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【高校古典文法】過去・完了の助動詞を図解で総まとめ—き・けり・つ・ぬ・たり・り の意味と接続|武蔵野個別指導塾

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活用表と接続の図で6つの助動詞を整理し、例題で過去・完了・存続の読み分けを確かめます。打消と完了の「ぬ」を前後の語から判別する練習にも取り組めます。

よくあるのは、通学電車の窓に映った自分の顔から手元のノートへ目を戻し、「花咲きぬ」と「花咲かぬ枝」をどちらも「花が咲かない」と訳してしまう場面です。「ぬ」は打消だったはずだと思うと、最初の文にもその意味を当てはめたくなります。けれども、「咲き」と「咲か」では、後ろに続けられる助動詞が違います。小さな形の差が、花は咲いたのか、まだ咲いていないのかという場面の差を作ります。

現代語では「た」と訳せる表現でも、古文では、過去の経験を振り返るのか、動作の成立を示すのか、その結果が残っているのかによって使う助動詞が変わります。訳語だけの暗記では、その区別を取り落とします。まず前の語とのつながりを確かめ、次に助動詞自身の形を調べ、最後に文脈から意味を決めましょう。短い自作の例文を使い、6つの助動詞を文の中で読み分けるところまで進めます。

この単元で身につけること

前の単元で学ぶ動詞の未然形・連用形・已然形は、この単元では助動詞の候補を絞る手掛かりになります。活用形の名前を忘れたときには、意味を推測して埋めず、まず動詞の活用へ戻ると道筋を立て直せます。

基本の考え方

接続は前の語、活用は助動詞自身の形です

助動詞は、それだけで独立して使うのではなく、ほかの語に付いて意味を添える活用語です。「書きき」なら、前の「書き」が動詞「書く」の連用形で、後ろの「き」が過去の助動詞です。全体は「書いた」と訳せます。助動詞に付くために前の語がどの形になるか、という決まりを接続と呼びます。

「き・けり・つ・ぬ・たり」は、基本的に活用語の連用形に接続します。ただし、「き」はカ変・サ変に付くとき、未然形に付く場合もあります。「来し人」の「来」を「こ」と読む場合は、カ変の未然形「こ」に「き」の連体形「し」が付いており、「来た人」という意味です。「せしこと」もサ変の未然形「せ」に「し」が付いた形で、「したこと」と訳します。「き」については、この例外を基本の接続とセットで覚えます。

「り」の接続は別枠です。サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形に接続します。「せり」は「せ+り」、「咲けり」は「咲け+り」です。前者は「している・した」、後者は「咲いている・咲いた」などと文脈に応じて訳します。「サ未・四已」という覚え方は、サ変の未然形、四段の已然形を短くしたものです。「エ段の音なら何でもよい」と広げないようにしましょう。

図1のように、まず5つの助動詞と「り」を接続で分けると、暗記した語が文の中で使えるようになります。図の「きは例外あり」は、カ変・サ変とのつながりを別に確かめる合図です。

図1 連用形につく助動詞とりの特別な接続を整理する図

接続と混同しやすいのが、助動詞自身の活用です。「咲きぬ」の「ぬ」は終止形ですが、前の「咲き」は連用形です。「ぬは連用形接続だから、ぬ自身も連用形」とはなりません。「咲きぬる花」なら「ぬる」は名詞「花」を修飾する連体形で、全体は「咲いた花」です。前の動詞と後ろの助動詞の活用形は、別々に答えます。

助動詞 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
き せ ○ き し しか ○
けり けら ○ けり ける けれ ○
つ て て つ つる つれ てよ
ぬ な に ぬ ぬる ぬれ ね
たり たら たり たり たる たれ たれ
り ら り り る れ れ

表の○は、その活用形がないことを示します。「き」の未然形「せ」は主に「せば」の形で用い、「けり」の未然形「けら」も用法が限られます。表の各欄が同じ頻度で現れるわけではありません。「つ」は下二段型、「ぬ」はナ変型、「たり・り」はラ変型として、既習の活用と関連づけると整理しやすくなります。「き」は特殊型、「けり」はラ変型ですが、どちらも表で欠けている欄に勝手な形を補わないことが必要です。

