着した物質を反応に参加させるためです。純水自体は酸や塩基の物質量を増やしません。指示薬を必要以上に加えることや、液をこぼすことは、正確な滴定を妨げます。

混合物の分離と気体の捕集も性質から選ぶ

ろ過は、液体に溶けていない固体をろ紙などで分ける操作です。ろ紙に残るものを残留物、通過した液をろ液といいます。溶けている塩化ナトリウムは通常のろ紙を通るので、食塩水をろ過しても純水にはなりません。ろうとを使う場合は、ろ紙を適切に密着させ、液面がろ紙の縁を越えないようにします。液をガラス棒に沿わせるのは、飛び散りや液の回り込みを抑えるためです。

蒸留は、液体を気化させ、その蒸気を冷やして液体として取り出す分離法です。沸騰しやすさや揮発しやすさの違いを利用します。食塩水では水が蒸気として移り、塩化ナトリウムは通常の蒸留条件ではほぼ元の容器に残ります。ただし、液体どうしの混合物では、一度の蒸留だけで必ず純物質になるとは限りません。留出液とは、蒸気を冷却して得た液体のことです。

再結晶は、溶解度の温度による変化などを利用して、溶液から結晶を取り出し、物質を精製する方法です。熱い溶媒に多く溶け、冷えると溶けにくくなる物質では、温度を下げると結晶が出ます。不純物が適切に母液へ残るような溶媒や条件を選ぶことが必要です。母液とは、結晶を取り出したあとに残る溶液です。結晶が増えれば常に純度も上がる、とはいえません。

抽出は、物質が2種類の溶媒へ溶ける割合の違いを使って分ける操作です。水と混ざりにくい有機溶媒などを使う液液抽出では、分液ろうとで2層に分かれた液を分けます。有機溶媒が必ず上になるわけではなく、上層と下層は密度によって決まります。また、物質が一方の層にすべて移るとは限りません。問題では、どちらの溶媒によく溶けるかと、各層の密度を別々に読み取ります。

気体の捕集では、まず水への溶けやすさを確認します。水に溶けにくく、水と反応しにくい気体には水上置換法が使えます。水に非常によく溶ける気体は、水上置換法には向きません。空気と置き換える方法では、空気より密度が小さい気体に上方置換法、密度が大きい気体に下方置換法を使います。これは名称だけを覚えるより、容器内の空気がどちらへ追い出されるかを図にすると整理しやすくなります。

例題で解き方を確かめる

例題1 純水が残ってよい器具を判断する

塩酸をホールピペットで量り取り、三角フラスコへ入れて、水酸化ナトリウム標準溶液をビュレットから加えます。3つの器具には、洗浄後の純水が少量残っています。どの器具を共洗いするべきですか。また、三角フラスコを塩酸で共洗いすると、塩酸の濃度の計算値はどうなりますか。終点は適切に判定できるものとします。

  1. 各器具が担う量を書き出します。ホールピペットは試料の体積、ビュレットは標準溶液の滴下体積を正確に扱うので、入れる溶液の濃度を保つ必要があります。
  2. 三角フラスコの役割を分けます。フラスコ内の体積そのものは計算に使わず、正確に量り取った酸の物質量を反応させます。純水の残りはその物質量を増減させません。
  3. 塩酸で共洗いした場合を考えます。内壁に残った塩酸が量り取った分に加わるため、必要な NaOH の物質量が増えます。それをピペットで量り取った体積だけに対応させると、酸の濃度を大きく計算します。

答え:ホールピペットは塩酸、ビュレットは標準溶液で共洗いし、三角フラスコを塩酸で共洗いすると計算値は大きくなります。

「三角フラスコでは濃度が変わってもよい」という説明は、量り取った試料をすべて保持し、中和に必要な量を測る条件で成り立ちます。液をこぼして酸そのものを失った場合には使えません。水の追加と試料の損失を同じ扱いにしないことが、この問題の要点です。

例題2 ビュレットの読みから塩酸の濃度を求める

塩酸10.00 mLを量り取り、0.1000 mol/Lの NaOH 水溶液で中和滴定しました。ビュレットの初めの読みは2.30 mL、終点の読みは14.80 mLでした。塩酸のモル濃度を求めてください。両溶液は HCl と NaOH 以外に中和に関与する成分を含まず、終点を中和点とみなせるものとします。