過去の回想と、新たな気づきを区別します

「き」は、自分が直接経験した過去を振り返るときに使うのが基本です。自作例「われ、昨日この道を歩きき。」は「私は昨日この道を歩いた」という意味です。「歩き+き」と切れば、同じ音が続いていても、動詞と助動詞の境目を示せます。直接過去という呼び名は、語り手が経験を思い返す向きを押さえるためのものです。

「けり」の過去は、伝え聞いた過去を語る場合などに使い、間接過去と呼ばれます。自作例「昔、この里に翁住みけり。」は「昔、この里に老人が住んでいたそうだ」と訳せます。ただし、「き」なら必ず本人が現場にいた、「けり」なら必ず人から聞いた、と機械的に決めることはできません。どちらも過去の事実を述べる用法があり、物語の語り方や文章全体を踏まえて判断します。「けり」の訳に「そうだ」を必ず加える必要もありません。

さらに「けり」には詠嘆があります。これは単に声を強くすることではなく、今まで気づいていなかった事実を知り、感動を込めて受け止める表現です。目の前の庭を見て初めて気づいた場面の「ここにも花咲きけり。」なら、「ここにも花が咲いていたのだなあ」と訳せます。過去の出来事を順に語るのか、今の気づきが中心なのかを読みます。会話や和歌にあることは手掛かりになりますが、それだけで詠嘆と断定しません。

完了・強意・並列・存続は焦点が違います

「つ・ぬ」の完了は、動作が実現した、終わった、という意味です。「文を書きつ。」は「手紙を書き終えた」、「日暮れぬ。」は「日が暮れた」と訳せます。過去が出来事を振り返る時間の捉え方であるのに対し、完了は動作の成立や区切りに目を向けます。現代語訳に同じ「た」が現れても、文法上の意味の名前まで同じにはなりません。

「つ・ぬ」が推量などの助動詞を伴うと、強意として「きっと・確かに」などと訳すことがあります。「てむ」「なむ」「つべし」「ぬべし」などが目印です。例えば、自分が手紙を書き終えると決意する場面の「この文、書きてむ。」は「この手紙をきっと書こう」と訳せます。「て」は「つ」の未然形で、意志を表す「む」に付いています。将来の意志を述べているので、すでに書き終えたという訳にはしません。推量の助動詞が後ろにあることを手掛かりにしつつ、完了の意味が残る場合もあるため、文脈を確かめます。

並列は、終止形の「つ」や「ぬ」を重ねて、動作を取り合わせる用法です。「鳥、枝にとまりつ飛びつす。」は「鳥が枝にとまったり飛んだりする」、「小舟、波間に浮かびぬ沈みぬす。」は「小舟が波間に浮かんだり沈んだりする」という意味です。それぞれ「つ」が2つ、「ぬ」が2つ対応し、動きが交互に現れる様子を表しています。単独の「つ・ぬ」を見て並列と決めるのではなく、文の中の組を探します。

「たり・り」の存続は、動作の結果としての状態が続いていることなどを示します。「門閉ぢたり。」を、今も門が閉まっている場面で使えば「門が閉まっている」です。「たり」は「閉づ」の連用形「閉ぢ」に接続しています。一方、門を閉め終えた出来事に焦点があれば、完了として「門が閉まった」と読めます。「花咲けり。」も、目の前に咲いている花を描くなら存続です。「たり・り」があるだけで、文脈を見ずに一方の意味へ固定しないようにします。

例題で解き方を確かめる

例題1 き・けりの形と意味を答えます

次のA・B・Cについて、末尾付近の助動詞の基本形・活用形・意味と、文全体の現代語訳を答えましょう。A「昨日読みし文を、また読む。」、B「昔、この山に鬼住みけり。」、C「ここにも泉ありけり。」です。Aは自分が昨日読んだ手紙を指し、Bは伝え聞いた昔の話、Cはその場で初めて泉を見つけた発言とします。

  1. 助動詞を含む部分を切ります。Aは「読み+し」、Bは「住み+けり」、Cは「あり+けり」です。先に切れ目を示すのは、「し」を現代語の接続助詞だと思い込むなど、別の語との混同を防ぐためです。
  2. 活用表と後ろの語を照らします。Aの「し」は「き」の連体形で、名詞「文」を修飾します。B・Cの「けり」は文を結ぶ終止形です。同じ意味の助動詞でも、名詞の前と文末では形が変わることを確かめます。
  3. 場面から意味を選びます。Aは過去の直接経験、Bは昔の話を伝える過去、Cは発見した事実への詠嘆です。B・Cは同じ形なので、活用表だけでは意味を決められません。
  4. 訳の焦点を調整します。Aは「昨日読んだ手紙を、また読む」、Bは「昔、この山に鬼が住んでいたそうだ」、Cは「ここにも泉があったのだなあ」です。Cでは泉の存在に気づいたことを「のだなあ」で表します。

答え:A「き・連体形・過去/昨日読んだ手紙を、また読む」、B「けり・終止形・過去/昔、この山に鬼が住んでいたそうだ」、C「けり・終止形・詠嘆/ここにも泉があったのだなあ」です。

例題2 つ・ぬの意味を文の続きから決めます

A「文を書きつ。」、B「われ、この文を書きてむ。」、C「鳥、枝にとまりつ飛びつす。」の「つ・て・つ」の意味を答え、現代語訳を示しましょう。Aは書き終えた報告、Bはこれから書くという強い決意、Cは鳥の動きを描く文です。Bの「む」は意志とします。

  1. Aの「書き+つ」を確認します。「書き」は四段動詞「書く」の連用形で、「つ」は終止形です。書き終えたという場面も合うため、完了と判断します。接続と場面を両方確認することで、訳を形に裏づけられます。
  2. Bは「書き+て+む」と分けます。「て」は完了の助動詞「つ」の未然形です。「む」は未然形に接続するので、ここでは「つ」の終止形をそのまま置けません。文法上の名称を問われたら「完了の助動詞『つ』の未然形」、この文での意味を問われたら「強意」と答えます。
  3. Cは「とまり+つ」と「飛び+つ」を組として読みます。どちらも「つ」の終止形で、2つの動作を並べる並列の用法です。後ろの「す」まで含めて読むと、「とまってしまい、飛んでしまった」と出来事を完結させる訳が場面に合わないことを確かめられます。

図2のように、「つ・ぬ」は形を見つけた後に、単独の動作の成立、推量などとの組合せ、同じ助動詞の反復という3つの方向から意味を調べます。図の「推量など」は強意を考える手掛かりであり、自動的な判定ではありません。

図2 つとぬの完了と強意と並列を文の続きから考える図

「なむ」も同じ考え方で調べられます。例えば「花散りなむ。」を「花はきっと散るだろう」と読む場面では、「散り+な+む」と切り、「な」は「ぬ」の未然形で強意、「む」は推量です。「なむ」という続きだけを丸暗記すると、別の用法の「なむ」と区別できません。前の「散り」が連用形であることも根拠にします。

答え:A「完了/手紙を書き終えた」、B「強意/私はこの手紙をきっと書こう」、C「並列/鳥が枝にとまったり飛んだりする」です。

例題3 たり・りの接続と存続を確かめます

庭の今の様子を説明したA「門閉ぢたり。」、B「庭の花咲けり。」の助動詞の基本形・接続・意味を答え、現代語訳を示しましょう。門は閉まったままで、花は目の前で咲いているとします。

  1. Aを「閉ぢ+たり」と切ります。「閉ぢ」はダ行上二段動詞「閉づ」の連用形で、「たり」は連用形接続です。動詞の種類まで調べるのは、見た目の音だけで接続を判断しないためです。
  2. Bを「咲け+り」と切ります。「咲け」はカ行四段動詞「咲く」の已然形で、「り」の接続に合います。「咲+けり」と切ると、助動詞「けり」が要求する連用形が前にありません。「咲きけり」なら「咲き+けり」ですが、「咲けり」は別です。
  3. 設定された場面と訳を照合します。今回はどちらも目の前の状態を描くため、存続です。「門が閉まっている」「庭の花が咲いている」とすれば、現在の描写であることを保てます。助動詞自身の活用形は、どちらも終止形です。

「たり・り」を見て完了と答えたくなった場合には、何に焦点を当てた文なのかを言い直してみましょう。門が閉まる瞬間を報告するのか、閉まっている状態を説明するのかという違いです。この問題は後者だと場面が示されているので、存続という答えに理由を添えられます。