図2のように、ビュレットでは数字が下向きに増えます。図は目盛りの位置関係を見やすくした模式図で、2つの読みの差に相当する体積を取り出しています。実物では器具の最小目盛りを確かめ、その間を目分量で読み取って記録します。

図2 下向きに増えるビュレットの目盛りと滴下体積
  1. 2回の読みの差を求めます。滴下した体積は14.80 − 2.30 = 12.50 mLです。初めの読みが0.00 mLでなくても、差を正しく取れば使用量がわかります。
  2. 体積を L に直して物質量を求めます。12.50 mL = 0.01250 Lなので、NaOH は0.1000 × 0.01250 = 1.250 × 10⁻³ molです。濃度の分母が L なので、mL のまま掛けないようにします。
  3. 反応式の係数比を使います。HCl と NaOH は 1:1 で反応するので、量り取った塩酸に含まれる HCl も1.250 × 10⁻³ molです。
  4. 試料の体積で割ります。塩酸の体積は0.01000 Lだから、濃度は1.250 × 10⁻³ ÷ 0.01000 = 0.1250 mol/Lです。与えられた測定値に合わせ、有効数字4桁で表します。

答え:塩酸のモル濃度は0.1250 mol/Lです。

もし終点の読み14.80 mLをそのまま使えば、滴下していない分まで反応したことにしてしまいます。計算前に「記録された数値」と「実際に使った量」を分けるだけで、この誤りを避けられます。複数回の滴定を行うときも、それぞれの初めと終わりの差を取って比較します。

例題3 再結晶で取り出せる結晶の質量を求める

ある物質の溶解度は、60 ℃では水100 gあたり80 g、20 ℃では水100 gあたり30 gです。60 ℃で水50 gに溶けるだけ溶かした飽和水溶液を20 ℃まで冷やしました。水の蒸発はなく、結晶に水を含まず、20 ℃で十分に結晶が析出したとします。得られる結晶の質量を求めてください。数値は計算用の値として扱います。

  1. 溶解度の基準を確認します。ここでの「100 g」は溶液ではなく水の質量です。飽和水溶液とは、その温度で溶ける限度まで溶質が溶けた水溶液をいいます。
  2. 初めに溶けている量を求めます。水は基準の半分の50 gなので、60 ℃では80 × 50 ÷ 100 = 40 gが溶けています。
  3. 冷却後に溶けて残る量を求めます。20 ℃では30 × 50 ÷ 100 = 15 gが溶けたままです。溶質すべてが結晶になるわけではありません。
  4. 前後の差を取ります。結晶は40 − 15 = 25 gです。母液には水50 gと溶質15 gがあり、その質量65 gと結晶25 gを合わせると、初めの90 gになります。

答え:得られる結晶の質量は25 gです。

実際の回収量が計算値より少ない場合は、母液への溶け残りのほか、器具への付着や移し替え時の損失なども考えます。ただし、ここで計算した25 gはすでに20 ℃での溶け残りを差し引いた値です。同じ溶け残りをもう一度差し引かないよう、何を考慮した式なのかを確認しましょう。

例題4 気体の性質から捕集法を選ぶ

酸素、アンモニア、二酸化炭素について、代表的な捕集法と理由を答えてください。酸素は水に溶けにくく、アンモニアは水に非常によく溶けて空気より密度が小さく、二酸化炭素は水にある程度溶けて空気より密度が大きいものとします。二酸化炭素は水への溶解による損失を避けたい場合として考えます。

  1. 水に接触させてよいかを判断します。酸素は水上置換法に適します。アンモニアは水に大量に溶けるので、水上置換法を選びません。
  2. 水を使わない場合は空気との密度を比べます。アンモニアには上方置換法、二酸化炭素には下方置換法が適します。名前を気体の発生する方向と結びつけないようにします。
  3. 問題の条件を確認します。二酸化炭素は条件によって水上置換法で集めることもありますが、水への溶解による損失を避けるという条件では下方置換法を選びます。

答え:酸素は水上置換法、アンモニアは上方置換法、二酸化炭素は下方置換法が適します。

水上置換法で集めた気体には水蒸気も含まれます。気体の圧力から物質量を計算する問題では、水蒸気の分を区別する必要があります。また、発生装置に初めから入っていた空気が混じることもあるので、捕集法が正しくても、それだけで純粋な気体が得られたと断定はできません。