答え:A「たり・連用形接続・存続/門が閉まっている」、B「り・四段動詞の已然形に接続・存続/庭の花が咲いている」です。

例題4 ぬを前後の形から識別します

A「花咲きぬ。」、B「花咲かぬ枝を見る。」、C「まだ起きぬ人を待つ。」、D「その人、すでに起きぬ。」の「ぬ」について、助動詞の基本形・活用形・意味を答えましょう。Cは眠っている人を待つ場面、Dは起床を済ませた人についての報告です。

  1. A・Bでは直前の動詞を比べます。四段動詞「咲く」の「咲き」は連用形、「咲か」は未然形です。完了の「ぬ」は連用形接続、打消の「ず」は未然形接続なので、ここで候補を分けられます。
  2. 活用表を当てます。Aは完了の助動詞「ぬ」の終止形です。Bは打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」で、「枝」を修飾します。「ぬ」という表面の形と、基本形「ず」を区別して書きます。
  3. C・Dでは後ろまで調べます。「起く」はカ行上二段活用で、未然形も連用形も「起き」です。Cは後ろに名詞「人」があり、「まだ起きない人」という意味なので、「ず」の連体形です。完了の「ぬ」が名詞を修飾するなら「起きぬる人」となります。
  4. Dは文を言い切り、すでに起床したことを述べています。完了の「ぬ」の終止形で、「その人はすでに起きた」です。通常の活用では打消「ず」の終止形は「ず」であり、この肯定の報告とも合いません。

答え:A「ぬ・終止形・完了」、B「ず・連体形・打消」、C「ず・連体形・打消」、D「ぬ・終止形・完了」です。

つまずきやすいところと直し方

誤り1 現代語訳の「た」をすべて過去と呼びます

誤った書き方は、「文を書きつ。」を「手紙を書いた」と訳せるので「つ」の意味は過去、と答えることです。どこが違うかというと、現代語の訳の形と、古文の助動詞が担う文法上の意味を混同しています。「つ」は動作が成立したことを表すため、この文での意味は完了です。

正しい書き方は、「つは完了。手紙を書き終えた」です。訳自体は文脈によって「手紙を書いた」でも自然ですが、意味を問う欄には完了と書きます。また「書きてき」という語句なら「書き+て+き」と分かれ、「つ」の連用形に過去の「き」が続き、「書き終えた」という完了を含む出来事を過去として振り返れます。助動詞が連続しても、意味を1つへまとめず、形を1語ずつ調べます。

誤り2 ぬは必ず打消、または必ず完了と決めます

誤った書き方は、「花咲きぬ。」を「花が咲かない」と訳すことです。どこが違うかというと、打消「ず」の未然形接続に対して、前の「咲き」は連用形です。正しい書き方は、「咲きは連用形なので、ぬは完了。花が咲いた」です。

図3のように、識別は「前の形、後ろの語、文脈」の順に確かめます。前だけで決まらないときに意味の勘へ飛ばず、後ろの名詞や助詞に進むのが要点です。

図3 同じ形のぬを前の活用と後ろの語と文脈で見分ける図

例えば「花散りぬれば、庭寂し。」は「花が散ってしまったので、庭が寂しい」です。「ぬれ」は完了の「ぬ」の已然形で、「ば」が続きます。一方、「花咲かねば、庭寂し。」は「花が咲かないので、庭が寂しい」です。「ね」は打消「ず」の已然形です。「ぬ」だけでなく「ぬれ・ね」まで活用の仲間として知ると、識別できる範囲が広がります。ただし完了「ぬ」にも命令形「ね」があるので、同じ1字を見ただけの判定には戻らないようにします。

誤り3 咲けりを「咲+けり」と切ります

誤った書き方は、「咲けり」の「けり」を過去として説明することです。どこが違うかというと、「咲」は動詞「咲く」の連用形ではなく、接続が成立しません。正しい書き方は、「咲け+り。四段の已然形に、完了・存続の助動詞りが接続」です。目の前の花の状態なら「咲いている」と訳します。

似た問題として「たり」は、完了・存続の助動詞だけとは限りません。体言に接続する断定の助動詞「たり」もあります。ここで学んだ「たり」は連用形接続なので、前が名詞なのか、活用語の連用形なのかをまず確かめます。「聞きたり」という語句なら「聞いた・聞いている」という意味で、「聞き」は連用形です。「たり」の2文字だけを囲んで判断を終えず、前の語も一緒に示す癖をつけましょう。