つまずきやすいところと直し方

誤り1 薄まったら必ず滴定量も減ると考える

誤った書き方は「三角フラスコに純水を加えると酸が薄まるので、必要な塩基も減る」です。濃度と、フラスコ全体に入っている酸の物質量を同じものとして扱っている点が違います。正しい書き方は「純水を加えると濃度は下がるが、酸を失わなければ物質量は変わらず、中和に必要な塩基の物質量も変わらない」です。

一方、ホールピペットの中で試料が薄まってから一定体積を取り出す場合は、その体積に含まれる酸が減ります。酸性の試料を標準塩基で滴定する設定なら、求まる試料濃度は小さくなります。同じ「水が残る」でも、試料を量り取る前なのか、量り取ったあとで全量を保持しているのかを言葉にすると判断できます。

誤り2 ろ過すれば溶けている物質も分けられると考える

誤った書き方は「食塩水をろ過すると、ろ紙に塩化ナトリウムが残り、ろ液は純水になる」です。通常のろ紙で分けられるのは、溶けていない固体の粒子です。溶けたイオンをこの方法で取り除けるとしている点が違います。正しい書き方は「食塩水の水を回収するなら蒸留を用い、未溶解の固体を液体から分けるならろ過を用いる」です。

図3のように、分離法の選択では、欲しい物質が現在どの状態で存在するかと、利用できる性質の差を対応させます。再結晶で出た結晶を母液から取り出すときには、最後にろ過を組み合わせます。再結晶とろ過はどちらか一方しか使えない方法ではなく、結晶を生じさせる段階と、それを液から分ける段階を担います。

図3 混合物の性質の違いと対応する分離操作の選び方

蒸留装置の問題では、温度計の球部を枝管の付け根付近に置く理由も問われます。知りたいのは留出する蒸気の温度なので、元の液体の温度だけを測る配置では目的に合いません。リービッヒ冷却器の冷却水は、低い側から入れ、高い側から出します。外管を水で満たして、内管を通る蒸気を冷やすためです。装置は密閉せず、加熱方法は試料に適したものを用います。突沸を防ぐ沸騰石は加熱前に入れ、熱い液体へあとから加えません。蒸留では液がなくなるまで加熱を続けないことも大切です。

抽出の問題では「有機層は上」と決めつけると、別の溶媒になったときに誤ります。層の上下は密度、目的物が多く移る層は溶けやすさで判断します。分液ろうとでは内部の圧力が上がる場合があり、可燃性の溶媒もあるため、実操作には教員の監督と適切な安全設備が必要です。層を分ける理屈の理解と、自己判断で操作してよいかどうかは区別してください。

誤り3 反応式だけで安全な気体発生法まで決める

誤った書き方は「気体の反応式がわかれば、同じ薬品を混ぜて気体を発生させてよい」です。反応式は量的関係を表しますが、発熱、発生の速さ、圧力、吸入の危険まで示すものではありません。正しい書き方は「反応式で生成物と係数比を確認し、実操作は教員が指定した装置と条件に従う」です。

教科書で扱う気体の発生には、過酸化水素の分解による酸素や、炭酸カルシウムと塩酸の反応による二酸化炭素があります。反応式はそれぞれ、2H₂O₂ → 2H₂O + O₂、CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂です。過酸化水素の分解で用いられる二酸化マンガンは触媒であり、反応を速めますが、全体の反応式では反応物として消費されません。触媒の質量を生成する酸素の物質量にそのまま換算することはできません。

アンモニアの発生は、アンモニウム塩と塩基の反応として整理できます。例えば2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2NH₃ + 2H₂Oという量的関係です。ただし、アンモニアは刺激性があるので、においを確かめようとして直接吸い込んではいけません。これらの式は問題の読解に用い、薬品の混合や加熱を家庭で再現しません。

安全確認では、保護眼鏡の着用、試薬名の確認、試験管の口を人へ向けないこと、薬品を口に入れないことが基本です。余った試薬を元の容器へ戻すと汚染の原因になるので、廃液や残った固体は指定の回収先へ分けます。気体を発生させる装置を密閉すると圧力が上がります。また、水上置換では装置内の圧力が下がると水が逆流することがあるので、終了時も教員の指示する順序を守ります。事故や飛散が起きたときは、その場で教員へ知らせてください。