練習問題

次の4問では、答えだけでなく判断に使った形をノートに残してください。意味が指定された場面はその設定に従い、現代語訳が自然かどうかを最後に読み直します。

練習1

自分の昨日の経験を述べる「昨日見し花は、白かりき。」の「し」「き」の基本形・活用形・意味を答え、文全体を訳しましょう。「白かり」は形容詞「白し」の補助活用の連用形です。

練習2

A「雨やみぬ。」、B「雨やまぬ夜は、家にあり。」の「ぬ」の基本形・活用形・意味を答え、それぞれ訳しましょう。「やむ」はマ行四段活用です。Aは雨がやんだことを伝え、Bは雨が続く夜の過ごし方を述べています。

練習3

A「われ、必ずこの文を書きてむ。」と、B「小舟、波間に浮かびぬ沈みぬす。」を訳し、Aの「て」、Bの2つの「ぬ」の意味を答えましょう。Aの「む」は意志です。「て」「ぬ」それぞれの基本形と活用形も確かめます。

練習4

目の前の状態を述べるA「戸開きたり。」と、B「人々、庭に集まれり。」の助動詞の基本形・活用形・意味を答えましょう。また、直前の動詞の活用形を挙げ、文全体を訳してください。「開く」「集まる」は、ここではともに四段活用です。

答えと解説

練習1の答えは、「し=きの連体形・過去、き=きの終止形・過去。昨日見た花は、白かった」です。「し」は名詞「花」を修飾し、末尾の「き」は文を結びます。後者は動詞でなく形容詞の連用形に付いているため、連用形接続は動詞だけに限らないことも確かめられます。「見」は上一段動詞「見る」の連用形です。

練習2の答えは、「A=ぬの終止形・完了。雨がやんだ。B=ずの連体形・打消。雨がやまない夜は、家にいる」です。「やみ」は連用形、「やま」は未然形です。Bの「ぬ」は名詞「夜」を修飾する点も、打消「ず」の連体形であることを支えます。

練習3の答えは、「A=てはつの未然形・強意。私は必ずこの手紙をきっと書こう。B=ぬはともにぬの終止形・並列。小舟が波間に浮かんだり沈んだりする」です。Aは自然な訳として「私は必ずこの手紙を書こう」としても、決意を強める意味を表せます。「必ず」と「きっと」を重ねる必要はありません。Bは2つの「ぬ」の対応と、末尾の「す」を合わせて捉えます。

練習4の答えは、「A=たりの終止形・存続、開きは連用形。戸が開いている。B=りの終止形・存続、集まれは已然形。人々が庭に集まっている」です。どちらも今の状態を描くため存続ですが、接続は異なります。意味が同じだから前の形も同じだろう、と推測しないことが要点です。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

次に推量の助動詞を学ぶと、「つ・ぬ」が後ろの「む・べし」などをどう強めるかを、さらに細かく読めるようになります。敬語を含む長い文でも、助動詞の直前の語を探す手順は変わりません。古文読解では、誰の過去の経験か、どの時点の状態かを押さえるためにも役立ちます。

家庭では、1つ目の確かめ方として、5分で「咲きぬ・咲かぬ枝・咲けり」の3つを切り分け、接続と訳を声に出して説明します。それぞれ「花が咲いた・花が咲かない枝・花が咲いている」という場面を思い浮かべ、前の動詞の形を指せるか確かめましょう。

2つ目は、別の5分で、活用表を隠して「ぬ・ぬる・ぬれ」と「ず・ぬ・ね」を書き、順に終止形・連体形・已然形と対応させる方法です。保護者の方が確認するなら、お子さまが正答した数だけでなく、どの語を根拠にしたかを聞くと、次に見直す場所が見えます。個別指導でも、前の形を言えない場合は動詞の活用まで戻り、形が言えるのに意味を誤る場合は場面と訳の対応を確かめます。

まとめ

助動詞を読めるようになると、古文の場面を取り違えた理由を、本文の形に戻って説明できます。花が咲いたのか、咲かないのか、咲いているのかという差は、訳した後の雰囲気で補うものではありません。「咲き」「咲か」「咲け」と、その後ろに続く語が判断の手掛かりを持っています。

迷った答えを直すときは、正解を写す前に、判断を変えた1語を残しましょう。「ぬ」の訳を決める根拠は、その1字の記憶だけでなく、前後の語のつながりにあります。

本気になった日が、入塾の日。

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