練習問題

練習1

ある塩酸20.00 mLを0.1000 mol/Lの NaOH 水溶液で滴定しました。ビュレットの初めの読みは1.20 mL、終点の読みは17.20 mLです。塩酸の濃度を有効数字4桁で求めてください。HCl と NaOH のみが反応し、終点を中和点とみなします。

練習2

水100 gに対するある物質の溶解度が、ある高温では90 g、ある低温では25 gです。高温の飽和水溶液を水40 gから作り、低温にして十分に結晶を析出させました。水の蒸発も結晶への水の取り込みもない場合、結晶の質量と母液の質量を求めてください。数値は計算用の値です。

練習3

酸性の試料をホールピペットで正確に量り取り、三角フラスコへ入れました。次のうち、中和に必要な標準塩基の体積を増やす原因はどれですか。Aは三角フラスコに少量の純水が残っていた場合、Bは三角フラスコを試料の酸性溶液で共洗いして液が残った場合です。どちらも液の損失はなく、終点は適切に判定できるものとします。

練習4

水に溶けた塩化ナトリウムと、溶けていない砂を含む混合物から、水を回収したいとします。ろ過と蒸留をどの順に使えばよいですか。また、水に非常によく溶け、空気より密度が小さい気体を捕集するときは、どの捕集法が適しますか。

答えと解説

練習1の答えは0.08000 mol/Lです。滴下量は17.20 − 1.20 = 16.00 mLで、NaOH の物質量は0.1000 × 0.01600 = 1.600 × 10⁻³ molです。HCl も同じ物質量なので、0.02000 Lで割ります。0.08000の末尾の0は、測定の精度に対応する有効数字の一部です。

練習2の答えは、結晶26 g、母液50 gです。初めの溶質は90 × 40 ÷ 100 = 36 g、低温で溶けている量は25 × 40 ÷ 100 = 10 gなので、差は26 gです。母液には水40 gと溶質10 gが残ります。初めの水溶液76 gと、結晶と母液の合計76 gが一致します。

練習3の答えはBです。試料で共洗いすると、ホールピペットで量り取った分のほかに酸が持ち込まれます。Aでは純水が加わるだけなので、酸の物質量は変わりません。Aを選んだ場合は、体積、濃度、物質量のうち何が変わるかを3行に分けて書いてみましょう。

練習4の答えは、まずろ過して砂を分け、ろ液を蒸留して水を回収する、です。ろ過の段階では塩化ナトリウムはろ液に残っています。気体の捕集法は上方置換法です。水に非常によく溶けるため水上置換法を避け、空気より密度が小さいという条件から選びます。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

実験操作が理解できると、化学計算で与えられた数値が、どの操作で得られたものかを追えるようになります。滴定で量り取った試料だけを計算しているのか、希釈前の溶液へ戻す必要があるのかも区別できます。無機化学の沈殿の分離や、有機化学の生成物の精製でも、状態と性質の差を見る考え方が役立ちます。

家庭で5分使えるなら、1つ目は紙にホールピペット、ビュレット、三角フラスコの名前を書き、共洗いの要否と理由を1行ずつ添えてください。「水で薄まるから」だけでなく、どの段階で何の物質量が変わるのかまで説明します。2つ目は「砂と食塩水」「冷却すると結晶が出る溶液」「混ざらない2層の液」の絵を描き、使える分離法とその根拠を書きます。いずれも紙と筆記具だけでできる確認です。

個別指導で滴定の立式に迷いがある場合は、まず濃度と体積から物質量を求めるところまで戻り、図の各容器に含まれる mol を対応させます。分離操作なら、溶けている粒子と溶け残った固体の区別から確かめると、器具名だけの暗記から抜け出せます。

まとめ

実験問題で理由を書くときは、操作名のあとに「何を変えずに保つためか」「どの性質の差を使うためか」を続けてみてください。共洗いなら濃度、滴定なら反応する物質量、分離なら溶解度や揮発しやすさの違いが、説明を支える根拠になります。器具を選んだ理由が説明できれば、見慣れない装置図でも確認すべき箇所を絞れます。

三角フラスコに残る純水1滴の意味を説明できることが、中和滴定の計算式を理解した証拠です。

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